Microsoft Word - FDA UDI規制の概要(流開センター 黒澤) .docx

Similar documents
医政経発第 号 平成 20 年 3 月 28 日 社団法人日本臨床検査薬協会会長 在日米国商工会議所 (ACCJ) 医療機器 IVD 小委員会委員長 殿 欧州ビジネス協会 ( E B C) 医療機器委員会委員長 厚生労働省医政局経済課長 医療機器等へのバーコード表示の実施について 医

IMDRFにおけるUDI活動とFDAの動向 国際動向の面からのUDIとは

Microsoft PowerPoint - ● GS1チュートリアル

下版用.indd

スライド 1

です 最近は 同じ調剤包装単位でも 大きな塊りとしての包装単位もあるし 卸から病院に行きさらに小分けされて使う小さい調剤包装単位もあり 範囲が広まっているため 大小をまとめた用語として Primary Package ( 第一次包装 ) といっています こちらの方が 使用現場を特定しないでも ユーザ

<4D F736F F F696E74202D B4B91A582C68CFA90B6984A93AD8FC892CA926D82C682CC94E48A7282C982C282A282C42E B8CDD8AB B83685D>

スライド 1

Ⅲ-3 試用医薬品に関する基準 平成 10 年 1 月 20 日公正取引委員会届出改定平成 13 年 3 月 19 日公正取引委員会届出改定平成 16 年 5 月 25 日公正取引委員会届出改定平成 17 年 3 月 29 日公正取引委員会届出改定平成 26 年 6 月 16 日公正取引委員会 消費

薬食機発 0131 第 1 号平成 25 年 1 月 31 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長 薬事法に基づく登録認証機関の基準改正に伴う留意事項について ( その 2) 薬事法 ( 昭和 35 年法律第 145 号 以下 法 という )

<4D F736F F F696E74202D E48FE A92C789C192CA926D82C982C282A282C45F696E6F75652E >

SGEC 附属文書 理事会 統合 CoC 管理事業体の要件 目次序文 1 適用範囲 2 定義 3 統合 CoC 管理事業体組織の適格基準 4 統合 CoC 管理事業体で実施される SGEC 文書 4 CoC 認証ガイドライン の要求事項に関わる責任の適用範囲 序文

MDSAP の調査結果の 試行的受入れについて ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構 品質管理部 登録認証機関監督課 1

Microsoft Word - ‡e‡c.doc

5、ロット付番

スライド 1

法律 出典 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年 8 月 10 日法律第 145 号 ) 政令 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 36 年 1 月 26 日政令第 11 号 ) 省令 医薬品 医療機器等の品質

日本機械学会 生産システム部門研究発表講演会 2015 資料

医療や介護サービスの需要が高まる中で 供給量やその供給力を削減することは難しいため いかに医療機関の運営を効率化するか しかし そのために人手を使うのでは意味がない 情報を有効に活用できるように相互連携をさせられるか が 課題 速やかに共通インフラの整備を進めて 効果的な ICT の導入 活用ができ

文字の装飾 / 配置について 文字の装飾 ( ボールド / イタリック / アンダーライン等 ) 網掛けは行わないでください 背景色は バーコード部分とのコントラストが低下する色を避けてください 文字の回転を行う場合 回転角度は 90 度 180 度 270 度以外は指定しないでください 文字間隔の

Microsoft PowerPoint - US cGMP検討会用080226(資料3-1).ppt

平成 23 年 7 月 5 日 米国医療機器 IVD 工業会 (AMDD) 会長デイビット W. パウエル 欧州ビジネス協会 (EBC) 医療機器委員会 委員長ダニー リスバーグ 医療機器 ( 体外診断用検査機器を含む ) の薬事法改正に係る提言 はじめに 医薬品は新しい有効成分を探しあるいは創り

内容 第 1 章 - 貴社の情報を必要となる理由? 第 2 章 - サプライヤ安全管理ツールから送信される電子メール通知 電子メールが迷惑メールフォルダに入る場合の処理方法 第 3 章 - サプライヤ安全管理ツール (SVAT) へのアクセス 第 4 章 - サプライヤー更新フォームの記入 サプライ

Microsoft Word - CLP規則導入手引(第2.1版)(修正: ) 修正.doc

該非判定ツールの整備と電子化について 2012 年 5 月 15 日 UCIP 外為 NET 会員 A 該非判定は安全保障輸出管理において特に重要なプロセスである 然しながら判定対象の技術的な内容等を法令の規制内容に照らして判断する作業ゆえ 容易にかつ高品質な結果を得るにはある一定レベルの体制 知識

Microsoft Word - 【発送版】製造所の登録通知

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

Webエムアイカード会員規約

スライド タイトルなし

Microsoft Word - 規則11.2版_FSSC22000Ver.4特例.doc

エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

Cica-Web を快適にご利用いただくために Cica-Web は Internet Explorer で動作確認を行っております その他のブラウザでご利用いただく際は本来の動作と異なる動作をすること がありますので ご了承ください Cica-Web は Cookie を有効にする設定でご利用くだ

目次 1. はじめに 2.IMDSの入力方法 3. デンソー固有の依頼事項 4.IMDSの警告について 5. 問合せ先 P3 P4 P6 P10 P11 2

<4D F736F F D2093C192E895578F8089BB8B408AD A8EC08E7B977697CC FC90B394C5816A2E646F6378>

特定個人情報の取扱いの対応について

パラダイムシフトブック.indb

<chemsherpa-ai の入力について > (1) 発行者 承認者情報 発行者 承認者情報は 必須項目です 会社情報をクリックし 必要事項を入力します 5. 新規にデータを作成する (P.12 参照 ) 承認者情報も入力します (2) 日付の入力日付の入力規則で年月日は " ハイフン " でつ

H1-H4

医療トレーサビリティの制度作り資料 ( 一財 ) 流通システム開発センター 一般財団法人流通システム開発センター 1

取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

<4D F736F F D2088E396F BB91A28BC EF C8EA695DB8AC78BE695AA816A C826F8AEE8F808F918EE88F878F B2E646F63>

「GMP担当者研修・認定講座」の運用規定(案)

廃液処理依頼 Fig. 登録画面 ログイン後 WASTE FLUID MANAGER(Fig.) が表示されます 画面上部にはグループ名とユーザー名が表示されます 廃液処理依頼は画面左上のメニューボタンをクリックすると表示されます 廃液タンクのタグに表示された管理番号と廃液投入記録簿に記した管理番号

【PDF】MyJCB利用者規定(セブン銀行用)

PowerPoint Presentation

Microsoft PowerPoint - HP利用マニュアル (事業者用) [互換モード]

目次 1. ログイン 報告 ユーザ 病院 使用場所 通知先 材料データベース... 7 ご注意ください...12 JAN コードから材料データを返します マネージャーの情報変更 報告 CS

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint Presentation

UMIN INDICE Lower level data communication protocol for CDISC ODM規約

Microsoft PowerPoint - ②③資料1&2

新営業支援システム 利用者マニュアル

<4D F736F F D D BB95698ADC974C89BB8A7795A88EBF8AC7979D91CE899E834B >

<4D F736F F D20939D8D87837D836A B B816996E BB8DEC8F8A816A F90BB8DEC E646F63>

G TIN GTIN-13 JAN GTIN GTIN-12 UPC GS1 A I A

朝日ビジネスWEB ご利用までの流れ

< 目次 > 1. ビジネスポータル初回ログイン手順について Arcstar IP Voice 開通後 最初にビジネスポータルにアクセスして 初期設定をしていただく手順についてご案内します 2. ログインとダッシュボード画面の表示メニュービジネスポータルにログインし ダッシュボード画面を表示するまで

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

注意事項 1. 使用文字 改行コード :CRLF 文字コード :Shift_JIS 2. 形式詳細 (1) 文字列 ( 半角 ) 半角の文字 (1 文字 =1バイト ) を設定します バイトに示すバイト数に応じて 半角文字を設定して下さい 文字列がバイトに示すバイト数に満たない場合 半角スペースを設

<4D F736F F D F8E FEE95F1836C F8EE88F878F F88979D8BC68ED2976C A2E646F63>

Advance_LIMS+ESER_ pdf

JCROA自主ガイドライン第4版案 GCP監査WG改訂案及び意見

「GMP担当者研修・認定講座」の運用規定(案)

Taro-再製造単回使用医療機器基準

<4D F736F F D F815B B E96914F92B28DB8955B>

スライド 1

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 )

< F2D8E9197BF A836F815B2E6A7464>

特定個人情報の取扱いの対応について

員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付するこ ととしていることを申し添えます 記 1. 基本要件基準第 13 条第 5 項及び第 6 項への適合性確認の基本的な考え方について (1)2023 年 ( 平成 35 年 )2 月 28 日 ( 以下 経過措置期間終了日 という )

競争入札参加資格審査申請 ホーム・メニュー

2. 目的 1RationalRose を利用する場合にプログラム仕様書としての最低限必要な記述項目を明確にする 2 プログラム仕様書として記載内容に不足がない事をチェックする 3UML の知識があるものであれば 仕様書の内容を理解できること 4Rose にて入力した内容を SoDaWord を利用

1.ICD-10(2013 年版 ) のコーディングの確認対象 確認対象医療機関 DPC 対象病院および DPC 準備病院 確認対象期間 平成 28 年 10 月診療分 ~ 平成 30 年 3 月診療分 ( 計 18 か月 ) 確認対象 ICD-10 様式 1 の診断情報の ICD-10 コードを対

Microsoft PowerPoint - EPCIS概要説明.pptx

(Microsoft PowerPoint - \220V\213\214\225\266\217\221\224\344\212r\203\\\203t\203g\202o\202o\202s\216\221\227\277ADVIT1-30\224\305.ppt)

はじめて医療機器を製造販売または製造される方へ

サマリー記載について

HULFT-WebConnectサービス仕様書

バリデーション基準 1. 医薬品 医薬部外品 GMP 省令に規定するバリデーションについては 品質リスクを考慮し 以下の バリデーション基準 に基づいて実施すること 2. バリデーション基準 (1) バリデーションの目的バリデーションは 製造所の構造設備並びに手順 工程その他の製造管理及び品質管理の

臨床評価とは何か ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部方眞美

不具合情報受付管理 DB 不具合情報対応情報要因 履歴登録 設備情報 不具合情報 対応情報 不具合 ( 履歴 ) 情報 機器仕様 納入情報 機器部品情報 関連資料 機器情報 交換部品情報 交換履歴 交換部品情報 保有部材管理 DB 保有部材管理 不具合情報 不具合先情報 不具合復旧情報 受付情報 対

ISO 企業識別コード (BIC) に関する国際規格 年 6 月 30 日 ISO/TC68 国内委員会事務局 ISO/TC 68 国内委員会事務局 1

環境影響物質含有量集計ツール操作ガイド

二加屋様 Web B2B システム 商品 CSV データ取込マニュアル 2012 年 10 月 19 日 株式会社アイル 概要 このマニュアルは二加屋様の Web B2B システムに商品 CSV データから商品情報を登録す るための手順を示すものです マニュアル内で利用するツール このマニュアル内で

静岡県立静岡がんセンター臨床研究事務局の業務手順書

スライド 1

改訂履歴 日付バージョン記載ページ改訂内容 V2.1 - 初版を発行しました V3.1 P5 ドキュメントラベルが新規追加された事を追記 P7 P8 新しくなったラベルのツリー表示説明を追記 新しくなったラベルの作成 削除操作を追記 P9 ラベルのグループ

データキャリアについて

目次 はじめに 1サーバ作成 2 初期設定 3 利用スタート 付録 Page.2

DigiCert EV コード署名証明書 Microsoft Authenticode署名手順書

生産ライン・設備機器メーカー双方の課題をIoTで解決!

<4D F736F F D F815B A BD90AC E93788E968BC695F18D E352E3135>

< 解説 > 医療用ガスボンベ誤認防止のため ガス種の確認は医薬品ラベルによる確認を最重要と捉えその励行を推奨し 特に誤認の多い医療用小型ガスボンベに焦点を当て 識別性の高い医薬品ラベルの指針を制定する また医療ガス安全管理委員会の役割を強化し 医療ガスを安全に取扱うための医療ガス教育を更に充実させ

工程’S 9 ヘルプ Excelバーチャート

拍, 血圧等 ) を, ユーザー本人または当社の提携先からと提携先などとの間でなされたユーザーの個人情報を含む取引記録や, 決済に関する情報を当社の提携先 ( 情報提供元, 広告主, 広告配信先などを含みます 以下, 提携先 といいます ) などから収集することがあります 4. 当社は, ユーザーが

卵及び卵製品の高度化基準

( レセプトコンピュータ開発メーカー向け ) - Mac 用 - このマニュアルでは 労災レセプト電算処理システムを利用するための端末のセットアップ方法を説明しています なお 労災レセプト電算処理システムを利用するためには 端末がオンライン請求システムのネットワークに接続されていることが前提となりま

【資料1-2】脳神経外科手術用ナビゲーションユニット基準案あ

福岡大学ネットワーク認証・検疫システム実施マニュアル

IAF ID 2:2011 Issue 1 International Accreditation Forum Inc. 国際認定機関フォーラム (IAF) IAF Informative Document ISO/IEC 17021:2006 から ISO/IEC 17021:2011 への マネ

Transcription:

FDA 医療機器ユニークデバイス識別規則の概要 理解の不一致を回避し情報を共有するために 一般財団法人流通システム開発センター黒澤康雄 何が世界で起きているか 世界の医療機器メーカーは 現在 製品識別 と データベース登録 の義務化という台風に直面している (1) IMDRF の推奨医療機器の製品仕様の日本米国欧州間の統合整合化を審議する GHTF(2012 年から IMDRF に改組織 :International Medical Device Regulatory Forum) が 2011 年 4 月に 医療機器ユニークデバイス識別ガイダンス を発行し バーコード識別表示と国家レベルの製品情報のデータベース登録の義務化を推奨するという内容を発表した その第一の目的は不具合機器を市場でいち早く特定 回収し 同等機器の代替えを推進し ユーザーの利用安全性や利便性を確保することにある (2) 米国 FDA の施行この IMDRF ガイダンスを基にして 米国 FDA が 2013 年 9 月に医療機器ユニークデバイス識別規制を公示し 今年 2014 年 9 月から規制が施行される (3) 欧州委員会が運用細則を作成中欧州でも豊胸手術用シリコンバッグの不良品流通が契機となり 欧州委員会 (EC) ヘルスケア & 消費局が規則案を現在作成中である 2012 年 9 月に欧州委員会ヘルスケア & 消費者指令局が UDI システム改正案を欧州議会に提案した 2013 年 4 月には EU 指令 (2013/172/EU) により 医療機器への UDI 対応について追加で推奨が公示された 2015 年から UDI 運用細則 の立法手続きが開始され 2018 年から UDI 運用細則 にもとづく施行がスタートする 現 IMDRF のユニークデバイス識別ガイダンスに基づく米国 FDA と欧州委員会の規制内容は 日本としても国際整合性の確保から避けられず いずれ国内の法制化が定められて国内の輸出メーカーだけでなく 近々に全ての医療機器メーカーとっての 基本ルール となるであろう アジア 中近東 南米諸国では FDA の認定機器は優遇され 各国規制をジャンプしてスムーズに承認取得が実行される FDA 認定品は一流品の証拠であり各国当局が受け入れるからである 国内メーカーとして輸出を含む長期のビジネス戦略があるならば 先駆的に働きかけて FDA と欧州ルールを 体験習得 することが必須となるはずである このことは国内市場の今後の伸長と アジア市場の急速な伸長を比較想像するだけでも容易に理解できるであろう FDA は医薬品でも 2015 年から義務化 1

製品のバーコード識別および製品情報データベース登録の義務化は医療機器に限定しない 世界の医療用医薬品でも義務化が目白押しである 米連邦政府はバーコード識別やデータベース登録 またメーカー 卸 病院 薬局間のサプライチェーンにおける追跡管理および遡及管理を実現させるために 2013 年 11 月に 医薬品サプライチェーン安全保障法 を公示した これは 2015 年 1 月から施行される強制法規である その狙いは偽造医薬品の製造と流通の排除 そして健康被害の防止である 昨年まで全米で約 20 の州政府が電子的な履歴規制を施行してきたが 州ごとにバラバラな規制は大手製薬メーカーの製造ラインや流通ネットワーク網を分断させるなどデメリットが大きいため 連邦全体で統合一貫した偽造医薬品対策法が成立することになった この安全保障法のポイントは 薬剤パッケージ ( 中箱 将来は個装も ) に個々に数値が違うランダム番号の二次元バーコードをメーカーに強制表示させ FDA の薬剤データベースと自動照合して 本物偽物の真贋判定を行い 偽造医薬品を排除する点にある 欧州では製薬団体連合会 (EFPIA) がメーカーとしての製品識別の自主規定を整備し 業界全体で利用できる業務モデルを 2013 年春に作成した 製品識別については 欧州の病院薬剤師会が 投薬投与時点のより正確なデータ管理を向上させたいとの業界合意にもとづいて 製薬メーカー団体に薬剤個装パッケージへのバーコード表示を強く要請している 個装パッケージのバーコード読取りによって 誰が いつ 何を 誰に どうする ( どうした ) というトレーサビリティのための明細データ管理が実現できるからである さらに世界各国の先進先端の医療機関の薬剤部や調剤薬局では 薬剤のバーコードを入荷 在庫 払い出し 調剤 混注 投与 使用実績業務に利用して患者安全をより高い精度で実現する取り組みが各方面で進められており 幾多の事例が報告されている 2013 年 11 月 27 日 連邦議会が 医薬品サプライチェーン安全保障法 を制定 2015 年 1 月 1 日から メーカーが取引履歴 取引情報 取引明細データを卸売業者に送付し メーカー は直接購買履歴を管理すること 2015 年 7 月 1 日から 流通業者が取引履歴 取引情報 取引明細データを受領すること 2016 年中 流通業者およびサードパーティ ロジステックス業者は連邦ライセンスを取得 2017 年 11 月 27 日から メーカーが製品に NDC ロット番号 有効期限 そしてシリアル番号を表示 2018 年 11 月 27 日から リ パッケージャーが NDC ロット番号 有効期限 そしてシリアル番号を表示 2019 年 11 月 27 日から 流通業者がロットレベルのトレーサビリティ管理を開始 2020 年 11 月 27 日から 調剤薬局がロットレベルのトレーサビリティ管理を開始 2023 年 11 月 27 日からパッケージ レベル ( 販売包装単位 ) のトレーサビリティを開始 FDA ユニークデバイス識別システム規則とは 以下 米国 FDA の医療機器に対するユニークデバイス識別システム規則を解説する Ⅰ.UDI システムの構築手順ユニークデバイス識別 (Unique Device Identification) システム規則は略称して UDI システム規則 と呼ばれる この規則は バーコード表示とデータベース登録を二本柱として成立している メーカーによる製品へのバーコード表示だけでなく その製品情報を FDA データベースセンターにデ 2

ータ登録することも課せられている メーカーはシステム的な準備対応が必要であるため 名称は UDI 規則ではなく UDI システム規則 と呼ばれる FDA はこの UDI システムを立ち上げるために 以下の 3 段階を経て メーカーの支援を受け UDI システムを完成させる予定である 1UDI 表示のデータ項目ラベルにバーコードで表示するデータ項目は 製品コード / 有効期限 / ロット番号 ( 製品によってはシリアル番号 ) である 製品コードは GS1 コード体系 HIBCC( 米国医療産業ビジネス情報協議会 : Health Industry Business Communications Council) のコード体系 または ICCBBA( 血液関係製品自動化 共有化国際協議会 :International Council for Commonality in Blood Banking Automation) のコード体系のうちのいずれかを使用する 国内では厚生労働省経済課通知 ( 平成 20 年 3 月 28 日 : 医政経発第 0328001 号 ) によって 既に GS1 コード体系が選択され 全国の医療機器メーカーでの GS1 コード体系はほぼ 100% の取得率となっている 次に有効期限 ロット番号を表示する インジケータ : 個装は 0 1 桁 中箱は 1 外箱は 2 GTIN コードとは 商品コード (14 桁 ) GS1 事業者コード : 流開センターが発番 貸与する 製品アイテムコード : メーカーにて設定する 9 桁 3 桁 チェックデジット 1 桁 計 14 桁 FDA では データベースセンターへのデータ登録に当たり 製品機器識別 と 製造機器識別 という 2 つの用語を定義しており 注意が必要である ひとつは 機器識別情報 (= 固定データ ) であり 他は 製造識別情報 (= 可変データ ) である 情報がいつも変わらないもの(= 固定 : 製造業者名 製品名 ) は 機器識別情報 であり その都度情報が変わるもの (= 可変 : 有効期限日 ロット番号 ) は製造に関係する 製造識別情報 となる 〇機器識別情報 (Device Identifier 略称 DI): いわゆる固定データ 機器があるかぎりデータ固定 具体的に製品コード (GTIN) 製造業者名 製品名 製造識別情報 (Production Identifier 略称 PI): いわゆる可変データ その都度データが変わる 具体的に有効期限 ロット番号 シリアル番号 2 表示するバーコード種類バーコードは GS1-128 バーコードである このバーコードシンボルは日米共通である GS1-128 バーコードの表示面積が足りない場合は 二次元シンボルのデータマトリックスで同じデータ項目 ( 製品コード 有効期限 ロット番号 ) を表示することとなる 医療機器によっては ロット番号でなく シリア 3

ル番号を表示する場合もある 3UDI を適用する方法 UDI はリコール時の機器の特定や迅速正確な回収を実現させるために 医療機器本体及び機器 材料の使用単位に表示する その運用はユーザーである卸売業 医療機関ではなく製造業者によって構築維持される 具体的にはヒトが目で判別できる文字 あるいは GS1-128 バーコードや 2 次元データマトリックス等 自動認識技術で表示される FDA はこれらの表示技術の選択はメーカー側に任せており FDA は技術中立の立場のため 表示の具体的技術については指定しない 4データベースの登録方法メーカーは最小データセット ( 各機器の最少単位ごとに製造業者名 型式番号 機能 サイズ等 ) を FDA データベースセンターに登録する このデータベースは グローバル UDI データベース と呼ばれ 略称は GUDID である 付加情報としては アレルギー情報の有無 操作互換性 再利用の可否 洗浄滅菌方法 取扱い説明へのサイト情報等を登録する メーカーによる製品データベースの登録方法は 1Web から FDA サイトに入力する方法 2HL7 ( 医療情報交換のための標準規約 HL7 は Health Level Seven の略 医療情報システム間の ISO-OSI 第 7 層アプリケーション層 ) に由来する ) 3GDSN(Global Data Synchronaization Network: グローバルデータ同期化ネットワーク ) の 3 つの利用方法があり メーカーが選択する 4

UDI 義務化のスケジュール UDI 義務化のスケジュールと留意事項は 2014 年 5 月時点において下記の状況である 2011 年 9 月に GHTF が UDI ガイダンスを刊行し 世界の規制当局に推奨を行った 2012 年 2 月に GHTF が IMDRF に吸収統合されて UDI 規制が検討された 2012 年 7 月にはFDAがUDI 規則案を公開し コメントを募集し規則案の内容調整を行った 別途 欧州委員会が 2013 年 4 月に医療機器 UDI 規制の推薦文書を発表し 2013 年 9 月に医療機器 UDI 規則が公示された 1 年後の 2014 年 9 月には施行され クラスⅢ 機器 ( 命にかかわる重篤な製品 ) はバーコードで UDI を表示し データベースセンターに登録しなければならない 2015 年 9 月からは生命支援装置 生命維持装置にバーコードで UDI を表示し データベースセンターに登録しなければならない 2016 年 9 月から上記以外のクラスⅡ 機器 ( 健康被害発生が予測されるがクラスⅢ 程ではない製品 ) はバーコードで UDI を表示し データベースセンターに登録しなければならない 2018 年 9 月からクラスⅠ 機器 ( 重大な健康被害発生はないが法や規制に違反している製品 ) を含む残り全ての機器にバーコードで UDI を表示し データベースセンターに登録しなければならない このようにハイリスク機器から順次施行され FDA は 2018 年に機器全体の表示とデータベース登録の義務化を完了させたいとしている 5

2013 年 9 月 24 日 UDI 最終規則の公示 規則公示直後 ~ 発行機関である GS1, HIBCC,ICCBBA 等からの FDA への認定申請の受付開始 ( 注 1 2 3) 企業からの UDI 表示の例外または代替え要請の受付開始 2014 年 9 月 24 日 ( 規則公表 1 年後 ) クラスⅢ 機器 ( ラベル及びパッケージに UDI を表示しグローバル UDI データベース ( 注 4) に登録する ) クラスⅢスタンドアローンソフトに UDI 表示 ( 注 5) 2015 年 9 月 24 日 ( 規制公表 2 年後 ) 埋込機器 生命維持装置 延命装置 ( ラベル及びパッケージに UDI を表示しグローバル UDI データベースに登録する ) 生命維持装置 延命装置のスタンドアローンソフトは UDI 表示 生命維持置 延命装置で 複数回再処理して使用される装置は UDI の永久的表示を義務化 埋込機器への永久的な表示は適用外 単回使用機器の永久的表示は適用外 2016 年 9 月 24 日 ( 規則公表 3 年後 ) 上記以外のクラスⅡ 機器 ( ラベル及びパッケージに UDI を表示 グローバル UDI データベースに登録する ) クラス Ⅱ 機器のスタンドアローンソフトに UDI 表示 クラス Ⅲ で複数回再処理して使用される機器は UDI の永久的な表示を義務化 単回使用機器の永久的表示は適用外 2018 年 9 月 24 日 ( 規則公表 5 年後 ) クラスⅢ Ⅱ Ⅰ 機器に分類されていない残り全ての機器 ( ラベル及びパッケージに UDI を表示しグローバル UDI データベースに登録する ) クラスⅠ 機器のスタンドアローンソフトに UDI 表示 クラス Ⅱ で複数回再処理して使用される機器は UDI の永久的な表示を義務化 単回使用機器の永久的表示は適用外 2020 年 9 月 24 日 ( 規則公表 7 年後 ) クラスⅠ 機器およびクラスⅢ Ⅱ Ⅰ 機器に分類されていない残り全ての機器で 複数回再処理して使用される機器は UDI の永久的な表示を義務化 単回使用機器の永久的表示は適用外 FDA 医療機器 UDI 規則の施行スケジュール表 ( 注 1)GS1 : シ ーエスワンとは企業コード番号発行 バーコード表示 電子データ交換利用推進の世界 112 ヶ国加盟の非営利組織 世界全体の会員数 : 約 130 万企業 ( 注 2)HIBCC:Health Industry Business Communication Council 米国のヘルス産業ビジネス情報化協議会の略称 呼び名は ヒビック 米国内約 2400 会員 欧州地域約 600 会員 世界計約 3000 会員 ( 注 3)ICCBBA: International Council for Commonality in Blood Banking Automation 血液関係製品の自動化 共有化の国際協議会 ( 注 4) グローバル UDI データベース : 米国 FDAが管轄する医療機器データベースの名称 ( 略称 :GUDID) ( 注 5) スタンドアローンソフトウェア : 機器を稼働させるための独立したソフトウェアのこと UDI 情報は起動画面に明細情報を表示すること 供給される情報媒体 (DVD, CD 等 ) の個装 中箱 外箱にも UDI 情報 バーコードを表示すること 6

UDI 規則の留意事項 FDA による医療機器 UDI 規則についてのまとめは下記の通りである (1) 有効期限の日付表示 すべて数字にする 配列 YYYY-MM-DD( 年 4 桁月 2 桁日 2 桁 ) ISO 規格 日にちの区切りとして - ( ハイフン ) を入れる 例 2018-12-31 (2)UDIの表示 UDIの表示は機器識別子 ( 略称 DI: Device Identifier) と製造識別子 ( 略称 PI: Production Identifier) で構成される 機器識別子 ( 略称 DI: Device Identifier): いわゆる固定情報 機器があるかぎりデータ不変 具体的には製品コード (GTIN) 製造業者名 製造識別子 ( 略称 PI: Production Identifier): いわゆる可変情報 その都度データが変わる 具体的には有効期限 ロット番号 シリアル番号 (3) クラスⅠ 機器への表示項目クラスI 機器には 製造識別子 ( 略称 PI ) つまり有効期限 ロット番号 シリアル番号を表示する必要がない ただし 機器識別子 ( 略称 DI) である製品コード (GTIN) は表示が必要 (4) ダイレクトマーキング Direct Markingの耐用年数の考え方医療機器自体の耐用年数が決まっていれば 耐用期間はダイレクトマーキングも同様の耐用にすると ( ここでは ) 解釈できる 医療機器の耐用年数 = ダイレクトマーキングの耐用年数 (5) スタンドアローンソフトウェアへのUDI 表示方法スタンドアローンソフトウェアをUDI 識別する場合 該当医療機器のプログラム起動時の開始表示画面にヒトが視認できる文字列としてUDI 情報を表示する バーコードは表示画面に不要 画面表示例 : 製品名称ソフトウェア名称ソフトウェアの製品コードソフトウェアのバージョン番号等 (6) スタンドアローンソフトウェアの包装へのUDI 表示方法生命維持装置 延命装置 クラスⅢ Ⅱ Ⅰ 機器のスタンドアローンソフトウェアがCD DVD USBメモリーなど記録媒体で供給する場合は その個装 中箱 外箱にUDI 情報 バーコードを表示する 7

(7) キット製品へのUDI 表示キット製品の中に収納されたキットを構成する機器の包装へのUDI 表示は不要である 機器 A,B,C,D 個々には UDI 表示が不要 A キット製品の全体パッケージ ( 外装箱 ) に UDI 表示が必要 C B D (8) コンビネーションプロダクト ( 医薬品と医療機器などが同梱された製品 ) のUDI 表示コンビネーションプロダクト ( 医薬品と医療機器などが同梱された製品 ) は その構成機器へのUDI 表示は不要とする コンビネーションプロダクトの全体パッケージ ( 外装箱 ) にはUDI 表示必要 例 : プレフィールドシリンジ 薬剤塗布型ステント / バルーン 抗菌剤塗布型カテーテル (9) クラスⅢ Ⅱ Ⅰ 機器で複数回再処理して使用する機器本体へのUDI 永久表示複数回再処理 ( 清浄 消毒 滅菌を含む ) する機器本体にはUDIを永久表示する 例 : 鋼製器具本体に1レーザーダイレクトマーキング 2ドットピンダイレクトマーキングで二次元シンボルのデータマトリックスを表示する データマトリックス表示例 ( ドットピン方式 ) データマトリックス表示例 ( 枠内部 ) ( レーザー方式 ) ダイレクトマーキングの除外となる製品は 1か所に据付けられた後移動することのない機器 体外診断用医薬品等ダイレクトマーキングの除外となる製品は その除外情報をメーカーが 設計履歴ファイル に記載することが求められる FDA 連邦広報によって UDI 表示の除外 / 代替手段について 8

の申請手続き手順は明文規定されている (10) 生命維持装置 延命装置で複数回再処理して使用される装置はUDIの永久表示が必要 (11) 埋込み機器 ( インプラント機器 ) へのUDI 表示適用は免除される 埋込み機器 ( インプラント機器 ) 本体へのUDIの永久表示は不要 最終規則で免除された 例ペースメーカー本体 人工骨本体 人工関節本体 個装 中箱 外箱のUDI 表示 バーコード表示は必要 (12) 単回使用機器 ( シングルユースデバイス : 略称 SUD) の永久的なUDI 表示は除外される 単回使用機器に対しては 以下の3 条件をクリアすればUDI 表示とデータベース登録が除外される 1ひとまとまりの梱包として流通させられるもの 2その梱包された状態で 使用まで梱包状態から取り出さないもの 使用 とは 臨床現場における医療機器の開封使用であり 物流仕分け 梱包の小分けのための梱包の開封使用ではない 3 個別に流通させることを目的としていないもの ブランド名 GMDN 名称 カタログ番号 製造識別子 : ロット番号 単回使用 サイズ 製造識別子 : 有効期限 機器入数 保管条件 取扱条件 ラベラー名称と実住所 サポートコンタクト先情報 医療機器 UDI (DI & PI) 9

医療機器メーカーの準備について FDA は個別独自に UDI 規制を実施するのではなく それまでの国際医療機器整合化会議 (GHTF) 及びその後に設立された国際医療機器規制当局フォーラム(IMDRF) での充分な討議を経て UDI の義務化を行った その意味で 国内メーカーは国際整合の確保の視点から そして米国向け製品輸出対応においては 充分に配慮する必要がある また GS1 本部のワーキング活動や表示仕様によって最終対応が決まるので 医療機器メーカーはこの点に関しても充分なフォローが必要となってくる 国内業界の UDI への対応上の留意点 この FDA の医療機器本体へのバーコード表示とデータ登録の義務化は 日本と欧州の米国向け輸出メーカーにとって表示対応が急務であることは勿論であるが さらに医療機器の国際互換性や整合性の観点から わが国医療機器業界全体も整合性を確保し 不具合製品の特定 拡散防止 回収 そして情報収集等をバーコードや電子タグを利活用して正確かつ迅速に行なうことが求められる 現在 国内では医療機器の個装 中箱 外箱パッケージに対する標準バーコード表示は通知されているが 医療機器本体への表示は通知されていない 国際整合性の確保の意味から 繰り返し洗浄滅菌して再使用される医療機器も同様の直接マーキング表示の義務化が求められる 国内の手術部の先生 臨床工学技士など 医療機関関係者は医療機器本体への直接表示を強く求めている 欧米製品にバーコード表示があり わが国の医療機器に表示がないという状況になれば 安全管理上の優劣は明らかであると共に 米国製品と日本製品を比較した時 その販売上の不利益も考えられる したがって業界全体が医療機器本体へのラベル表示および手術機器へのダイレクトマーキング表示の標準化 システム化を推進する必要がある 一方 中国 韓国 台湾 香港でも米国 FDA 規制にならい 同様の標準化を行政が支援しており 国内メーカーとして国際競争を有利に展開するためにも迅速な対応が求められている 医療は個々に特性があり個別の価値があり これは肯定され是認されるものであるが 業務システムの根幹 基盤要素である製品コード体系やバーコード表示や製品データベース等が個別任意独自では 結局のところ医療機関がシステム開発 維持に多大の費用コストをかけることにもなり 結局は日本全体の医療費支出を さらに押し上げる原因にもなろう 基本要件である製品コード バーコード 製品データベースの標準化をさらに推進し 特に医療機関が導入を拡大し 医療機器業界がシステム化をスマートに推進することが肝要である 以上 10