立石委員提出資料(トランス脂肪酸に関する意見書)

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栄養成分等の分析方法等及び「誤差の許容範囲」の考え方について

胎児計測と胎児発育曲線について : 妊娠中の超音波検査には大きく分けて 5 種類の検査があります 1. 妊娠初期の超音波検査 : 妊娠初期に ( 異所性妊娠や流産ではない ) 正常な妊娠であることを診断し 分娩予定日を決定するための検査です 2. 胎児計測 : 妊娠中期から後期に胎児の発育が正常であ

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

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保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

中にいる間 その子どもたちに影響をして小さく生まれてくる そして この小さく生まれてきた子というのは 将来 肥満とか糖尿病 脂質異常症等の いわゆる生活習慣病を発症しやすくなっていることが知られるようになっております わが国の低出生体重児は 2005 年に向けて大体 10% ぐらいに上がってきており

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スライド 1

2 11. 脂肪 蓄 必 12. 競技 引退 食事 気 使 13. 日 練習内容 食事内容 量 気 使 14. 競技 目標 達成 多少身体 無理 食事 仕方 15. 摂取 16. 以外 摂取 17. 自身 一日 摂取 量 把握 18. 一般男性 ( 性. 一日 必要 摂取 把握 19. 既往歴 図

2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

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愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 目 次 1. 目的 1 2. 携帯食事手帳システムの概要 1 (1) システムの基礎データ 1 (2) 利用方法 1 (3) 確認できる情報 1 3. 携帯食事手帳利用の手引き 2 (1) 携帯食事手帳 (QRコード) 3 (2) 料理選択の仕方 4 (

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

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4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

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日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

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肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

肥満と栄養cs2-修正戻#20748.indd

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14栄養・食事アセスメント(2)

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Q1. あなたが 普段健康のために積極的に摂取している栄養成分 控えている栄養成分をお答えください ( 単数回答 ) n=1000 積極的に摂っている栄養成分 TOP5 積極的に摂っているどちらとも言えない摂取を控えている 水分 61.7% 34.1% 4.2% たんぱく質 44.7% 48.4%

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15 第1章妊娠出産子育てをめぐる妻の年齢要因

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目次 < 栄養表示の特徴 > 栄養表示の特徴 1 < 健康 栄養政策と栄養表示の関係 > 健康 栄養政策と栄養表示基準 2 健康 栄養政策と栄養表示 3 健康 栄養政策と栄養表示の関係 4 21 世紀における国民健康づくり運動 ( 健康日本 21) の具体的な推進について 5 < 栄養表示の重要性の

図 24 世界の高齢化率の推移 資料 :UN,World Population Prospects: The 2012 Revision ただし日本は 2010 年までは総務省 国勢調査 2015 年以降は国立社会保障 人口問題研究所 日本の将来推計人口 ( 平成 24 年 1 月推計 ) の出生中

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背景及び趣旨我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律に

特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

第 3 部食生活の状況 1 食塩食塩摂取量については 成人男性では平均 11.6g 成人女性では平均 10.1gとなっており 全国と比較すると大きな差は見られない状況にあります 図 15 食塩摂取量 ( 成人 1 日当たり ) g 男性

Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

食品には たんぱく質や脂質 炭水化物などの栄養成分が含まれています 私たちが健康な生活を送ることができるのは 食品から必要な栄養を必要な量とっているからです 食材を加熱すると 食材に天然に含まれている成分から新たな成分ができることがあります それによって 例えばパンを焼いたときの美味しそうな色 コー

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背景及び趣旨 我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律

(4) 薬剤耐性菌の特性解析に関する研究薬剤耐性菌の特性解析に関する知見を収集するため 以下の研究を実施する 1 家畜への抗菌性物質の使用と耐性菌の出現に明確な関連性がない家畜集団における薬剤耐性菌の出現又はこれが維持されるメカニズムについての研究 2 食品中における薬剤耐性菌の生残性や増殖性等の生

トランス脂肪酸のとりまとめ

資料の目的 平成 30 年 3 月 7 日の合同部会において 費用対効果評価に関する検討を進めるにあたり 科学的な事項については 医療経済学等に関する有識者による検討を行い 中医協の議論に活用することとされた 本資料は 当該分野の有識者による検討を行い 科学的な観点から参考となる考え方やデータを提示

協会けんぽ加入者における ICT を用いた特定保健指導による体重減少に及ぼす効果に関する研究広島支部保健グループ山田啓介保健グループ大和昌代企画総務グループ今井信孝 会津宏幸広島大学大学院医歯薬保健学研究院疫学 疾病制御学教授田中純子 概要 背景 目的 全国健康保険協会広島支部 ( 以下 広島支部

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資料 4 明石市の人口動向のポイント 平成 27 年中の人口の動きと近年の推移 参考資料 1: 人口の動き ( 平成 27 年中の人口動態 ) 参照 ⑴ 総人口 ( 参考資料 1:P.1 P.12~13) 明石市の総人口は平成 27 年 10 月 1 日現在で 293,509 人 POINT 総人口

放射線とは 物質を通過する高速の粒子 高いエネルギーの電磁波高いエネルギの電磁波 アルファ (α) 線 ヘリウムと同じ原子核の流れ薄い紙 1 枚程度で遮ることができるが エネルギーは高い ベータ (β) 線 電子の流れ薄いアルミニウム板で遮ることができる ガンマ (γ) 線 / エックス (X) 線

平成15年度マーケットバスケット方式による安息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸、

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第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

ども これを用いて 患者さんが来たとき 例えば頭が痛いと言ったときに ではその頭痛の程度はどうかとか あるいは呼吸困難はどの程度かということから 5 段階で緊急度を判定するシステムになっています ポスター 3 ポスター -4 研究方法ですけれども 研究デザインは至ってシンプルです 導入した前後で比較

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1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て

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特定健康診査等実施計画

飯舘村におけるホールボディカウンタ結果解析 ( 平成 年度施行分 ) 福島県立医科大学放射線健康管理学講座助手 宮崎真 Ver /03/04

裁判員制度 についてのアンケート < 調査概要 > 調査方法 : インサーチモニターを対象としたインターネット調査 分析対象者 : 札幌市内在住の20 歳以上男女 調査実施期間 : 2009 年 11 月 10 日 ( 火 )~11 月 11 日 ( 水 ) 有効回答者数 : N=450 全体 45

(7)健診データの受領方法

Ⅲ データの入力 栄養報告 ( 週報 ) ファイル を構成する入力シートとデータの入力について説明します 1 シートの構成メニュー入力シート (1 日目 ) ~ 入力シート (5 日目 ) 1 日目 ~ 5 日目 報告年月 報告対象学校名等の基本情報を入力するシートです また 入力データの集計や報告

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

栄養素は食事として摂取されると 消化管で分解され 糖質はグルコースに タンパク質はアミノ酸に 脂肪は脂肪酸となって体の細胞に取り込まれ 身体活動のエネルギーとなり 体を構成する組織になって 生命を維持しています 不要になったものは体外に排泄されます このような代謝経路が正しく働くためには たくさんの

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特定健康診査等実施計画

甲状腺機能が亢進して体内に甲状腺ホルモンが増えた状態になります TSH レセプター抗体は胎盤を通過して胎児の甲状腺にも影響します 母体の TSH レセプター抗体の量が多いと胎児に甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性が高まります その場合 胎児の心拍数が上昇しひどい時には胎児が心不全となったり 胎児の成

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特定健康診査等実施計画書 ( 第 3 期 ) JXTG グループ健康保険組合 平成 20 年 4 月 1 日制定平成 22 年 4 月 1 日改訂平成 25 年 4 月 1 日改正平成 30 年 4 月 1 日改正 - 1 -

29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

牛乳および乳製品摂取量

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人口推計 における人口の算出方法 Ⅰ 概要 1 人口推計の範囲人口推計の範囲は, 我が国に常住している * 全人口 ( 外国人を含む ) である ただし, 外国人のうち, 外国政府の外交使節団 領事機関の構成員 ( 随員及び家族を含む ) 及び外国軍隊の軍人 軍属 ( 家族を含む ) は除いている

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ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

第 7 回大阪市人口移動要因調査報告書 平成 27 年 3 月 大阪市都市計画局

調査の概要 本調査は 788 組合を対象に平成 24 年度の特定健診の 問診回答 (22 項目 ) の状況について前年度の比較から調査したものです 対象データの概要 ( 全体 ) 年度 被保険区分 加入者 ( 人 ) 健診対象者数 ( 人 ) 健診受診者数 ( 人 ) 健診受診率 (%) 評価対象者

平成 24 年度内閣府食品安全委員会 食品健康影響評価技術研究 トランス脂肪酸による動脈硬化性疾患の 発生機序の解明と健康影響評価手法の確立 平田健一神戸大学大学院医学研究科内科学講座循環器内科学分野

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助成研究演題 - 平成 27 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 改良型 STOPP を用いた戦略的ポリファーマシー解消法 木村丈司神戸大学医学部附属病院薬剤部主任 スライド 1 スライド 2 スライド1, 2 ポリファーマシーは 言葉の意味だけを捉えると 薬の数が多いというところで注目されがちで

特定健康診査等実施計画 ( 第 2 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 25 年 3 月 1 日

Transcription:

立石委員提出資料参考資料 1-2 2014 年 3 月 12 日 トランス脂肪酸 に関する意見書 委員立石幸一 平成 24 年 3 月 食品安全委員会より トランス脂肪酸 に関する食品健康影響評価が報告されました その評価書および専門調査会の議事録を確認したところ 以下のとおり極めて重大な健康リスクについての警告が発せられ 議論の中では表示の必要性にも言及されております しかし 現行 トランス脂肪酸 に関する情報は 多くの一般の消費者には知らされておらず 摂取を控えることが望ましいとされる多数の消費者が存在するにも係らず 商品選択できない状況にあります 日本の若者の食が欧米化されて久しく 将来に渡ってこの食生活が続く可能性は大きく 将来にわたる国民の健康リスクの大きさからも 我が国においても諸外国と同様に トランス脂肪酸 を表示義務の対象とするべきと考えます 食品安全委員会食品健康影響評価の概要 (1) 母親の血中のトランス脂肪酸は 胎盤を通過し胎児に移行することから 胎児への影響は以前から危惧されている トランス脂肪酸は 必須脂肪酸の代謝に影響し トランス脂肪酸量と未熟児の出生体重との間には逆相関の関係が認められた アメリカの研究報告では 排卵障害による不妊への影響 妊娠中の多量摂取は 流産 死産への影響 子供の喘息の発症への影響が報告されている (2) トランス脂肪酸摂取量をエネルギー比 0.1% 減少させると 1.15% の心筋梗塞発症が減少し 約 9 000 人の虚血性疾患の疾患数の減少が期待でき 心筋梗塞の死亡者数で年間約 500 人の死亡者数の減少が期待できる (3) 集団の平均値は諸外国に比べて比較的少ないが 多く摂取している人が存在し高摂取者の摂取量や その頻度については推定できていない 若年層のトランス脂肪酸の摂取が増えてきている (4) トランス脂肪酸を低減させた場合に飽和脂肪酸が増えることについては 2% のエネルギーのトランス脂肪酸を他の栄養素に置きかえた場合は 冠動脈疾患が 23% 減少 飽和脂肪酸に置きかえた場合は 17% 減少となる (5) トランス脂肪酸の影響が冠動脈疾患に出るのには 10 年 20 年のスパンを考えることが必要 低用量者への影響は未知数 (6) 今回のサンプリングについては 前回と異なり 事業者からの提供であるため バイアスに注意する必要がある (7) 報告書は 健康影響評価なので 表示までは言及できないが 諸外国での表示の例からも我が国での表示の検討も必要 1

( 参考資料 ) 2012 年 3 月食品安全委員会報告書 新開発食品評価書食品に含まれるトランス脂肪酸 より抜粋 P57 Ⅵ 妊産婦 乳児 幼児への影響母親の血中のトランス脂肪酸は 胎盤を通過し胎児に移行することから 胎児への影響は以前から危惧されている 新生児 70 人の血中トランス脂肪酸量と在胎期間との間に 有意な逆相関が認められた トランス脂肪酸は 必須脂肪酸の代謝に影響することが考えられると記載され トランス脂肪酸量と未熟児の出生体重との間には逆相関の関係が認められた アメリカの研究 (2007 年 ) 女性看護師 116,171 人を対象とした生活習慣調査 (1991 年 ~1999 年 ) このうち 不妊症と診断された経歴がなく 妊娠を試みた 18,555 人を対象 うち 438 人 (2.4%) が排卵障害による不妊と診断された 438 人を対象とした不妊に関する有意差分析 階層 トランス脂肪酸摂取量不妊の ( エネルギー比 ) 相対危険度 補正 Ⅰ 2.3% 1.31 1.73 Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 0.9% 1.00 1.00 補正は 炭水化物をトランス脂肪酸にエネルギー比 2% 置換え 2

アメリカの研究 (2008 年 ) 1 回妊娠経歴のある中年女性 104 人を対象とした食事調査 階層 トランス脂肪酸摂取量胎児喪失 ( 流産 死産 ) ( エネルギー比 ) の経験割合 Ⅰ 3.9%~6.6% 52% Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 1.5%~2.1% 30% アメリカの研究 ( 妊娠中のフィッシュスティック摂取の影響報告 ) 5 歳以下の子供を持つ母親を対象とした喘息発症との関係 母親の摂取状況オッズ比妊娠中 月 1 回以上摂取した母親 2.04 妊娠中 食べなかった母親 1.00 フィッシュスティック白身魚の切り身にパン粉を付け 油で揚げたものであり トランス脂肪酸の摂取源とされている 妊娠中のトランス脂肪酸の摂取は 子供の喘息の発症に有意差があると報告 日本状況 p23 トランス脂肪酸の年齢階層ごとの平均摂取量エネルギー比 (%)95% タイル値 ( 平成 15 年 ~19 年国民健康栄養調査農林水産省調査 ) トランス脂肪酸の摂取の多い上位 5% の数値 総じて女性の方が摂取割合が高い 3

トランス脂肪酸の年齢階層ごとの平均摂取量エネルギー比 (%)99% タイル値 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 男性 女性 0.2 0 日本の状況は 1% 以上の女性が WHO の勧告基準エネルギー比 1% を超えている実態 従って 日本の年齢別人口構成から計算すると 14 歳から 39 歳までの出産適齢に当たる女性に該当する約 20 万人が WHO の勧告基準 1% を超えていることが推定される 食品安全委員会の見解平成 16 年度国民健康 栄養調査における食品群別摂取量から日本人一日当たりのトランス脂肪酸摂取量を推計 ( 積み上げ方式 ) したところ 平均 0.7 g( エネルギー比約 0.3%) であった また 食用加工油脂の国内の生産量から推計した一日当たりのトランス脂肪酸摂取量は 平均 1.3 g( 同約 0.6%) であった ( 参照 45) ただし これらの推計では 平均値は推定できるが 高摂取者の摂取量やその頻度については推定できない 食品安全委員会新開発食品専門調査会平成 23 年 6 月 22 日 14:00~16:00 第 77 回議事録より抜粋 p20 新谷評価専門官 トランス脂肪酸摂取量をエネルギー比 0.1% 減少させると 日本でもアメリカと同じく 1.15% の心筋梗塞発症が減少するとしますと 15 行目からになりますが 虚血性疾患の総患者数が 国民衛生の動向 によりますと80.8 万人でございますので それに1.15% を掛けまして約 9 000 人の虚血性疾患の疾患数の減少が期待できる また 20 年度の心筋梗塞の死亡者数で見ますと 10 万人当たり34.6 人というところでございますので また総人口が 12,769 万人というところでございますので そこから計算しますと約 500 人の死亡者数の減 4

少が期待できるというところでございます P26 山添座長食生活の変化がもたらす疾病の状況の変化というものが ほかに事例みたいなものが米国等々であって そういうことを背景にすると 日本でも同様のことが起きると想定されると その場合 現在下げることが将来メリットになるというような記述になればいいのですけれども そういう記述に持っていけるかどうかということですね P30 山添座長そうしますと 何人かの先生方から 欧米と日本での心疾患の発症率の問題 それから食生活のスタイルの問題 それから日本人と大きく若年とエイジドグループの間の食生活の変化の問題 それからデータの性質上 その年そのもののデータをダイレクトに直接比較しているというには仮定が要るということの そういうご指摘がありました ともかく この数値の計算にはこういう仮定を置いた上で計算してみると 最大で500 人ですか そういうふうな数値の値として計算が出てくるということは問題ないと思うのです それを実際にどう評価するかというときに この数字そのものを毎回 500 人の減少が期待されるとまで書いてしまっていいのかどうかというところですね 計算上はこうなってくると ですからもう少し柔らかくなって 少なくとも日本人においた場合でもこういう心疾患の患者数の減少 ひいては死亡者数の減少も期待されるというような トーンを少し変更する必要かなというふうに思います P34 山崎専門委員トランス脂肪酸の影響が本当に冠動脈疾患に出るのに10 年 20 年のスパンを考えないといけない ですから 今 摂取量を減らしたからといって 何か即効的な効果が出るものではない ただ 20 年 30 年先まで考えると意味がありますよというようなまとめを書いておく必要があるのではないかと思います P35 山本専門委員本当にドーズレスポンスが見られているかという議論を一応して あるのであれば 我が国でも低用量の人たちでもある程度影響があるかもしれないみたいなディスカッションというのですか そういうことをする 関係あったやつだけでいいと思うのですけれども 特に一つ 健康影響が大きそうなものに関しては もうちょっと丁寧にドーズレスポンスの議論についての知見をまとめて だからどうなのだということを書くほうが本当はいいのかなというふうに思いました ドーズレスポンス一定量を超えないと影響が出てこない 5

p36 石見専門委員確かにサンプリングに関しましては 前回と違って事業者の方から提供を受けたということで 少しバイアスがあるというのは確かなので そこの点は注意しなければいけない点ではないかと考えています それから トランス脂肪酸を低減させた場合に飽和脂肪酸が増えるということなのですけれども 2% のエネルギーのトランス脂肪酸を他の栄養素に置きかえた場合は冠動脈疾患が23% 減少 飽和脂肪酸に置きかえた場合は 17% 減少ということで 一応数字は出てはいるので ただ これはいろいろな仮定があるということw 注意書きして ここの記述も入れてはどうかと思います p37 石見専門委員あと 最後の部分では やはり今後どうしたらいいかということで 事業者の方には減らしていただくことと あるいは食品への表示の問題 それから普及啓発ですね 教育というところも必要ではないかというような今後の方針まで述べた方がいいのかどうかというところだと思いますけれども 評価なので そこまで言う必要はないのかも思いますが そこは議論しなければいけないと思います p37 山添座長そこはどの程度の ここで調べたように かなりの欧米の国では確かに表示をしているのも事実ですよね そういうことを踏まえて 特に脂肪の摂取の多い国で表示をしているというのは それなりにうなずける それが日本でも同じように必要かどうかいうことになるかと思いますけれども 以上 6