46 2 169 176, 2008 * Measurements of Sleep-Related Hormones * 1. * 1 2.
170 生体医工学 46 巻 2 号 2008 年 4 月 復睡眠を組みあわせた実験が行われてきた 図 2 はこのよ であるグレリンも GH の分泌を促進する 夜間にグレリン うな実験によって得られた成長ホルモン GH コルチゾ は上昇し ソマトスタチンは低下する ル 甲状腺刺激ホルモン TSH プロラクチン PRL 血糖 インシュリン分泌率 ISR の変化である 8 食事 睡眠により GHRH GH グレリンが上昇するだけでな く これらのホルモンは逆に睡眠に影響する ヒトや動物 空腹 姿勢変化の影響を除外するため 被験者は実験を通 じて安楽椅子上で過ごし 食事の代わりにブドウ糖の持続 点滴を行った コルチゾルのピークは睡眠をとるかとらな いかにかかわらず朝であること GH と PRL の分泌は睡眠 とともに移動した TSH が分泌される時間帯は一定であ り概日リズムの影響を受けているが 睡眠をとることで分 泌が抑制された 血糖と ISR には概日リズムにより 夕方 から上昇がみられるが 睡眠をとることで大きな上昇が上 乗せされる a. 成長ホルモン系 下垂体前葉からの成長ホルモン GH 分泌は 視床下部 より分泌される成長ホルモン放出ホルモン GHRH によ り促進され 視床下部をはじめとした様々な部位から分泌 されるソマトスタチン 成長ホルモン抑制因子 GIF に より抑制される 9 主に胃から分泌されているペプチド 図 1 two process model 7 Two process model では 概日リズムによるプロセス C と睡眠負債によるプロセス S の相互作用によって 睡眠 構造が決定されるとする プロセス C 睡眠負債の量が同じでも 概日リズム位相に より入眠閾値 覚醒閾値が変化する 概日リズムによる 睡眠傾向の変化 Two process model では 日中に覚醒 閾値が最高値を取り 覚醒しやすい 夜間に最低値をと る 覚醒しにくい とする プロセス S 睡眠負債は覚醒している間は時間の経過に伴 い増加し 睡眠中は減少する 睡眠中の睡眠周期ごとの 睡眠徐波の量的変化より プロセス S が仮定された プロセス C とプロセス S の相互作用 覚醒中に睡眠負債 が蓄積し 眠気を感じ入床する 睡眠により睡眠負債が 減少し 覚醒閾値に達すると覚醒する 毎日同じ時間帯 に睡眠をとる通常の生活 上段 と比較して 40 時間の 断眠をした場合 下段 では 覚醒中に蓄積する睡眠負 債の量が多いため 断眠後の睡眠で観察される睡眠徐波 の量は多くなるが その減衰はプロセス S の関数に従う 断眠後の睡眠や日中の仮眠の際に記録される睡眠徐波の 量的変化は このモデルにより予測されるプロセス S の 変化とよく一致する 図 2 睡眠 概日リズムによる内分泌 代謝系への影響 8 若年健常男性における GH コルチゾル TSH PRL 血 糖 インシュリン分泌率の変化 1 日目の 23 時から 2 日目 7 時までは通常の夜間睡眠をとり その後 3 日目 11 時まで 28 時間断眠した後 11 時から 19 時まで回復睡眠をとっ た ブドウ糖を持続点滴することにより カロリー摂取 が一定となるようにした
171 g b. c. d. PRL e.
172 46 2 2008 4 f. g. h. 3 3 i. 4 j.
田ヶ谷浩邦 睡眠関連ホルモンの計測 173 図 5 照度によるメラトニン抑制反応曲線 49 照度の異なる光を 6.5 時間照射した際のメラトニン抑制 率を示す 実線はロジスティックモデルによる適合曲 線 点線は 95 信頼区間を示す 夜間に光を浴びると メラトニン分泌は直ちに抑制される 48 100 lux 程度の通常の室内照明でもメラトニン抑制 が起こることが報告されており 49 図 5 メラトニン測 定の際は実験環境の照度を厳密にコントロールする必要が ある b ブロッカーは松果体への交感神経系の伝達を阻害 図 4 慢性の睡眠不足による内分泌 代謝系への影響 44 45 健常若年男性で 1 週間床上時間を 4 時間に制限した場合 左 と 1 週間症状時間を 12 時間に延長した場合 右 の GH コルチゾル TSH 血糖 インシュリン レプ チンの変化 横軸下のバーは床上で過ごした時間帯を示 す コルチゾル 網掛けは夜間のコルチゾル分泌 矢印は 最低値を示す 血糖とインシュリン 網掛けは朝食に対 する反応を示す レプチン 矢印は夜間の最高値を示す し メラトニン分泌を抑制する 50 概日リズム位相を決 定する際には 50 lux 未満の暗所で 連続的にメラトニン を測定して得られたメラトニン分泌開始時刻 DLMO : dim light melatonin onset を用いる 51 有効用量には個人差が大きいが メラトニンには少量 0.25 10 mg で概日リズム変位作用 多量 0.3 80 mg で催眠作用がある メラトニンの概日リズム変位作用は 適切な概日リズム位相で投与することにより得られる 概 徐波睡眠の減少と GH 分泌の低下は相関し 46 高齢者 日リズム位相を前進させる場合は前日寝付いた時刻の 4 における体幹性肥満 筋肉の減少と運動能力低下と関連し 5 時間前に投与し 後退させる場合は覚醒直後に投与する ていると言われる 加齢による REM 睡眠の減少とコルチ ゾル増加は視床下部 下垂体 副腎系 HPA axis の過活動 を引き起こし 記憶障害 インシュリン抵抗性 睡眠の分 断を引き起こすと考えられる 52 53 3. 連続的サンプル採取の実際 研究目的でホルモン計測を行う場合 睡眠中の分泌変化 k. メラトニン 測定であれば 5 10 分程度 24 時間以上かけて行う概日リ メラトニンは 体内時計である視床下部の視交叉上核か ズム実験であれば 10 30 分程度の間隔で連続してサンプ ら 交感神経系を含めた複数の伝達路を経由した指令によ ル採取を行う り 松果体より分泌される 47 視交叉上核には視神経よ 睡眠中にもサンプルを採取する場合は 静脈内に留置針 り枝分かれした神経線維が投射しており 地球の自転によ を設置し 輸液ライン途中に設置した三方活栓より採血す る 24 時間の明暗周期情報が伝達されている メラトニン る 多くの場合前腕部の静脈を用いる 留置針刺入部の不 は この明暗周期情報を全身の臓器に伝達する役割を果た 快感が強いと 睡眠に影響するので 柔らかく 表面コー している メラトニンは習慣的に睡眠をとっている時間帯 ティングがされ 細い針を使用した方がよいが 柔らかす に高値で 習慣的に覚醒している時間帯には低値となる ぎたり 細すぎたりすると 血液凝固によるルート閉塞が
174 46 2 2008 4 4. 388 3 10 354 223 é 1 88 284 21 47 165 81 29
175 29 72 19 100 74 29 18 86 64 17 18 é 13 54 20 182 18 69 22 69 25 85 45 87 286 12 95 276 279 é 89 284 406 177 526
176 46 2 2008 4 61 12 12 1