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1 複合粉末材料による金属 3D 積層造形法 北海道立総合研究機構 産業技術研究本部工業試験場 製品技術部主任主査戸羽篤也

金属粉末 3D 造形について 金属粉末積層造形の原理 既成層の上に配置された金属粉末に熱線を照射し 金属粉末を溶融するとともに既成層表面と溶接して積層する 出力 溶融池 P φd 走査速度 V 熱影響域 金属粉末 既成層 2

金属粉末 3D 造形について 3D 積層造形 内部に 3D 中空構造を自由に製作可能 自由な形状の 3D 流路を金型内に配置した金型の製作冷却過程で局所的な冷却速度制御で品質向上 成形時間の短縮による生産性の向上 内部構造に熱交換流路を設けた金型の例 出展 ;RENISHAW ホームページから 3

4 金属粉末 3D 造形について 導入装置の造形条件 出力 P [J/s] or [W]; スポット径 D [mm]; 走査速度 v [mm/s]; 走査幅 b [mm]; レーザ照射条件を変えるこ走査間隔 e [mm]; とにより 材料の溶接積層に最適な溶融状態を得る P P q = [J/mm 2 ] vd φd q = P ve [J/mm 2 ] v P 金属光造形複合加工機 LUMEX Avance-25 φd e v u b

5 従来技術とその問題点 1 溶融が困難な材料 材料の融点が高いため レーザ光加熱による溶接が難しい高融点金属 セラミック系材料など 高温で溶融すると機能が失われる磁気作業材料の温度特性変化 炭素鋼の組織変化など 2 造形自体が困難な材料 材料が脆いため造形途中で破損し造形不能工具鋼 金型鋼 高合金鋼など 課題解決の方途造型目的の粉末材料に低融点の金属粉末を配合し 低融点金属のみを過熱溶融させて主機能材料を固着して積層造形する技法の実用可能性を試す

技術的課題とその対策 課題 ~ 高合金鋼粉末による造形試験 形状によっては積層造形できる様に見えるが 積層高さ 1mm を超えると崩壊 試料の一部が脆性破壊 当初は積層造形ができているように見えるが 1mm を超えると クラックが生じて それ以上の高さの造形が不可 6

技術的課題とその対策 課題 ~ 高合金鋼粉末による造形試験 取出した造形試料の外観 LUMEX による造形試験 試料内部にも一様に脆性破壊が見られる 断面の拡大写真 7

8 技術的課題とその対策 複合金属粉末による積層主機能金属粉末に低融点の金属粉末をバインダとして混合し バインダ金属を選択的に溶融するレーザ照射条件を設定して積層造形させる技法 レーザー光 主機能金属粉末 バインダ金属粉末 適用材料 非合金型複合化成形法の模式図 1 高融点金属に対して 低融点のバインダ金属を組み合わせたもの 2 セラミック系材料に対して 鉄鋼材バインダで固着させるもの

考案技法の可能性の検証 アルミ合金をバインダにした造形試験例 試験の様子 v=250 造形条件 P=160W e=0.2mm D=φ0.3 D=φ0.4 D=φ0.5 D=φ0.2 D=φ0.6 v=350 v=450 v=550 問題点 硬質の Fe-Al 金属間化合物の生成で 目的の非合金を達成できない v=650 レーザー照射条件と溶融造形試験結果の例 9

考案技法の可能性の検証 バインダ金属に純錫 (Sn) を選定して造形試験 主材 ( 高融点 ) SUS316L 粉末 ( 松浦機械製作所製 ) バインダ ( 低融点 ) Sn 粉末 ( 試薬 /200 メッシュアンダー ) P=120W P=115W e=0.08 v=520 e=0.10 v=500 e=0.12 v=480 e=0.18 v=450 e=0.20 v=420 造形条件 P=160W D=φ0.5mm P=110W P=105W P=100W Binder(Sn) SUS(Fe,Cr) レーザー照射条件と溶融造形試験結果の例 10

複合金属粉末による造形試験 1 造形条件 主基材 Fe-Mn 系合金 バインダ Sn 試験造形試料の外観 基材 (Fe,Mn) バインダ (Sn) 試験造形物の断面観察 EDS 解析 ( 元素 Map) 基材粒子が粗大化 ( 溶融 溶着の可能性 ) 11

複合金属粉末による造形試験 2 バインダ金属 (Sn) の造形条件掌握 Fe と Sn の物性比較 物性 Fe 融点 1,540 Sn [ ] 232 沸点 [ ] 2,750 2,270 融解潜熱 [kj/kg] 270 59.6 密度 [kg/m 3 ] 7,870 5,800 比熱 [kj/kg K] 0.449 0.222 熱伝導率 [W/m K] 80.3 66.6 融解に要するエネルギー比較 Fe; Q m = 0.449 (1540-20) + 270 952.5 kj/kg Sn; Q m = 0.222 ( 232-20) + 59.6 106.7 kj/kg スズの溶接に必要な熱量は 鉄材の約 1/10 12

複合金属粉末による造形試験 2 バインダ金属 (Sn) の造形条件掌握 q = 0.60 0.50 0.40 0.30 0.40 0.35 0.30 J/mm 2 D=φ0.10mm 二重照射 D=φ0.20mm D=φ0.25mm D=φ0.30mm D=φ0.35mm D=φ0.40mm D=φ0.50mm 純錫粉末による造形試験 q = 0.3~0.6 の範囲で造形可 13

14 複合金属粉末による造形試験 2 セラミック (Al 2 O 3 )/ バインダ金属 (SUS316L) の混合粉末の造形試験にあたり 造形条件を探索 Fe-Mn 合金に純スズを 10wt% 混合させて試験を行う 昇温温度設定 スズの融点直上 240~250 Fe; Q R = 0.449 (250-20) 103.3 kj/kg Sn; Q m = 0.222 (250-20) + 59.6 110.7 kj/kg バインダの配合比 Fe90wt%:Sn10wt% Q B = 103.3 0.9 + 110.7 0.1 104.0 kj/kg 純スズの溶融熱量とほぼ同じ

複合金属粉末による造形試験 2 Fe-Mn 系合金粉末の Sn バインダによる造形試験 q = 0.60 0.50 0.40 0.30 0.40 0.35 0.30 J/mm 2 D=φ0.10mm 二重照射 D=φ0.20mm D=φ0.25mm D=φ0.30mm D=φ0.35mm D=φ0.40mm D=φ0.50mm Fe-Mn 合金と純錫粉末による造形試験 15

16 複合金属粉末による造形試験 2 Fe-Mn 系合金粉末の Sn バインダによる造形試験 造形条件 D =φ0.20mm, e = 0.20mm, v = 1333mm/s, d = 0.050mm q = 0.30 J/mm 2 q s = 0.30 J/mm 2 q v = 12.0 J/mm 3 ( 二重照射 ) 基材 (Fe,Mn) バインダ (Sn) 試験造形物の断面観察 EDS 解析による元素マップ

17 新技術の特徴 従来技術との比較 従来の金属 3D 積層造形法では製作が困難であった硬質 脆性材に対して バインダ金属を混合した粉末のみを溶融し 基材粉末を固着して硬質 脆性粉末を造形する手法を考案した 造形時の与熱量を抑えることで 過熱 溶融によって失われる主基材に備わる機能を 造形後も維持することができる 金属をバインダとすることで 熱伝導性や電気伝導性といった金属本来の機能を活用することができる

18 想定される用途 本技術の特徴から 金属材料の強度への期待を満足させることはできないが 熱交換器など流体との接触で機能するような部材に適用することで 熱伝導性や大きな比表面積を活かした応用分野が考えられる 本技術の特徴から 融点の異なる材料の組み合わせで造形が可能となることから 金属どうしの組み合わせに限らず サーメットやセラミックと金属との組み合わせによる 3D 造形部材の製作や用途への展開が見込まれる

19 実用化に向けた課題 現在 バインダ金属として純錫 (Sn) による造形事例については 検証済み 主基材とバインダ金属との接合性 ( ぬれ性 ) に関する課題の克服が必要なケースについては 主基材粉末の表面処理を検討する必要があるので 今後の検討を進めたい バインダとして添加する金属粉末の配合量に関して 主基材純度と造形材強度とはトレードオフの関係であるため バインダ添加量と造形部材の機械的性質との関係を把握しておく必要がある

20 企業への期待 本技術の特徴から バインダ添加量による内部空隙が残存することや バインダ金属の融点以上の温度では使用できないなどの制限がある しかしながら LBM を利用することで EBM 造形法に比較して安価な造形物を得ることができる 想定される制限の中で 3D 造形の特徴を活かした 複雑な外観形状および内部構造を持つ部材 あるいは多孔質材 格子構造部材への応用例が考えられるものについて 試作を通じて実用化の可能性を模索していきたい

21 本技術に関する知的財産権 発明の名称 出願番号 出 願 人 発 明 者 三次元造形方法及び三次元造形物特願 2016-129732 地方独立行政法人北海道立総合研究機構戸羽篤也 平野繁樹 鈴木逸人

22 お問い合わせ先 北海道立総合研究機構研究企画部知的財産グループ TEL 011-747-2806 FAX 011-747-0211 E-mail hq-rps@hro.or.jp ( 担当 ; 梅田 )