発達障害のある学生の就労とセルフアドボカシー~米国の例を参考に日本の課題を考える~

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学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

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も少なくありません こうした状況に鑑み 舞鶴市は 言語としての手話の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図ることにより 全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく 自分らしく安心して暮らすことができる地域社会を実現するため この条例を制定するものです 2. 条例の

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徒 ことは 決して無視していいことではない を 看護婦になれなかった あるいは今もなれ のだ また 准看護婦が看護婦になるキャリア ない 自分のせいだと見なすことが少なくない アップの道が お礼奉公 と俗称される卒業 その意味では 准看護婦制度の問題点は重層化 後の勤務強制によって実質的に閉ざされて

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2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

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平成24年5月17日

看護部 : 教育理念 目標 目的 理念 看護部理念に基づき組織の中での自分の位置づけを明らかにし 主体的によりよい看護実践ができる看護職員を育成する 目標 看護職員の個々の学習ニーズを尊重し 専門職業人として成長 発達を支援するための教育環境を提供する 目的 1 看護専門職として 質の高いケアを提供

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3-2 学びの機会 グループワークやプレゼンテーション ディスカッションを取り入れた授業が 8 年間で大きく増加 この8 年間で グループワークなどの協同作業をする授業 ( よく+ある程度あった ) と回答した比率は18.1ポイント プレゼンテーションの機会を取り入れた授業 ( 同 ) は 16.0

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別添 事業者向け放課後等デイサービス自己評価表 及び 保護者等向け放課後等デイサービス評価表 について 放課後等デイサービスガイドライン ( 以下 ガイドライン ) は 放課後等デイサービス事業所における自己評価に活用されることを想定して作成されたものですが 各事業所で簡易に自己評価を行うことができ

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2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

ISO 9001:2015 改定セミナー (JIS Q 9001:2015 準拠 ) 第 4.2 版 株式会社 TBC ソリューションズ プログラム 年版改定の概要 年版の6 大重点ポイントと対策 年版と2008 年版の相違 年版への移行の実務

23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

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愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

PowerPoint プレゼンテーション

Transcription:

2018 年 12 5 障害学 援専 テーマ別セミナー 発達障害就労 援 発達障害のある学生の就労と セルフアドボカシー ~ 米国の例を参考に日本の課題を考える ~ 長崎大学障がい学生支援室 PETER BERNICK bernick@nagasaki u.ac.jp

セルフアドボカシー (self advocacy 以下 SA ) について 一般的に 2 タイプ ( またがる部分有り ) 政策等に関連して行政に対して当事者が自分または当事者集団のために働きかけること 当事者自身の状況 ( 職場環境等 ) の変化や改善について関係者 ( 会社 上司 同僚等 ) へ働きかけること SA の主な要素 明確な定義はないが ここでは Test ら (2005) の概念を用いる : 自己理解 ( 自分の長所 ニーズ 障害特性 ) 自分の権利に関する知識 ( 市民 障害者 学生として ) コミュニケーション ( 意思の表明 交渉力 聴くスキル ) リーダーシップ ( グループにおける役割 グループの権利を訴える能力 ) (1)

米国における SA の発展 1960 年代の公民権運動や ( 広義の ) 発達障害 に関する法律によって発展した 1963 年の Mental Retardation Facilities and Community Mental Health Centers Construction Act( 知的障害及び精神健康施設建設法 ) を経て 2000 年の発達障害法 (Developmental Disabilities Act) に発展し 米国各州において発達障害審議会や大学を母体とする取組が存在する 1973 年のリハビリテーション法 1990 年の障害を持つアメリカ人法 (ADA) 2004 年の障害を持つ個人教育法 (IDEA) 等の影響も大きい 1974 年の People First( ピープルファースト ) 当事者集会

なぜ SA に注目? 米国では小中高において学校が障害のあ る児童生徒を 発掘 し 支援やサービスを提供する責任 ( 法的義務 ) がある 高校卒業後 適用される法律が異なり 自ら配慮を要請する必要が生じる 自身で伝えなければ 配慮を受けられず 仕事 社会生活がうまくいかないことも

( 発達 ) 障害のある大学生と ( 個人の ) 就労を考える際 : 重要な SA 要素 自分の状態 ( 症状 傾向 長所 困難など ) の把握 理解 医療機関での評価 その他のツール ( オンライン等 ) による自己理解の促進 環境によって異なる対応 : 大学 vs. 職場等 本人の期待や想定と現実とのギャップ 困難や配慮に関する要請伝達のための意思及び手段 ( 口頭 手話 補助技術等 ) 法的背景及び自分の権利の把握 理解

米国での関連取り組みの紹介 米国労働省 O*NET OnLine My Next Move 興味 関心の自己理解促進ツール https://www.mynext move.org/explore/ip

O*NET Interest Profiler の使用 60 の質問項目

O*NET Interest Profiler の結果

O*NET Interest Profiler で必要とされる準備 ( 教育 経験等 ) で職域を絞る

米国での関連取り組みの紹介 JAN(Job Accommodation Network) U.S. Department of Labor, Office of Disability Employment Policy 助成 : 米国労働省障害雇用政策室 職場における合理的配慮ネットワーク https://askjan.org/

JAN の使い方紹介 職業関連機能

職業関連機能 : Communicate

米国ミネソタ州の取り組みの紹介 技術職における自閉スペクトラム症 http://mn.gov/mnddc/asd employment/index.html

本人や家族ができる 10 のこと

イメージができるように ピア紹介

米国ユタ州での取り組み ユタ州ペアレントセンター https://youtu.be/j C4RXGSeeU

米国テネシー州での取り組み STEP: 優秀な親のためのサポートとトレーニング https://www.tnstep.org/

米国テネシー州での取り組み https://www.tnstep.org/uploads/files/transition Guide Final Self Advocacy.pdf

米国の非営利団体 The Arc https://www.thearc.org/self advocates 1953 年創立知的 発達障害の当事者 ( 及びその周辺 ) へのサポートや理解啓発に取り組む 当事者を中心に活動 約 700 支部 年間予算約 12 億円

The Arc の就労支援 http://selfadvocacyonline.org/learning/career/

The Arc の SA に関するビデオ https://youtu.be/iuc2eltttqu/

The Arc の就労支援に関するビデオ https://youtu.be/a5xvsbjgyoq

大学生における SA 小中高では 個別教育計画 (IEP) や 504 計画 に関する会議参加率 障害種類及びその他の要素によって大きく異る ( 自閉 56% 知的 68% その他 77%) (2) 大学生の SA を測定する SAMY (Self Advocacy Measure for Youth) 尺度の開発 もともと ADHD のある小学生向けに開発 Hengen と Weaver が大学生向けに改変 (3) IEP/504 計画に関する会議参加率と SAMY の点数が正の相関を示した

さて 日本で障害のある学生に SA トレーニング を受けてもらい 自身のニーズを伝えられるようになったところ 課題 : コミュニケーション 伝える ( 要請する ) 側と 聞く側 双方向 課題 : 受ける ( 聞く ) 側の姿勢 障害に対する偏見 先入観はないのか? 学生 ( 卒業生 社会人 ) のニーズを理解できるのか? 受け入れる意思や用意はあるのか?

日本における SA に関連する課題 そもそも SA は 主張 や 訴え に基づくものである 主張する側の課題 主張 することは一般的に教えられておらず 評価もされない 自分が わがまま うるさい 迷惑かけている と誤認 自己 が中心 周りを意識 優先する 迷惑をかけない と教わってきた人にとってはハードルが高く 自粛する恐れ 受ける側 ( 相手 会社 社会全体 ) の課題 障害に関するニーズは主張されるものだ という認識 ( 不足 ) 配慮に関する工夫や調整そのもの ( まだ馴染みが薄い ) さらに 米国と異なる法体制 問題対処や解決の仕方の違い

日本における SA の今後について 障害のある学生の状態を正確に把握する体制整備 診断 だけでなく その人の 長所 や 困難 を網羅したアセスメントが重要である 自己理解を促進するためのツールの開発 幅広い導入 SA には適切な自己主張が欠かせない 関連教育を保育園 幼稚園 小学校でも導入 学校のみならず 社会全体で取り組む必要がある 主張を聞く側 ( 会社 同僚等 ) の意識改革を促す 障害のある方が就職することや 職場で配慮を要請することは 普通 である 米国と異なる法体制や問題解決 対処の仕方への対応 日本独自の SA 方法の創造?

まとめ 米国では 50 年以上の歴史があり セルフアドボカシーの概念がある程度定着したといえる それでも 完成形 からはまだ程遠い状態である 日本では 米国との法体制や文化における違いを考慮しつつ SAを肯定するような 日本に合った環境を構築することが大切である 日本版 SAをつくるに当たって 日本の法律や関連取り組みの進化 再考 修正等が必要になる 28

参考資料 1. Test, D. W., Fowler, C. H., Wood, W. M., Brewer, D. M., & Eddy, S. (2005). A conceptual framework of self-advocacy for students with disabilities. Remedial and Special Education, 26(1), 43-54. 2. Shogren, K. A., & Plotner, A. J. (2012). Transition planning for students with intellectual disability, autism, or other disabilities: Data from the national longitudinal transition study-2. Intellectual and Developmental Disabilities, 50(1), 16-30. 3. Hengen, S., & Weaver, A. D. (2018) Post-Secondary Students with Disabilities: Increasing Self-Advocacy Through Educational Plan Participation. The School Psychologist, 72(2), 7-18. 29