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Jpn. J. Clin. Immunol., 36 (3) 129~133 (2013) 2013 The Japan Society for Clinical Immunology 129 総 説 ネフローゼ症候群を呈するループス腎炎 三宅勝久, 笹冨佳江, 中島 衡 Lupus nephritis associated with nephrotic syndrome Katsuhisa MIYAKE, Yoshie SASATOMI and Hitoshi NAKASHIMA Division of Nephrology and Rheumatology, Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Fukuoka University (Accepted March 12, 2013) summary Systemic lupus erythematosus (SLE) is a prototypic systemic autoimmune disease that is characterized by the production of multiple autoantibodies and immune complex formation. Lupus nephritis (LN), which has various histological patterns and variable clinical outcomes, is one of the most important complications of SLE. Although this pathogenetic mechanism in each histologically dišerent type of nephritis remains unclear, recent ˆndings in LN elucidate an essential role for the Th1, IL-17 producing T cells and Th17 cells in the development of dišuse lupus nephritis (DLN), and Th2 cytokine in that of membranous lupus nephritis (MLN). These data support the hypothesis that individual Th1/Th2 balance is one of the critical determinants for histopathology of LN. Therefore the suppression of pivotal role cytokines in each pathological condition may support immunosuppressant strategy for LN. Key words systemic lupus erythematosus (SLE); dišuse lupus nephritis (DLN); membranous lupus nephritis (MLN); Th subset; cytokine 抄 録 ネフローゼ症候群は, 増殖性病変が主体となるび慢性増殖性ループス腎炎 (DiŠuse lupus nephritis ; DLN) と膜性病変が主体となる膜性ループス腎炎 (Membranous lupus nephritis ; MLN) に高頻度に認められる. これらの病態に対しては, ステロイド療法や奏功する免疫抑制剤が開発され, 予後は大きく改善しているものの, いまだ難治症例が多い. 全身性エリテマトーデスの病態で発症する腎炎であるにもかかわらず,DLN と MLN では, その病態で中心的な役割を担う Th 細胞が異なっていることが示されている.DLN の病態では,Th1,Th17 系サイトカイン,MLN では,Th2 系サイトカインがその病態形成を担っていることから, 難治性病態に対しては, 従来の免疫抑制療法とともに, それぞれの病態において, 中心的なサイトカインを制御することがさらなる効果を有する可能性が示唆される. はじめにループス腎炎は SLE 患者の 50 80 に合併する免疫複合体型糸球体腎炎であり, 予後を左右する臓器病変として重要である. ステロイド療法や免疫抑制剤が奏功することが見いだされ, 数十年前に比較すると予後は改善しているが, いまだ難治例では腎不全に至り, 透析導入されるケース ( 年間約 300 例 ) や死亡に至る例もある. ループス腎炎では腎生検による組織型や組織学的活動性の評価に基づいた治療を行うが, 旧来の WHO 分類を踏襲して, 用語の定義を明確にし, 簡便性と再現性を目指した分類改福岡大学医学部腎臓 膠原病内科 訂が 2003 年に国際腎臓学会 (ISN) と国際腎病理学会 (RPS) が中心となって行われた 1,2). この分類や用語を使用することにより腎生検標本の所見を均一化でき, 病理医と臨床医間の情報伝達が正確かつ容易となり, 病理像と臨床転帰の関連性がより明確に解析できると期待されている. ここで取り上げるネフローゼ症候群を呈するループス腎炎は予後不良であり, 透析導入後を含めた生存に対しても, 重要な危険因子と考えられている 3). DLN と MLN ネフローゼ症候群合併例は, 増殖性病変が主体となる, び慢性増殖性ループス腎炎 (DiŠuse lupus nephritis ; DLN ; ISN/RPS class IV) と膜性病変が

130 日本臨床免疫学会会誌 (Vol. 36 No. 3) 図 1 ループス腎炎患者の末梢血 Th1/Th2 比の分布 A : DiŠuse lupus nephritis ; DLN(ISN/RPS class IV) の糸球体組織像.B : Membranous lupus nephritis ; MLN (ISN/ RPS class V) の糸球体組織像.C:Control 群,DLN 群, MLN 群の 3 群に属する個人の末梢血 Th1/Th2 比をプロットした. 横棒は, それぞれの群の平均値を示す.n は, 対象患者数.P 値は Student's t-test で求めた.( 文献 11 掲載図を改変 ) 主体となる膜性ループス腎炎 (Membranous lupus nephritis ; MLN ; ISN/RPS class V) に高頻度に認められる.DLN は, 高度の蛋白尿と血尿を認め, 尿沈渣では赤血球, 白血球, 顆粒円柱, 白血球円柱など各種の細胞円柱成分を広汎に認める (telescoped sediment). 腎機能障害を伴い, 血清補体値の低下, 抗 dsdna 抗体価の上昇をみることが多い. 組織では, 補体結合能の高い IgG3 の沈着が補体の古典的経路の活性を進め,C1q, C3, C4 の組織への沈着を来たし, 単球や好中球の細胞浸潤, メサンギウム細胞, 血管内皮細胞の組織障害, それに続く管内増殖性糸球体変化を導くと考えられる ( 図 1A). 一方 MLN は, 蛋白尿が顕著な割には尿円柱の異常は軽度であり, 腎機能も障害されずに, 血清補体値の低下や抗 dsdna 抗体価高値も認めにくい. 組織では, 管内増殖性変化は僅かに認められるものの主体となる変化ではなく, 糸球体係締壁の肥厚が目立ち ( 図 1B),spike 形成や点刻像が認められる. 電顕所見では, 基底膜外側の上皮下に高密度の免疫複合体沈着物が確認される. 特発性膜性腎症とは異なり, 内皮下にも一部沈着物は認められる ( 図 2A, B). 全身性エリテマトーデスという同一の 図 2 ヒト MLN とモデルマウス MLN の組織像 A ヒト MLN 糸球体 (PAM 染色 ) では, 糸球体係締壁の肥厚が目立つ. 右上の拡大像では,spike の形成が認められる.B 電顕像では, 糸球体基底膜上皮下の高密度免疫複合体沈着物 ( ) が多く認められる.C:WSX-1 欠損 MRL/ lpr マウス 24 週令の腎臓糸球体組織像 (PAM 染色 ). ヒト MLN 組織像と類似して, 糸球体係締壁の肥厚が目立つ. 右上の拡大像では,spike の形成が認められる.D 電顕像では, 糸球体基底膜上皮下の高密度免疫複合体沈着物 ( ) が認められる. 疾患であるにもかかわらず, なぜ DLN と MLN という, 異なった表現型を呈する病態を創りだすのかは大きな疑問である. ループス腎炎の発症に関わるサイトカイン 生体内では naäƒve CD4 + T 細胞は, 特異的な抗原に出会うと活性化し, さまざまな ešector T 細胞へ分化する. 分化した Thelper1(Th1), Th2 4), そして Th17 細胞 5) は, それぞれ特徴あるサイトカインを産生し, 炎症の場に種々の細胞を誘導, 活性化し, 独特の病態を創りだす.Th1 細胞は, 細胞傷害性活性や遅延型過敏症反応を惹起し, 細胞内寄生体に対する細胞性免疫を司る.Th2 細胞は, 原虫, 真菌, 寄生虫, マイコプラズマ, 大腸菌など主に細胞外で増殖する微生物に対する感染防御とともに, アレルギー病態の形成において, 抗体産生反応を介した液性免疫を司っている. さらに Th17 細胞は感染早期の炎症誘導とともに獲得免疫応答の誘導を促す. 一方,Th1, Th2, あるいは Th17 細胞による過剰な免疫反応は, やはり naäƒve CD4+ T 細胞から分化した subset である制禦性 T 細胞 (Treg) によりコントロールされ, 生体内の恒常性は維持されるとともに, 自己免疫反応は抑えられている 6,7). これらの T 細胞 subset から産生されるサイトカイン

三宅 ネフローゼ症候群を呈するループス腎炎 131 は,B 細胞を分化させ, 抗原特異的な抗体を産生させることになる. 多くの研究が SLE は Th2 免疫反応が主体であることを示してきた 8,9). しかし Th1,Th2 反応双方のサイトカインが高値を示しており 10), 両方の Th サブセットが関わることで, 多彩な臨床像や臓器障害を呈していることを示唆する報告もなされてきた. DLN と MLN とを対比した研究も展開された. 末梢血を対象とした細胞内シグナル解析法を用いての IFN-g/IL-4 比の解析の結果は,DLN と MLN の病態をはっきりと区別した.DLN は Th1 反応主体であり,MLN は Th2 反応主体の病態であることが示された 11,12) ( 図 1C). 実際の患者の腎生検組織を用いた免疫組織学的検討では,DLN では, 糸球体には, 主にマクロファージが浸潤しており, 間質にはマクロファージ,CD40 陽性細胞とともに IFN-g を産生する Th1 細胞が多数浸潤している.MLN には, その所見が認められなかった 12). さらに DLN の組織像を基盤とした活性化指標と IFN-g/IL-4 比は正に相関しており, まさに Th1 サイトカインの IFN-g が DLN の病態形成に中心的な役割を果たしていることが示唆された 12). MRL/lpr マウスからの免疫学的知見 SLE のモデルマウスである MRL/lpr マウスを用いた研究は数多く報告されている.MRL/lpr マウスは, 自己抗体を有し, 血清中の IgG は高値を示す. 皮膚症状, 全身のリンパ節腫脹, 脾腫, 肺の血管炎, 増殖性糸球体腎炎など SLE 様症状を呈し, 約 6 ヶ月で,50 が腎不全の結果死亡する, 再現性に富んだ信頼性のある自然発症マウスである. IFN-g あるいは IFN-g 受容体欠損マウス,IL-12 欠損マウス等の DLN 様腎炎の病勢は大きく減弱していたことから, やはり DLN の病態は Th1 反応主体であることが示されている 13~15). 我々は IL-27 の受容体 WSX-1 を遺伝的に欠損した MRL/lpr マウスを作成した.IL-27 は, 活性化された抗原提示細胞 (APC) から産生されるサイトカインであり, ナイーブ T 細胞に対しては,Th1 細胞へ分化させる作用を有している. 受容体は,IL-6 受容体 gp130 と WSX-1 のヘテロダイマーで構成されており, この WSX-1 を欠損した MRL/lpr WSX-1 欠損マウスの血清中の自己抗体は激減し, 産生する Ig サブクラスも,Th1 反応の結果産生される IgG2a 値は低下し,Th2 反応時産生の IgG1 さらに IgE が有意の 増加を示した. つまり,WSX-1 を欠損させることで,MRL/lpr に認められる Th1 反応優位の免疫反応状態を Th2 反応優位の状態へと改変することができたわけである.MRL/lpr マウスは DLN 様の表現型を呈するが,Th2 反応優位になった WSX-1 欠損 MRL/lpr マウスは,MLN 様表現型を呈した. 個体の Th1/Th2 バランスがループス腎炎の組織学的表現型の決定に大きな影響を与えることを証明した, 非常に示唆に富んだ結果であった 16). 腎臓においては,Th17 細胞だけではなく, 多くの細胞から IL-17 は産生され, 炎症過程に貢献している.DLN にも MLN にもその病態形成には同程度に貢献していることが示されている 17).IL-6 は, メサンギウム細胞の増殖に働くとともに, TGF-b と協調して naäƒve T 細胞を Th17 へ分化させる 18).IL-6 欠損 MRL/lpr マウスは, 蛋白尿や血尿の出現が遅く, 組織では浸潤マクロファージの減少と,IgG,C3 の沈着が減弱していることから, IL-6 は DLN の病態形成に大きな役割を果たしていると考えられている 19). 一方,Treg 細胞は, 転写因子 Foxp3 の有無でサブクラスに分けられるが, 自己免疫を抑える Treg は,CD4 + CD25 + Foxp3 + Treg であり,TGF-b は, この細胞の分化に必須なサイトカインでもある 20).Treg の減少は, 自己免疫反応を惹起することが予想されるが, 実際にループス腎炎の患者末梢血球球中の Treg の割合は減少していることが示されている. さらにループス腎炎では, 血清 TGF-b の減少と尿中 TGF-b の増加を伴っており, 尿中 TGF-b 量と DLN における基質の増加との間には正の相関が認められている 21,22). つまり,Th17/Treg バランスは,DLN の発症に深く関わっているが, いずれに傾いても TGF-b 産生は賦活化されていると考えられる. 治療法の評価とその進歩臨床面のアプローチとしては, メチルプレドニゾロンパルス療法とシクロフォスファミドパルス療法の有効性, 寛解導入 維持療法におけるカルシニューリン阻害薬あるいはミコフェノール酸モフェチル (mycophenolate mofetil : MMF), 抗 CD20 抗体などの生物学的製剤が報告されてきた. DLN に対しては,NIH グループにより静注シクロフォスファミド併用療法の予後改善効果, さらにメチルプレドニゾロンパルス療法の追加効果が示されてきたが, 若年女性が主体になるループス腎炎で

132 日本臨床免疫学会会誌 (Vol. 36 No. 3) は, 性腺障害, 感染症, 悪性新生物の発生等の副作用が懸念され, わが国では, より副作用の少ないアザチオプリン, シクロスポリン, タクロリムスが多く用いられている. 最近, 新たな維持あるいは寛解導入療法として MMF が良好な成績が得られることが示された.Ginzler らはループス腎炎患者に対して MMF を 1000 mg/day で投与開始,2 週間後より 3000 mg/day まで漸増して治療を行い, 従来のシクロフォスファミド療法群と比較した.24 週の時点で MMF 投与群の 22.5 が寛解導入され,( シクロフォスファミド群は 5.8 ), 全寛解率 ( 完全寛解 + 部分寛解 ) では, 有意に MMF 群の方がシクロフォスファミド療法群よりも高かった (52.1 vs30.4 ). また重症感染症を合併した症例や入院を要した症例は MMF 投与群で少なかった 23). このようにループス腎炎に対する寛解導入療法として, MMF はシクロフォスファミドよりも有効性および忍容性に優れていることが示され, 今後の展開が期待されている. また, 我々アジア人に対しては, 核酸合成阻害薬やカルシニューリン阻害薬併用療法は, 静注シクロフォスファミド併用療法と比較しても同等あるいはより有効であることが示されている 24). ネフローゼ症候群を伴っていない MLN の治療反応性は良好であるが, ネフローゼ症候群を伴った MLN はそれほど良好ではなく, 十分なエビデンスに基づく治療指針はない 25). 増殖性変化を伴った MLN には,DLN に準じた治療が必要と考えられている. シクロスポリン併用療法は,80 に寛解導入を認めたが, 中止後 60 に再発が認められており, 治療抵抗性の予測を含めた治療法の確立が求められている 26). 期待されていた抗 CD20 抗体に関しては, ステロイド+MMF 併用群に比し, 腎機能, 尿沈さ所見, 蛋白尿の改善に差が認められなかった 27). おわりに III 型アレルギー機序によって組織障害を来すと考えられるループス腎炎の病態では,T 細胞が病態の中心にあり, この細胞から産生されるサイトカインが病態形成の主たる役割を果たしていると考えられている. ネフローゼ症候群を呈する DLN と MLN の病態は, サイトカインや naäƒve CD4+ T 細胞からどの ešector T 細胞へと分化するかという分化の方向で決定されることが示唆されている. 効果 的な免疫抑制剤が開発され, ループス腎炎の予後は大きく改善しつつあるが, それでもやはり難治性病態である MLN と DLN に対しては, 今後その中心的なサイトカインを制御することで効果を発揮することが期待される. 文 1) Weening JJ, D'agati VD, Schwartz MM, et al. : The classiˆcation of glomerulonephritis in systemic lupus erythematosus revisited. Kidney Int 65 : 521 530, 2004. 2) Weening JJ, D'agati VD, Schwartz MM, et al. : The classiˆcation of glomerulonephritis in systemic lupus erythematosus revisited. J Am Soc Nephrol 15 : 241 250, 2004. 3) Yokoyama H, Wada T, Hara A, et al. : The outcome and a new ISN/RPS 2003 classiˆcation of lupus nephritis in Japanese. Kidney Int 66 : 2382 2388, 2004. 4) Mosmann TR, Cherwinski H, Bond MW, et al. : Two types of murine helper T cell clone. I. Deˆnition according to proˆles of lymphokine activities and secreted proteins. J Immunol 136 : 2348 2357, 1986. 5) Langrish CL, Chen Y, Blumenschein WM, et al. : IL-23 drives a pathogenic T cell population that induces autoimmune in ammation. JExp Med 201 : 233 240, 2005. 6) Hori S, Takahashi T, Sakaguchi S : Control of autoimmunity by naturally arising regulatory CD4+ T cells. Adv Immunol 81 : 331 371, 2003. 7) Battaglia M, Gregori S, Bacchetta R, et al. : Tr1 cells : from discovery to their clinical application. Semin Immunol 18 : 120 127, 2006. 8) Funauchi M, Ikoma S, Enomoto H, et al. : Decreased Th1-like and increased Th2-like cells in systemic lupus erythematosus. Scand J Rheumatol 27 : 219 224, 1998. 9) Kelley VR, Wuthrich RP : Cytokines in the pathogenesis of systemic lupus erythematosus. Semin Nephrol 19 :57 66, 1999. 10) Chang JT, Segal BM, Nakanishi K, et al. : The costimulatory ešect of IL-18 on the induction of antigen-speciˆc IFN-gamma production by resting T cells is IL-12 dependent and is mediated by up-regulation of the IL-12 receptor beta2 subunit. Eur J Immunol 30 : 1113 1119, 2000. 11) Akahoshi M, Nakashima H, Tanaka Y, et al. : Th1/Th2 balance of peripheral T helper cells in 献

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