平成 21 年 9 月 17 日 外国語( 英語 ) 新カリキュラム作成の基本方針( 案 ) ~ 平成 23 年度導入予定 ~ (1) 現行カリキュラムの問題点と課題 ( 参考 : 教養外国語( 英語 ) 教育についての視察報告 ) 1 理念 目的の明確化 2 2 年次以降の学生への英語教育の実施 ( 現在は 1 年次にのみ必修科目を開設 ) 3 単位数の見直し ( 現在は 4.5 単位 ( 通年 3 科目 ) 必修 ) 4 開設科目の多様化 ( 現行の必修 3 科目 : 英語 Ⅰ( 講読 ) 英語 Ⅱ( コミュニケーション ) 英語 Ⅲ( リスニング )) 5 検定試験制度の見直し ( 現在は筑波大学英語検定試験で必修 3 科目の単位を認定 ) (2) 新カリキュラムの理念 : 世界的研究 教育拠点となることを目指す総合大学に相応しい 質の高い英語教育を実施する 1 世界的研究 教育拠点を目指すという本学の基本的目標を踏まえるなら 本学の教養英語教育は 単に中学や高校の語学教育の延長ではなく 広くて深い教養を基盤とする学術的な専門教育の出発点として位置づけられるべきである 2 このような位置づけを前提に 学術的教養及び学術的言語技能の涵養を目指した英語教育を実施する (3) 新カリキュラムの概要 一般学術目的の英語(English for General Academic Purposes (EGAP)) に重点を置いた 専門教育の出発点に相応しい 4 年間を見据えたカリキュラムとする 1 読む 書く 聞く 話す の 4 技能のバランスに配慮し 教養を身に付けた市民として行動するために必要となる創造的思考力 国際社会という異文化共同体への対応力 学術的活動に必要な言語運用能力の基盤を養成する 2 専門教育との連動性が図れるように 2 年次に 各学群 学類における専門の英語への橋渡し的な役割を担う 学期完結型の科目を開設する 3 CALL 教室の効果的な活用を図る 4 現行の筑波大学英語検定試験を廃止する 1
廃止の主な理由 : ア ) 検定試験として社会的に十分認知されているとは言えない イ ) 単位認定の絶対的な評価尺度としての筑波英検は見直すべきとの意見が多く出されている 5 1 年次の必修 3 科目 ( 下記参照 ) に関して 従来通り 能力別クラス編成を目的に 入学当初にプレイスメント テストを実施する 6 ティーチング フェロー (TF) の教養英語教育への参画を促す (4) 新設科目群とそれらの概要 1 中核となる 4 科目群ア ) 英語基礎 1 年次履修 通年 1.5 単位必修世界的研究 教育拠点を目指す大学における教養英語教育に不可欠な 考える力を主として養成する科目 英語の読解を通して 深いレベルで英語やことばが持つ特徴を考えさせることで言語能力の基盤を養い 併せて広い視野を持って学ぶ姿勢を育成し 知に接する場を提供する イ ) 異文化と英語 1 年次履修 通年 1.5 単位必修国際社会という異文化共同体の中で学術文化の進展に寄与する活躍をしていくためには 異文化に気づき 理解する能力が必須である この科目は 英語を学ぶことを通してその能力を養成するためのものである 異文化の価値の相違を学び 外国人との相互理解への関心と問題意識を養う ウ ) 総合英語 1 年次履修 通年 1.5 単位必修学術研究の場で実際にそれに相応しい英語が使えるように 英語の 4 技能の総合的な基礎力強化からより高度の応用力養成までを行う科目 この目的のために CALL 教室を積極的に活用し 英語に触れる機会を増やす なお 総合英語 は 学術研究の場での英語使用を可能にさせる言語技能を広い視野から養成するための科目であって TOEFL 等の外部試験の対策を講じるための科目ではない 留学や大学院進学のために外部試験の受験を必要とする学生に対しては 彼らの自学自習を支援することを目的に開設する 2 年次生対象の テストテイキング演習 ( 下記 (5) の7 参照 ) を履修するように奨励する エ ) 専門英語基礎演習 2 年次履修 学期完結 原則 1 単位必修 ( 下記 (5) の6 参照 ) 学群 学類における専門の英語 ( 特定学術目的の英語 (English for Specific Academic Purposes (ESAP))) への 橋渡し として機能する 一般学術目的の英語 (EGAP) を学ぶ科目 2 補足的な科目 (2 種類 ) ア ) 再履修者用科目 (2 年次 ~4 年次対象 ) 2
イ ) 自由科目 (1 年次 ~4 年次対象 ) 個別的なテーマに関する科目を設定し 幅広い学びの機会を 4 年間にわたり提供する 開設科目例 ( 案 ): 映画の英語 英語コミュニケーション 発音クリニック 英文法演習 など (5) 2 年次対象 専門英語基礎演習 についてアカデミックな環境での英語使用入門を目的とする 1 人文科学 社会科学 自然科学という大まかな学問領域ごとにそれに相応しい 一般学術目的の英語 (EGAP) を学ぶ科目を開設する そして 学群 学類の専門教育における 特定学術目的の英語 (ESAP) への橋渡しを図る 2 英語母語話者教員による発信能力の養成を目的とした科目を中心に据える 3 日本人教員が担当する 読解力の養成を目的とした科目も一部導入する 4 学生の科目選択の幅を広げる目的から 学期完結型科目とする 5 平成 24 年度からの本格導入に向けた準備の一環として 平成 22~23 年度に一定数の科目を試行的に開設する 6 原則として 1 単位必修とする ただし 学類 専門学群が 一般学術目的の英語 (EGAP) を学ぶ科目を独自に必修ないし必修に近い形で開設している場合には 専門英語基礎演習 は必ずしも必修科目と指定しなくてもよいこととする 7 開設科目例 ( 案 ) ア ) 英語母語話者教員担当科目 文系アカデミック ライティングⅠ 文系アカデミック ライティングⅡ 理系アカデミック ライティングⅠ 理系アカデミック ライティングⅡ 文系英語プレゼンテーション演習 Ⅰ 文系英語プレゼンテーション演習 Ⅱ 理系英語プレゼンテーション演習 Ⅰ 理系英語プレゼンテーション演習 Ⅱ 文系英語ディベート演習 理系英語ディベート演習 文系英語講義理解 理系英語講義理解 イ ) 日本人教員担当科目 科学英語演習 メディア英語演習 学術英語講読 翻訳演習 などウ )TF 参画科目 テストテイキング演習 8 専門英語基礎演習 開設のための人員確保の方策ア )TF を授業に参画させることにより 人員を確保する TF 参画授業科目 : ⅰ) テストテイキング演習 ⅱ) 再履修者用科目 3
ⅲ) 自由科目 ⅳ)1 年次の必修 3 科目の内 主に スキル重視の 総合英語 イ ) 合同クラスを一定の範囲内で認める (6) 新カリキュラムに基づく英語教育の実施によって学生が身に付けるべき学習成果 1 1 年次開設の必修 3 科目の履修を通じて培う能力 資質 ( 身に付ける学習成果 ) ア ) 考える力 (ⅰ) ことばへの深い洞察力 (ⅱ) 論理的思考力 分析力 判断力イ ) 気づく力 (ⅰ) 多文化 異文化に関する知識の理解 (ⅱ) 異文化の異質性に対する理解 尊重等の態度ウ ) 使える力 (ⅰ) 読む 書く 聞く 話す の 4 技能の総合的な運用能力 (ⅱ) 英語を用いての課題達成能力 2 2 年次開設の 専門英語基礎演習 の履修を通じて培う能力各学問分野を通じて必要とされる 一般的な学術的英語運用能力 ( 論文等の読解 講義等の聴解 口頭発表 レポート 論文の作成など ) (7) 学生の学習到達度の評価方法中核 4 科目の評価は 原則として 担当教員が 日常のクラス活動や定期試験の成績 レポートなどを基に判断する 4
参考 1 1 年次必修 3 科目科目説明 1. 英語基礎 科目の目標 : 現代英語で書かれた良書を 語法 文法の形式面および内容面に十分注意を払いながら丹念に読み込み 英語力の基礎となる言語基底能力と学問の基礎となる読解力および思考力を養う (1) 英語表現を文法 語法のレベルで詳細に吟味し 英語のしくみそのものをじっくり考えさせることで 一見したところではわからない英語の真の姿を理解させ 英語力養成の足掛かりとする (2) 丹念に辞書を調べて英語を日本語へ翻訳させることで 両言語の類似点 相違点を理解させ 言語学習に不可欠なことばを客体化する能力を養う (3) 論の展開や論旨を的確に捉え 筆者の主張を自分のことばで簡潔に要約する訓練をさせることにより 読解力と論理的思考力を養う 2. 異文化と英語 科目の目標 : 異文化理解という観点から 様々な価値観の存在に気づかせるような英語教材を題材にして 言語 文化 社会の関係を広い視野から考察し 自ら問題意識を持って調べ 自分の意見を伝達するための英語力を養う (1) 異文化理解に関連したテーマを設定し 学生自らに問題意識を持たせてそれについて英語の資料を調べさせ 英語による資料収集の基本を学ばせる (2) 学生を少人数のグループに分け 調査 ディスカッションなどのグループワークをさせることにより 異文化とコミュニケーションに関する諸問題に気づかせ 自分の意見を構築する訓練をする (3) 英語によるスピーチ リサーチペーパーの作成を通じて 自ら調べ考えたことを英語で伝達するための基盤を養成する 3. 総合英語 科目の目標 : 学術的な場面で実際に英語が使えるようになることを目指して リーディング リスニング スピーキング ライティングという 4 技能を 基礎レベルから応用レベルまで 総合的に養う (1)CALL 教室で マルチメディア インターネットを積極的に活用し 音声や画像などを効果的にバランスよく取り入れることで 英語の 4 技能を総合的に養成する (2) 適宜 4 技能のそれぞれに焦点をあてることで 各技能のレベルを万遍なく高める (3) それぞれの技能について 音声を用いたパラレルリーディングなど様々な学習方法を取り入れ 当該技能の向上を図り 多角的なスキル学習の機会を提供する 5
専門英語基礎演習 科目説明科目の目標 :1 年次必修 3 科目で養った力を土台に 専門教育への橋渡しとして必要とされる 一般的な学術的英語運用能力 (English for General Academic Purposes (EGAP) の運用能力 ) を養成する 履修方法 : 原則として 学期完結の科目 (0.5 単位 ) を 2 科目履修する 固定時間割とはせず 学期ごとに曜時限を変えて履修することを可能とする 文系 理系というおおまかな学問分野の区分にしたがって 学生が自らの希望にあわせて履修する科目を選ぶこととする 1. アカデミック ライティング( 文理別 ) ( 学期完結 0.5 単位 ) (1) 学術論文一般にみられる論文形式 および学術論文にふさわしい英語表現 文章構成を学ばせる 語彙力 文法力 論理的記述力の向上を図る (2) 特定のテーマでリサーチペーパーを作成したり 学生間でペーパーを批評しあったりする作業を通じて 論文作成能力 編集能力を高める (3) 英語による研究者間の情報伝達のための基礎力を養成し 英語で共同研究ができるための基盤を養う 2. 英語プレゼンテーション演習( 文理別 ) ( 学期完結 0.5 単位 ) (1) 英語を媒介とした学術的な口頭発表に特徴的な表現技術 説得技法の基礎を学ばせる ジェスチャー等への配慮 機器の適切な使用も含めて 聴衆に自らの主張を明確に伝える訓練をする また 聴衆からの質問に適切に対応する訓練も行う (2) 英語による学術的な口頭発表を聞き取り 理解できるようになるための基礎力を養成する 発表者に疑問点を質問させたり 発表者と意見のやりとりをさせたりする (3) 英語による共同研究に効果的に参加するために必要となる英語運用能力の基礎を養成する 3. テストテイキング演習( 文理共通 ) ( 学期完結 0.5 単位 ) (1) テスト形式の問題演習を数多くこなすことにより 英語基礎力の定着を図るとともに実践力を養成する (2)CALL 教室や e-learning に対応した教材を積極的に活用し 毎回テスト形式の課題を仕上げて授業に参加させる 不得意分野の克服に重点をおいた解説や演習 あるいは得意分野をさらに発展させるための解説や演習を行う ティーチングフェローを積極的に活用し 学生からの質問に柔軟に対応する (3) 初級クラスと上級クラスを設け 学生が学習状況や目的に合わせてクラスを選択できるように配慮する 6