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特集 もう一度マス広告を考え直す 広告キャンペーンの到達と効果測定 テレビとインターネットを中心に マス広告の可能性についてさまざまな言説が流布するなか 広告効果はどのように変化しているのだろうか 長年にわたり 広告効果や表現分析をはじめ 広告領域全般に及ぶリサーチに長年携わってこられた両氏に 現在のマス広告の機能と効果性について とりわけテレビとインターネットを中心に キャンペーンの検証事例の紹介も交えて 新しいマス広告の効果に対する視点を示唆していただいた 鈴木 暁 ビデオリサ ー チ メディア コミュニケ ーション事業推進部 専門職部長 1963年静岡県生まれ 1986年慶應義塾大学文学部卒業 26年法政大学大 学院イノベーション マネジメント研究科IM専攻修了 1986年ビデオリサーチに入 社 VRhomeScan Mind-TOP などの新規事業や新サービスの開発などを担当し 現職 河原 達也 ビデオリサ ー チ メディア コミュニケ ーション事業推進部 198年東京都生まれ 23年東京都立大学経済学部卒業 26年東京都立 大学大学院社会科学研究科経済政策専攻修了 26年ビデオリサーチ入社 27年日本消費者行動研究学会で研究奨励賞 青木幸弘賞 を受賞 現在の主 な業務は広告効果の測定 広告クリエイティブの評価など はじめに 212年の日本の広告費 電通発表 は総額で5年ぶりに 表れ方の違いについて述べる 媒体接触の状況 増加し5兆 8,913億円 対前年比 13.2 であった 媒体別 インターネット広告費が従来のマス4媒体を構成する新 広告費は構成比の多い順に テレビ 構成比 3.2 イン 聞 雑誌 ラジオを上回ったのはこの2 3年の事であるが ターネット 14.7 媒体費 11.2 広告制作費 3.5 新 他のマス媒体と比較して接触回数分布などの広告到達指 聞 1.6 プロモーションメディアに分類される折り込み 標が話題になることは少ない 媒体計画における到達レベ DM がそれぞれ 8.8 6.7 で続いている 近年のインター ルの管理指標の1つとして接触回数分布を用いることで ネット広告費の伸長を考慮すると従来のマス4媒体 新聞 従来メディアとの比較が可能になる 雑誌 ラジオ テレビ にインターネットを加えたマス5媒体と いう括りの方がもしかすると適切かもしれない ACR調査 1 から212年の関東地区における1日あたり 接触時間を算出すると テレビが 2.74時間 インターネット 広告活動の諸段階で管理しなければならない指標 ある が.77時間となっている 男女別では テレビが男性で いは諸段階におけるそれぞれの目標値には到達 認知 ク 2.23時間 女性で3.37時間 インターネットは男性で1.5時 リエイティブ評価 態度変容 売上 利益などが挙げられる 間 女性で.47時間となっている 男女間での接触時間に が 本稿では広告費の上位 2媒体のテレビとインターネット 大きな差異が認められる 同様に 年齢による差異も大きく を中心に 1 出稿から到達 接触 2 到達 接触から認知 なっており テレビでは高年齢層 インターネットでは若年 態度変容のプロセスに関して 2つの媒体の特徴や効果の 層で接触時間が多い 図 1及び図 2 28

5 図1 テレビ接触量 12 19歳 図2 インターネット接触量 男 女 12 19歳 2 24歳 2 24歳 25 29歳 25 29歳 3 34歳 3 34歳 35 39歳 35 39歳 4 44歳 4 44歳 45 49歳 45 49歳 5 54歳 5 54歳 55 59歳 55 59歳 6 64歳 6 64歳 65 69歳 65 69歳..5 1. 1.5 2. 2.5 3. 3.5 4. 4.5 5. 時間 広告接触回数の算出 このような媒体接触の特徴を持つ2つの媒体に広告を投. 男 女.5 1. 1.5 2. 2.5 3. 3.5 4. 4.5 5. 時間 を割り当てる まず 個人別のインターネット接触時間を次 式でページビュー PV に換算する PV インターネット接触時間 k 下したらどのような広告接触が期待されるであろうか テレ ただし kはインターネット接触時間とpvの関係を表す ビとインターネットを使用した広告キャンペーンを想定し パラメータで インターネット接触時間とPVを同一標本で 各個人がそれぞれの媒体でどのくらい広告接触するのかを 測定しているVR インタラクティブ社のデータから線形回帰 シミュレーションした テレビのみ インターネットのみ テレ で求めた ACRで調査した1週間のインターネット接触時 ビとインターネットの併用の3パターンでシミュレーションを 間より週間平均 PVは655となった ACR212年 /関東地 実施しているが その方法の概略を以下に述べる 区 個人別広告接触回数は負の二項分布を用いる 個人別 テレビ広告 二項分布 PVを試行回数 成功確率を広告表示確率 どの個人も一 P1 視聴時点数 /全時点数 て捉える 即ち 各個人がインターネットにアクセスする頻度 個人別のテレビ接触確率 P1 を次式で定義する 定 成功回数を広告接触回数 インプレッション数 とし 全 サンプルの平 均 P1は.228 最 小は. 最 大 PV は異なるが アクセスしたときに該当広告が表示され.165である ACR212年 /関東地区 この個人別テレビ る確率はPVの多少によらず一定なので インプレッション 接触確率 P1 とテレビ広告投入本数 N から個人別の広 数はPVで規定されるというものである 告接触回数を与えるのであるが これは試行の成功確率が P1でN回試行した場合の成功回数の確率分布 二項分 布 に他ならない 業界標準のメソリンガム モデル ベー タ二項分布 では テレビ接触確率分布 P1の分布 を平 テレビとインター ネットの 広告接触回数分布の違い テレビに1本広告を投入したケースをベースとする こ 均テレビ接触確率 P1の平均 などから推定するのである れは個人 GRPで約 23 の広告キャンペーンである が ACRでは既に個人別のテレビ接触確率が得られてい GRP N 本数 平均 P1 平均接触確率 るのでそれらをもとに個人別に広告接触回数を割り当てるこ 23 1本.228 1 ととする インターネットで23GRPに相当するインプレッション数 を獲得するために必要となる広告表示確率は.35である インターネット広告 負の二項分布 テレビと同様にインターネットでも個人別の広告接触回数 23GRP 655 平均 PV.35 テレビに例えて言えば 平均接触確率が.35 の広告を 29

特集もう一度マス広告を考え直す 655 本出稿したということである 1 人あたりの平均広告接触回数 ( 平均 Imp) は 655 本.35%=2.3 回であるので 広告取引単位である全国ベースのインプレッション数で表すとおよそ 2.76 億インプレッション (2.3 回 1.2 億人 ) 規模のキャンペーンとなる テレビ インターネットともに個人 GRPが23% のキャンペーンを想定し接触状況の違いを抽出する 個人別テレビ接触確率 (P1) とテレビ広告投入本数 (1 本 ) から二項分布を利用してテレビ広告のリーチ (1 回以上接触者比率 ) を割 12 19 2 24 25 29 3 34 35 39 4 44 45 49 5 54 55 59 6 64 65 69 e ( ) 1 2 3 4 5 6 7 8 1 図 3 テレビ広告 2 3 4 5 6 7 8 9 1 each( ) 図 4 インターネット広告 e ( ) 1 2 3 4 5 6 7 8 り当てると 74.2% になる また インターネット広告のリーチを広告表示確率と個人別 PVから負の二項分布を利用して算出すると 41.9% になる GRP=リーチ 平均フリークエンシー ( リーチ者での平均接触回数 ) なので テレビ広告 :74.2% 3.14 回 =23GRP インターネット広告 :41.9% 5.49 回 =23GRP と表現できる テレビの方がより広い範囲で接触されている しかし 平均フリークエンシーはテレビが 3. 1 4 回なのに対しインターネットは 5. 4 9 回である インターネットはリーチではテレビには及ばないがフリークエンシーでテレビを上回っている 図 3と図 4に性年齢別のリーチと平均フリークエンシーのグラフを示す 折れ線がリーチ ( 下目盛り ) 棒が平均フリークエンシー ( 上目盛り ) である テレビ広告ではリーチ 平均フリークエンシーともに女性の方が高く インターネット広告では逆にリーチ フリークエンシーともに男性の方が高い 女性の6 代であれば リーチを高めるにしても平均フリークエンシーを高めるにしてもテレビの方が適していることがわかる 単媒体使用のキャンペーンではなく テレビとインターネットを併用した場合でのシミュレーションを実施してみた 23GRPをテレビとインターネットに均等に配分し それぞれ 115GRPずつ出稿したとする 2 媒体合計のリーチとフリークエンシーを表したのが図 5である 図 5で明らかなように このようなケースでは個々の媒体の性年齢における差異が図 5 テレビ & インターネット広告 e ( ) 1 2 3 4 5 6 7 8 12 19 2 24 25 29 3 34 12 19 2 24 25 29 3 34 35 39 4 44 45 49 35 39 4 44 45 49 5 54 5 54 55 59 55 59 6 64 6 64 65 69 65 69 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 each( ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 each( ) 3

5 相殺されて 単媒体での出稿に比べると消費者全体へ平 図6 均的に到達している様子が分かる 媒体別広告接触と態度変容分析モデル ラジオ テレビだけのキャンペーンあるいはインターネットだけの 新聞 広告接触有無 雑誌 インターネット 店頭 店内 テレビ キャンペーン どちらが優れているという訳ではなく 広告 接触を管理指標とした場合 例えば 男性中心に接触させ etc. 広告効果指標 るのであればインターネット 女性中心に接触させるのであ 広告効果 商品 サービスについて 1.知るキッカケとなった 2.名前が より記憶に残った 3.より興味 関心を持った Aさん 4.より好感を持った 5.より信頼感を持った 6.より親しみを持った 7.内容がより理解できた 8.調べたり検索したいと思った 9.問い合わせやカタログ 資料請求をしてみたいと思った 1.キャンペーンやイベントに参加してみたいと思った 11.見に行きたい 確認してみたいと思った 12.人と話題にしてみたいと思った 13.買ってもよい 利用してもよい と思った 14.ほかの人にすすめたいと思った ればテレビ すべての消費者に平均的に行き渡らせたいの であればテレビとインターネットの併用というように キャン ペーンのターゲットによって使い分けが必要であろう 広告接触の効果の抽出 広告の到達は広告が 口コミなどを除いて 直接的に効 果を発揮するための必要条件であるが十分条件ではない メディアプランニングは消費者への到達だけでなく 態度変 容などの 期待効果 を勘案して行うのが望ましい しかし 各媒体の効果の特徴が明確になっていないため 到達の 指標をベースにプランニングを行い 各媒体に期待する効果 各媒体の役割分担 は経験則に頼っているのが現状で あろう 広告媒体別に期待効果を設定できなければ 期待 効果に対するKPI Key Performance Indicator を特定 することもできず 効 果 的 なPDCA Plan Do Check Action サイクルの構築は不可能となる 本稿では以下の2ステップで各広告媒体の効果の特徴 図7 媒体別 広告接触による広告効果発生確率上昇率 6 5 4 3 を抽出した分析を紹介する 2 ① 個 々のキャンペーン調査の結果から各広告媒体の広 1 告効果指標への貢献度を明らかにする ② キャンペーン単位で算出された各広告媒体の貢献度を 5.1 2.5 1.6 テレビ 新聞 1.4 チラシ インターネット 1.7 交通 約 1ケース積み上げ 一般的な効果特徴を媒体別に 接触効果 を明らかにすることができる 例えば図 7は ある 明らかにする 音声 /映像機器商品のキャンペーンにおける 知るキッカ 各媒体の貢献度 キャンペーンカルテ 2 では 複数媒体の媒体別広告接 ケとなった に対する媒体別広告接触効果をグラフ化した ものである 数字は接触による効果生起確率の増加分 テレビ広告の効果が他の媒体に比べ高いことが分かる 触有無とキャンペーン全体としての態度変容を調査してい 13キャンペーンの平均的な効果を算出し コレスポンデ る 今回は28年以降に調査を実施した13キャンペー ンス分析にかけたのが図 8 a b である 軸の寄与率は横 ンのデータを用いて分析した 軸が 72.3 縦軸が 9.8 2軸計で82.1 である 図 8から モデルの概念図をまとめたのが図 6である 個人別 媒 体別の広告接触有無とキャンペーン全体としての広告効 テレビ広告 インターネット広告 電車内モニター広告は特 徴的な効果を有することがうかがえる 果の有無の関係をロジスティック回帰分析で抽出した 分 析したケース数は 広告効果指標 14 キャンペーン 13 テレビ広告 1,442である この分析で各広告媒体への接触が 広告 知るキッカケとなった より記憶に残った に対する効 効果を発生させる確率 をどの程度上昇させるのか 広告 果が際立っている 具体的にはテレビ広告に接触させるこ 31

特集 もう一度マス広告を考え直す することで可能になる 期待する効 図8 キャンペーン効果コレスポンデンス分析 PC 新聞 屋外 調べたり 検索したい 果 の設定にはいくつかの方法が考え られる 設定方法を分析対象範囲と 算出方法に分けると 分析対象範囲 より興味 関心 を持った より親しみを持った 交通 より信頼感 を持った 店頭 店内 雑誌 テレビ ラジオ 買ってもよい より記憶に 利用してもよい キャンペーンや 残った イベントに 人と話題にしてみたい 参加して みたい 知るキッカケと 他の人にすすめたい なった 携帯 電車内モニター 資料請求 してみたい 見に行きたい 確認してみたい より理解できた には 自社ブランド/競合ブランド 算 出方法には ベストプラクティス/平均 値がある 合計 4つの組み合わせの すべてを揃えるのが理想だが どれか 1つあれば広告効果の測定が可能で ある 分析対象範囲にはカテゴリ全体 という考え方もあるかもしれないが ブ ランドの浸透状況が異なれば期待でき る広告接触効果も変わるので解釈が 難しくなる 自社ブランドの過去のキャ ンペーンか ステータスが似ている競 とができれば 知るキッカケになった という効果が発生す る確率が 9.7 上昇する 同様に より記憶に残った につ いては11. 上昇する 合ブランドを比較対象とするのが分かりやすい キャンペーンの評価とパフォーマンスの要因特定の流れ を図 9に示す キャンペーン全体の評価では キャンペー ン全体としての広告効果指標のスコアを 期待する効果 インターネット広告 のスコアと比較して評価する 個別媒体の評価では どの 調べたり検索したい より興味 関心を持った に対 媒体がどの程度キャンペーンの効果に貢献したのかを抽 する効果が高い インターネット広告に接触させることがで 出するのであるが 個別媒体の効果を集計済みデータか きれば 調べたり検索したい という効果が発生する確率 が 5.9 より興味 関心を持った という効果が発生する 図9 キャンペーン分析とパフォーマンス要因分析 確率が 4.4 上昇する 見に行きたい 確認してみたい に対する効果が高く 電 車内モニター広告に接触させることができれば 見に行き たい 確認してみたい という効果が発生する確率が 4.4 パフォーマンス評価 電車内モニター広告 上昇する ① キャンペーン 全体の評価 ② 個別媒体 の評価 個別媒体の 期待する効果 との比較から各媒体の広告接 触効果を評価する ③ -1 メディアミックス の評価 メディア間の連動の仕掛けが どの程度機能したのかを メ ディアミックスの接触状況と 効果の両面から評価する ③ -2 クリエイティブ の評価 個別媒体のパフォーマンスの 要因をクリエイティブ評価か ら解明する 期待する効果 との比較か ら広告接触効果を評価する キャンペ ーン効果の検証 エンシーといった到達の指標に加え 各広告媒体に期待 する効果をベースにメディアプランニングを行うことができる 媒体別の役割分担をより明確にすることで キャンペーン の狙いと照らし合わせた無駄のないメディアミックスを検討 することが可能になる では キャンペーンの効果測定はどのようにすればよい だろうか それは 期待する効果 と 実際の効果 を比較 32 パフォーマンスの要因特定 各広告媒体の効果の特徴が分かればリーチ フリーク

たい期待効果との店頭 店内 -4. -4.6-5.7-4.6-2.3-2.5 4.9-2.2 -.1 2.3-5.4-1.1-3.6-1. 接触効5 ら得るのは困難なことが多い 非集計データからロジスティック回帰分析などの統計的手法を用いて抽出することになる その上で比較対象キャンペーンの個別媒体の効果と当該キャンペーンの個別媒体の効果を比較すればよい 自家用車のキャンペーンの事例を図 1に示す 下のブロックがこのキャンペーンの結果 上のブロックが 期待する効果 からの差分である このようなアウトプットから媒体別 購買プロセス別の広告評価が可能になる パフォーマンスの要因特定フェーズではまずメディアミックスの評価を行う メディアミックスの評価では メディアミックスの連動企画において 対象媒体同士の重複接触状況がどの程度あるのかを確認する さらに 連動企画におけるメディアミックスでの接触状況がキャンペーン全体の効果にどの程度貢献したのかを抽出する 最後にクリエイティブの評価を行う クリエイティブのキャンペーン効果への影響は非常に大きい 各媒体のクリエイティブを見たときの印象評価を調べておき 比較対象キャンペーンの平均値と比較して優劣を確認する ただし クリエイティブの要素は非常に多様なので印象評価項目だけでパフォーマンスの要因を特定するのは難しい そこで個別媒体の広告接触効果と印象評価にクリエイティブの定性的な解釈を加えていく 以上がキャンペーンの評価と要因分析の概要である 評価と要因分析をキャンペーン単位で行い そこから得られる知見を蓄積し キャンペーンのプランニングにフィード バックしていくことが効果検証の目的となる おわりに 本稿ではテレビとインターネットを中心に 1 到達の特徴と 2 効果の違いを抽出するための方法を紹介した上で キャンペーンの効果を検証するための枠組みを呈示した メディアプランニングの実務では 各広告が重複接触の状況を含めどのようにターゲットに到達し 広告のどの部分がターゲットの心に残りやすく 結果としてどのような効果が生じるのかを把握しておく必要がある しかし 広告媒体別に効果の特徴を抽出するのが難しく 到達 ( リーチ & フリークエンシー ) の指標をベースにメディアプランニングを行っているのが現状となっている 本稿で紹介した方法論をベースに広告媒体別の到達の特徴と効果の特徴を抽出した上で キャンペーンの PDCAによる知見を蓄積していくことが次のステップである そうすることで現状より一歩進んだメディアプランニングが可能になるのではないだろうか 注釈 *1. ACR: 下記主要 7 地区における テレビ 新聞 雑誌 交通 インターネットなどの主要媒体の接触状況と商品の使用 所有 購入を同一サンプルでとらえる調査 訪問留置き法 関東 関西 名古屋 北九州 札幌 仙台 広島で調査を実施 サンプル数は関東地区で約 2,6 *2. キャンペーンカルテ : 広告キャンペーン全体の到達と態度変容 主要広告媒体別の認知と印象評価を測定 Web 調査 関東地区 2, サンプル 図 1 期待効果との差による媒体別キャンペーン効果 差知るキッカ名前が よより興味 より好感より信頼より親しみ内容がよ調べたり問い合わキャンペー見に行き人と話題買ってもよほかの人 ケとなったり記憶に関心を持を持った 感を持っを持った り理解で検索したせやカタロンやイベンたい 確認にしてみたい ( 利用しにすすめ 残った った た きた いと思っグ 資料請トに参加ししてみたい てもよい ) た 求をしてみてみたいたい い 屋外 8.1 5.3-1.1-1.4-1. -.3 -.6. -.6 -.9 -.4 2.2-1.8 -.3 テレビ -1. 5.7 3.5 1.5-1. 8.1-2.4 -.4. -.2 -.2 2.8-3.2. 新聞 3.6 4.8-2.1 1. -1.3-2. -1.3-1.8 -.4-1.2 -.5-2.2-2..9 インターネット -3.1 3. -1.1 2.4 2.1. -1.1.5 1. -.6. 3.5-3.1 -.4 果インターネット. 6.8 3.3 5.5 3.4 1.9. 6.4 1.9 1.2 2.9 5.2.. テレビ 8.6 16.7 6.4 6.9. 11.7..... 3.2.. 新聞 5.2 7.9 1.9 2.8... 1.4.7. 2.3. 2.6 1.6 屋外 9.1 7.8 1.2.. 1.. 2.3.. 1.5 4.4.. 店頭 店内...... 6.9 1.7.7 4.2. 1.5 4.3. *. は推定値が有意ではなかったケース 33