柱のケイは最低 292H(断ち落とし含)で文字の多いときはナリユキでのばす 社会学部英語科目における書く活動の試み 石川希美 Abstract The English language curriculum in the Faculty of Sociology,Sapporo Otani University puts emphasis on fostering productive skills such as speaking and writing. It is the first time to implement an essay writing task as part of the regular in-class activities throughout a course for sophomore students. The purpose ofthis paper is to summarize writing activities,and to discuss necessarytreatment and improvement in future courses in order to help students learn more effectively. The CEFR-J descriptors and Eiken CAN-DO list are referred in terms oftarget levels and types ofwriting. The questionnaire results show that the writing act itself as well as thinking was received as most beneficial for students. However,they find it difficult to turn their ideas into English. It implies that writing activities should be done repeatedly on a regular basis as a process of learning. Further research is needed to investigate how their writing style changes and how their experience writing in English serves their learning of the English language. キーワード 英語 ライティング 書く力 はじめに 大学での学びのなかで 学生にとって 書くこと が重要であることに疑問の余地はないだろう レポートや論 文を始め あらゆる場面で書くことが求められる 井下(2013)は ある目標やテーマに向かい 問いを立て え ながら書くプロセスは 一種の問題解決のための行動であり 造的で発見的なプロセスでもある それは 学 問の原型であり 深いレベルで える力を鍛えることが期待できる (p.12-13)と述べている通り 大学において 書く ことは学びの支柱的役割がある 大学生が大学で求められる文章を日本語で 書く 力を身につけているかと言えば これまで体系的だったもの として教えられていなかったことが認識されるようになった 大学で指導にあたる教員側は ①何を(What)書 くのか どのように(How)書くのか ②それをどう指導するか(カリキュラム 指導技術 評価法 組織体制など) (p.4)を共通する課題として捉え 議論されるようになってきた つまり えて書くことを大学における目的と して掲げて 一般教育 専門教育といった枠組みをこえて様々な試みが行われ始めている (関西地区 FD 連絡協 議会京都大学高等教育研究開発推進センター(編)(2013)) それでは 英語教育の枠組みでは 書くこと の指導にどのように取り組んでいくことが可能なのだろうか まずは 大学入学前の高 での英語ライティングの状況 大学生を対象にした英語ライティングの研究結果 ラ イティングに関する指導 評価の枠組みなどを参照していく 本稿では 今年度の社会学部 英語 と 英語 において 英語で書く活動を1年間通じて実施したのは今年度が初めての試みであるため 英語で 書くこと を 指導するという観点で その実践内容をまとめていき 上記の① ②の点から 今後の課題を 察していく 1 背景 1 1 社会学部地域社会学科の英語カリキュラム 1年生から4年生まで4年間を通じて英語科目を履修できるカリキュラムになっている 特に 下位学年(1 2年)英語のカリキュラムでは 話す も 1年生8単位 2年生8単位 書く といった産出技能(productive skills)を重視している 開講単位数 を設けており ほかの外国語科目を開講していないため 英語に特化した手 厚い配置となっている 今回 書く 取り組みを行ったのは 英語 と 英語 で 2年生を対象とした科目である 学科ができてから 平成 26(2014)年度で2回目の実施である この科目では 聞く 読む を扱ったテキストを中心に扱うことに なっている その一方で 授業の活動は上記の英語カリキュラムの目標と齟齬のないよう 受容技能(receptive 次頁にもノンブル枠あり
skills)のみに偏らないように 産出技能を指導する取り組みも行うようバランスを工夫する必要がある 1 2 学習者の状況 入学者のうち推薦入学試験合格者を対象に 入学前課題として 国語では要約や論述を求める課題 英語では 英語で決められたテーマについて書く(主に説明する内容)課題を与えてきた その課題の取り組みとその後の フォローとして複数回実施した授業の様子も踏まえ 教員の観察を通じてわかった点は主に3つの内容である ⑴日本語の論述などでは 未熟な点があり 書く学習経験が不足している可能性がある ⑵英語で書く課題には 短い文を並べて書く傾向がある つなぎ言葉として う語句が and because so but など限定的である ⑶書 いた文章をパソコンに入力させた場合に 個人のスキルの差が著しい 非常に い慣れていて 英文タイピング の知識がある学生がいる一方で キーボードを ったタイピングやソフトの い方に慣れておらず 英文のフォー マットを知らない学生もいる 例えば 一文ずつ Enter キーを って改行したり 文末のピリオドの前に一文字 あいていたりしたケースがある (cf.柴田 横田(2013) White & Guest(2014)) また 英語プレイスメントテストでは 入学生の英語のレベルは 英検2級レベル2 準2級が 10 3級 レベルかそれに達していない学生もいる状況である(柴田 2014)ことがわかり 英語の基礎的な内容に十 習熟 していない可能性が 2 英語で書くこと えられた 2 1 高 学習者の傾向と目標設定 レベルでの書くこと 現在の大学生が高 時代に われているのは 平成 11(1999)年改訂の高 学習指導要領である これには ライ ティング の科目について 目標として 情報や えなどを 場面や目的に応じて英語で書く能力を に伸ばすと ともに この能力を活用して積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる ことが明記されている 言語活動としては 生徒が情報や えなどの送り手や受け手になるように具体的な言語の 用場面を設定して 次のようなコミュニケーション活動を行う とあり 概要や要点を書くことの他に 聞いたり読んだりした内容 について 自 の えなどを整理して書く と 自 が伝えようとする内容を整理して 場面や目的に応じて 読 み手に理解されるように書く とある 指導上の配慮事項には 文章の構成や展開に留意しながら書くこと また言語の 用場面と働きにについて 手紙や電子メールなどの言語の 用場面を取り上げ 実際にコミュニケーションを体験する機会を設けるよう配 慮する こととある 内容の取扱いには 言語材料の学習だけにとどめず 情報や えを伝えるために書くなど 書く目的を重視して指導するものとする その際 より豊かな内容やより適切な形式で書けるように 書く過程 も重視するよう配慮するものとする とあり 学習者に 何のために書くのか という目的を意識させる工夫や プ ロセスアプローチを用いた指導を行うことが書かれている 英語で書くことについて いわゆる和文英訳のよう 1 平 成 21(2009)年 に 改 訂 さ れ た新学習指導要領では ライ ティング という単独科目で な一文単位ではなく 自 はなくなり コミュニケー ション英語 現 る 例 え ば コ ミュニ ケー ション英語 で 聞いたり読 んだりしたこと 学んだこと や経験したことに基づき 情 報や えなどについて 簡潔 に書く また コミュニケー ション英語 で 聞いたり読 んだりしたこと 学んだこと や経験したことに基づき 情 報や 高 英語表 の科目の中で扱われ えなどについて まと まりのある文章を書く とあ るように 技能を他の技能と 統合させて育成する科目構成 になり ライティングでは文 章を書く目的などを明確にし て 内容の一貫性を重視して 書くことが示されている の主張したい内容を整理してある程度の長さの文章を書くことを目指しているとわか る を 生の実態としては ベネッセの行った東アジア高 英語教育 GTEC 調査 2006では 高 生が日常的に英語 う経験は限定的で その中でも書く経験は少ない傾向であることがわかった また 英文を書く問題では 平易な語彙を うな説明が不十 って 短い文をつなげて えを表現しているため 得点は比較的良いが 読み手の理解を促すよ であることが指摘されている 一定時間に書ける 量が増えること つなぎ言葉 内容を整理 して構成していくことが課題と挙げられている Kobayashi & Rinnert(2002)の研究では 日本語で書くことについて 国語の授業で文章構成などは習ってい て知識はあるが 書く経験をあまりしてきていない場合があり 一方では 大学入試対策として 授業以外で集 中的に小論文の個人指導を受けたことがある学生もいることが いる学生は かっている 日本語で小論文の書き方を習って えや意見をはっきりと論理的に述べることを教わっており 英語で書く場合にも学んだことを活 用できるだろうと述べている 最近の大学入試の傾向として 自由英作文の出題が増えている傾向がある 内容については 与えられたテー マについて自 社会学部英語科目における書く活動の試み の意見を英語で表現するといったお決まりのものから 英文および日本文資料や表 グラフにつ
2 3 2 英検の CANDO リスト もう一つ参照していくのが 日本英語検定協会では実用英語技能検定(英検)レベルごとに示されている CANDO リストである この CAN-DO リストは 英検の各級の合格者が 英語を う上でどの程度のことができるか について調査し その結果に基づき表記してあるものだ 準2級 2級 準1級の CAN-DO リストの中から 書 くこと についてまとめると 以下の表3の通りである 表 3英検 CANDO リスト 書くこと について(英検準2級 2級 準1級) 準2級 興味 関心のあることについて簡単な文章を書くことができる の将来の夢や希望について 書くことができる (訪れたい国 やりたい仕事など) のお気に入りのも 身近なものを紹介する簡単な文章を書くことができる (自 のペット 好きな本な ど) 短い手紙(Eメール)を書くことができる (友達やペンフレンドへの簡単な手紙など) 簡単なお知らせを書くことができる (パーティの日時や場所 文化祭の日程など) 簡単な予定を手帳やカレンダーなどに書き込むことができる (例 M eet Yoko at the station at ten /Go shopping with Jill) 2級 日常生活での話題についてある程度まとまりのある文章を書くことができる 印象に残った出来事について その内容を伝える文章を書くことができる (学 の学 行事 旅行など) (会社)を紹介する簡単な文章を書くことができる 住んでいる地域を紹介する簡単な文章を書くことができる が読んだ本や見た映画について 自 の感想を書くことができる ある程度の長さの手紙(Eメール)を書くことができる (ホームステイ先や友達への近況報告など) 準1級 日常生活の話題や社会性のある話題についてまとまりのある文章を書くことができる 興味 関心のあることについて 説明する文章を書くことができる (簡単なレシピ 器具の い方など) 興味 関心のある話題について 聞いたり読んだりした内容の要約を書くことができる (講義の内容 雑誌 や新聞の記事など) 日常生活の身近な話題について 自 の えや意見を書くことができる ( 食事と 康 など) 日本の文化について紹介する簡単な文章を書くことができる (食べ物 祝日 お祭りなど) がやりたいと思っていることの説明や理由を書くことができる (留学や入社の志望動機など) の仕事や専門 野の内容であれば 注文や問い合わせに対して簡単な返事を書くことができる 出典 実用英語技能検定 CAN-DO リスト 英検 CAN-DO リストからは 2級で示された内容について 学習者が できる という認識を持てるかが目安に なりそうだ ここでは 自 に関連のあるトピックについて 自 の経験や知識などを書けるかどうかが取り上 げられる傾向がある また 英検と CEFR レベルの関連では 英検準2級は A2 2級は B1 といわれている ま た 英検 CAN-DO リストは学習者の持っている自信の度合いを表記しているものなので 指導していく内容とし ては 上級レベルの中身も参 になる 3 本学での英語で 書く 活動 英語で書く活動について 1年間を通じて実施したのは今年度が初めての試みである 毎回の授業の流れは 週1回 90 授業のうち約 40 程度を書く活動に当てた 科目としては 週2回の授業であるが 担当者2名で それぞれ1回ずつ担当している 1.1で述べたとおり カリキュラムとして 4技能にはバランスよく取り組むよ うに 指導内容や活動について教員間で 担したり 協力するなどで工夫している 英語で書く活動を行うにあたっては 英検2級の CAN-DO リストの内容についてどの程度できるかどうかを 足掛かりにしながら CEFR の CEFR-J の B1 レベルに書かれているようなパラグラフ ライティングができる方 向性を目指すことが 学生の実情に照らしてもよいだろうと判断した 具体的には 自 のことや身近なことを テーマにして文章を書くことから始めて 英語で書くことに慣れていき 徐々にパラグラフ ライティングがで きるような段階を追った指導の流れを組み立てることにした 最後に 初年次の英語教育で 話すこと を重点的 石川希美