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20110628 災害廃棄物の発生原単位について ( 第一報 ) 震災対応ネットワーク ( 廃棄物 し尿等分野 ) 取り纏め : 国立環境研究所 家屋の全壊に伴って排出される災害廃棄物 ( 解体廃棄物 ) の発生原単位について既存の文献をレビューした 基本的には被災自治体が公開した発生原単位は現地調査結果をもとにした実績値である 既存の文献によると 災害廃棄物の発生原単位は木造に限れば 0.27~0.71 t/m 2 で 基礎コンクリートを含むか否かで大きく値が異なってくる また 基礎コンクリートだけでなく 浄化槽等も含めると発生原単位は大きくなる 東京都が設定した災害廃棄物発生量の原単位は木造で 0.31 t/m 2 RC 構造で 1.09 t/m 2 S 造で 0.80 t/m 2 であった ( 表 1) 兵庫県は 阪神 淡路大震災に伴って発生した災害廃棄物の発生量を推計するため 当初は建設省の建設副産物に関するデータを用いていたが その後 原単位調査を実施し 解体廃棄物の発生原単位を木造家屋で 0.571 t/m 2 RC 造で 1.47 t/m 2 鉄骨造で 1.27 t/m 2 とした ( 表 2) 新潟県中越地震時の解体廃棄物は 1 棟あたり 49.2 t とされ 仮に 1 棟の延べ床面積が 100 m 2 であるとすると発生原単位は 0.492 t/m 2 であると想定される ( 表 3) 表 4 に川崎市地域防災計画に記載されている発生原単位を示す 全壊 大破した木造からは合計 0.5 t/m 2 の災害廃棄物が発生すると想定されていた 1995 年に高月らは兵庫県西宮市における倒壊家屋の解体作業に立ち会って 阪神 淡路大震災に伴って発生した解体廃棄物の発生状況を調査した それによると解体廃棄物の発生原単位は 0.62~0.85 t/m 2 であった ( 表 5) ただし この発生原単位には基礎コンクリートが含まれていた さらに木造 B の場合には庭の立木 ブロック塀の一部が含まれていた また 鉄筋コンクリートマンションの解体時には敷地内にある駐車場やその地下にある浄化槽及び貯水槽が含まれていた 一方で 表 6 に示す解体廃棄物は基礎コンクリートが含まれていないために発生原単位は他の文献よりも少なく 0.27 t/m 2 であった また ( 社 ) 全国解体工事業団体連合会が行った木造軸組構法住宅 20 棟の解体材量の組成分析調査によると 投入された建築資材の種類と量から推計した解体廃棄物は 0.428 t/m 2 で 実測した解体廃棄物はほぼ同じ値の 0.427 t/m 2 であることがわかった ( 表 7) これにより 資材投入量から解体廃棄物の排出量を推測することが可能であるとされている なお 京都大学平山修久准教授が東日本大震災における津波廃棄物発生量を推計する際に用いた発生原単位は 61.9 t/ 世帯 113 t/ 棟が用いられている 仮に世帯当たりの延べ床面積が 100 m 2 であると仮定すると 世帯を対象とした発生原単位は 0.619 t/m 2 である 1

表 1 災害廃棄物発生量の原単位 ( 東京都 )(t/ 棟 ) 廃棄物種別 廃木材 コンクリートがら 金属くず その他 合計 倒壊 木造 (93.7 m 2 ) 7.15 7.91 0.73 13.52 29.31 RC 構造 (212.28 m 2 ) 4.03 217.80 8.28 0.59 230.70 S 造 (244.8 m 2 ) 49.94 138.51 6.61 0.80 195.86 焼失 (93.7 m 2 ) 0.03 7.91 0.73 11.15 19.82 注 ( ) 内は,1 棟当たりの床面積 島岡隆行, 山本耕平 (2009) 災害廃棄物, pp12, 表 1-4. をもとに作成 表 2 災害廃棄物発生量の原単位 ( 兵庫県 ) 種類 可燃 / 不燃 ベース 単位 原単位 木造 可燃物 重量 t/m 2 0.179 容量 m 3 /m 2 0.47 不燃物 ( 含金属 ) 重量 t/m 2 0.392 容量 m 3 /m 2 0.37 RC 造 可燃物 重量 t/m 2 0.14 容量 m 3 /m 2 0.368 不燃物 ( 含金属 ) 重量 t/m 2 1.33 容量 m 3 /m 2 0.832 鉄骨造 可燃物 重量 t/m 2 0.14 容量 m 3 /m 2 0.368 不燃物 ( 含金属 ) 重量 t/m 2 1.13 容量 m 3 /m 2 0.59 注 1995 年 6 月 19 日兵庫県提示資料 島岡隆行, 山本耕平 (2009) 災害廃棄物, pp35, 表 2-6. をもとに作成 2

表 3 災害廃棄物発生量の内訳 ( 新潟県中越地震 ) 種類 1 棟当たり 可燃粗大ごみ 1.0 t 可燃ごみ 2.3 t 不燃粗大ごみ 0.1 t 不燃ごみ 2.2 t 廃家電 テレビ 0.9 台 冷蔵庫 1.1 台 洗濯機 0.6 台 エアコン 0.8 台 廃木材 7.2 t 木くず 2.1 t コンクリート殻 24.0 t 廃プラスチック 0.5 t ガラス 陶磁器 0.3 t 瓦 1.5 t 石膏ボード 1.7 t 鉄 アルミ 0.7 t 壁土 3.1 t その他 ( 残渣等 ) 2.4 t 島岡隆行, 山本耕平 (2009) 災害廃棄物, pp55, 表 3-5. をもとに作成 3

表 4 災害廃棄物発生量の原単位 (t/m 2 ) 木くず その他可燃物 構造 全壊 大破 焼失 全壊 大破 焼失 がれき類 その他不燃物 金属くず 木造 0.10 0.03 0.08 0.024 0.22 0.09 0.01 非木造 0.08 0.024 0.06 0.018 0.91 0.19 0.09 がれき類 その他の不燃物 金属くずについては 全壊 大破 焼失とも同単位とする ( 非木造建築物の発生原単位 は 県が推計した南関東地震における被害想定の RC 造 SRC 造 S 造 LGS 造等の加重平均値とした ) 川崎市防災会議 (2007) 平成 18 年度修正川崎市地域防災計画 ( 震災対策編 ), pp195. をもとに作成 表 5 災害廃棄物発生量の原単位 建築物 種類 延べ床面積 原単位 備考 木造 A 民家 158.09 m 2 0.62 t/m 2 木造 B 民家 88.36 m 2 0.71 t/m 2 鉄筋コンクリート 住宅用マンション 2352.61 m 2 0.85 t/m 2 駐車場 浄化槽含む 高月紘, 酒井伸一, 水谷聡 (1995) 災害と廃棄物性状 - 災害廃棄物の発生原単位と一般廃棄物組 成の変化 -, 廃棄物学会誌 6 (5): pp351-359. をもとに作成 表 6 標準的な木造専用住宅 100 m 2 の解体工事に伴い排出される廃棄物発生量 単位 木くず がれき類 金属くず ガラス 廃プラ 混合廃棄物 石膏ボード 畳 合計 1 容量ベース注 m 3 46.0 3.9 8.5 0.5 3.5 12.0 4.5 1.5 80.4 みかけ比重 m 3 /t 4.76 0.88 13.67 1.74 13.39 1.23 2.57 7.56 重量ベース t 9.7 4.4 0.6 0.3 0.3 9.8 1.8 0.2 27.0 注 1 解体工事による空隙を含むみかけの体積 建物の基礎コンクリートの数量は含まない 北海道用地対策連絡協議会事務局 (2010) 工作物調査積算要領等の一部改正について, 表 1, 表 12 をもとに作成 4

表 7 資材投入量と解体材排出量 (t/m 2 ) 解体材区分 投入量 ( 推計 ) 排出量 ( 実測 ) 木くず 0.129 0.087 がれき類 0.201 0.203 混合廃棄物 - 0.079 瓦 0.041 0.031 石膏ボード 0.010 0.012 建具 畳 0.013 0.005 廃プラ類 0.020 0.002 金属くず 0.010 0.006 ガラス 0.003 0.002 クロス 0.001 0.000 合計 0.428 0.427 桑原一男 (2008) 平成解体新書, pp120, 図表 5-1-4. をもとに作成 5