研究年報63集2号

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Taro-H29結果概要(5月25日最終)

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

Taro-① 平成30年度全国学力・学習状況調査の結果の概要について

H30全国HP

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

今年度は 創立 125 周年 です 平成 29 年度 12 月号杉並区立杉並第三小学校 杉並区高円寺南 TEL FAX 杉三小の子

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学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

123

教育と法Ⅰ(学習指導要領と教育課程の編成)

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

第 2 章 知 徳 体 のバランスのとれた基礎 基本の徹底 基礎 基本 の定着 教育基本法 学校教育法の改正により, 教育の目標 義務教育の目標が定められるとともに, 学力の重要な三つの要素が規定された 本県では, 基礎 基本 定着状況調査や高等学校学力調査を実施することにより, 児童生徒の学力や学

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

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平成 26 年度 高知県学力定着状況調査結果の概要 速報版 平成 27 年 2 月 高知県教育委員会

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2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ


山梨大学教職大学院専攻長 堀哲夫教授提出資料

(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

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2、協同的探究学習について

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平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

スポーツ教育学研究(2017. Vol.37, No1 pp.19-31)

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第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

3. 分析と結果 公表に対する配慮事項 公表に際しては 文部科学省が定めた平成 29 年度全国学力 学習状況調査実施要領に基づき 次の点に配慮して実施します 1) 本調査は 太子町の子どもたちの学力や学習状況を把握し分析することにより 全国 大阪府の状況との関係において教育及び教育施策の成果と課題を

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

平成 30 年度全国学力 学習状況調査 北見市の結果等の概要 Ⅰ 調査の概要 1 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析するとともに教育施策の成果と課題を検証し その改善を図り 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

4 調査結果について (1) 教科に関する調査の結果 ( 公立 ) の平均正答率を % として換算した市内の領域 観点 問題形式別正答率 グラフの途切れは, 問題が出題されなかった項目 < 小学校 > : 概要 : 課題 : 今後の学習ポイント国語 A( 基礎 ) 国語 B( 活用 ) 話すこと聞く

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パーソナリティ研究 2005 第13巻 第2号 170–182

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「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

IPSJ SIG Technical Report Vol.2014-CE-123 No /2/8 Bebras 1,a) Bebras,,, Evaluation and Possibility of the Questions for Bebras Contest Abs

①H28公表資料p.1~2

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定義 より, クロス集計表 C ij から, 類似係数 s ij と関連係数 t ij が得られる. 定義 t ij = s ij = a + d [0,1] a + d (a + c) + (c + d) [0,1] ただし, a = c = d = 0 のときは, t ij = 1 とする. 3

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課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

情報コーナー用

の間で動いています 今年度は特に中学校の数学 A 区分 ( 知識 に関する問題 ) の平均正答率が全 国の平均正答率より 2.4 ポイント上回り 高い正答率となっています <H9 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平

平成20年度

平成 25 年度学力定着状況確認問題の結果について 概要版 山口県教育庁義務教育課 平成 2 6 年 1 月 1 実施概要 (1) 目 的 児童生徒の客観的な学力状況の経年的な把握と分析を通して 課題解決に向けた 指導の工夫改善等の取組の充実を図る全県的な検証改善サイクルを確立し 県内す べての児童

本日 2012 年 2 月 15 日の記者説明会でのご報告内容をお送りいたします 文部科学省記者会でも配布しております 報道関係各位 2012 年 2 月 15 日 株式会社ベネッセコーポレーション代表取締役社長福島保 新教育課程に関する校長 教員調査 新教育課程に関する保護者調査 小学校授業 国語

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

3 単元の目標 (1) 電流と電圧との関係及び電流の働きに関する事物 現象に進んでかかわり それらを科学的に探究するとともに 事象を日常生活とのかかわりでみようとする 自然事象への関心 意欲 態度 (2) 電流と電圧との関係及び電流の働きに関する事物 現象の中に問題を見いだし 目的意識をもって観察

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調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

平成27年度全国学力・学習状況調査結果の概要

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単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

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4 研究内容 (1) 国際的な学力調査について近年 我が国の義務教育における 学力低下 について 新聞やテレビ等に様々な評論家が意見を述べている その根拠としている数値的な裏付けとなっているのが 次にあげる2つの国際的な学力調査における我が国の結果が前回の数値より下回っていたり 他の諸外国より数値的

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

愛媛県学力向上5か年計画

成績評価を「学習のための評価」に

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学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)のポイント

平成 30 年 1 月平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果と改善の方向 青森市立大野小学校 1 調査実施日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) 2 実施児童数第 6 学年 92 人 3 平均正答率 (%) 調 査 教 科 本 校 本 県 全 国 全国との差 国語 A( 主として知識

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

平成 28 年度山梨県学力把握調査 結果分析資料の見方 調査結果概況 正答数分布グラフ 分布の形状から児童生徒の解答状況が分かります 各学校の集計支援ツールでは, 形状だけでなく, 県のデータとの比較もできます 設問別正答率 無解答率グラフ 設問ごとの, 正答率や無解答率が分かります 正答率の低い設

平成 30 年度 品川区学力定着度調査 の結果から明らかになった課題と学力向上に向けた取組 ( 国語 ) 1. 国語の定着状況についての概要 どの学年もほとんどすべての項目において 目標値を上回った 昨年度から取り組んできた 文章を書き表す際の 言葉の正しい使い方の指導 が 言葉についての知識 理解

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論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

刊行に寄せて 青森県教育委員会では 小 中 高等学校 1 2 年間を見通した 縦の連携 を基軸とした学校教育を推進し 児童生徒の学力向上について取り組むべき方策を検討することを目的に 学力向上庁内戦略会議 を設置し 算数 数学 理科 英語の 3 教科について 児童生徒の学力向上に関する専門的な事項に

「標準的な研修プログラム《

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平成 30 年度全国学力 学習状況調査の結果について ( 速報 ) 1. 調査の概要 実施日平成 30 年 4 月 17 日 ( 火 ) 調査内容 1 教科に関する調査 ( 国語 A 国語 B 算数 数学 A 算数 数学 B 理科 (3 年に 1 回 )) A 問題 : 主として知識に関する問題 B

【資料4】「英検CAN-DOリスト」の概要と「提言1」に関する調査報告)(抜粋)

平成 28 年度埼玉県学力 学習状況調査各学年の結果概要について 1 小学校 4 年生の結果概要 ( 平均正答率 ) 1 教科区分による結果 (%) 調査科目 羽生市 埼玉県 国語 算数 分類 区分別による結果 < 国語 > (%) 分類 区分 羽生市 埼

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教職研究科紀要_第9号_06実践報告_田中先生ほか04.indd

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる さらに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイ

5 学習到達度調査の基本的な考え方学習到達度調査では 各教科の設問ごとに 目標値 を定め 児童 生徒の 正答率 がこの 目標値 に対して -5ポイント以上から +5ポイント未満の間であった場合 目標値と同程度としている 目標値 学習指導要領に示された内容について標準的な時間をかけて学んだ場合 設問ご

24 京都教育大学教育実践研究紀要 第17号 内容 発達段階に応じてどのように充実を図るかが重要であるとされ CAN-DOの形で指標形式が示されてい る そこでは ヨーロッパ言語共通参照枠 CEFR の日本版であるCEFR-Jを参考に 系統だった指導と学習 評価 筆記テストのみならず スピーチ イン

The Japanese Journal of Health Psychology, 29(S): (2017)

ICTを軸にした小中連携

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東北大学大学院教育学研究科研究年報第 63 集 第 2 号 (2015 年 ) IRT 尺度値を利用した中学校理科のパフォーマンスの 解釈について 電力の課題を例に 柴 山 * 直 千 葉 陽 ** 子 思考力 判断力 表現力等の高度な複合的学力を育てるとされるパフォーマンスアセスメントは, その一方で, 評価者の主観的な判断に頼る部分が大きいため評価結果が安定しない欠点をもつ 本研究では, 中学校理科を例に, パフォーマンスの解釈に IRT 尺度値を用いることで客観性を担保することを試みた 具体的には, 中学 2 年生に理科の学力を測る客観式調査とパフォーマンス課題の 2つのテストを課した そのデータを用いて, 客観式調査については, 同時尺度調整法によって第 1 学年と第 2 学年の項目を同一尺度上に位置づける等化を行った その上で, パフォーマンス課題の結果を分析すると, 予備調査, 本調査ともに学力のレベルが上がるにつれて着目する観点が増える傾向があることが見いだされた キーワード : パフォーマンスアセスメント, 中学校理科,IRT, 等化, ルーブリック 1 問題と目的知識基盤社会, グローバル社会を生きる現代の子どもたちには, 基礎的 基本的な知識 技能の習得や思考力 判断力 表現力, 共存 協力が必要とされている 平成 25 年度までに全面実施がなされた現行学習指導要領のもとでは, 基礎的 基本的な知識 技能の習得, 知識 技能を活用して課題を解決するために必要な思考力 判断力 表現力等がすべての教科において重視され, これらをいわば車の両輪として相互に関連させながら伸ばしていく教育活動が行われることとなった ( 中央教育審議会,2008) 特に算数 数学, 理科では観察 実験, 課題学習を充実させるように求められており, 理系教科の重視, 思考力 判断力 表現力の重視が近年の動向である このような学力像に基づいて,2010 年に改訂された指導要録では 関心 意欲 態度, 思考 判断 表現, 技能, 知識 理解 の 4 つの観点が設定された これらの観点のうち, 思考力 判断力 表現力の評価にはパフォーマンスアセスメントの方法が用いられているとしている パフォーマンスアセスメントとは, アメリカにおいて1980 年代後半に登場した 真正の評価 論に伴って開発されたものである この評価においては, どれほど学習目標を達成できたかを採点者が質的に判断を 教育学研究科教授教育学研究科博士課程前期 * ** 213

IRT 尺度値を利用した中学校理科のパフォーマンスの解釈について する この際, 主観的な判断に陥らないように, 評価者を複数にする, 評価基準表 ( ルーブリック ) を用いる等の対策がなされることが多い しかしながら, ルーブリックには元より主観が含まれている 石井 (2010) によると, 一般的なルーブリックの開発のための手順の一例は,1 試行としての課題を実行し多数の児童生徒の作品を集める,2 あらかじめ数個の観点を用いて作品を採点することを同意しておく,3 それぞれの観点について一つの作品を少なくとも3 人が読み,6 点満点で採点する,4 次の採点者にわからぬよう付箋に点数を記して作品の裏に貼り付ける,5 全部の作品を検討し終わった後で全員が同じ点数をつけたものを選び出す,6 その作品を吟味しそれぞれの点数に見られる特徴を記述する, というものである この例からわかるように, ルーブリック開発の過程において, 解答の採点や観点の設定は評価者の経験に裏付けられて行われていることがわかる ルーブリックは本来, 主観を可能な限り排除する目的で使用されるものであるにもかかわらず, 主観的な指標に基づいて作成されている 先に述べた日本の現状から, 近年注目されており, 様々な場面で採用されているパフォーマンスアセスメントにはルーブリックの作成がほとんど経験に基づいて行われているという問題があると言える パフォーマンスアセスメントは信頼性が低く, 主観に基づく判断から逃れられないとしばしば言われるが, 主観を取り除くための機能を持つルーブリック自体も主観的な判断によって作成されている つまり, このルーブリック作成法が続く限り, 主観からは根本的に逃れられないのである そこで, パフォーマンスアセスメントの信頼性を高めるために,IRT モデルに基づく尺度値 θをパフォーマンスの解釈の参考とする この手法においては, まず, 妥当性, 信頼性ともに高い客観式テストから推定される尺度値 θによって学力が保証される そして, その保証された学力に基づいてどのようなことができるかといった観点でパフォーマンスを記述することによって, そのパフォーマンスの段階を位置付けることができる 本研究では, 佐藤 柴山 (2013) で提案されたルーブリック作成の手法をもとに, 中学校理科を題材にし, パフォーマンスの解釈に客観式テストから得た尺度値 θを用い, 尺度値 θとパフォーマンスの関係を明らかにすることを目的とする この手法によって得られたパフォーマンスの特徴や観点をルーブリック開発時に用いることで, 信頼性を担保するに十分な仕様のものが作成できると期待される 2 予備調査本研究で用いる課題の選定のために, 宮城県内 A 市立 a 中学校の協力を得て, 平成 26 年 1 月に予備調査を行った 調査対象者は第 1 学年 1 学級 33 名, 第 2 学年 1 学級 34 名であった この調査においては, 客観式調査 ( 理科 ) とパフォーマンス課題の2つの問題冊子を配布し, 解答してもらった 客観式調査 ( 理科 ) は, 両学年ともに, 新潟県における平成 18 年度 全県学力調査 から未履修項目等を削除した15 項目からなる この調査結果から, 尺度値 θを推定した 項目パラメタ ( 識別力, 困難度 ) の推定は新潟県における平成 18 年度 全県学力調査 のデータ ( 受検者 : 中学校第 1 学年 22035 214

東北大学大学院教育学研究科研究年報第 63 集 第 2 号 (2015 年 ) 名, 第 2 学年 21520 名, 実施 : 平成 18 年 1 月 ) を用い, それぞれの学年についてあらかじめ行った 受検者パラメタ ( 尺度値 θ) の推定は最尤法による なお, これらのパラメタ推定には EasyEstimation ( 熊谷,2009) を使用した パフォーマンス課題は, 両学年ともに第 1 分野と第 2 分野から1 題ずつ, 計 2 題を出題した なお, これらの課題は全国の公立高等学校入試問題を参考にして a 中学校教員と作成した 第 1 学年の客観式調査において全問正答者は1 名, 全問誤答者は0 名であったため, 尺度値 θの推定が不可能な受検者は1 名であった この1 名を除いた際の尺度値 θの平均値は -0.388, 標準偏差 0.895, 最大値 1.463, 最小値 -1.781 であった 尺度値 θが0.307から1.463までの受検者と全問正答者を H 群 (N=11) とし,-0.704 から -0.001 までの受検者を M 群 (N=10) とし,-1.781から -0.899までの受検者を L 群 (N=12) として 3 群に分割した 第 1 学年のパフォーマンス課題は, 第 1 分野の項目が圧力に関する実験手順を問うものであった この課題は, スポンジの上にレンガを置き, レンガの面によってどのようにスポンジが沈むのかを調べ, 面積と圧力について考察することを想定したものであった この項目について学力群ごとにパフォーマンスの傾向を見ると,H 群については, 実験の操作と判断基準について想定した範囲内で記述をしている受検者が多く見られた また, スポンジの上にレンガを置くといった操作のみを記述する受検者が最も少ないことから, 問題文の説明と同様の状況を再現する実験を行うということが理解できていると考えられる M 群については, 手順について正しく記述できる受検者は同時に面積と沈み方の関係性についても正しく記述できる傾向が見られた その一方で, 受検者の思考を理解することが難しいパフォーマンスが最も多く見られた L 群については, 実験の操作について正しく記述ができた1 名と, 操作や判断記述については記述がないものの, 面積と沈み方について正しく記述ができた1 名以外のほとんどはスポンジの絵を描くにとどまるか, スポンジの上にレンガを置く という記述をしていた この結果から, 学力群のレベルが高くなるにつれて実験のイメージを伝えることができると言える しかしながら, この結果は, 理科に関わる力というより問題文の読み取りといった国語に関わる力を測定している部分が多く占めている可能性がある したがって, この項目は調査項目としては適切でないと判断した 一方, 第 2 分野の項目は, 植物の光合成と呼吸についての実験結果を記述するものであった この項目は,4 つの試験管の変化を予想し, 試験管内で起きている現象について説明をすることを想定したものである H 群に属するほとんどの受検者は望ましいパフォーマンス, つまり正しい記述が見られた 特に, 光合成をする試験管を選択し, 光合成の仕組みについて記述することについては他の群との差が顕著であった その一方で,L 群に属する受検者は光合成も呼吸もしない試験管についてはわかるが, それ以外に関する記述は少なかった また,M 群に属する受検者と L 群に属する受検者からは, 光が当たらない試験管の中のオオカナダモはしおれてしまう といった興味深い解答が見られた これらの結果から, 第 1 学年のパフォーマンス課題としては第 2 分野の項目のほうがふさわしいと言える 第 2 学年の客観式調査において, 全問正答者は6 名, 全問誤答者は0 名であったため, 尺度値 θの 215

IRT 尺度値を利用した中学校理科のパフォーマンスの解釈について 推定が不可能な受検者は6 名であった この6 名を除いた際の尺度値 θの平均値は -0.02, 標準偏差 0.96, 最小値 -1.98, 最大値 1.76 であった θについて,0.98 ~ 1.76と全問正答者を H 群 (N=12), -0.43 ~ 0.74を M 群 (N=11),-1.98 ~ -0.50 を L 群 (N=11) と3 群に分割した 第 2 学年のパフォーマンス課題は, 第 1 分野の項目が電力に関する項目であった この項目は,2 種類の回路のいずれかと2 種類の抵抗のいずれかの組み合わせにより得られる4つの選択枝から, 最も豆電球が暗くなる回路を選択し, 電力の考え方を用いて電流と電圧に着目し, 部分抵抗や全体抵抗の計算等の結果から選択の根拠を示すことを想定したものであった 選択枝の正答率は M 群が最も低く,H 群と L 群はほとんど同じ正答率であった 選択理由については, 全体的に見ると回路について着目して解答した割合がどの群においても高くなった H 群については, 電流, 抵抗, 回路といった多くの観点に着目して選択枝を選択した受検者が多く見られた 正答した H 群と L 群の受検者の多くは電圧に着目しており, 電圧が正しい選択枝を選択する要因となったように見える この結果から, 解答に際して根拠となる電流, 抵抗, 電圧, 回路の4つ観点に対してどのように着目したかによって受検者の評価ができる可能性があると言える 一方, 第 2 分野の項目は, オタマジャクシとカエルの違い, カエルの飼育について文章のみならず表や図を用いて表現するものであった この項目では, いずれの小問においてもほとんどすべての受検者が望ましいパフォーマンス, 予想されるパフォーマンスやそれ以上のパフォーマンスを行っていた したがって, 学力群の間にパフォーマンスの差が生まれず, 本研究で用いる課題としては適切ではないと言える 予備調査を終えて, 信頼性係数についての課題が残った 予備調査で使用した15 項目からなる客観式調査のクロンバックのα 係数は, 第 1 学年の調査では0.73, 第 2 学年の調査では0.69であった このような数値であっても, テストとして十分な性能を備えているものも実際に存在する しかし, 全県学力調査 では 25 項目からなる第 1 学年, 第 2 学年の調査ともにクロンバックのα 係数は0.8であったことから, 客観式調査においては項目数が少ないことが影響して信頼性が高いとは言えない結果となったことがわかる 後述する本調査では, この課題を解決するために, 第 1 学年と第 2 学年の客観式調査項目を同一尺度上に位置付け, 両年度の項目を用いることで項目数を増やし, その結果としてテストの信頼性を担保することとした この手続きを行うにあたり, 調査対象を第 2 学年に絞り, パフォーマンス課題は第 1 分野の項目を使用することとした 本調査のために, 予備調査の問題冊子から第 2 分野の項目を削除し,A4 版 1 枚分に選択枝と選択理由を書けるようにした また, 問題文の下方の空欄には計算欄を設けた 3 本調査予備調査の結果を踏まえて, 宮城県内 B 市立 b 中学校の協力を得て, 平成 27 年 1 月に本調査を行った 調査対象者は第 2 学年 6 学級 216 名であった 予備調査と同様に, 客観式調査 ( 理科 ) とパフォーマンス課題の2つの問題冊子を配布し, 解答してもらった 本調査における客観式調査 ( 理科 ) は, 第 1 学年の14 項目と第 2 学年の 11 項目を合わせて25 項目で構成し, 同時尺度調整法によって同一尺 216

東北大学大学院教育学研究科研究年報第 63 集 第 2 号 (2015 年 ) 度上に位置付けた この手順においては, 新潟県における平成 18 年度 全県学力調査 のデータ ( 受検者 : 中学 1 年生 22035 名, 中学 2 年生 21520 名, 実施 : 平成 18 年 1 月 ) と本研究で得たデータを用いた 受検者パラメタ ( 尺度値 θ) の推定は最尤法による なお, これらのパラメタ推定には EasyEstimation( 熊谷,2009) を使用した その結果, 識別力母数の等化前後の相関係数は0.995, 困難度母数の相関係数は 0.998 となった 識別力 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 等化前等化後 -3-2 -1 0 困難度図 1 等化前後の項目母数の推定値の変化 図 1は等化前後の識別力と困難度の推定値の変化を表したものである この図から, 識別力が大幅に上がっている項目が存在することがわかる これは, 本来, 第 2 学年の生徒にとっては難易度の低いはずの第 1 学年の項目に対して誤答したために, 能力分布が広がり, 結果として識別力が上がったものと考えられる 本調査の客観式調査 ( 理科 ) において, 全問正答者が4 名, この4 名を除いた尺度値 θの平均値は -0.350, 標準偏差 0.972, 最小値 -3.470, 最大値 2.331であった 尺度値 θについて, 全問正答者を含めた216 名を72 名ずつ値の低い順に L 群,M 群,H 群と3 群に分割し, パフォーマンス課題の解答を分析した 全体の傾向としては, 学力群のレベルが上がるごとに選択枝の正答率は上昇し, 観点の着目率が上昇した 217

IRT 尺度値を利用した中学校理科のパフォーマンスの解釈について 着目率 (%) 0 20 40 60 80 100 H 群 M 群 L 群 電流抵抗電圧回路観点図 2 学力群ごとの観点への着目率 図 2から, 電流と回路については学力群の間に大きな差は見られないが, 抵抗への着目には大きな差が見られることがわかる その一方で, 学力群ごとの特徴も見られた 特に M 群では回路と豆電球の明るさの関係について 直列回路は豆電球を2つつなげたとき, あまり光が出なかったから といった実験などで得た直接的な経験をもとに主観的な解答する生徒が目立った また, 予備調査を行った a 中学校と比較をすると,2 点の大きな違いが見られた 1つは, 観点への着目率と正答率の関係である a 中学校では, 観点への着目率が高い受検者ほど正答率が高いという結果であったが,b 中学校の H 群においては抵抗の観点のみで正しい選択枝を選択している受検者が多く見られた その他の点として, 抵抗への着目の仕方が挙げられる a 中学校では抵抗について計算する受検者が多く見られたが,b 中学校では計算によってではなく, グラフの読み取りによって状況を把握している受検者が多く見られた 4 考察本研究より,IRT 尺度値を利用することによって, 学力群が高いほど, 多面的な視点で解答を考える割合が増加すること, 並びに学力群とパフォーマンスの特徴を関連付けることが示せた しかしながら,a 中学校との比較からわかるように, 学校の違い, あるいは指導者の違いによって思考の過程が異なっていた 先に述べた2 点の違いのうち, 観点への着目の仕方は, 着目した観点の数を示す軸とそれぞれの観点についてどれほど深く考えたかを示す軸の2つの異なる軸についての情報を与えた また, 抵抗への着目の仕方については, 数式を用いて解答を導く数学的な思考のパターンと, 資料を読み取るという資料活用能力を用いた解答パターンが見られたことで, 理科以外にど 218

東北大学大学院教育学研究科研究年報第 63 集 第 2 号 (2015 年 ) のような教科と関連づけて学習を行っているかが明らかになった これらのことは, 同様の調査を指導者の異なる受検者を対象にした際, 指導者の学習展開に影響を受けた解答が得られる可能性を示している 言い替えれば, ルーブリックの作成には個別の生徒集団の性質や教師の指導方法 指導方針などへの配慮が必要となると指摘できる 付記 本研究は JSPS 科研費 25380867 の助成を受けたものである 文献 AERA(2014).Standards for educational and psychological testing. 中央教育審議会 (2008). 幼稚園, 小学校, 中学校, 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について ( 答申 ). 中央教育審議会 (2010). 児童生徒の学習評価の在り方について ( 報告 ). Doran, R., Chan, F., Tamir, P. & Lenhardt, Carol.(2002).Science Educator s Guide to Laboratory Assessment.( 古屋光一 ( 監訳 )(2007). 理科の先生のための新しい評価方法入門 高次の学習を育てるパフォーマンス課題, その実践例. 北大路書房.) 遠藤貴広 (2012). 教育評価改革の持続可能性をめぐる実践上の論点 ニューヨーク州テスト政策に対抗する草の根の取り組みを事例に. 福井大学大学院教育学研究科教職開発専攻 ( 教職大学院 ) 教師教育研究,5,255-263. Hart, D(1994).Authentic Assessment A Handbook for Educators.Dale Seymour Publications.( 田中耕治 ( 監訳 ) (2012). パフォーマンス評価入門 真正の評価 論からの提案. ミネルヴァ書房.) 池田央 (1994). 現代テスト理論. 朝倉書店. 石井英真 (2010).Ⅳ 教育目標と教育評価の関係 7ルーブリック.( 田中耕治 ( 編 )(2010). よくわかる教育評価第 2 版. ミネルヴァ書房.) 石井英真 (2011). 第 1 章パフォーマンス評価の理論第 3 節パフォーマンス評価をどう実践するか.( 田中耕治 ( 編 ) (2011). パフォーマンス評価思考力 表現力 判断力を育む授業づくり. ぎょうせい.) 加藤健太郎 山田剛史 川端一光 (2014).R による項目反応理論. オーム社. 岸本実 (2010).Ⅶ 学力評価のさまざまな方法 11パフォーマンス評価 : パフォーマンス課題とそのつくりかた.( 田中耕治 ( 編 )(2010). よくわかる教育評価第 2 版. ミネルヴァ書房.) Lane, S. & Stone, C. A. (2006). Performance Assessment. (Robert L. Brennan (Ed.)(2006). Educational Measurement (American Council on Education/Oryx Press Series on Higher Education). 4 th ed.) 松下佳代 (2007). パフォーマンス評価. 日本標準. 文部科学省 (2008). 小学校学習指導要領. 文部科学省 (2008a). 中学校学習指導要領. 文部科学省 (2008b). 中学校学習指導要領解説理科編. 村木英治 (2011). 項目反応理論. 朝倉書店. 新潟県教育委員会 (2005). 平成 16 年度 全県学力調査 報告書. 新潟県教育委員会 (2007). 平成 18 年度 全県学力調査 報告書. 西村和雄 戸瀬信之 (2004). アメリカの教育改革. 京都大学学術出版会. 219

IRT 尺度値を利用した中学校理科のパフォーマンスの解釈について 西岡加名恵 田中耕治 ( 編 )(2009). 活用する力 を育てる授業と評価中学校 パフォーマンス課題とルーブリックの提案. 学事出版. 西岡加名恵 (2010).Ⅶ 学力評価のさまざまな方法 1 学力評価の方法の分類.( 田中耕治 ( 編 )(2010). よくわかる教育評価第 2 版. ミネルヴァ書房.) 野口裕之 大隅敦子 (2014). テスティングの基礎理論. 研究社. 佐藤誠子 柴山直 (2013).IRT モデルにもとづく学力評価ルーブリック作成手法の試み 面積比較課題を例として. 日本教育心理学会第 55 回総会論文集,38. 田中耕治 ( 編 )(2002). 新しい教育評価の理論と方法第 Ⅰ 巻理論編. 日本標準. 田中耕治 ( 編 )(2010). よくわかる教育評価第 2 版. ミネルヴァ書房. 田中耕治 ( 編 )(2011). パフォーマンス評価思考力 表現力 判断力を育む授業づくり. ぎょうせい. 豊田秀樹 (2012). 項目反応理論 入門編 ( 第 2 版 ). 朝倉書店. Welch, C.(2006). 第 13 章パフォーマンステストの問題作成 (Steven M. Downing and Thomas M. Haladyna Eds. (2006).Lawrence Erlbaum Associates, Inc)( 池田央 ( 監訳 )(2008). テスト作成ハンドブック. 教育測定研究所.) Yen, W. M. & Fitzptrick, A. R.(2006).Item response theory.(robert L. Brennan(Ed.)(2006).Educational Measurement (American Council on Education/Oryx Press Series on Higher Education).4 th ed.) 220

東北大学大学院教育学研究科研究年報第 63 集 第 2 号 (2015 年 ) Interpretation of the Performance of the Junior High School Science using IRT Scale Scores: A performance task for Electricity unit Tadashi SHIBAYAMA (Professor, Graduate School of Education, Tohoku University) Yoko CHIBA (Graduate Student, Graduate School of Education, Tohoku University) Recently performance assessments are adopted as methods of evaluating complexachievement such as higher-order thinking, problem solving and so on. But this type of methods relies on raters subjective judgement so that its reliability is not so high. This article tried to refer to the scales based on IRT in interpreting junior-high school students performance of science. In practice, students answered objective test about science and a performance task about a unit of this subject which is called as electric power. Using the data, the items of objective test was carried out equating to position the first grade and second grade items on the common scale by a concurrent calibration method. And analyzing the results of the performance task with IRT scale scores, there was a tendency to increase the number of points of view of interest as the level of academic achievement increases. Key Words:Performance assessment,junior high school science,irt,equating,rubric 221