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アフガニスタン クンドゥーズ州における MSF 外傷センター爆撃に関する内部調査第 1 次報告書 2015 年 11 月

アフガニスタン クンドゥーズ州における MSF 外傷センター爆撃に関する内部調査第 1 次報告書 2015 年 11 月 アフガニスタン クンドゥーズ州で 2015 年 10 月 3 日 ( 土 ) 国境なき医師団 (MSF) が運営する外傷センターが空爆された 本稿は 空爆が起きる前から直後までの経緯を精査した内部調査の結果をまとめた第 1 次報告書である 内部調査は 現地雇用スタッフと外国人派遣スタッフからの聞き取りのほか 組織内外の情報 爆撃前後に撮影された外傷センターの写真や衛星画像 電子メールの通信記録と電話の通話記録に基づいている 調査は現在も進行中であり 本稿が MSF の内部調査の最終報告ではない 本報告書は クンドゥーズ州における MSF の活動実績に始まり 爆撃前後の経緯を時系列で振り返る内容となっている クンドゥーズ州における MSF の活動実績 MSF がクンドゥーズ州に外傷センターを開設し活動を開始したのは 2011 年 8 月 1 同センターは アフガニスタン北東部で唯一の外傷治療施設として 交通事故などによる一般外傷の患者や 爆風 銃撃による損傷など紛争に関連した外傷患者に質の高い外科治療を無償で提供してきた 病床規模は 92 床であったが 2015 年 9 月末の戦闘激化に伴い患者数がかつてないほど急増したため 例外的に 140 床まで増設して対応していた 救急診療部門 手術室 3 室 集中治療室 レントゲン室 薬局 理学療法室 検査室などを備え 合計 460 人のスタッフが勤務していた MSF は 2015 年 6 月 24 日に クンドゥーズから約 15 km離れたチャルダラ地区に診療施設を新設 看護師を複数人配置し ここで応急手当てをしてから外傷センターに搬送するという体制が取られていた 2011 年の開設以来 外傷センターでは 1 万 5000 件以上の外科手術が実施され 6 万 8000 人を超える救急患者が治療を受けた 下のグラフが示すように 患者数はその後も増え続け 2015 年には過去最高値に達した 2 1 クンドゥーズで活動を開始した MSF は すべての医療サービスを無償で提供 治療は 民族 宗教 政治的帰属にかかわらず 患者の医療ニーズに基づいてのみ提供されていた 2 暴力による外傷とは 地雷や爆風による損傷 銃創 刺創 暴行によるけがなど 不慮の外傷とは 交通衝突事故 転倒 予期せぬ熱傷 そのほかのけが 2

手術室で実施された処置件数 500 450 400 350 300 250 200 Total 合計 暴力による外傷 Violent trauma 暴力によらない不慮の外傷 Unintentional, non-violent trauma 150 100 50 0 2011 2012 2013 2014 2015 年 2014 年には 外傷センターで治療を受けた患者数は 2 万 2000 人を超え 4242 件の外科手術が実施された 2015 年には 最初の 8 ヵ月間で 3262 件の外科手術が実施された MSF はクンドゥーズで活動するにあたり周到な協議プロセスを踏み アフガニスタン政府保健当局と反政府武装勢力の傘化にある衛生局をはじめ 紛争の全当事者から MSF の運営する医療施設の中立性を尊重する合意を得ていた 合意は 以下の点をはじめ 国際人道法で該当する条項に言及する内容であった - 傷病者を差別なく治療する権利を保障 - 治療中の患者やスタッフの保護と 嫌がらせが行われないことを保証 - 医療者としての任務を遂行したことに対する訴追の免除 - 医療情報および患者の個人情報保護 - 病院敷地内への 武器の持ち込み禁止 の原則を尊重 これらの取り決めについては 米軍 ( 常備軍および特殊部隊 ) 国際治安支援部隊 (ISAF) とその後を引き継いだ 確固たる支援任務 の部隊 アフガニスタン政府軍 国家警察 国家安全保障関連機関 反政府武装勢力の軍事組織など 紛争に関わるすべての軍関係者と協議の上 各陣営から承認を得ていた 各陣営の現地配備兵力は MSF 施設内への 武器の持ち込み禁止 の承諾という形で この合意を是認していた MSF は 外傷センター敷地内への 武器の持ち込み禁止 を実現するために 民間の非武装警備員を雇用し 住民や紛争の全当事者との二者間協議を継続していた 3

外傷センター空爆の 1 週間前 (9 月 28 日 ~10 月 2 日 ) 3 9 月 28 日 月曜日 アフガニスタン政府軍とタリバン勢力が 4 9 月 28 日早朝 クンドゥーズ市内で激しく衝突 MSF は 多数の負傷者の受け入れに備え 集団外傷対策を展開した 通勤のための市内の移動と 通勤さえできない状況を回避するため MSF は医療スタッフおよび病院運営に不可欠なスタッフに対し 病院に宿泊するよう依頼した その日の正午には 病院運営に不可欠なスタッフ以外の現地雇用スタッフと外国人スタッフを帰宅させた 5 規定に従い 6 MSF スタッフが患者にどの武装勢力に所属するのかを確認するようなことはなかったが 患者が身に着けている制服や身分を証明する所持品などから 多くの負傷戦闘員が患者となっていたことは明らかであった 2011 年の開設以来 外傷センターに搬送される負傷戦闘員の大部分は 政府軍の兵士や警察だと見受けられた しかし 9 月 28 日の週からは 負傷したタリバン戦闘員が大半を占めるようになった 政府機関とタリバンの負傷者の割合は 戦闘の激しさ 戦線の位置 病院へのアクセス ほかの医療機関の利用の可否などの要素で変動した 戦闘激化を受け MSF は患者に対し 軍への所属を示す物や衣類を病院から撤去することを提案した これは MSF が常に実行していることで 敵対する紛争関係者を同じ病院内で治療する際に起こり得る緊張を緩和する狙いがある その後 政府軍負傷者の緊急転院を実施するためにアフガニスタン政府軍の代表者が外傷センターを訪れ 政府軍負傷者の大半を移送した 外傷センターに残されたのは 最も重篤な患者だけであった MSF が知る限りでは その後 新たに外傷センターに搬送されて来た政府軍の負傷者はいなかった 午後 6 時 MSF は 外傷センターの門前に現れた 2 人のタリバン戦闘員に タリバンがクンドゥーズを掌握したことを告げられた 午後 10 時までに 137 人の負傷者を治療した そのうち 26 人は子どもであった 大多数が銃撃を受けて負傷しており 腹部 四肢 頭部の重篤な外傷は外科医が治療にあたった 3 医療関係書類 カルテ 入院登録書は爆撃によって全焼した主要病棟に保管されていたため その大部分が消失した したがって 9 月 28 日 ~10 月 2 日の医療統計で MSF が回収できたのは 一部分のみである 4 通常 MSF は タリバンやアフガニスタンで活動するそのほかの反体制勢力を総称する用語として 反政府武装勢力(armed opposition groups) を使用している 本稿では 内部調査の対象となった人びとが最も頻繁に使用していた タリバン勢力 (Taliban forces) という呼称を採用している 5 MSF では 治安が悪化した場合に 人命救助のための医療活動に不可欠なスタッフに絞ってチームを縮小することが頻繁に行われている 6 中立な立場の医療組織である MSF が 患者に所属する武装組織を確認することはない 医療とは無関係の情報だからだ 患者のカルテに民間人 (civilian) を指す C や軍人(military) を指す M が記載されることはあるが これは病院内への 武器持ち込み禁止 のルールに従って病院入り口で武器を預かるからだ そのほか どの勢力に所属するかなどの情報が記録されることはない 軍人 と記録される患者も負傷していれば 国際人道法に従い 戦闘員とは見なされず 病院内では保護対象となる 4

9 月 29 日 火曜日 MSF は 外傷センターが負傷者で満床になっている状況をプレスリリースで発表 患者の急増で 直ちにベッド数を 92 床から 110 床に増やしましたが 追いついていません これまでに受け入れた患者は 130 人で 事務室や廊下まで使って対応しています 受け入れ能力の限界に達しつつありますが 戦闘は続いており これ以上の負傷者が来ると対応できない恐れがあります と 事態の深刻さを訴えた 7 この日 MSF はタリバンの代表者を訪問し この時の戦闘で負傷したほかの重症患者のためにベッドを空ける必要があること そのためには何人かの患者を退院させ 経過観察が必要な患者はチャルダラ地区にある MSF の診療所を紹介するなどの対応を協議した 空港に緊急医療物資を引き取りに行った MSF の車両が 戦線を通過中に狙撃された 乗車していた MSF スタッフは身の安全のために車両を乗り捨てたが 翌日 回収した 医療物資は被害を受けていなかった クンドゥーズ州での戦闘激化を受け MSF は現地で以前から広く周知されていた MSF 外傷センターの GPS 座標を改めて米国防総省 アフガニスタン内務省 アフガニスタン国防省 そして首都カブールに駐留する米軍に電子メールで伝えた このとき共有された同センターの GPS 座標は 主要病棟が北緯 36 43'4.91 東経 68 51'43.96 であり 事務部門の管理棟が北緯 36 43'4.29 東経 68 51'42.62 である GPS 座標は米国防総省と米軍に確認され 両者ともこの座標が適切な当事者に伝えられたことを保証した アフガニスタン内務省からも口頭で確認を得た MSF は同じ GPS 座標を国連の連絡調整機関と共有し 北大西洋条約機構 (NATO) の主導による 確固たる支援任務 にも直接伝えられることを確認した 9 月 30 日 水曜日 外傷センターには 130 人の患者がおり そのうち約 65 人が治療中のタリバン戦闘員であった この日から多数の患者が退院し始め 中には医師の助言に反して出て行く患者もいた MSF がタリバンの代表者とベッド不足について協議したことが影響したのか クンドゥーズ奪還を目論む政府軍が反撃してくるとの噂が広まり 安全面全般に対する不安が高まったからなのか 自発的退院の理由は明らかではない 退院する患者がいる一方で 入院患者も後を絶たなかった 9 月 30 日までには 入院中の 2 人の負傷者がタリバン上層部の所属であるらしいことが MSF スタッフにもわかっていた その理由はいくつかあった 彼らが外傷センターに運び込まれた時 複数人の戦闘員が付き添っていたこと そして 速やかな治療と退院が実現するよう 彼らの健康状態について定期的に問い合わせがあったことなどである 7 http://www.msf.org/article/afghanistan-msf-hospital-overwhelmed-wounded-after-heavy-fighting-kunduz 5

10 月 1 日 木曜日 ワシントンの米国政府関係者から MSF に連絡があり 外傷センターか MSF が運営するほかの施設に大勢のタリバン構成員が 潜伏 していないか MSF スタッフの安全は確保されているかと質問を受けた MSF は クンドゥーズのスタッフが全力を挙げて負傷者の対応にあたっており 病院はタリバン戦闘員を含む多くの患者で満床状態のため 何人かはチャルダラ地区の MSF 診療施設に移送されたことを伝えた さらに MSF が継続して職務を遂行するためには医療施設保護を尊重する必要があることを 紛争の両陣営と確認していることを伝えた また 国連の民軍調整官からは クンドゥーズでの爆撃が続いている ことを理由に MSF が紛争の全関係者に通知している GPS 座標の場所から離れないように助言された 10 月 2 日 金曜日 同センターの入り口には MSF の旗が立てられていたが 10 月 2 日 さらに 2 本の旗が屋上に立てられた 8 同センターは爆撃の夜 クンドゥーズ市内で発電機から十分な電力を確保していた数少ない建物の 1 つであった 空爆の数時間前に フランスおよびオーストラリアの外交官から連絡が入り 外傷センターの外国人スタッフが拉致される危険性があることを警告された 9 月 29 日にも 外国人スタッフが拉致された場合に備えて携帯電話番号を提供するよう フランス大使館職員から依頼があった 9 当時 MSF の外国人スタッフには フランス人 2 名とオーストラリア人 1 名がおり ほかにはキューバ マレーシア ハンガリー 南アフリカ フィリピンからの外国人スタッフがいた MSF は独自のリスク評価を実施しているが その一環としてクンドゥーズのスタッフ 首都カブールの MSF 拠点 MSF 本部などと詳細にわたり協議し 拉致の危険性評価を行った その結果 拉致回避に向け安全対策を強化することを決断し 現地スタッフも含む全スタッフに非番の日も外傷センターの地下に設置された避難室か管理棟の事務室で就寝するように指示した 午後 10 時には MSF スタッフと患者の付き添い人 10 の計 100 人余りが集中治療室と入院病棟の地下に設置された避難室で就寝していた この地下室は 武力衝突が病院まで迫ってきた場合の避難用宿舎として準備されたものだ 前日まで激しい戦闘が繰り広げられていたのに対し その夜は極めて穏やかだったことに気付いたと 午後 10 時以降も起きていた人びとが証言している その日の夜 爆撃が始まるまで同センター内やその近隣は非常に落ち着いていたことを 現場にいた MSF スタッフ全員が証言している 周辺で戦闘は発生しておらず 航空機の飛行音も聞こえず 発砲や爆発の報告もなかった 何人かのスタッフによると その夜は病院敷地内で屋外に立っていられるほど穏やかであった それ以前の数日間は 病院の近隣で戦闘が起きていたため 流れ弾に当たる恐れから建物の 8 10 月 2 日には病院周辺の戦闘は落ち着いており MSF スタッフも流れ弾に当たる恐怖をさほど感じずに屋上に出ることができた 9 MSF は依頼された情報を 9 月 30 日に提供した 10 MSF の規定では 患者 1 人に対して付き添い人 1 人が院内に入ることを許されていた 6

外に出ることは控えられていた また 病院の門が閉まっていたことと MSF の非武装警備員が勤務に就いていたことを MSF スタッフ全員が証言している 10 月 3 日の午前 0 時 20 分から午前 1 時 10 分にかけて MSF のコーディネーターが通常通り病院敷地内を巡回し 夜間の安全確認を行った このコーディネーターの報告によると 外傷センターは落ち着いており 武装した戦闘員はいなかった 病院敷地内での衝突も 聞こえる範囲の近隣での戦闘もなかった MSF の警備員は全員勤務に就いており 外傷センターは完全に MSF の管理下にあった 外傷センターへの 武器の持ち込み禁止 ルールは尊重されていたと MSF スタッフ全員が証言している 11 空爆前の 1 週間 クンドゥーズで MSF が運営する病院内での 武器の持ち込み禁止 ルールは常に厳格に運用 管理されており タリバンとアフガニスタン政府軍がこの原則を順守していたことを スタッフ全員が報告している MSF 内部の事情聴取からは 外傷センターからの発砲も外傷センター周辺での発砲もなく 同センターは MSF の管理下にあり MSF の規則や手続きも完全に守られていたことが確認された 9 月 28 日 ~10 月 2 日の医療データ 9 月 28 日 ~10 月 2 日 外傷センターに入院する患者数は 1 日平均 117 人であった この期間の医療統計は 暴力による外傷の患者のものが主体となっている 9 月 28 日 ~10 月 2 日のわずか 6 日間で MSF が救急処置室で治療した患者数は 376 人にのぼった 赤 や 黒 カテゴリーの患者数から 入院時の重症度がうかがえる 12 9 月 28 日には 患者の 32% が 赤 や 黒 判定であった 9 月 29 日には 53% に増加したが 30 日に 35% に減少 10 月 1 日には再び 50% に増加し 翌日の 10 月 2 日には 26% に減少した これ以前の数ヵ月間では 救急処置室に運び込まれた時点で 赤 水準にあった患者の割合は平均 5% だった 外傷センターが空爆される前の 1 週間の患者の重篤さについては 戦闘で重傷を負うケースが増えたことや 最も重症な患者だけが抗争の最中でも治療を求めて外傷センターを訪れたことが理由だと MSF スタッフは説明している 9 月 28 日 ~10 月 2 日の 6 日間に MSF が救急処置室で治療した患者 376 人のうち 11% が女性であり 16% が 15 歳未満の子どもであった この期間 手術室で実施された外科手術は 138 件であった 空爆前の 1 週間に実施された外科手術の 29% は 開腹手術であった 13 11 重体患者を救急処置室に通すために 患者を運んできた人びとが所持品の検査を受けずに門の通過を許可された特殊なケースは 外傷センター開設以来 数回しかない その場合も 武器の持ち込み禁止 のルール逸脱は 早急に是正された 12 急患は南アフリカトリアージシステム (SATS) に基づいて 4 つのカテゴリーに色分けされる 赤 は一刻も早い処置が必要な患者 黒 は死亡者または到着直後に死亡した患者を示す そのほか 緑と黄色のカテゴリーがある 13 開腹手術とは 腹部の救急救命手術を指す 7

米国による空爆 (2015 年 10 月 3 日早朝 ) すべての証言をまとめると 米国による空爆開始は 10 月 3 日の午前 2 時から 2 時 8 分の間であった 爆撃は深夜だったが 当時 同センターではすべての部門で慌ただしく業務が行われていた 医療スタッフは穏やかな夜を有効活用し 対応が遅れていた患者の外科手術を実施していた 空爆開始時点のセンター内の患者は 105 人 MSF は そのうち 3~4 人が政府軍の負傷兵 20 人ほどがタリバン構成員の負傷者とみている 爆撃の時点で 敷地内には MSF の現地スタッフ 140 人と外国人スタッフ 9 人 赤十字国際委員会の国際救援職員 1 人がいた 14 爆撃は 1 時間ほど続いたといわれているが 1 時間 15 分という報告もある 収まったのは午前 3 時 ~3 時 15 分ごろであった 空爆中に MSF がかけた電話の通話記録の概要 15 空爆を停止させるべく MSF は電話とショートメッセージサービス (SMS) で繰り返し関係者に連絡を取った - 午前 2 時 19 分 カブールの MSF 活動責任者がアフガニスタンの 確固たる支援任務 に電話で連絡 病院が空爆による被害を受けたことを伝えた - 午前 2 時 20 分 カブールの MSF 活動責任者が赤十字国際委員会に電話で連絡 病院が空爆による被害を受けたことを伝えた - 午前 2 時 32 分 MSF カブールが国連人道問題調整事務所の民軍調整官に電話で連絡 空爆が行われていることを伝えた - 午前 2 時 32 分 ニューヨークの MSF がワシントンの米国防総省に電話で連絡 空爆について伝えた - 午前 2 時 45 分 カブールの MSF 拠点が国連人道問題調整事務所の民軍調整官から SMS 受信 空爆の情報が 様々な手段で 伝達されたとの連絡を受けた - 午前 2 時 47 分 カブールの MSF 拠点がアフガニスタンの 確固たる支援任務 に SMS 送信 スタッフ 1 人の死亡と 安否確認ができていない人びとが多数いることを伝えた - 午前 2 時 50 分 カブールの MSF 拠点がアフガニスタン内務省本省に空爆について伝えた アフガニスタン内務省からは地上部隊に連絡するとの返答があった - 午前 2 時 52 分 カブールの MSF 拠点が 確固たる支援任務 から 非常に遺憾だが 何が起きたのかまだ把握できていない との連絡を受けた - 午前 2 時 56 分 カブールの MSF 拠点が 確固たる支援任務 に SMS 送信 空爆停止を要求するとともに 多数の死傷者が予想されることを伝えた - 午前 2 時 59 分 カブールの MSF 拠点が 確固たる支援任務 から 最善を尽くす 無事を祈っている との SMS 受信 - 午前 3 時 4 分 カブールの MSF 拠点が 確固たる支援任務 に SMS 送信 病院が炎上していることを伝えた - 午前 3 時 7 分 カブールの MSF 拠点が国連人道問題調整事務所の民軍調整官に SMS 送信 病院が炎上していることを伝えた 14 9 月 28 日の時点では 赤十字国際委員会の医療スタッフが 2 人 外傷センターの医療活動の支援に入っていた 空爆時には その内の 1 人が病院にいた MSF スタッフで病院敷地内にいたのは 140 人 その内の約 80 人がその晩の勤務に就いていた 15 時刻は すべてアフガニスタンの現地時間 (GMT+4:30) 8

- 午前 3 時 9 分 カブールの MSF 拠点が国連人道問題調整事務所の民軍調整官から SMS 受信 空爆が停止したかについて問い合わせあり - 午前 3 時 10 分および 3 時 14 分の 2 回にわたり ニューヨークの MSF が米国務総省に空爆が続いていることを電話で連絡 - 午前 3 時 13 分 カブールの MSF 拠点が国連人道問題調整事務所の民軍調整官に SMS 送信 空爆が停止したことを伝えた - 午前 3 時 15 分 国連人道問題調整事務所の国連人道問題調整事務所の民軍調整官から SMS 受信 アフガニスタン北部の 確固たる支援任務 カブールの統合作戦センター (CJOC) カブールとアフガニスタン北部のアフガニスタン国軍 (ANA) に情報を伝達したとの連絡を受けた - 午後 3 時 18 分 ニューヨークの MSF がワシントンの米国防総省に SMS 送信 スタッフ 1 人の死亡と 生死の確認ができていない人びとが多数いることを伝えた 同センターの敷地内で 複数回にわたる精密かつ継続的な空爆の標的とされたのは主要病棟であり ほかの建物は比較的軽い被害にとどまっている 紛争の各陣営に通知されていた GPS 座標は同センター内の主要病棟を正確に指している ( 当該の座標は 爆撃を受けた主要病棟の正面玄関前から取得された ) アフガニスタン クンドゥーズ州 MSF 外傷センターの見取り図 破壊された主要病棟 1 集中治療室 2 検査室 3 救急処置室 4 メインホール 5 レントゲン室 6 外来部門 7 カウンセリングルーム 8 理学療法室 9 手術室 10 滅菌室 MSF 外傷センターの敷地 GPS 座標 MSF 外傷センター北緯 36 43'4.91 東経 68 51'43.96 MSF 事務部門管理棟北緯 36 43'4.29 東経 68 51'42.62 空爆開始直後に主要病棟が爆破された時 手術室は 3 室中 2 室が使用中であった 外国人スタッフ 3 人と現地スタッフ 23 人が この主要病棟で患者の治療および手術にあたっていた また 集中治療室に 8 人 手術室付近に 6 人の患者がいた 生存者は MSF 敷地内のさまざまな場所で空爆を目のあたりにした MSF スタッフによると 最初に爆撃を受けたのは集中治療室であった スタッフが寝たきりの患者の治療にあたっており 中には人工呼吸器を付けた患者もいた 子 9

どもも 2 人いた 集中治療室で重症患者の治療中だったスタッフは 最初の爆撃で即死したか 爆撃により病院を飲み込んだ炎によって死亡したと思われる 寝たきりの患者は 集中治療室のベッドで焼死した 集中治療室の爆破後も 空爆は主要病棟の東から西へと移動しながら続いた 爆撃は何度も繰り返され 集中治療室 資料室 検査室 救急処置室 レントゲン室 外来部門 カウンセリングルーム 理学療法室 手術室がすべて破壊された 空爆の第一撃のあと 手術室で勤務していた MSF 医療チームは滅菌室に避難 手術台の上にいた患者 2 人が空爆で命を奪われている 管理棟で就寝していた外国人スタッフは早い段階の爆音で目が覚めた 看護師 1 人が同棟に逃れてきたが 彼は 頭のてっぺんから足の先まで粉じんと血にまみれ 爆発で負傷した左腕がわずかな組織片により切断を免れていた 左目と中咽喉にも出血が見られた 看護師の容体を安定させるため 医療チームが同棟で緊急治療を行った 空爆が続いている間 プロペラ機の音が聞こえていたと多くのスタッフが語っている 病院の頭上を AC-130 対地攻撃機が旋回していたとの報告があるが その音とも一致する また 地面が揺れるほどの大爆発が複数回あったことが聞き取り調査からわかっており 再三の集中砲火の衝撃だと説明する人が多かった MSF スタッフは同機による銃撃も報告している 繰り返し空爆を受ける主要病棟から避難しようとした人びとが 機銃に撃たれるのを見た と多くのスタッフが語っている この銃撃は航空機からのものと思われ 逃げる人びとの後を追っていたようだとの報告もある MSF の医師や医療スタッフも敷地内の別の場所に逃れる際に銃撃されている ある MSF スタッフの報告によると 入院病棟からの避難を試みた車いすの患者 1 人が爆発の破片で命を奪われた また MSF の医師 1 人が爆発で片脚を切断され 事務机で代用した間に合わせの手術台で手術が行われたが 亡くなった 炎に包まれたまま逃げまどった末に意識を失って倒れる人びともいたと MSF スタッフ数人が報告している さらに MSF スタッフ 1 人が 爆発の破片で頭部を切断された 主要病棟が今回の爆撃の第一標的だが 同センター敷地内のほかの場所も被害を受け 南区域では破片創がもとで亡くなった非武装警備員 2 人が発見されている 10

アフガニスタン クンドゥーズ州 MSF 外傷センターの衛星画像 MSF 外傷センター北緯 36 43'4.91 東経 68 51'43.96 爆撃前 MSF 事務部門管理棟北緯 36 43'4.29 東経 68 51'42.62 2015 年 6 月 21 日撮影 MSF 外傷センター MSF 管理棟 爆撃後 2015 年 10 月 8 日撮影 MSF の敷地 主要病棟が主な標的であったことは衛星写真からも見て取れるが 手術部門の東側に位置する滅菌室のように空爆の被害をほとんど受けなかった部分もあり 空爆初撃の直後には 手術室にいたスタッフの多くが滅菌室に避難した 11

MSF スタッフの誰からも 空爆前や空爆時に武装戦闘員がいたという報告や 病院敷地内あるいは敷地内から外に向かって戦闘が行われたという報告はなかった 空爆は午前 3 時 ~3 時 13 分の間に停止した 少なくとも 30 人がこの空爆によって命を失った 亡くなった患者 10 人とスタッフ 13 人の身元は確認できたが 判別不可能な焼死体 7 体については 現在も身元確認の作業が続いている ( 遺体は手厚く埋葬された ) このうち 3 体は死亡したと思われる行方不明の MSF スタッフ 1 人と患者 2 人の遺体の可能性があるが 法医学検査の最終結果はまだ出ていない 患者の付き添い人も含まれていると考えられる 今後もがれきの下から遺体が発見される可能性があり 上記の死亡者数は最終値ではない 空爆後 (10 月 3 日 ) 16 空爆停止直後 管理棟には負傷者が殺到し ショックで嘔吐したり悲鳴をあげたりする人びとで大混乱だったと MSF スタッフは報告している 午前 3 時 ~4 時にかけて MSF スタッフの多くは避難した場所にとどまっていた 何人かは 集中治療室 手術室 救急処置室にいたはずの医療スタッフなど 行方不明の同僚を探し回っていた 爆撃直後から MSF 医療チームの一部スタッフが負傷者の救命治療を開始した 医療用品をかき集めると 管理棟の 1 室を仮設の救急治療室にして事務机や台所用のテーブルで手術を実施した また 負傷者を素早くグループ分けし 重体患者と危機的な状態ではない患者をトリアージ ( ) した 重体患者の中には MSF スタッフもおり 爆発による片脚切断 開放性胸部外傷 腹腔血管の破裂など さまざまな外傷が見られた MSF 医療スタッフは 大量出血患者の止血に取り組むと同時に 血液量減少性ショックの対応 胸腔ドレーンの挿入 疼痛管理などを行った 少なくとも MSF スタッフ 2 人が管理棟での手術中に亡くなった 重症度 緊急度などによって治療の優先順位を決めること MSF のコーディネーターが クンドゥーズ市内にある保健省管轄の州立病院に連絡を取り 負傷者を搬送する救急車を依頼した 保健省の救急車が外傷センターに到着したのは 午前 5 時 45 分ごろ 救急車の到着と同時に アフガニスタン特殊部隊の一部が MSF 病院内に立ち入ったと MSF スタッフ数人が報告している それ以外の特殊部隊員は 病院の正門にとどまっていたという 保健省と MSF の救急車各 1 台が 2 往復して患者を州立病院に搬送した 搬送すべき患者が多数いたことと 外傷センター周辺で戦闘が発生している最中にアフガニスタン特殊部隊が現れたことで 搬送を取り巻く状況は大混乱に陥った 州立病院内や 外傷センターを出発する救急車内に タリバンの患者を探そうとする特殊部隊 16 空爆が米国によって行われたことは 病院内のスタッフは当時知る由もなかったが その後 米国政 府と米軍代表者が公に認めた 12

員もいた 午前 6 時ごろ 2 台の救急車うち一方が外傷センターの正門を出る際に銃撃戦に巻き込まれた 車体には弾痕が残っている 午前 7 時 30 分 ~8 時 MSF 外国人スタッフと赤十字国際委員会の国際救援職員が空港に退避した アフガニスタン国軍からは MSF スタッフを軍用車で移送する申し出があったが MSF は MSF と識別できる車両で空港に向かうことを希望 最終的に MSF スタッフが乗車する MSF 車両の前後をアフガニスタン国軍車両が走行することに決定した 外傷センターに残留したスタッフの報告によると 午前 8 時 30 分ごろ 同センターの正門前で再び武力衝突が発生した 病院内にいた人びとは地下室に戻り そこでさらに 1 時間待機した 米軍による空爆が行われた 10 月 3 日以来 外傷センターは閉鎖したままである 結論 本調査では 米軍の空爆を受ける前から 2015 年 10 月 3 日の空爆直後までの経緯を振り返った この初期調査で考察した事実を元に MSF が導き出せる結論は以下のとおりだ 国際人道法に基づき 医療施設の中立性を尊重することが爆撃以前に取り決められ 紛争の全当事者から合意を得ていた 爆撃の時点で MSF 外傷センターには 105 人の患者がおり 外科処置も行われ 医療施設として全面的に機能していた 武器の持ち込み禁止 をはじめとする MSF の病院内規則が実践 尊重され 爆撃の時点で 同センターは完全に MSF の管理下にあった 爆撃の時点で同センター敷地内に武装戦闘員はおらず 近隣地区も含め 戦闘は発生していなかった MSF が通知した GPS 座標は正確なもので アフガニスタンとニューヨークに駐在する MSF チームはそれぞれ 爆撃が行われているとの警告を当事者に発していた 上記の結論からも 紛争地域で病院を運営するにあたり 実践的なルールについて幅広い合意と一貫した認識を得ることが急務であると言える すなわち クンドゥーズの外傷センターのように医療を提供する施設として機能している病 院から簡単に保護が消滅し 攻撃を受けるようなことがあってはならない 負傷した戦闘員は 差別なく治療し 攻撃されてはならない 負傷者を治療したことを理由に 医療要員を処罰したり攻撃したりするようなこ とがあってはならない 13