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第 3 回通信ケーブル 電話機と交換機 電話機の構成 防側音回路 ブリッジ回路 クロスバスイッチ 時間スイッチ 空間スイッチ 通信ケーブルの特性 デシベル 分布乗数回路 特性インピーダンス インピーダンスマッチング ( 整合 ) 通信ケーブルの種類と構造 平衡対ケーブル 同軸ケーブル 光ファイバ ベルとエジソンの電話機の違い 振動板 ( 鉄板 ) コイル ベルの電話 ( 送話器 ) 音 振動板の振動で磁場変化を利用 * グラハムベル ( 米 ) 1876 棒磁石 電流 エジソンの電話 ( 送話器 ) 音 * トーマスエジソン ( 米 ) 1877 振動板 ( 鉄板 ) 炭素粒子 電流 振動板の振動による炭素粒子への圧力で抵抗変化を利用 1

601P 電話機と呼出し信号 601P 電話機 DTMF(DualToneMultiFrequency) ボタンを押すと 2 つの周波数を組み合わせて交換局に送り出される 1209Hz 1336Hz 1477Hz 697Hz 1 2 3 770Hz 4 5 6 852Hz 7 8 9 941Hz * 0 # 例えば 1 を押すと 697Hz と 1209Hz の信号が送信される ピポパ音は映画でおなじみですね 電話機 (P.32) 4 線式と 2 線式 4 線式通話路送話用と受話用の通信路が独立 2 線式通話路送話器と 1 次側のコイルを直列にして通話路を 2 線式にした形 通話路の線を減らすことで経済的になるが 自分の声が混信しないようにする必要がある 2

電話機の防側音回路 (P.34) 通話中 受話器から聞こえる自分の声を抑制する回路を防側音回路という 防側音回路は 送話中の送話器からの電流による 誘導コイルの磁界の打消しをうまく利用した回路です 送話中の回路の働き L1 L2 L3 受話中の回路の働き L1 L2 L3 磁束が打消される 磁束は打消されない 送話機 受話器 送話機 受話器 防側音回路とは何か説明できるようにしておくこと 601P 電話機の回路例 (P.37) 発信時信号の流れ : 受話器を上げると HS1 HS2 が閉じる L1 HS1 DB L T D1 P2 P3 DB HS2 L2 着信時信号の流れ : 受話器を上げる L1 HS1 DB L R C2 DB HS2 L2 ( 受話時 ) * 送話時は発信時と同じ 3

ブリッジ回路の働き 入力電圧 ブリッジ回路の働き 出力電圧 ブリッジ回路は 交流電圧のような極性が反転 (+-) する電圧を 一方向にする ( 整流という ) 役割があります 電話の回路では LSI や IC などの電源の極性が変わらないようにする LSI や IC は逆電圧を加えると壊れます ブリッジ回路を説明できるようにしておくこと 交換機 (P.40) 多数の電話機の中から一つの電話機を選び出し その間を接続して通話を可能にするための装置を 交換機という加入者と直接つながる交換機を 加入者線交換機といい 加入者線交換機を束ねる交換機を 中継線交換機という 中継線交換機は ネットワーク全体の回線数を減らせる コスト削減 4

交換機による接続手続き (P.41) 交換機の構成 ON 右の例は端末 1 と 5 2 と 4 が接続される状態 1 2 3 4 5 ON クロスバスイッチの原理 (5 ノードの例 ) 5

ディジタル交換機 (P.44) アナログ信号からディジタル信号への変換 標本化 圧縮 量子化 符号化 時分割交換多重化された信号を 時分割通話路で順序入替 ( 交換 ) することを時分割交換という 時分割交換を説明できるようにしておくこと 多重化された伝送路をハイウェイという ディジタル交換機の順序入替 (P.46) 時間スイッチと空間スイッチの役割 1) 時間スイッチ 制御メモリに従って 入ハイウェイ上のタイムスロットを出ハイウェイ上のタイムスロットに入替えるスイッチを時間スイッチという 入タイムスロット 制御メモリ順序 t1 t2 t3 t4 A B C D #4 #2 #1 #3 出タイムスロット #1 #2 #3 #4 C B D A 時間スイッチを説明できるようにしておくこと 6

ディジタル交換機の順序入替 (P.47) 時間スイッチと空間スイッチの役割 2) 空間スイッチ ( ハイウェイスイッチ ) タイムスロットの時間位置を変えないで 複数のハイウェイ間の乗り換えを行うスイッチを時間スイッチという 入ハイウェイ #1 #2 #3 C B A J I H N M L t1 t2 t3 #2 #1 #3 ハイウェイ #1 の制御メモリ N B H t3 t2 t1 出ハイウェイ #1 空間スイッチを説明できるようにしておくこと ディジタル交換機の基本構成 ディジタル交換機には 時間スイッチ (T) と空間スイッチ (S) を組み合わせた T-S-T 多段スイッチが利用されている 電話加入者はとても多いので 時間スイッチだけで交換機を構成するには無理がある 組み合わせることで 通話メモリ ゲートスイッチの数を減らし コスト削減を実現している 7

db デシベル db デシベルは 基準の信号と比較してどの程度の大きさかを表す単位 電圧 電流 音圧の場合比較対象の値デシベル db = 20 log 10 基準とする値 電力の場合比較対象の値デシベル db = 10 log 10 基準とする値 例えば 100Vの電圧を加えて ( 入力電圧 V 1 =100V) 出力が1V( 出力電圧 V 2 =1V) になったとすると V 2 1 20 log 10 = 20 log V 10 = 40[dB] となる 1 100 ただし 損失でみると負号はいらないので 40[dB] となる これは 比較対象の値をV 1 基準とする値をV 2 とした教科書と一致する 20 log 10 V 1 V 2 = 20 log 10 100 = 40[dB] となる 問 1 騒音もデシベル 58dB の掃除機と 52dB の掃除機の騒音 6dB の音の差は少し? 何倍のこと? 教科書にないので注意 6 = 20 log 10 X の X を求める必要がある 問 2 52dB の掃除機 2 台を稼働すると 騒音は 2 倍になる? 全く同じ位相になるわけではない 波形は 2 倍にはならない 騒音のエネルギーは 2 倍になる つまり 騒音の電力が 2 倍になるので約 +3dB になり 52+3= 約 55dB になる音圧で考えると元の騒音の 1.4 倍程度 比率 電圧 音圧比 電力比 0.01 倍 40dB 20dB 0.25 倍 12dB 6dB 0.5 倍 6dB 3dB 0.7 倍 3dB -1.46dB 1 倍 0dB 0dB 1.4 倍 3dB 1.46dB 2 倍 6dB 3dB 100 倍 40dB 20dB 8

分布定数回路? 伝送線路は長くなると 位置によって交流の電圧 電流が変わる 教科書にないので注意 計測位置で電圧電流が異なるので扱いずらい さらに周波数が高いほど 各位置で変化が大きい 電圧 電流を一定として考えることはできない微小区間に切り分けて考えることで 変化に対応できる この考え方により 線路中の一様でない電気特性を表現できるようにしたのが 分布定数回路といいます これに対して 線路が短く信号の周波数が低い場合 線路の電気特性を均一として取り扱う場合は集中定数回路といいます 寄生インダクタンス 寄生キャパシタンス 電流が流れると 荷電子の動きによって 伝送線路の周りに磁界や電界が発生します 磁界 電流 教科書にないので注意 電界 寄生インダクタンス + 寄生キャパシタンス 磁界や電界によって 伝送線路に見えないコイル ( 寄生インダクタンス ) やコンデンサ ( 寄生キャパシタンス ) を作り出します 9

分布定数回路 それぞれの微小区間に下記の回路が入っていると考える L R C G コイルやコンデンサ成分を含む 伝送線路は周波数によって電気特性が変わる ここから 電気的特性を導くことになる ( 教科書の特性インピーダンス 減衰定数 位相定数 反射波 進行波 ) 伝送線路の単位長さ当たりの インピーダンスZ アドミタンスYは Z=R+jωL Y=G+jωC R: 線路の抵抗微小区間 dxで 電圧はdV 電流はdI 減少するとして L: 線路のインダクタンス G: 線路のコンダクタンス dv=-zdxi di=-ydxv C: 線路の静電容量 単位長さ当たりを Z Y としたから dx を乗算すれば微小区間のインピーダンスとアドイタンスになり オームの法則で dv di が出ますね 分布定数回路 ( ちょっと難しい?) dv=-zdxi di=-ydxv dv di = ZI dx dx = YV R: 線路の抵抗 L: 線路のインダクタンス G: 線路のコンダクタンス C: 線路の静電容量 微小区間での変化分を表していますね I = 1 dv Z dx di dx = d dx 1 dv Z dx = 1 d 2 V Z dx 2 = YV d 2 V dx 2 = ZYV d 2 I dx 2 = ZYI この微分方程式を解くと各場所の電圧と電流が求まる厄介なので導出は省略して 概念をまとめます 10

V = V i e λx + V r e λx 進行波と反射波 伝送線路を伝わる信号源からの距離 x における電圧 V は d 2 V = ZYV の解 dx2 V i e λx は先に進むと小さくなる波 : 信号源からの進行波を表している V r e λx は先に行くほど大きくなる波 : 負荷からの反射波を表している このとき λ が λ = ZY = (R + jωl)(g + jωc) = α + jβ Z=R+jωL Y=G+jωC と与えられることから λ の実部を減衰定数 λ の虚部を位相定数と呼び α と β で表しています 進行波 信号側 負荷 反射波 負荷側 特性インピーダンスには orz 伝送線路を伝わる信号源からの距離 x における電圧 V は V = V i e λx + V r e λx I = I i e λx + I r e λx d 2 V = ZYV の解 dx2 d 2 I = ZYI の解 dx2 dv dv = ZI より dx dx = d dx V ie λx + V r e λx = Z(I i e λx + I r e λx ) e λx λv i + ZI i + e λx λv r + ZI r = 0 λv i + ZI i = 0 より V i = Z I i λ = Z ZY = Z Y = R + jωl G + jωc 特性インピーダンスと呼ぶ 11

位相のずれと反射 境界面で反射光の性質 : 光は周波数が高く 屈折率の違う物資との境界で屈折と反射が起きた 交流電圧 電流 : 高周波になるほど インピーダンスが異なる境界では反射や位相のずれが発生する 交流波 異なるインピーダンスの導体 位相がずれて一部は入射 反射 ( インピーダンスの差大 反射大 ) 電圧反射係数とインピーダンス整合 伝送路のインピーダンスと負荷のインピーダンスが異なると 電圧や電力の一部が負荷に伝わらず反射が起きます 反射が起こるとノイズや損失になってしまいます 教科書にないので注意電圧の反射の割合を 電圧反射係数という反射電圧 V r 電圧反射係数 = = Z l Z 0 入射電圧 V i Z l + Z 0 線路インピーダンス Z 0 Z l Z 0 なら反射発生 V r V i 負荷に伝わるのは一部負 Z l 荷 Zl = Z0 なら反射なし ( ゼロ ) 100% 負荷に伝わる 入力側と出力側のインピーダンスを同じにすることをインピーダンス整合という Z l = 3Z 0 のときの反射係数を求めなさい 問 3 12

インピーダンス不整合における出力 (a) (b) のどちらのモーターが良く回る? 5Ω 0.5Ω 3V M 1Ω 3V M 1Ω (a) 内部抵抗 5Ω の電池 (b) 内部抵抗 0.5Ω の電池 問 4 (a) (b) のモーターに流れる電流と加わる電圧を求めなさい問 5 (a) (b) のモーターで消費される電力比を求めなさい 問 4,5 インピーダンス変換 ( トランジスタ ) 8Ω 負荷 5V 5Ω 5V 4kΩ 8Ω 負荷 (a) エミッタ接地 負荷に加わる電圧は約 8x5/4008= 約 0.01V (b) コレクタ接地 エミッタフォロワ 負荷に加わる電圧は約 8x5/13= 約 3V 電子回路でやったはずだが エミッタフォロワはインピーダンス変換により効率よく信号を伝えられる 13

インピーダンスマッチング ( 変成器 ) 変成器 ( トランス ) 通信回線 1 のインピーダンス Z 1 n 1 n 2 Z 2 通信回線 2 のインピーダンス 巻線比 n 1 n 2 2 = Z 1 Z 2 巻線数と電圧は比例するので のときインピーダンス整合となる V 1 n 1 : n 2 = V 1 : V 2 = n 1 V 2 インピーダンス整合は 電力を 100% 伝えることなので P=1 次側の電力 =2 次側の電力を成立させる条件より P = V 1 2 = V 2 2 V 1 2 Z 1 Z 2 V = Z 1 = n 1 2 Z 2 2 n 2 2 n 2 が成立 インピーダンスマッチング ( 変成器 ) 問下図のようにトランスを介して 450Ω の通信回線 1 と 800Ω の通信回線 2 をインピーダンス整合させるには巻数比 n 1 :n 2 をいくつにすればよいか 通信回線 1 450Ω n 1 n 2 通信回線 2 800Ω 問 6 14

漏話 近接した二つの回路において 一方の回路の電気信号が他方の回路に漏れる現象を漏話という 漏話の原因 1 相互インダクタンスによる電磁結合 2 静電容量による静電結合 漏話減衰量 = 10 log 10 P s P a [db] P s : 信号電力 P a : 漏話電力 近端漏話 遠端漏話 近端 :near end 遠端 :far end 近端漏話 > 遠端漏話電磁結合 静電結合の影響大 近端漏話減衰量 = 10 log 10 P s P n = 10 log 10 V 1 I 1 V 2n I 2n [db] 遠端漏話減衰量 = 10 log 10 P s P f = 10 log 10 V 1 I 1 V 2f I 2f [db] 15

ケーブルの種類と構造 平衡対ケーブル (P57) 心線を絶縁した構造 : ペア (pair) クァッド (quad) がある心線をより合わせることで漏話を抑える 加入者線 短距離回線 光ファイバに置き換え同軸ケーブル (P58) 内部導体と外部導体の間に誘電損の少ない材質で緩衝させたケーブル 高速データやテレビ映像伝送に利用光ファイバケーブル (P59) 中心に屈折率の高いコア 周りに屈折率の低いクラッド さらに外を合成樹脂で被覆し衝撃を緩和 全反射を繰り返しながら光が伝搬 同時ケーブルよりもさらに高速 高速長距離用のシングルモード光ファイバ 汎用 低コストのマルチモード光ファイバ 本日の講義はここまで 終わらなかった練習問題は取り組んでおいてください ( 中間課題の対象なので取り組んでおいてください ) 16