前 十 字 靱 帯 (ACL) 再 建 術 のパンフレット 同 愛 記 念 病 院 整 形 外 科 関 節 鏡 スポーツ スポーツセンター センター 立 石 智 彦 長 瀬 寅 清 水 禎 則
目 次 Ⅰ 前 十 字 靱 帯 とは?(P (P3) Ⅱ 前 十 字 靭 帯 の 損 傷 (P3) Ⅲ 前 十 字 靱 帯 の 診 断 方 法 (P4) Ⅳ 前 十 字 靱 帯 損 傷 の 症 状 (P5) 合 併 損 傷 ( 半 月 板 内 側 側 副 靱 帯 ) Ⅴ 前 十 字 靭 帯 再 建 術 の 手 術 適 応 (P6) Ⅵ 前 十 字 靭 帯 再 建 術 の 方 法 (P6 P P7) 麻 酔 靱 帯 再 建 Ⅶ 半 月 板 手 術 ( 部 分 切 除 縫 合 )について について(P (P8) Ⅷ 再 建 術 後 の 合 併 症 (P9 P P11) 可 動 域 ( 曲 げ 伸 ばし) 制 限 筋 力 低 下 腓 骨 神 経 麻 痺 感 染 関 節 血 腫 皮 膚 感 覚 低 下 深 部 静 脈 血 栓 他 Ⅸ 再 建 術 後 のリハビリ リハビリ(P (P12 P P16) 術 前 リハビリ 可 動 域 訓 練 筋 力 強 化 装 具 松 葉 杖 アスレチックリハビリテーション Ⅹ 再 建 術 後 の 予 後 (P17) 抜 釘 再 断 裂 筋 力 関 節 水 腫 Ⅺ 退 院 の 目 安 (P18 P P19) 日 常 生 活 外 来 リハビリ スポーツ 復 帰 外 来 受 診 このパンフレットは 前 十 字 靱 帯 損 傷 の 患 者 さんの 為 に 作 られた 物 です 前 十 字 靭 帯 の 手 術 は 患 者 さんの 理 解 の 元 に 行 われなければ 良 い 結 果 を 出 せません 一 度 に 読 むのは なかなか 大 変 ですが 少 しずつでも 読 んでいただければ 幸 いです 手 術 する 事 になった 方 は 入 院 中 じっくり 読 みかえして 下 さい( 入 院 の 後 半 は 痛 みも 減 って 皆 さんかなり 暇 になるようです) 入 院 後 このパンフレットに 基 づいて 治 療 を 進 めますので 入 院 時 には 必 ずお 持 ち 下 さい 2
Ⅰ 前 十 字 靱 帯 とは? 大 腿 骨 と 脛 骨 を 結 ぶ 靱 帯 で 内 側 外 側 側 副 靱 帯 後 十 字 靭 帯 と ともに 膝 の 制 動 を 行 う 紐 (ひも)です 後 十 字 靱 帯 とちょうど 十 文 字 に 見 えることから 名 付 けられました 1 脛 骨 が 前 方 に 移 動 しすぎないように 止 める 2 膝 が 伸 びすぎるのを 防 ぐ 3 脛 骨 が 内 側 にひねられるのを 防 ぐ 働 きがあります 大 腿 骨 内 側 側 副 靱 帯 半 月 板 前 十 字 靱 帯 膝 蓋 骨 脛 骨 腓 骨 半 腱 様 筋 腱 Ⅱ 前 十 字 靭 帯 の 損 傷 スポーツや 交 通 事 故 で 膝 が 内 側 に 入 った 時 ( 外 から 力 が 掛 かった とき)に 切 れることが 多 く 時 に ポキッ という 音 を 感 じることが あります 怪 我 の 後 膝 関 節 内 に 血 液 が 貯 まり 関 節 に 針 を 刺 し てこれを 抜 くことが 必 要 となることもあります 当 初 は 膝 の 腫 れのた め 歩 きづらくなりますが 血 腫 の 消 失 とともに 曲 げ 伸 ばしも 良 くなり 痛 みが 減 って 2 4 週 にて 歩 行 が 可 能 となります しかし 膝 の 不 安 定 感 は 残 存 して ひねり(ターンの 時 とか)に がくっ となること があります (= 膝 くずれ) ちなみに 靭 帯 が 切 れている 伸 びている は 機 能 していない という 意 味 でほぼ 同 じことを 意 味 します 3
Ⅲ 前 十 字 靱 帯 の 診 断 方 法 前 十 字 靱 帯 の 断 裂 の 診 断 は 従 来 膝 関 節 の 捻 挫 と 他 院 でいわれ て 放 置 されていることも 多 く 専 門 医 でなければ 診 断 できないこと があります 1まずは 外 来 での 診 察 による 手 による 判 断 ( 徒 手 検 査 とい います) 2 次 に KT-1000 という 機 械 を 用 いて 脛 骨 が 前 に 何 mm 引 き 出 される かを 調 べます 3MRI という 磁 石 の 力 を 用 いた 画 像 診 断 を 行 います 寝 ているだけ の 検 査 でレントゲンを 浴 びることもありません 外 来 通 院 で 予 約 を 取 って 行 います ( 磁 石 を 用 いるので 体 に 大 きな 金 属 を 入 れている 方 は 出 来 ないことがあります) ここまでの 検 査 で 一 部 の 例 外 を 除 いて 診 断 が 可 能 です MRI では 同 時 に 半 月 板 損 傷 などの 合 併 損 傷 の 診 断 も 可 能 です Aichroth, et al: Interactive Knee (c) 1998 Primal Pictures Ltd. 正 常 な 前 十 字 靭 帯 断 裂 した( 切 れた)ACL = 下 に 倒 れてはっきりしない 4
Ⅳ 前 十 字 靱 帯 損 傷 の 症 状 まっすぐに 歩 くときはあまり 困 りませんが ターンや 急 なストッ プをするときには 膝 くずれを 感 じます( 特 に 捻 りの 動 作 で) このま ま 運 動 を 続 けたとき 他 の 靱 帯 や 半 月 板 を 損 傷 しやすくなります 前 十 字 靱 帯 のみの 損 傷 では 受 傷 後 1 2 ヶ 月 もすると 膝 に 痛 みを 感 じることはほとんどありません 合 併 損 傷 半 月 板 半 月 板 とは 膝 の 中 にあり 大 腿 骨 と 脛 骨 の 間 でクッションの 働 きを しています 前 十 字 靱 帯 損 傷 と 同 時 に あるいは 靱 帯 が 切 れたまま 運 動 をすることにより 半 月 板 を 損 傷 して 痛 みや 引 っかかり 感 が 出 現 す ることがあります 再 建 術 の 時 に 手 術 を 同 時 に 行 うこともあります 内 側 側 副 靱 帯 膝 の 内 側 にあって 膝 を 安 定 させる 靱 帯 ですが 前 十 字 靭 帯 損 傷 時 に 同 時 に 切 れることがあります ほとんどが 膝 の 上 側 ( 大 腿 骨 に 付 いているところ)で 切 れて 痛 みや 不 安 定 性 の 原 因 になります しかし 2 3 週 でおおよそ 痛 みは 無 くなって 機 能 的 にも 困 ることはあまり ありません ( 強 い 外 側 への 不 安 定 性 が 残 る 時 には 手 術 することがあ ります) 半 月 板 ( 上 から 眺 めたところ) 内 側 半 月 板 外 側 半 月 板 5
Ⅴ 前 十 字 靭 帯 再 建 術 の 手 術 適 応 症 状 のところでも 書 きましたが 日 常 生 活 に 支 障 になることはま れで スポーツや 動 きの 多 い 仕 事 の 方 に 膝 の 不 安 定 感 がでることがあ ります 手 術 の 目 的 は 不 安 定 感 の 消 失 と 二 次 的 な 半 月 板 損 傷 などの 予 防 なので 症 状 のない 人 にはあまりすすめておりません Ⅵ 前 十 字 靭 帯 再 建 術 の 方 法 麻 酔 麻 酔 は 全 身 麻 酔 あるいは 腰 椎 麻 酔 (+ 硬 膜 外 麻 酔 )で 行 いま す 腰 椎 麻 酔 の 場 合 手 術 後 数 日 間 頭 痛 が 起 こることがありますので 手 術 日 はできるだけ 頭 を 動 かしたり 起 きあがったりしないでくださ い 靱 帯 再 建 再 建 靱 帯 の 材 料 として 膝 の 内 側 の 腱 ( 内 側 ハムストリング= 半 腱 様 筋 腱 薄 筋 腱 )あるいは 膝 の 前 方 の 腱 ( 膝 蓋 腱 )を 用 います 内 側 ハムストリングは 大 きなストローのようなもので 3~4cm くらい の 傷 から 約 25-30cm の 腱 を 採 取 します しかし これでは 細 すぎるの で 4~6 重 に 折 って 両 端 を 糸 で 縛 って 代 用 します 前 十 字 靭 帯 は 解 剖 学 的 に 二 つの 線 維 束 に 分 かれているため 大 腿 骨 脛 骨 に 2 つず つ 穴 を 開 けてここにそれぞれ 腱 を 通 します 膝 蓋 腱 は 膝 蓋 骨 (お 皿 )と 脛 骨 (すねの 骨 )を 結 ぶ 腱 で その 中 央 1/3 の 幅 ( 一 般 成 人 の 膝 蓋 腱 はおおよそ 幅 3cm ですので 約 1cm の 幅 の 移 植 腱 となります)をそれぞれの 付 着 部 を 2.5cm 程 度 の 骨 付 き で 採 取 します これを 脛 骨 大 腿 骨 に 作 成 したトンネルに 通 します 移 植 腱 を 通 すトンネルの 作 成 : 移 植 腱 = 靱 帯 を 適 切 な 位 置 に 通 さなければならないためレントゲ ンで 確 認 したり 関 節 の 動 きを 確 認 したりしながらトンネルを 掘 りま す(ハムストリングの 場 合 直 径 5-8mm 位 のものを 2 箇 所 膝 蓋 腱 の 場 合 は 直 径 9-1mm 位 ) 移 植 腱 を 骨 に 作 成 したトンネルに 通 して 大 腿 骨 側 脛 骨 側 をそ れぞれ 固 定 します 大 腿 骨 側 の 固 定 方 法 は ハムストリングの 場 合 6
BUTTON(=エンドボタンと 呼 ばれる)を 用 いて 大 腿 骨 の 外 側 に 引 っ 掛 けます 膝 蓋 腱 の 場 合 移 植 腱 の 端 の 骨 とトンネルの 壁 となる 骨 の 間 に screw をねじ 込 んで 固 定 する 方 法 と BUTTON で 引 っかける 方 法 とがあります 脛 骨 側 もスクリューで 固 定 する 場 合 と 小 さいプレー トとスクリューを 打 って 適 切 な 緊 張 度 で 固 定 する 方 法 があります こ れで 再 建 靱 帯 に 緊 張 がかかった 状 態 で 仮 固 定 できます 骨 と 腱 が 生 着 するまでに3ヶ 月 程 度 信 頼 できる 強 度 が 得 られるまで6ヶ 月 前 後 を 要 するといわれています 内 側 ハムストリングの 場 合 骨 付 き 膝 蓋 腱 の 場 合 膝 蓋 靭 帯 7
Ⅶ 半 月 板 手 術 前 十 字 靭 帯 損 傷 にはしばしば 膝 のクッションとして 機 能 する 半 月 板 の 損 傷 を 合 併 します 同 時 に 損 傷 する 場 合 と 前 十 字 靭 帯 の 機 能 不 全 がある 不 安 定 な 状 態 で 運 動 をすることによって 二 次 的 に 損 傷 する 場 合 とがあります 半 月 板 は 血 行 が 乏 しいために 一 度 切 れてしまうと 縫 っても 治 癒 しないこと が 多 いので 症 状 があるときは 部 分 的 にこれを 切 除 せざるを 得 ないことがあり ます しかし 切 除 を 行 うと 大 腿 骨 脛 骨 の 表 面 の 軟 骨 が 傷 つきやすくなるので できれば 温 存 しておきたいものです 半 月 板 は 取 ってしまえばいいというもので はないのです しかしスポーツレベルが 高 い 選 手 や 早 期 の 復 帰 を 望 む 方 の 場 合 は 復 帰 の 妨 げになることもあり 部 分 切 除 する 率 が 高 くなります 繰 り 返 しひっかかり 感 や 痛 みの 原 因 となっている 場 合 は 靱 帯 再 建 時 に 同 時 に 手 術 します 切 れ 方 によっては 切 除 ではなく 縫 合 手 術 をすることもあります ( 縫 合 の 場 合 リハビリが 少 し 遅 くなることがあります ) 術 後 しばらくは 関 節 が 腫 れやすくなります 切 除 : 関 節 鏡 視 下 に 半 月 板 を 部 分 切 除 します 縫 合 : 可 能 であれば 行 います 縫 合 糸 を 結 ぶために 3cm ほどの 創 が 必 要 となります 切 除 の 場 合 の 範 囲 縫 合 の 場 合 手 術 時 間 は 半 月 板 手 術 を 行 うか 否 かで 1 時 間 くらい 変 わってきま すが 再 建 術 自 体 は 2.5~3 時 間 位 です ( 麻 酔 時 間 入 れて 4 時 間 ) 出 血 量 は 手 術 中 100ml 術 後 100ml 位 ( 骨 からの 止 められない 出 血 が 多 い)で 輸 血 が 必 要 となることはまずありません 8
Ⅷ 再 建 術 後 の 合 併 症 可 動 域 ( 曲 げ 伸 ばし) 制 限 術 後 2 日 目 より 行 います 早 期 からのリハビリが 可 能 となったので あまり 困 る 例 は 少 なく なりましたが 正 座 がしづらくなることがあります また 伸 ばしの 方 が 悪 い 人 もいますが リハビリを 頑 張 ってすることで 概 ね 防 げます 伸 展 制 限 は 筋 力 低 下 にもつながります 筋 力 低 下 一 旦 筋 力 は 半 分 位 に 落 ちます 一 旦 落 ちた 筋 力 はなかなか 戻 ら ず 平 均 すると 1 年 で 8 割 2 年 で 9 割 くらいの 回 復 です しかし 日 常 生 活 に 必 要 な 筋 力 は 10 割 ではないので 1 2 ヶ 月 にてほぼ 元 の 生 活 に 戻 れます 種 目 にもよりますが スポーツなどへの 復 帰 も 筋 力 に 関 わってくるので かなり 早 い 人 でも 4 ヶ 月 平 均 8 ヶ 月 かかると 考 えてください また 頑 張 りすぎると 膝 蓋 骨 の 上 下 の( 下 が 多 い) 腱 を 痛 めることがありますので 診 察 ごとにどこまで 行 ってよいのか 指 導 させていただきます 腓 骨 神 経 麻 痺 膝 の 外 側 に 張 り 出 している 骨 があります この 骨 の 後 側 に 腓 骨 神 経 という 神 経 が 走 っています 手 術 中 の 操 作 または 術 後 ベッ ド 上 で 神 経 が 圧 迫 されると 足 首 足 指 を 上 に 向 ける 筋 力 が 落 ち 足 の 親 指 と 人 差 し 指 の 間 がしびれます このような 症 状 があれば すぐ に 教 えて 下 さい 感 染 どんな 小 さな 手 術 でも 傷 が 化 膿 する 人 がいます これを 予 防 するた めに 手 術 後 3~6 日 くらい 抗 生 物 質 ( 化 膿 止 め)の 点 滴 を 行 います それでも 感 染 する 人 が 0.5%くらいいるといわれています ( 万 一 感 染 をきたした 場 合 には 関 節 の 中 を 洗 う 手 術 を 行 うことが あります 早 期 に 対 処 することで 靱 帯 はそのままにできることもあり ますが 機 能 障 害 を 遺 残 することもあり 最 も 怖 い 合 併 症 です ) 関 節 血 腫 手 術 後 血 が 関 節 の 中 に 貯 まるので 関 節 内 に 血 抜 きの 管 (ドレー ン)を 入 れておきます 手 術 後 約 2 日 目 にこの 管 は 抜 去 します その 9
後 も 少 し 血 液 が 貯 まりますが おおよそ 10 日 ほどで 無 くなります 回 診 時 にたまりが 多 ければ 注 射 で 抜 くことがあります 皮 膚 は 吸 収 性 の 糸 で 中 のみ 縫 合 してありますので 基 本 的 には 抜 糸 はありません 熱 がある 場 合 や 傷 周 囲 の 腫 れある 場 合 を 除 いて 1 週 間 ほどで 傷 が 乾 いて シャワーに 入 ることができます 傷 をできるだけ 残 さないよう な 飲 み 薬 もある( 効 き 目 は 多 少 よくなるといったところですが)ので 希 望 があれば 手 術 後 お 尋 ねください 術 後 の 腫 れ 熱 感 を 予 防 する 意 味 でクーリングシステムという 機 械 ( 持 続 的 に 冷 えた 水 が 流 れている)を 用 います ある 程 度 腫 れや 熱 がとれたら 氷 嚢 を 用 います 特 にリハビリ 後 は 熱 を 持 つので 冷 やすよ うにしてください 皮 膚 感 覚 低 下 術 後 膝 下 の 約 3~4cm の 傷 の 外 側 に 軽 い 感 覚 低 下 (さわったとき 鈍 い)が 半 数 の 人 にでますが 膝 の 機 能 的 には 問 題 なく 日 常 生 活 ス ポーツで 困 ることはまずありません 皮 膚 感 覚 の 低 下 する 部 分 深 部 静 脈 血 栓 肺 梗 塞 (エコノミークラス 症 候 群 ) 飛 行 機 に 乗 った 後 に 起 こることがあるのでこの 名 前 がついてい ます 今 回 の 手 術 で 発 症 することはごくまれですが 現 在 の 整 形 外 科 手 術 の 際 には お 話 しておくことにしております 下 肢 によどんだ 血 液 が 静 脈 内 で 固 まって それが 何 かの 拍 子 に 静 脈 を 通 って 肺 に 引 っか かったときに 肺 梗 塞 を 起 こして 胸 部 痛 を 起 こすことがあります 万 が 10
一 の 場 合 のみですが 救 急 処 置 をとることがあります 予 防 として 反 対 の 膝 に 弾 力 のある 包 帯 を 巻 きます( 手 術 をしているわけではないの でお 間 違 いないよう) 麻 酔 が 切 れて 足 が 動 くようになったら 足 関 節 を 動 かすことだけでも 予 防 になるので 手 術 後 看 護 師 さんから 動 か すように 言 われると 思 います その 他 その 他 手 術 時 には 神 経 血 管 の 損 傷 微 小 な 骨 折 エンドボタン の 皮 下 での 引 っかかりによる 刺 激 症 状 移 植 腱 が 不 潔 になること ド リル スクリューの 折 損 など 様 々なことが 起 こりえますが( 報 告 例 な どもあるため 一 応 お 話 しておきます) 万 一 起 こった 場 合 にはそのた び 説 明 をさせていただきます 11
Ⅸ 再 建 術 後 のリハビリ 手 術 も 大 事 なのですが 同 じくらいリハビリも 大 切 です また リ ハビリの 意 欲 が 膝 機 能 の 改 善 にも 大 きく 影 響 します 担 当 医 リハビ リの 先 生 の 指 導 の 元 に 行 います 不 明 な 点 は どんどん 質 問 して 下 さ い ( 入 院 後 リハビリにて リハビリ 用 のパンフレットを 貰 ってくだ さい) 術 前 リハビリ もちろん 手 術 後 に 行 うものですが 手 術 後 傷 の 痛 みによってうま く 曲 げ 伸 ばし 筋 力 強 化 ができない 人 もいます そこで 手 術 前 にリハ ビリ 室 で 松 葉 杖 の 使 い 方 術 後 どういうリハビリをするかを 先 に 体 で 憶 えてもらうことが 大 切 です 入 院 した 日 にリハビリ 室 で 行 いま す 可 動 域 ( 曲 げ 伸 ばし) 術 後 2 日 目 より 始 めます はじめはリハビリ 室 で 行 いますが ベッド 上 でも 自 分 で 積 極 的 に 曲 げてくだ さい このとき 踵 はベッドにつけたまま 行 って 下 さい 12
筋 力 増 強 術 後 2 日 目 より 行 います 1 寝 た 状 態 で 膝 を 伸 ばしたまま 持 ち 上 げる 運 動 (=SLR) 2 膝 下 にタオルをいれて 膝 を 伸 ばす 運 動 (=セッティング) 13
3 両 松 葉 になった 後 つま 先 立 ちの 運 動 4 立 った 状 態 から 膝 を 90 位 曲 げ この 姿 勢 から 素 早 く 立 ち 上 がる(=ハーフスクワット) このリハビリは 退 院 後 も 自 宅 で 手 軽 に できるものです お 仕 事 の 忙 しい 方 も 時 間 をとって 必 ず 続 けて 行 うよ うにしてください 継 続 は 力 なりです 14
5まっすぐ 歩 けるようになったら 膝 のバランス 感 覚 を 養 うリハビリ を 行 います(=バランス ローラーボード) これもまた 自 宅 で 机 にでもつかまって 片 足 で 立 って 膝 を 回 すようにして 行 えます 膝 の 位 置 覚 (= 膝 がどこにあるか どのくらい 曲 がっているかを 自 分 で 感 じ てバランスを 修 正 するのに 大 切 な 能 力 です)を 鍛 えるのに 必 要 です 6 退 院 後 は 以 上 のことを 引 き 続 き 行 うことと また 担 当 医 と 相 談 し て ジムなどでの 機 械 を 使 ったり プールの 筋 肉 強 化 を 行 っても 結 構 です 基 本 的 には 足 を 接 地 して 行 う 筋 力 強 化 がよいとされておりま す ジムにおいてあるような 座 って 膝 を 屈 伸 する 器 械 は 大 腿 四 頭 筋 を 鍛 えるためのマシーンですが 膝 蓋 骨 の 軟 骨 損 傷 や 腱 の 痛 みの 原 因 に なることがあるので 初 期 には 行 わないでください 3~4 ヶ 月 して 筋 力 が 回 復 してきたら 少 しずつ 行 えばよいと 思 います あくまでも 急 激 に 行 うことは 避 け 日 々 徐 々に 増 やしていってい くことが 肝 心 です 急 激 に 行 うと 膝 蓋 骨 の 上 下 の 腱 に 負 担 がかかり 痛 みのために 返 ってリハビリが 遅 くなります 入 院 外 来 時 に 主 治 医 に どう 行 うか どこまでやっていいか 随 時 相 談 して 下 さい 膝 蓋 骨 の 両 脇 の 痛 みはあまり 気 にしなくて 良 いのですが 膝 蓋 骨 の 上 下 の 痛 み(=ジャンパー 膝 と 呼 ばれます)に 関 しては 使 いすぎが 原 因 の ことがあり 長 期 化 することもあるので 一 旦 練 習 量 を 落 として 診 察 を 受 けて 下 さい 歩 行 練 習 1 術 後 1 日 目 は 車 椅 子 にて 移 動 します 2 術 後 2 日 目 より 体 重 をかけずに 両 方 の 松 葉 杖 をついて 行 います 3リハビリにて 90 以 上 曲 がり 膝 を 伸 ばしたまま 持 ち 上 げる (=SLR)が 可 能 となったら 両 方 の 松 葉 杖 を 使 って 痛 くない 範 囲 で 体 重 をかける 練 習 を 行 います (2 週 位 かかるのが 平 均 的 ) 4 両 方 の 松 葉 で 正 常 な 歩 行 ができるようになれば 片 松 葉 (1 本 ) になります 片 松 葉 は 手 術 した 方 と 逆 側 の 手 で 使 います 5 片 松 葉 でうまく 歩 けるようになったら 松 葉 杖 をとって 歩 きます アスレチックリハビリテーション 病 院 で 行 うリハビリは 一 旦 ここまでです 正 常 歩 行 が 取 れてから 退 院 されたほうが 後 々は 早 く 安 全 に 日 常 生 活 に 戻 れると 思 いますが 種 々の 社 会 事 情 ( 仕 事 通 学 など)にて 早 期 に 退 院 なさらなければい 15
けない 場 合 は 少 しリハビリに 通 院 されることをお 勧 めします 平 地 歩 行 が 正 常 になり 退 院 されたあと 階 段 がスムーズになったら 時 間 をとって walking をしていってください( 距 離 と 時 間 を 少 しずつ 増 やしてください) 訓 練 後 はアイシングをすることをおすすめします (30 分 くらい) 2 ヶ 月 目 の 診 察 時 に 筋 力 を 測 り 順 調 に 戻 ってきていれば jogging を 始 めてもらいます このあとは 病 院 のリハビリとは 別 で アスレチ ックリハビリテーションと 呼 ばれ トレーナーのいるチームであれば 相 談 して 各 スポーツの 動 きを 少 しずつ 入 れていく 期 間 ( 目 安 として 3 ~4 ヶ 月 目 より)です 診 察 の 時 にはリハビリ 室 で 筋 力 測 定 を 行 いま す 16
Ⅹ 再 建 術 後 の 予 後 抜 釘 について 手 術 にて 膝 の 上 には 小 さな 金 属 のボタン(エンドボタン)が 骨 の 上 に 乗 っかります 膝 下 にボルトが 入 ります 靱 帯 が 骨 と 強 くくっ つくのに 8 ヶ 月 くらいかかりますので 術 後 1 年 2 年 の 間 に 4~5 日 位 の 入 院 で 膝 下 のボルトを 抜 去 します 同 時 に 関 節 鏡 で 関 節 内 の 靱 帯 の 状 態 を 評 価 します その 際 に 関 節 内 に 問 題 があれば 処 置 します 退 院 時 は 杖 無 しで 歩 いて 退 院 します 再 断 裂 について 作 り 直 した 靱 帯 ですが 正 常 な 靱 帯 でも 切 れることがあるようにやはり 切 れてしまうことがあります( 報 告 では 0.5~3% 位 です) 筋 力 がついてい ないうちにスポーツに 復 帰 すると 再 断 裂 の 危 険 性 は 高 くなります 再 断 裂 の 予 防 法 としては ジャンプの 練 習 を 安 全 な 状 態 (はじめは 両 足 )で 行 うとか ターン カットインの 練 習 の 際 に 膝 が 外 旋 (つま 先 が 外 に 出 るこ と)を 避 け つま 先 を 内 に 入 れるターンを 繰 り 返 し 体 で 覚 えるなど 協 調 運 動 (= 膝 だけのリハビリでなく 股 関 節 や 体 全 体 での 動 きの 運 動 )が 大 切 です 筋 力 について 筋 力 は 靱 帯 を 損 傷 したことにより 落 ちていることがほとんどです 手 術 の 侵 襲 でさらに 低 下 します 平 均 的 には 術 後 1 年 で 手 術 前 筋 力 の 8 割 2 年 で 9 割 位 に 戻 ります 個 人 差 も 大 きく 半 年 で 10 割 に 戻 る 人 もいます が 自 分 で 筋 力 強 化 のリハビリをしなければ 待 っているだけではつきま せん スポーツ 復 帰 は 術 後 1 年 は 復 帰 させないという 先 生 もいますが 当 院 では 筋 力 回 復 の 程 度 が 重 要 と 考 えて 外 来 で 評 価 の 上 指 導 します 関 節 水 腫 について 術 後 スポーツ 重 労 働 に 復 帰 してはじめのうちは 腫 れることがあり ます 特 に 半 月 板 損 傷 軟 骨 損 傷 のあった 方 またスポーツレベルの 高 い 人 によく 見 受 けられます 靱 帯 自 体 の 問 題 が 無 いことがほとんどですが もし 腫 れを 自 覚 した 時 ( 必 ずしも 水 を 抜 く 必 要 性 はありません)は 外 来 を 受 診 し その 都 度 指 示 を 仰 いで 下 さい 17
Ⅺ 退 院 の 目 安 松 葉 杖 がとれて 正 常 に 歩 行 が 可 能 な 時 期 を 退 院 と 考 えます 可 動 域 筋 力 の 回 復 によって 人 それぞれですが 平 均 2.5~3 週 ぐらい と 考 えてください 退 院 後 の 生 活 1 日 常 生 活 : 退 院 後 は 手 術 後 約 2 ヶ 月 目 まで( 歩 行 するのに 十 分 な 筋 力 がつくまで) 装 具 を 着 けます 膝 を 捻 ること 転 倒 に 注 意 して 下 さい 2 外 来 リハビリ: 外 来 リハビリは 曲 がりの 悪 い 人 については 行 うこ とがありますが 筋 力 強 化 は 方 法 を 教 えてもらって 後 は 自 分 で 行 うしかありません 退 院 時 にリハビリの 先 生 にも よく 聞 いて 下 さ い ( 自 主 リハビリ 後 膝 に 熱 感 を 持 つときは アイスノン 又 は 氷 をビニル 袋 に 入 れ 20 30 分 冷 やして 下 さい ) 3スポーツ 復 帰 : 筋 力 に 合 わせて 外 来 診 察 時 に 医 師 より 指 導 し ます 4 外 来 : 外 来 受 診 は 月 1 回 位 で 適 宜 スポーツ 仕 事 復 帰 を 指 導 します 6 ヶ 月 以 降 は 筋 力 に 応 じて 復 帰 したあとは 3 ヶ 月 に 一 回 くらい で 1 年 後 に MRI にて 前 十 字 靭 帯 半 月 板 の 状 態 を 確 認 させていた だきます このころ 以 降 に 抜 釘 を 行 います あとは 1.5 年 2 年 後 に check して 一 旦 終 了 となりますが 経 過 によってはまたお 越 しく ださい (お 電 話 させていただくことがあるかもしれません ) 退 院 日 は 月 日 です 次 回 外 来 日 は 月 日 です 受 付 : 午 前 8:30 午 前 12:00 ( ( ( 立 石 : 月 金 )()( 長 瀬 : 月 土 )( 清 水 : 月 火 ) もし 上 記 の 日 にお 越 しになれない 場 合 心 配 事 や 異 常 がありましたら 整 形 外 来 にお 電 話 下 さい 03-3625-6381( 大 代 表 ) 18
リハビリ 頑 張 って 下 さい!! 一 日 も 早 い スポーツ スポーツ 仕 事 の 復 帰 を 願 っております 19