19年度知識情報処理技術に関する調査研究報告書



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Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

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Microsoft Word - 交野市産業振興基本計画 doc

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

1 書 誌 作 成 機 能 (NACSIS-CAT)の 軽 量 化 合 理 化 電 子 情 報 資 源 への 適 切 な 対 応 のための 資 源 ( 人 的 資 源,システム 資 源, 経 費 を 含 む) の 確 保 のために, 書 誌 作 成 と 書 誌 管 理 作 業 の 軽 量 化 を 図

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

第 63 回 ( 平 成 26 年 度 ) 横 浜 文 化 賞 選 考 委 員 会 日 時 平 成 26 年 8 月 22 日 ( 金 ) 午 後 2 時 ~ 場 所 市 庁 舎 2 階 応 接 室 次 第 1 開 会 2 開 会 あいさつ 横 浜 市 副 市 長 渡 辺 巧 教 3 委 員 紹 介

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

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Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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Microsoft PowerPoint - 経営事項審査.ppt

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[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

答申第585号

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

(Microsoft Word - \220\340\226\276\217\221.doc)

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン


Taro-08国立大学法人宮崎大学授業

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

PowerPoint プレゼンテーション

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

Microsoft Word 利子補給金交付要綱


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16 日本学生支援機構

Microsoft Word - 都市計画法第34条第11号及び第12号

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

(2) 広 島 国 際 学 院 大 学 ( 以 下 大 学 という ) (3) 広 島 国 際 学 院 大 学 自 動 車 短 期 大 学 部 ( 以 下 短 大 という ) (4) 広 島 国 際 学 院 高 等 学 校 ( 以 下 高 校 という ) ( 学 納 金 の 種 類 ) 第 3 条

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1

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m07 北見工業大学 様式①

18 国立高等専門学校機構

中国会社法の改正が外商投資企業に与える影響(2)

公 共 公 益 的 施 設 用 地 の 負 担 がほとんど 生 じないと 認 められる 土 地 ( 例 ) 道 路 に 面 しており 間 口 が 広 く 奥 行 がそれほどではない 土 地 ( 道 路 が 二 方 三 方 四 方 にある 場 合 も 同 様 ) ⑶ マンション 適 地 の 判 定 評

Taro13-公示.jtd

1 平 成 27 年 度 土 地 評 価 の 概 要 について 1 固 定 資 産 税 の 評 価 替 えとは 地 価 等 の 変 動 に 伴 う 固 定 資 産 の 資 産 価 値 の 変 動 に 応 じ その 価 格 を 適 正 で 均 衡 のとれたものに 見 直 す 制 度 である 3 年 ご

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

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公表表紙

b) 参 加 表 明 書 の 提 出 時 において 東 北 地 方 整 備 局 ( 港 湾 空 港 関 係 を 除 く) における 平 成 年 度 土 木 関 係 建 設 コンサルタント 業 務 に 係 る 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 認 定 を 受 けて

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

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社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

●幼児教育振興法案

Microsoft Word - 目次.doc

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

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4 調 査 の 対 話 内 容 (1) 調 査 対 象 財 産 の 土 地 建 物 等 を 活 用 して 展 開 できる 事 業 のアイディアをお 聞 かせく ださい 事 業 アイディアには, 次 の 可 能 性 も 含 めて 提 案 をお 願 いします ア 地 域 の 活 性 化 と 様 々な 世

一般競争入札について


入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

別記

第1章 総則

空 き 家 を 売 却 した 場 合 の,000 万 円 控 除 特 例 の 創 設 被 相 続 人 が 住 んでいた 家 屋 及 びその 敷 地 を 相 続 があった 日 から 年 を 経 過 する 年 の 月 日 までに 耐 震 工 事 をしてから あるいは 家 を 除 却 し てから 売 却

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

資料2-2 定時制課程・通信制課程高等学校の現状

定款

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3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

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参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

文化政策情報システムの運用等

公文書非公開決定処分に関する諮問について(答申)

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

Microsoft Word - 文書 3

4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1

市街化調整区域における地区計画の

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

は 共 有 名 義 )で 所 有 権 保 存 登 記 又 は 所 有 権 移 転 登 記 を された も の で あ る こと (3) 居 室 便 所 台 所 及 び 風 呂 を 備 え 居 住 の ために 使 用 す る 部 分 の 延 べ 床 面 積 が 5 0 平 方 メ ー ト ル 以 上

Transcription:

知 識 情 報 処 理 技 術 委 員 会 委 員 名 簿 ( 敬 称 略 順 不 同 ) 委 員 長 橋 田 浩 一 産 業 技 術 総 合 研 究 所 委 員 井 佐 原 均 独 立 行 政 法 人 情 報 通 信 研 究 機 構 石 川 徹 也 東 京 大 学 辻 井 潤 一 東 京 大 学 石 崎 俊 慶 應 義 塾 大 学 徳 永 健 伸 東 京 工 業 大 学 奥 雅 博 日 本 電 信 電 話 村 田 稔 樹 沖 電 気 工 業 福 持 陽 士 シャープ 木 下 聡 東 芝 佐 藤 研 治 日 本 電 気 佐 藤 良 治 マイクロソフトプロダクトディベロップメント 清 野 正 樹 松 下 電 器 産 業 今 村 誠 三 菱 電 機 亀 田 雅 之 リコー 松 井 くにお 富 士 通 研 究 所 森 本 康 嗣 日 立 製 作 所 事 務 局 中 瀬 真 ( 社 ) 電 子 情 報 技 術 産 業 協 会 吉 田 晃 ( 社 ) 電 子 情 報 技 術 産 業 協 会 i

言 語 資 源 専 門 委 員 会 委 員 名 簿 ( 敬 称 略 順 不 同 ) 委 員 長 井 佐 原 均 独 立 行 政 法 人 情 報 通 信 研 究 機 構 幹 事 黒 橋 禎 夫 京 都 大 学 委 員 白 井 清 昭 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 國 岡 崇 生 独 立 行 政 法 人 科 学 技 術 振 興 機 構 松 尾 義 博 日 本 電 信 電 話 中 川 哲 治 沖 電 気 工 業 佐 田 いち 子 シャープ 釜 谷 聡 東 芝 中 澤 聡 日 本 電 気 秋 良 直 人 日 立 製 作 所 潮 田 明 富 士 通 研 究 所 板 倉 謙 マイクロソフトプロダクトディベロップメント 相 川 勇 之 三 菱 電 機 井 田 裕 子 リコー オブザーバ 松 井 くにお 富 士 通 研 究 所 石 川 真 奈 見 特 定 非 営 利 活 動 法 人 言 語 資 源 協 会 事 務 局 吉 田 晃 ( 社 ) 電 子 情 報 技 術 産 業 協 会 ii

マルチモーダルコンテンツ 技 術 専 門 委 員 会 委 員 名 簿 ( 敬 称 略 順 不 同 ) 委 員 長 橋 田 浩 一 産 業 技 術 総 合 研 究 所 幹 事 石 崎 俊 慶 應 義 塾 大 学 委 員 斎 藤 博 昭 慶 應 義 塾 大 学 加 藤 恒 昭 東 京 大 学 大 森 久 美 子 NTTデータ 大 沼 宏 行 沖 電 気 工 業 野 本 忠 司 国 文 学 研 究 資 料 館 筒 井 秀 樹 東 芝 山 下 信 行 日 本 電 気 橋 本 三 奈 子 富 士 通 谷 垣 宏 一 三 菱 電 機 オブザーバ 伊 藤 一 成 青 山 学 院 大 学 事 務 局 吉 田 晃 ( 社 ) 電 子 情 報 技 術 産 業 協 会 iii

Webサービス 技 術 専 門 委 員 会 委 員 名 簿 ( 敬 称 略 順 不 同 ) 委 員 長 徳 永 健 伸 東 京 工 業 大 学 幹 事 藤 井 敦 筑 波 大 学 委 員 池 野 篤 司 沖 電 気 工 業 國 分 智 晴 東 芝 立 石 健 二 日 本 電 気 廣 嶋 伸 章 日 本 電 信 電 話 藤 尾 正 和 日 立 製 作 所 志 賀 聡 子 富 士 通 研 究 所 関 美 由 紀 マイクロソフトプロダクトディベロップメント 高 山 泰 博 三 菱 電 機 佐 藤 奈 穂 子 リコー 事 務 局 吉 田 晃 ( 社 ) 電 子 情 報 技 術 産 業 協 会 iv

目 次 委 員 名 簿 目 次 要 約 1.はじめに 1 2.マルチモーダルコンテンツ 技 術 3 2.1 はじめに 3 2.2 技 術 動 向 調 査 4 2.2.1 インターネットでのコンテンツ 流 通 4 2.2.2 動 画 の 構 造 化 の 例 5 2.2.3 動 画 の 構 造 化 のためのツール 7 2.3 市 場 動 向 調 査 10 2.3.1 映 像 コンテンツの 創 作 に 関 する 取 り 組 み 10 2.3.2 映 像 コンテンツの 流 通 に 関 する 取 り 組 み 14 2.4 標 準 化 16 2.4.1 ISO/TC37/SC4/TDG3 16 2.4.2 放 送 コンテンツのための 共 通 メタデータ 体 系 J/Meta 20 2.5 利 活 用 技 術 24 2.5.1 要 約 と 可 視 化 24 2.5.2 議 論 支 援 と 自 然 言 語 処 理 29 2.5.3 E-learningと 評 価 31 2.5.4 教 育 コンテンツとアノテーション 37 2.6 作 業 研 究 39 2.6.1 概 要 39 2.6.2 データ 構 造 化 39 2.6.3 プロトタイプ 40 2.6.4 まとめ 41 2.7 ヒアリング: 意 味 記 述 の 相 互 運 用 性 と 言 語 資 源 オントロジー 43

2.7.1 はじめに: 意 味 記 述 の 相 互 運 用 性 43 2.7.2 言 語 資 源 とオントロジー 43 2.7.3 オントロジーの 連 携 に 関 する 研 究 動 向 44 2.7.4 おわりに 47 2.8 おわりに 49 3. 言 語 資 源 50 3.1 はじめに 50 3.2 言 語 情 報 処 理 ポータル 51 3.2.1 ポータルサイト 概 要 51 3.2.2 言 語 コーパスにおける 著 作 権 に 関 する 調 査 54 3.2.3 言 語 資 源 アンケート 59 3.2.4 応 用 アンケート 59 3.2.5 海 外 調 査 63 3.3 言 語 資 源 アンケート 64 3.3.1 実 施 方 法 64 3.3.2 アンケート 結 果 66 3.3.3 付 録 回 答 一 覧 70 3.4 海 外 調 査 76 3.4.1 CJNLP-2006の 概 要 76 3.4.2 招 待 講 演 77 3.4.3 一 般 講 演 78 3.4.4 施 設 見 学 87 4.Webサービス 技 術 88 4.1 はじめに( 今 年 度 の 調 査 のねらい) 88 4.2.1 Yahoo! Japan 89 4.2.2 goo 92 4.2.3 Googleプログラミング 特 別 セミナー 聴 講 報 告 96 4.2.4 価 格.com 100 4.2.5 Webアプリケーション 生 成 系 103 4.2.6 ビジネス 展 開 106

4.3 Webサービスの 利 用 動 向 110 4.3.1 調 査 対 象 Programmable Web 110 4.3.2 分 析 結 果 111 4.3.3 資 料 131 4.4 Webサービス 関 連 技 術 の 研 究 動 138 4.5 Web2.0 Summit 参 加 報 告 145 4.5.1 はじめに 145 4.5.2 概 要 145 4.5.3 感 想 147 4.5.4 会 議 の 今 後 148 4.5.5 ワークショップ 紹 介 148 4.5.6 一 般 セッション 紹 介 150 4.5.7 その 他 154 5. 中 国 調 査 (H.18.10.16~20) 155 5.1 中 華 人 民 共 和 国 教 育 部 言 語 文 字 応 用 研 究 所 155 5.2 清 華 大 学 計 算 機 科 学 與 技 術 系 161 5.3 中 国 科 学 院 計 算 技 術 研 究 所 164 5.4 中 国 科 学 院 自 動 化 研 究 所 172

要 約 知 識 情 報 処 理 技 術 委 員 会 においては 自 然 言 語 処 理 やセマンティックWeb 等 の 知 識 情 報 処 理 技 術 お よびそれに 関 連 するデジタルコンテンツやビジネスの 動 向 に 関 して 調 査 研 究 を 進 めている 平 成 18 年 度 は マルチモーダルコンテンツ 技 術 専 門 委 員 会 Webサービス 技 術 専 門 委 員 会 言 語 資 源 専 門 委 員 会 という3つの 専 門 委 員 会 の 活 動 に 加 えて 自 然 言 語 処 理 技 術 シンポジウムを 開 催 するとともに 自 然 言 語 処 理 技 術 に 関 するニーズ 調 査 を 行 なった なお 10 月 には 中 国 の 政 府 系 研 究 機 関 や 大 学 を 訪 問 し 中 国 における 言 語 処 理 の 研 究 開 発 の 動 向 に 関 する 実 態 調 査 を 行 った マルチモーダルコンテンツ 技 術 専 門 委 員 会 では ブロードバンドインターネットやデジタル 放 送 の 普 及 に 伴 い 映 像 コンテンツ 等 の 産 業 において 新 たなビジネスモデルへの 要 請 が 強 まりつつあることに 応 じて そのビジネスモデルの 基 盤 となる 技 術 の 探 究 を 促 進 すべく 明 示 的 な 意 味 構 造 を 含 む 映 像 コ ンテンツ 等 の 制 作 の 方 法 や それに 関 連 するサービスの 技 術 に 関 する 調 査 研 究 および 国 際 標 準 化 活 動 への 貢 献 等 を 行 なっている 平 成 18 年 度 には 動 画 の 意 味 的 な 構 造 化 映 像 検 索 やマルチメディア ブログといった 市 場 の 動 向 情 報 可 視 化 やeラーニング 等 の 利 用 技 術 言 語 オントロジーに 関 する 研 究 の 動 向 等 に 関 して 調 査 した また 引 き 続 き 映 像 要 約 についての 研 究 作 業 を 進 めつつ ISOにおける 言 語 資 源 管 理 に 関 する 国 際 標 準 化 活 動 にも 参 画 した YouTube 等 を 初 めとして 多 くの 動 画 共 有 サイトが 運 営 され 動 画 へのタグ 付 けの 共 有 が 普 及 してい るが 一 般 の 利 用 者 が 複 数 の 動 画 を 意 味 的 に 関 連 付 けることによって 複 合 的 なコンテンツを 共 同 制 作 したり 各 動 画 の 内 部 を 意 味 的 に 構 造 化 したりする 試 みはほとんどない 名 古 屋 大 学 のSynvieは 共 有 さ れた 各 動 画 の 内 部 を 意 味 的 に 構 造 化 する 数 少 ない 仕 組 みである そのような 相 互 関 係 や 構 造 化 の 導 入 によって 映 像 コンテンツの 制 作 コストが 低 減 し 品 質 が 向 上 すると 考 えられるので 今 後 ともそのよう な 技 術 やそれに 関 連 するビジネスの 動 向 を 注 視 したい テレビ 番 組 に 対 して 事 後 的 にアノテーション して 検 索 等 の 利 用 に 供 するMetaTV 等 のビジネスも 立 ち 上 がっているが これは 映 像 コンテンツがそ の 制 作 時 に 構 造 化 されるようになるまでの 過 渡 的 な 現 象 と 考 えられる 動 画 を 構 造 化 しつつ 多 人 数 で 映 像 コンテンツを 作 成 するための 仕 組 としては シネマワーク 等 の 試 みがある しかし 一 般 利 用 者 にそのような 創 作 ができるようにするには オントロジーに 基 づく 意 味 的 な 構 造 化 を 通 じた 何 らかの ガイダンス 等 が 必 要 であろう Webサービス 技 術 専 門 委 員 会 はWeb 2.0の 動 向 について 調 査 している Web 2.0においては Webは 様 々なアプリケーションのプラットフォームと 見 なされる Google Maps APIなど すでにインター ネット 上 では 様 々な 機 能 を 提 供 する Webサービス と 呼 ばれるAPIが 利 用 可 能 になっている これ らを 組 み 合 わせて 一 般 ユーザが 新 しいWebアプリケーションを マッシュアップ によって 作 るこ ix

とも 盛 んになってきた 平 成 18 年 度 は インターネット 上 でどのようなWebサービスが 利 用 できるのか また それらを 組 み 合 わせたアプリケーションとしてどのようなものがあるかについて 調 査 した まず Webサービス の 事 例 について Webサービスを 提 供 する 側 とそれを 利 用 してWebアプリケーションを 提 供 する 側 の2 つの 観 点 からヒアリングを 中 心 に 調 査 をおこなった ヒアリング 対 象 は Yahoo! goo Google 価 格.comを 含 む6 件 である 自 分 の 持 つ 独 占 的 な 資 源 をWebサービスを 通 じてほとんどの 場 合 無 料 で 提 供 するメリットについては それを 利 用 してどんな 面 白 いことができるのか その 可 能 性 をインター ネット 上 の 住 人 に 問 うてみたいという 好 奇 心 的 な 側 面 があるようだ もちろん それを 足 がかりにビ ジネスに 結 びつけることは 考 慮 されているにしても ここにもWeb 2.0でいう 集 合 知 的 な 考 え 方 がう かがえるのは 興 味 深 い また 利 用 可 能 なWebサービスを 集 積 したWebサイトProgrammableWeb(http://www.programmableweb.com/) に 掲 載 されている 情 報 を 元 に 現 在 どのようなWebサービスが 利 用 可 能 なのか あるいはそれらを マ ッシュアップ してどのようなWebアプリケーションが 実 現 されているかを 中 心 にいくつかの 側 面 か ら 分 析 した とりわけ 特 徴 的 なのは 地 図 情 報 を 提 供 するWebサービス 中 でもGoogle Maps APIの 利 用 件 数 が 非 常 に 多 いということである 空 間 情 報 は 人 間 の 知 的 活 動 の 中 でも 基 本 的 な 要 素 のひとつで あり ほとんどどのような 情 報 にもそれに 付 随 して 空 間 情 報 が 関 係 付 けられることの 反 映 であろう また 情 報 共 有 サービスを 提 供 するFlickrのAPIも 利 用 件 数 が 多 かった このような 情 報 共 有 サービス はWeb 2.0で 言 う 集 合 知 を 実 現 する 上 で 有 用 であろう Webサービス 技 術 に 特 化 した 国 際 会 議 ICWS (International Conference on Web Services)において 発 表 された 過 去 4 年 間 (2003~2006 年 )の 論 文 のタイトルを 分 析 し 研 究 の 関 心 の 動 向 を 分 析 した 2006 年 11 月 7~9 日 にサンフランシスコでおこなわれたWeb 2.0サミットは2004 年 からWeb 2.0の 提 唱 者 であるTim O' Reillyによって 始 められたWeb 2.0 Conferenceが 改 名 されたものである 米 国 では すでに Web 2.0 というキーワードに 浮 かれる 時 期 は 終 わり それをどのようにビジネスにつなげ るかに 関 心 が 移 っている 言 語 資 源 専 門 委 員 会 では コーパスやソフトウェアツール 等 の 言 語 資 源 の 開 発 や 利 用 に 関 して 調 査 研 究 を 進 めている 平 成 18 年 度 には 言 語 コーパスにおける 著 作 権 に 関 する 調 査 においては 社 会 的 法 的 側 面 から 利 用 可 能 な 範 囲 を 検 討 するため 実 際 のコーパスの 利 用 状 況 と 著 作 権 関 連 の 過 去 の 判 例 について 調 査 す るという 方 針 のもと 著 作 権 関 連 の 団 体 とセミナーの 開 催 について 調 査 を 行 い 6つの 団 体 をリスト アップした また 言 語 処 理 に 携 わる 国 内 の 研 究 者 がどのような 言 語 資 源 を 必 要 としているかを 調 べるためのア ンケート 調 査 を 行 った 回 答 者 数 は 十 分 に 多 くはなかったものの 国 内 の 言 語 処 理 研 究 者 の 言 語 資 源 x

に 対 するニーズが 多 少 なりとも 明 らかになった 本 専 門 委 員 会 では 企 業 内 の 調 査 では 実 施 しにくいような 将 来 の 応 用 技 術 に 関 する 長 期 的 な 視 点 で のユーザニーズ 調 査 を2002 年 度 から 継 続 して 実 施 している 2003 年 度 以 降 の 調 査 では 2002 年 度 の 調 査 結 果 をもとに 選 定 した6 種 類 のユーザシナリオに 関 するニーズを 深 く 調 査 するという 方 針 で 調 査 を 行 っている 今 年 度 は 従 来 の 調 査 で 使 用 したアンケートシートの 質 問 ツリーを 見 直 したうえで 継 続 調 査 を 行 った また 2004 年 度 から2006 度 年 までの 調 査 結 果 をまとめて 言 語 処 理 学 会 で 発 表 し 本 専 門 委 員 会 の 活 動 成 果 の 活 用 を 図 るとともに 学 会 参 加 者 の 意 見 も 参 考 にして 今 後 の 調 査 方 針 を 検 討 す ることとした さらに 今 年 度 は 海 外 調 査 として 本 専 門 委 員 会 の 委 員 2 名 を11 月 に 上 海 で 行 われた 第 6 回 日 中 自 然 言 語 処 理 共 同 研 究 促 進 会 議 に 派 遣 し 招 待 講 演 一 般 講 演 施 設 見 学 について 調 査 報 告 した 自 然 言 語 処 理 技 術 に 関 するニーズ 調 査 として 平 成 18 年 度 には Webサービスの 利 用 状 況 に 関 する アンケート 調 査 を 行 った 検 索 経 路 探 索 レストランガイド 映 像 共 有 等 のサービスに 関 してそれ ぞれいくつかの 代 表 的 なサイトを 取 り 上 げ 性 別 と 年 令 (15~19 歳 20 代 60 代 )の 組 み 合 わせ ごとに50~100 程 度 の 回 答 者 から 情 報 を 収 集 した このデータの 解 析 は 平 成 19 年 度 にも 継 続 して 行 う 予 定 である xi

1.はじめに 知 識 情 報 処 理 技 術 委 員 会 においては 自 然 言 語 処 理 やセマンティックWeb 等 の 知 識 情 報 処 理 技 術 お よびそれに 関 連 するデジタルコンテンツやビジネスの 動 向 に 関 して 調 査 研 究 を 進 めている 平 成 18 年 度 は マルチモーダルコンテンツ 技 術 専 門 委 員 会 Webサービス 技 術 専 門 委 員 会 言 語 資 源 専 門 委 員 会 という3つの 専 門 委 員 会 の 活 動 に 加 えて 自 然 言 語 処 理 技 術 シンポジウムを 開 催 するとともに 自 然 言 語 処 理 技 術 に 関 するニーズ 調 査 を 行 なった マルチモーダルコンテンツ 技 術 専 門 委 員 会 では ブロードバンドインターネットやデジタル 放 送 の 普 及 に 伴 い 映 像 コンテンツ 等 の 産 業 において 新 たなビジネスモデルへの 要 請 が 強 まりつつあることに 応 じて そのビジネスモデルの 基 盤 となる 技 術 の 探 究 を 促 進 すべく 明 示 的 な 意 味 構 造 を 含 む 映 像 コ ンテンツ 等 の 制 作 の 方 法 や それに 関 連 するサービスの 技 術 に 関 する 調 査 研 究 および 国 際 標 準 化 活 動 への 貢 献 等 を 行 なっている 平 成 18 年 度 には 動 画 の 意 味 的 な 構 造 化 映 像 検 索 やマルチメディア ブログといった 市 場 の 動 向 情 報 可 視 化 やeラーニング 等 の 利 用 技 術 言 語 オントロジーに 関 する 研 究 の 動 向 等 に 関 して 調 査 した また 引 き 続 き 映 像 要 約 についての 研 究 作 業 を 進 めつつ ISOにおける 言 語 資 源 管 理 に 関 する 国 際 標 準 化 活 動 にも 参 画 した Webサービス 技 術 専 門 委 員 会 はWeb2.0の 動 向 について 調 査 している 平 成 18 年 度 は インターネッ ト 上 でどのようなWebサービスが 利 用 できるのか また それらを 組 み 合 わせたアプリケーションと してどのようなものがあるかについて 調 査 した まず Webサービスの 事 例 について Webサービス を 提 供 する 側 とそれを 利 用 してWebアプリケーションを 提 供 する 側 の2つの 観 点 からヒアリングを 中 心 に 調 査 をおこなった また 利 用 可 能 なWebサービスを 集 積 したWebサイトProgrammableWeb (http://www.programmableweb.com/)に 掲 載 されている 情 報 を 元 に 現 在 どのようなWebサービスが 利 用 可 能 なのか あるいはそれらを マッシュアップ してどのようなWebアプリケーションが 実 現 されているかを 中 心 にいくつかの 側 面 から 分 析 した これに 関 連 して Webサービス 技 術 に 特 化 した 国 際 会 議 ICWS(International Conference on Web Services)における 過 去 4 年 間 の 発 表 の 動 向 および Web2.0サミットの 内 容 についても 調 査 した 言 語 資 源 専 門 委 員 会 では 言 語 コーパスの 利 用 状 況 と 著 作 権 関 連 の 過 去 の 判 例 について 調 査 すると いう 方 針 のもと 著 作 権 関 連 の 団 体 とセミナーの 開 催 について 調 査 を 行 い 6つの 団 体 をリストアッ プした また 言 語 処 理 に 携 わる 国 内 の 研 究 者 がどのような 言 語 資 源 を 必 要 としているかを 調 べるた めのアンケート 調 査 を 行 った ユーザのニーズに 関 しては 6 種 類 のユーザシナリオに 関 するニーズ を 深 く 調 べるという 方 針 で 調 査 を 継 続 調 した さらに 上 海 で 行 われた 第 6 回 日 中 自 然 言 語 処 理 共 同 研 究 促 進 会 議 にも 委 員 を 派 遣 して 調 査 報 告 した 自 然 言 語 処 理 技 術 に 関 するニーズ 調 査 として 平 成 18 年 度 には Webサービスの 利 用 状 況 に 関 する -1-

アンケート 調 査 を 行 った 検 索 経 路 探 索 レストランガイド 映 像 共 有 等 のサービスに 関 してそれ ぞれいくつかの 代 表 的 なサイトを 取 り 上 げ 性 別 と 年 令 (15~19 歳 20 代 60 代 )の 組 み 合 わせ ごとに50~100 程 度 の 回 答 者 から 情 報 を 収 集 した このデータの 解 析 は 平 成 19 年 度 にも 継 続 する -2-

2.マルチモーダルコンテンツ 技 術 2.1 はじめに 対 話 コンテンツ 技 術 専 門 委 員 会 は 対 話 コンテンツをはじめとするさまざまなコンテンツの 処 理 利 用 技 術 の 調 査 発 展 に 資 することを 目 的 として 活 動 している コンテンツとしては 言 語 情 報 が 主 に 入 っている 映 像 データを 取 り 上 げ 自 然 言 語 処 理 を 用 いた 言 語 解 析 はもちろんのこと 韻 律 動 作 表 情 といったモダリティについても 分 析 の 対 象 としている このようなさまざまな 解 析 結 果 をアノテ ーションとして 付 与 することで 映 像 データが 構 造 化 され その 構 造 を 利 用 した 検 索 要 約 表 示 と いったより 知 的 で 包 括 的 なコンテンツの 利 用 が 可 能 になる 本 委 員 会 では これまでに 二 種 類 の 対 話 課 題 を 収 録 したマルチモーダル 対 話 コーパスを 製 作 し そ れに 音 声 韻 律 タグ 構 文 意 味 情 報 を 明 示 するGDAダグ 発 話 の 役 割 を 示 す 談 話 タグなどを 付 与 してき た これらのアノテーションデータは 使 用 ツールとともに http://jnetcom.jeita.or.jp/members/mmcorpus/ において 公 開 している 今 年 度 は 昨 年 度 に 引 き 続 き 対 話 コンテンツを 含 めたさまざまなコンテンツに 関 して 調 査 を 行 った まず2.2 節 で 動 画 の 構 造 化 についての 調 査 を 報 告 する 2.3 節 では 映 像 検 索 やマルチメディアブログ といった 市 場 の 動 向 調 査 を 報 告 する 2.4 節 では ISOにおける 言 語 資 源 管 理 に 関 する 国 際 標 準 化 の 動 向 について 報 告 する 2.5 節 では 情 報 可 視 化 eラーニングといった 最 新 の 利 用 技 術 についてまとめ る 2.6 節 では 当 委 員 会 が 継 続 して 行 っている 映 像 要 約 についての 研 究 作 業 を 報 告 する 2.7 節 では 今 年 度 行 ったヒアリングについて 述 べる 蓄 積 されるコンテンツが 質 を 変 えながらその 量 を 加 速 度 的 に 増 やしている 現 在 それをいかに 利 用 するかがますます 重 要 になっている 当 委 員 会 への 要 望 意 見 などお 寄 せいただければ 幸 いである ( 斎 藤 博 昭 ) -3-

2.2 技 術 動 向 調 査 本 節 では 動 画 の 構 造 化 に 関 する 技 術 動 向 の 調 査 結 果 を 報 告 する 2.2.1 インターネットでのコンテンツ 流 通 動 画 の 構 造 化 とは 映 像 コンテンツにメタデータあるいはアノテーション( 注 釈 )を 付 与 することで ある 動 画 の 構 造 化 は その 実 施 タイミング( 映 像 を 作 る 前 か 後 か) 対 象 (コンテンツ 内 容 中 心 か 著 作 権 情 報 中 心 か) 方 法 ( 統 制 されているか いないか)により 大 別 できる 分 類 できる 以 下 の 表 2.2.1-1 動 画 の 構 造 化 の 分 類 にはそれぞれの 分 類 に 属 する 代 表 的 なシステム メタデータの 規 約 例 を 示 す 表 2.2.1-1 動 画 の 構 造 化 の 分 類 構 造 化 の 対 象 主 にコンテンツ 内 容 構 造 化 のタイミング 統 制 非 統 制 主 に 著 作 権 情 報 映 像 を 作 る 時 セマンティックヒ テ オ オーサリンク (SVA) 映 像 を 作 った 後 テレヒ 番 組 検 索 システム MetaTV 動 画 共 有 サイト YouTube 共 通 メタテ ータ 体 系 J/Meta セマンティックビデオオーサリング(SVA)は 映 像 を 作 るとき( 作 った 後 でも 可 )に 意 味 的 なア ノテーションを 付 与 するものであり 橋 田 1) が 提 唱 し 映 像 作 成 のワークフローに 適 応 させたオーサ リングツールを 提 供 して 時 間 的 順 序 に 限 らないさまざまな 意 味 的 関 係 による 映 像 ショットの 組 合 せ を 可 能 にすることを 目 指 している テレビ 情 報 検 索 システムMetaTVは 株 式 会 社 エムデータが 企 業 向 けに 提 供 するサービスである 関 東 キー 局 の 番 組 CM 放 送 データについて 番 組 コーナー 単 位 に 放 送 時 間 番 組 タイトル 出 演 者 名 内 容 要 約 等 についてのメタデータを 提 供 している 出 演 者 名 等 については 統 制 された 表 記 で 記 述 されている YouTubeは インターネット 上 の 無 料 の 動 画 共 有 サービスであるが メタデータとして タグと 呼 ばれる 動 画 コンテンツを 分 類 するキーワードを 登 録 者 だけでなく 誰 でも 自 由 に 付 加 できるところ が 特 徴 的 である そのため 付 与 されているキーワードは 非 統 制 な 状 態 であり 表 記 ゆれなども 多 い J/METAは 財 団 法 人 マルチメディア 振 興 センターが 主 宰 する 放 送 コンテンツのネットワーク 流 -4-

通 に 向 けた 権 利 クリアランスに 関 する 研 究 会 で 策 定 されたメタデータ 体 系 である 放 送 コンテンツ の 内 容 に 関 する 情 報 著 作 権 や 著 作 者 隣 接 権 などの 権 利 に 関 する 情 報 についてのメタデータ 体 系 を 規 定 するものであり BtoBにおける 映 像 コンテンツの 流 通 の 促 進 を 目 指 すものである SVA J/METAについては 2.4 標 準 化 の 節 に 詳 しく 述 べる 2.2.2 動 画 の 構 造 化 の 例 本 稿 では 動 画 の 構 造 化 の 例 として 上 記 に 述 べたテレビ 情 報 検 索 システムMetaTVについて 詳 し く 説 明 する 本 システムの 狙 い テレビからは 視 聴 者 や 市 場 に 影 響 を 及 ぼす 貴 重 な 情 報 が 日 々 大 量 に 配 信 されている 本 システ ムは 企 業 向 けに テレビ 放 送 の 内 容 を 通 じた 自 社 のテレビ 露 出 調 査 危 機 管 理 ライバル 企 業 の 動 向 調 査 市 場 業 界 動 向 調 査 等 への 活 用 のために 販 売 しているものである そのため メタ データには 放 送 された 内 容 の 企 業 名 商 品 名 店 舗 名 や 出 演 者 名 などの 固 有 名 詞 を 重 要 視 して 登 録 してある メタデータの 作 成 方 法 MetaTVのメタデータは 専 門 スタッフの 人 手 作 業 により 作 成 されている 一 次 作 業 者 がテレ ビ 放 送 を 見 ながら 放 送 中 の 音 声 や 映 像 中 のテキストを 入 力 し 二 次 作 業 者 がその 内 容 を 要 約 し 統 制 されたキーワードに 整 理 していく 番 組 放 送 終 了 から 最 短 1 時 間 でデータが 反 映 される 2) メタデータの 内 容 メタデータの 内 容 は 対 象 放 送 局 番 組 カテゴリー データ 項 目 で 構 成 されている 1 対 象 放 送 局 現 在 は 関 東 キー 局 のNHK NHK 教 育 日 本 テレビ TBS フジテレビ テレビ 朝 日 テレ ビ 東 京 である 2 番 組 カテゴリー 番 組 カテゴリーとして 以 下 が 用 意 されている ドラマ 映 画 スポーツ 演 劇 / 公 演 音 楽 バラエティー 趣 味 / 教 育 アニメ/ 特 撮 情 報 /ワイドショー 福 祉 ドキュメンタリー ニュース/ 報 道 さらにニュースは 以 下 のサブカテゴリーに 分 類 される 政 治 / 国 際 ビジネス 社 会 文 化 / 芸 能 スポーツ 暮 らし サイエンス -5-

3データ 項 目 データ 項 目 とその 内 容 は 番 組 カテゴリーごとに 多 少 異 なっている バラエティ ニュース/ 報 道 と CMのデータ 項 目 を 以 下 に 示 す バラエティー 放 送 日 曜 日 局 番 組 開 始 時 間 番 組 終 了 時 間 番 組 名 分 類 ヘッドライン( 番 組 によりコーナー 名 などタイトル 形 式 に 応 じ 加 工 可 能 ) MEMO(コーナー 出 演 者 や 提 供 スポンサー 楽 曲 商 品 情 報 ) 出 稿 開 始 時 間 出 稿 終 了 時 間 出 稿 時 間 ニュース 報 道 放 送 日 曜 日 局 番 組 開 始 時 間 番 組 終 了 時 間 番 組 名 分 類 ( 各 話 題 に 対 してのカテゴリーを 全 て 選 別 ) ヘッドライン(NEWSヘッドライン) MEMO( 報 道 内 容 を 独 自 にサマリー 化 出 演 者 情 報 等 ) 出 稿 開 始 時 間 出 稿 終 了 時 間 出 稿 時 間 CM 放 送 日 放 送 局 放 送 時 間 会 社 名 商 品 名 秒 数 状 況 設 定 タレント 備 考 メモ(CM 中 のコメントやキャンペーン 告 知 URL) BGM(CMソングや 歌 手 名 ) CM 放 送 のメタデータの 例 を 以 下 に 示 す 2) 図 2.2.2-1 MetaTVにおけるCM 放 送 のメタデータ 例 -6-

なお これらのメタデータは 放 送 された 内 容 をそのまま 転 記 したものではなく 独 自 の 要 約 を 施 したものであるため 著 作 権 上 の 問 題 はないと 判 断 されている 検 索 システムの 概 要 本 システムでは メタデータの 検 索 システムを 提 供 している 検 索 システムでは メタデータ の 項 目 検 索 ( 放 送 局 放 送 日 時 ジャンル)や キーワードで 検 索 が 可 能 である また 類 似 文 検 索 機 能 も 備 えている また 連 携 する 録 画 システムを 利 用 してユーザがローカルにテレビ 放 送 のビデオ 録 画 をしてお けば 検 索 結 果 から 見 たい 番 組 のコーナーを 瞬 時 に 再 生 することも 可 能 である 3) 図 2.2.2-2 MetaTVにおける 検 索 画 面 と 結 果 画 面 の 例 2.2.3 動 画 の 構 造 化 のためのツール 動 画 の 構 造 化 のためには 映 像 の 再 生 番 組 コーナー(シーン)の 分 割 メタデータの 入 力 等 が 必 要 である 本 稿 では このような 作 業 を 簡 便 化 するツールの 例 として NHK 放 送 技 術 研 究 所 が 提 供 す -7-

るメタデータエディタ 4) を 紹 介 する 本 ツールの 狙 い NHK 放 送 技 術 研 究 所 では メタデータ 制 作 フレームワーク 仕 様 書 を2006 年 に 発 行 した メ タデータ 制 作 フレームワーク(MPF:Metadata Production Framework)とは メタデータ 制 作 シ ステムの 構 成 要 素 やメタデータ 形 式 とその 操 作 インタフェースを 規 定 することで メタデータ 制 作 技 術 の 研 究 開 発 を さまざまな 機 関 と 連 携 して 進 めていくための 共 通 基 盤 として 提 案 するシス テム 構 成 の 考 え 方 である メタデータの 制 作 時 に 必 要 とされる 蓄 積 抽 出 編 集 利 用 の 各 機 能 をモジュール 化 し モジ ュールで 交 換 するメタデータの 形 式 とモジュールを 組 み 合 わせて 動 作 させるためのインタフェー スを 定 義 することにより 拡 張 性 と 柔 軟 性 を 持 ったメタデータ 制 作 システムの 実 現 を 目 指 してい る MPFで 定 義 したメタデータモデルは 国 際 標 準 であるMPEG-7のサブセットを 使 用 して 記 述 さ れる MPEG-7は 汎 用 性 を 持 った 複 雑 な 規 格 のため 利 用 することが 難 しいが MPFでは 利 用 分 野 を 限 定 することで 限 定 的 なスキーマの 定 義 を 行 なうとともに 運 用 の 制 限 を 行 うことで 構 造 を 一 意 なものと 想 定 できるメタデータモデルを 定 義 してある 本 ツールの 概 要 メタデータエディタは MPFの 仕 様 に 準 拠 したメタデータ 制 作 用 のプログラムである メタデ ータの 編 集 機 能 と 蓄 積 機 能 を 持 ち MPFの 仕 様 に 基 づいて 開 発 された 抽 出 プログラムをプラグイ ンモジュールとして 簡 単 に 組 み 込 むことができる メタデータエディタは 抽 出 モジュールにより 抽 出 されたメタデータのブラウザやチェッカと して メタデータ 付 与 の 対 象 となる 動 画 とともに 操 作 できる 機 能 を 持 つ 各 モジュールは 以 下 の 機 能 を 持 っている メタデータサーバ:メタデータの 蓄 積 管 理 操 作 ( 作 成 変 更 削 除 検 索 ) 抽 出 モジュール:シーン 切 り 出 し 機 能 内 容 記 述 機 能 統 合 機 能 編 集 モジュール:セグメントメタデータの 読 み 出 し 編 集 結 合 処 理 関 係 記 述 利 用 モジュール:メタデータの 検 索 統 合 処 理 他 の 形 式 への 変 換 など -8-

5) 図 2.2.3-1 メタデータエディタ 操 作 画 面 参 考 文 献 1) 橋 田 浩 一 : 産 総 研 のセマンティックコンピューティング,ISeCシンポジウム-Web2.0 時 代 のセ マンティックコンピューティング- 発 表 資 料,2005 2) 株 式 会 社 エム データ: 株 式 会 社 エム データホームページ,http://www.mdata.tv/service.html, 2006 3) 株 式 会 社 エム データ: テレビ 情 報 検 索 システムMetaTVホームページ, http://mdata.tv/metatv/http://mdata.tv/metatv/,2006 4) 佐 野 雅 規 河 合 吉 彦 住 吉 英 樹 八 木 伸 行 : メタデータ 制 作 フレームワークの 提 案 とメタデータ エディタの 開 発, 情 報 処 理 学 会 FIT2006 第 5 回 情 報 科 学 技 術 フォーラム 発 表 資 料,I-067,2006 5)NHK: Metadata Production Framework ホームページ,http://www.nhk.or.jp/strl/mpf/editor.htm, 2006-9-

2.3 市 場 動 向 調 査 近 年 ブログやソーシャルネットワーク 映 像 投 稿 サイトなど コンテンツの 消 費 者 自 身 がコンテ ンツを 生 み 出 す 枠 組 みが 広 がっている それらのコンテンツは CGM(Consumer Generated Media) と 呼 ばれ 注 目 されている CGMは テキスト 情 報 に 留 まらず 写 真 や 映 像 など 様 々な 形 態 のメディア に 広 がっている これらのコンテンツは コンテンツ 素 材 の 収 集 創 作 ( 編 集 ) 公 開 流 通 素 材 と して 活 用 という 過 程 で 創 作 され 流 通 していく コンテンツ 素 材 の 収 集 段 階 は 自 分 で 撮 影 したり 録 音 した 映 像 音 声 や 他 人 が 公 開 している 素 材 を 自 分 のコンテンツの 一 部 として 利 用 するために 収 集 する 段 階 で 創 作 のための 前 段 階 である 最 近 になって 自 分 の 様 々な 行 為 をデジタル 情 報 として 蓄 積 する ライフログ の 取 り 組 みも 始 まり 日 常 生 活 全 般 の 情 報 がコンテンツになりえる 創 作 段 階 は 個 人 または 複 数 人 でコンテンツを 製 作 する 段 階 で それを 支 援 する 取 り 組 みも 始 まっ ている 公 開 流 通 段 階 は ブロードバンド インターネット 環 境 が 整 備 されることで 盛 んに 行 われてい る また ソーシャルネットワーク 上 に 映 像 を 投 稿 できるようになるなど 様 々なサービスも 提 供 されている そこでは CGMを 通 じたコミュニティやCGMの 評 価 反 響 を 提 供 するコメント 機 能 な どが 整 備 されている 流 通 したコンテンツは さらに 他 人 の 素 材 として 活 用 される 以 下 では 映 像 コンテンツの 創 作 流 通 に 関 する 取 り 組 みについて 述 べる 2.3.1 映 像 コンテンツの 創 作 に 関 する 取 り 組 み コンテンツの 素 材 を 作 成 蓄 積 する 観 点 では ライフログに 関 する 取 り 組 みとも 関 連 している ラ イフログは 自 分 の 行 為 をデジタル 情 報 として 記 録 していく ログ である デジタルカメラやビデ オカメラを 使 って 個 人 の 記 録 を 大 量 に 蓄 え 過 去 のデータにさかのぼるといった 個 人 的 な 記 録 として の 愉 しみだけでなく 編 集 し 誰 かに 公 開 するなど 様 々な 目 的 のコンテンツの 素 材 として 活 用 できる PCや 携 帯 電 話 で 作 成 されたメールや 映 像 などの 情 報 や それらの 機 器 での 行 動 履 歴 を 収 集 した ラ イフログの 取 り 組 みが Microsoft ResearchやKDDIなどで 行 われている Microsoft Researchが 実 施 している マイライフビッツ プロジェクト [1] は 自 分 が 撮 った 写 真 や ホームビデオ 閲 覧 したウェブページ 送 受 信 した 電 子 メールなど 生 活 の 主 要 部 分 をコンピュータ ーに 保 存 することを 目 指 している( 図 2.3.1-1) マイクロソフトが 実 施 しているプロジェクトという ことで 将 来 OSの 一 機 能 となり 計 算 機 上 での 操 作 や 各 種 コンテンツの 閲 覧 変 更 過 程 が 行 動 履 歴 -10-

として 管 理 され 視 覚 化 されていく 可 能 性 もありそうである また ITmediaによると KDDIとKDDI 研 究 所 が 実 験 的 に 行 っているプロジェクトでは 身 の 回 り にある 物 の 情 報 をバーコードなどから 読 み 取 り それについての 感 想 を 書 くなどしてブログに 投 稿 す るまでを 携 帯 で 完 結 できるサービスが 紹 介 されている [2] GPS 機 能 を 持 つ 携 帯 電 話 なら 写 真 を 撮 ったときに 撮 影 場 所 を 特 定 でき その 写 真 をライフログの ブログにアップすると 近 い 場 所 で 撮 った 別 の 写 真 をまとめて 表 示 でき Googleマップを 使 って 周 辺 の 地 図 を 表 示 することも 可 能 になる これらのコンテンツを 編 集 なしで そのまま 公 開 しても 家 族 や 友 人 には 十 分 視 聴 されるかもしれ ない しかし 不 特 定 多 数 の 人 に 対 しては 様 々な 編 集 が 必 要 となるだろう また コンテンツの 素 材 は 映 像 や 写 真 だけでなく CGであってもよい 素 材 を 活 用 して コンテンツを 編 集 するという 観 点 では 個 人 によるコンテンツ 編 集 からチームによる 編 集 を 支 援 する 枠 組 みが 必 要 である 以 下 では コンテンツ 作 成 編 集 を 支 援 する 東 京 大 学 先 端 科 学 技 術 研 究 センターのボトムアップ のコンテンツ 制 作 システム デジタル ムービー ディレクター の 取 り 組 み さらにチームによる 編 集 を 支 援 する 枠 組 みとして シネマワーク と ClipLife との 連 携 の 取 り 組 みを 紹 介 する 図 2.3.1-1 マイライフビッツ プロジェクトのスクリーンショット デジタル ムービー ディレクター(DMD) デジタル ムービー ディレクター(DMD) [3] は 東 京 大 学 先 端 科 学 技 術 研 究 センターで 開 発 され ている DMDは シナリオをS( 主 語 ) V( 述 語 ) O( 目 的 語 )の 組 み 合 わせで 記 述 することがで き 個 人 で 簡 単 にCG 映 画 を 製 作 できるシステムである ムービー 塾 [4] で このシステムを 使 って 映 像 製 作 が 行 われている -11-

平 成 19 年 2 月 現 在 DMD@home 版 として 大 学 が 主 催 するDMD 体 験 講 座 ムービー 塾 の 参 加 者 を 対 象 に 自 宅 でも 使 えるようなクライアントソフトが 公 開 されている このツールの 公 開 に 際 し ても 著 作 権 保 護 の 課 題 があったとのことで 著 作 権 保 護 の 課 題 がやはり 大 きいことがうかがえる 今 後 このようなツールが 一 般 の 人 に 公 開 され また 様 々な 人 がDMD 素 材 を 流 通 させ 複 数 人 でシナリオを 作 成 できることになると さらに 面 白 そうである シネマワーク と ClipLife との 連 携 の 取 り 組 み 2007 年 1 月 26 日 の 日 本 電 信 電 話 株 式 会 社 のプレスリリース [5] によると テクノロジーシードインキ ュベーション 株 式 会 社 ( 以 下 TSI )と 日 本 電 信 電 話 株 式 会 社 ( 以 下 NTT )の2 社 は TSIの 映 像 創 作 サイト シネマワーク( 図 2.3.1-2) [6] とNTTの 動 画 共 有 サイト ClipLife [7] を 連 携 させ WEB 上 で の 共 同 映 像 創 作 ~ 発 信 ( 投 稿 )~ 作 品 評 価 取 得 という 動 画 コンテンツを 利 用 したコミュニケーシ ョンの 更 なる 拡 充 を 目 指 し WEB 環 境 を 試 験 的 に 提 供 するとともに 本 環 境 の 機 能 及 びビジネス 性 の 検 証 等 を 行 なう とのことである 図 2.3.1-3にWEB 映 像 創 作 共 有 環 境 のイメージを 示 す シネマワーク は 次 のような 特 長 を 持 っている WEB 上 で 制 作 及 び 編 集 作 業 等 に 必 要 な 情 報 やファイルを 共 有 することが 可 能 となり ロケーシ ョンが 離 れているメンバ 間 でも 共 同 制 作 を 実 現 多 種 多 様 な 素 材 膨 大 な 人 数 複 雑 な 映 像 創 作 工 程 をWEBに 管 理 することが 可 能 作 品 の 制 作 状 況 をWEB 上 に 公 開 することで 第 三 者 からのアドバイス 等 を 受 けることが 可 能 また 動 画 共 有 サイト ClipLife では クリエイティブコモンズライセンス [8] による 素 材 投 稿 共 有 の 仕 組 みが 整 っている 例 えば 図 2.3.1-4のように コンテンツに クリエイティブコモンズライ センスのクレジット 表 示 がされている この 枠 組 みは 他 人 のコンテンツを 自 分 のコンテンツ 制 作 に 活 用 できる 枠 組 みや 共 同 編 集 の 枠 組 みを 提 供 しており 今 後 どのような 広 がりをみせるのか 注 目 である -12-

図 2.3.1-2: シネマワーク の 概 要 図 2.3.1-3:WEB 映 像 創 作 共 有 環 境 (イメージ) -13-

図 2.3.1-4: ClipLife のスクリーンショット 2.3.2 映 像 コンテンツの 流 通 に 関 する 取 り 組 み 映 像 コンテンツの 流 通 に 関 して コンテンツを 通 じてコミュニティを 形 成 するための 場 を 形 成 する 取 り 組 みが 盛 んになされている ここでは Synvie [9] の 取 り 組 みとSecond Life [10] について 紹 介 する Synvie Synvieは マルチメディアコンテンツ 配 信 コミュニケーションシステムであり マルチメディア コンテンツにブログの 仕 組 みを 取 り 入 れている これによって 既 存 のブログと 同 様 に 映 像 コンテ ンツを 話 題 としたコミュニティの 生 成 を 支 援 し ユーザの 口 コミによってコンテンツが 効 率 よく 配 信 宣 伝 される 仕 組 みが 可 能 になる 映 像 内 の 特 定 シーンにコメントを 設 定 し 再 生 中 に 表 示 したり 映 像 の 部 分 に 矩 形 を 設 定 し そこにコメントを 付 与 することもできるデモ 映 像 が 公 開 されている 2006 年 2 月 現 在 ビデオブログが 書 けるビデオ 配 信 サービスとして Synvie Public Beta Service が 公 開 されている Second Life Second Lifeは 米 Linden Lab 社 によって 開 発 された3Dのオンラインスペースである そこでは ユーザは 世 界 を 自 由 に 歩 き 回 って 観 光 したり 別 のユーザとチャットしたり 自 由 に 第 2の 人 生 を 過 ごすことができる Second Lifeの 専 用 ブラウザに 3Dモデリングツールが 組 み 込 まれており ユーザが 自 由 に アバ -14-

ターやアイテム 建 物 などのオブジェクトを 創 造 できる これらの 環 境 を 利 用 して ユーザが3D 作 品 を 作 ったり 映 像 を 公 開 することも 可 能 で コミュニ ケーションの 新 たな 場 として 注 目 である [ 参 考 文 献 ] [1] マイライフビッツ プロジェクト http://research.microsoft.com/barc/mediapresence/mylifebits.aspx [2] 日 常 生 活 をなんでも 記 録 ライフログ http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0610/04/news067.html [3] だれでもムービーディレクター http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/research/pioneers/007/index.html [4] ムービー 塾 http://www.movie-school.org/index.html [5] 映 像 創 作 サイト シネマワーク と ClipLife との 連 携 によるWEB 映 像 創 作 共 有 環 境 の 試 験 提 供 について http://www.ntt.co.jp/news/news07/0701/070126b.html [6] 映 像 製 作 支 援 ソフト シネマワーク http://cinemawork.jp/ [7] ClipLife http://cliplife.jp/ [8] クリエイティブ コモンズ http://www.creativecommons.jp/ [9] Project Synvie http://synvie.net/ [10] Second Life http://secondlife.com/world/jp/whatis/ ( 大 沼 宏 行 ) -15-

2.4 標 準 化 2.4.1 ISO/TC37/SC4/TDG3 ISO/TC37は ターミノロジーおよび 他 のコンテンツ 資 源 に 関 する 標 準 化 を 進 めており そのう ちSC4は 言 語 資 源 管 理 に 関 する 標 準 化 を 担 当 している SC4にはCD12620-1 (Data Category)に 基 づく 具 体 的 なデータカテゴリの 標 準 レジストリを 作 成 するためのTDG (Thematic Domain Group) が3つある ここで 言 うデータカテゴリとは 言 語 データの 分 類 の 仕 方 であり abbreviated form for acronym forなどのカテゴリを 含 む そのうちTDG3は 意 味 内 容 記 述 に 必 要 なカテゴリを 担 当 してお り 2007 年 3 月 現 在 4 種 類 のデータカテゴリ 群 ( 談 話 関 係 対 話 行 為 参 照 構 造 とリンク 意 味 役 割 )について 標 準 レジストリの 作 成 を 進 めている また 国 際 標 準 規 格 を 作 る 正 式 の 作 業 項 目 (Work Item)の 立 ち 上 げもTDGのミッションのひとつであり 実 際 にTDG3からは 時 間 の 記 述 に 関 する 正 式 の 作 業 項 目 (SemAF-Time;Semantic Annotation Framework - Time and Events)が 生 まれ 現 在 も 他 の 作 業 項 目 の 立 ち 上 げが 計 画 されている ちなみに SemAF-TimeはTimeMLに 基 づいて 国 際 標 準 化 を 進 めている 以 下 ではTDG3のうち 橋 田 が 担 当 する 談 話 関 係 のレポジトリに 関 して 述 べる 談 話 関 係 の 分 類 に 関 してはこれまであまり 体 系 的 な 方 法 を 考 慮 してこなかったが 2007 年 1 月 にTilburgで 開 かれたTDG3 の 会 合 で 招 待 講 演 したTed Sanders 1-3) による 談 話 関 係 の 分 類 法 を 導 入 すべく 検 討 中 である Sandersの 分 類 は 下 記 の4 通 りの2 値 素 性 に 基 づく additive - causal positive - negative semantic - pragmatic forward - backward Additiveでは2つの 項 が 表 わす 事 象 の 間 に 含 意 関 係 等 の 強 い 関 係 がなく 連 言 (conjunction)の 関 係 があるが causalでは 両 事 象 の 間 に 含 意 関 係 がある Positiveでは2つの 項 の 間 に 連 言 または 含 意 の 関 係 があるが negativeの 場 合 は 少 なくとも 一 方 の 項 の 否 定 がその 連 言 または 含 意 に 現 われる ただし positiveとnegativeのこの 定 義 は 一 般 性 に 欠 けるように 思 われる より 一 般 的 な 定 義 は positiveにおい ては2つの 事 象 の 間 の 相 反 や 相 違 が 主 張 されていないのに 対 し negativeの 場 合 にはそのような 主 張 がなされている というものではないかと 考 えられる たとえば 下 記 は 例 外 (exception)の 例 だが ここでは 今 日 雨 が 降 った と 天 気 が 良 かった とは 互 いに 相 反 する [ 今 日 雨 が 降 った] 以 外 は[ 天 気 が 良 かった] また semanticではいずれも 単 なる 命 題 である2つの 項 の 間 の 意 味 的 な 関 係 が 述 べられるが pragmaticではいずれかの 項 が 発 話 者 の 推 論 の 結 果 や 言 語 行 為 である たとえば 後 述 の 因 果 (causes) -16-

はsemanticであるが 推 論 (inference)はpragmaticである しかし たとえば 下 記 の 例 に 見 られるよう に 否 定 条 件 (negative conditional) 等 の 関 係 はsemanticにもpragmaticにもなるので seamntic-pragmatic という 素 性 を 談 話 関 係 の 分 類 に 用 いるのは 必 ずしも 適 切 ではない( 談 話 関 係 の 個 数 を 不 必 要 に 増 やし てしまう) Forward-backwardは 表 層 の 言 語 表 現 の 間 の 順 序 に 関 する 素 性 なので 意 味 的 な 関 係 の 分 類 には 適 しない そういうわけで TDG3における 談 話 関 係 のレジストリでは 上 記 の4つの 素 性 のうち additive-causalおよびpositive-negativeを 用 いて 談 話 関 係 を 分 類 する また いずれの 項 がより 重 要 で あるかは 意 味 内 容 そのものではなくプレゼンテーションの 文 脈 に 依 存 して 決 まるので 談 話 関 係 から 捨 象 し これによって 談 話 関 係 の 個 数 を 抑 制 する たとえば 下 の2つの 例 文 に 示 すように 建 物 が 大 きい と 部 屋 が 小 さい のいずれが 重 要 であるかは 文 脈 によって 異 なるので これらの 間 の 関 係 は ( 一 方 を 他 方 より 重 要 と 措 定 する) 逆 接 (concession)ではなく(いずれが 重 要 であるとも 見 なさな い) 相 反 (conflict)によって 捉 えた 方 が 効 率 的 である そのホテルは 建 物 が 大 きいけど 部 屋 が 小 さい だから 太 郎 はそこにあまり 泊 まらない そのホテルは 部 屋 が 小 さいけど 建 物 が 大 きい だから 花 子 はそこによく 泊 まる 現 在 想 定 している 談 話 関 係 の 一 覧 を 以 下 に 示 す ここで 1 と 2 はそれぞれ 当 該 の 談 話 関 係 の 第 1 項 と 第 2 項 を 表 わす 用 例 においては [ ]で 囲 まれている 部 分 が 第 1 第 2 項 であり そう でない 部 分 が 接 続 表 現 (connective)である 肯 定 付 加 (additive positive) 関 係 接 続 表 現 解 説 と 用 例 付 加 (addition) 追 加 (moreover) 1 また1 1 と 同 時 に1 1 そうして1 1 そして1 1 それから2 1 そのうえ2 1 それに2 1 さらに2 1 しかも2 [かれはフランス 語 が 得 意 だった] また[ドイツ 語 もよくでき る] [ 空 はよく 晴 れていた] そして[ 涼 しい 風 が 吹 いていた] [1 三 郎 はひどく 疲 れていた] そのうえ [2 少 し 熱 があった] 類 似 (similar) 2くらい1 健 は[2 奈 緒 美 ]ぐらい[1 大 きな 家 に 住 んでいる] 様 態 (manner) 2ように1 [2 蝶 ]のように[1 舞 う] 詳 述 (details) 換 言 (restatement) 例 (example) 2 要 するに1 1 すなわち2 1 つまり2 1 換 言 すれば2 1 言 い 換 えれば2 1 たとえば2 1 現 に2 [2この 文 章 は しくみが 粗 雑 なうえに 用 語 も 不 適 切 だ] 要 するに[1 悪 文 だ] -17-

抽 出 (extraction) 1 とりわけ2 1 特 に2 1 わけても2 [1すばらしいながめだ] とりわけ [2 林 と 丘 はまるで 絵 のよ うだ] 1 せめて2 [1 良 い 成 績 を 取 りたい ] 少 なくとも[2 数 学 は 落 としたくな 最 小 限 (minimum) 1 少 なくとも2 い] 要 素 (element) 1 2 ( 第 2 項 は 第 1 項 の 要 素 である ) 部 分 (part) 1 2 ( 第 2 項 は 第 1 項 の 部 分 である ) 具 体 化 (concrete) 1 2 [1 母 は 病 院 で 働 いています] [2 看 護 士 です] ステップ(step) 1 2 置 換 (substitution) 補 充 (supplement) 背 景 (background) 状 況 (circumstance) 内 容 (content) 1というより2 1 むしろ2 1 ちなみに2 1 なお2 2 1 2が1 2けれど1 2とき1 2ころ1 2 1 1 2 2と1 2という1 否 定 付 加 (additive negative) 関 係 接 続 表 現 解 説 と 用 例 対 照 (contrast) 1 しかし2 1けれども2 1だが2 1でも2 1が2 1 一 方 2 1 他 方 2 1 それに 対 し2 1 逆 に2 1 かえって2 [1 水 は 循 環 している] [2 雨 や 雪 として 空 から 地 上 に 降 り 蒸 発 して 空 に 戻 る] [1 第 一 回 の 研 究 会 を 十 六 日 に 開 きます] なお [2 次 回 は 来 月 の 予 定 です] ( 第 1 項 を 受 話 者 が 理 解 するための 文 脈 を 第 2 項 が 与 える 結 果 / 原 因 や 結 論 / 証 拠 ではない ) [2 太 郎 は 中 央 線 で 新 宿 まで 通 勤 している] [1 今 日 は 中 野 で 下 車 した] [2 最 近 本 を 三 冊 読 んだ] [1その 中 に 友 情 について という のがある] [2 夏 休 みには 旅 行 したいと 思 います] [1いっしょにいきませ んか] ( 第 2 項 は 第 1 項 が 生 起 する 状 況 結 果 や 証 拠 ではな い 同 時 性 あり ) [2 私 が 生 まれた]ころ [1 日 本 は 貧 しかった] [2わたしは 坂 道 をのぼっていた] [1 道 ばたに 美 しい 花 が 咲 い ている] [2 窓 の 外 は 春 雨 だ] [1わたしはたばこに 火 をつける] [12その 人 は 言 った] [2 いつかお 目 にかかりましたね ] [1わたしは 考 えた] [2 出 来 るだけのことをすればよいのだ] [1 太 郎 は[2 面 白 い ]と 思 った] (2つの 事 象 が 両 立 することは 大 いにありうるまたは 両 立 し ても 構 わないが 対 照 をなす のに で2つの 項 を 結 べな い ) [16 人 がその 案 に 賛 成 だと 言 った] 一 方 [2それに 反 対 する 人 は3 人 に 過 ぎなかった] 比 較 (comparison) 2より1 健 は[2 奈 緒 美 ]より[1 大 きな 家 に 住 んでいる] 相 違 (different) 2とは 違 って1 制 約 (constraint) 1 ただし2 1 もっとも2 1 ただ2 [1わたしはサッカーが 好 きです] ただし[2 見 るのが 好 きなん です] -18-

例 外 (exception) 選 言 (disjunction) 2 以 外 は1 1 ただし2 1 それとも2 1 あるいは2 1 または2 [2 太 郎 が 遅 れた] 以 外 は[1みな 間 に 合 った] [1 思 いきって 言 おうか] それとも [2やはり 黙 っていようか] 順 接 (causal positive) 関 係 接 続 表 現 解 説 と 用 例 因 果 (causes) 1ため2 1 かくて2 1 こうして2 1 その 結 果 2 1 それで2 2 なぜなら1 2 なんとなれば1 2 というのは1 比 例 (proportion) 2ほど1 [2 大 きい]ほど[1 良 い] 誘 発 (triggers) 目 的 (purpose) 条 件 (conditional) 推 論 (inference) 2 すると1 2と1 2 そうしたら1 2(ため)には1 2 そのためには1 2ために1 2ならば1 2ば1 1 だから2 1から2 1 それで2 1 したがって2 [1かれは 試 験 に 合 格 した] かくて[2かれの 宿 願 は 達 せられ た] [2 春 子 は 知 っていた] なぜなら[1 本 で 読 んだことがあったか ら] [2 並 木 道 を 歩 いて 行 った] すると[1むこうからひとりの 男 が 近 づいてきた] [2 五 時 に 着 きたい] そのためには[1 三 時 に 家 を 出 なくては] [2 合 格 する]ために[1 勉 強 した] [2 冷 蔵 庫 にビールが 入 ってい]たら[1 飲 んで 下 さい] [1 山 口 君 も 来 たということだ] とすると[2この 話 を 知 らぬは ずはない] 自 明 推 論 (obvious inference) 1 まして2 1 いわんや2 [1この 問 題 は 兄 にも 解 けないそうだ] まして[2ぼくにわかる はずがない] 説 明 (explanation) 1 2 [1 初 めて 朝 顔 が 咲 いた] [2 白 い 大 きな 花 だ] [1わたしの 父 は 実 業 家 ではありません] [2 医 師 です] 評 価 (evaluation) 1 2 [1 まかぬ 種 は 生 えぬ という] [2そのとおりだと 思 う] 逆 接 (causal negative) 関 係 接 続 表 現 解 説 と 用 例 相 反 (conflict) 2なのに1 2 しかるに1 2 そのくせ1 2にもかかわらず1 1 しかし1 1 といっても1 1 ところが1 1 それが1 無 条 件 (unconditional) 1によらず2 (2つの 事 象 が 両 立 しにくい または 両 立 すべきでない 逆 接 を 対 称 にした 関 係 ) [2わたしは 全 力 をつくした] それなのに[1 結 果 は 思 わしくな かった] ( 時 間 的 前 後 関 係 / 因 果 関 係 があるので 非 対 称 ) [1 天 気 予 報 では 晴 れるはずだった] ところが[2 雨 になった] [1もう 一 度 調 べる 必 要 がある] [2 結 果 はわからない]が [1 値 段 が 高 い] しかし[2 品 質 がよい] ( 値 段 が 高 い は 望 ましくない を 含 意 し 品 質 が 良 い は 望 ましい を 含 意 するので 両 者 の 間 には 換 喩 的 な 相 反 関 係 がある ) [1 天 気 が 良 いかどうか]によらず[2 行 く] -19-

譲 歩 (compromise) たとえ1でも2 [1 天 気 が 悪 く]ても[2 行 く] 否 定 条 件 (negative conditional) 1 さもなければ2 ( 選 言 と 違 って 第 1 項 に 重 点 がある ) [1 働 け] さもなくば[2 食 うな] 参 考 文 献 1)Sanders, T., W. Spooren and L. Noordman. Toward a taxonomy of coherence relations. Discourse Processes, 15, 1-35. (1992) 2)Sanders, T., W. Spooren and L. Noordman. Coherence relations in a cognitive theory of discourse representation. Cognitive Linguistics,4-2, 93-133. (1993) 3)Sanders, T. Semantic and pragmatic sources of coherence: On the categorization of coherence relations in context. Discourse Processes, 24, 119-147. (1997) 橋 田 浩 一 ( 産 業 技 術 総 合 研 究 所 ) 2.4.2 放 送 コンテンツのための 共 通 メタデータ 体 系 J/Meta 本 節 では 放 送 コンテンツのための 共 通 メタデータ 体 系 J/Metaについて 報 告 する 目 的 と 背 景 コンテンツの 流 通 特 にそれに 関 する 権 利 処 理 や アーカイブとしての 蓄 積 を 円 滑 に 行 うためには そのコンテンツがどのようなものであるか 誰 がそのどの 部 分 に 権 利 を 有 しているか 等 コンテンツ に 関 するメタデータを コンテンツ 流 通 に 関 わる 関 係 者 である 権 利 者 コンテンツホルダ( 放 送 局 等 ) 配 信 事 業 者 等 で 効 率 的 に 交 換 することが 必 要 となる このためのメタデータについては 既 に コンテンツ 流 通 に 関 わる 関 係 者 がそれぞれに 独 自 のものを 用 いているが それらメタデータ 体 系 は 様 々なものであったため それらの 互 換 性 を 確 保 する 基 盤 となるような 共 通 的 なメタデータ 体 系 が 必 要 とされていた J/Metaはこのメタデータ 体 系 の 共 通 基 盤 となることを 目 的 に 財 団 法 人 マルチメ ディア 振 興 センター 主 催 の 研 究 会 (2002 年 2 月 発 足 )が2004 年 6 月 にver2.0を 2005 年 5 月 にver3.0 を 提 案 したものである 特 徴 J/Metaは BtoBコンテンツ 流 通 取 引 に 関 して コンテンツホルダ 権 利 者 団 体 配 信 業 者 等 の 関 係 者 でのデータ 交 換 に 利 用 されることを 想 定 し そのためのメタデータの 仕 様 を 定 めたものである ただし BtoCを 想 定 した 上 で 必 要 となるがBtoBで 規 定 される 項 目 例 えば 再 生 可 能 回 数 コピー 可 能 回 数 等 もその 中 に 含 まれる コンテンツの 題 名 ID 概 要 や 技 術 情 報 等 コンテンツの 内 容 を -20-

説 明 する カタログ 的 メタデータ 631 項 目 と コンテンツに 含 まれる 権 利 者 の 氏 名 や 連 絡 先 権 利 の 利 用 許 諾 条 件 等 コンテンツの 権 利 や 契 約 に 関 する 権 利 関 連 のメタデータ 854 項 目 をそれぞれ6セ ットに 分 類 して 記 述 している 以 下 に 各 セットの 簡 単 な 説 明 を 述 べる カタログ 的 メタデータ プログラム 識 別 情 報 :プログラム( 番 組 等 )を 識 別 するための 索 引 的 情 報 プログラム 説 明 :プログラムの 詳 細 情 報 放 送 イベント 詳 細 :プログラムが 放 送 された 際 のイベント 履 歴 情 報 プログラム 分 類 詳 細 :プログラムの 分 野 (ジャンル) 識 別 情 報 プログラム 関 連 素 材 詳 細 :プログラムに 関 連 する 素 材 の 詳 細 情 報 プログラム 交 換 技 術 情 報 : 利 用 可 能 な 交 換 フォーマット 情 報 権 利 関 連 のメタデータ 著 作 権 者 情 報 :プログラムの 著 作 権 を 保 有 する 人 あるいは 組 織 に 関 する 情 報 著 作 権 エージェント 情 報 : 著 作 権 者 より 権 利 を 委 任 されている 代 理 人 / 代 理 機 関 に 関 する 情 報 権 利 者 情 報 : 権 利 者 に 関 係 する 権 利 及 びその 権 利 に 適 用 される 許 諾 条 件 楽 曲 / 音 声 利 用 報 告 詳 細 :プログラム 内 で 使 用 した 楽 曲 に 関 する 利 用 報 告 情 報 契 約 詳 細 :プログラムの 利 用 開 発 に 係 わる2 者 間 の 契 約 詳 細 情 報 許 諾 利 用 実 績 報 告 : 許 諾 にひも 付 く 利 用 実 績 情 報 J/Metaの 体 系 は P/Meta( 欧 州 放 送 連 盟 (EBU) 研 究 プロジェクトが 規 定 した 規 格 で SMPTE, MPEG 等 のメタデータ 規 格 と 調 和 を 図 りつつ 放 送 局 間 でのメタデータ 交 換 を 目 的 に 設 計 されたも の)をベースに Melodies&Memories( 株 式 会 社 メロディーズ アンド メモリーズ グローバルが 開 発 したマルチメディアコンテンツのための 技 術 フォーマット) TV-Anytime Forum(SP003)(HDD レコーダのような 大 容 量 ストレージデバイスを 活 用 したオーディオ ビジュアル 系 のサービス 体 系 の 仕 様 を 検 討 している 国 際 的 な 標 準 化 団 体 )のcIDF 仕 様 等 を 参 照 して 設 計 されており この 点 で 国 内 外 の 既 存 メタデータ 体 系 との 相 互 変 換 が 容 易 なようになっている J/Metaは 要 求 されるメタデータ 項 目 を 定 め その 意 味 と 構 造 を 定 義 するものである この 定 義 は アトリビュート ストラクチャ データディクショナリによってなされている アトリビュート はいわゆるデータの( 意 味 的 な) 型 を 定 義 する 電 話 番 号 日 付 氏 名 等 の 型 が 定 義 される J /Metaのデータ 項 目 は プログラム を 根 とする 階 層 構 造 ( 木 構 造 )をなしており 葉 の 部 分 がこの アトリビュートとなる 一 方 で この 階 層 構 造 はストラクチャとして 定 義 される データディクショ ナリは ストラクチャの 中 の 特 定 のアトリビュートの 意 味 付 けをそれぞれ 記 述 したもので 番 組 の 著 -21-

作 権 者 の 電 話 番 号 番 組 のn 番 目 のシーンで 使 われたBGMの 権 利 者 の 氏 名 等 がそのデータ 型 とと もに 記 述 されている このように 項 目 の 意 味 データ 型 階 層 構 造 の 定 義 に 加 えて とりうる 値 の IDコードまでを 定 義 している 精 密 な 体 系 となっていることが 特 徴 のひとつで 更 にデータベース 実 装 やXML 化 等 の 実 証 を 通 じてその 実 際 性 も 確 認 されている J/Metaは 多 様 なコンテンツの 流 通 利 用 形 態 に 適 用 可 能 であることを 目 的 としているので 巨 大 な 体 系 となっている この 一 部 を 抜 き 出 し 制 約 を 強 化 することで 特 定 の 流 通 利 用 形 態 に 必 要 な 仕 様 を 得 ることができる この 仕 組 みは 関 係 データベースにおけるビューと 同 様 のもので プロファイ ルと 呼 ばれている 現 在 権 利 処 理 プロファイル 権 利 管 理 (B2B)プロファイル 権 利 管 理 (B2C) プロファイルが 提 案 されている コンテンツの 捉 え 方 コンテンツの 内 容 的 な 再 利 用 再 編 集 に 有 益 な 情 報 となっているかという 興 味 から J/Metaがコ ンテンツをどのようにどのように 捉 えているかをみる J/Metaでは 以 下 のコンテンツ 単 位 を 設 定 しており これらは 図 2.4.2_1のような 関 係 となっている プログラム: 映 像 や 音 声 等 の 素 材 をひとつの 編 集 物 としてまとめあげたもの BtoBコンテンツ 流 通 で 基 本 となる 取 引 単 位 アイテム:プログラムの 一 部 を 時 間 軸 で 切 り 出 した 構 成 要 素 シーン 意 味 を 持 った 編 集 単 位 新 聞 における 各 記 事 MOB(Media Object):プログラムあるいはアイテムの 構 成 要 素 時 間 軸 で 切 り 出 したカットや 静 止 画 トラックで 切 り 分 けられる 音 声 BGM 等 に 加 えて 字 幕 テロップ 脚 本 グラフィック 写 真 フレーム 等 が 含 まれる 新 聞 における 写 真 見 出 し 各 段 落 等 プログラムグループ:プログラムの 集 合 体 シリーズものや 連 続 プログラム 等 図 2.4.2_1 J/Metaにおけるコンテンツ( 参 考 文 献 より 引 用 一 部 修 正 ) -22-

つまり プログラムはある 時 間 幅 ( 開 始 時 刻 と 終 了 時 刻 )を 持 ったアイテムの 並 びであり アイテ ムは 同 じく 時 間 幅 を 持 った 複 数 のMOBの 重 なりを 許 した 並 びとして 表 現 される このような 構 造 にお いて J/Metaのメタデータは プログラム を 単 位 として 付 与 され アイテム MOB プログラム グループは そのメタデータの 一 部 ( プログラム 説 明 の 一 部 )として 記 述 される 各 単 位 の 間 の 意 味 的 な 関 係 は 特 に 記 述 されておらず 時 間 軸 に 沿 って 並 べられることになる アイテム MOBに 記 述 されるメタデータは 以 下 のようなものである アイテム:アイテム 通 番 アイテム 開 始 時 間 アイテム 終 了 時 間 タイトル 使 用 言 語 関 連 人 物 組 織 内 容 時 間 概 要 説 明 キーワード キーフレーム(サムネイル 用 ) MOB: 識 別 子 素 材 種 別 (アプリケーション(コンピュータプログラムのように 再 生 可 能 なもの) オーディオ( 音 声 ) データ(Webページのテキスト 字 幕 テキスト) グラフィック 撮 影 ( 動 画 ) スチールに 分 けられている) 素 材 セグメント 開 始 時 間 素 材 セグメント 終 了 時 間 タイ トル 使 用 言 語 素 材 収 録 日 時 関 連 人 物 組 織 まとめ 放 送 コンテンツのための 共 通 メタデータ 体 系 J/Metaについてまとめた BtoBのコンテンツ 流 通 等 の 場 面 を 想 定 したメタデータ 体 系 の 共 通 基 盤 ということで 権 利 関 係 の 情 報 は 多 量 であり 仕 様 も 巨 大 かつ 詳 細 であるが コンテンツやその 構 成 要 素 の 内 容 的 な 情 報 やそれらの 意 味 関 係 の 記 述 はあまり 強 力 ではなく マルチメディアコンテンツの 知 的 編 集 等 の 用 途 には 不 十 分 ではないかと 思 われる ま た コンテンツ 流 通 の 場 面 でも まだ 利 用 は 進 んでいない(2006.12.15 朝 日 新 聞 ) というのが 現 状 のようである 参 考 文 献 J/Meta Ver.3.0 技 術 仕 様 書 財 団 法 人 マルチメディア 振 興 センター J/Meta 利 用 ガイドライン Ver.1.0 財 団 法 人 マルチメディア 振 興 センター http://www.fmmc.or.jp/fmmc-html/jmeta/detail.html 経 由 で 入 手 報 道 発 表 資 料 http://www.fmmc.or.jp/fmmc-html/jmeta/press_release.pdf http://www.fmmc.or.jp/jmeta/053105_press_release.pdf -23-

2.5 利 活 用 技 術 2.5.1 要 約 と 可 視 化 本 節 では 要 約 と 情 報 可 視 化 についてのサーベイをまとめる 要 約 一 般 にはテキスト 要 約 は 膨 大 なテキストの 内 容 を 簡 潔 にまとめることで 情 報 可 視 化 は 多 量 の 情 報 を 視 覚 的 に 表 現 することで そ の 理 解 とそれへのアクセスを 支 援 する その 意 味 で これらの 技 術 は 情 報 の 迅 速 な 理 解 や 概 観 という 共 通 の 目 的 を 持 つ ところが これらの 技 術 は 言 語 情 報 と 非 言 語 情 報 と 扱 う 情 報 が 異 なるためか 共 通 の 議 論 は 少 なかったように 思 う そもそもマルチメディアコンテンツも 言 語 情 報 と 非 言 語 情 報 の 融 合 にその 価 値 があるのであるから 情 報 の 活 用 を 支 援 するこれらの 技 術 においても 情 報 の 種 類 を 超 えた 融 合 を 求 める 必 要 があろう テキスト 要 約 は 原 文 の 代 わりに 用 いられてそれだけで 原 文 の 内 容 を 理 解 するための 報 知 的 要 約 と 原 文 が 読 むに 値 するかの 判 断 等 原 文 を 参 照 する 前 の 段 階 で 用 いられる 指 示 的 要 約 に 分 類 される[ 奥 村 05] 前 者 が 情 報 そのもの 理 解 を 後 者 が 情 報 へのアクセスを 支 援 すると 考 えられる 可 視 化 において も 同 様 の 分 類 が 可 能 であろうが テキスト 要 約 において 報 知 的 要 約 の 方 が 重 要 視 される 傾 向 があるの に 対 し 情 報 可 視 化 では 視 覚 的 情 報 探 索 の 支 援 ということで 指 示 的 要 約 を 含 めた 情 報 アクセスイン タフェースとしての 捉 え 方 が 優 勢 なようである 本 節 では 情 報 の 指 示 的 要 約 に 基 づく 情 報 アクセス インタフェースから 議 論 をはじめ 情 報 の 理 解 と 情 報 へのアクセスとを 縫 い 目 なく 繋 ぐ 報 知 的 要 約 に 基 づいた 情 報 アクセスインタフェースの 具 体 例 をみるとともにその 必 要 性 を 論 じる 最 後 にそのよう な 報 知 的 要 約 と 指 示 的 要 約 の 融 合 を 目 的 のひとつとする 情 報 編 纂 の 提 案 に 触 れる 情 報 アクセスインタフェースは 図 2.5.1-1に 概 念 的 に 示 した 枠 組 みを 持 つ 入 力 となる 情 報 集 合 例 えば 新 聞 記 事 やwebページ 等 の 文 書 の 集 合 について そこに 含 まれる 個 々の 情 報 がアクセスに 値 するか 否 かを 利 用 者 が 判 断 するための 情 報 が 抽 出 組 織 化 され 提 示 されることで インタフェース の 役 割 を 果 たす 利 用 者 はこのインタフェースを 通 じて 自 分 がアクセスする 情 報 を 決 定 すると 共 に 情 報 集 合 全 体 の 概 観 や 全 体 の 中 での 個 々の 情 報 の 位 置 づけの 理 解 等 を 行 う このような 利 用 は 対 話 的 に 行 われ ズーミングやフィルタリング 等 によって 利 用 者 の 関 心 に 沿 った 部 分 に 絞 り 込 んでいったり 様 々な 操 作 を 通 じて 観 点 や 視 点 を 変 えて 情 報 集 合 を 眺 めることができる -24-

図 2.5.1-1 情 報 アクセスインタフェース このようなインタフェースのベースラインとなるのは Google 等 の 検 索 エンジンでの 検 索 結 果 の 一 覧 表 示 画 面 である ここには 検 索 結 果 として 得 られたwebページのタイトルと 入 力 されたキーワー ドを 含 むテキストの 断 片 が 指 示 的 要 約 として 表 示 され ページにアクセスするためのポインタとなっ ている 組 織 化 はシステムが 判 断 した 適 合 性 の 順 序 でこれらの 要 素 をリストとすることで 行 われる キーワードの 追 加 による 再 検 索 がフィルタリングに 相 当 するが このようなインタフェースの 場 合 その 前 後 の 関 係 フィルタリングの 結 果 がそれ 以 前 の 全 体 の 中 でどういう 位 置 にあったかという 文 脈 が 理 解 しづらいことが 問 題 となる 情 報 集 合 全 体 の 概 観 という 面 でも 検 索 結 果 数 が 若 干 の 情 報 を 与 えてくれるものの 殆 ど 無 力 といってよい この 情 報 集 合 の 全 体 像 や その 中 での 個 々の 情 報 の 位 置 づけを 明 らかにするために 情 報 可 視 化 技 術 が 利 用 される 可 視 化 は 文 書 中 のキーワードの 共 起 関 係 等 を 用 いて 文 書 やキーワード 自 身 を 超 空 間 に 配 置 することで 行 われる 一 般 的 な 空 間 配 置 の 手 法 としては クラスタリングをはじめ Latent Semantic Indexingや 自 己 組 織 化 マップ 等 様 々な 手 法 が 知 られている[ 武 田 00] ある 文 書 が 空 間 のど こに 配 置 されるかやそれがどの 文 書 の 近 くに 位 置 するかということで ある 文 書 の 特 徴 や 全 体 の 中 で の 位 置 づけを 理 解 することができ 空 間 の 比 喩 によって 文 書 集 合 全 体 やその 部 分 部 分 の 様 子 を 様 々 な 角 度 や 距 離 から 眺 めることができる このような 可 視 化 やクラスタリングは 様 々な 形 で 検 索 を 支 援 する DualNAVI[Takano00]では 共 起 関 係 に 基 づくキーワードの 空 間 配 置 と 文 書 の 一 覧 の 両 方 を 同 時 に 表 示 し 例 えばキーワードの 空 間 であるキーワードを 指 定 するとそれを 含 んだ 文 書 を 文 書 一 覧 で 明 示 する 等 キーワードと 文 書 との 相 互 関 係 の 把 握 を 助 けている 更 にこのシステムではキーワード 検 索 と 類 似 文 書 検 索 の 両 方 を 提 供 する ことで 2つの 表 示 と 合 わせてキーワードの 世 界 と 文 書 の 世 界 を 自 由 に 行 き 来 して 必 要 な 情 報 に 達 す ることすることができる 別 の 例 として このようなクラスタリングを 情 報 アクセスインタフェース としてより 積 極 的 に 用 いたものに Scatter/Gather[Cutting92]がある Scatter/Gatherでは 検 索 対 象 である 文 書 群 をクラスタリングし それぞれのクラスタの 中 心 となる 記 事 やキーワードでクラスタの 特 徴 を 表 現 する 利 用 者 が 自 分 の 関 心 のあるひとつもしくは 複 数 のクラスタを 選 択 する(gather)と -25-

それら 全 体 が 改 めてクラスタリングされて 複 数 のクラスタとなり(scatter) それぞれの 特 徴 が 示 され る これを 繰 り 返 すことで 利 用 者 は 自 分 の 関 心 にあった 文 書 群 を 絞 り 込 んでいくことができる キー ワードに 基 づく 一 般 の 文 書 検 索 が 索 引 による 検 索 であるのに 対 し 目 次 による 検 索 が 実 現 でき るとされている クラスタリングによる 配 置 が 文 書 の 特 徴 に 基 づく 上 昇 的 なものであり その 空 間 や 軸 の 意 味 付 けが 対 置 する 文 書 群 によって 異 なってくるのに 対 し これらを 意 味 付 けが 既 になされている 既 知 の 軸 や 空 間 に 関 連 づけて 下 降 的 に 配 置 することで その 概 観 を 可 能 にする 取 り 組 みもある インフォメーショ ンアウトライニング[Morohashi95]では ある 関 心 に 沿 って 検 索 された 新 聞 記 事 をその 発 行 日 に 基 づ いて 時 間 軸 上 に 配 置 したり そこで 話 題 になっている 場 所 に 関 連 づけて 配 置 したりする これにより 情 報 を 多 面 的 に 概 観 し 相 互 的 に 関 連 づけることが 可 能 となる Perspective wall[mackinlay91]は 文 書 をトピックの 軸 と 出 版 された 日 付 に 対 応 する 時 間 軸 からなる 平 面 に 配 置 し それを 魚 眼 レンズを 通 し た 視 野 を 模 した 注 目 点 を 強 調 しつつその 周 辺 の 文 脈 も 切 り 捨 てられないという 可 視 化 によって 表 示 し 文 書 の 位 置 づけを 明 らかにしている 空 間 との 関 連 づけということでは 地 図 や 仮 想 的 な 街 並 み をそこにある 店 舗 等 の 情 報 にアクセスするインタフェースとするものもある[Ishida99] 最 近 の 研 究 では 地 震 に 関 する 新 聞 記 事 等 の 情 報 をその 被 害 のあった 場 所 に 基 づいて 地 図 上 に 配 置 したり その 発 生 日 時 に 基 づいて 時 間 軸 上 に 配 置 するという 試 みがある[ 高 間 06] ここまで 述 べたものは 出 版 日 等 のいわゆる 書 誌 情 報 や 何 についての 情 報 であるかというaboutness もしくはtopicに 基 づいて 構 成 される 情 報 アクセスインタフェースであり 個 々の 情 報 が 何 に 関 する ものかは 把 握 できても 何 と 述 べているか は それに 実 際 にアクセスしないと 知 ることができない 更 に それらの 情 報 の 集 合 が 全 体 としてどんなことを 述 べているかという 報 知 的 要 約 としての 役 割 は 殆 ど 果 たしていない もちろん これは 程 度 問 題 で 前 述 した 地 震 情 報 の 可 視 化 では そこにマグニ チュードや 震 度 の 情 報 が 視 覚 化 されていれば 背 景 にある 地 震 情 報 記 事 集 合 の 報 知 的 要 約 と 考 えるこ ともできる(もしくは このシステムは 地 震 発 生 場 所 等 の 情 報 抽 出 を 行 っているので 以 下 に 述 べる システムの 一 例 ととらえるべきかもしれない) しかし 仮 想 的 な 街 並 みのインタフェースでは その 街 のどこに 店 舗 があるかは 概 観 できてもそれが 何 を 売 っているどんな 店 舗 であるかを 知 ることはでき ないので 街 全 体 の 情 報 をそこから 得 ることは 難 しい 一 般 的 な 情 報 検 索 結 果 の 可 視 化 ではこのよう な 報 知 的 な 要 約 は 全 く 考 えられていない 街 の 例 を 続 ければ 特 定 の 街 を 条 件 に 検 索 された 記 事 群 に ついて それらの 記 事 がその 街 の 経 済 面 行 政 面 観 光 面 に 言 及 しているかで 空 間 的 に 配 置 すること は 可 能 でも その 街 が 結 局 経 済 的 にどうなのかをそこで 示 すことはできない この 報 知 的 な 要 約 の 側 面 を 情 報 アクセスインタフェースに 持 たせるためには 文 書 中 のテキストを 単 なる 語 の 集 まりとみてキーワードを 得 るだけでは 不 十 分 で その 解 析 とそこからの 情 報 抽 出 が 必 要 である テキストマイニング[ 那 須 川 99]ではそのような 試 みがなされており コールセンタの 応 答 内 -26-

容 のデータベースを 対 象 に 何 が 対 象 になっているか どのような 行 為 が 関 係 しているか その 意 図 は 何 か( 苦 情 か 要 望 か 質 問 か)を 抽 出 し 可 視 化 については 前 述 のインフォメーションアウトライニ ングと 同 様 の 枠 組 みで 何 に 対 するどのような 問 い 合 わせが 多 いのか 等 の 分 析 を 可 能 にしている web 上 に 存 在 する 製 品 に 関 する 様 々なreviewから それがどの 製 品 のどの 特 徴 に 関 する 意 見 で 肯 定 的 か 否 定 的 かを 抽 出 し 製 品 比 較 を 視 覚 的 に 行 うことを 可 能 にするシステムも 提 案 されている[Liu05] テ キストの 解 析 においては 様 々な 形 式 のreviewサイトに 対 応 して それらのコメントが 製 品 のどの 特 徴 についてのものか 肯 定 的 か 否 定 的 かを 抽 出 し 可 視 化 では その 特 徴 毎 の 肯 定 的 コメント 数 / 否 定 的 コ メント 数 を 製 品 間 で 比 較 できるようになっている これらでは 個 々の 情 報 へのアクセスインタフェー スという 側 面 はあまり 強 調 されていないが ある 分 類 に 属 する 苦 情 にはどんなものがあるのか ある 製 品 のこの 特 徴 について 肯 定 的 な 意 見 はどんなものか という 詳 細 な 情 報 要 求 に 応 えるために この ようなシステムを 情 報 アクセスインタフェースとして 用 いることは 充 分 考 えられる アプローチはやや 異 なるが 同 様 の 目 的 を 持 った 試 みとして 複 数 文 書 要 約 システムに 対 話 的 なイン タフェースを 持 たせるという 提 案 がある[Leuski03] 要 約 率 やどのトピックを 含 めるかの 指 定 で 利 用 者 の 要 求 に 沿 った 要 約 を 作 成 することにより 文 書 群 の 理 解 を 支 援 しているが それに 加 えて 得 られ た 要 約 のそれぞれがどの 文 書 から 抜 き 出 されたかの 情 報 を 持 つことで 要 約 からその 基 となった 文 書 へのアクセスを 支 援 している また アクセスされた 文 書 の 各 部 分 はその 要 約 における 重 要 さに 応 じ て 濃 淡 がつけられており 文 書 内 の 情 報 の 取 捨 選 択 の 支 援 となる 更 に このシステムでは 各 文 書 が 言 及 している 場 所 に 基 づいて 文 書 を 配 置 する 可 視 化 も 行 われている 以 上 広 い 意 味 での 要 約 が 情 報 のアクセスや 理 解 を 助 けていることをみた 特 に 比 較 的 新 しい 試 み として いわゆる 報 知 的 要 約 を 情 報 アクセスインタフェースとして 利 用 するものを 紹 介 した 今 後 の 方 向 性 としては 情 報 の 理 解 概 観 の 支 援 と 情 報 へのアクセスの 支 援 とを 縫 い 目 なく 統 合 することに よる 情 報 活 用 支 援 の 連 続 性 が 期 待 される 要 約 と 情 報 アクセスインタフェースとして 区 別 されてきた もの 要 約 の 中 でも 報 知 的 指 示 的 と 区 別 されてきたものを 統 一 的 に 扱 っていく 必 要 があろう ヒ ューマン コンピュータ インタラクションの 分 野 でShneidermanの 真 言 (mantra)として 知 られる "Overview first, zoom and filter, then details on demand(まず 概 観 し ズーミングやフィルタリングの 後 要 求 に 応 じて 詳 細 を)"という 視 覚 的 情 報 探 索 のための 基 本 原 理 [Shneiderman98]も もっとも 詳 細 な 情 報 が 背 景 にある 入 力 情 報 であることを 考 えれば 理 解 概 観 から 個 別 の 情 報 アクセスまでの 連 続 性 を 強 調 していると 捉 えることができ この 方 向 性 を 支 持 している 情 報 編 纂 [ 加 藤 06]が その ような 方 向 性 を 持 った 技 術 として 提 案 されている 情 報 編 纂 は 多 量 雑 多 な 情 報 を 知 的 に 編 纂 し そ の 理 解 を 容 易 にすると 共 にそれへのアクセスを 支 援 するための 技 術 としてされており 2つの 力 点 と して 様 々なモード/メディア/ジャンルを 横 断 して 現 実 世 界 の 雑 多 な 情 報 を 入 力 として 扱 い そ の 出 力 においても 視 覚 情 報 等 の 非 言 語 情 報 と 言 語 情 報 を 協 調 させたマルチメディアプレゼンテーショ -27-

ンを 活 用 していくというモード 横 断 性 と 情 報 の 理 解 概 観 の 支 援 と 情 報 へのアクセスの 支 援 とを 縫 い 目 なく 統 合 することによる 情 報 活 用 支 援 の 連 続 性 をあげている 情 報 編 纂 という 形 になるかはともかく マルチメディアコンテンツの 重 要 性 は 今 後 ますます 大 きく なることが 明 らかであるので その 理 解 とそれへの 情 報 アクセスの 支 援 は 必 須 である その 点 からも 要 約 技 術 と 情 報 可 視 化 技 術 の 更 なる 融 合 に 期 待 していきたい 参 考 文 献 [Cutting92] Cutting,D., Karger, D., Pedersen, J., et al.: Scatter/Gather: A Cluster-based Approach to Browsing Large Document Collections. Procs. the 15th Annual International ACM/SIGIR Conference, 1992. [Ishida99] Ishida, T., Akahani, J., Hiramatsu, K.,et al.: Digital City Kyoto: Towards A Social Information Infrastructure. International Workshop on Cooperative Information Agents (CIA-99), Lecture Notes in Artificial Intelligence, Vol. 1652, Springer-Verlag, 1999. [ 加 藤 06] 加 藤 恒 昭 松 下 光 範 情 報 編 纂 (Information Compilation)の 基 盤 技 術 第 20 回 人 工 知 能 学 会 全 国 大 会 1D3-02, 2006. [Leuski03] Leuski, A., Lin, C., and Hovy, E.: ineats: Interactive Multi-Document Summarization'' Procs. the 41st Annual Meeting of the Association for Computational Linguistics(ACL 2003), pp. 125-128, 2003. [Liu05] Liu, B., Hu, M., and Cheng, J.: Opinion Observer: Analyzing and Comparing Opinions on the Web. Procs. The 14th International Wirld Wide Web Conference(WWW2005), pp.10-14, (2005). [Mackinlay91] Mackinlay, J., Rao, R., and Card, S. K.: The Perspective Wall: Detail and Context Smoothly Integrated. Procs. the ACM Cnference on Human Factors in Computing Systems}, pp. 173-179, 1991. [Morohashi95] Morohashi, M., Takeda,K., Nomiyama, H. and Maruyama, H.: Information Outlining - Filling the Gap between Visualization and Navigation in Digital Libraries. { em International Symposium on Digital Libraries}, pp. 151-158, 1995. [ 那 須 川 99] 那 須 川 哲 哉 諸 橋 正 幸 長 野 徹 テキストマインング-- 膨 大 な 文 書 データの 自 動 分 析 に よる 知 識 発 見 -- 情 報 処 理 vol.40, No.4, pp.358-364, 1999 [ 奥 村 05] 奥 村 学 難 波 英 嗣 著 テキスト 自 動 要 約 オーム 社 2005. [Shneiderman98] Shuneiderman, B.: Designing the User Interface (third edition). Addison-Wesley, 1998. -28-

[ 高 間 06] 高 間 康 史 山 田 隆 志 タグ 付 きコーパスを 用 いた 地 震 記 事 からの 動 向 情 報 抽 出 可 視 化 シ ステム 知 能 と 情 報 ( 日 本 知 能 情 報 ファジィ 学 会 誌 ) Vol.18, No.5, pp.721-734, 2006. [Takano00] Takano, A., Niwa, Y., Nishioka, M., et al.: Associative Information Access Using DualNAVI. Kyoto International Conference on Digital Libraries(ICDL'00), pp.285-289, 2000. [ 武 田 00] 武 田 浩 一 野 美 山 浩 テキスト 情 報 の 可 視 化 を 利 用 した 情 報 検 索 情 報 処 理 Vol.41, No.4, pp.343-350, 2000. 2.5.2 議 論 支 援 と 自 然 言 語 処 理 昨 年 度 のこの 報 告 書 で 議 論 支 援 システムと 自 然 言 語 処 理 の 関 わりについて 論 じた その 状 況 は 大 きく 変 わっていないが ここでは 最 近 のいくつかの 事 例 を 挙 げたい Pinkwartらは 米 国 最 高 裁 判 所 での 議 論 を 例 題 として 法 律 に 関 わる 議 論 を 教 育 するシステムを 提 案 している 1) そこでは 議 論 生 成 における 三 つの 弱 点 を 克 服 しようとしている その 第 一 は 議 論 構 成 の 不 備 であるが これに 対 しては 属 性 を 許 す 生 成 文 法 を 導 入 してその 弱 点 を 見 つける さらに 議 論 の 流 れをグラフ 表 示 して 論 点 の 孤 立 といった 状 況 が 直 ちに 分 かるようになっている 第 二 の 弱 点 は たとえば 検 証 となるべきはずが 仮 説 提 示 になっているといった 議 論 のつながりの 不 備 であ るが これもやはり 生 成 文 法 を 利 用 して 発 見 するようになっている いずれにおいても 法 律 に 関 す る 議 論 は 構 成 が 非 定 型 なため 正 解 をきちんと 定 義 するのではなく 解 を 部 分 的 に 示 すようにしてい る 第 三 の 弱 点 は 議 論 の 内 容 そのものに 不 適 切 な 点 が 存 在 することである これは たとえば 論 旨 の 要 約 に 不 十 分 なところがある といったことだが 法 律 を 対 象 としていることもあり この 種 の 不 適 切 さは 正 しいとか 間 違 っているとかを 単 純 に 判 断 できるレベルではなく 非 常 に 難 しい Pinkwartら はその 問 題 解 決 にあたり 自 然 言 語 処 理 に 頼 らず 協 調 フィルタリングを 用 いている そこでは 個 人 であれグループであれ ある 程 度 の 数 のシステム 使 用 者 がいるという 前 提 で 二 段 階 からなる まず 学 習 者 がある 対 象 について 入 力 を 終 えた 後 に システムがいくつかの 文 章 を 提 示 し その 学 習 者 に 自 分 の 入 力 と 似 ている と 感 じるものをすべて 選 ばせる 次 の 段 階 で ( 質 の 良 悪 が 分 かっている) 別 の 文 章 をいくつか 提 示 し 学 習 者 に 自 分 が 入 力 したものと 同 程 度 かそれ 以 上 のものと 判 断 するものを 選 ばせる この 二 種 の 回 答 からヒューリスティックに 学 習 者 の 入 力 を 点 数 付 けしようというものであ る Pinkwartらはまだきちんとしたシステム 評 価 実 験 を 行 っていないが 議 論 を 図 示 することによる 効 果 はこれまでにもさまざまな 研 究 があり 今 回 は 法 律 の 議 論 という 理 論 的 とも 言 える 一 方 で レトリ ックを 駆 使 する 対 象 に 形 式 文 法 と 協 調 フィルタリングを 導 入 した 点 が 興 味 深 い このような 対 象 にな ると 現 状 の 自 然 言 語 処 理 技 術 で 対 処 するのは 難 しく 論 文 中 でも'NLP-free'という 語 が 使 われている -29-

自 然 言 語 処 理 あるいはもっと 広 く 人 工 知 能 と 言 っていいだろうが の 技 術 だけで 人 間 の 知 的 活 動 と 同 等 なものを 構 築 するのは 難 しい 人 間 に 協 調 してもらうことで 人 間 の 知 恵 を 利 用 する 協 調 フィ ルタリングのような 手 法 は 有 用 だろう Web 検 索 においてブックマーク 情 報 を 共 有 する 手 法 もこれま でいろいろ 研 究 されてきた 白 井 らは 検 索 目 的 とユーザグループを 絞 ることでその 精 度 を 上 げよう としている 2) インターネットを 検 索 することは 今 や 情 報 収 集 の 最 良 の 手 段 と 言 ってよく 高 等 学 校 でも 情 報 という 科 目 の 中 で たとえば 英 語 教 育 を 小 学 校 から 始 めるべきか といった 正 解 がな い 題 材 について さまざまなページを 参 考 にしながら 自 分 の 意 見 をまとめるという 課 題 に 取 り 組 んで いる ただ インターネット 上 の 情 報 は 玉 石 混 交 であり 高 校 生 にとって 信 用 度 の 高 いページを 検 索 エンジンで 探 すことは 容 易 ではない そこで 山 根 木 らはWebページを 協 調 して 評 価 することで 有 益 なページを 共 有 するシステムを 提 案 している 3) 検 索 したページの 信 頼 度 と トピックに 対 する 賛 否 の 度 合 いを 両 軸 にとり そのページの 位 置 付 けを 共 有 しようというものである( 図 2.5.2-1 中 の 右 下 の 座 標 にその 様 子 が 示 されている) 評 価 実 験 の 結 果 この 仕 組 みの 有 用 性 は 確 認 できたが 問 題 点 も 残 った すなわち このシステムには 単 に 図 中 にページを 登 録 するだけでなく 主 観 的 な 評 価 をアノ テーションとして 付 与 する 機 能 もあるのだが 実 験 ではほとんどの 高 校 生 は 使 わなかった やはりわ ざわざタイプ 入 力 するほどのインセンティブを 感 じなかったのだろう 現 在 の 自 然 言 語 処 理 技 術 は 確 かに 限 界 があるが 適 用 できるところから 積 極 的 に 利 用 し 協 調 フィ ルタリングといった 手 法 と 連 携 することで 技 術 の 利 用 を 推 進 していきたい 図 2.5.2-1 Webページの 評 価 を 登 録 する 様 子 ( 右 下 の 座 標 ) -30-

1) Niels Pinkwart, Vincent Aleven, Kevin Ashley, Collin Lynch:"Toward Legal Argument Instruction with Graph Grammars and Collaborative Filtering Techniques", In Proceedings of 8th International Conference ITS2006, pp.227-236 (2006). 2) 白 井 宏 和, 伊 藤 舞 子, 五 十 嵐 絵 美, 宮 寺 庸 造, 中 村 勝 一 : 検 索 シーンを 考 慮 したブックマーク 情 報 共 有 支 援 システムとその 評 価, 電 子 情 報 通 信 学 会, 信 学 技 報 ET2006-38, pp.11-16 (2006). 3) 山 根 木 浩 平, 斎 藤 博 昭 : 集 合 学 習 における 協 調 型 Webブラウジングシステムの 構 築 ( 投 稿 中 ). ( 斎 藤 博 昭 ) 2.5.3 E-learningと 評 価 本 節 では E-Learningと 評 価 について 特 に 文 章 能 力 の 自 動 評 価 の 観 点 から 調 査 した 結 果 を 報 告 す る 文 章 (ライティング) 能 力 の 自 動 評 価 は 一 般 にAutomatic Essay Scoring(AES)と 呼 ばる そ の 歴 史 は 古 く すでに40 年 ほど 前 から 取 り 組 みが 始 まっている 歴 史 的 には AESはE-Learningにお ける 必 要 性 から 生 まれたものではないが AESはWEBのアプリとして 実 装 されることが 多 く E-Learningとの 親 和 性 が 高 い このため AESはE-Learningの 一 形 態 と 位 置 づけることができる AES の 目 的 は Dikli(2006)によれば 評 価 にかかる 経 済 的 時 間 的 コストの 削 減 とともに 一 貫 性 のあ る 評 価 基 準 作 りである 本 稿 では AESについて その 代 表 的 なアプローチをいくつか 紹 介 する 以 下 の 図 は AESの 歴 史 を 年 表 形 式 にしてまとめたものである 出 典 はHearst(2000) -31-

Project Essay Grader(PEG) PEG(Page, 1966)は テキストの 表 層 上 の 手 がかりを 利 用 した 重 回 帰 モデルである 人 間 判 定 者 ( 教 師 )との 相 関 も0.78と 高 く 人 間 判 定 者 間 の 相 関 (0.85)に 近 い 従 って モデルとしては 成 功 していると 言 えるが 単 に 文 章 を 長 くすることでスコアがあがるなど 簡 単 にシステムをだませると いう 問 題 や 現 場 でPEGの 結 果 から 文 章 の 質 ( 構 成 スタイル 内 容 )について 有 用 な 教 育 的 フ ィードバックが 得 られないなどの 問 題 が 指 摘 され あまり 教 育 界 では 受 け 入 れられなかった Writer's Workbench Writer's Workbenchは スコアリングすることより 文 章 作 成 支 援 を 目 指 したシステムである スペ ルチェック 文 単 語 の 数 に 基 づく 可 読 性 の 検 証 など 洗 練 はされていないが ライティングにおい て 重 要 な 基 本 機 能 を 備 えたシステムと 言 える Intelligent Essay Assessor(IEA) IEAはPEGと 同 様 にライティングの 自 動 スコアリングを 目 的 にしたシステムであるが ユニークな 点 はエキスパートによる 採 点 済 みの 文 章 とのテキスト 上 の 類 似 性 を 利 用 して スコアを 決 めようとい うものである なお 類 似 度 はLatent Semantic Analysis(LSA)によって 求 める LSAで 最 も 近 い 採 点 済 み 文 章 を 見 つけ 出 し その 採 点 を 未 採 点 文 章 に 与 えるというところである LSAによって 潜 在 的 な 単 語 も 類 似 度 計 算 に 組 み 入 れられるので 通 常 の 文 字 列 マッチングによる 類 似 尺 度 より 類 似 度 計 算 が 柔 軟 になる 語 彙 的 に 異 なった 文 章 間 でも 類 似 度 の 計 算 が 可 能 であるなどのメリットがある 文 献 (Landauer,200) によれば 実 験 では 人 間 判 定 者 との 相 関 は 0.85と 極 めて 高 いことが 確 認 されたとのことである ただ PEGと 同 様 IEAのスコアが 直 接 にライティング 指 導 に 役 立 つとは 言 えず 重 要 情 報 の 欠 落 冗 長 性 の 指 摘 程 度 にとどまっている E-Rater/Criterion E-RaterはETS(Educational Testing Service)が 開 発 した 文 章 評 価 システムである 基 本 的 に 多 様 な 属 性 を 用 いた 重 回 帰 モデルである 点 PEGに 準 ずる ただし モデルをトピックごとに 構 成 している 点 や 属 性 の 重 み 付 けを 手 動 で 行 うことを 許 すという 点 でPEGとは 異 なる なお 属 性 としては 文 法 文 章 構 造 話 の 展 開 語 彙 レベル 内 容 語 などに 関 連 したものが 使 われている ( 属 性 抽 出 には 自 然 言 語 処 理 (NLP)が 利 用 されている 模 様 ) CriterionはE-raterをベースにしたライティング 指 導 用 のアプリケーションである Criterionのウェブサイトの 説 明 によると 生 徒 のエッセイが20 秒 ほ どで 自 動 採 点 され 教 師 にフィードバックされる 教 師 はこれらの 結 果 にさらにコメントを 付 け 加 えた りすることができるとのことである 以 下 はCriterionの 動 作 画 面 で Grammar, Usage, Mechanics, -32-

Style, Organization&Developmentの 項 目 について 自 動 でエラーチェックを 行 う 以 下 では 文 法 エラー を 表 示 しているところ 以 下 は Criterionが 文 章 構 造 の 分 析 結 果 を 提 示 しているところ 談 話 機 能 (Introduction, Thesis Statement, Main Ideas, Supporting Ideas, Conclusions)を 色 別 に 示 し ている また 以 下 では 生 徒 (ユーザ)が 教 師 からのコメント(`I' というアイコンでマークされて いる)を 表 示 している 画 面 -33-

Criterionは このように 単 にエッセイの 自 動 スコアリングにとどまらず スペルエラー 文 法 エラ ーの 指 摘 文 章 構 造 の 解 析 さらに 教 師 によるフィードバックなど 総 合 的 かつインタラクティブに ライティングをサポートしている 点 で 先 進 的 であると 言 える なお E-Raterの 精 度 であるが 人 間 判 定 者 との 評 点 との 相 関 はバラツキがあり 実 験 では 最 大 で 0.7 程 度 とあまり 高 くはない ただ E-raterは 標 準 テスト 等 の 採 点 に 用 いられている 訳 ではないので 精 度 の 低 さはアプリケーション 上 ではそれほど 問 題 にはならないと 考 えられる モデルの 精 度 の 高 さ より アプリケーション 全 体 としての 有 用 性 のほうが 実 際 には 重 要 であろう IntelliMetric IntelliMetricは 米 Vantage Learning 社 の 商 用 のAESシステムである 残 念 ながら 技 術 の 詳 細 は 企 業 秘 密 となっておりほとんど 不 明 であるが Dikli(2006)によれば 人 工 知 能 と 自 然 言 語 処 理 を 使 った 属 性 抽 出 と 何 らかの 統 計 モデルを 使 っているとのことである 属 性 の 軸 は おおまかに Focus and Coherence, Organization, Development and Elaboration, Sentence Structure, Mechanics and Convention と 他 のAESシステムとあまり 代 わり 映 えしないような 印 象 を 受 ける 謳 い 文 句 では 統 計 モデルとして 線 形 モデル(Generalized Linear Model)ではなく nonlinear and multidimensional approach をと っている(Dikli, 2006)とのことであるが 具 体 的 な 内 容 は 明 らかではない エキスパートとの 相 関 であるが 同 社 のレポートによれば 6ポイントスケールで 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 の 各 レベル での10の 作 文 課 題 (Promptと 呼 ばれる)について ピアソン 係 数 で0.90 以 上 あることが 確 認 されたと のことである(Vantage Learning, 2006) ただし レポートでは 実 験 に 参 加 した 被 験 者 やエキスパ ートの 数 については 記 述 がない -34-