23 広 帯 域 MT 固 定 連 続 観 測 システムを 用 いた 地 殻 比 抵 抗 モニタリング Monitoring of crustal resistivity variations using a stationary wideband MT measurement system 測 地 部 佐 藤 秀 幸 Geodetic Department Hideyuki SATOH 水 沢 測 地 観 測 所 湯 通 堂 亨 門 脇 俊 弘 石 原 操 Mizusawa Geodetic Observatory Tohru YUTSUDO, Toshihiro KADOWAKI, Misao ISHIHARA 国 土 交 通 省 河 川 局 防 災 課 藤 原 智 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Satoshi FUJIWARA 要 旨 内 陸 地 震 発 生 に 対 し 強 く 関 与 している 地 殻 内 の 水 の 存 在 を 把 握 するため, 広 帯 域 MT(Magnetotelluric) 固 定 連 続 観 測 システムを 水 沢 測 地 観 測 所 と 江 刺 観 測 場 に 設 置 し, 1996 年 4 月 から 見 掛 け 比 抵 抗 の 連 続 観 測 を 開 始 した 本 報 告 では, 地 震 活 動 や 地 殻 変 動 と 関 連 した 比 抵 抗 変 化 を 検 出 する 方 法 のひとつとして, 測 定 システムの 安 定 性 を 議 論 した 上 で,MT 法 による 地 殻 比 抵 抗 モニタリングが 有 用 で あることを 示 す 1.はじめに 地 殻 の 物 理 的 性 質 をあらわす 物 理 量 のひとつに 電 気 伝 導 度 ( 以 下, 比 抵 抗 と 呼 ぶ) がある この 比 抵 抗 は, 地 殻 を 構 成 する 岩 石 の 種 類 によって8オーダーに もわたって 変 化 する( 図 -1) 一 般 に, 岩 石 の 比 抵 抗 は, 間 隙 水 の 比 抵 抗 に 比 例 し, 間 隙 率 の 1.3-2.5 乗 と, 飽 和 率 の 2 乗 に 反 比 例 することが 経 験 的 に 知 られてい る(Archie et al.,1942) このことから 地 殻 の 比 抵 抗 は 構 成 する 岩 石 の 種 類 だけでなく, 含 水 率 によって 大 きく 変 化 することがわかる 図 -1 主 な 地 殻 物 質 の 比 抵 抗 ( 電 気 伝 導 度 の 逆 数 ) 近 年 地 震 波 の 解 析 から, 地 殻 中 に 多 くの 地 震 波 散 乱 源 あるいはS 波 反 射 面 が 存 在 することが 指 摘 されてい る これらは 断 層 面 やその 近 傍 の 破 砕 帯,あるいは 地 殻 中 に 存 在 する 流 体 ( 地 下 水 あるいは 溶 融 体 )である と 推 定 されている( 例 えば, 浅 野 ほか,1999; Nakajima et al.,21 など) 断 層 面 近 傍 に 存 在 する 微 小 な 割 れ 目 や 破 砕 帯 は, 緻 密 な 岩 盤 の 中 でも 地 下 水 の 存 在 を 許 し, 水 を 通 したり, 貯 えたりすることを 可 能 にする 地 殻 深 部 においては 流 体 の 存 在 が 比 抵 抗 分 布 に 著 しい 不 均 質 性 を 起 こしうる 従 って, 地 殻 の 比 抵 抗 を 連 続 的 にモニタリングすれば, 地 殻 内 の 水 の 動 きが 把 握 で き, 地 震 活 動 に 伴 うシグナルの 検 出 ができるものと 期 待 できる そこで, 地 殻 の 比 抵 抗 をモニタリングするため, 広 帯 域 MT 固 定 連 続 観 測 システムを 水 沢 測 地 観 測 所 および 江 刺 観 測 場 に 設 置 し,1996 年 4 月 から 見 掛 け 比 抵 抗 の 連 続 観 測 を 開 始 した 本 報 告 では, 地 震 活 動 や 地 殻 変 動 と 関 連 し た 比 抵 抗 変 化 を 検 出 する 方 法 のひとつとして, 測 定 システ ムの 安 定 性 を 議 論 した 上 で,MT 法 による 地 殻 比 抵 抗 モニ タリングが 有 用 であることを 示 す 2.MT 法 地 殻 の 比 抵 抗 を 調 べるには, 地 下 に 人 工 的 な 電 流 ある いは 電 磁 波 信 号 を 送 信 し,その 応 答 を 地 表 で 測 れば 良 い ところが, 地 下 深 部 を 探 ろうとするほど,より 出 力 の 大 きな 信 号 源 が 必 要 となる 通 常, 深 度 1km 程 度 までであ れば, 人 工 的 な 電 流 双 極 子 や 磁 気 双 極 子 を 地 表 に 作 るこ とが 可 能 であるが,それより 深 くなると 困 難 になる そ こで, 自 然 の 電 磁 場 を 信 号 として 使 うことになる これ をMT( 地 磁 気 地 電 流 ) 法 と 呼 ぶ 自 然 の 変 動 電 磁 場 は,その 起 源, 性 質 によって 様 々な 種 類 に 分 けられる このうち 地 球 磁 気 圏 の 電 磁 流 体 波 に 起 因 する 地 磁 気 脈 動 と 呼 ばれる 現 象 は, 周 波 数 1Hz 以 下 の 領 域 で 比 較 的 振 幅 の 大 きな 変 動 を 示 す このうち 波 形 が 連 続 できれいな 変 動 を Pc 変 動 と 呼 んでいる また, 赤 道 地 帯 などの 雷 放 電 から 放 射 される 電 磁 波 は 電 離 層 と 地 表 面 との 間 を 伝 播 し, 特 に 3-6Hz の 帯 域 では 減 衰 が 小 さく 地 球 を 何 周 もするので 干 渉 現 象 が 起 こる これをシ ューマン 共 振 現 象 と 呼 んでいる MT 法 では 以 上 の 電 磁
24 変 動 現 象,すなわち 地 磁 気 脈 動 およびシューマン 共 振 に よる 電 磁 波 を 信 号 源 として 用 いる しかし,この 信 号 源 である 電 磁 波 は, 地 中 に 浸 透 する と 指 数 関 数 的 に 減 少 するという 性 質 を 持 っている さら に,その 減 衰 の 程 度 は 地 下 の 比 抵 抗 と 電 磁 波 の 周 波 数 に 依 存 することがわかっている Cagniard(1953)は 電 磁 波 の 振 幅 が 地 表 面 の 値 の 1/e( 約 37%)まで 減 衰 する 深 さを 表 皮 深 度 (skin depth)と 呼 び, 以 下 の 式 を 導 いている 53 Rho a / f (1) ここで,δは 表 皮 深 度 (m),rho a は 見 掛 け 比 抵 抗 (Ω m),f は 周 波 数 (Hz)である 例 えば, 大 地 の 比 抵 抗 が 均 質 で Ω mであるとすれば, 周 波 数.1Hz( 周 期 秒 )に 対 する 表 皮 深 度 は 約 5km である つまり,(1) 式 は 周 波 数 が 低 いほど,また 比 抵 抗 が 高 いほど 電 磁 場 は 地 下 深 く 浸 透 することを 意 味 している このとき 地 表 面 で 観 測 される 成 分 を 電 場 2 成 分 (Ex,Ey), 磁 場 2 成 分 (Hx,Hy)であるとすれば( 図 -2), 電 場, 磁 場 および 見 掛 け 比 抵 抗 の 関 係 は 以 下 の 式 で 結 び 付 けられ る(Cagniard,1953) 1 Ex Rhoxy (2) 5 f Hy 1 Ey Rhoyx (3) 5 f Hx ここで,Rhoxy,Rhoyx は 見 掛 け 比 抵 抗 (Ω m),f は 周 波 数 (Hz),Ex Ey は 誘 導 される 電 場 (mv/km),hx, Hy は 磁 場 変 化 の 大 きさ(nT)である この2つの 式 は 電 磁 場 の 観 測 から 比 抵 抗 が 推 定 できることを 意 味 して いる 加 えて,Rhoxy,Rhoyx は 周 波 数 に 対 して 依 存 す る 量 であることも 同 時 に 示 している このようにして, 自 然 の 電 磁 場 信 号 を 観 測 することに より, 地 殻 浅 部 から 深 部 までの 比 抵 抗 を 推 定 することが 可 能 である 図 -2 MT 観 測 におけるセンサーの 配 置 図 Hx, Hy, Hz は 磁 場 センサーを,Ex,Ey は 電 場 の センサーをそれぞれ 示 している 電 磁 波 の 周 波 数 によって 探 査 深 度 が 異 なる 2 2 3. 観 測 3.1 観 測 場 所 測 定 機 器 は, 水 沢 測 地 観 測 所 構 内 ( 岩 手 県 水 沢 市 )およ び 江 刺 観 測 場 構 内 ( 岩 手 県 江 刺 市 )に 設 置 し( 以 下, 水 沢 および 江 刺 と,それぞれ 呼 ぶことにする),1996 年 4 月 よ りデータ 取 得 を 開 始 した( 図 -3) 観 測 点 は 人 工 的 なノ イズをできるだけ 避 ける 必 要 があるため, 人 里 離 れた 山 中 に 設 置 することが 望 ましい 幸 い 水 沢 測 地 観 測 所 および 江 刺 観 測 場 は, 従 来 から 全 磁 力 観 測 や 地 磁 気 3 成 分 観 測 を 実 施 している 場 所 なので,この 条 件 には 適 している 図 -3 観 測 点 配 置 図 図 中 のMizusawa は 水 沢 測 地 観 測 所 を,Esashi は 江 刺 観 測 場 の 位 置 をそれぞれ 示 している なお, 両 観 測 点 は 約 2km 離 れている 3.2 データ 取 得 システム 水 沢 および 江 刺 それぞれの 観 測 点 では, 磁 場 3 成 分 ( 水 平 2 成 分 と 鉛 直 成 分 ), 電 場 2 成 分 ( 水 平 2 成 分 ) の 合 計 5 成 分 データを,32Hz から.55Hz( 周 期 18 秒 )にわたる 帯 域 で, 毎 日 23 時 間 3 分 にわたり 連 続 的 に 計 測 をしている( 図 -2) なお 観 測 には,カ ナダフェニックス 社 製 V5 測 定 システムを 基 本 とした M T 固 定 連 続 観 測 装 置 を 採 用 し て い る ( Phoenix Geophysics,1997) 機 器 設 置 当 時 は, 世 界 で 初 めての 連 続 観 測 装 置 であった 磁 場 はインダクション 磁 力 計 で 測 定 し, 電 場 はおよそ m 離 れた 電 極 間 の 電 位 差 から 求 める( 写 真 1-1, 写 真 1-2) 表 -1には, 測 定 機 器 のシリアルナンバー, 電 極 間 隔 および 磁 北 からの 回 転 角 度 を 記 した 電 位 線 は 設 置 場 所 の 土 地 の 制 約 により, 必 ずしも 図 -2に 示 した ように 磁 北 方 向 と,それと 直 交 する 方 向 に 埋 設 できるわ けではない そこで, 水 沢 測 地 観 測 所 では 測 定 座 標 系 を 磁 北 から 西 へ 35 度 ずらした 方 向 と,それに 直 交 した 方 向 との2 測 線 において 電 位 差 観 測 を 行 っている この 角 度 を, 磁 北 からの 回 転 角 度 と 表 記 した そして 実 際 のデー タ 解 析 の 際 には, 座 標 変 換 により 磁 北 方 向 で 計 測 した 値 に 換 算 してデータ 処 理 を 進 めている 電 位 電 極 とインダクション 磁 力 計 によって 検 出 され た 信 号 は,ピット 内 に 埋 設 されたSPV5に 入 力 され, ここで 増 幅,バンドパスフィルターによってフィルタ リング 処 理 された 後, 埋 設 ケーブルを 通 して, 観 測 所 施 設 内 のV5データ 取 得 処 理 装 置 に 入 力 される( 写 真 -2-1, 写 真 -2-2) V5に 入 力 された 信 号 は,
25 写 真 -1-1 江 刺 観 測 場 構 内 の 磁 場 センサーコイル を 埋 設 しているピット 収 納 ピットは 無 筋 コンクリート 造 りで, 内 面 には 防 水 用 モルタルを 施 工 の 上 さらに 断 熱 用 発 砲 スチロールを 内 張 りしている 写 真 -2-1 江 刺 観 測 場 構 内 のSPV5の 設 置 状 況 写 真 -1-2 上 図 ( 写 真 -1-1)ピット 内 に 設 置 しているインダクション 磁 力 計 表 -1 観 測 機 器 のシリアルナンバーおよび 電 極 間 隔 江 刺 観 測 場 水 沢 測 地 観 測 所 V5 シリアルナンバー V5662 V5661 SPV5 シリアルナンバー B9656 B9655 Hx 磁 力 計 シリアルナンバー 9679 9682 磁 北 からの 回 転 角 度. deg. -35. deg. Hy 磁 力 計 シリアルナンバー 968 9683 Hz 磁 力 計 シリアルナンバー 9681 9664 Ex 電 極 間 隔. m. m 磁 北 からの 回 転 角 度. deg. -35. deg. Ey 電 極 間. m. m 16 ビット AD で 数 値 返 還 され,GPS 同 期 の 時 刻 信 号 によって 時 系 列 処 理 される そのデータは,V5 内 部 メモリ/データ 取 得 用 のPCを 介 して, 外 付 けハードディスクに 記 録 さ れる( 写 真 -2-2) このようにして, 水 沢 測 地 観 測 所 および 江 刺 観 測 場 においてそれぞれデータの 取 得 を している 次 にデータ 取 得 システム 全 体 を 説 明 するため, 図 - 写 真 -2-2 江 刺 観 測 場 施 設 内 に 設 置 しているV5 本 体 ( 下 部 )と,データ 取 得 用 のパソ コンおよび 外 付 けハードディスク( 上 部 ) 4にシステム 構 成 図 を 示 す 江 刺 で 取 得 した 時 系 列 デ ータは,1 時 間 ごとに 水 沢 のデータ 処 理 用 メインPCに 自 動 的 に 電 話 回 線 を 介 して 転 送 される 同 時 に, 水 沢 のデータ 取 得 用 PCに 収 録 した 時 系 列 データもデータ 処 理 用 メインPCに 転 送 される 図 -4の es*****.hdr, es*****.tsh, es*****.tsl は 江 刺 の 時 系 列 データを, mi*****.hdr, mi*****.tsh, mi*****.tsl は 水 沢 の 時 系 列 データを 表 している 各 ファイルの*****には, 日 付 と 時 刻 が 記 録 される なお,それぞれの 観 測 点 における 1 日 分 のデータ 容 量 は, 約 6Mbyte である GPSによって 同 期 された 両 観 測 点 の 時 系 列 データは, ローカルノイズを 除 去 するため,リモートレファレンス 処 理 を 施 し,クロスパワーデータとしてファイルに 記 録 する (Goubau et al.,1984) ここで 作 成 されるファイルは 4 種 類 あり,es***24a.mt, es***24e.mt( 江 刺 の 一 次 処 理 結 果 ファイル),mi***24a.mt, mi***24e.mt( 水 沢 の 一 次 処 理 結 果 ファイル)である それぞれのファイル 末 尾 の a はシ ングルサイト 処 理 結 果,e は 結 果 を 示 している また, 各 ファイルの***には 日 付 が 記 録 される ファイルの 容 量 は,1 日 分 でそれぞれ 6Kbyte
26 図 -4 データ 取 得 システム 構 成 図 である つくば( 本 院 )では,データ 転 送 のための 回 線 が 細 いため, 一 次 処 理 結 果 ファイルからさらに 最 低 限 の 情 報 だけ 抜 き 出 したファイル(mtparm.dat, dcparm.dat)のみを 吸 い 上 げて, 毎 日 モニターしている なお,このファイルのデー タ 容 量 は,2つ 合 わせて1 日 分 で 1Mbyte である このように, 電 磁 場 データは 水 沢 測 地 観 測 所 施 設 内 のメイ ンPCで 一 括 して 収 録 できるようになっている 従 って 現 在, 測 定 機 器 のメンテナンスのみならず, 日 々のデータのバック アップ 作 業, 大 学 や 他 研 究 機 関 からのデータ 提 供 依 頼 の 対 応 は, 水 沢 測 地 観 測 所 が 行 っている 4.データ 処 理 および 結 果 4.1 探 査 曲 線 の 特 徴 とデータクオリティー 得 られた 自 然 の 電 磁 場 データは,ランダムな 時 系 列 デー タである これらを 周 波 数 解 析 することにより, 広 帯 域 に わたる 周 波 数 範 囲 での 電 磁 場 の 比 (インピーダンス)を 算 出 することができる すなわちインピーダンスとは,2 章 で 記 述 した(2) 式 および(3) 式 の 右 辺 に 対 応 し,それ ぞれ 周 波 数 の 関 数 として 求 めることができる また,ここ で 見 掛 け 比 抵 抗 と 同 時 に, 電 場 と 磁 場 との 位 相 ずれ, 位 相 差 も 計 算 できる 本 節 では,このようにして 計 算 された, 水 沢 と 江 刺 両 観 測 点 での 見 掛 け 比 抵 抗 および 位 相 差 曲 線 の 特 徴 とそのクオリティーについて 述 べる 図 -5-1には, によって 得 られた, 水 沢 における 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 と 位 相 差 曲 線 を, 図 -5-2には によって 得 られた, 同 所 の 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 と 位 相 差 曲 線 を 示 す 両 図 とも 比 較 的 エラーバーの 小 さな 日 を 選 んでプロットしている 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 に 着 目 すると, 水 沢 で 取 得 されるデータは, 普 段 は.1Hz-.1Hz( 周 期 1 秒 - 秒 )の 帯 域 ではこ れよりもさらにクオリィティーが 落 ちる また 定 常 的 に 高 周 波 帯,1Hz ぐらいまではエラーバーが 大 きい 全 体 的 には, 見 掛 け 比 抵 抗 の yx 成 分 はエラーバーが 小 さいが, xy 成 分 では 大 きいという 特 徴 がある ノイズの 原 因 は 特 定 できないが, 水 沢 測 地 観 測 所 は 東 北 新 幹 線 にかなり 近 い ところに 位 置 するため,これが 原 因 のひとつではないかと 考 えられる 図 -5-1に 示 した 時 系 列 データに 対 して, 観 測 点 近 傍 のローカルノイズを 除 去 し,データクオリィテ ィーを 高 めるため, 江 刺 の 磁 場 データを 使 用 し,リモート レファレンス 処 理 を 施 した 結 果 が 図 -5-2である (Goubau et al.,1984) とは, 2つの 観 測 点 における 磁 場 変 動 は 同 一 であるという 仮 定 のもとに, 互 いの 磁 場 データ 間 での 相 関 を 求 め,コヒーレ ントなデータのみシグナルと 見 なしてインピーダンスを 計 算 するという 手 法 である 図 -3に 示 したように, 両 観 測 点 は 約 2km と 比 較 的 近 い 距 離 に 位 置 しているため, 前 述 の 仮 定 は 成 り 立 つと 見 なすことができる 図 -5-1の 1Hz までの 高 周 波 のデータと 比 較 すると,エラーバーが かなり 小 さくなり, 探 査 曲 線 もスムーズにつながるように なっている しかしながら,.1Hz-.1Hz( 周 期 秒 - 秒 )の 帯 域 では,ほとんど 改 善 が 見 られない このことから, 江 刺 観 測 場 の 磁 場 データを 使 いリモートレ ファレンス 処 理 を 施 しても,もともとノイズレベルの 高 い 水 沢 のデータに 対 しては,これ 以 上 改 善 できないことを 意 味 している
27 (a) 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 (a) 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 (b) 位 相 差 曲 線 図 -5-1 によって 得 られた 水 沢 の (a) 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 および(b) 位 相 差 曲 線 (b) 位 相 差 曲 線 図 -6-1 によって 得 られた 江 刺 の (a) 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 および(b) 位 相 差 曲 線 (a) 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 (a) 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 (b) 位 相 差 曲 線 図 -5-2 によって 得 られた (a) 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 および(b) 位 相 差 曲 線 には, 江 刺 の 磁 場 を 用 いている 次 に 図 -6-1には, によって 得 ら れた, 江 刺 における 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 と 位 相 差 曲 線 を, 図 -6-2には によって 得 られ た, 同 場 の 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 と 位 相 差 曲 線 を 示 す これも 比 較 的 エラーバーの 小 さな 日 を 選 んでプロットしたもの である 江 刺 の 探 査 曲 線 は, 普 段 は 長 周 期 側 ( 周 期 1 秒 以 上 )では 図 -6-1よりもややクオリィティーが 落 ちる また 定 常 的 に, 高 周 波 2 周 波 と,1Hz から.1Hz( 周 期 1 秒 から 1 秒 )まではエラーバーが 少 し 大 きい 傾 向 にある しかし, 全 体 的 に 見 るときれいなデータが 得 られている (b) 位 相 差 曲 線 図 -6-2 によって 得 られた (a) 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 および(b) 位 相 差 曲 線 には, 水 沢 の 磁 場 を 用 いている 図 -6-1 に 示 した 時 系 列 データに 対 しても, 水 沢 の 磁 場 データを 使 用 し, を 施 した そ の 結 果 が 図 -6-2である 図 -6-1の 1Hz-.1Hz( 周 期 1 秒 から 1 秒 )の 帯 域 のデータと 比 較 すると,エラー バーがかなり 小 さくなっており,さらに 探 査 曲 線 もスムー ズにつながるようになっている このことから, 水 沢 の 磁 場 データはそれほど 高 いクオリィティーを 持 っているわ けではないが, には 有 効 である ことを 示 していることがわかる
28 4.2 見 掛 け 比 抵 抗 および 位 相 差 の 時 間 変 化 4.1 節 で 述 べたように, 水 沢 で 取 得 しているデータ は, 人 工 ノイズの 影 響 により,リモートレファレンス 処 理 を 適 用 しても,データのクオリィティーを 向 上 させる ことができないことがわかった そこで,ここでは 江 刺 におけるデータにのみ 着 目 することにする 図 -7および 図 -8に,3つの 周 波 数 (7.5Hz,.234Hz,.879Hz)に 対 する,1997 年 から 21 年 まで の5 年 間 分 の 見 掛 け 比 抵 抗 の 時 間 変 化 と, 位 相 差 の 時 間 変 化 についてプロットした 図 を 示 す 7.5Hz はシューマン 共 振 帯 域,.234Hz と.879Hz は Pc 変 動 帯 域 で,それ ぞれ 信 号 強 度 が 大 きい 周 波 数 であることから,まずはこ の3つの 周 波 数 を 選 んだ なお,データが 途 切 れている のは, 機 器 トラブルやその 他 の 理 由 により, 欠 測 してい るため 処 理 ができなかった 期 間 である 各 周 波 数 に 対 する 見 掛 け 比 抵 抗 および 位 相 差 に 共 通 し て, の 結 果 よりも,リモートレファ レンス 処 理 をした 結 果 の 方 が,データのばらつきは 明 ら かに 小 さい 図 -7に 着 目 すると,3つの 周 波 数 に 共 通 して yx 成 分 の 見 掛 け 比 抵 抗 が 1998 年 に 一 度 減 少 し,そ の 後 は 緩 やかに 増 加 していく 傾 向 が 見 られる 一 方,xy 成 分 の 見 掛 け 比 抵 抗 は1998 年 に 一 度 減 少 する 傾 向 は 同 様 であるが,その 後 はわずかではあるが 緩 やかに 減 少 して いるように 見 える しかしながら, 図 -8の 位 相 差 には それに 対 応 する 変 化 は 見 られない また,7.5Hz の 見 掛 け 比 抵 抗 の 時 間 変 化 ( 図 -7(a))を 見 ると, 欠 測 が 多 くは っきりしたことは 言 えないが, 前 述 した 長 周 期 変 動 の 上 に, 短 周 期 の 年 周 変 化 のようなものが 重 なっているよう に 見 える 図 示 していないが, 降 水 量 の 変 化 と 対 比 して みたが, 三 品 (1995)で 示 されているような, 両 者 の 間 にはっきりとした 相 関 が 認 められるわけではなかった 5. 考 察 5.1 見 掛 け 比 抵 抗 の 時 間 変 化 に 伴 う 変 動 前 章 4.2 節 で 述 べた2つの 特 徴 について,ここでは 考 察 を 試 みることにする (a)1998 年 からの 見 掛 け 比 抵 抗 (yx 成 分 )の 増 加 1998 年 から3つの 周 波 数 に 共 通 して, yx 成 分 の 見 掛 け 比 抵 抗 の 増 加 が 見 られる 特 に 周 期.234Hz では, 顕 著 である をしたとは 言 え, まだデータのばらつきは 大 きいが,この 増 加 傾 向 は 有 意 であると 考 えられる 解 釈 のひとつとして, 地 下 の 比 抵 抗 構 造 が 変 化 したという 見 方 ができる 大 地 を 一 様 均 質 Ω mと 仮 定 した 場 合,.234Hz の 探 査 深 度 はおよそ の 目 安 として 深 さ 3kmである 実 際 はもっと 浅 いと 考 えられるが,この 深 さはちょうど 下 部 地 殻 付 近 に 相 当 す る 東 北 日 本 弧 の 前 弧 側 下 部 地 殻 は 高 比 抵 抗 であるとい う 報 告 があることから,これが 太 平 洋 プレートの 沈 み 込 みに 伴 う 歪 みの 蓄 積 により,さらに 増 加 する 傾 向 を 示 し ているとも 考 えられる しかしながら 一 方, 位 相 には, この 増 加 傾 向 と 対 応 するような 変 化 が 見 られていない 位 相 は 変 化 せず, 見 掛 け 比 抵 抗 だけ 変 化 する,すなわち MT 法 固 有 の 問 題 である スタティックシフト の 時 間 変 化 を 見 ているだけに 過 ぎないかも 知 れない スタティ ックシフトとは, 浅 部 の 局 所 的 な 比 抵 抗 異 常 あるいは 急 峻 な 地 形 の 影 響 により,その 構 造 境 界 に 電 荷 が 蓄 積 し, この 電 荷 の 作 る 場 が 常 に 電 場 に 影 響 を 与 え, 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 が 対 数 軸 上 のグラフで 上 下 してしまう 現 象 である つまり, 図 -6-2(a)の 見 掛 け 比 抵 抗 曲 線 が, 曲 線 の 形 はそのままで,あるオフセット 値 を 持 ちグラフ 上 で 上 下 方 向 に 動 いてしまうことである 従 って, 浅 部 の 不 均 質 構 造 が 時 間 とともに 変 化 することで, 探 査 曲 線 全 体 が 上 下 方 向 に 変 化 し,この 変 動 を 見 ているだけかも 知 れない しかし,いずれにしても 現 段 階 では 根 拠 がないので,こ れ 以 上 の 議 論 はできない (b)7.5hz の 見 掛 け 比 抵 抗 の 短 周 期 変 動 7.5Hz の 見 掛 け 比 抵 抗 の 時 間 変 化 ( 図 -7(a))には, 短 周 期 の 年 周 変 化 成 分 のようなものが, 顕 著 に 見 られる 季 節 による 周 期 的 な 年 周 変 化 であるかどうかを 調 べるた めに,このデータを 1 年 ごとに 区 切 り,5 年 間 分 のデータ を 同 じ 時 間 軸 上 に 重 ねてプロットしてみた その 結 果, 一 見 周 期 的 な 季 節 変 動 をしているように 見 えたが, 実 は 年 に よって 変 動 の 仕 方 はまちまちであり, 不 規 則 なものであっ た 今 のところ 原 因 は 特 定 できていないが, 信 号 源 として いる 電 磁 波 の 強 度 の 変 化 に 対 応 しているのかも 知 れない 5.2 地 震 活 動 に 伴 う 見 掛 け 比 抵 抗 変 化 検 出 の 可 能 性 自 然 の 電 磁 波 を 使 ったMT 観 測 は, 近 年 測 定 機 器 の 精 度 が 向 上 したことに 加 え,データ 解 析 手 法 が 急 速 に 進 歩 した ことにより, 地 殻 構 造 を 推 定 する 有 力 な 方 法 になってきた MT 観 測 から 得 られる 比 抵 抗 は, 地 殻 内 の 流 体 すなわち 水 の 分 布 に 対 して, 極 めて 敏 感 な 物 理 量 である 従 って, 内 陸 地 震 発 生 に 強 く 関 与 している 地 殻 内 の 水 の 存 在 を 把 握 するため, 地 震 断 層 や 活 断 層 とその 周 辺 部 における 構 造 調 査 がいくつかの 地 域 でなされるようになってきた( 例 え ば,Ogawa et al.,21;mitsuhata et al.,21) その 結 果,2つの 研 究 例 に 共 通 して,(1) 地 殻 中 部 に 顕 著 な 低 比 抵 抗 異 常 が 存 在 すること,(2) 地 震 の 震 源 は, 低 比 抵 抗 / 高 比 抵 抗 の 境 界 の 特 に 高 比 抵 抗 側 に 多 く 分 布 している, という 特 徴 が 見 出 された 前 者 は, 地 震 波 の 低 速 度 域 や 散 乱 体 の 分 布 などとも 調 和 的 なことから, 水 の 存 在 と 考 える ことができる 後 者 は, 地 殻 内 の 歪 みにより 岩 石 の 空 隙 率 が 減 少 するため, 地 震 が 高 比 抵 抗 側 で 発 生 しているという 解 釈 もできる このように 地 殻 の 比 抵 抗 構 造 を 調 べること は, 水 の 分 布 を 知 ることができるだけでなく,さらに 歪 場 や 地 震 発 生 場 の 性 質 をつかむことができる しかしながら, 上 述 した 特 徴 は,ある 時 間 での 比 抵 抗 構 造 から 言 えることであり, 時 間 変 化 についての 情 報 は 含 まれていない 従 って, 地 震 活 動 に 対 応 した 比 抵 抗 変 化 を 検 出 するためには, 長 期 にわたる 連 続 観 測 が 必 要 である 例 えば, Yukutake et al.(199)は, 火 山 噴 火 のモニタリ ングのため, 直 流 電 気 探 査 法 による 比 抵 抗 の 繰 り 返 し 観 測
29 (a)7.5hz (b).234hz (c).879hz 図 -7 江 刺 観 測 場 における 見 掛 け 比 抵 抗 の 時 間 変 化 (1997 年 -21 年 ) 図 中 の 赤 丸 は xy 成 分 を, 青 丸 は yx 成 分 を 示 している
3 9 6 3 9 6 3 (a)7.5hz 9 6 3 9 6 3 (b).234hz 9 6 3 9 6 3 (c).879hz 図 -8 江 刺 観 測 場 における 位 相 差 の 時 間 変 化 (1997 年 -21 年 ) 図 中 の 赤 丸 は xy 成 分 を, 青 丸 は yx 成 分 を 示 している
31 を 行 っている 火 山 地 域 では, 現 象 が 地 下 浅 部 で 起 こって いること, 地 殻 の 比 抵 抗 とマグマの 比 抵 抗 とではコントラ ストが 非 常 に 大 きいことから, 地 表 で 観 測 できる 変 化 量 も 2%-3%と 比 較 的 大 きい 一 方, 地 震 活 動 のモニタリン グを 目 的 にした 場 合 は, 現 象 が 地 下 1km 前 後 と 深 い 場 所 で 起 こっているので, 地 表 で 観 測 できる 変 化 量 は 火 山 地 域 での 例 と 比 較 すると,さらに 低 くなることが 予 想 される Fujiwara et al.(1999)は, 江 刺 のMTデータを 使 った 解 析 結 果 から,1996 年 8 月 11 日 に 発 生 した M5.9 の 地 震 後 の 見 掛 け 比 抵 抗 が, 発 生 前 のそれと 比 較 して 3% 減 少 した という 事 例 を 報 告 した しかし,この 地 震 発 生 前 後 数 ヶ 月 間 にわたり 機 器 トラブルで 欠 測 を 生 じていること, 地 表 で 3%の 比 抵 抗 変 化 を 検 知 するには, 地 下 で 相 当 大 きな 比 抵 抗 構 造 変 化 がないと 説 明 ができないことから,この 変 化 に ついては 検 討 の 余 地 が 残 る ここで 図 -9に, 図 -7で 示 した 見 掛 け 比 抵 抗 の 時 間 変 化 を 観 測 開 始 時 点 の 値 を 基 準 として, 規 格 化 し 割 合 で 表 示 したグラフを 示 す なお, 図 は(a)7.5Hz を 除 きすべてリモ ートレファレンス 処 理 した 結 果 である データの 分 散 は,7.5Hz で 3%,.234Hz で 5%,.879Hz では 4% 持 つことがわかる この 原 因 のひとつには, 各 周 波 数 ともに 1 日 の 代 表 値 を 求 めるにあたり,24 時 間 分 の 時 系 列 データ を 使 って 計 算 していることが 考 えられる このばらつきを 低 くするためには, 夜 間 値 だけを 使 う, 周 波 数 領 域 での 平 滑 化 スタッキングなどの 処 理 が 必 要 である 定 量 的 な 議 論 はできないが, 少 なくても 現 状 の 3 分 の 1 程 度 にばらつ きを 抑 えることができれば, 地 震 活 動 のモニタリングに 有 用 であると 考 えている 6. 結 論 地 震 活 動 や 地 殻 変 動 と 関 連 した 比 抵 抗 変 化 を 検 出 する 目 的 として, 水 沢 測 地 観 測 所 および 江 刺 観 測 場 に 広 帯 域 M T 固 定 連 続 観 測 装 置 を 設 置 し,1996 年 4 月 から 見 掛 け 比 抵 抗 の 連 続 観 測 を 実 施 してきた 観 測 期 間 中 に 両 観 測 点 周 辺 において 地 震 活 動 や 大 きな 地 殻 変 動 がなかったので, 本 来 の 目 的 を 議 論 することはできなかった しかしながら, 長 期 にわたる 比 抵 抗 モニタリングにおけるデータの 安 定 性 を 議 論 するには, 十 分 なデータが 取 得 されているので, 本 報 告 ではこの 点 について 主 に 考 察 を 試 みた その 結 果, 以 下 の 知 見 が 得 られた (1) の 有 効 性 江 刺 観 測 場 で 取 得 された 時 系 列 データに 対 して, 水 沢 測 地 観 測 所 で 取 得 されている 磁 場 データを 使 ったリモート レファレンス 処 理 は 有 効 である しかしながら, 水 沢 測 地 観 測 所 の 時 系 列 データに 対 して, 江 刺 観 測 場 の 磁 場 データ を 使 っても,ほとんど 効 果 はない (2) 見 掛 け 比 抵 抗 値 の 時 間 変 化 江 刺 観 測 場 における 見 掛 け 比 抵 抗 のデータに 着 目 すると, 7.5Hz,.234Hz,.879Hz の3つの 周 波 数 に 共 通 して, yx 成 分 が1998 年 3 月 から 緩 やかに 増 加 する 傾 向 が 見 られた xy 成 分 については,7.5Hz および.234Hz ではわすかに Apparent resistivity (Ratio) 2.5 2. 1.5 1..5 Apparent resistivity (Ratio) 2.5 2. 1.5 1..5 Apparent resistivity (Ratio) 2.5 2. 1.5 1..5 Apparent resistivity (Ratio) 2.5 2. 1.5 1..5 (a)7.5hz (b).234hz (c).879hz 図 -9 江 刺 観 測 場 における 見 掛 け 比 抵 抗 の 時 間 変 化 率 (1997 年 -21 年 ) 図 中 の 赤 丸 は xy 成 分 を, 青 丸 は yx 成 分 を 示 している 減 少 する 傾 向 が 認 められるが,.879Hz ではほとんど 変 化 が 見 られなかった ただし, 位 相 には,これらに 対 応 するような 変 化 は 見 られなかった 7.5Hz では 長 期 的 な 変 動 の 上 に,さらに 短 周 期 変 動 が 重 なって 見 られた この 原 因 については 現 在 までのところまだわかっていない (3) 見 掛 け 比 抵 抗 の 安 定 性 1998 年 から 21 年 までの 4 年 間 のリモートレファレン ス 処 理 を 施 した 江 刺 観 測 場 のデータに 着 目 すると,7.5Hz では 3%,.234Hz では 5%,.879Hz では 4%の 分 散 を 示 すことがわかった この 原 因 のひとつには, 各 周 波 数 ともに 1 日 の 代 表 値 を 求 めるにあたり,24 時 間 分 の 時 系 列 データを 使 って 計 算 していることが 考 えられる 今 後,
32 夜 間 値 のみのデータを 使 った 結 果 で, 評 価 していく 必 要 が ある 平 成 14 年 度 中 に 現 行 のV5 測 定 システムからMTU5 測 定 システムへと 機 器 更 新 することに 伴 い,より 精 度 の 高 いデータ 取 得 が 可 能 になることが 期 待 される さらに 将 来 的 には, 人 工 ノイズの 影 響 が 大 きい 水 沢 測 地 観 測 所 から, 内 陸 地 震 発 生 領 域 への 機 器 の 移 設 が 予 定 されている これ により, 地 震 活 動 や 地 殻 変 動 と 関 連 した 比 抵 抗 変 化 を 検 出 する という 本 来 の 研 究 目 的 に 沿 った 観 測 の 実 現 が 可 能 になる 引 き 続 き,MT 法 による 地 殻 比 抵 抗 モニタリング を 行 い,データ 解 析 を 進 めていく 予 定 である 謝 辞 測 定 機 器 の 設 置 やメンテナンスに 際 し, 日 鉄 鉱 コンサル タント 株 式 会 社 横 井 浩 一 氏,カナダフェニックス 社 山 下 実 氏 および 同 社 技 術 者 の 方 々には, 多 大 な 御 協 力 を 頂 い た また, 神 戸 大 学 理 学 部 藤 田 清 士 博 士 および 東 京 都 総 務 局 笹 井 洋 一 博 士 にはデータ 処 理 結 果 について 御 議 論 を して 頂 いた 本 報 告 は 平 成 14 年 度 京 都 大 学 防 災 研 究 所 研 究 集 会 ( 一 般 )14K-8 地 震 発 生 域 及 びその 周 辺 の 電 気 伝 導 度 構 造 の 研 究 において, 発 表 した 内 容 をまとめたもの である このように 本 論 をまとめる 機 会 を 与 えていただい た, 研 究 代 表 者 の 神 戸 大 学 理 学 部 山 口 覚 博 士, 京 都 大 学 防 災 研 究 所 大 志 万 直 人 博 士 には, 心 より 謝 意 を 表 します 参 考 文 献 浅 野 陽 一 海 野 徳 仁 中 村 綾 子 岡 田 知 己 堀 修 一 郎 河 野 俊 夫 仁 田 交 市 佐 藤 俊 也 長 谷 川 昭 小 菅 正 長 谷 見 晶 子 (1999): DAT アレイ 地 震 観 測 による 奥 羽 脊 梁 山 地 およびその 周 辺 における 地 震 波 散 乱 体 分 布 の 推 定, 地 震 2,52, 379-394. Archie, G.E.(1942): The electrical resistivity log as an aid in determining some reservoir characteristics, Trans. AIMe, 146, 54-62. Cagniard, C.(1953): Basic theory the magnetotelluric method of geophysical prospecting, Geophysics,, 1-16. Fujiwara, S., T.Kadowaki and H.Hamazaki(1999): Monitoring changes of the Earth s electrical resistivity for earthquake and crustarl activity research, Bull.Geograph.Surv.Inst.,, 11-18. Goubau, W.M., P.M.Maxton, R.H.Koch and J.Clarke(1984): Noise correlation lengths in remote reference magnetotellurics, Geophysics, 49, 433-438. 三 品 正 明 (1995):ネットワークMTデータに 含 まれる 電 車 漏 洩 電 流 ノイズの 振 幅 変 化 について,CA 研 究 会 1995 年 論 文 集,59-64. Mitsuhata, Y., Y.Ogawa, M.Mishina, T.Kono, T.Yokokura and T.Uchida(21): Electromagnetic heterogeneity of the seismic region of 1962 M6.5 Northern Miyagi Earthquake, northeastern Japan, Geophys.Res.Cett., 28, 4371-4374. Nakajima, J., T.Matsuzawa, A.Hasegawa and D.Zhao(21): Seismic imaging of arc magma and fluids under the central part of northeastern Japan, 341, 1-17. Ogawa, Y., M.Mishina, T.Goto, H.Satoh, N.Oshiman, T.Kasaya, Y.Takahashi, T.Nishitani, S.Sakanaka, M.Uyeshima, Y.Takahashi, Y.Honkura and M.Matsushima(21): Magnetotelluric imaging of fluid in intraplate earthquake zone, NE Japan back arc, Geophys.Res.Cett., 28, 3741-3744. Phoenix Geophysics(1997): Stationary MT monitoring system for earthquake research installed for the Geographical Survey Institute, Phoenix Tech. Rept., Phoenix Geophysics, Tronto, 1, 1-4. Yukutake, T., T.Yoshino, H.Utada, H.Watanabe, Y.Hamano and T.Shimomura(199): Changes in the electrical resistivity of the central cone, Mihara-yama of Oshima volcano observed by a direct current method, J.Geomag.Geoelectr., 42, 1-168.