資 料 2 仮 訳 G7サミットを 前 にした 国 際 金 融 経 済 分 析 会 合 安 倍 晋 三 首 相 のためのOECD 作 成 資 料 2016 年 4 月 13 日 ( 水 ) 1
世 界 経 済 の 見 通 しとリスク 世 界 経 済 の 成 長 の 回 復 は, 依 然 として 不 透 明 世 界 の 実 質 GDP 成 長 率 は,2016 年 はわずか3%,2017 年 はこれを 若 干 上 回 ると 見 込 まれる 最 近 の 成 長 の 弱 さは, 先 進 国 及 び 新 興 市 場 国 の 広 範 囲 に 広 がっている 金 融 市 場 の 変 動 は, 本 年 前 半 の 高 い 水 準 からは 弱 まったものの, 世 界 経 済 の 見 通 しは, 相 当 な 不 確 実 性 と 下 方 リスクにより 暗 いままである 最 近 の 経 済 データは, 先 進 国 における 成 長 の 勢 いの 鈍 化 を 示 唆 している ほとんどのG7 諸 国 において,2015 年 第 4 四 半 期 のGDP 成 長 率 は 予 想 を 下 回 り,ソフトデータはこうした 緩 やかなペースが2016 年 に 入 っても 続 いていることを 示 し ている 2015 年 第 2 四 半 期 には 幾 分 か 回 復 したにも 関 わらず, 世 界 貿 易 の 伸 びは3% 以 下 と 緩 やかなものにとどまって おり,これは 歴 史 的 にも 世 界 経 済 の 成 長 の 弱 さと 関 連 づけられてきた 投 資 もまた, 歴 史 的 水 準 より 抑 制 されたままであり,これは, 観 察 されている 生 産 性 向 上 率 の 減 速 に 貢 献 している 今 後 数 十 年 で 多 くの 先 進 国 において 高 齢 化 が 加 速 し, 投 資 に 対 する 圧 力 が 強 まるであろう 2015 年 11 月 から2016 年 2 月 の 見 通 しの 改 訂 %ポイント %ポイント 仏 世 界 英 伊 ユーロ 圏 米 国 独 加 世 界 貿 易 とGDPの 規 模 % 変 化 率 % 変 化 率 世 界 貿 易 世 界 GDP 出 典 :OECD 経 済 アウトルック データベース, 中 間 経 済 評 価 2
先 進 国 の 雇 用 の 伸 びは,ユーロ 圏 の 一 部 を 除 いて, 概 してかなり 堅 調 であった ユーロ 圏 の 失 業 率 は10% 以 上 と 高 い 水 準 にとどまる 米 国 や 英 国, 日 本 では, 低 い 水 準 にまで 下 落 した しかしながら,これはまだ 堅 調 な 賃 金 上 昇 に 結 びつい ておらず, 所 得 の 伸 びや 消 費 支 出 を 落 ち 込 ませる 需 要 の 弱 さや 商 品 価 格 の 低 下 により, 主 要 先 進 国 においては, 総 合 コア 双 方 のインフレ 率 は 目 標 を 下 回 ったままである コア インフレ 率 対 前 年 比 対 前 年 比 加 ユーロ 圏 仏 独 伊 日 英 米 雇 用 者 報 酬 %, 対 前 年 比 %, 対 前 年 比 米 国 日 本 ユーロ 圏 OECD 注 Note: : 入 手 可 Latest 能 な 最 month 新 月 のもの コア インフレ available. Core inflation 率 は, 消 is 費 for 者 consumer 物 価 から 食 prices 料 及 びエネルギーを excluding food 除 いたもの and energy. 米 国 The については, private 個 consumption 人 消 費 デフレーターを deflator 使 is 用 used for the United States. 出 Source: 典 :OECD OECD 経 済 アウトルック データベース Economic Outlook databases. 中 国 の 経 済 成 長 は, 製 造 業 からサービス 業 への 経 済 の 構 造 調 整 に 伴 い, 今 後 2 年 の 間 徐 々に 減 速 を 続 けていくと 見 込 まれている 最 近 打 ち 出 された 金 融 及 び 財 政 刺 激 策 は, 確 実 に 経 済 を 下 支 えするであろう しかしながら, 構 造 調 整 のプ ロセスを 管 理 するのは 困 難 な 課 題 であり 続 け,またそれには 複 数 の 産 業 分 野 における 過 剰 供 給, 重 い 債 務 負 担 や 金 融 市 場 及 び 為 替 相 場 の 変 動 について 取 り 組 むことも 求 められる インド 経 済 は 堅 調 と 見 込 まれるものの, 構 造 改 革 の 更 なる 進 展 が 求 められる ブラジルやロシアのような 一 次 産 品 の 輸 出 国 は, 商 品 価 格 の 低 下 に 適 応 していくにあたり, 今 後 も 難 しい 調 整 過 程 を 余 儀 なくされるであろう 加 えて,ブラジルの 政 治 的 不 確 実 性 とロシアの 経 済 制 裁 によって, 見 通 しには 暗 雲 が 垂 れこめている その 他 の 主 要 な 新 興 市 場 国 の 見 通 しは, 政 策 的 な 下 支 えの 余 地 の 違 いや 商 品 価 格 低 下 の 影 響, 構 造 改 革 の 進 捗 度 合 いを 反 映 して, 千 差 万 別 である 3
商 品 価 格 低 下 と 緩 和 的 な 金 融 政 策 は, 今 後 2 年 の 間, 先 進 国 経 済 の 成 長 をある 程 度 支 える 要 因 となるが,それは 堅 固 な 実 質 賃 金 上 昇 や 企 業 投 資 に 結 びつく 場 合 である これらの 改 善 が 見 込 まれない 場 合, 世 界 経 済 は 再 度 予 期 せぬ 景 気 後 退 に 見 舞 われるとみられる 世 界 経 済 見 通 しには,いくつかの 主 要 なリスクが 存 在 する 1つ 目 は, 英 国 のEUにおける 地 位 を 巡 る 国 民 投 票 は, 英 国 のみならず, 欧 州 の 他 の 地 域, 潜 在 的 には 世 界 全 体 を 深 刻 な 経 済 及 び 金 融 上 のリスクにさらすことになる 国 民 投 票 を 巡 る 不 確 実 性 は 既 に 英 国 経 済 に 重 くのしかかりつつある 2つ 目 は, 中 国 における 金 融 財 政 刺 激 策 は 成 長 を 支 える 一 方, 現 在 直 面 している 不 均 衡 を 深 刻 化 させるとともに 金 融 リスクを 増 大 させ, 高 水 準 の 企 業 債 務 や 銀 行 システムの 不 良 債 権 のような, 現 在 も 進 行 中 の 脆 弱 性 を 拡 大 させるおそれがある 中 国 のより 急 激 な 減 速 は, 金 融 の 混 乱 を 発 生 させる ことに 加 えて, 世 界 経 済 の 見 通 しを 著 しく 弱 めるであろう 3つ 目 は, 最 近 の 金 融 市 場 における 変 動 の 低 下 にもかかわら ず, 債 務 と 民 間 部 門 への 貸 出 の 急 増 を 経 験 してきた 新 興 市 場 国 は, 依 然 として 金 融 市 場 の 投 資 家 マインドの 変 化 と 資 本 流 出 に 対 して 特 に 脆 弱 である 最 後 に, 地 政 学 的 緊 張, 特 に 中 東 におけるそれは 厳 しいままであり, 原 油 価 格 の 大 変 動 を 含 む 市 場 の 変 動 の 原 因 となる 可 能 性 がある 4
金 融 市 場 の 見 通 し 金 融 市 場 は 本 年, 困 難 なスタートを 切 った 後, 安 定 している しかしながら,リスク 資 産 の 価 格 は 十 分 には 回 復 していない 加 えて, 将 来 の 金 融 不 安 や 脆 弱 性 のリスクは 継 続 しており, 特 に 新 興 市 場 ではそうである 金 融 市 場 は2016 年 初 めにはいくらかの 変 動 を 経 験 したが,それは 成 長 見 通 しの 再 評 価 と 投 資 家 の 経 済 政 情 不 安 に 対 する 懸 念 の 増 大 を 反 映 したものである 主 要 な 株 式 市 場 は2 月 までは 急 激 に 下 落 したが, 一 部 は 回 復 を 経 験 して いる しかし, 米 国 を 除 き, 株 価 は 以 前 の 水 準 をはるかに 下 回 ったままである 2015 年 7 月 31 日 =100 株 価 指 数 2015 年 7 月 31 日 =100 S&P 500 指 数 日 経 平 均 株 価 FTSE100 種 総 合 株 価 指 数 (ロンドン) 上 海 総 合 指 数 商 品 価 格 2012 年 1 月 =100 2012 年 1 月 =100 金 属 鉱 物 食 糧 飲 料 農 業 原 料 原 油 ( 北 海 ブレント) 出 典 :OECD 経 済 アウトルック データベース,トムソン ロイター 主 に,2014 年 中 頃 に 始 まった 商 品 価 格 の 低 下 は, 本 年 1 月 にさらに 加 速 した ここ 数 か 月 間, 商 品 価 格 は 概 ね 安 定 し,いくつかのケースでは 部 分 的 な 回 復 も 見 られる シェールガスによる 追 加 のエネルギー 生 産 といったサプライサイ ドの 要 素 が, 原 油 及 び 関 連 価 格 を 押 し 下 げる 一 方, 商 品 価 格 の 低 下 は,より 一 般 的 には, 需 要 の 減 退,とりわけ 新 興 国 におけるそれに 起 因 するものと 考 えられる 最 近 の 改 善 は,おそらく, 米 ドル 安 やFRB( 米 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 )に よる 利 上 げペースの 減 速 に 対 する 市 場 の 受 け 止 め,そして, 中 国 の 金 融 財 政 刺 激 策 を 反 映 したものと 考 えられる 5
商 品 価 格 の 低 下 は, 資 源 輸 入 国 にとっては, 消 費 を 下 支 えすることになるが,( 特 にエネルギー 分 野 における) 投 資 を 抑 制 するとともに, 商 品 生 産 企 業 及 び 資 源 輸 出 国 に 対 して, 財 政 圧 力 を 課 すことになる 中 国 の 為 替 政 策 の 変 更 は,より 消 費 やサービスを 基 礎 とする 成 長 の 軌 道 に 向 けた 構 造 調 整 についての 不 確 実 性 と 結 びつき,2015 年 8 月 の 段 階 的 な 通 貨 切 下 げ 以 降,グローバルな 不 安 定 性 の 中 心 的 な 要 因 となっている 中 国 から の 資 本 流 出 は2016 年 初 めに 再 び 激 化 し,リスク 資 産 ( 株 式, 高 利 回 り 社 債, 商 品, 新 興 市 場 ソブリン 債 及 び 外 国 為 替 ) 全 般 の 価 格 低 下 を 招 いた 追 加 的 な 金 融 刺 激 策 及 び 政 策 的 な 下 支 えは, 変 動 を 抑 制 し, 価 格 を 安 定 化 することに 寄 与 した 中 国 の 為 替 レートと 米 国 株 式 市 場 の 変 動 ( 恐 怖 指 数 ) 米 ドル 人 民 元 レート 出 典 :トムソン ロイター いくつかの 新 興 市 場 国 における 金 融 の 脆 弱 性 は, 引 き 続 き 重 大 である ブラジル,ロシア 及 びトルコを 含 めたいくつ かの 国 は, 外 貨 建 て 債 務 の 割 合 の 高 さから, 為 替 レートの 大 きな 変 動 に 脆 弱 である これらのチャネルを 通 じた 全 体 的 なリスクの 規 模 は,より 大 きな 外 貨 準 備 とより 一 層 のマクロプルーデンス 的 な 緩 衝 措 置 が 存 在 することで, 以 前 の 危 機 よりも 小 さくなっているように 見 えるが, 万 が 一 これらのリスクが 現 実 のものとなれば, 金 銭 面 経 済 面 で 深 刻 な 結 果 が 生 じ 得 る これらのリスクは, 経 常 収 支 赤 字 が 大 きいままにとどまり,かつ, 各 国 が 商 品 価 格 の 同 時 低 下 にさ らされ, 企 業 の 借 り 手 が 有 する 自 然 的 ヘッジの 価 値 を 部 分 的 に 損 なうような 場 合 において,さらに 増 大 する 新 興 国 における 歴 史 的 水 準 と 比 較 した 場 合 の 民 間 部 門 債 務 の 急 速 な 伸 びは, 主 要 なリスクである 最 近,いくつかの 先 進 国 の 中 央 銀 行 が 金 融 刺 激 策 として 導 入 した, 中 央 銀 行 の 準 備 金 及 び 預 金 に 対 するマイナス 金 利 は, 例 えば 一 層 の 利 ざやの 圧 縮 を 通 じて 銀 行 の 収 益 性 を 低 下 させることによって, 金 融 リスクを 生 み 出 す 恐 れがあ るが, 現 時 点 ではこうした 影 響 は 抑 え 込 まれているようである ユーロ 圏 のいくつかの 国 においては, 民 間 部 門 の 高 いレバレッジと 高 水 準 の 不 良 債 権 が, 金 融 政 策 を 波 及 させるクレジット チャネルの 妨 げとなっている 6
OECDのG7 及 び 新 興 市 場 国 の 政 策 対 応 に 対 する 評 価 より 断 固 とした, 個 別 国 及 び 協 調 的 な 政 策 的 対 応 が 必 要 金 融 面, 財 政 面 及 び 構 造 面 での 対 応 からなる 国 際 的 マクロ 経 済 政 策 は, 需 要 と 資 源 再 配 分 を 下 支 えするものでなければならない これまでの 経 験 は, 多 くの 国 での 金 融 政 策 のみの 発 動 は, 需 要 を 拡 大 し, 満 足 のいく 成 長 をもたらすには 不 十 分 であったことを 示 している 財 政 面 及 び 構 造 面 の 政 策 措 置 が,より 多 く 必 要 である しかしながら, 財 政 政 策 は 多 くの 主 要 国 において 景 気 減 速 をもたらすようなものであり, 構 造 改 革 の 機 運 は 減 速 して いる 力 強 く, 持 続 的 な 成 長 をもたらすためには,これら3つの 政 策 が, 現 在 よりも 活 発 に 実 施 されなければならない 金 融 政 策 は,より 緩 和 的 になっている 欧 州 中 央 銀 行 と 日 本 銀 行 が,ここ 数 ヶ 月 で, 追 加 的 な 資 産 購 入 やマイナス 金 利 を 含 む 新 たな 措 置 を 発 表 した FRBは, 将 来 の 金 利 引 上 げについて, 市 場 の 期 待 に 近 い,より 緩 やかな 道 筋 を 示 している 金 融 政 策 は,インフレが 政 策 目 標 に 向 けて 安 定 的 に 推 移 する 明 らかな 予 兆 を 示 すまで, 極 めて 緩 和 的 な 状 況 を 保 つべきである 新 興 市 場 経 済 では, 金 融 面 での 支 援 は,インフレの 進 行 や 資 本 市 場 の 反 応 を 見 つつ, 可 能 な 範 囲 で 実 施 されるべきである 先 進 国 における 財 政 健 全 化 のペースは, 過 去 数 年 間 に 比 べて 緩 やかになった 財 政 政 策 の 立 場 は, 米 国 やユーロ 圏 では 中 立 に 近 い 一 方, 日 本 は, 大 幅 な 財 政 赤 字 を 削 減 し, 債 務 残 高 対 GDP 比 を 安 定 化 させるための 取 組 の 中 で 緊 縮 的 な 政 策 を 採 用 している 名 目 成 長 が 失 望 的 な 中 で, 財 政 計 画 の 達 成 は, 依 然 として 困 難 な 課 題 である いくつか の 新 興 国 は, 財 政 政 策 の 余 地 が 概 してより 限 られている 中 で, 政 策 スタンスを 緊 縮 に 向 けた 主 な 例 外 は 中 国 であり, 成 長 を 下 支 えするために 大 規 模 の 追 加 財 政 刺 激 策 を 採 用 している 中 国 は, 製 造 業 からサービス 業 への 経 済 の 構 造 調 整 の 中,より 緩 やかな 成 長 への 移 行 過 程 を 円 滑 なものとするため, 財 政 金 融 緩 和 を 注 意 深 く 調 節 すべきである 具 体 的 には, 例 えば 予 備 的 な 家 計 貯 蓄 を 減 らす 事 を 目 的 とした 政 策 など, 財 政 刺 激 は 安 定 的 な 消 費 型 成 長 への 転 換 を 促 進 するものでなければならない 基 礎 的 財 政 収 支 の 変 化 (2014 年 ~2016 年 ) 日 本 連 合 王 国 米 合 衆 国 カナダ ユーロ 圏 中 国 Note: For China, change in the general government balance as a per cent of GDP from 2014-15. 注 : 中 国 については, 一 般 政 府 の 収 支 バランスのGDP 比 の 変 化 (2014 年 ~2015 年 ) 出 典 :OECD 経 済 アウトルック データベース 成 長 を 支 えるために,より 強 力 な 協 調 的 財 政 政 策 対 応 が 必 要 である 多 くの 国 の 政 府 は, 現 在, 極 めて 低 金 利 での 長 期 借 り 入 れが 可 能 であり, 実 質 的 に, 財 政 拡 大 の 余 地 を 増 やしている 需 要 を 増 加 させるための 財 政 支 出 拡 大 は, 短 期 的 利 益 が 大 きく,かつ, 長 期 的 成 長 に 資 する 政 策 に 集 中 すべきである 協 調 して 公 共 投 資 を 増 やすとのコミットメン トは, 財 政 の 持 続 可 能 性 を 維 持 しつつ, 需 要 を 拡 大 させるであろう 質 の 高 いインフラ 計 画, 教 育 及 びスキルへの 投 7
資 支 出 は, 将 来 の 成 長 に 資 するであろう これらは, 民 間 セクターが 恩 恵 を 受 けることができるよう, 構 造 改 革 と 同 時 に 実 施 されるべきである 例 えばEUでは, 国 境 を 越 えた 規 制 の 壁 は, 統 合 にとっての 深 刻 な 障 害 であり, 追 加 的 なイ ンフラ 投 資 に 水 を 差 す また, 需 要 を 支 える 政 策 のみでは 持 続 的 な 成 長 に 戻 ることはできないため, 構 造 改 革 への 機 運 を 取 り 戻 すことも 必 要 である 危 機 直 後 の 時 期 には 構 造 改 革 の 約 束 とその 実 施 の 増 加 が 見 られたものの, 近 年, 構 造 改 革 のペースは 減 速 している 構 造 改 革 のペースの 減 速 は, 生 産 性 上 昇 率 の 低 下 や, 最 も 効 率 的 な 企 業 からの 生 産 性 向 上 の 成 果 の 伝 播 の 遅 さをもたらし,とりわけ 長 期 の 見 通 しにとっての 懸 念 材 料 である 構 造 改 革 の 便 益 は,より 強 い 需 要 が 伴 えば 更 に 高 まると 考 えられ,その 場 合, 企 業 や 雇 用 者 に 新 たな 機 会 を 掴 むことを 可 能 とするとともに, 必 要 な 資 源 の 再 配 分 を 助 けるであろう とりわけサービスにおける 貿 易 と 競 争 を 促 進 し, 市 場 アクセスを 容 易 にし, 行 政 負 担 を 軽 減 し,ジェン ダーの 平 等 を 強 化 し, 従 業 員 の 訓 練 や 他 の 雇 用 政 策 を 支 持 するため, 行 動 がとりわけ 必 要 である 構 造 改 革 のペースは 野 心 的 でないことを 表 している OECDの 勧 告 成 長 に 向 けて の 実 施 率 2007 年 ~10 年 の 平 均 2011 年 ~14 年 の 平 均 2015 年 ( 実 施 済 ) 先 進 国 新 興 市 場 国 注 : 勧 告 が 出 されている 全 ての 国 から 算 出 新 興 市 場 国 は,ブラジル,チリ, 中 国,コロンビア,インド,インドネシア,メキシコ,ロシア,トルコ 及 び 南 アフリカを 含 む メキシコ 及 びトルコは,2011 年 以 前 に 限 る 先 進 国 とは,それ 以 外 のOECD 加 盟 国 出 典 :OECD 成 長 に 向 けて 2016 年 版 8
G7 伊 勢 志 摩 サミットで 打 ち 出 し 得 るメッセージ 主 要 先 進 国 のリーダーシップが 世 界 的 な 経 済 の 課 題 への 取 組 みを 手 助 けできる 分 野,もしくは 野 心 的 なレベルを 上 げるの を 手 助 けできる 分 野 は 複 数 ある これらの 全 ての 分 野 で,OECDは, 実 証 に 基 づく 知 識,ピア レビューの 仕 組 み,そして 基 準 設 定 の 主 体 として,G7の 如 何 なる 新 規 イニシアティブも 支 援 する 用 意 がある また,G7は,OECDの 基 準 を 重 要 視 するにあ たっての 強 いリーダーシップを 発 揮 することができる 世 界 経 済 G7 首 脳 は, 需 要 と 供 給 双 方 の 側 の 対 策 と 野 心 的 な 構 造 改 革 のコミットメントの 実 施 を 組 み 合 わせた 新 たなポリシー ミッ クスを 追 求 することができる 世 界 経 済 は, 平 均 以 下 の 成 長 を 経 験 しており, 下 振 れリスクにも 直 面 している 中, 断 固 とし た 協 調 的 な 政 策 が 必 要 である 成 長,インフレと 賃 金 の 伸 び 方 は 慢 性 的 な 需 要 不 足 を 示 しており, 生 産 性 上 昇 率 の 低 下 は 構 造 的 なものとなったようである 最 新 のOECDの 中 間 経 済 評 価 でも 強 調 されたように, 金 融 政 策 単 独 では 満 足 な 結 果 を 生 まない 多 くの 主 要 国 の 協 調 的 な 財 政 対 応 が,プラスの 波 及 効 果 を 生 むであろうし,それは 個 別 のイニシアティブ よりもより 効 果 的 であろう 適 切 な 構 造 政 策 は,よく 選 択 された 財 政 刺 激 策 が 高 い 乗 数 効 果 を 得 ることを 確 実 にするため の 手 助 けとなる それゆえ,G7 諸 国 は, 成 長 軌 道 に 戻 るために, 財 政 政 策 及 び 構 造 政 策 をより 活 用 することに, 協 調 して 合 意 することができよう 租 税 租 税 回 避 地 (タックス ヘイブン)の 広 範 囲 にわたる 利 用 が 次 第 に 明 らかにされるに 連 れ, 市 民 の 租 税 制 度 の 公 平 性 に 対 する 信 頼 が 一 層 低 下 している G7 諸 国 は, 税 システムの 基 準 を 改 善 するとの 協 調 的 なコミットメントを 強 化 し, 自 動 的 情 報 交 換 (AEoI)やG20 OECD 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 (BEPS)パッケージを 実 施 (あるいは 早 期 採 択 )する 努 力 を 続 けるこ とによって, 模 範 とならなければならない 新 たな 持 続 可 能 な 開 発 目 標 が 国 内 資 金 動 員 (DRM)の 能 力 強 化 に 焦 点 を 当 てていることに 沿 って,OECDは, 共 同 の 税 プラットフォームを 創 設 するために,IMF, 国 際 連 合 及 び 世 界 銀 行 グルー プと 緊 密 に 協 力 している G7 諸 国 は, 途 上 国 においてDRMの 能 力 を 拡 張 し 投 資 を 促 進 するとの 目 標 を 達 成 すべく, 共 同 の 税 プラットフォームが 真 に 効 果 的 なものとなるよう, 率 先 して 取 り 組 むことが 期 待 される 貿 易 G7 諸 国 は, 多 角 的 な 貿 易 自 由 化 へのコミットメントを 再 確 認 するとともに,よりグローバルで 結 び 付 いた 世 界 から 人 々が 利 益 をより 得 ることができるようにするような,また, 地 域 及 び 複 数 国 間 の 合 意 に 向 けた 交 渉 が 他 国 にオープンなものとな ることを 確 実 にするような 補 完 的 な 政 策 を 展 開 すべきである OECDは, 実 証 的 な 分 析 (TiVA( 付 加 価 値 貿 易 ) 及 びSTRI (サービス 貿 易 制 限 指 標 )データベースによるもの)を 提 供 し,また 多 角 的 貿 易 体 制 を 強 化 するための 政 策 的 な 対 話 の 場 を 設 けることによって,このコミットメントを 支 援 することができよう 教 育 G7 首 脳 は, 急 速 に 変 化 しより 一 層 デジタル 化 する 世 界 の 中 での 教 育 として, 知 識 やスキル, 能 力, 資 質 に 焦 点 を 当 てた 教 育 改 革 の 必 要 性 を 強 調 することができる このような 改 革 は, 国 全 体 のカリキュラム 及 び 教 育 システムの 一 部 として 必 要 な 価 値 観, 個 人 の 資 質 ( 社 会 性 や 感 受 性 を 含 む)にも 重 点 を 置 くであろう OECDは, 2030 年 の 教 育 プロジェクトや, これらの 要 素 を 組 み 込 んだPISA(OECD 生 徒 の 学 習 到 達 度 調 査 )の 評 価 により 支 援 する 準 備 がある ジェンダーの 平 等 G7 首 脳 は, 科 学 技 術 工 学 及 び 数 学 (STEM)の 分 野 における 女 性 の 積 極 的 な 参 加 を 促 進 するG7の 目 標 を 打 ち 立 て ることによって,ジェンダーの 平 等 を 促 進 することができる G7が,OECDに 対 して,OECDジェンダー 勧 告 と 同 様,STE M 分 野 に 強 い 焦 点 を 当 てつつ, 教 育, 雇 用 及 び 起 業 の 面 でのジェンダー ギャップを 縮 小 する 政 策 の 実 施 状 況 の 進 捗 を 9
監 視 するピア レビューの 仕 組 みを 創 設 するよう 依 頼 することもできよう 全 てのG7 諸 国 は,この 勧 告 に 結 果 を 出 すようコ ミットしている 医 療 G7 首 脳 は, 高 齢 化 社 会 での 普 遍 的 な 医 療 システムの 財 政 的 な 持 続 可 能 性 を 確 保 することにコミットすることができる O ECDは, 各 国 が 高 齢 化 社 会 において 普 遍 的 な 医 療 システムを 如 何 に 長 期 にわたって 財 政 的 に 支 えられるのかという 経 験 をシェアするグローバルなプラットフォームを 提 供 することができ,また 財 政 当 局 と 医 療 行 政 当 局 とのコミュニケーション を 増 やし, 予 算 財 政 面 での 対 応 の 改 善 を 促 進 し,どのように 最 も 望 ましいインセンティブと 地 方 も 含 んだ 政 府 の 対 応 を 設 計 するかという 経 験 を 交 換 することができる グリーンでクリーンな 投 資 と 資 源 の 効 率 性 G7 首 脳 は 再 生 エネルギー 及 びその 他 の 低 炭 素 技 術 への 投 資 とイノベーションの 強 化 にコミットし,またOECDに 対 して, 主 要 な 投 資 条 件 が 与 える 効 果 の 実 証 的 に 分 析 するよう, 呼 びかけることができる 彼 らが, 資 源 効 率 性 のためのG7の 協 調 に 対 するコミットメントを 再 確 認 し,OECDが5 月 のG7 環 境 大 臣 会 合 において 報 告 する 予 定 である 資 源 効 率 性 に 関 す る 政 策 ガイダンス 報 告 書 への 支 持 を 表 明 することも 一 案 である ドーヴィル パートナーシップ G7 首 脳 は,MENA( 中 東 北 アフリカ) 地 域 での 経 済 的, 社 会 的, 制 度 的 発 展 を 支 援 するため,アラブ 諸 国 とともにドーヴ ィル パートナーシップを 強 化 することができる OECDは, 経 済 的 ガバナンスに 関 するドーヴィル コンパクトの 実 施 や, 成 長 に 資 する 政 策 や 投 資,ガバナンス,スキル, 若 年 者, 税, 雇 用 に 関 する 実 証 的 なアドバイスを 通 じて,このパートナー シップを 支 援 する 準 備 がある 移 民 難 民 /テロ 多 くの 難 民 の 流 入 やテロの 増 加 といった, 他 の 世 界 的 に 考 慮 すべき 課 題 について,OECDはG7の 野 心 的 な 取 組 を 支 援 することができる OECDは, 移 民 や 難 民 に 関 して, 移 民 流 入 やその 側 面, 政 策 に 関 する 記 録, 追 跡 及 び 分 析 を 行 ってお り, 統 合 政 策 を 含 む 移 民 への 適 切 な 対 応 について,ベストプラクティスを 助 言 することができる テロの 脅 威 に 関 しては, OECDは,テロ 資 金 調 達 のための 不 正 な 資 金 の 流 れを 防 止 することを 目 的 とした,G7による 強 力 なコミットメントを 下 支 えするものとして, 鉱 物 資 源 や 原 油 に 関 するデュー デリジェンスの 指 針 を 開 発 してきたところである 10