地 球 からの 大 気 逸 散 のメカニズム 5 年 月 3 日 西 村 二 郎 室 谷 金 義 概 要 地 球 の 周 りには 大 気 がある しかし 閉 じた 系 ではないので 宇 宙 に 向 けて 少 しづつ 逸 散 している 有 力 な 原 因 として 誰 しも Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 を 挙 げるだろう しかし これによる 逸 散 量 は 後 述 するように 無 視 できる ほど 小 さい 太 陽 系 の 地 球 型 惑 星 に 関 しても 水 星 と 火 星 の 大 気 が 殆 どないことの 説 明 がつ かない 地 球 とほぼ 同 じ 大 きさの 金 星 の 大 気 は 実 に 9 気 圧 もある となると 地 球 も 逸 散 過 程 にあり 現 在 の 気 圧 まで 減 ったと 考 えるべきであろう 然 らば 金 星 とその 他 の 惑 星 ( 水 星 地 球 火 星 との 違 いは 何 か それは 地 磁 気 の 有 無 で ある 地 磁 気 がある 地 球 等 の 惑 星 では 電 離 した 大 気 粒 子 はローレンツ 力 により 磁 極 まで 運 ばれ 究 極 的 に 逸 散 すると 考 えられる 具 体 的 には 大 気 圧 分 布 の 変 極 点 にあたる 高 度 km 以 上 では ローレンツ 力 の 支 配 下 にあると 考 え その 圧 力 になる 高 度 プラス X の 高 度 まで 上 昇 し 得 る 大 気 粒 子 は 発 散 すると 仮 定 して 過 去 と 未 来 の 大 気 圧 を 推 算 した なお 地 球 では 金 星 とは 熱 的 条 件 が 違 うため 海 が 生 成 したとき 地 球 誕 生 当 初 は 大 量 に 存 在 したと 思 われる 炭 酸 ガスが 大 量 に 取 り 込 まれた また 生 物 の 活 動 により 酸 素 も 大 気 の 主 要 成 分 となった したがって 現 在 の 大 気 組 成 に 近 くなっ た 6 億 年 以 降 が 推 算 の 対 象 となる.まえがき 目. 大 気 圧 分 布 温 度 分 布 および 密 度 分 布 3. 電 離 層 の 構 造 4. Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 による 逸 散 5. 内 部 的 要 因 による 地 球 大 気 の 変 遷 6. 地 磁 気 の 存 在 下 における 荷 電 粒 子 の 逸 散 7. 過 去 と 未 来 の 地 球 の 大 気 圧 8.あとがき 次
.まえがき 地 球 の 周 りには 大 気 がある しかし 閉 じた 系 ではないので 宇 宙 に 向 けて 少 しづつ 逸 散 している 地 球 は 46 億 年 前 に 誕 生 したといわれている 誕 生 初 期 には 高 温 であったが やがて 冷 えてきて 38 億 年 程 度 前 に 海 ができたと 推 定 されている このレポートでは 38 億 年 前 の 大 気 圧 はどの 程 度 であったか そして 将 来 は どのようになるか を 推 測 することを 目 的 としている このような 問 題 を 考 えるとき まず 挙 げられるのが Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 である 地 表 において 引 力 脱 出 速 度 をもつ 大 気 粒 子 は 逸 散 すべき 最 有 力 候 補 源 である 地 表 では 大 気 粒 子 の 平 均 自 由 行 路 は A 程 度 と 小 さい ので 特 定 の 粒 子 は 別 の 大 気 粒 子 と 衝 突 する 可 能 性 が 極 めて 高 い しかし Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 が 衝 突 によって 変 わるわけではないので 脱 出 速 度 をもっている 粒 子 の 数 は 変 わらない 厳 密 に 言 えば この 速 度 には 温 度 依 存 性 がある でも 高 度 km 程 度 までは 後 述 するように 対 数 の 尺 度 では 変 化 が 小 さい それ 以 上 の 高 度 では 太 陽 からの 放 射 熱 の 影 響 が 大 きくなり 速 度 は より 大 きくなる しかし 詳 細 は 後 に 譲 るとして このメカニズムによる 逸 散 量 は 無 視 できるほ ど 小 さい 大 きさの 小 さい 水 星 や 月 ですら 無 視 できる したがって 地 球 型 惑 星 の 水 星 と 火 星 の 大 気 がすでに 希 薄 であることを 説 明 するには 別 のメカニズムに よる 逸 散 を 考 えなければならない 金 星 には 現 在 でも 9 気 圧 の 大 気 が 存 在 するという 金 星 とそれ 以 外 ( 水 星 地 球 火 星 との 大 きな 違 いは 地 磁 気 の 事 実 上 の 有 無 である 荷 電 粒 子 は 磁 力 線 と の 交 互 作 用 によりローレンツ 力 を 受 け 螺 旋 を 描 きながら 磁 極 を 目 指 す ことはよ く 知 られている( 地 磁 気 による 太 陽 風 のブロック 参 照 地 球 の 場 合 地 上 数 km 辺 りから 太 陽 からの 高 エネルギーの 光 子 との 衝 突 によ り 大 気 の 電 離 が 起 きる もっとも 共 存 している 電 子 との 再 結 合 により 夜 にな ると 電 荷 を 喪 失 するものもある 高 度 が 高 いほど 電 離 状 態 は 保 存 される そして 磁 極 付 近 に 到 達 した 荷 電 粒 子 は 方 向 を 変 え 反 対 方 向 の 磁 極 を 目 指 すか 夜 側 に 延 びている 磁 力 線 によって 地 球 から 逸 散 する 地 磁 気 との 交 互 作 用 により 太 陽 風 の 電 子 も 磁 極 周 辺 を 目 指 してやってきて 大 気 粒 子 と 衝 突 しオーロラを 発 生 させる が 大 気 との 衝 突 確 率 はそれほど 高 くはないだろう プラズマシートからやって くる 超 高 速 の 電 子 による 逸 散 効 果 の 方 が 大 きいのではなかろうか ともかく 大 気
の 逸 散 に 効 く 実 効 高 さ があり その 高 さまで 到 達 可 能 な 大 気 粒 子 は 逸 散 すると 仮 定 する このモデルによれば 逸 散 によって 大 気 が 失 われるにつれ 電 離 層 の 高 さが 下 がり 逸 散 が 加 速 されることになる. 大 気 圧 分 布 密 度 分 布 および 温 度 分 布 地 球 の 中 心 を 原 点 とする 球 座 標 をとり 微 小 セル (, + に 関 する 力 の 釣 合 いを 考 え 微 分 方 程 式 を 解 けば 大 気 圧 分 布 密 度 分 布 について 次 式 が 得 られる ρ * ( H = ρ σ ; * ( H P = P σ ( ただし ρ と P の 間 には 理 想 気 体 の 状 態 方 程 式 から P = σ ρ ( なる 関 係 がある また 地 球 の 半 径 を として P = P( ρ = ρ( ( 3 さらに GM kt *( = ; σ = ( 4 とおいた *( m は = に おける 引 力 圏 からの 脱 出 速 度 である たたし G : 万 有 引 力 定 数 M : 地 球 の 質 量 k : Boltzmann 定 数 T : 大 気 の 絶 体 温 度 m : 大 気 粒 子 の 質 量 である ここで 理 科 年 表 記 載 の 温 度 分 布 をグラフ 化 する( 図 図 温 度 分 布 大 気 圧 ( 理 論 式 を 理 科 年 表 のデータと 比 較 してみると 図 のようになる 対 数 尺 度 で 考 えると 理 科 年 表 の 変 曲 点 である km 程 度 の 高 度 までは 比 較 的 よい 3
4 一 致 を 示 しているといえよう 図 大 気 圧 分 布 理 論 式 の 値 が 理 科 年 表 から 乖 離 する 原 因 は 気 温 変 化 の 影 響 と 電 離 により 大 気 粒 子 が 重 力 支 配 からローレンツ 力 の 支 配 下 に 移 るためと 考 えることができる 大 気 の 総 量 を 考 えるとき 大 気 密 度 の 理 論 式 により 計 算 すると 無 限 大 となる これは 無 限 遠 までこの 理 論 式 に 従 って 大 気 が 存 在 していると 仮 定 しているから である 上 述 の 説 明 が 正 しければ 地 球 の 引 力 に 補 足 されている 大 気 の 量 は 高 度 ~ km( H とおくまで 考 えればよさそうである 一 方 地 球 の 重 力 の 支 配 下 にある 大 気 の 総 量 は 大 気 圧 地 球 の 表 面 積 からも 計 算 値 することができる すなわち 4 4 g g P Q σ ρ π π = = =5.7 5 ton ( 5 ただし GM g = ( 6 とおいた ( + = H d Q 4 ρ π * * 3 ( ( 4 H σ σ ρ π * 3 ( 8 σ ρ π = 4 g σ ρ π ( 7となり ( 5 式 と 一 致 する
* ( H ただし とした このことから重力の支配下にある大気の総量 σ は理科年表の変極点程度の高さまでと考えて良いことが判る 3 電離層の構造 大気粒子が電離すると 螺旋を描きながら 磁極方向を目指して移動する 電離層は図 3 のように なっている 高度が低い と夜間は消滅する方向に 動く 電荷を失った大気 粒子は引力の支配下に戻 る 電離した大気粒子は このような挙動をしなが ら次第に磁極へと移動し 3 電離層 ていくものと考えられる 図4 図3 電離層の日変化と高度(kmと逸散モデル 太陽風と地磁気 太陽風を構成しているプラズマの一部も地球の磁極を目指して降ってくる 5
プラズマ 中 の 電 子 は 大 気 粒 子 と 衝 突 して 発 光 させる プラスイオンが 電 子 と 衝 突 しても 発 光 する 場 合 がある オーロラ 発 光 は 目 立 つが 太 陽 風 の 密 度 は 希 薄 (cm 3 中 に 5 個 程 度 なので 衝 突 する 確 率 は 低 い 因 みに km 上 空 に 存 在 している 大 気 の 粒 子 は cm 3 中 に 38 万 個 程 度 である さらに プラズマシートからは k ~ kev 級 の 高 速 電 子 も 降 ってくるといわれている これは 大 気 を 逸 散 させるだ けの 駆 動 力 を 持 ち 得 るが やはり 衝 突 の 確 率 は 低 いものと 思 われる そこで ここでは 高 度 (km=( 現 在 +X まで 上 昇 しうる 大 気 粒 子 は 全 て 磁 極 まで 移 動 し 遅 かれ 速 かれ 宇 宙 空 間 へ 逸 散 するものと 仮 定 する ここでこの 高 度 は P = 気 圧 のときのもので 大 気 が 失 われるにしたがって" 電 離 高 度 "が 下 がることを 考 慮 に 入 れていることに 注 意 したい 肝 心 なのは 高 度 km のとこ ろの 現 在 の 大 気 圧 ( P までは 理 論 式 ( が 成 り 立 つということおよび( 5 式 に 基 づいて 後 述 の(5 3 (5 4 式 が 成 り 立 っていることである これによって 大 気 の 逸 散 は 大 気 が 失 われるにしたがって 加 速 されることになる 4. Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 による 逸 散 地 球 の 中 心 を 原 点 とする 球 座 標 (,θ,φ を 考 え 大 気 粒 子 の 速 度 を = e θ eθ + + e とすると 位 置 のエネルギーを 考 慮 に 入 れた φ φ Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 は H = として 次 式 のように 表 せる f H ( = + ( πσ σ ( = θ θ πσ σ * f (4 θ f (4 3. φ ( = φ φ πσ σ (4 Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 は 衝 突 後 も 保 たれる つまり 引 力 圏 か らの 脱 出 速 度 をもっている 大 気 粒 子 は 衝 突 によって 速 度 が 変 わるが 別 の 粒 子 に 継 承 されて 脱 出 する 粒 子 の 統 計 的 な 数 は 変 わらないのである さて (, + 層 に 存 在 する 大 気 粒 子 の 量 : 4π ρ( のうち 引 力 圏 脱 出 速 度 以 上 の 速 度 をもつ 粒 子 の 量 は 次 式 で 与 えられる 6
f ( d f ( d * ( * ( Q = 4π ρ( = 4π ρ( f ( d * ( H σ (4 4. (, + 層 内 の 大 気 粒 子 は 平 均 して + の 位 置 に 存 在 していると 考 え れば この 高 度 における 引 力 圏 脱 出 速 度 以 上 の 速 度 の 平 均 値 を < ( > とする と この 層 から 出 るのに 必 要 な 時 間 は t = < * ( > る ただし * (4 5 で 与 えられ < ( >= * * ( * ( f ( d f ( d = σ * ( π σ * ( H * ( σ f ( d (4 6. (4 4 (4 5 (4 6より 地 球 の 引 力 を 振 り 切 って 逸 散 する 量 は 次 式 で 与 えられる dq q = = 3π *( ρ σ dt σ (4 4. 大 気 の 総 量 に 対 する 逸 散 量 の 割 合 は ( 5 ( 6および(4 4 式 より Q π σ * ( τ = = q g σ 付 けることにする ただし g は 重 力 の 加 速 度 である (4 5 で 表 される これを 逸 散 時 間 と 名 T が 一 定 と 見 なせる 場 合 には τ も 一 定 である その 場 合 ( 5 (4 4 dq t (4 5 式 より τ + Q = Q = Q (4 6 となる dt τ 都 合 がよいことに (4 5 式 においては ρ が 分 子 分 母 で 相 殺 されている こ のため われわれは 地 表 の 大 気 密 度 の 値 を 気 にすることなく 逸 散 時 間 を 計 算 する ことができる なお τ 5 = τ ln =. 693τ (4 7 とおけば τ 5 は 半 減 期 を 意 味 する 地 球 型 惑 星 ( 水 星 金 星 地 球 火 星 および 月 について 半 減 期 を 計 算 すれば 表 のようになる 7
表 Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 起 因 の 逸 散 の 半 減 期 ( 水 星 金 星 地 球 火 星 月 直 径 (km 4.879.4.74 6.794 3.47 質 量 (ton 3.3 4.87 5.97 6.4 7.35 9 平 均 温 度 (K 44 737 88 5 大 気 成 分 O,Na,H,He CO,N N,O,A CO,N,A A,He 平 均 分 子 量.79 43.44 8.96 4.76 3. 大 気 圧 (atm - 9.75-7 τ 5 (BY 5.43 7.5 5 3.55 3.4 9.43 3 地 磁 気 あり なし あり あった あった 平 均 温 度 大 気 成 分 大 気 圧 は 現 在 の 値 (Wiki-Pedia 参 照 である 表 によれば 質 量 が 比 較 的 大 きな 大 気 粒 子 については 水 星 や 月 のような 質 量 が 小 さな 星 においても Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 起 因 の 逸 散 は 無 視 で きることがわかる 質 量 の 小 さい 気 体 分 子 (H He H Oの 半 減 期 を 平 均 温 度 が K の 場 合 を 含 めて 計 算 すると 表 のような 結 果 が 得 られる 水 素 ガスの 逸 散 は 温 度 を K とすれば 半 減 期 は 金 星 の 場 合 で.5 年 地 球 の 場 合 でも 9 年 と 短 い またヘリウムも 金 星 で7 百 万 年 地 球 で 4 千 5 百 万 年 で 半 減 する 月 水 星 火 星 程 度 の 大 きさの 星 では 分 子 量 8 の 大 気 ( 水 でも 逸 散 しうることが わかる 表 Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 起 因 の 逸 散 の 半 減 期 ( 水 星 金 星 地 球 火 星 月 H T (K 44 737 88 5 τ 5 (Y.39-3 4.36 7.6.6-4 H T (K τ 5 (Y.33-4.5 9. 3. -4 6.79-5 He T (K τ 5 (Y 8.8-4 7. 5 4.48 7 4.55-3 9.47-5 H O T (K τ 5 (Y 5 5. 44 9.59 5 34 5.5-3 逸 散 量 が 無 視 できる 大 きさの 場 合 はグレー 表 示 にした 8
地 球 型 惑 星 は 同 じような 生 成 理 由 に 基 づいて 誕 生 したことを 考 慮 に 入 れると どの 惑 星 にも 生 成 当 初 には 金 星 のように 炭 酸 ガスが 主 体 の 濃 厚 な 大 気 が 存 在 していたものと 考 えられる 表 から 言 えることは Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 起 因 によって 月 水 星 火 星 には 僅 かな 大 気 しか 残 っていないこと 地 球 にも 気 圧 しか 残 っていないことの 説 明 がつかない したがって 大 気 の 逸 散 については 別 のメカニズムを 考 えなければならない それには 宇 宙 空 間 への 逸 散 を 論 じる 前 に 誕 生 してからの 地 球 の 内 部 的 要 因 に 基 づく 大 気 の 変 遷 についての 理 解 が 必 要 である 5. 内 部 的 要 因 に 基 づく 地 球 大 気 の 変 化 地 球 が 誕 生 したころの 大 気 中 には 炭 酸 ガスが 大 量 に 存 在 していたと 考 えられ る 地 球 は 金 星 よりも 質 量 が.6% 多 いので 大 気 圧 も 金 星 の 9 気 圧 以 上 あった のではなかろうか しかし 金 星 とは 熱 的 条 件 が 違 う 現 在 の 金 星 の 惑 星 アルベド ( 太 陽 光 の 反 射 率 は.7 地 球 のそれは.3 といわれている これは 金 星 に 温 暖 化 ガスである 炭 酸 ガスが 大 量 に 存 在 するためと 考 えられている その 結 果 金 星 が 受 けている 太 陽 からの 放 射 エネルギーは 太 陽 に 近 いにも 拘 らず 地 球 よりも 少 ない しかし 温 室 効 果 により 灼 熱 環 境 を 保 っている ここで 太 陽 からの 放 射 エネルギーは 恒 星 のライフサイクルからいって 増 加 しつつあり 46 億 年 前 には 現 在 の 7% 程 度 であったことに 留 意 して 頂 きたい 一 方 地 球 では 冷 却 により 38 億 年 前 に 海 ができた 海 は 炭 酸 ガスを 吸 収 する 他 方 火 山 活 動 は 炭 酸 ガスと 水 蒸 気 を 供 給 する とにかく 海 ができたことで 大 気 圧 は 大 幅 に 落 ちたに 違 いない 地 球 の 場 合 炭 酸 ガスバランスは 増 減 のサイクルを 繰 り 返 しながら 平 均 的 に は 減 少 してきたと 考 えられている 炭 酸 ガスが 少 なくなれば 地 球 は 寒 冷 化 に 向 か う 実 際 過 去 に3 回 (. 7 6.5 億 年 前 も 全 球 凍 結 が 起 きている 痕 跡 があ るという 凍 結 しても 火 山 活 動 によって 炭 酸 ガスが 増 えてくれば 温 暖 化 が 進 み 凍 結 は 解 消 する また 炭 酸 ガスの 消 費 ( 地 表 の 化 学 風 化 反 応 には 温 度 依 存 性 が あり 都 合 がよいことに 自 己 制 御 性 を 有 している 酸 素 は 好 気 性 バクテリア(シアノバクテリアを 起 源 として 4.5 億 年 前 に 現 在 の 万 分 の を 越 え 約 6 億 年 前 に 現 在 のレベルに 達 した と 考 えられている このような 事 情 を 考 慮 すれば 地 球 からの 大 気 の 逸 散 を 考 える 場 合 大 気 が 現 在 の 組 成 に 近 くなったとき 以 降 について 論 ずべきことのように 思 われる 6. 地 磁 気 の 存 在 下 における 荷 電 粒 子 の 逸 散 9
図 3 に 示 されているように ( 高 度 =+Xkm まで 到 達 した 大 気 粒 子 は 全 て 逸 散 するものとすると このメカニズムによる 逸 散 量 は (4 式 において 第 二 宇 註 宙 速 度 の 代 りに 高 度 H X = + X まで 到 達 可 能 な 初 速 ( g H X を 代 入 して 次 式 で 与 えられる ( 註 :ここでは km 表 示 したが 然 るべき 単 位 を 用 いる g q = 3π ρ σ σ ( 5 (5 より H X (5 dq τ x + Q = (5 dt π σ gh x ただし τ x = (5 3. g σ 充 分 に 小 さな 時 間 刻 み( t を 用 いれば Q = q t (5 4 として 大 気 の 総 量 の 変 化 を 推 算 することができる ( 5 ( 式 において 差 分 をとれば 次 式 が 得 られる Q ( * ρ = (5 5 V σ P (5 6. = σ ρ 図 3 の 電 離 高 度 における 大 気 圧 を P とすれば( 式 の 大 気 圧 に 関 する 式 から P に 対 する が 得 られる * ( log e H X σ = P * ( log e P + σ (5.7. これらの 差 分 を 使 って q Q ρ P H X を 次 々に 更 新 することによって 夫 々の 時 間 的 変 化 を 求 めることができる すなわち H X ( n = H X ( n + (5 式 に 代 入 して ( n + + (5 8 を q を 求 め (5 4 (5 5 (5 6によって Q ρ P を 計 算 し 次 式 によって 夫 々の 時 間 変 化 を 計 算 するのである Q ( n = Q( n + Q + (5 8
( + = ρ( n + ( n = P ( n + ρ n ρ (5 9 P + P (5. 6. 太 古 の 地 球 と 未 来 の 地 球 の 大 気 圧 = の3つの 場 合 について 地 表 の 大 気 圧 ( P ここで H X ( 6 7 8km の 経 年 変 化 を 計 算 すると 次 のようなグラフが 得 られる ただし 前 節 で 述 べた ような 理 由 により 過 去 に 関 しては 6 億 年 まで 遡 るに 止 めるべきである その 際 地 球 全 面 凍 結 の 時 代 があり 地 表 の 温 度 は 現 在 のものとは 違 っているが それも 無 視 することにする どのケーススタディが 真 実 に 近 いか 決 めるには 現 在 の 大 気 圧 の 他 に 過 去 の 大 気 圧 が せ め て 点 は 欲 し い し か し 残 念 な が ら 定 か で は な い 仮 に H X ( = 7km がこの 場 合 に 近 いとすれば 3 万 年 後 の 大 気 圧 は.6 気 圧 と なる また 億 年 前 の 大 気 圧 は 気 圧 以 上 もある 新 聞 報 道 (4 年 9 月 5 日 付 け 日 経 新 聞 にあった 発 育 途 上 で 現 在 のアフリカ 象 の 頭 分 もある 巨 大 恐 竜 が 発 生 した 理 由 も その 辺 にあるのかも 知 れない 図 5 過 去 の 大 気 圧 図 6 未 来 の 大 気 圧
7.まとめ 大 気 圧 分 布 ( 理 科 年 表 の 変 極 点 ( km 以 上 の 高 度 に 存 在 する 大 気 は 電 離 によりローレンツ 力 の 支 配 下 にあると 考 えて 計 算 した 大 気 の 総 量 は 地 表 の 大 気 圧 表 面 積 から 得 られる 値 とよい 一 致 を 示 している Maxwell Boltzmann の 速 度 分 布 則 に 基 づく 逸 散 量 は 地 球 の 場 合 はもとよ り 水 星 や 月 のような 地 球 よりかなり 小 さな 星 でも 無 視 することができるほど 小 さい(ただし 水 素 のような 質 量 の 小 さい 大 気 粒 子 は 地 球 であっても 逸 散 し 得 る しかし 水 星 火 星 や 月 ( 惑 星 ではないが には 事 実 上 大 気 は 存 在 してい ないので 別 の 逸 散 メカニズムを 考 えなければならない このレポートのキイポ イントである! 3 地 球 型 惑 星 のうち 地 磁 気 のない 金 星 には 9 気 圧 の 大 気 がある 残 りの 惑 星 ( 水 星 地 球 火 星 は 希 薄 になっている そこで 荷 電 粒 子 は 地 磁 気 との 相 互 作 用 により 螺 旋 を 描 きながら 磁 極 を 目 指 して 移 動 し 究 極 的 には 地 球 外 に 逸 散 す るというモデルを 考 えた 具 体 的 には 逸 散 高 度 なる 概 念 を 導 入 し その 高 度 まで 到 達 し 得 る 大 気 は 全 て 逸 散 するとした このモデルによれば 大 気 が 失 われるこ とにより 電 離 高 度 が 下 がり(したがって 逸 散 高 度 も 下 がる 逸 散 は 加 速 される 参 考 のため 逸 散 高 度 =6 7 8 km の 場 合 について 過 去 と 未 来 の 大 気 圧 を 計 算 してみた 過 去 については 現 在 の 大 気 組 成 に 近 くなったと 考 えられる 6 億 年 前 まで 遡 った 以 上