. 確 率 の 応 用.. 独 立 試 行 事 象 A と B が 独 立 のとき P(A) = P(A B) と P(B) = P(B A) が 同 時 に 成 立 し このことは A と B の 間 に 関 連 性 (associatio)がないことを 意 味 する 事 象 の 独 立 性 は 一 般 に 次 のように 拡 張 される 定 義. 事 象 列 {B }に 対 して その 任 意 の 有 限 部 分 列 {B i(k) } k=,,, が P B i ( k) P Bi k i ( k) を 満 たすとき 事 象 列 {B }は 互 いに 独 立 という 定 義. 回 の 試 行 列 T (i=,,...,)に 対 して 試 行 T で 起 こる 任 意 の 事 象 を とする いま P B k PB k i i が 成 立 するとき この 試 行 列 を 独 立 試 行 (idepedet tial)という k 独 立 試 行 で 重 要 なものは 同 一 試 行 の 独 立 反 復 である 特 に 観 測 結 果 が{B, B }={success, failue}であるとき その 試 行 はベルヌイ 試 行 (Beoulli tial)という 例 えば ある 実 験 における 結 果 が{ 成 功 失 敗 }である 場 合 はベルヌイ 試 行 である [ 例.] サイコロを 回 反 復 する 場 合 この 試 行 は 独 立 試 行 である また この 試 行 で 特 定 の 目 が 出 現 するか 否 かに 注 目 すればこの 試 行 はベルヌイ 試 行 である ベルヌイ 試 行 で 観 測 結 果 {B, B }の 出 現 確 率 を p = P(B が 出 現 する), q = P( B が 出 現 する) とする ただし q = -p である この 試 行 を 回 独 立 に 反 復 し B が k 回 出 現 する 確 率 は P(B が k 回 出 現 ) = C k p k q -k (k = 0,,,...,) (.) である この 分 布 (distibutio)を 二 項 分 布 (biomial distibutio)といい 記 号 B N (,p)で 示 す また (.)の 確 率 をここでは b(k;,p)で 表 現 する (.)は(p+q) を 展 開 した 場 合 の 項 であり 二 項 分 布 の 呼 び 名 はそのことに 由 来 する [ 例.] ある 疾 病 の 患 者 人 に 効 果 が 確 率 p で 出 る 薬 剤 を 投 与 した 場 合 k 人 に 効 果 が 出 る 確 率 は(.)で 計 算 できる 問.. 成 功 確 率 p のベルヌイ 試 行 を 成 功 ( 故 障 )が K 回 起 こるときに 停 止 する i B i
試 行 回 数 が ( K)である 確 率 を 求 めよ.. 乱 数 臨 床 試 験 では ある 種 の 患 者 に 複 数 の 処 置 をして その 処 置 効 果 を 比 較 する 患 者 がどの 処 置 を 受 けているかを 知 れば その 効 果 に 影 響 がでる 例 えば 処 置 にプラセボ( 偽 薬 )を 与 えても 患 者 が 効 果 を 期 待 する 薬 剤 と 思 っていれば 良 好 な 結 果 が 出 る 場 合 がある この 効 果 がプラセボ 効 果 である 逆 に 新 薬 と 現 行 薬 の 比 較 の 実 験 で 患 者 が 現 行 薬 に 割 り 付 けられたことを 知 れば 効 果 が 負 の 方 向 へ 働 くかも 知 れない この 場 合 に 比 較 する 処 置 を 患 者 に 無 作 為 に 割 り 付 けなけ ればならない さらに 処 置 効 果 の 評 価 者 が 処 置 の 種 類 を 知 れば その 判 定 に 影 響 が 出 る この 様 な 偏 りを 避 けるために 比 較 する 処 置 を 患 者 に 無 作 為 に 割 付 け その 処 置 を 患 者 と 評 価 者 に 知 らせずに 実 験 を 行 う これが 実 験 計 画 での 無 作 為 化 の 原 則 であり この 方 法 を 二 重 盲 検 法 という 下 の 表 は 表 計 算 ソフト(エクセル)を 用 いて 乱 数 (adom umbe)を 区 間 [0,] で 発 生 させたものである この 場 合 の 乱 数 は 一 様 乱 数 であり 理 論 上 は 区 間 [0,] 上 の 全 ての 実 数 値 を 等 しいチャンスで 選 出 する 方 法 で 作 る 乱 数 である ここでは 大 きさによって 第 列 と 3 列 に 整 数 を 割 り 付 けた 第 列 では 0.5 以 上 を 0.5 未 満 を 0 とした また 第 3 列 は /3 以 上 を, /3 未 満 で /3 以 上 を それ 以 外 に 0 を 与 えている 従 って この 乱 数 を 用 いて 患 者 に 処 置 を 割 り 付 ければよい ことになる エクセルでは 次 のように 表 計 算 を 行 えばよい セル A B, C に それぞれ 乱 数 分 類 分 類 と 文 字 入 力 をして A B, C にそれぞれ 次 の 関 数 を 作 成 する A: =RAND() B: =IF(A>=/,,0) C3: =IF(A>=/3,,IF(A>=/3,,0)) ここに 関 数 RAND()は 入 力 の 度 に 偶 然 変 化 するように 作 られている 関 数 IF は 条 件 に 対 する 判 断 をして 値 を 出 力 する 基 本 的 には IF( 論 理 式, 真 の 場 合 の 値, 偽 の 場 合 の 値 )を 指 定 する 真 または 偽 の 場 合 の 値 には C3 のように 関 数 を 入 れても 良 い このように 作 った 関 数 を 行 目 までコピーして 表.3 を 得 た また 次 のようにして 0 から 9 までの 整 数 乱 数 を 作 ることができる 上 表 の 乱 数 の 小 数 点 以 下 の 5 桁 を 発 生 させた 順 番 に 並 べれば 3856 957 746 8643 3539 8778 9044 45949 84953 47404
436 86 5550 3574 05 6308 49530 8978 64653 67665 乱 数 が 得 られる この 乱 数 を 左 から 右 へ 辿 り 0 と だけを 拾 えば 0 0 0 0 0 0 を 得 る このような 並 びは 理 論 上 独 立 な 系 列 である 第 節 で 述 べた 大 数 の 法 則 を 乱 数 で 実 験 したものを 表. に 与 える 表.. 乱 数 の 発 生 と 無 作 為 分 類 順 序 乱 数 分 類 分 類 順 序 乱 数 分 類 分 類 0.38567 0 0.4369 0 0.9573 0 0 0.864 0 0 3 0.7464 0 0 3 0.55503 4 0.86433 0 0 4 0.35749 0 5 0.35398 0 5 0.055 0 0 6 0.87787 6 0.63089 7 0.90443 7 0.495306 0 8 0.459496 0 8 0.8978 9 0.84953 9 0.646535 0 0.474049 0 0 0.676656 表.. 確 率 / のベルヌイ 試 行 実 験 試 行 回 数 成 功 回 数 の 相 対 度 数 00 0.4000 500 0.500 000 0.5030 5000 0.4994 この 実 験 から 分 かるように 確 率 を 推 定 する 場 合 の 推 定 精 度 は 試 行 回 数 を 増 やす ことで 向 上 する ただし 同 一 の 条 件 化 での 独 立 な 実 験 反 復 が 重 要 であることを 銘 記 すべきである 即 ち 慣 れによる 単 なる 反 復 は 実 験 の 質 を 低 下 させる 問.. エクセルを 用 いて 確 率 /3 のベルヌイ 試 行 実 験 を 表.4 のように 試 行 回 数 00 500 000 5000 で 行 い 結 果 を 表 にせよ 問.3. 個 人 A, B, C, D, E, F, G, H の 8 名 を 4 名 ずつ 処 置 群 と 対 照 群 に 無 作 為 に 3
相 対 度 数 割 り 付 ける 方 法 を 説 明 せよ また 実 際 に 割 り 付 けよ ڤ 節 で 述 べた 推 定 精 度 について 数 値 実 験 を 用 いて 示 す 簡 単 のために 確 率 / のベルヌイ 試 行 を 試 行 回 数 0, 00, 000 の 実 験 を 0 回 反 復 し 相 対 度 数 を 得 た 試 行 回 数 を 増 やす 毎 に 相 対 度 数 が 0.5 に 近 くなる 可 能 性 が 高 くなり 推 定 精 度 が 良 くなることが 分 かる 0.75 試 行 0 回 0.5 試 行 00 回 0.5 試 行 000 回 0 3 5 7 9 実 験 回 数 図. 大 数 の 法 則 の 乱 数 実 験 最 後 に 乱 数 を 用 いて 積 分 値 を 求 める 方 法 を 考 える 議 論 を 簡 単 にするために 半 径 の 円 の 面 積 の 近 似 値 を 求 める この 面 積 は 明 確 に π = 3.45 (.) であるが 乱 数 を 用 いると 次 のように 求 めることができる () 一 様 乱 数 x i, y i (i=,,,n)を 発 生 させる ここに x, y は 独 立 である () 条 件 x + y < を 満 たす(x i,y i )の 個 数 を 求 める (3) 相 対 度 数 /N を 面 積 の 推 定 値 とする いま 表.3 は N=0,000 として 0 回 反 復 させた 結 果 である 表.3. 円 の 面 積 の 推 定 値 3.66 3.65 3.44 3.744 3.464 3.04 3. 3.66 3.34 3.48 平 均 3.433 4
(.)の 値 に 対 して それぞれの 実 験 結 果 は 小 数 第 位 がわずかに 変 動 することが わかる その 平 均 は N=00,000 とした 場 合 の 実 験 結 果 とみなすことができ その 精 度 は 小 数 第 3 位 が 変 動 する 程 度 であることが 理 解 される 積 分 は 決 定 論 的 な 議 論 であるが 積 分 値 が 確 率 を 用 いて 求 められることは 興 味 深 いところである 一 方 x 軸 の 増 分 を /00 として 区 分 求 積 法 を 用 いると 3.4937 のように 高 い 精 度 で 得 る 乱 数 を 用 いる 方 法 は 高 次 積 分 の 場 合 に 有 効 であり 積 分 の 近 似 精 度 と 計 算 量 は 面 積 を 求 める 場 合 と ほぼ 同 じである 区 分 求 積 法 の 場 合 は 積 分 領 域 の 分 割 数 が 次 元 数 の 指 数 乗 で 増 加 をするので 計 算 量 も 同 分 だけ 増 加 して 複 雑 である 例 えば 半 径 の 球 の 体 積 を 求 める 場 合 を 考 えれば 積 分 範 囲 が 半 径 の 円 の 内 部 になり 被 積 分 関 数 は 次 元 である 問.4. 乱 数 を 用 いて 積 分 0 x dx を 計 算 し 正 確 な 値 と 比 較 せよ 問.5. 乱 数 を 用 いて 半 径 の 球 の 体 積 を 求 めよ ただし N=0,000 とする.3. ハーディー=ワインバーグの 法 則 ある 個 の 対 立 遺 伝 子 A( 優 性 )と a( 务 性 )に 注 目 し 遺 伝 モデルを 考 える ある 非 常 に 大 きい 集 団 内 に 表.4 の 頻 度 で 遺 伝 子 型 の 個 体 が 存 在 することを 仮 定 し これを 第 世 代 とする ただし 男 女 の 出 現 頻 度 は 等 しい この 集 団 では 個 体 間 に 差 がなく 結 婚 が 任 意 に 起 こるとき 第 世 代 としての 子 が 人 生 まれ る 場 合 を 考 える 遺 伝 子 型 Aa の 親 の 遺 伝 子 A をもつ 配 偶 子 と a をもつ 配 偶 子 が それぞれ 確 率 / で 相 手 の 親 の 配 偶 子 と 対 合 し 子 が 生 まれるとする 表.4. 第 世 代 における 遺 伝 子 型 とその 出 現 頻 度 遺 伝 子 型 AA Aa aa 頻 度 p pq q ただし,p>0, q>0, p+q= とする 問.6. 第 0 世 代 の 遺 伝 子 A と a をもつ 配 偶 値 頻 度 が p, q であるとき 表.4 が 導 かれることを 確 認 せよ 第 世 代 の 任 意 の 組 の 男 女 が 結 婚 するとき その 子 の 遺 伝 子 型 が AA, Aa, aa である 確 率 を 求 める 両 親 の 組 み 合 わせの 確 率 とその 子 の 遺 伝 子 型 の 条 件 付 き 確 率 を 表 のようにまとめる この 表 から 子 供 の 遺 伝 子 型 が AA, Aa, aa である 確 率 を 5
求 める P( 子 供 が AA)=p 4 +p 3 q (/)+p 3 q (/)+4p q (/4) =p 同 様 にして 遺 伝 子 型 が Aa 及 び aa である 子 供 の 確 率 はそれぞれ pq と q である すなわち 第 世 代 での 分 布 と 第 世 代 の 遺 伝 子 型 分 布 は 同 じであることが 分 か る これをハーディ ワインバーグの 法 則 という 表.5. 親 の 組 み 合 わせと その 子 の 遺 伝 型 父 母 確 率 子 AA Aa aa AA AA p 4 0 0 AA Aa p 3 q / / 0 AA aa p q 0 0 Aa AA p 3 q / / 0 Aa Aa 4p q /4 / /4 Aa aa pq 3 0 / / aa AA p q 0 0 aa Aa pq 3 0 / / aa aa q 4 0 0 表.6. 親 の 組 み 合 わせと 確 率 父 母 確 率 子 aa AA aa p q 0 aa AA p q 0 Aa aa pq 3 pq 3 aa Aa pq 3 pq 3 計 pq (p+q) pq 3 [ 例.3] 優 性 形 質 の 親 と 务 性 形 質 の 親 から 子 が 生 まれる 場 合,その 子 が 务 性 形 質 で ある 確 率 を 求 める 該 当 する 両 親 と 子 供 について 表.7 を 基 に 表.8 を 作 成 し た この 表 から P( 子 が 务 性 かつ 両 親 が 優 性 と 务 性 )=pq P( 両 親 が 優 性 と 务 性 )= pq (p+q) 6
を 得 る 求 める 確 率 は P( 子 が 务 性 両 親 が 優 性 と 务 性 )=pq 3 /pq (p+q)=q/(p+q) である 問.7. 常 染 色 体 上 の 遺 伝 で 両 親 が 優 性 かつ 生 まれる 子 が 優 性 である 確 率 をもと めよ 問.8. 常 染 色 体 上 の 遺 伝 で 両 親 が 優 性 形 質 をもつとき 生 まれる 子 が 優 性 である 確 率 をもとめよ 問.9. 第 0 世 代 で 男 性 の 配 偶 子 で 遺 伝 子 A と a の 頻 度 がそれぞれ p M0, q M0 女 性 では p F0, q F0 とする このとき 第 世 代 の 男 性 と 女 性 での 遺 伝 子 A と a の 頻 度 p M, q M, p F0, q F0 を 求 めよ 同 様 な 議 論 を ABO 式 血 液 型 遺 伝 に 関 して 行 う この 血 液 型 は 900 年 にオース トラリアのランドシュタイナー(Ladsteie)により 発 見 された 血 液 型 A, B, O の 配 偶 子 をそれぞれ A, B, O とする ある 大 きな 母 集 団 での それら 配 偶 子 の 現 在 の 出 現 頻 度 を p, q, とするとき 遺 伝 子 型 OO, AA, AO, BB, BO, AB をもつヒト の 比 率 は, p, p, q, q, pq なる この 母 集 団 内 で 結 婚 が 任 意 に 行 われる( 任 意 婚 )とき 新 生 児 に 対 する 血 液 因 子 型 の 確 率 は 上 の 比 率 に 等 しくなる この 理 論 は 血 液 型 の 比 率 が 人 種 によって 一 定 である 事 実 の 説 明 である 日 本 人 の 場 合 は およそ O 型 が 3% A 型 が 38% B 型 が % AB 型 が 9%である [ 例.4] A 型 の 男 性 と B 型 の 女 性 が 結 婚 し 生 まれる 子 が A 型 である 確 率 は 次 の ように 計 算 される P(AA 型 の 男 性 と BO 型 の 女 性, その 子 が A 型 ) = p q (/) = p q, P(AO 型 の 男 性 と BO 型 の 女 性, その 子 が A 型 ) = p q (/4) = pq, このことから P(A 型 の 男 性 と B 型 の 女 性, その 子 が A 型 ) = p q+ pq = pq(p+) を 得 る A 型 の 父 親 と B 型 の 母 親 の 子 が A 型 のとき 父 親 の 血 液 因 子 型 が AA で ある 条 件 付 確 率 は P( 父 親 の 血 液 因 子 型 が AA 子 が A 型 ) = P(AA 型 の 男 性 と BO 型 の 女 性,その 子 が A 型 ) /P(A 型 の 男 性 と B 型 の 女 性,その 子 が A 型 ) = p q/{pq(p+)} = p/(p+) である 7
出 現 頻 度 を p, q, は 血 液 データから 推 定 する 必 要 があり その 推 定 は 後 の 章 で 取 り 扱 う ここでは 簡 便 な 方 法 でこれらのパラメータを 日 本 人 に 対 して 推 定 する 日 本 人 の 各 血 液 型 のおよその 頻 度 と 遺 伝 子 型 OO, AA, AO, BB, BO, AB をもつヒ トの 比 率 が, p, p, q, q, pq であることから 次 の 方 程 式 を 立 てる =0.3 (.3) p + p=0.38 (.4) q + q= 0. (.5) pq = 0.09 (.6) ただし p + q + = であるので 最 初 の 式 を 用 いてパラメータ 値 を 決 定 し 後 の 式 は 理 論 がデータに 適 合 しているかどうかの 判 断 に 用 いる 正 式 には 理 論 と データおよび 現 象 の 適 合 度 を 統 計 的 に 判 定 する 必 要 があり この 方 法 は 後 の 章 で 述 べる (.3)から 0.3 0.557 を 得 る これを(.4)に 代 入 し p について 解 くと p 0.38 0.3 0.3 0.38 0.74 が 得 られ q p 0.69 が 計 算 される これらの 値 を(.5)と(.6)の 左 辺 に 代 入 してみると q q 0.69 (0.69)(0.557) 0.7 pq (0.74)(0.69 ) 0.093 となり 理 論 とデータの 適 合 性 が 確 認 される 問.0. アメリカ 人 の 血 液 型 比 率 はおよそ O 型 が 46% A 型 が 40% B 型 が % AB 型 が 4%である 出 現 頻 度 p, q, を 簡 便 的 に 推 定 し 上 で 述 べた 日 本 人 の 場 合 と 比 較 考 察 せよ.4. 性 染 色 体 上 の 遺 伝 性 染 色 体 は 個 体 の 性 別 を 決 定 し X と Y 染 色 体 の 組 合 せになる ここでは X 連 鎖 遺 伝 病 の 遺 伝 システムについて 考 える 遺 伝 型 XY が 男 性 で XX が 女 性 であ り X 染 色 体 上 に 病 気 の 遺 伝 子 が 存 在 すると 仮 定 する 病 気 の 遺 伝 子 をもつ X 染 色 体 を X S とすると 男 性 はこの 遺 伝 子 を 持 ては 必 ず 発 病 する この 遺 伝 病 には X 連 鎖 優 性 遺 伝 病 と 务 性 遺 伝 病 の 種 類 が 考 えられ 優 性 の 場 合 は X 染 色 体 上 に 病 8
気 の 遺 伝 子 があれば 病 気 を 発 現 し 务 性 の 場 合 には 女 性 は X 遺 伝 子 がつとも 病 気 の 遺 伝 子 を 持 つ 場 合 に 病 気 を 発 現 する( 図.) X 連 鎖 優 性 遺 伝 病 の 場 合 は 男 性 が 患 者 で 女 性 が 健 常 者 であれば 生 まれる 子 で 女 児 は 確 率 で 病 気 であるが 男 児 には 病 気 の 遺 伝 子 が 継 承 されず 健 常 者 である( 図.3) 女 性 がヘテロ 型 の 遺 伝 病 患 者 すなわち 遺 伝 型 が X S X で 男 性 が 健 常 者 である 場 合 は 確 率 / で 男 児 と 女 児 は 遺 伝 病 となる( 図.4) XY( 正 常 ) X S X ( 正 常 ) XY( 正 常 ) X S Y( 病 気 ) XX( 正 常 ) X S X ( 正 常 ) 男 女 図.. 正 常 な 親 から 生 まれる 子 の 形 質 (X 連 鎖 务 性 遺 伝 病 ) X S Y( 病 気 ) XX ( 正 常 ) XY( 正 常 ) X S X( 病 気 ) 図.3. 病 気 の 父 親 と 正 常 な 母 親 から 生 まれる 子 の 形 質 (X 連 鎖 優 性 遺 伝 病 ) XY( 正 常 ) X S X ( 病 気 ) XY( 正 常 ) X S Y( 病 気 ) XX( 正 常 ) X S X ( 病 気 ) 男 女 図.4. 正 常 な 父 親 と 病 気 の 母 親 から 生 まれる 子 の 形 質 (X 連 鎖 優 性 遺 伝 病 ) いま 第 一 世 代 の 男 女 で X S と X の 比 率 が 異 なっていて それぞれ p 対 q およ 9
び 対 s とする ここに p+q=, +s= である 第 世 代 の 男 と 女 における X S と X の 比 率 を それぞれ p 対 q および 対 s とするとき 第 + 世 代 男 女 の 遺 伝 子 型 に 関 する 比 率 は 表.7 で 示 される この 表 は 全 ての 遺 伝 子 型 の 出 現 頻 度 を 示 していて 上 側 の 行 が 女 性 下 の 行 は 男 性 で それぞれの 頻 度 は / で ある 表.5. 第 + 世 代 の 遺 伝 子 型 頻 度 男 女 X S X s X S p / X S X S p / X S X p s / X q / X S X q / XX q s / 女 性 Y / X S Y / XY s / 男 性 この 表 から 次 の 漸 化 式 が 得 られる p q s s ( p ( q ) s ) (.7) (.8) ここに p q, s である (.7)の 第 式 と(.8)の 第 式 から (.9) を 得 る これを 解 いて が 導 出 される ここに p, である 極 限 は lim 3 3 (.0) で 必 ず 一 定 値 に 収 束 する 従 って ある 母 集 団 がこの 遺 伝 に 関 してハーディ ワインバーグ 平 衡 状 態 にあれば (.7)と(.8)から X S と X の 比 率 は 男 女 で 同 じで になる p q p 3 問.. (.9)を 解 け 0
問.. 上 の X 連 鎖 優 性 遺 伝 病 の 遺 伝 システムで 第 世 代 の 病 気 の 発 生 比 率 を 男 女 それぞれ 求 めよ また としてときの 発 生 比 率 の 極 限 を 求 めよ 問.3. X 連 鎖 务 性 遺 伝 病 の 遺 伝 システムで 問. と 同 様 の 考 察 をせよ.5. 近 親 婚 の 遺 伝 前 節 では 集 団 遺 伝 を 考 えたが ここでは 近 親 婚 の 遺 伝 について 議 論 する 近 親 婚 とは 共 通 の 先 祖 をもつ 男 女 の 婚 姻 と 定 義 できる 図.5 は 近 親 婚 の 例 を 家 系 図 に 示 している 記 号 は 男 性 は 女 性 は 性 別 の 区 別 なしとする ここで 常 染 色 体 の 一 つの 遺 伝 子 座 が 共 通 の 遺 伝 子 ( 同 祖 遺 伝 子 )になる 子 が 生 まれる 確 率 を 計 算 する この 確 率 を 近 交 係 数 という 男 性 A から 子 C がある 特 定 遺 伝 子 を 対 で 継 承 する 確 率 は 左 右 の 世 代 数 の 合 計 が 7 であるので 7 である 遺 伝 子 は 7 対 であるので 男 性 A からの 同 一 遺 伝 子 が 対 合 する 確 率 は 6 となる 同 様 に 女 性 B から 継 承 する 確 率 も 同 じである したがって これらを 合 計 して 6 6 5 を 得 る 以 上 のことから 近 交 係 数 の 計 算 は 父 と 母 親 から 共 通 先 祖 までの 世 代 数 合 計 を とすれば になる この 例 では 父 D から 共 通 先 祖 までが 3 世 代 母 E からが 世 代 あるので 世 代 数 の 合 計 は 5 世 代 である したがって 上 の 結 果 が 得 られる A B E D C 図.5. いとこ 婚 一 般 には 図.6 のような より 複 雑 な 血 縁 の 家 系 図 も 考 えられる この 場 合 は 先 祖 夫 婦 F と G から 同 一 遺 伝 子 を 継 承 する 確 率 も 考 える 必 要 があり この 図 で は 5 となり それぞれの 先 祖 夫 婦 から 同 一 遺 伝 子 を 受 け 継 ぐ 事 象 は 排 反 事 象 で 5 5 あるから 近 交 係 数 は 和 をとって 4 である
A B F G E D C 図.6. 血 縁 同 士 の 婚 姻 両 親 に 共 通 先 祖 となる 夫 婦 が 家 系 図 内 に k 組 あり 第 i 番 目 の 共 通 先 祖 まで の 両 親 からの 世 代 数 合 計 を i とすると 常 染 色 体 上 の 遺 伝 に 関 する 近 交 係 数 は 近 交 係 数 k i i である 問.4. 図.7 の 婚 姻 関 係 で 子 C の 常 染 色 体 上 の 遺 伝 に 関 する 近 交 係 数 を 計 算 せ よ A B F G E D C 図.7. 血 縁 同 士 の 婚 姻 最 後 に 性 染 色 体 X 上 の 遺 伝 に 関 する 近 交 係 数 を 考 える 男 性 は XY 女 性 は XX の 対 合 になるので 女 性 についてだけ 近 交 係 数 が 考 えられる 図.5 を 基 に 性 別 を 入 れた 家 系 図 を 図.8 とする 男 A から 女 D への 経 路 には A の 子 ( 男 )が 入 る ので X 染 色 体 上 の 遺 伝 子 を 継 承 する 確 率 は 0 である したがって 男 A から 継 承 される 遺 伝 子 が C で 対 合 する 確 率 は 0 となる 女 B からの 遺 伝 子 の 継 承 は 常 染 色 体 上 での 遺 伝 と 同 様 に 考 えることができ 父 親 の X 遺 伝 子 はその 子 の 女 性 には 必 ず 伝 承 される したがって B の X 遺 伝 子 が C に 同 時 に 受 け 継 がれる 確 率 は 5 4 6 である
A B F G E 父 母 D C 図.8. いとこ 婚 問.5. 図.9 の 家 系 図 で 近 交 係 数 を 求 めよ A B F G E 父 母 D C 図.9. いとこ 婚 3