症 例 1 70 歳 代, 男 性 食 道 症 例 提 供 : 佐 久 医 療 センター 高 橋 亜 紀 子 読 影 は 三 枝 ( 県 立 須 坂 病 院 )が 担 当 した 胸 部 下 部 食 道 後 壁 に 10 mm 大 の IIa+IIc 病 変 を 認 め, 陥 凹 部 の 空 気 変 形 が 乏 しく, 周 囲 の 隆 起 も 認 めることから SM 深 部 浸 潤 を 伴 う 食 道 扁 平 上 皮 癌 と 診 断 した NBI では 陥 凹 面 は 3mm 以 上 ある B2 血 管 に 囲 まれた AVA-large と 読 影 し,やはり SM 深 部 浸 潤 を 伴 う 癌 と 診 断 した 竹 内 ( 新 潟 大 学 )は 辺 縁 に 見 られる 血 管 は B2 血 管 ではなく, 上 皮 下 にある 血 管 が 伸 展 された ものであると 読 影 したが,AVA は 必 ずしも 全 周 で B2 血 管 に 覆 われている 必 要 はなく,やはり AVA-large でよいとコメントした また 陥 凹 内 部 はうっすら 白 濁 しており, 非 腫 瘍 粘 膜 に 覆 われていると 読 影 した 山 田 ( 飯 山 赤 十 字 )は 特 殊 な 形 態 から 類 基 底 扁 平 上 皮 癌 や 腺 癌, 転 移 性 腫 瘍 などの 特 殊 な 腫 瘍 を 疑 うとコ メントした 有 馬 ( 埼 玉 県 立 がんセンター)は 陥 凹 内 部 が 全 くの 無 構 造 であり, 癌 で 見 られるような 血 管 も 観 察 されないため, 無 構 造 領 域 は AVA の 範 疇 ではないと 読 影 し, 扁 平 上 皮 癌 を 示 唆 する 所 見 もないが, 総 合 的 には 癌 と 考 えたいとコメントした ヨード 染 色 では 陥 凹 内 部 は 淡 染 となり, 三 枝 は 非 腫 瘍 上 皮 に 覆 われてはいる 扁 平 上 皮 癌 と 診 断 した EUS 像 も 三 枝 は SM 深 部 浸 潤 と 読 影 した 治 療 は ESD が 行 わ れた 病 理 では 大 部 分 が MM 浸 潤 を 伴 う 扁 平 上 皮 癌 であり, 陥 凹 部 の 表 層 粘 膜 は 非 腫 瘍 上 皮 ではなく 分 化 した 腫 瘍 上 皮 であった 最 終 病 理 診 断 は SCC, T1a-MM, ly0, v0, HM0, VM0, 0-IIc, 6 6mm in 25 25mm, Mt, Post. 無 構 造 領 域 を AVA と 読 むか, 表 層 上 皮 は 腫 瘍 か 非 腫 瘍 かという 点 が 読 影 のポイン トになった 症 例 であったが, 下 田 ( 国 立 がん 研 究 センター)は 圧 排 性 に downward growth した 癌 であ り, 基 底 層 の 厚 みによって 血 管 が 見 えにくくなったのではないかとコメントし, 表 層 分 化 の 非 常 に 良 い 高 分 化 な 扁 平 上 皮 癌 であると 付 け 加 えた 小 山 ( 佐 久 医 療 センター)はわずかに 透 見 される 血 管 から 判 断 するに 分 化 した 表 層 腫 瘍 上 皮 がなければ,AVA-middle の 集 簇 のように 見 えるはずとコメントした
症 例 2 80 歳 代, 女 性 胃 症 例 提 供 : 岐 阜 県 総 合 医 療 センター 山 崎 健 路 読 影 は 沖 山 ( 丸 子 中 央 病 院 )が 担 当 した 病 変 は 2 病 変 (1 体 中 部 隆 起 病 変,2 体 上 部 陥 凹 病 変 ) 存 在 し た 背 景 粘 膜 は 萎 縮 化 生 を 伴 う 発 赤 粘 膜 であり,1 病 変 は IIa+IIc の 上 皮 性 腫 瘍 であり, 腫 瘍 のボリュー ムがあることから SM 浸 潤 を 伴 う 癌 と 読 影 した 赤 松 ( 県 立 須 坂 病 院 )は 蚕 食 像 が 明 らかでなく,カル チノイドと 読 影 した 菅 ( 信 州 大 学 )は 同 様 に 悪 性 リンパ 腫 も 鑑 別 に 挙 げた NBI では 沖 山 は 陥 凹 面 の 血 管 は 密 度 が 高 く, 下 から 引 き 伸 ばされたものとは 考 えにくいため,やはり 上 皮 性 腫 瘍 を 疑 うと 読 影 し た 八 木 ( 県 立 吉 田 病 院 )は 隆 起 の 側 面 では 正 常 の 胃 底 腺 パターンが 変 化 し 引 き 伸 ばされた 像 が 観 察 され ることから, 病 変 の 主 体 は 粘 膜 固 有 層 であり, 同 部 で 増 殖 するような 腫 瘍 を 鑑 別 に 挙 げるべきとコメン トした 2 病 変 に 関 して 沖 山 は 境 界 は 追 いにくいが, 色 調 の 変 化 から 上 皮 性 腫 瘍 癌 と 読 影 し, 深 達 度 は M と 診 断 した 三 枝 ( 県 立 須 坂 病 院 )は 境 界 が 追 えず, 胃 炎 類 似 型 の MALT リンパ 腫 と 読 影 した NBI では 沖 山 は 陥 凹 内 部 の 血 管 は 不 整 さに 欠 けるため, 診 断 を MALT リンパ 腫 に 変 更 した 八 木 は 血 管 の 異 型 はあると 読 影 し, 上 皮 下 に 異 型 血 管 が 入 り 込 んでいるため,tub2~por の 癌 と 診 断 した 病 変 に 対 し 生 検 組 織 診 断 がなされ, 診 断 は 2 病 変 とも 胃 MALT リンパ 腫 であり, 形 質 細 胞 の 分 化 を 伴 っていた いず れの 病 変 も 正 常 上 皮 構 造 の 遺 残 の 有 無 により, 表 面 構 造 の 差 異 が 生 じていた 通 常 光 観 察 に 加 え, 血 管 の 読 影 により 癌 や MALT リンパ 腫 の 鑑 別 が 可 能 となるかがポイントとなったが, 小 山 ( 佐 久 医 療 センター) は, 血 管 の 拡 大 所 見 から MALT リンパ 腫 限 局 性 萎 縮 collagenous gastritis 未 分 化 型 胃 癌 を 鑑 別 する ことは 現 実 的 には 難 しいとコメントした
症 例 3: 60 歳 代 男 性 高 分 化 型 腺 癌 症 例 提 示 : 岸 和 田 徳 洲 会 病 院 永 田 充 治 療 時 の 内 視 鏡 像 が 呈 示 され 読 影 は 菅 智 明 ( 信 州 大 学 医 学 部 内 科 学 第 二 講 座 )が 担 当 した 通 常 内 視 鏡 像 では 体 中 部 大 弯 後 壁 に 発 赤 調 の 顆 粒 状 変 化 を 伴 うⅡb 病 変 を 認 め インジゴカ ルミン 散 布 では 病 変 部 は 周 囲 と 比 較 するとやや 不 揃 いな 顆 粒 状 の 形 態 を 呈 しており 上 皮 性 の 腫 瘍 性 病 変 粘 膜 内 に 留 まる 分 化 型 腺 癌 を 考 えたいとした NBI 拡 大 像 では 表 面 構 造 は 不 明 瞭 化 しており 病 変 内 の 血 管 も 口 径 不 同 や 配 列 の 不 整 が 目 立 つことから 菅 は 分 化 型 腺 癌 と 診 断 し 病 変 肛 門 側 では 癒 合 したような villi 様 構 造 を 認 めることから tub2 が 混 在 している 組 織 像 が 推 測 されるとコメントした また 八 木 ( 新 潟 県 立 吉 田 病 院 )は 背 景 粘 膜 に light blue crest(lbc)があり 境 界 が 不 明 瞭 であることから 粘 膜 の 中 層 を 這 うような sig の 存 在 の 可 能 性 についても 言 及 し 菅 は tub2 の 場 合 側 方 へ の 浸 潤 も 粘 膜 内 にみられることから 不 明 瞭 な 辺 縁 の 上 皮 内 に 癌 が 浸 潤 している 病 態 を 考 えたいとした 小 山 ( 佐 久 医 療 センター)も 病 変 内 に 表 面 構 造 の 不 明 瞭 化 non-network 血 管 の 出 現 が 見 られ 境 界 が 不 明 瞭 なことから 病 変 辺 縁 では 中 分 化 型 腺 癌 が 非 腫 瘍 の 表 層 下 を 側 方 に 這 っている 可 能 性 を 指 摘 した 治 療 は ESD が 行 われ 最 終 診 断 は 9 6mm tub1 pt1a(m) UL(-) ly(-) v(-) phm0 pvm0 であった 病 理 解 説 は 下 田 ( 国 立 がん 研 究 センター)が 担 当 した 病 変 の 境 界 部 では 高 低 差 はないが 腺 管 の 密 度 大 きさ 分 布 に 違 いがあり 腫 瘍 であることは 間 違 いないとし 病 変 の 範 囲 は 演 者 が 対 比 で 提 示 した 範 囲 よりは 広 範 であるのではないかとコメントした しかしながら 標 本 の 条 件 が 厳 しく 核 の 所 見 が 判 断 できないことから これ 以 上 の 診 断 は 難 しいとした 本 例 は 深 切 りを 行 い 次 回 再 検 討 する 方 針 となった 作 成 相 澤 病 院 消 化 器 病 センター 横 澤 秀 一
症 例 4:70 歳 代 男 性 印 環 細 胞 癌 症 例 提 示 : 信 州 大 学 医 学 部 内 科 学 第 二 講 座 野 沢 祐 一 治 療 時 の 内 視 鏡 像 が 呈 示 され 読 影 は 山 崎 健 路 ( 岐 阜 県 総 合 医 療 センター)が 担 当 した 通 常 内 視 鏡 像 では 体 下 部 前 壁 に 境 界 不 鮮 明 であるが 退 色 調 のわずかに 陥 凹 した 10mm ほど の 領 域 を 指 摘 し 陥 凹 内 には 周 囲 と 同 様 な 上 皮 が 残 っており リンパ 増 殖 性 疾 患 を 第 一 に 考 えたいとした 赤 松 ( 長 野 県 立 須 坂 病 院 )より 胃 底 腺 領 域 に 退 色 調 の 病 変 が 境 界 をもって 存 在 するので 腫 瘍 性 の 病 変 であることは 間 違 いなく 第 一 に 印 環 細 胞 癌 を 考 え 蚕 食 像 がはっ きりしないが 肛 門 側 は 比 較 的 境 界 が 追 えるとし 内 部 に 粘 膜 模 様 が 残 っており 上 皮 下 を 広 がる 病 変 を 考 えたいとした NBI 拡 大 像 では 境 界 をはっきりと 認 識 することはできないが 乳 頭 状 の 構 造 が 陥 凹 内 部 で 大 小 不 同 を 呈 しているのが 認 められ 肛 門 側 の 構 造 が 認 識 できない 部 分 には 口 径 不 同 のある 血 管 が network を 形 成 せずに 蛇 行 していることから 山 崎 は 印 環 細 胞 癌 を 含 めた 未 分 化 型 癌 と 診 断 したいとした また 一 部 表 層 には 非 腫 瘍 の 上 皮 が 残 っており 送 気 にて 病 変 が 進 展 されることから 深 達 度 は m と 読 影 した 赤 松 ( 長 野 県 立 須 坂 病 院 )は 上 皮 下 に 特 徴 のある 血 管 が 透 けて 見 えており 血 管 の 不 整 があれば 上 皮 内 の 腺 頸 部 を 中 心 に 這 ってい る 印 環 細 胞 癌 なければ MALT と 考 えたいとした 八 木 ( 新 潟 県 立 吉 田 病 院 )は 周 囲 と 病 変 内 の white zone を 比 較 すると 病 変 部 では 窩 間 部 が 広 いため 表 層 は 非 癌 で 粘 膜 中 層 以 深 に 腫 瘍 がある 印 環 細 胞 癌 を 考 えたいとした MALT リンパ 腫 の 場 合 はリンパ 球 浸 潤 が 表 層 まで 浸 潤 し white zone を 破 壊 することから 印 環 細 胞 癌 を 支 持 したいとした
治 療 は ESD が 行 われ 最 終 診 断 は 印 環 細 胞 癌 9 6mm m UL(-) ly(-) v(-) HM0 VM0 であった 病 理 解 説 は 太 田 ( 信 州 大 学 医 学 部 )が 担 当 し 病 変 はそれぞれ 腺 窩 上 皮 増 殖 能 の 高 い 部 分 幽 門 腺 へ 分 化 した 3 層 構 造 を 示 す 印 鑑 細 胞 癌 であると 診 断 した 癌 細 胞 は 腺 頸 部 を 進 展 しており 上 皮 内 では 小 窩 が 消 失 し 窩 間 部 の 距 離 が 開 いていることから 内 視 鏡 像 との 関 連 が 示 唆 された また 病 変 は 非 腫 瘍 性 の 上 皮 に 被 覆 されていた 赤 松 ( 長 野 県 立 須 坂 病 院 )より 蚕 食 像 がはっきりしない 理 由 と 蚕 食 像 は 何 を 見 ているのか について 質 問 がなされ 小 山 ( 佐 久 医 療 センター)は 背 景 に 萎 縮 があって 隙 間 がある 場 合 に は 癌 細 胞 はバラバラと 入 っていくから 蚕 食 像 は 出 にくいが 腺 管 密 度 が 高 くて 上 層 まで 腺 管 が 詰 まっている 場 合 は 低 分 化 でも 充 実 性 に 浸 潤 するので 蚕 食 像 ができるとし 背 景 粘 膜 による 違 いを 指 摘 した 下 田 ( 国 立 がん 研 究 センター)は 印 環 細 胞 癌 や 低 分 化 型 腺 癌 は 分 化 型 の 腺 癌 と 違 って 不 規 則 に 周 辺 に 構 造 異 型 が 進 展 するので 蚕 食 像 が 出 現 すると 回 答 した 最 後 に 赤 松 は 印 環 細 胞 癌 が 層 構 造 を 示 す 場 合 未 分 化 型 癌 には 分 類 されるが 浸 潤 はそれ ほど 早 くなく びらん 潰 瘍 などにより 層 構 造 が 乱 れてくると 浸 潤 を 示 してくるのではな いかとコメントした また 小 山 より 血 管 異 型 が 弱 い 印 環 細 胞 癌 のときは 層 構 造 が 残 ってい て 血 管 異 型 強 い 病 変 は 層 構 造 が 崩 れたものではないか との 質 問 が 出 たが 赤 松 は 血 管 と 層 構 造 までの 関 係 まではコメントできないとした 作 成 相 澤 病 院 消 化 器 病 センター 横 澤 秀 一