日本経済ウォッチ(2015年3月号)



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Transcription:

215 年 3 月 9 日 調 査 レポート 日 本 経 済 ウォッチ(215 年 3 月 号 ) 目 次 1. 今 月 のグラフ p.1 ~イベントは 消 費 を 押 し 上 げるか? 2. 景 気 概 況 p.2 ~ 景 気 は 緩 やかに 持 ち 直 している 3. 今 月 のトピック: 過 熱 する 採 用 就 職 活 動 p.3~11 (1) 新 卒 者 を 取 り 巻 く 雇 用 環 境 は 改 善 (2) 企 業 学 生 とも 負 担 は 増 す (3)スケジュールの 変 更 で 実 質 的 に 長 期 化 (4)タイミング 格 差 による 不 公 平 三 菱 UFJリサーチ&コンサルティング 株 式 会 社 調 査 部 主 任 研 究 員 小 林 真 一 郎 調 査 部 研 究 員 尾 畠 未 輝 あああああああああ 調 査 部 15-851 東 京 都 港 区 虎 ノ 門 5-11-2 TEL:3-6733-17

1. 今 月 のグラフ ~イベントは 消 費 を 押 し 上 げるか? 小 売 業 界 にとって 様 々なイベントは 消 費 を 喚 起 させるために 欠 かせない 存 在 だ 最 近 ではハ ロウィンや 節 分 なども 賑 わいをみせるようになった 中 でも クリスマスは 年 末 年 始 に 次 いで 最 も 消 費 が 盛 り 上 がる 時 期 だ 例 えば 総 務 省 家 計 調 査 をみると 2 人 以 上 勤 労 者 世 帯 ( 除 く 農 林 漁 家 )におけるケーキへの 支 出 金 額 は 12 月 は 他 の 月 と 比 べて 圧 倒 的 に 多 い 214 年 は 1~11 月 の 月 平 均 金 額 は 615 円 であったのに 対 し 12 月 は 1,628 円 と 約 2.6 倍 であり とくに 支 出 は 23 日 ( 祝 )~25 日 ( 木 )に 集 中 していた( 図 表 1) もっとも 少 子 化 の 進 行 もあって 12 月 のケーキへの 支 出 金 額 は 199 年 代 前 半 以 降 減 少 傾 向 が 続 いている また 他 の 月 の 平 均 に 対 する 倍 率 は 198 年 以 降 約 2.4~2.9 倍 で 横 ばい であり 消 費 を 下 支 えしても 押 上 げ 効 果 は 既 にはく 落 してしまったことが 分 かる また 2 月 14 日 のバレンタインも わが 国 ではチョコレートを 贈 る 習 慣 があることから 小 売 業 界 にとっては 重 要 なイベントだ 日 本 チョコレート ココア 協 会 によると 製 菓 会 社 や 百 貨 店 などの 企 業 がチョコレートを 積 極 的 に 売 り 出 し 始 めたのは 196 年 代 後 半 からとされている 実 際 統 計 で 遡 ることが 出 来 る 1975 年 以 降 をみると 2 月 のチョコレート( 含 むチョコレート 菓 子 )に 対 する 支 出 は 均 してみると 増 加 傾 向 が 続 いている( 図 表 2) とくに 199 年 頃 まで は 他 の 月 の 平 均 に 対 する 倍 率 は 上 昇 しており 1992 年 は 2 月 の 支 出 金 額 が 他 の 月 の 5.5 倍 に も 上 っていた しかし その 後 は 消 費 者 の 生 活 スタイルや 嗜 好 が 変 化 したことで 2 月 以 外 の 月 についてもチョコレートに 対 する 支 出 が 増 加 したため 2 月 の 相 対 的 な 倍 率 は 低 下 傾 向 にある あるイベントが 盛 り 上 がり 始 める 当 初 は 特 定 の 業 界 や 商 品 の 消 費 をけん 引 する 効 果 をもつ しかし 一 定 程 度 浸 透 してしまった 後 は 追 加 的 に 需 要 を 喚 起 させる 効 果 は 徐 々にはく 落 してし まう 上 そもそも 消 費 全 体 に 対 する 押 上 げ 寄 与 はわずかに 過 ぎない また イベントを 控 えて 他 の 支 出 を 抑 制 することになれば イベントによる 消 費 の 押 上 げ 効 果 はさらに 限 定 されてしまう ( 尾 畠 未 輝 ) 図 表 1:ケーキに 対 する 支 出 (12 月 ) 図 表 2:チョコレートに 対 する 支 出 (2 月 ) ( 円 ) ( 倍 ) ( 円 ) ( 倍 ) 21 6 18 6 実 額 他 の 月 の 平 均 に 対 する 倍 率 金 額 他 の 月 の 平 均 に 対 する 倍 率 18 5 15 5 15 4 12 4 12 9 6 3 1975 8 85 9 95 2 5 1 ( 注 )2 人 以 上 勤 労 者 世 帯 ( 除 く 農 林 漁 家 ) ( 年 ) ( 出 所 ) 総 務 省 家 計 調 査 3 2 1 9 6 3 1975 8 85 9 95 2 5 1 ( 注 )2 人 以 上 勤 労 者 世 帯 ( 除 く 農 林 漁 家 ) ( 年 ) 5 年 以 降 はチョコレート 菓 子 を 含 む ( 出 所 ) 総 務 省 家 計 調 査 1/11 3 2 1

2. 景 気 概 況 ~ 景 気 は 緩 やかに 持 ち 直 している 景 気 は 緩 やかに 持 ち 直 している 昨 年 1~12 月 期 の 実 質 GDP 成 長 率 (2 次 速 報 )は 前 期 比 +.4% ( 年 率 換 算 +1.5%)と 3 四 半 期 ぶりにプラスとなり(1 次 速 報 の 前 期 比 +.6% 年 率 換 算 +2.2% から 下 方 修 正 ) 景 気 が 持 ち 直 しに 転 じていることが 確 認 された しかし 2 四 半 期 連 続 でマイナス となった 後 の 伸 びとしては 小 幅 であり 設 備 投 資 が 3 四 半 期 連 続 でマイナスとなるなど 中 身 も 力 強 さに 欠 ける もっとも 月 次 の 経 済 指 標 から 判 断 すると 年 明 け 以 降 は 持 ち 直 しのペースがやや 高 まってくる 可 能 性 がある 1 月 の 鉱 工 業 生 産 指 数 は 一 般 機 械 類 輸 送 用 機 械 などの 増 加 を 受 けて 前 月 比 +4.%と 堅 調 に 増 加 した 8 月 をボトムにして 上 昇 基 調 にあり 生 産 の 回 復 が 鮮 明 となってきた 製 造 業 生 産 予 測 指 数 では 2 月 は 同 +.2%と 横 ばいにとどまり 3 月 には 同 -3.2%と 減 少 する 計 画 であり 足 元 まで の 勢 いが 鈍 化 する 可 能 性 がある しかし 予 測 指 数 通 りであれば 1~3 月 期 は 前 期 比 +3.4%と 2 四 半 期 連 続 での 増 加 が 期 待 され 均 してみれば 回 復 基 調 が 維 持 される 見 込 みである 輸 出 も 増 加 基 調 を 維 持 しており 1 月 は 実 質 輸 出 ( 前 月 比 +5.% ) 輸 出 数 量 指 数 ( 同 +5.7%)と もに 前 月 比 で 大 幅 なプラスとなった 米 国 を 中 心 に 海 外 経 済 が 持 ち 直 していることや 円 安 の 進 行 により 輸 出 環 境 の 好 転 が 続 いていることが その 背 景 にある ただし 中 国 の 春 節 を 控 えて 輸 出 が 前 倒 しされたなど 一 時 的 な 押 し 上 げ 効 果 である 可 能 性 もあり 2 月 以 降 伸 び 率 は 落 ち 着 いてくる であろう また 設 備 投 資 の 先 行 指 標 である 機 械 受 注 ( 船 舶 電 力 を 除 く 民 需 )は 12 月 には 前 月 比 +8.3% と 順 調 に 増 加 した 1~12 月 期 では 前 期 比 +.4%と 2 四 半 期 連 続 で 増 加 しており 1~3 月 期 の 見 通 しも 同 +8.3%と 増 加 が 続 くと 見 込 まれている 設 備 投 資 も 今 後 は 増 加 が 期 待 できそうだ 賃 金 は 上 昇 基 調 が 定 着 化 しており 1 月 の 一 人 当 たりの 現 金 給 与 総 額 ( 速 報 値 )は 前 年 比 +1.3%と 11 カ 月 連 続 で 増 加 した また 雇 用 情 勢 は 良 好 な 状 態 を 維 持 している 1 月 の 完 全 失 業 率 は 3.6% に 上 昇 したものの 均 してみれば 低 水 準 にあり 同 月 の 有 効 求 人 倍 率 も 1.14 倍 と 高 い 水 準 にある こうした 雇 用 所 得 情 勢 の 持 ち 直 しを 受 けて 個 人 消 費 も 緩 やかに 持 ち 直 しつつある 1 月 の 家 計 調 査 の 2 人 以 上 世 帯 の 実 質 消 費 支 出 が 前 月 比 -.3%と 5 カ 月 ぶりに 減 少 に 転 じたが 趨 勢 的 には 緩 やかな 持 ち 直 しが 続 いているといえる 個 人 消 費 にとってプラス 材 料 となるのが 物 価 の 安 定 である 1 月 の 消 費 者 物 価 指 数 ( 生 鮮 食 品 を 除 く 総 合 )の 前 年 比 の 伸 び 率 は エネルギー 価 格 の 下 落 などを 背 景 に 前 年 比 +2.2%まで 縮 小 した 原 油 価 格 は 下 げ 止 まっているが 水 準 は 大 きく 切 り 下 がったままであり エネルギー 価 格 の 下 落 を 通 じて 来 年 度 初 めにかけて 前 年 比 の 伸 び 率 はさらに 縮 小 する 見 込 みである 日 本 銀 行 のインフレ ターゲット 達 成 の 可 能 性 は 一 段 と 後 退 するが 個 人 消 費 にとっては 明 るい 材 料 である ( 小 林 真 一 郎 ) 2/11

3. 今 月 のトピック: 過 熱 する 採 用 就 職 活 動 景 気 の 持 ち 直 しを 受 けて 雇 用 環 境 は 改 善 が 続 いている 労 働 需 給 がタイト 化 する 中 企 業 の 新 卒 採 用 も 活 発 化 しているが 学 生 の 就 職 活 動 は 一 段 と 厳 しさを 増 している 足 元 では 今 年 も 採 用 就 職 活 動 が 本 格 化 しているが その 現 状 と 問 題 について 考 えてみた (1) 新 卒 者 を 取 り 巻 く 雇 用 環 境 は 改 善 28 年 9 月 に 起 こったリーマン ショックによって 雇 用 情 勢 は 急 激 に 悪 化 したが そのし わ 寄 せはとくに 若 年 層 に 集 中 した 総 務 省 労 働 力 調 査 によると 29 年 の 完 全 失 業 率 は 5.1%にまで 高 まったが 15~ 19 歳 では 9.6% 2~ 24 歳 では 9.% 25~ 29 歳 では 7.1% と いずれも 平 均 値 を 大 きく 上 回 っていた( 図 表 1) これは 既 に 抱 えている 雇 用 者 を 減 ら すことに 比 べ 比 較 的 容 易 なために 新 卒 採 用 が 急 激 に 絞 り 込 まれたためである また 一 部 では 既 に 内 定 済 みであった 学 生 に 対 し 内 定 取 り 消 しを 行 う 企 業 もあり 当 時 は 社 会 問 題 とな った しかし その 後 は 景 気 が 持 ち 直 し 傾 向 を 維 持 したことを 背 景 に 雇 用 情 勢 も 改 善 が 続 いた 214 年 の 完 全 失 業 率 は 3.6%にまで 低 下 し 15~29 歳 の 失 業 率 も 全 体 と 比 べると 水 準 は 高 い ものの 6% 前 後 まで 下 がった 14 12 1 8 6 (%) 図 表 1. 年 齢 別 にみた 完 全 失 業 率 全 体 15~19 歳 2~24 歳 25~29 歳 4 2 198 85 9 95 2 5 1 ( 年 ) ( 出 所 ) 総 務 省 労 働 力 調 査 雇 用 環 境 の 順 調 な 改 善 を 経 て 足 元 では 労 働 需 給 がタイト 化 している 一 部 の 業 種 や 職 種 では 人 手 不 足 が 定 着 し 企 業 の 新 卒 に 対 する 採 用 意 欲 も 高 まった 文 部 科 学 省 および 厚 生 労 働 省 の 調 査 結 果 によると 12 月 1 日 時 点 の 大 学 卒 の 内 定 率 は 過 去 最 低 だった 21 年 の 68.8%から 214 年 は 8.3%にまで 上 昇 している( 図 表 2) 高 校 卒 については 11 月 末 時 3/11

点 の 内 定 率 は 84.2%と 2 年 代 半 ばの 景 気 拡 張 期 の 水 準 を 上 回 り 2 年 ぶりの 高 さとな っている 95 9 85 8 75 7 65 6 55 (%) 高 校 卒 大 学 卒 図 表 2. 内 定 率 5 1988 9 92 94 96 98 2 2 4 6 8 1 12 14 ( 注 ) 大 学 卒 は 前 年 12 月 1 日 時 点 高 校 卒 は 前 年 11 月 末 現 在 ( 各 年 3 月 卒 ) ( 出 所 ) 文 部 科 学 省 厚 生 労 働 省 また 日 本 銀 行 全 国 企 業 短 期 経 済 観 測 調 査 ( 日 銀 短 観 )でみても 企 業 の 新 卒 採 用 に 対 する 前 向 きな 姿 勢 がうかがえる( 図 表 3) 211 年 度 以 降 新 卒 採 用 の 実 績 (214 年 度 は 実 績 見 込 み)は 増 加 が 続 いており 215 年 度 の 計 画 (214 年 12 月 調 査 時 点 )も 前 年 度 比 + 6.5%と 増 える 見 通 しだ 28 26 24 22 2 18 16 14 12 1 ( 万 人 ) 図 表 3. 新 卒 者 採 用 状 況 大 企 業 中 小 企 業 1998 2 2 4 6 8 1 12 14 ( 注 )98~2 年 度 14 年 度 は 実 績 見 込 み 3~13 年 度 は 実 績 ( 年 度 ) 215 年 度 は12 月 調 査 の 値 ( 出 所 ) 日 本 銀 行 全 国 企 業 短 期 経 済 観 測 調 査 規 模 別 にみると とくに 中 小 企 業 で 伸 びが 目 立 つ 大 企 業 では リーマン ショック 後 に 大 きく 落 ち 込 んだ 後 11 年 度 からは 増 加 が 続 いているが 15 年 度 の 水 準 は 2 年 半 ばと 比 4/11

べると 2 割 以 上 低 い 一 方 中 小 企 業 では 15 年 度 はピークだった 27 年 度 の 水 準 を 上 回 り 調 査 が 開 始 された 1998 年 度 以 降 で 最 高 となっている 雇 用 の 過 不 足 感 を 示 す 雇 用 判 断 DIは 中 小 企 業 では 製 造 業 および 非 製 造 業 とも 大 幅 なマイナス( 不 足 超 )が 続 いており 人 手 不 足 が 定 着 する 中 新 卒 採 用 を 含 めた 労 働 力 の 確 保 に 積 極 的 だ (2) 企 業 学 生 とも 負 担 は 増 す 若 年 層 を 取 り 巻 く 雇 用 環 境 は 順 調 に 改 善 しているにもかかわらず 学 生 の 就 職 活 動 は 年 々 厳 しさを 増 している 当 社 が 毎 年 春 に 実 施 している 新 入 社 員 意 識 調 査 のアンケート 結 果 では 214 年 度 の 新 入 社 員 の 就 職 活 動 に 対 する 感 想 は とても 大 変 だった (23.8% )と 大 変 だった (45.6%)という 回 答 が 過 半 数 を 超 え その 割 合 は 213 年 度 よりも 上 昇 した( 図 表 4) 売 り 手 市 場 であっても 学 生 の 就 職 活 動 は 決 して 楽 ではない 図 表 4. 214 年 度 新 入 社 員 の 就 職 活 動 の 感 想 % 2% 4% 6% 8% 1% 213 年 度 214 年 度 22.9% 41.3% 23.3% 8.3% 4.2% 23.8% とても 大 変 だった 45.6% 大 変 だった ( 出 所 ) 三 菱 UFJリサーチ&コンサルティング 214 年 度 新 入 社 員 意 識 調 査 アンケート 結 果 21.1% どちらでも なかった 6.7% 2.8% 楽 とても だった 楽 だった 背 景 には 少 子 化 の 進 行 に 反 して 大 学 や 大 学 院 の 卒 業 者 数 は 増 え 続 けていることがある 高 校 や 大 学 大 学 院 を 卒 業 する 世 代 の 中 心 である 18~25 歳 の 人 口 は 199 年 代 前 半 をピー クに 足 元 まで 一 貫 して 減 少 している( 図 表 5) ピークの 1994 年 からは 年 平 均 3 万 人 程 度 のペースで 減 り 続 け 213 年 には 1 万 人 を 割 った 一 方 高 学 歴 化 の 流 れの 中 高 校 から 大 学 への 進 学 率 が 上 がったことを 受 けて 大 学 大 学 院 の 卒 業 者 数 は 増 え 続 けている 文 部 科 学 省 学 校 基 本 調 査 によると 大 学 大 学 院 の 卒 業 者 数 は この 3 年 間 でおよそ 倍 になり 214 年 3 月 卒 の 人 数 は 66.2 万 人 にまで 増 加 した この 結 果 高 校 を 卒 業 して 就 職 した 人 は 199 年 代 に 急 激 に 減 った 後 足 元 まで 緩 やかな 減 少 傾 向 が 続 いている 一 方 大 学 に 進 学 してから 就 職 した 人 は 増 加 傾 向 が 続 いている 214 年 3 月 に 大 学 大 学 院 を 卒 業 した 就 職 者 は 64. 万 人 と 前 年 から 1.6 万 人 増 加 し 過 去 最 高 となった 採 用 枠 が 増 えても それを 上 回 って 就 職 希 望 者 が 増 加 している 状 態 であり この 結 果 とくに 大 学 や 大 学 院 生 にとっては 競 争 が 激 しくなった 5/11

9 8 7 6 5 4 3 2 1 図 表 5. 18~ 25 歳 人 口 と 卒 業 者 のうち 就 職 者 数 ( 万 人 ) ( 万 人 ) 就 職 者 ( 高 校 卒 ) 就 職 者 ( 大 学 大 学 院 卒 ) 18~25 歳 人 口 : 右 軸 197 75 8 85 9 95 2 5 1 ( 注 )18~25 歳 人 口 は1 月 1 日 時 点 15 年 は 推 定 就 職 者 は 各 年 3 月 卒 ( 出 所 ) 文 部 科 学 省 学 校 基 本 調 査 総 務 省 人 口 推 計 18 16 14 12 1 8 6 4 2 ( 年 ) さらに 一 般 的 な 採 用 活 動 の 対 象 の 中 心 である 大 学 生 大 学 院 生 が 増 えているため 企 業 にとっても 自 社 に 適 した 人 材 を 見 つけ 出 すことが 困 難 になっている 新 卒 を 取 り 巻 く 雇 用 環 境 が 改 善 し 始 めた 頃 は 企 業 は 量 より 質 を 求 める 傾 向 が 強 かった しかし 景 気 の 持 ち 直 しを 受 けて 労 働 需 給 がタイト 化 する 中 質 の 維 持 に 加 えて 量 の 確 保 も 迫 られるよ うになった 企 業 を 取 り 巻 く 経 営 環 境 がより 厳 しくなっている 中 では コスト 抑 制 姿 勢 は 根 強 く 恒 久 的 な 人 件 費 の 増 加 に 繋 がる 新 卒 の 採 用 に 対 してハードルを 下 げることはないよう だ もっとも 企 業 が 求 める 質 が 何 かということは 非 常 に 曖 昧 である 日 本 経 済 団 体 連 合 会 ( 経 団 連 )のアンケート 調 査 によると 企 業 が 選 考 にあたってとくに 重 視 した 点 ( 複 数 回 答 )として 最 も 多 かったのが コミュニケーション 能 力 であり 次 いで 主 体 性 チャ レンジ 精 神 だった( 図 表 6) 一 方 資 格 や 点 数 などで 測 りやすい 専 門 性 (11% )や 学 業 成 績 (6%) 語 学 力 (6%)などは 少 数 にとどまっている 採 用 基 準 が 明 確 でないと 学 生 もどのように 就 職 活 動 に 取 り 組 めば 良 いかわからず 困 惑 しても 仕 方 がない 同 様 に 学 生 としても 会 社 を 選 ぶ 基 準 は 漠 然 としたものが 多 い 当 社 のアンケート 結 果 で は 新 入 社 員 が 会 社 を 選 んだ 基 準 ( 複 数 回 答 )として 最 も 多 かったのが 雰 囲 気 がよい で ある( 図 表 7) 学 生 のうちに 業 界 企 業 研 究 や 職 業 観 の 醸 成 を 進 めようとする 動 きも 出 てい るが 普 段 の 生 活 では 学 生 と 企 業 との 関 わりはあまりない このため 就 職 活 動 時 のセミナ ーや 面 接 といった 短 い 時 間 で 企 業 は 学 生 にとっての 良 い 雰 囲 気 をアピールし 採 用 に 結 びつけなければならない 最 近 では 企 業 はなんとか 良 い 学 生 を 確 保 しようと 採 用 方 法 に 工 夫 を 凝 らしている そ して 企 業 の 採 用 活 動 が 多 様 化 複 雑 化 している 一 方 学 生 は 限 られた 時 間 で 就 職 活 動 を 行 わなければならず 双 方 の 負 担 は 一 段 と 増 している 6/11

図 表 6. 企 業 が 選 考 にあたってとくに 重 視 した 点 ( 上 位 1 項 目 ) (%) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 コミュニケーション 能 力 主 体 性 チャレンジ 精 神 協 調 性 誠 実 性 責 任 感 論 理 性 ポテンシャル リーダーシップ 職 業 観 就 労 意 識 ( 注 )214 年 4 月 入 社 対 象 複 数 回 答 経 団 連 企 業 会 員 のうち1,31 社 ( 出 所 ) 日 本 経 済 団 体 連 合 会 新 卒 採 用 に 関 するアンケート 調 査 図 表 7. 新 入 社 員 が 会 社 を 選 んだ 基 準 (%) 1 2 3 4 5 6 雰 囲 気 がよい 仕 事 のやりがいがある 能 力 が 活 かせる 業 績 が 安 定 している 社 会 に 貢 献 している 給 料 がよい その 他 ( 注 )214 年 度 新 入 社 員 対 象 複 数 回 答 回 答 者 数 129 人 ( 出 所 ) 三 菱 UFJリサーチ&コンサルティング 214 年 度 新 入 社 員 意 識 調 査 アンケート 結 果 (3)スケジュールの 変 更 で 実 質 的 に 長 期 化 さらに 企 業 の 採 用 スケジュールが 立 て 続 けに 後 ろ 倒 しされていることも 現 場 の 混 乱 を 招 き 採 用 就 職 活 動 の 過 熱 化 に 拍 車 を 掛 けている 経 団 連 の 指 針 によって 今 年 から 大 企 業 を 中 心 に 企 業 の 採 用 スケジュールは 後 ろ 倒 しされ ている( 図 表 8) 広 報 活 動 は 従 来 から 3 ヶ 月 遅 くなり 卒 業 修 了 年 度 に 入 る 直 前 の 3 月 1 日 以 降 に 選 考 活 動 は 4 ヶ 月 遅 くなり 卒 業 修 了 年 度 の 8 月 1 日 以 降 に 変 更 された 211 年 の 倫 理 憲 章 でもスケジュールが 後 ずれしたばかりである 背 景 には 正 常 な 学 校 教 育 と 学 習 環 境 の 確 保 に 協 力 し 大 学 等 の 学 事 日 程 を 尊 重 する とした 上 で 学 生 が 本 分 で ある 学 業 に 専 念 する 十 分 な 時 間 を 確 保 するため ということがあるが 実 際 にはこうした 変 更 に 企 業 も 学 生 も 戸 惑 っており 現 場 では 不 満 の 声 も 多 いようだ 7/11

指 針 によって 形 式 上 は 採 用 就 職 活 動 は 短 縮 化 が 進 んでいることになるが 広 報 活 動 に 先 だってインターンシップ( 学 生 が 在 学 中 に 企 業 などで 行 う 就 業 体 験 )を 開 催 する 企 業 が 増 え るなど その 実 態 は 長 期 化 しているといえる 図 表 8. 新 卒 採 用 のスケジュール 大 学 3 年 生 / 大 学 院 1 年 生 大 学 4 年 生 / 大 学 院 2 年 生 4 月 5 6 7 8 9 1 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 1 2 3 212 年 3 月 卒 以 前 213 年 3 月 卒 216 年 3 月 卒 以 降 イ ン タ ー ン シ ッ プ 広 報 活 動 広 報 活 動 広 報 活 動 選 考 活 動 選 考 活 動 選 考 活 動 内 定 式 卒 業 なお 従 来 の 企 業 の 選 考 活 動 は まず 大 企 業 が 4 月 頃 から 開 始 し その 後 夏 から 秋 頃 に かけて 中 小 企 業 が 遅 れて 始 める 場 合 が 多 かった しかし 今 年 からは 大 企 業 と 中 小 企 業 の 選 考 活 動 がほぼ 同 じ 頃 か 逆 になる 可 能 性 が 高 い そのため とくに 中 小 企 業 では 既 に 選 考 を 終 えていても 学 生 に 内 定 を 辞 退 されてしまうケースが 例 年 以 上 に 出 てくる 可 能 性 もあり 企 業 としても 難 しい 局 面 に 立 たされている もっとも この 指 針 は 自 己 責 任 原 則 とされており 実 際 にどれほどの 企 業 が 継 続 的 に 守 るかは 分 からない しかし 経 団 連 に 属 するような 大 企 業 の 採 用 スケジュールが 変 われば その 他 の 中 小 企 業 や 学 生 にも 影 響 が 出 ることになり とくに 初 めてとなる 今 年 は 混 乱 が 避 け られない (4)タイミング 格 差 による 不 公 平 わが 国 では 新 卒 時 の 就 職 状 況 によって その 後 のキャリアがほぼ 決 まってしまう 傾 向 が ある つまり 初 めで 失 敗 するとなかなかやり 直 しが 利 かない だからこそ 学 生 は 就 職 活 動 に 対 して 必 死 になる 一 方 で 過 去 には バブル 世 代 や 氷 河 期 世 代 などの 呼 び 名 が 付 いたように 新 卒 採 用 はその 時 の 景 気 動 向 によって 大 きく 影 響 を 受 けやすい その 結 果 景 気 が 悪 化 している 時 期 に 卒 業 のタイミングがたまたま 重 なってしまうと 割 を 食 うことになる 完 全 失 業 者 のうち 学 卒 未 就 職 の 人 数 は 23 年 に 2 万 人 で 最 高 となった 後 一 旦 は 減 少 していたが リーマン ショックによって 再 び 急 増 した( 図 表 9) 214 年 は 12 万 人 と 前 年 から 3 万 人 減 ったものの 1995 年 以 降 1 万 人 を 上 回 る 水 準 が 続 いている 景 気 が 悪 くなると 就 職 出 来 ずに 卒 業 することになる 人 が 増 えるだけでなく 就 職 活 動 そ のものを 諦 めてしまったり やむなく 進 路 を 変 えたりする 人 も 増 える 例 えば 21 年 3 8/11

月 に 卒 業 した 人 は 就 職 活 動 においてリーマン ショックの 悪 影 響 を 最 も 大 きく 受 けた 世 代 である 大 学 の 卒 業 者 は 25 年 以 降 55 万 人 強 で 推 移 していたが その 年 は 54.1 万 人 ( 前 年 差 -1.8 万 人 )と 一 時 的 に 減 った 就 職 先 が 決 まらずに 卒 業 を 先 送 りした 人 がいた 可 能 性 が 高 い また 卒 業 した 人 のうち 就 職 者 が 占 める 割 合 は 6.8%と 前 年 から 7.5%ポイント 下 がった 一 方 それまでの 十 数 年 間 は 1~ 12%で 横 ばいが 続 いていた 進 学 者 の 割 合 はその 年 は 13.4%に 高 まっている 加 えて 一 時 的 な 職 に 就 いた 人 や 卒 業 後 の 進 路 が 不 詳 という 人 も 増 加 している 2 15 図 表 9. 完 全 失 業 者 のうち 学 卒 未 就 職 (%) 25~34 歳 15~24 歳 1 5 1985 9 95 2 5 1 ( 出 所 ) 総 務 省 労 働 力 調 査 ( 年 ) 卒 業 後 に 失 業 している 期 間 が 長 引 くと 正 規 雇 用 になかなか 就 けなくなるという 現 実 もあ る 2 年 以 降 に 卒 業 した 人 について 卒 業 から 初 職 に 就 いた 期 間 別 に 初 職 の 状 況 をみると 期 間 が 長 くなるほど 初 職 で 正 社 員 に 就 く 人 の 割 合 は 低 下 する 傾 向 がある( 図 表 1) 卒 業 し て 1 年 未 満 では 4 人 に 3 人 以 上 が 初 職 で 正 規 雇 用 に 就 けているが 卒 業 から 3 年 を 超 えても 無 職 のままだと その 後 正 規 の 職 に 就 くことが 出 来 るのは 半 数 以 下 にとどまる さらに 雇 用 の 非 正 規 化 が 一 段 と 進 む 中 では 卒 業 してすぐに 職 に 就 くことが 出 来 たとし ても それが 非 正 規 雇 用 や 一 時 的 な 仕 事 である 場 合 が 増 えた 214 年 3 月 に 大 学 を 卒 業 した 56.5 万 人 のうち 正 規 雇 用 で 就 職 した 人 は 37.2 万 人 と 3 人 に 1 人 にとどまっている 一 方 非 正 規 として 就 職 した 人 は 2.3 万 人 その 他 に 一 時 的 な 仕 事 に 就 いた 人 も 1.5 万 人 となって いる 9/11

(%) 8 7 6 5 4 3 図 表 1. 初 職 が 正 規 の 職 員 従 業 員 の 割 合 76.8 58.3 49.9 38.6 31.9 2 1 年 未 満 1~3 年 3~5 年 5~1 年 1 年 以 上 ( 注 )212 年 調 査 対 象 は 卒 業 時 期 が2 年 以 降 ( 卒 業 から 初 職 就 業 時 ( 出 所 ) 総 務 省 就 業 構 造 基 本 調 査 までの 期 間 ) 現 状 非 正 規 から 正 規 への 雇 用 転 換 は 難 しい 職 業 異 動 ( 転 職 )の 前 後 における 雇 用 形 態 の 変 化 をみると 前 職 が 正 規 の 人 では 6 割 が 現 職 でも 正 規 として 雇 用 されている( 図 表 11) 一 方 前 職 がパートの 場 合 現 職 が 正 規 となっている 人 の 割 合 は 15%にとどまっており 7 割 近 くが 再 びパートに 就 いている この 値 には 主 婦 などの 女 性 や 定 年 退 職 後 の 高 齢 者 も 含 まれており 自 ら 非 正 規 雇 用 を 望 む 人 もいるだろう しかし 卒 業 した 後 初 めに 就 いた 職 が 非 正 規 だと その 後 正 規 雇 用 の 仕 事 に 就 くのはなかなか 容 易 ではない 図 表 11. 前 職 と 現 職 の 雇 用 形 態 1% アルバイト 契 約 社 員 派 遣 嘱 託 等 5% ( 現 職 が) 正 規 パート % 正 規 パート アルバイト 契 約 社 員 派 遣 嘱 託 等 ( 注 )212 年 調 査 ( 前 職 ) ( 出 所 ) 総 務 省 就 業 構 造 基 本 調 査 また 1985 年 以 降 に 卒 業 した 人 において 初 職 が 非 正 規 だった 人 のうち 現 職 が 正 規 である 人 の 割 合 は 平 均 で 19%である( 図 表 12) とくに 最 近 卒 業 した 人 は 初 職 に 就 いて 間 も ないこともあって その 割 合 は 低 い リーマン ショック 後 の 不 景 気 の 時 に 卒 業 した 人 で 1/11

不 本 意 ながらも 非 正 規 雇 用 に 就 き 未 だに 正 規 になりたくてもなれていないままの 人 は 多 く 残 っているとみられる 28 26 24 22 2 18 16 14 12 1 図 表 12. 初 職 が 非 正 規 の 人 のうち 現 職 が 正 規 である 割 合 (%) 1985 9 95 2 5 1 ( 注 )212 年 調 査 ( 卒 業 した 時 期 年 ) ( 出 所 ) 総 務 省 就 業 構 造 基 本 調 査 以 上 でみてきたように 景 気 の 持 ち 直 しを 背 景 に 新 卒 を 含 む 若 年 層 の 雇 用 情 勢 は 改 善 して いる 中 で 新 卒 者 の 採 用 就 職 活 動 は 一 段 と 過 熱 している しかし 企 業 の 採 用 活 動 にかか る 労 力 は 増 える 一 方 売 り 手 市 場 になっても 学 生 の 就 職 活 動 は 決 して 楽 にはなっていない 採 用 就 職 活 動 の 見 直 しも 重 要 な 課 題 だが 根 本 的 には 卒 業 時 点 の 景 気 動 向 に 就 職 が 左 右 されるといった タイミング 格 差 を 是 正 し 後 からでも 挽 回 が 可 能 な 雇 用 システムの 構 築 を 目 指 すことが 大 切 だ ( 尾 畠 未 輝 ) - ご 利 用 に 際 して - 本 資 料 は 信 頼 できると 思 われる 各 種 データに 基 づいて 作 成 されていますが 当 社 はその 正 確 性 完 全 性 を 保 証 するものではありません また 本 資 料 は 執 筆 者 の 見 解 に 基 づき 作 成 されたものであり 当 社 の 統 一 的 な 見 解 を 示 すものではありません 本 資 料 に 基 づくお 客 様 の 決 定 行 為 及 びその 結 果 について 当 社 は 一 切 の 責 任 を 負 いません ご 利 用 にあたっては お 客 様 ご 自 身 でご 判 断 くだ さいますようお 願 い 申 し 上 げます 本 資 料 は 著 作 物 であり 著 作 権 法 に 基 づき 保 護 されています 著 作 権 法 の 定 めに 従 い 引 用 する 際 は 必 ず 出 所 : 三 菱 UFJリサーチ&コンサル ティングと 明 記 してください 本 資 料 の 全 文 または 一 部 を 転 載 複 製 する 際 は 著 作 権 者 の 許 諾 が 必 要 ですので 当 社 までご 連 絡 下 さい 11/11