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労 働 組 合 版 組 織 風 土 尺 度 作 成 の 試 み 前 田 洋 光 ( 関 西 大 学 大 学 院 社 会 学 研 究 科 ) 阿 部 晋 吾 ( 梅 花 女 子 大 学 現 代 人 間 学 部 ) 八 木 隆 一 郎 ( 社 団 法 人 国 際 経 済 労 働 研 究 所 ) 本 研 究 は 労 働 組 合 を 対 象 に 組 織 成 員 が 活 発 に 組 織 活 動 に 関 わることを 保 証 する 風 土 を 示 す 活 発 性 および 組 織 としての 秩 序 維 持 のために 組 織 成 員 の 自 由 を 制 限 する 風 土 を 示 す 強 制 性 の 2 次 元 で 構 成 される 組 織 風 土 の 測 定 尺 度 を 構 築 することを 試 みたものである 330 名 の 組 合 員 を 対 象 として 得 られたデータをもとに 因 子 分 析 を 行 った 結 果 本 尺 度 は 強 制 性 および 活 発 性 の 2 次 元 で 構 成 され また 互 いに 独 立 した 構 造 であったことから 因 子 的 妥 当 性 を 有 していることが 示 された さらに 個 人 特 性 との 関 連 から 弁 別 妥 当 性 が リーダーシップとの 関 連 から 収 束 妥 当 性 が 認 められた 加 えて 組 織 風 土 の 2 つの 要 因 は 共 に 高 い 内 的 整 合 性 を 有 していることが 示 された 以 上 のことから 本 尺 度 は 信 頼 性 妥 当 性 を 共 に 備 えた 尺 度 であると 考 えられる キーワード: 組 織 風 土 活 発 性 強 制 性 労 働 組 合 問 題 組 織 風 土 とは 組 織 成 員 によって 知 覚 された 組 織 特 性 ( 占 部 海 道, 1991)であり 構 成 員 の 満 足 度 や 動 機 づけ を 規 定 する 要 因 として また 組 織 全 体 の 生 産 性 を 規 定 す る 要 因 として これまでに 多 くの 研 究 で 検 討 されてきた 古 典 的 な 研 究 としては リーダーシップ スタイルが 組 織 風 土 に 及 ぼす 影 響 を 扱 った Lippit & White(1943)が 挙 げられる その 後 さまざまな 立 場 から 組 織 風 土 を 測 定 す る 尺 度 が 開 発 され 代 表 的 な 尺 度 である Likert(1967) Litwin & Stringer(1968)においては 8 次 元 から 9 次 元 の 多 次 元 構 造 が 想 定 されている ただ こうした 多 次 元 構 造 に 基 づく 尺 度 は 組 織 を 詳 細 に 検 討 できる 反 面 結 果 が 煩 雑 になりかねない 側 面 もあり また 項 目 数 の 多 さ から 現 場 での 実 用 には 適 さないという 欠 点 も 併 せ 持 っ ている そうした 中 より 少 ない 次 元 から 組 織 風 土 を 把 握 する 試 みも 行 われている Payne & Pheysey (1971)は 254 項 目 からなる 多 次 元 を 想 定 した 尺 度 を 開 発 したが 因 子 分 析 の 結 果 進 歩 性 と 規 範 力 の 2 つの 因 子 に 分 かれ ることを 示 唆 している 進 歩 性 とは 将 来 に 向 けて 可 能 性 を 切 り 開 いていく 姿 勢 を 組 織 として 持 っているかであり 規 範 力 は 組 織 のなかのさまざまな 規 範 がメンバーに とってどれほど 強 い 統 制 圧 力 となっているかという 側 面 で ある また 本 邦 においては 外 島 松 田 (1995)が 開 発 した 組 織 風 土 尺 度 において 組 織 環 境 性 ( 従 業 員 の 参 加 度 が 高 く 合 理 的 な 組 織 管 理 がなされている 風 土 ) 伝 統 性 ( 強 制 的 命 令 的 で 封 建 的 な 風 土 ) という 2 因 子 が 見 出 さ れており 各 因 子 得 点 の 高 低 を 組 み 合 わせることで 組 織 を 4 類 型 に 分 類 する 方 法 がとられている さらに 尾 関 吉 田 (2006)は 大 学 の 部 活 動 サークル 集 団 を 対 象 とした 調 査 において 開 放 性 ( 集 団 内 で 学 年 に 関 係 なく 自 由 に 意 見 を 表 明 しやすい 程 度 ) 管 理 性 ( 集 団 が 規 範 に 基 づいて 管 理 されている 程 度 ) という 2 次 元 を 想 定 し 外 島 松 田 (1995)の 尺 度 をもとに 独 自 に 作 成 した 項 目 を 用 いて 実 際 にこの 2 因 子 構 造 を 確 認 している これらの 尺 度 はそれぞれ 因 子 の 名 称 や 定 義 が 異 なる が 組 織 成 員 が 活 発 に 組 織 活 動 に 関 わることを 保 証 す る 風 土 と 組 織 としての 秩 序 維 持 のために 組 織 成 員 の 自 由 を 制 限 する 風 土 という 2 つの 側 面 から 組 織 風 土 をと らえる 点 では ある 程 度 共 通 した 構 造 を 扱 っているといえ よう 本 研 究 では この2つの 側 面 をそれぞれ 活 発 性 強 制 性 と 命 名 し 2 次 元 構 造 を 前 提 とした 尺 度 を 作 成 する また この 2 側 面 はともすれば 相 反 する すなわち 負 の 相 関 が 高 くなる 可 能 性 も 考 えられるが 外 島 松 田 (1995)のように 2 次 元 の 組 み 合 わせによって 分 類 を 行 う ような 場 合 因 子 間 の 独 立 性 が 確 保 されていることが 望 ま しい そこで 本 研 究 では 活 発 性 強 制 性 に 対 応 すると 思 われる 項 目 を 既 存 の 尺 度 を 参 考 にしたうえで 作 成 し 因 子 の 独 立 性 も 考 慮 に 入 れつつ 尺 度 を 開 発 する ことを 目 的 とする また これまでの 組 織 風 土 研 究 は 本 邦 においても 企 業 の 職 場 (e.g., 藤 田, 1991; 今 口, 1977; 松 尾, 1996; 関 本 三 沢, 1997)を 中 心 として 学 校 組 織 ( 吉 田 佐 々 木 栗 林 藤 田 松 原, 1995)や 学 生 の 部 活 動 サークル 集 団 ( 尾 関 吉 田, 2006)などを 対 象 に 行 われてきたが 本 研 究 では 企 業 の 労 働 組 合 を 対 象 とした 尺 度 を 作 成 する 全 般 的 に 労 働 組 合 は 組 織 率 の 低 下 に 伴 い 近 年 その 活 動 が 縮 小 傾 向 にあるといわれているが 組 合 の 存 在 意 義 の 問 い 直 しや 新 たな 活 動 の 可 能 性 も 議 論 されており( 坂 東, 1984; 八 木, 1996) こうした 過 渡 期 の 中 組 織 風 土 は 組 合 によって 大 きく 異 なることが 予 測 される また 全 国 に 支 社 支 店 工 場 を 持 つような 大 企 業 の 労 働 組 合 では - 49 -

各 地 方 支 部 において 支 部 執 行 部 を 中 心 に 日 常 的 な 組 合 活 動 が 実 施 されているが 各 支 部 の 活 動 や 組 織 としての 状 態 を 同 じ 基 準 で 比 較 し 点 検 するような 試 みはこれま でにほとんど 行 われていない 組 織 風 土 尺 度 は これま で 明 示 されてこなかった 各 組 合 や 各 支 部 での 実 態 を 把 握 する 上 で 有 用 と 考 えられる なお 本 研 究 では 尺 度 の 作 成 にあたって いくつかの 側 面 からその 妥 当 性 を 検 討 する まず 個 人 特 性 との 関 連 について 検 討 する Johnston(1976)は 同 一 組 織 の 成 員 が 組 織 風 土 を 異 なって 知 覚 する 場 合 があることを 指 摘 している 組 織 風 土 は 知 覚 された 組 織 特 性 である 以 上 個 人 の 認 知 過 程 の 影 響 を 受 けることはある 程 度 はやむを えないが あまりにその 影 響 が 強 い 場 合 組 織 の 実 態 を 正 確 に 測 定 することができなくなる そこで 本 研 究 では 作 成 された 尺 度 が 回 答 者 の 個 人 特 性 の 影 響 を 受 けにく い 尺 度 であるかどうかについても 検 討 する まず 活 発 性 に 対 しては 特 性 としての 内 発 的 動 機 づけが 高 い 個 人 は 積 極 的 な 活 動 に 対 する 期 待 が 高 いゆえに 同 一 の 組 織 状 況 でも 活 発 性 を 低 く 認 知 しやすい 可 能 性 が 考 えられる 一 方 個 人 主 義 的 な 価 値 観 を 持 ち 自 律 的 な 行 動 を 重 視 する 個 人 は 組 織 の 強 制 性 を 高 く 認 知 しやすいだろう し たがって これらの 要 因 との 相 関 が 低 ければ 組 織 風 土 尺 度 としての 妥 当 性 は 高 いと 考 えられる さらに リーダーシップとの 関 連 についても 検 討 する Field & Abelson(1982)は 組 織 風 土 の 規 定 因 を 外 的 影 響 組 織 的 影 響 個 人 的 影 響 の 3 つに 分 類 しているが リーダーシップは 個 人 的 影 響 の1つとして 含 まれている リーダーシップの 機 能 としては Fleishman, Harris & Burtt(1955)のオハイオ 研 究 ( 構 造 づくり と 配 慮 ) Blake & Mouton(1964)のマネジアル グリッド 理 論 ( 業 績 に 対 する 関 心 と 人 間 に 対 する 関 心 ) 三 隅 (1984)の PM 理 論 ( 目 標 達 成 と 集 団 維 持 )などに 代 表 されると おり 課 題 志 向 的 な 行 動 ( 以 下 課 題 行 動 )と 関 係 志 向 的 な 行 動 ( 以 下 関 係 行 動 )の 2 側 面 が 想 定 されることが 多 い 三 隅 (1984)はこれら 2 つの 機 能 を 併 せ 持 つリーダー (PM 型 )が 成 員 の 満 足 度 や 動 機 づけにおいても また 生 産 性 においても 最 も 効 果 的 なリーダーであることを 実 証 的 研 究 によって 示 しており 組 織 風 土 の 活 発 性 に 対 し ては 課 題 行 動 と 関 係 行 動 の 双 方 が 促 進 的 な 影 響 を 及 ぼすことが 予 測 される 一 方 強 制 性 は 組 織 内 の 人 間 関 係 や 雰 囲 気 に 対 する 配 慮 がない 場 合 に 醸 成 されやす いと 考 えられるため リーダーシップとの 関 連 においては 関 係 行 動 が 低 い 場 合 に 高 まりやすいと 推 測 される 方 法 対 象 者 および 調 査 方 法 大 手 企 業 A 社 の 労 働 組 合 に 所 属 する 組 合 員 330 名 ( 男 性 297 名 女 性 32 名 性 別 未 記 入 1 名 ; 平 均 年 齢 = 39.99 歳 SD= 9.70 歳 )を 対 象 とした 組 合 支 部 の 中 から 任 意 に10 支 部 を 抽 出 し 各 支 部 30 名 程 度 を 対 象 に 質 問 紙 を 配 布 した( 回 収 結 果 は 1 支 部 につき 8 名 ~49 名 ) な お 対 象 者 の 中 には 支 部 執 行 委 員 も 含 まれているが 本 研 究 の 分 析 においては 一 般 組 合 員 242 名 ( 男 性 214 名 女 性 27 名 性 別 未 記 入 1 名 ; 平 均 年 齢 =39.89 歳 SD =10.02 歳 )のみを 使 用 した 調 査 は 2005 年 7 月 25 日 か ら 8 月 19 日 までの 間 に 無 記 名 で 行 い 各 支 部 の 担 当 者 が 質 問 紙 を 配 布 回 収 した 質 問 項 目 労 働 組 合 版 組 織 風 土 尺 度 尺 度 の 作 成 にあたって 組 織 風 土 に 関 するこれまでの 尺 度 を 収 集 し 強 制 性 お よび 活 発 性 に 適 合 する 項 目 を 社 会 心 理 学 を 専 門 とす る 3 名 の 研 究 者 で 協 議 し 選 定 した その 結 果 活 発 性 の 項 目 として 関 本 鎌 形 山 口 (2001)の 自 立 性 依 存 性 次 元 リスクへの 挑 戦 革 新 性 - 現 状 維 持 保 守 性 次 元 対 立 葛 藤 の 許 容 ことなかれ 主 義 次 元 松 尾 (1996)の 自 主 性 因 子 を 参 考 に 14 項 目 を 作 成 した 強 制 性 の 項 目 としては 外 島 松 田 (1995)の 伝 統 性 因 子 藤 田 (1991)の 法 と 規 則 因 子 を 参 考 に7 項 目 を 作 成 した いずれも 労 働 組 合 向 けに 文 章 表 現 を 修 正 し 労 働 組 合 版 組 織 風 土 尺 度 ( 5.そう 思 う から 1.そう 思 わない まで の 5 件 法 )とした 個 人 特 性 特 性 的 な 内 発 的 動 機 づけを 測 定 する 尺 度 として 松 田 佐 藤 (2004)が 堀 野 (1987)の 達 成 動 機 尺 度 を 因 子 分 析 した 結 果 抽 出 された 課 題 への 興 味 因 子 (9 項 目 )を 使 用 した 一 方 特 性 的 な 自 律 度 を 測 定 する 尺 度 として 高 田 (2000)の 相 互 独 立 的 自 己 観 の 独 断 性 因 子 (6 項 目 )を 使 用 した(いずれも 5.そう 思 う から 1.そう 思 わ ない までの 5 件 法 ) リーダーシップ 支 部 執 行 部 が 組 合 員 に 対 してどのよ うな 行 動 をとっているかを 測 定 するために 高 原 山 下 (2004)が 作 成 したリーダーシップ 尺 度 を 使 用 した この 尺 度 は 課 題 行 動 4 項 目 関 係 項 目 4 項 目 の 計 8 項 目 からなるが このうち 組 合 活 動 に 適 用 しやすい 項 目 として 課 題 行 動 は 何 をすべきか どのようにするのかを 具 体 的 に 決 定 している 達 成 すべき 目 標 を 部 下 に 示 してい る の 2 項 目 関 係 行 動 は 部 下 を 励 ましている 部 下 の 意 見 や 関 心 に 耳 を 傾 けている の 2 項 目 の 計 4 項 目 を 使 用 した( 5.そう 思 う から 1.そう 思 わない までの 5 件 法 ) なお 各 項 目 の 部 下 については 組 合 員 と 表 現 を 変 更 した 組 織 風 土 の 因 子 分 析 結 果 組 織 風 土 を 測 定 する 21 項 目 について 主 因 子 法 によ る 因 子 分 析 を 行 った 固 有 値 の 減 衰 状 況 および 本 尺 度 - 50 -

F1: 強 制 性 Table 1 組 織 風 土 の 因 子 分 析 および α 係 数 ならびに 記 述 統 計 M (SD ) Factor1 Factor2 共 通 性 組 合 の 規 則 や 手 続 きに 従 わなければならないという 風 土 がある 2.78 (1.03).814 -.018.664 組 合 の 伝 統 や 習 慣 は かなり 強 制 的 なものと 考 えている 組 合 員 が 多 い 2.80 (1.07).649 -.041.425 組 合 の 方 針 や 規 則 に 従 うように 厳 しい 要 請 がある 2.38 (1.03).604.126.374 組 合 の 決 まりごとに 従 うことが 求 められる 3.03 (1.08).554 -.071.315 F2: 活 発 性 ユニークな 発 想 や 新 しいアイデアが 積 極 的 に 採 りあげられ 活 用 されるところがある 2.58 (0.89).027.867.750 組 合 員 の 個 性 が 組 合 活 動 に 活 かされている 2.70 (0.90).060.721.519 組 合 活 動 が 活 発 でない 3.03 (1.07) -.006 -.455.207 社 会 の 変 化 にまったく 対 応 していない 2.77 (1.01).230 -.386.211 因 子 間 相 関 Factor2 -.046 Cronbachのα 係 数.75.70 注 ) 主 因 子 法 (プロマックス 回 転 )により 算 出 した は 2 次 元 を 想 定 していることから 因 子 数 を 2 と 決 定 し 因 子 解 を 算 出 した 共 通 性 の 低 い 項 目 および 本 尺 度 は 因 子 の 独 立 性 も 考 慮 にいれるため 双 方 の 因 子 に 負 荷 して いる 項 目 の 計 13 項 目 を 分 析 から 除 外 した 残 った8 項 目 について 再 度 主 因 子 法 による 因 子 分 析 を 行 い 因 子 解 を 算 出 した 後 プロマックス 回 転 を 施 した(Table 1) なお この2 因 子 による 累 積 寄 与 率 は 43.3%であった 第 1 因 子 は 組 合 の 規 則 や 手 続 きに 従 わなければならないと いう 風 土 がある 組 合 の 伝 統 や 習 慣 は かなり 強 制 的 なものと 考 えている 組 合 員 が 多 い など 組 合 員 の 自 由 を 制 限 する 組 織 風 土 を 表 す 項 目 が 高 く 負 荷 しているため 強 制 性 と 命 名 した 第 2 因 子 には ユニークな 発 想 や 新 しいアイデアが 積 極 的 に 採 りあげられ 活 用 されるところ がある 組 合 員 の 個 性 が 組 合 活 動 に 活 かされている といった 組 合 員 が 組 織 内 で 自 由 闊 達 に 活 動 することが 許 容 される 組 織 風 土 を 示 す 項 目 から 構 成 されていること ため 活 発 性 と 位 置 づけた また 因 子 間 相 関 は-.046 であり ほぼ 直 交 の 独 立 した 2 次 元 が 確 保 された 尺 度 の 信 頼 性 の 検 討 次 に 尺 度 の 信 頼 性 を 検 討 するため 強 制 性 活 発 性 のそれぞれについて Cronbach の α 係 数 を 算 出 した その 結 果 強 制 性 では α =.75 活 発 性 において α =.70 であり 十 分 な 内 的 整 合 性 が 見 出 された 個 人 特 性 との 関 連 本 尺 度 が 個 人 特 性 の 影 響 を 受 けにくいことを 示 すため に 組 織 風 土 と 個 人 特 性 との 関 連 を 検 討 した はじめに 課 題 へ の 興 味 独 断 性 における 1 次 元 性 を Cronbachのα 係 数 によって 確 認 した 結 果 課 題 への 興 味 では α =.81 独 断 性 では α =.80 であり 高 い 内 的 整 合 性 が 認 められた 以 上 のことから 課 題 への 興 味 独 断 性 および 組 織 風 土 の 強 制 性 活 発 性 の 尺 度 得 点 を 算 出 し Pearson の 相 関 係 数 を 求 めることによ って 組 織 風 土 と 個 人 特 性 との 関 連 を 検 討 した(Table 2) その 結 果 活 発 性 と 課 題 への 興 味 との 間 には わずか に 正 の 相 関 関 係 が 認 められた(r =.15, p <.05)ものの そ の 値 はきわめて 小 さいものであり また 強 制 性 と 独 断 性 に 関 しては 無 相 関 であったことから(r =-.09, n.s.) 本 研 究 において 測 定 された 組 織 風 土 は 個 人 特 性 とは 独 立 し た 概 念 であることが 示 された 個 人 特 性 注 )* p <.05 Table 2 組 織 特 性 と 個 人 特 性 との 相 関 組 織 特 性 活 発 性 強 制 性 課 題 への 興 味.151 * -.103 n.s. 独 断 性 -.101 n.s. -.093 n.s. リーダーシップとの 関 連 リーダーシップとの 関 連 を 検 討 することによって 本 尺 度 の 妥 当 性 を 確 認 した まず リーダーシップ 尺 度 にお ける 課 題 行 動 2 項 目 および 関 係 行 動 2 項 目 の1 次 元 性 を 確 認 した 結 果 課 題 行 動 では r =.80(p <.001) 関 係 行 動 では r =.75(p <.001)であり 項 目 間 の 一 貫 性 が 示 さ れた よってそれぞれの 要 因 について 2 項 目 の 合 成 得 点 を 算 出 し 課 題 行 動 得 点 関 係 行 動 得 点 とした 次 に 課 題 行 動 得 点 および 関 係 行 動 得 点 について 中 点 (6 点 ) 以 下 を 低 群 7 点 以 上 を 高 群 にそれぞれ 調 査 対 象 者 を 分 類 した 以 上 の 手 続 きをもとに 課 題 行 動 およ び 関 係 行 動 の 高 低 群 を 独 立 変 数 組 織 風 土 の 2 つの 構 成 要 素 ( 強 制 性 活 発 性 )をそれぞれ 従 属 変 数 とした 2 2-51 -

強 制 性 の 得 点 13 12 関 係 行 動 低 群 関 係 行 動 高 群 活 発 性 の 得 点 13 12 関 係 行 動 低 群 関 係 行 動 高 群 11 11 10 10 9 課 題 行 動 低 群 課 題 行 動 高 群 9 課 題 行 動 低 群 課 題 行 動 高 群 Figure 1 強 制 性 に 及 ぼすリーダーシップ スタイルの 影 響 Figure 2 活 発 性 に 及 ぼすリーダーシップ スタイルの 影 響 の 2 要 因 分 散 分 析 を 行 った(Figure 1, Figure 2) 強 制 性 を 従 属 変 数 にした 場 合 では 関 係 行 動 の 主 効 果 (F(1, 232) = 5.67, p <.05)が 有 意 であった すなわち 関 係 行 動 が 高 い 群 (M =10.45, SD =2.94)より 低 い 群 (M =11.40, SD =3.34)の 方 が 強 制 性 の 強 い 組 織 風 土 が 形 成 されることが 示 された 一 方 活 発 性 を 従 属 変 数 にした 場 合 では 課 題 行 動 の 主 効 果 (F(1, 234)=86.32, p <.001) および 関 係 行 動 の 主 効 果 (F(1, 234)=56.10, p <.01)が 有 意 であった すな わち 課 題 行 動 においては 低 群 (M =10.73, SD =2.54) の 方 が 高 群 (M =12.79, SD =2.82)より 関 係 行 動 におい ては 低 群 (M =10.68, SD =2.52)の 方 が 高 群 (M =12.44, SD =2.87)より 活 発 的 な 組 織 風 土 が 形 成 されることが 示 された なお 交 互 作 用 は 強 制 性 (F(1, 232)=0.16, n.s.) 活 発 性 (F(1, 234)=0.85, n.s.)ともに 認 められなかった 考 察 Table 1 の 因 子 分 析 結 果 から 本 研 究 における 組 織 風 土 尺 度 は 強 制 性 活 発 性 の 2 因 子 が 構 成 され また 因 子 間 相 関 がきわめて 低 い 独 立 した2 次 元 構 造 が 見 出 された この 因 子 構 造 は 尺 度 を 作 成 するにあたり 想 定 さ れたものであるため 因 子 的 妥 当 性 を 有 していると 考 えら れる また 強 制 性 と 活 発 性 における 内 的 整 合 性 を 検 討 した 結 果 から 尺 度 を 構 成 するに 十 分 な 信 頼 性 が 認 められた といえよう さらに 個 人 特 性 との 関 連 を 検 討 した 結 果 では 組 織 風 土 の 2 要 因 は 独 断 性 課 題 への 興 味 と 無 相 関 あるいはきわめて 弱 い 相 関 関 係 が 見 出 された 独 断 性 の 高 い 対 象 者 は 自 律 的 に 行 動 することを 特 性 的 に 好 むと 考 えられるため 組 織 の 強 制 的 な 風 土 をより 感 じやすい と 考 えられる また 課 題 への 興 味 すなわち 積 極 的 に 自 由 意 志 をもって 様 々な 価 値 あることを 成 し 遂 げたいと 思 う 対 象 者 は そう 思 っていない 対 象 者 より 要 求 水 準 が 高 いため 組 織 風 土 の 活 発 性 を 知 覚 しにくいと 考 えられ る しかし 以 上 の 結 果 からも 本 尺 度 は 個 人 特 性 の 影 響 を 受 けにくい 組 織 レベルの 概 念 を 測 定 しているもの であり すなわち 弁 別 妥 当 性 が 認 められたといえよう 最 後 に リーダーシップとの 関 連 について 考 察 する 活 発 性 に 対 しては 前 述 の 想 定 どおり 課 題 行 動 および 関 係 行 動 の 双 方 がポジティブに 作 用 することが 示 された 組 織 成 員 が 活 発 に 組 織 活 動 に 関 わるためには 集 団 内 の 人 間 関 係 が 円 滑 であることが 求 められることから 関 係 配 慮 的 なリーダーシップは 活 発 性 を 高 めると 考 えられる また 組 織 が 活 性 化 することを 成 員 が 認 識 するためには 集 団 のパフォーマンスも 重 要 な 要 因 であると 考 えられるこ とから 課 題 行 動 も 組 織 風 土 の 活 発 性 を 高 める 規 定 因 で あるといえる 一 方 強 制 性 に 対 しては 関 係 行 動 のみに 主 効 果 が 見 られ 関 係 行 動 が 低 い 場 合 に 強 制 性 が 高 ま ることが 示 された 三 隅 (1984)の PM 理 論 によると 集 団 内 での 人 間 関 係 や 雰 囲 気 の 満 足 度 に 対 しては PM pm Pm pm の 順 に 高 いことが 示 されていることから 秩 序 維 持 のために 組 織 成 員 の 自 由 を 制 限 する 強 制 的 な 風 土 は 人 間 関 係 や 雰 囲 気 に 対 する 配 慮 がないリーダ ーのもとで 高 まりやすいと 推 察 される すわわち 本 尺 度 は リーダーシップとの 関 連 において 収 束 妥 当 性 を 有 しているといえよう 以 上 のことからも 本 尺 度 は 信 頼 性 妥 当 性 を 共 に 備 えた 尺 度 であると 考 えられる 今 回 作 成 された 尺 度 は 強 制 性 活 発 性 共 に4 項 目 ず つと 比 較 的 少 ない 項 目 数 であるため 実 際 に 労 働 組 合 内 で 使 用 する 際 にも 比 較 的 容 易 に 実 施 できる 形 態 であろ う さらに この 2 次 元 は 独 立 したものであることが 示 され たことから その 高 低 の 組 み 合 わせによって 各 組 合 や 組 合 支 部 の 状 態 を 診 断 的 に 把 握 できることも 本 研 究 の - 52 -

現 場 への 応 用 可 能 性 として 挙 げられよう また 今 回 構 成 された 尺 度 は 労 働 組 合 向 けのものであるが この 2 次 元 自 体 はどのような 形 態 の 組 織 においてもみられる 構 造 で あると 考 えられるので 組 合 組 合 員 の 文 言 を 変 更 す ることで さまざまな 組 織 に 適 用 することが 可 能 であろう 本 研 究 における 問 題 点 としては 以 下 のことが 挙 げら れる まず 妥 当 性 の 検 証 が 十 分 に 行 えなかったことが 挙 げられる すなわち 今 後 の 課 題 として 例 えば 実 際 の 支 部 活 動 における 客 観 指 標 との 関 連 を 明 らかにするな ど 予 測 的 妥 当 性 を 検 討 していくことが 必 須 である また 本 研 究 では 対 象 とした 労 働 組 合 が 1 企 業 であり 対 象 者 数 も 少 ない よって さらに 多 くの 組 織 および 対 象 者 数 を 確 保 し 本 尺 度 の 妥 当 性 をより 詳 細 に 検 討 する 必 要 があ ろう 引 用 文 献 坂 東 慧 1984 組 合 の 可 能 性 : 脱 工 業 化 福 祉 社 会 の 組 合 主 義 松 岳 社 Blake, R. R. & Mouton, J. S. 1964 The managerial grid. Houston TX: Gulf. ( 上 野 一 郎 監 訳 1965 期 待 される 管 理 者 像 産 業 能 率 短 期 大 学 ) Field, R. H. G. & Abelson, M. A. 1982 Climate: A reconceptualization and proposed model. Human Relations, 35, 181-201. Fleishman, E. A., Harris, E. F., & Burtt, H. F. 1955 Leadership and supervision in industry. Columbus, OH: Bureau of Educational Research, Ohio State University. 藤 田 誠 1991 組 織 風 土 文 化 と 組 織 コミットメント: 専 門 職 業 家 の 場 合 組 織 科 学, 25, 78-92. 堀 野 緑 1987 達 成 動 機 の 構 成 因 子 : 達 成 動 機 の 概 念 の 再 検 討 教 育 心 理 学 研 究, 35, 148-154. 今 口 忠 政 1977 組 織 風 土 とモティベーションに 関 する 計 量 分 析 :A 社 をケースとして 名 古 屋 商 科 大 学 論 集, 22, 83-100. Johnston, A. R. 1976 A new conceptualization of source of organizational climate. Administrative Science Quarterly, 21, 95-103. Likert, R. 1967 The human organization: Its management and value. New York: McGraw-Hill. ( 三 隅 二 不 二 訳 1968 組 織 の 行 動 科 学 :ヒューマンオーガ ニゼーションの 管 理 と 価 値 ダイヤモンド 社 ) Lippit, R & White, R. 1943 The social climate of children s groups, In D. Cartwright & A. Zander (Eds.), Group dynamics: Research and theory (Chap.28). ( 三 隅 二 不 二 佐 々 木 薫 編 訳 1969 グルー プ ダイナミクス 誠 信 書 房 ) Litwin, G. H. & Stringer, R. A. 1968 Motivation and organizational climate. Boston: Harvard Business School. ( 占 部 都 美 監 訳 1974 経 営 風 土 白 桃 書 房 ) 松 田 浩 平 佐 藤 恵 美 2004 文 京 学 院 大 学 生 における 学 習 への 動 機 づけと 試 験 成 績 の 原 因 帰 属 文 京 学 院 大 学 研 究 紀 要, 6, 149-166. 松 尾 睦 1996 組 織 風 土 の 規 定 因 に 関 する 研 究 産 業 組 織 心 理 学 研 究, 10, 75-87. 三 隅 二 不 二 1984 リーダーシップ 行 動 の 科 学 ( 改 訂 版 ) 有 斐 閣 尾 関 美 喜 吉 田 俊 和 2006 組 織 風 土 が 集 団 内 における 迷 惑 行 為 の 生 起 頻 度 に 及 ぼす 影 響 日 本 社 会 心 理 学 会 第 47 回 大 会 発 表 論 文 集, 440-441. Payne, R. L. & Pheysey, D. 1971 G. C. Stern s organization climate Index: A reconceptualization and application to business organizations, Organizational Behavior and Human Performance, 6, 77-98. 関 本 昌 秀 鎌 形 みや 子 山 口 祐 子 2001 組 織 風 土 尺 度 作 成 の 試 み(I) 豊 橋 創 造 大 学 紀 要, 5, 51-65. 関 本 昌 秀 三 沢 光 男 1997 組 織 風 土 とパーソナリティの 適 合 性 と 組 織 帰 属 意 識 定 着 意 識 職 務 関 与 業 績 との 関 係 に 関 する 一 考 察 豊 橋 創 造 大 学 紀 要, 1, 143-155. 高 原 龍 二 山 下 京 2004 質 問 紙 法 による 日 本 の 産 業 場 面 に おける 状 況 対 応 的 リーダーシップモデルの 研 究 対 人 社 会 心 理 学 研 究, 4, 41-49. 高 田 利 武 2000 相 互 独 立 的 - 相 互 協 調 的 自 己 観 尺 度 に 就 いて 奈 良 大 学 総 合 研 究 所 所 報, 8, 145-163. 外 島 裕 松 田 浩 平 1995 組 織 風 土 の 理 論 と 分 析 技 法 の 開 発 羽 石 寛 寿 ほか( 編 ) 経 営 組 織 診 断 の 理 論 と 技 法 : 人 的 側 面 を 中 心 として(pp. 11-29) 同 友 館 占 部 都 美 海 道 進 1991 経 営 学 大 辞 典 有 斐 閣 八 木 隆 一 郎 1996 調 査 設 計 の 基 本 的 枠 組 社 団 法 人 国 際 経 済 労 働 研 究 所 ( 編 ) ONION2: 参 加 関 与 型 組 織 としての 労 働 組 合 の 再 生 - 社 会 心 理 学 からの 提 言 -(pp. 3-5) 社 団 法 人 国 際 経 済 労 働 研 究 所 吉 田 俊 和 佐 々 木 政 司 栗 林 克 匡 藤 田 達 雄 松 原 敏 浩 1995 学 校 組 織 の 社 会 心 理 学 的 研 究 (I) 名 古 屋 大 学 教 育 学 部 紀 要, 42, 1-15. - 53 -

Developing an organizational climate scale for labor unions Hiromitsu MAEDA (Graduate School of Social Psychology, Kansai University) Shingo ABE (Faculty of Contemporary Human Studies, Baika Women s University) Ryuichiro YAGI (International Economy and Work Research Inst.) The purpose of this study is to develop an organizational climate scale for labor unions, which is composed of two dimensions, activeness and coerciveness. Activeness is defined as a climate that makes members active, and coerciveness is that of restricting freedom of members in order to keep group norms. A total of 330 participants were responded to the questionnaire. The main findings were as follows: factor analysis revealed that this scale was obtained two factors, activeness and coerciveness, and these factors were independent of each other. That is, the factorial validity was confirmed. Next, the discriminant validity and the convergent validity were confirmed by means of examining the relationship of the organizational climate and personality traits or leadership. Finally, the factors of activeness and coerciveness had the internal consistency. Above all, the organizational climate scale that has validity and reliability was developed. Keywords: organizational climate, activeness, coerciveness, labor union. - 54 -