コンクリート工学年次論文集 Vol.27



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市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

試 験 概 略 試 験 目 的 同 同 一 一 規 規 格 格 の の 電 電 熱 熱 線 線 式 式 ヒーティングユニットを2 台 台 並 並 べ べ 片 片 方 方 のユニットに 遠 遠 赤 赤 外 外 線 線 放 放 射 射 材 材 料 料 である アルミ 合 金 エキスパンションメタルを 組

01.活性化計画(上大久保)

Microsoft Word - No.10 西村.doc

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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高濃度硫化水素削減のための汚泥脱気装置の開発

適 用 範 囲 を 拡 大 するために 試 験 施 工 を 実 施 した 図 -1~ に 通 常 期 施 工 の 試 験 施 工 箇 所 から 採 取 した 中 温 化 混 合 物 と のコアの 締 固 め 度 を 示 す スト レートアスファルトを 用 いた 加 熱 アスファルト 混 合 物 お

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18 国立高等専門学校機構

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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耐震改修評定委員会での検討事項                 2000,4,13

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

m07 北見工業大学 様式①

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

第1章 設計マニュアル 本 編

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能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

Microsoft Word - 目次.doc

資 料 -6 平 成 20 年 度 第 2 回 北 陸 地 方 整 備 局 事 業 評 価 監 視 委 員 会 特 定 構 造 物 改 築 事 業 事 後 評 価 説 明 資 料 平 成 20 年 11 月 北 陸 地 方 整 備 局 -0-

第 1 条 適 用 範 囲 本 業 務 方 法 書 は 以 下 の 性 能 評 価 に 適 用 する (1) 建 築 基 準 法 施 行 令 ( 以 下 令 という ) 第 20 条 の7 第 1 項 第 二 号 表 及 び 令 第 20 条 の 8 第 2 項 の 認 定 に 係 る 性 能 評

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

工 事 に 伴 う 伐 採 木 量 を 表 5163 に 示 す 伐 採 木 量 は 340.2tと 予 測 する 発 生 する 木 くずについては 樹 木 の 状 態 により 処 理 が 異 なるため できる 限 り 有 効 利 用 が 図 れる 方 法 で 処 理 を 行 う 区 分 表 516

16 日本学生支援機構

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積 載 せず かつ 燃 料 冷 却 水 及 び 潤 滑 油 の 全 量 を 搭 載 し 自 動 車 製 作 者 が 定 める 工 具 及 び 付 属 品 (スペアタイヤを 含 む )を 全 て 装 備 した 状 態 をいう この 場 合 に おいて 燃 料 の 全 量 を 搭 載 するとは 燃 料

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

スライド 1

Taro-H19退職金(修正版).jtd

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

公表表紙

の 購 入 費 又 は 賃 借 料 (2) 専 用 ポール 等 機 器 の 設 置 工 事 費 (3) ケーブル 設 置 工 事 費 (4) 防 犯 カメラの 設 置 を 示 す 看 板 等 の 設 置 費 (5) その 他 設 置 に 必 要 な 経 費 ( 補 助 金 の 額 ) 第 6 条 補

●電力自由化推進法案

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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Microsoft Word 第1章 定款.doc

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

As 2. 工 事 施 工 の 問 題 点 1 仮 設 方 法 と 施 工 ヤード 施 工 期 間 中 は 既 設 用 排 水 路 を 常 時 通 水 すると 共 に 重 機 と 車 両 の 導 線 を 確 保 する 必 要 があるため φ 10の 仮 設 水 路 (コルゲートパイプ) 布 設 が

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

総合評価点算定基準(簡易型建築・電気・管工事)

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

●幼児教育振興法案

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 A 18,248 11,166 4, ,066 6,42

一般競争入札について

第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20

消 費 ~ 軽 減 率 消 費 の 軽 減 率 制 度 が 消 費 率 10% 時 に 導 入 することとされています 平 成 26 年 4 月 1 日 平 成 27 年 10 月 1 日 ( 予 定 ) 消 費 率 5% 消 費 率 8% 消 費 率 10% 軽 減 率 の 導 入 平 成 26

消 防 庁 危 険 物 保 安 室 殿 ドラム 缶 に 係 る 可 燃 性 蒸 気 対 流 シミュレーション 分 析 業 務 成 果 報 告 書 2013 年 1 月 アドバンスソフト 株 式 会 社

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(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

Microsoft Word - 土木報告No.3頁.doc

スライド 1

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市 の 人 口 密 度 は 5,000 人 を 超 え 図 4 人 口 密 度 ( 単 位 : 人 /k m2) に 次 いで 高 くなっている 0 5,000 10,000 15,000 首 都 圏 に 立 地 する 政 令 指 定 都 市 では 都 内 に 通 勤 通 学 する 人 口 が 多

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03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

5.2 浸 透 に 対 する 堤 防 強 化 工 法 堤 体 を 対 象 と し た 強 化 工 法 難 透 水 性 材 料 被 覆 材 料 ( 土 遮 水 シート 等 ) 堤 防 強 化 工 法 断 面 拡 大 工 法 ドレーン 工 法 表 のり 面 被 覆 工 法 透 水 性 材 料 ドレーン

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

2 立 候 補 するには 次 に 掲 げる 条 件 を 満 たしていることとする (1) 理 事 又 は 評 議 員 2 名 以 上 の 推 薦 があること (2) 連 続 5 年 以 上 本 学 会 の 正 会 員 で 会 費 を 完 納 していること (3) 選 考 が 行 われる 前 年 の1

ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

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Microsoft Word - セット版●報告書要約2月28日「タイにおける省エネルギー技術として有効な屋根用省エネ塗料の技術協力事業」実証事業 (2)

2 出 願 資 格 審 査 前 記 1の 出 願 資 格 (5) 又 は(6) により 出 願 を 希 望 する 者 には, 出 願 に 先 立 ち 出 願 資 格 審 査 を 行 いますので, 次 の 書 類 を 以 下 の 期 間 に 岡 山 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 等


市街化区域と市街化調整区域との区分

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

空 き 家 を 売 却 した 場 合 の,000 万 円 控 除 特 例 の 創 設 被 相 続 人 が 住 んでいた 家 屋 及 びその 敷 地 を 相 続 があった 日 から 年 を 経 過 する 年 の 月 日 までに 耐 震 工 事 をしてから あるいは 家 を 除 却 し てから 売 却

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

Microsoft Word - H27概要版

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

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論 文 浸 透 性 吸 水 防 止 材 で 被 覆 したポーラスコンクリートの 品 質 改 善 吉 田 知 弘 *1 国 枝 稔 *2 小 澤 淳 *3 *4 六 郷 恵 哲 要 旨 : 乾 湿 の 激 しい 環 境 下 での 劣 化 が 懸 念 されているポーラスコンクリートに 対 して, 2 種 類 の 浸 透 性 吸 水 防 止 材 で 被 覆 することにより 乾 湿 繰 返 しに 対 する 抵 抗 性 ( 水 分 の 急 激 な 吸 水 および 排 水 により 生 じる 劣 化 に 対 する 抵 抗 性 )を 向 上 させたポーラスコン クリートの 開 発 を 目 的 とし, 実 験 的 な 検 討 を 行 った その 結 果, 特 に 被 膜 タイプの 吸 水 防 止 材 を 用 いた 場 合 に, 乾 湿 繰 り 返 しに 対 する 抵 抗 性 は 向 上 すること, 吸 水 防 止 材 の 劣 化 が 乾 湿 繰 り 返 し 抵 抗 性 の 低 下 に 深 く 関 係 していることを 明 らかにした キーワード:ポーラスコンクリート, 浸 透 性 吸 水 防 止 材, 乾 湿 繰 り 返 し, 動 弾 性 係 数 1.はじめに ポーラスコンクリートは, 粗 骨 材 間 に 少 量 の セメントペーストをバインダーとして 構 成 させ るオコシ 状 のコンクリートであり, 物 性 や 適 用 性 等 これまでに 多 くの 研 究 が 行 われてきた 1) 一 方,ポーラスコンクリートの 耐 久 性 について は 明 らかになっていない 部 分 も 多 く, 特 に 乾 湿 繰 返 しによる 劣 化 ( 水 分 の 急 激 な 吸 水 および 排 水 により 生 じる 劣 化 に 対 する 抵 抗 性 )が 懸 念 さ れており, 実 験 室 レベルでは 経 時 的 に 劣 化 する 事 例 が 報 告 されている なお,ポーラスコンク リートの 耐 久 性 低 下 に 関 する 特 徴 には 例 えば 以 下 の 点 が 挙 げられる コンクリート 内 部 に 連 続 的 な 空 隙 を 持 つた め, 水 に 接 する 部 分 が 多 く, 表 層 面 で 吸 排 水 が 急 速 に 行 われる よって, 乾 湿 や 凍 結 融 解 の 激 しい 環 境 下 では,ペーストの 劣 化 を 早 める 可 能 性 がある 薄 層 のセメントペースト( 骨 材 間 )に 力 学 性 能 が 依 存 するため,ペーストのわずかな 劣 化 が, 材 料 劣 化 として 顕 在 化 する ポーラスコンクリートを 長 期 的 に 供 用 するた めにも, 劣 化 メカニズムを 定 量 化 し,さらには 耐 久 性 を 向 上 させることが 期 待 される ポーラ スコンクリートの 耐 久 性 を 向 上 させる 方 法 の1 つに,セメントペースト 量 (モルタル 量 )を 増 加 させ, 強 度 を 上 げることが 考 えられる しか し, 所 定 の 空 隙 率 が 確 保 できないことが 懸 念 さ れるため, 空 隙 率 や 骨 材 寸 法 を 変 えずに, 透 水 性 や 耐 久 性 を 向 上 させることが 望 ましい 本 研 究 では,セメントペースト 内 に 浸 透 し, 内 部 組 織 を 改 質 し,かつ 水 分 の 浸 透 を 防 ぐ 機 能 を 有 する 浸 透 性 吸 水 防 止 材 を 用 いて,ポーラス コンクリートの 乾 湿 繰 返 しに 対 する 抵 抗 性 を 向 上 させることを 目 的 とした 基 礎 実 験 を 実 施 した 表 -1 浸 透 性 吸 水 防 止 材 の 概 要 種 類 タイプ 主 成 分 含 有 量 (%) ph 密 度 (g/m 3 ) 液 色 防 水 形 態 吸 水 防 止 材 1 水 性 シリカを 含 むアクリル 酸 エステル 5 8.5 1.17 乳 白 色 造 膜 吸 水 防 止 材 2 水 性 アルキルアルコキシシランモノマー 4 8.95 無 色 疎 水 化 *1 岐 阜 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 土 木 工 学 専 攻 ( 正 会 員 ) *2 名 古 屋 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 社 会 基 盤 工 学 専 攻 助 教 授 博 士 ( 工 ) ( 正 会 員 ) *3 岐 阜 大 学 工 学 部 土 木 工 学 科 *4 岐 阜 大 学 工 学 部 社 会 基 盤 工 学 科 教 授 工 博 ( 正 会 員 )

コンクリートの 種 類 粗 骨 材 寸 法 (mm) 目 標 空 隙 率 (%) W/C (%) p/g *1 単 位 量 (kg/m 3 ) (%) W C *2 S G Ad POC 大 ( 骨 材 径 大 ) 13 2 2.2 3 3 89.1 296.9 169 POC 小 ( 骨 材 径 小 ) 5 13 2.8 3 3 88.3 294.4 1583 普 通 CONC 5 13-62.8-184 293 722 *3 135 1.17 *4 *1 p/g(ペースト 粗 骨 材 比 ) *3 細 骨 材 ( 川 砂 ) 表 -2 各 種 コンクリートの 示 方 配 合 表 *2 早 強 ポルトランドセメント *4 AE 剤 POC1 POC2 写 真 -1 浸 透 性 吸 水 防 止 材 を 被 覆 したポーラスコンクリート 2. 実 験 概 要 2.1 浸 透 性 吸 水 防 止 材 および 使 用 材 料 浸 透 性 吸 水 防 止 材 の 概 要 を 表 -1 に 示 す 本 実 験 では 市 販 されている 2 種 類 の 浸 透 性 吸 水 防 止 材 ( 以 後, 吸 水 防 止 材 1, 吸 水 防 止 材 2 と 称 す)を 使 用 した 吸 水 防 止 材 1 は, 主 成 分 であ るコロイダルシリカ 微 粒 子 が 遊 離 アルカリと 反 応 して,コンクリート 表 面 の 空 隙 を 充 填 するこ とで 緻 密 化 し,アクリルウレタン 樹 脂 が 撥 水 性 のある 防 水 被 膜 を 形 成 する 吸 水 防 止 材 2 はア ルキルアルコキシシランが 加 水 分 解 および 脱 水 縮 合 反 応 を 起 こし, 生 成 したアルキルシロキサ ンポリマーにより 基 材 を 疎 水 化 する 吸 水 防 止 材 1 とは 異 なり 表 面 に 塗 膜 を 形 成 しないため, 外 観 の 変 化 は 見 られないが, 圧 力 下 での 透 水 に 対 する 抵 抗 性 は 乏 しい どちらの 吸 水 防 止 材 も 水 性 であり, 透 湿 性 にも 優 れる 特 性 を 持 つ 材 料 である 表 -2に, 本 実 験 で 用 いた 骨 材 径 の 異 なる 2 種 類 のポーラスコンクリート 及 び 比 較 用 の 普 通 コンクリートの 配 合 を 示 す いずれの 配 合 にお いても,セメントには 早 強 ポルトランドセメン トを 用 いた 粗 骨 材 には, 粒 径 13-2mm の 骨 材 ( 密 度 :2.61g/cm 3, 実 績 率 61.4%) 及 び,5-13mm の 径 の 骨 材 ( 密 度 :2.61g/cm 3, 実 績 率 6.9%) の 2 種 類 を 使 用 した 以 後,それぞれの 骨 材 を 用 いたポーラスコンクリートを POC 大,および POC 小 と 称 す 2.2 作 製 方 法 容 量 1 リットルの 強 制 練 パン 型 ミキサーに, あらかじめ 表 乾 状 態 に 調 整 しておいた 骨 材 など, 水 以 外 の 材 料 を 全 て 投 入 し 十 分 攪 拌 した 後, 水 を 投 入 し 練 り 混 ぜる 空 練 り 方 式 とした 試 料 は 所 定 の 型 枠 に 2 層 に 分 けて 詰 め, 各 層 ごとに 突 き 棒 ( 突 き 部 分 が 35 35mm)にて 十 分 に 締 め 固 めを 行 った すべての 供 試 体 は, 打 設 後 2 日 にて 脱 型 し, 2 の 恒 温 室 内 にて 湿 布 養 生 を 行 った その 後, 材 齢 14 日 にて 気 中 乾 燥 を 1 日 行 い, 吸 水 防 止 材 で 被 覆 した 被 覆 後 は, 屋 外 で 2 日 間 乾 燥 させ, 恒 温 室 内 にて 12 日 間 の 気 中 養 生 を 行 った 次 節 にて 説 明 する 各 種 物 性 試 験 は,すべて 材 齢 29 日 で 行 った

表 -3 物 性 試 験 結 果 *1 空 隙 率 *2 透 水 係 数 *2 圧 縮 強 度 *1 曲 げ 強 度 *2 静 弾 性 係 数 *1 動 弾 性 係 数 コンクリート (%) (cm/s) (MPa) (MPa) (GPa) (GPa) の 種 類 標 準 標 準 標 準 標 準 標 準 標 準 偏 差 偏 差 偏 差 偏 差 偏 差 偏 差 13.7 4.2 1.1.3 8..9 2.3.4 13.2 3.6 21.2 4.3 19.6 3.2 3.7.5 8.6 1.4 2.3.4 12.5 1.2 2.4 3. POC 小 22.3 3.2 2.8.3 8.7.6 2.2.3 12.2 3.6 19.4 3.6 26.3 1.8 4.9.7 8.9 1.2 1.3.2 11.9 2.3 14.6 1.3 27.8 1.2 5.8 1.2 6.1 3.6 1.5.2 1. 2.7 13.2 2.1 POC 大 29.3 2.4 6.1.3 6.9 1.8 1.8.3 12.2 1.5 13.5 1.8 普 通 CONC - - - - 32. 2.8 4.2.3 25.2 1.6 32.1.5 *1 角 柱 供 試 体 (1 1 4mm) *2 円 柱 供 試 体 (φ1 2mm) 乾 燥 炉 へ 1 時 間 気 中 乾 燥 後 初 期 動 弾 性 係 数 を 測 定 4 気 中 乾 燥 (24 時 間 ) 2 水 中 湿 潤 (24 時 間 ) 2~4サイクル 毎 に 動 弾 性 係 数 及 び 質 量 測 定 水 槽 へ 図 -1 乾 湿 繰 り 返 し 試 験 フロー 吸 水 防 止 材 による 被 覆 は, 円 柱 供 試 体 (φ1 2mm) 及 び 角 柱 供 試 体 (1 1 4mm) が 完 全 に 浸 漬 できるボックスを 用 意 し, 吸 水 防 止 材 をそれぞれ 溜 め, 供 試 体 を 溶 液 中 に 浸 漬 さ せる 方 法 とした その 際,コンクリート 内 部 に まで 吸 水 防 止 材 が 行 き 渡 るよう, 浸 漬 中 に 供 試 体 を 反 転 させ, 十 分 に 空 気 を 取 り 除 いた 以 後, 吸 水 防 止 材 1,2 でそれぞれ 被 覆 したポーラスコ ンクリートを POC1,POC2, 無 被 覆 ポーラスコン クリートを POC と 称 し, 外 観 を 写 真 -1に 示 す 2.3 物 性 に 関 する 検 討 本 実 験 では, 空 隙 率, 透 水 係 数 および 強 度 等 の 力 学 特 性 を 求 める 試 験 を 行 った 空 隙 率 と 透 水 係 数 については,JCI エココンクリート 研 究 委 員 会 が 提 案 している ポーラスコンクリート の 空 隙 率 試 験 方 法 ( 案 ) の 容 積 法, ポーラス コンクリートの 透 水 試 験 方 法 ( 案 ) に 準 じて 行 った 空 隙 率, 透 水 係 数 を 計 測 後 に, 圧 縮 強 度, 曲 げ 強 度, 静 弾 性 係 数, 動 弾 性 係 数 も 併 せて 測 定 した なお, 供 試 体 寸 法 は,φ1 2mm の 円 柱 供 試 体 で 空 隙 率, 透 水 係 数, 圧 縮 強 度, 静 弾 性 係 数 を,1 1 4mm の 角 柱 供 試 体 で, 空 隙 率, 曲 げ 強 度, 動 弾 性 係 数 を 測 定 した 2.4 乾 湿 繰 り 返 し 試 験 試 験 方 法 を 図 -1に 示 す 材 齢 29 日 経 過 後, 1 1 4mm の 各 種 コンクリート 供 試 体 ( 各 3 体 )を, 先 ず 乾 燥 炉 (4 )に 24 時 間 置 いて 乾 燥 状 態 にし, 次 に 2 の 恒 温 室 内 の 水 中 ( 水 温 は 約 17 )に 24 時 間 浸 漬 して 湿 潤 状 態 にする この 操 作 を 乾 湿 繰 返 し 1 サイクルとし, 2~4 サイクル 毎 に 動 弾 性 係 数 及 び 質 量 を 測 定 する なお, 測 定 は 湿 潤 工 程 直 後 に 行 うことと し, 水 中 から 取 り 出 した 後, 約 1 時 間, 気 中 で 内 部 の 水 抜 きを 行 い,その 後, 表 面 の 水 をふき 取 り 速 やかに 測 定 した また, 試 験 条 件 は 供 試 体 を 作 製 する 際 に, 熱 電 対 を 供 試 体 中 心 部 に 埋 設 し, 温 度 履 歴 を 計 測 することで 一 定 とした 評 価 項 目 は 相 対 動 弾 性 係 数, 質 量 減 少 率 および マイクロスコープによる 表 面 観 察 の 3 項 目 とし た

空 隙 比 1.5 1.5 1 2 3 空 隙 率 (%) 透 水 係 数 (cm/s) 8 6 4 2 前 後 2 3 空 隙 率 (%) 図 -2 空 隙 率 と 被 覆 後 の 空 隙 比 図 -3 空 隙 率 と 透 水 係 数 の 関 係 3. 実 験 結 果 および 考 察 3.1 物 性 試 験 結 果 今 回 作 製 したポーラスコンクリートの 物 性 試 験 結 果 を 表 -3に 示 す ただし, 各 データはそ れぞれの 平 均 値 とした (1) 強 度 表 -3の 結 果 から, 吸 水 防 止 材 による 被 覆 が 圧 縮 強 度, 曲 げ 強 度 に 及 ぼす 影 響 は 小 さい では, 圧 縮 強 度 はシリーズ 中 最 も 大 き いが, 曲 げ 強 度 は 最 も 小 さくなっているなど, ばらつきが 原 因 と 推 察 されるデータが 見 受 けら れる 吸 水 防 止 材 が 供 試 体 表 面 の 硬 度 を 上 げ, 微 細 なひび 割 れ 等 の 発 生 を 低 減 することで 圧 縮, 曲 げ 強 度 ともに 向 上 させることを 期 待 したが, 全 体 の 傾 向 としては, 本 実 験 ではその 効 果 はほ とんど 確 認 されなかった (2) 空 隙 率 図 -2に, 吸 水 防 止 材 での 被 覆 による 空 隙 率 の 変 化 を, 被 覆 前 の 空 隙 率 に 対 する 被 覆 後 の 空 隙 の 比 ( 空 隙 比 )で 示 した POC2 供 試 体 では, 被 覆 による 空 隙 率 の 変 動 は 見 られないが,POC1 供 試 体 においては, 供 試 体 の 空 隙 率 が 低 いほど, 被 覆 後 の 空 隙 比 が 低 下 する 傾 向 を 示 した 特 に, 空 隙 率 が 15% 程 度 の 供 試 体 では, 被 覆 後 の 空 隙 比 が 半 減 ( 空 隙 率 約 8%)しており, 空 隙 率 が 大 幅 に 下 がったことを 示 している これは,ア クリルウレタン 樹 脂 が 厚 みのある 防 水 被 膜 を 表 面 に 形 成 したため, 吸 水 防 止 材 の 付 着 量 が 見 か 動 弾 性 係 数 (GPa) 3 2 1 POC 小 POC 大 1 2 3 空 隙 率 (%) 図 -4 空 隙 率 と 動 弾 性 係 数 の 関 係 けの 空 隙 率 を 低 下 させたと 考 えられる また, それは 骨 材 径 の 小 さなポーラスコンクリートで 顕 著 であり, 連 続 空 隙 の 細 分 化 により 吸 水 防 止 材 の 付 着 面 積 が 拡 大 したことが 影 響 を 及 ぼして いると 推 測 される さらに, 供 試 体 表 面 を 観 察 すると, 所 々で 吸 水 防 止 材 による 目 詰 まりも 確 認 された 既 往 の 研 究 結 果 においては,5-13mm の 砕 石 を 使 用 したポーラスコンクリートの 空 隙 径 は 約 3mm と 示 されており, 吸 水 防 止 材 が 空 隙 に 充 填 された 可 能 性 も 考 えられる 以 上 より, 被 膜 タイプの 吸 水 防 止 材 をポーラスコンクリー トに 適 用 する 場 合, 空 隙 径 が 空 隙 率 に 与 える 影 響 は 大 きく, 比 較 的 大 きな 骨 材 での 利 用 が 求 め られる 本 研 究 の 範 囲 内 では 骨 材 径 が 13-2mm, 空 隙 率 が 約 3% 程 度 のポーラスコンクリート において 望 ましい 結 果 となった

相 対 動 弾 性 係 数 (%) 1 8 6 4 2 POC 小 POC 大 普 通 CONC 1 2 サイクル 数 ( 回 ) 図 -6 乾 湿 繰 り 返 しによる 相 対 動 弾 性 係 数 質 量 減 少 率 (%) 1 99 98 97 POC 小 96 POC 大 普 通 CONC 95 1 2 サイクル 数 ( 回 ) 図 -7 乾 湿 繰 り 返 しによる 質 量 減 少 サイクル 13 サイクル 25 サイクル 写 真 -2 乾 湿 繰 り 返 しによる 表 面 劣 化 ( 倍 率 25 倍 ) 温 度 ( ) 6 4 2 普 通 CONC POC 小 POC 大 雰 囲 気 温 度 ( 炉 水 中 ) 1サイクル 1 2 3 4 経 過 日 数 (day) 図 -5 温 度 の 経 時 変 化 1サイクル (3) 透 水 係 数 図 -3に 吸 水 防 止 材 の 被 覆 による 空 隙 率 と 透 水 係 数 の 関 係 を 示 す POC1 供 試 体 では, 吸 水 防 止 材 の 被 覆 による 空 隙 率 の 低 下 に 伴 い, 透 水 係 数 も 低 下 する 傾 向 を 示 した これは, 吸 水 防 止 材 が 連 続 空 隙 ( 透 水 に 関 わる 空 隙 )に 被 膜 す ることで,その 膜 厚 が 空 隙 径 を 小 さくしたり, 連 続 空 隙 を 閉 塞 させ 独 立 空 隙 や 半 独 立 空 隙 ( 透 水 に 関 係 の 無 い 空 隙 )に 変 えたことによると 推 察 される 一 方,POC2 供 試 体 では, 被 覆 後 の 透 水 係 数 に 変 化 は 現 れていない また,どの 供 試 体 も 空 隙 率 が 高 くなるにつれて 透 水 係 数 は 比 例 的 に 大 きくなり, 被 覆 後 においても, 空 隙 率 と 透 水 係 数 の 間 には 相 関 性 が 維 持 されていた (4) 動 弾 性 係 数 図 -4に 空 隙 率 と 動 弾 性 係 数 の 関 係 を 示 す 寸 法 の 異 なる 2 種 類 の 骨 材 を 用 いた 場 合 でも, 空 隙 率 の 増 加 に 伴 い 動 弾 性 係 数 は 低 下 し, 空 隙 率 と 動 弾 性 係 数 の 間 には 高 い 相 関 性 が 認 められ た 前 述 のとおり, 空 隙 率 と 圧 縮 強 度 には 高 い 相 関 性 があったことからも, 通 常 のコンクリー トと 同 様 にポーラスコンクリートにおいても, 空 隙 率 と 動 弾 性 係 数 の 間 には, 良 い 相 関 性 が 存 在 している 3.2 乾 湿 繰 返 し 試 験 結 果 (1) 供 試 体 内 部 の 温 度 変 化 図 -5に, 乾 湿 繰 返 し 試 験 において, 熱 電 対 による 供 試 体 内 部 の 温 度 と 外 部 の 温 度 変 化 の 経 時 変 化 を 示 す いずれの 供 試 体 においても, 平

衡 温 度 になるまでに, 加 熱 時 には 12 時 間 程 度, 冷 却 時 には 6 時 間 程 度 必 要 であった さらに, 乾 燥 炉 の 容 量 が 小 さいために, 局 所 的 な 温 度 の 差 が 見 受 けられる 場 合 もあった よって, 本 実 験 では, 各 供 試 体 が 同 一 の 場 所 に 配 置 されない ように 配 慮 することとした (2) 相 対 動 弾 性 係 数, 質 量 減 少 率 乾 湿 繰 り 返 しによる 相 対 動 弾 性 係 数, 質 量 減 少 率 とサイクル 数 の 関 係 をそれぞれ 図 -6,7 に 示 す また,POC1 供 試 体 の 表 層 を 写 真 -2 に 示 す サイクル 数 25 回 において,POC2 供 試 体 およ び POC 供 試 体 では, 動 弾 性 係 数 が 6%まで 低 下 した それに 比 べ,POC1 供 試 体 では 動 弾 性 係 数 および 質 量 減 少 率 ともにわずかに 低 下 する 程 度 であった POC2 供 試 体 では, 吸 水 防 止 性 能 としてシリコーンが 水 の 浸 透 とともにセメン トペースト 内 部 へ 浸 透 し, 表 面 に 撥 水 層 が 形 成 される しかしながら, 本 実 験 で 使 用 したポー ラスコンクリートは 水 セメント 比 3%と 緻 密 なマトリックスであることから, 内 部 への 浸 透 が 少 なく 液 ダレや 揮 発 を 起 こした 可 能 性 2) が 考 えられ,POC 供 試 体 と 同 程 度 の 乾 湿 繰 り 返 し に 対 する 抵 抗 性 を 示 したと 予 想 される POC1 供 試 体 においては,アクリルウレタン 樹 脂 の 層 が 水 分 の 吸 収 を 抑 制 したものと 考 えられる た だし,POC1 供 試 体 の 表 層 部 では, 試 験 開 始 直 後 から, 約 13 サイクルにかけては, 表 面 に 微 細 なひび 割 れが 発 生 するに 留 まっているが,その 後, 終 了 25 サイクルにかけて, 頻 繁 に 吸 水 防 止 材 の 剥 離 が 生 じていた これは, 動 弾 性 係 数 の 低 下 と 関 係 深 く, 吸 水 防 止 材 の 劣 化 ( 比 較 的 大 きなひび 割 れの 発 生 )が 乾 湿 繰 り 返 しに 対 する 抵 抗 性 の 低 下 を 促 進 したものと 推 察 される 以 上 より, 動 弾 性 係 数 の 低 下 により 評 価 されると 考 えられる 乾 湿 繰 返 しによるポーラスコンクリ ートの 劣 化 のメカニズムとして,セメントペー スト 表 面 での 微 細 なひび 割 れの 発 生,およびそ れに 起 因 して 生 じた 供 試 体 表 面 近 傍 の 骨 材 の 欠 落 ち( 質 量 減 少 で 表 される)が 考 えられる ま た, 乾 湿 繰 り 返 しに 対 する 抵 抗 性 の 向 上 には 被 膜 タイプの 吸 水 防 止 材 が 有 効 であるが,その 場 合 は, 吸 水 防 止 材 の 劣 化 が 耐 久 性 の 低 下 に 深 く 関 係 していると 予 想 される 4.おわりに 本 研 究 にて 得 られた 結 論 を 以 下 に 示 す 1) 吸 水 防 止 材 が,ポーラスコンクリートの 各 種 力 学 特 性 に 与 える 影 響 は 小 さく, 吸 水 防 止 材 の 種 類 によっては, 空 隙 率 及 び 透 水 係 数 が 低 下 する 傾 向 を 示 した 2) ポーラスコンクリート 供 試 体 内 に 熱 電 対 を 配 置 し, 供 試 体 内 部 の 温 度 変 化 を 計 測 した 結 果, 本 研 究 では 所 定 の 温 度 に 到 達 するま でに 時 間 差 が 生 じた 乾 燥 炉 を 用 いた 乾 湿 繰 返 し 試 験 においては,その 容 量 によって は 局 所 的 な 温 度 のばらつきが 認 められる 場 合 があるため, 供 試 体 の 配 置 等 には 注 意 す る 必 要 があった 供 試 体 内 部 の 昇 温 速 度 や 表 面 と 内 部 の 温 度 差 などが 劣 化 に 及 ぼす 影 響 等 についても 引 き 続 き 検 討 が 必 要 である 3) 本 実 験 の 条 件 においては, 内 部 に 含 浸 し 表 層 を 改 質 する 吸 水 防 止 材 ( 吸 水 防 止 材 2)で 被 覆 したポーラスコンクリートでは, 乾 湿 繰 返 しに 対 する 抵 抗 性 の 改 善 効 果 は 少 なく, 緻 密 なポーラスコンクリートのマトリックスに, 当 該 材 料 が 十 分 に 浸 透 していない 可 能 性 が 考 えられる 逆 に, 被 膜 タイプの 吸 水 防 止 材 ( 吸 水 防 止 材 1)が 効 果 的 であり,その 場 合 は, 吸 水 防 止 材 の 劣 化 がポーラスコンクリー トの 耐 久 性 の 低 下 に 深 く 関 係 していると 予 想 される 参 考 文 献 1) コンクリート 工 学 協 会 :ポーラスコンクリ ートの 設 計 施 工 法 の 確 立 に 関 する 研 究 委 員 会 報 告 書,pp.65-7,23 2) 林 大 介 他 :シラン シロキサン 系 撥 水 材 の 開 発,コンクリート 工 学 年 次 論 文 集, Vol.22,pp.31-36,2