海 外 レースの 馬 券 発 売 をめぐる 課 題 競 馬 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 が 成 立 農 林 水 産 委 員 会 調 査 室 高 橋 陽 子 はじめに 競 馬 の 国 際 化 の 進 展 等 最 近 の 競 馬 をめぐる 情 勢 の 変 化 に 鑑 み 海 外 で 実 施 される 特 定 の 競 馬 の 競 走 について 日 本 中 央 競 馬 会 等 が 勝 馬 投 票 券 ( 馬 券 )を 発 売 できることとする 競 馬 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 ( 閣 法 第 47 号 )( 以 下 本 法 律 案 という )が 第 189 回 国 会 に 提 出 され 平 成 27 年 4 月 24 日 に 成 立 して5 月 7 日 に 公 布 された( 平 成 27 年 法 律 第 18 号 ) 本 稿 では 改 正 に 至 る 経 緯 改 正 内 容 の 概 要 とともに 衆 参 の 農 林 水 産 委 員 会 における 主 な 論 議 を 紹 介 することとしたい 1. 改 正 に 至 る 経 緯 我 が 国 の 競 馬 は 旧 競 馬 法 ( 大 正 12 年 法 律 第 47 号 ) 1 により 法 的 根 拠 が 与 えられ 戦 後 は 新 たな 競 馬 法 ( 昭 和 23 年 法 律 第 158 号 )の 制 定 を 経 て その 収 益 により 国 及 び 地 方 公 共 団 体 の 財 政 に 寄 与 するとともに 畜 産 業 の 振 興 に 貢 献 し また 国 民 に 対 してレジャー の 場 を 提 供 してきた 中 央 競 馬 と 地 方 競 馬 という 現 在 の 競 馬 実 施 体 制 は 昭 和 29 年 の 日 本 中 央 競 馬 会 (JRA)の 発 足 及 び 昭 和 37 年 の 地 方 競 馬 全 国 協 会 の 発 足 により 確 立 し 我 が 国 の 経 済 成 長 とともに 発 展 してきた 昭 和 56 年 に 国 際 招 待 競 走 2 ジャパンカップ が 創 設 されるとともに 国 際 交 流 競 走 の 整 備 が 進 み それに 伴 う 外 国 調 教 馬 の 参 戦 の 増 加 などにより 日 本 の 競 馬 の 国 際 化 が 進 ん できた また 平 成 10 年 にシーキングザパールが 日 本 調 教 馬 ( 日 本 馬 )として 初 めて 海 外 GⅠ 制 覇 3 を 達 成 したのを 皮 切 りに 日 本 馬 が 積 極 的 に 海 外 遠 征 を 行 い 好 成 績 を 収 めてい る 平 成 23 年 世 界 最 高 賞 金 額 の 競 走 であるドバイワールドカップ(GⅠ)では ヴィク トワールピサが1 着 トランセンドが2 着 となった さらに 平 成 26 年 ドバイデューティ フリー(GⅠ)でジャスタウェイが 圧 勝 ジャパンカップ(GⅠ)ではジャスタウェイを 抑 えてエピファネイアが 優 勝 し それぞれ 世 界 ランキング 4 1 位 2 位 となった 日 本 馬 は 世 界 的 にも 高 く 評 価 され 国 内 の 競 馬 ファンの 関 心 が 高 まっている しかし 現 行 競 馬 法 では 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 については 規 定 がないため JRA 等 が 海 外 競 馬 について 勝 馬 投 票 券 を 発 売 することができない 国 内 競 走 馬 5 が 出 走 しているにもかかわらず 勝 馬 投 票 1 軍 馬 の 資 源 増 大 と 資 質 向 上 といった 馬 産 振 興 のために 制 定 された 2 招 待 競 走 とは 主 催 者 が 所 属 外 の 競 走 馬 を 招 待 し 出 走 費 用 や 滞 在 費 用 を 負 担 する 競 走 のことをいう 3 フランスのモーリスドゲスト 賞 (GⅠ)で 優 勝 4 ロンジン ワールド ベスト レースホース ランキング 2014( 国 際 競 馬 統 括 機 関 連 盟 が 世 界 的 な 主 要 レ ースでの 成 績 に 基 づき 競 走 用 馬 の 評 価 を 実 施 し その 結 果 をランキング 化 して 公 表 したもの) 5 競 馬 法 第 14 条 又 は 第 22 条 に 基 づき JRA 又 は 地 方 競 馬 全 国 協 会 に 登 録 された 馬 をいう 76 立 法 と 調 査 2015.6 No. 365( 参 議 院 事 務 局 企 画 調 整 室 編 集 発 行 )
券 の 売 上 げを 原 資 とした 畜 産 振 興 等 の 公 益 への 貢 献 ができない 状 況 や 有 力 馬 が 国 内 競 馬 に 出 走 しなくなることに 伴 う 売 上 げの 減 少 への 懸 念 もあることを 踏 まえ 本 法 律 案 が 平 成 27 年 3 月 13 日 に 内 閣 から 参 議 院 に 提 出 された 本 法 律 案 は 衆 参 両 院 でいずれも 全 会 一 致 をもって 可 決 成 立 した 2. 改 正 内 容 の 概 要 主 な 改 正 内 容 は 以 下 のとおりである (1) 海 外 競 馬 の 競 走 についての 勝 馬 投 票 券 の 発 売 JRA 又 は 地 方 競 馬 主 催 者 6 は 競 馬 の 公 正 を 確 保 するための 措 置 が 講 じられている 海 外 競 馬 の 競 走 のうち 農 林 水 産 大 臣 が 指 定 したものについて あらかじめ 農 林 水 産 大 臣 の 認 可 を 受 けて 勝 馬 投 票 券 を 発 売 することができることとする( 図 表 1) また この 改 正 に 伴 い 馬 の 改 良 増 殖 その 他 畜 産 の 振 興 への 寄 与 と 地 方 財 政 の 改 善 を 図 るという 競 馬 法 の 趣 旨 を 明 確 化 する 規 定 を 設 けるとともに 競 馬 関 係 者 の 勝 馬 投 票 券 の 購 入 制 限 等 の 規 定 に ついて 所 要 の 改 正 を 行 うこととする 図 表 1 国 内 における 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 発 売 イメージ(JRAの 場 合 ) ( 出 所 ) 農 林 水 産 省 資 料 (2) 競 馬 の 監 督 体 制 の 整 備 主 として 地 方 競 馬 の 監 督 を 円 滑 かつ 合 理 的 に 行 うため 農 林 水 産 大 臣 の 権 限 の 一 部 を 地 方 農 政 局 長 又 は 北 海 道 農 政 事 務 所 長 に 委 任 できることとする 3. 主 な 論 議 (1) 競 馬 振 興 の 意 義 勝 馬 投 票 券 の 発 売 は 刑 法 第 187 条 第 1 項 でその 発 売 行 為 が 禁 止 されている 富 くじの 性 6 都 道 府 県 又 は 指 定 市 町 村 ( 競 馬 法 第 1 条 により 総 務 大 臣 が 農 林 水 産 大 臣 と 協 議 して 指 定 する 市 町 村 )をい う 77
質 を 持 っており 本 来 違 法 行 為 に 当 たるが 競 馬 法 によってその 特 例 として 認 められている そこでまず 国 が 競 馬 を 振 興 することの 意 義 について 確 認 する 質 疑 があった これに 対 し 農 林 水 産 省 は 競 馬 が 売 上 げの 一 部 を 財 源 として 馬 の 改 良 増 殖 と 畜 産 の 振 興 国 及 び 地 方 公 共 団 体 の 財 政 にも 寄 与 する 7 と 同 時 に 国 民 への 健 全 な 娯 楽 の 提 供 といった 役 割 を 果 たしていると 答 弁 した また 中 央 地 方 合 わせて5 万 人 以 上 の 競 馬 関 係 者 年 間 900 万 人 以 上 の 競 馬 場 への 来 場 者 ( 延 べ 人 数 ) 等 による 地 域 経 済 への 貢 献 や 馬 産 地 では 競 走 馬 生 産 が 地 域 経 済 の 中 心 であることも 挙 げている 8 また 本 法 律 案 で 新 たに 競 馬 法 の 趣 旨 規 定 を 設 ける 理 由 について 農 林 水 産 省 は 海 外 競 馬 の 競 走 についての 勝 馬 投 票 を 競 馬 法 上 に 位 置 付 けるに 当 たり 海 外 競 馬 の 競 走 につい ての 勝 馬 投 票 が 競 馬 法 上 の 競 馬 の1つとして 行 われることを 明 確 化 するためとしている 9 (2) 海 外 競 馬 の 競 走 についての 勝 馬 投 票 券 の 発 売 ア 公 正 性 の 確 保 日 本 以 外 でもフランス 英 国 香 港 アラブ 首 長 国 連 邦 アメリカ 合 衆 国 豪 州 など で 盛 んに 競 馬 が 行 われている 競 馬 の 実 施 に 当 たっては 国 民 の 信 頼 を 確 保 するため 公 正 性 の 確 保 が 最 も 重 要 な 要 件 であり 国 内 競 馬 では 馬 主 や 調 教 師 騎 手 の 資 格 の 制 限 や 競 走 前 における 騎 手 馬 の 外 部 との 接 触 の 遮 断 不 正 行 為 防 止 のための 競 走 の 監 視 等 の 措 置 が 講 じられている 一 方 で 各 国 の 競 馬 施 行 の 形 態 は 歴 史 や 政 治 社 会 制 度 などにより 様 々である 本 法 律 案 においては 海 外 競 馬 の 競 走 のうち 我 が 国 と 同 等 の 水 準 にあると 認 められ る 競 馬 監 督 制 度 により 公 正 性 確 保 のための 措 置 が 講 じられているものを 農 林 水 産 大 臣 が 指 定 することとなっている この 点 について 公 正 性 確 保 の 具 体 的 な 方 策 について 質 疑 があった 農 林 水 産 省 は 国 内 での 勝 馬 投 票 券 発 売 の 対 象 とする 海 外 競 馬 の 競 走 につい ては 外 国 の 法 令 に 基 づいて 外 国 の 行 政 機 関 又 はこれに 準 ずるものの 監 督 を 受 けている 競 馬 であることが 必 要 であり さらに 競 馬 に 関 する 国 際 機 関 である 国 際 競 走 統 括 機 関 連 盟 (IFHA)の 加 盟 国 の 競 馬 主 催 者 が 行 う 競 走 であること IFHAで 定 められて いるパリ 協 約 に 基 づく 公 正 性 の 担 保 措 置 が 講 じられていることなどから 当 該 競 走 の 公 正 性 が 確 保 されているかどうかについて 判 断 する 旨 の 答 弁 があった 10 また 当 該 海 外 レースに 関 する 情 報 提 供 の 在 り 方 については 農 林 水 産 大 臣 が 行 う 発 売 の 認 可 に 当 たっ て JRA 等 が 海 外 競 馬 主 催 者 との 間 で 映 像 の 提 供 を 内 容 とする 契 約 を 締 結 することを 7 中 央 競 馬 については 日 本 中 央 競 馬 会 法 第 27 条 及 び 第 36 条 によって 売 得 金 及 び 剰 余 金 の 一 定 額 を 国 庫 納 付 した 上 で 畜 産 振 興 及 び 社 会 福 祉 といった 特 定 の 公 益 目 的 に 充 てることとされている また 地 方 競 馬 に ついては 競 馬 法 第 23 条 に 基 づき 売 得 金 の 一 定 額 が 地 方 競 馬 全 国 協 会 に 交 付 され この 協 会 を 通 じて 畜 産 振 興 等 を 図 るとともに その 収 益 が 地 方 競 馬 主 催 者 の 財 政 収 入 となる 仕 組 みとなっている 8 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 1 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 9 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 11 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 10 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 4 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 78
確 認 すると 答 弁 している 11 JRAからも ファンに 対 する 外 国 馬 の 情 報 提 供 はホーム ページを 始 めとして 様 々な 媒 体 を 活 用 して 行 っていく 旨 の 答 弁 があった 12 なお 発 売 可 能 となるレース 数 について 農 林 水 産 省 は 近 年 の 国 内 競 走 馬 の 出 走 実 績 等 を 踏 まえ 年 間 20 レース 程 度 になるとの 見 込 みを 示 した 13 イ 法 施 行 後 の 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 発 売 に 至 るスケジュール 及 び 時 差 への 対 応 本 法 律 案 の 施 行 期 日 は 公 布 の 日 から6 月 を 超 えない 日 となっているが 法 施 行 後 の 具 体 的 なスケジュールについて 質 疑 があった 農 林 水 産 省 から 法 施 行 後 の 流 れとして 農 林 水 産 大 臣 が 勝 馬 投 票 券 の 発 売 対 象 とする 海 外 競 馬 の 競 走 を 指 定 し JRA 等 が 海 外 の 競 馬 主 催 者 との 間 で 勝 馬 投 票 の 対 象 競 走 の 結 果 の 確 認 方 法 や 映 像 権 利 料 の 支 払 などを 内 容 とする 契 約 を 結 ぶための 調 整 が 行 われるとともに 勝 馬 投 票 券 の 発 売 システムの 改 修 等 が 必 要 になる 旨 の 説 明 があり 実 際 の 勝 馬 投 票 券 の 発 売 開 始 は 早 くて 平 成 28 年 度 に なるとの 見 通 しが 示 された 14 また ヨーロッパやドバイ(アラブ 首 長 国 連 邦 )のレースについては 日 本 時 間 で 深 夜 から 未 明 にかけて 行 われるが 競 馬 場 や 場 外 発 売 所 における 勝 馬 投 票 券 の 発 売 は 深 夜 に 行 うことが 認 められていない レース 直 前 に 勝 馬 投 票 券 の 対 面 での 発 売 が 行 われない ことへの 影 響 及 び 対 応 策 について 質 疑 があった 農 林 水 産 省 としては 既 に 勝 馬 投 票 の 過 半 がインターネット 電 話 投 票 で 行 われている 状 況 15 も 踏 まえ これらを 活 用 してフ ァンの 利 便 性 を 検 討 していくとしている 16 ウ 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 発 売 による 売 上 げの 見 込 み 及 び 払 戻 率 等 の 見 直 し 可 能 性 勝 馬 投 票 券 の 発 売 を 刑 法 の 特 例 として 認 める 意 義 を 踏 まえ 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 発 売 についてもその 売 上 げを 通 じた 畜 産 振 興 等 の 公 益 への 貢 献 が 果 たせるのかという 観 点 から 売 上 げとJRAの 収 支 の 見 込 みについて 質 疑 があった JRAとしては 地 方 競 馬 のGⅠレースである 東 京 大 賞 典 17 の 売 上 げが 約 20 億 円 であることから この 額 を 発 売 金 の 目 標 の 目 安 としている 旨 の 答 弁 があった 18 さらに 近 年 の 国 内 競 走 馬 の 出 走 実 績 を 踏 まえて 20 レースを 対 象 に 発 売 した 場 合 売 上 げは 年 間 で 約 400 億 円 程 度 になる 一 方 で 固 定 的 な 経 費 としてシステム 開 発 及 び 運 用 に 年 間 約 5 億 円 余 りを 見 込 んでいるこ とから 売 上 げが 目 標 に 達 しない 場 合 でも 相 応 の 収 益 は 確 保 できる 見 込 みであるとして いる 19 11 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 4 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 12 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 13 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 4 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 14 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 10 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 15 JRAの 平 成 26 年 の 発 売 金 総 額 (2 兆 4,996 億 円 )における 電 話 インターネット 投 票 による 発 売 金 額 は 全 体 の 61.9%(1 兆 5,474 億 円 )を 占 める 16 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 6 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 17 特 別 区 競 馬 組 合 が 大 井 競 馬 場 で 施 行 する 重 賞 競 走 (GⅠ)である 18 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 8 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 19 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 8 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 79
また 国 内 競 馬 の 売 上 げについては 中 央 競 馬 の 場 合 売 得 金 20 の 約 75%が 払 い 戻 さ れ 10%が 国 の 一 般 会 計 に 納 付 される( 第 1 国 庫 納 付 金 ) 残 りの 約 15%と 勝 馬 投 票 券 以 外 の 収 入 ( 入 場 料 や 登 録 料 等 )が 競 馬 の 開 催 費 に 充 てられ その 剰 余 金 のうち 半 分 が 国 の 一 般 会 計 に 納 付 され( 第 2 国 庫 納 付 金 ) 残 りの 半 分 は 競 馬 振 興 事 業 や 払 戻 金 の 上 乗 せなどに 使 われる 特 別 振 興 資 金 等 に 充 てられる( 図 表 2) 21 図 表 2 JRAの 売 得 金 の 流 れ( 平 成 26 年 度 決 算 ) 売 得 金 2 兆 4,936 億 円 入 場 料 などの 収 入 176 億 円 約 75% 売 得 金 の 10% 約 15% 払 戻 し 1 兆 8,726 億 円 第 1 国 庫 納 付 金 ( 法 第 27 条 第 1 項 ) 2,494 億 円 競 馬 開 催 経 費 等 3,495 億 円 国 の 一 般 会 計 2,692 億 円 第 1 国 庫 納 付 金 :2,494 億 円 第 2 国 庫 納 付 金 : 198 億 円 3/4 畜 産 振 興 ( 法 第 36 条 第 1 項 ) 1/4 社 会 福 祉 ( 法 第 36 条 第 1 項 ) 年 度 は 競 馬 会 の 事 業 年 度 (1~12 月 )である 法 : 日 本 中 央 競 馬 会 法 剰 余 金 397 億 円 198 億 円 1/2 1/2 198 億 円 第 2 国 庫 納 付 金 ( 法 第 27 条 第 2 項 ) 198 億 円 特 別 振 興 事 業 ( 法 第 29 条 の2 第 3 項 ) 払 戻 金 の 上 乗 せ 競 馬 振 興 事 業 馬 の 改 良 など 畜 産 振 興 事 業 地 方 競 馬 全 国 協 会 への 交 付 金 ( 地 方 競 馬 活 性 化 事 業 競 走 馬 生 産 振 興 事 業 ) ( 出 所 ) 農 林 水 産 省 資 料 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 発 売 による 売 得 金 は 国 内 競 馬 の 場 合 と 同 様 に 扱 われるが 海 外 競 馬 についてはそのコスト 等 を 踏 まえた 上 で 払 戻 しや 国 庫 納 付 の 引 上 げを 検 討 すべき ではないかとの 質 疑 があった この 点 について 農 林 水 産 大 臣 は 20 レース 程 度 と 想 定 さ れる 海 外 競 馬 の 対 象 競 走 が 国 内 競 馬 全 体 のレース 数 ( 中 央 競 馬 と 地 方 競 馬 の 合 計 で 約 17,000)に 対 して 小 さいことなども 踏 まえつつ 今 後 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 発 売 によ る 売 上 げ 及 び 経 費 を 見 極 めていく 必 要 があると 答 弁 している 22 エ 国 内 競 馬 への 影 響 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 発 売 によって 海 外 競 馬 の 競 走 に 対 するファンの 関 心 が 高 まる 一 方 国 内 競 馬 への 関 心 が 薄 れ 国 内 競 馬 の 売 上 げが 減 る 可 能 性 についての 懸 念 も 示 さ 20 売 得 金 とは 勝 馬 投 票 券 の 発 売 金 額 から 競 馬 法 第 12 条 の 規 定 により 投 票 無 効 の 場 合 に 返 還 すべき 金 額 を 控 除 した 残 額 をいう( 競 馬 法 第 8 条 ) 平 成 26 年 度 のJRAの 売 得 金 は2 兆 4,936 億 円 である 21 なお 地 方 競 馬 の 場 合 ( 平 成 26 年 度 )は 売 得 金 の 約 74%が 払 い 戻 され 約 25%が 競 馬 開 催 経 費 に 約 1% が 地 方 競 馬 全 国 協 会 への 交 付 金 に 充 てられ 剰 余 は 主 催 する 地 方 公 共 団 体 の 一 般 会 計 に 配 分 される 22 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 14 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 80
れた これに 対 し 農 林 水 産 省 は 世 界 的 にレベルの 高 い 競 走 で 国 内 競 走 馬 が 活 躍 するこ とは 日 本 の 競 馬 ファンの 競 馬 そのものへの 関 心 を 更 に 高 めるとともに 帰 国 後 に 国 内 競 走 に 出 走 する 場 合 に 話 題 性 も 高 まること 等 が 期 待 され 国 内 競 馬 への 関 心 が 薄 れる 心 配 はないとしている 23 (3) 中 央 競 馬 及 び 地 方 競 馬 をめぐる 現 状 と 課 題 ア 中 央 競 馬 をめぐる 現 状 と 課 題 バブル 崩 壊 後 も 売 上 げを 拡 大 していた 中 央 競 馬 は 平 成 9 年 に 史 上 初 の4 兆 円 台 の 売 上 げを 記 録 したが その 後 は 一 貫 して 減 少 していた 平 成 23 年 を 底 に3 年 連 続 で 売 上 げ が 増 加 しているものの ピーク 時 の6 割 程 度 にとどまっている( 図 表 3) 今 後 見 込 まれ る 人 口 減 少 等 の 社 会 構 造 の 変 化 も 踏 まえ 競 馬 の 魅 力 の 普 及 及 び 売 上 げを 維 持 拡 大 さ せるための 方 策 について 質 疑 がなされた 図 表 3 JRAの 売 得 金 入 場 人 員 及 び 総 参 加 人 員 の 推 移 H ( 年 ) ( 注 ) 総 参 加 人 員 とは 開 催 競 馬 場 の 入 場 人 員 に パークウインズ 場 外 発 売 所 電 話 インターネット 投 票 の 利 用 者 数 を 加 えた 延 べ 人 数 である ( 出 所 ) 農 林 水 産 省 資 料 農 林 水 産 省 は 将 来 にわたって 競 馬 の 安 定 的 な 発 展 を 図 るためには 新 たなファン 層 の 開 拓 が 必 要 との 認 識 を 示 した 上 で 競 馬 を 含 めた 馬 事 文 化 を 広 く 理 解 してもらうための 各 競 馬 主 催 者 の 取 組 を 紹 介 した 24 また JRAは 幅 広 い 客 層 に 競 馬 に 参 加 してもら 23 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 6 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 24 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 2 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 81
うため 身 近 さ 分 かりやすさ 参 加 しやすさにベースを 置 いた 様 々な 施 策 に 取 り 組 ん でいる 旨 の 答 弁 があり また 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 発 売 は 競 馬 ファンのみならず 一 般 メディアからも 関 心 が 高 いことから 国 際 的 なスポーツエンターテイメントとしての 競 馬 の 魅 力 の 普 及 に 寄 与 することが 期 待 されるとしている 25 イ 地 方 競 馬 をめぐる 現 状 と 課 題 地 方 公 共 団 体 が 主 催 者 である 地 方 競 馬 は その 売 上 げが 平 成 3 年 度 の 9,862 億 円 をピ ークに 減 少 が 続 き 平 成 23 年 度 の 売 上 げは 3,314 億 円 となった 平 成 24 年 度 以 降 は2 年 連 続 で 売 上 げが 増 加 しているが 平 成 25 年 度 の 売 上 げは 3,553 億 円 とピーク 時 の 36% にとどまっている( 図 表 4) また 平 成 12 年 度 以 降 は 廃 止 ドミノ 26 とも 呼 ばれる 競 馬 場 の 廃 止 が 相 次 ぎ 平 成 24 年 度 までの 間 に 10 の 地 方 競 馬 主 催 者 が 撤 退 地 方 競 馬 主 催 者 は 現 在 14 となっている こうした 地 方 競 馬 の 現 状 に 対 する 認 識 やその 振 興 策 につ いても 問 われた 図 表 4 地 方 競 馬 における 入 場 人 員 及 び 売 得 金 の 推 移 ( 出 所 ) 農 林 水 産 省 資 料 農 林 水 産 省 は 平 成 24 年 の 競 馬 法 改 正 によりJRAからの 資 金 交 付 措 置 の 期 限 が 平 成 29 年 度 まで 延 長 された 地 方 競 馬 活 性 化 事 業 27 の 活 用 のほか 競 馬 番 組 の 魅 力 向 上 のため の 地 方 競 馬 間 やJRAとの 交 流 競 走 及 びシリーズ 化 馬 券 の 発 売 払 戻 システムの 共 同 25 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 2 頁 同 5 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 26 日 本 経 済 新 聞 ( 平 成 22 年 12 月 31 日 ) 毎 日 新 聞 ( 平 成 23 年 2 月 24 日 ) 等 27 地 方 競 馬 主 催 者 が 地 方 競 馬 全 国 協 会 の 補 助 を 受 けて 地 方 競 馬 主 催 者 間 やJRAとの 間 の 連 携 を 強 化 し フ ァンの 利 便 性 競 馬 の 魅 力 の 向 上 を 推 進 するために 行 う 事 業 をいう 82
化 等 によって 地 方 競 馬 の 売 上 げ 向 上 と 各 主 催 者 の 経 費 削 減 地 方 競 馬 の 収 支 の 改 善 に 寄 与 したとの 見 方 を 示 し 平 成 26 年 度 の 主 催 者 ごとの 単 年 度 収 支 は 全 ての 主 催 者 で 黒 字 と なる 見 込 みである 旨 答 弁 した さらに 海 外 競 馬 の 勝 馬 投 票 券 の 発 売 等 を 通 じ JR Aが 行 う 支 援 措 置 28 の 安 定 的 な 財 源 確 保 を 図 りつつ さらなる 地 方 競 馬 の 振 興 を 進 める としている 29 また JRAは 従 来 行 ってきた 交 流 競 走 相 互 発 売 施 設 整 備 での 地 方 競 馬 との 連 携 のほか JRAから 地 方 競 馬 全 国 協 会 に 対 する 資 金 支 援 策 等 の 効 果 もあり 中 央 競 馬 地 方 競 馬 は 共 に 売 上 げがここ 数 年 堅 調 に 推 移 していると 答 弁 している さらに 地 方 競 馬 はそれぞれの 主 催 者 が 地 域 の 特 性 を 生 かしつつ 実 施 しており 競 馬 への 理 解 を 深 め るためにもその 存 在 は 重 要 であることから 引 き 続 き 必 要 な 支 援 を 行 っていくとした 30 さらに 本 法 律 案 による 地 方 競 馬 の 監 督 体 制 の 整 備 に 関 し その 意 義 について 質 され た 農 林 水 産 省 は 地 方 競 馬 における 禁 止 薬 物 陽 性 馬 の 多 発 等 を 踏 まえ 地 方 競 馬 主 催 者 が 所 在 する 地 方 農 政 局 等 において 管 内 の 主 催 者 を 専 従 的 に 担 当 する 競 馬 監 督 官 を 配 置 することにより 臨 場 監 督 等 を 通 じた 現 場 での 指 導 の 機 会 を 増 やすことによって 公 正 確 保 上 の 問 題 事 案 を 未 然 に 防 止 することにつなげたいとしている 31 (4) 我 が 国 の 競 走 馬 生 産 及 び 馬 産 地 振 興 等 我 が 国 の 競 走 馬 生 産 は 北 海 道 を 中 心 に 行 われているが その 数 は 平 成 4 年 の 12,874 頭 を ピークに 減 少 が 続 いており 近 年 は 7,000 頭 弱 となっている( 図 表 5) これは サラブレ ッドに 比 べてスピードが 劣 るアラブ 系 競 走 馬 の 競 走 が 廃 止 されたこと 32 や 地 方 競 馬 の 廃 止 に 伴 うレース 数 の 減 少 及 び 出 走 頭 数 の 減 少 地 方 競 馬 における 賞 金 の 削 減 等 が 相 次 いだ ことによるものとされる 外 国 産 馬 に 対 抗 し 得 る 強 い 競 走 馬 を 生 産 するためには 一 定 の 生 産 頭 数 を 確 保 して そこから 優 れた 馬 を 選 抜 していく 必 要 があるため 生 産 頭 数 の 減 少 は 我 が 国 の 強 い 馬 作 りに 悪 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 がある こうした 厳 しい 状 況 にある 馬 産 地 の 振 興 対 策 について 質 疑 があり 農 林 水 産 省 は JR Aの 資 金 を 活 用 した 競 走 馬 生 産 振 興 事 業 などによって 優 良 な 種 牡 馬 や 繁 殖 牝 馬 の 導 入 先 駆 的 な 軽 種 馬 生 産 施 設 の 整 備 等 の 支 援 を 行 い 軽 種 馬 生 産 構 造 の 強 化 を 推 進 していくと している 33 ただし 競 馬 そのものは 我 が 国 の 食 料 の 安 定 供 給 や 自 給 率 の 向 上 に 資 する ものではないため 国 の 予 算 による 支 援 を 行 うことは 困 難 との 見 方 を 示 した 34 さらに 馬 産 地 が 期 待 する 中 国 等 への 軽 種 馬 輸 出 については 中 国 の 国 内 情 勢 等 によっ 28 地 方 競 馬 活 性 化 事 業 のほか 競 走 馬 生 産 振 興 事 業 ( 競 走 馬 の 生 産 関 係 団 体 等 が 生 産 馬 の 室 の 向 上 や 競 走 馬 生 産 の 構 造 改 革 を 促 進 するための 事 業 )について 必 要 な 資 金 の 一 部 をJRAから 交 付 している 29 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 2 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 30 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 2 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 31 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 32 我 が 国 におけるアラブ 系 の 競 走 は 中 央 競 馬 は 平 成 7 年 地 方 競 馬 は 平 成 21 年 度 をもって 廃 止 されている 33 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 3 頁 11 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 34 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 12 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 83
て 近 年 輸 出 頭 数 が 減 少 しており 平 成 26 年 度 は 中 国 への 輸 出 実 績 がなかった こうした 軽 種 馬 の 輸 出 環 境 への 対 応 について 質 疑 があったが 農 林 水 産 省 は 平 成 26 年 11 月 の 日 中 首 脳 会 談 を 契 機 に 日 中 関 係 の 改 善 が 進 展 し 日 本 馬 PR 活 動 が 平 成 27 年 1 月 に 再 開 され たことを 明 らかにした 上 で 今 後 競 走 馬 の 輸 出 拡 大 に 向 け 日 本 市 場 での 購 買 参 加 者 を 増 やすためのPRや 誘 致 活 動 を 今 まで 以 上 に 行 う 必 要 があると 答 弁 している 35 このほか TPP 交 渉 における 競 走 馬 への 輸 入 関 税 36 の 取 扱 いが 軽 種 馬 生 産 に 与 える 影 響 についても 質 疑 があった 37 図 表 5 軽 種 馬 生 産 戸 数 及 び 生 産 頭 数 の 推 移 ( 出 所 ) 農 林 水 産 省 資 料 (5)JRAの 経 営 体 制 JRAの 経 営 については 現 金 と 有 価 証 券 の 合 計 で 6,270 億 円 ( 平 成 26 年 12 月 末 現 在 ) を 保 有 している 金 融 資 産 の 適 正 水 準 について 問 われた 農 林 水 産 省 は JRAが 国 からの 援 助 等 はなく 独 立 採 算 で 運 営 していることから 馬 の 病 気 の 蔓 延 や 地 震 等 の 災 害 など 不 測 の 事 態 によって 競 馬 の 開 催 が 長 期 間 中 止 になった 場 合 に 生 じる 損 失 や 損 壊 した 設 備 の 復 旧 に 対 応 するために 必 要 なものであると 答 弁 している 38 35 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 6 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 36 競 走 用 の 軽 種 馬 の 輸 入 については 1 頭 当 たり 340 万 円 の 関 税 が 課 されている 37 第 189 回 国 会 衆 議 院 農 林 水 38 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 13 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 84
また 特 殊 法 人 であるJRAの 職 員 給 与 について 国 家 公 務 員 と 給 与 を 比 較 した 場 合 の ラスパイレス 指 数 39 が 学 歴 を 加 味 した 上 でも 147.2 40 と 高 水 準 である 点 について 質 疑 があ った これに 対 して 農 林 水 産 省 は 平 成 24 年 12 月 の 閣 僚 懇 談 会 における 給 与 水 準 の 適 正 化 に 向 けた 取 組 についての 要 請 を 受 け 平 成 25 年 5 月 に 農 林 水 産 省 からJRAに 対 して 具 体 的 な 給 与 水 準 の 見 直 しについて 要 請 を 行 ったと 答 弁 している 41 これを 受 けて JRA では 平 成 25 年 8 月 に 策 定 した 平 成 30 年 末 までにラスパイレス 指 数 を 120 台 半 ばに 相 当 する 水 準 とする 具 体 的 な 取 組 を 進 めており 平 成 26 年 度 のラスパイレス 指 数 は 前 年 度 から 大 きく 下 がる 見 込 みとのことである 42 このほか 農 林 水 産 省 職 員 のJRA 役 員 への 再 就 職 の 是 非 についても 指 摘 がなされた 43 おわりに 既 に 豪 州 や 香 港 では 日 本 のGⅠレースの 勝 馬 投 票 券 発 売 が 行 われているが その 売 上 げは 大 きくない 44 当 該 レースに 必 ずしも 自 国 の 競 走 馬 が 出 走 していないことや 競 馬 の 売 上 げそのものが 日 本 と 比 較 してかなり 小 さいこと 45 などの 事 情 はあるものの 我 が 国 にお ける 海 外 レースの 勝 馬 投 票 券 発 売 による 売 上 げがどの 程 度 になるかは 未 知 数 である 一 方 で 世 界 での 日 本 馬 の 活 躍 は 勝 馬 投 票 券 の 売 上 げのみならず 広 く 競 馬 界 の 活 性 化 にもつながることが 期 待 される 本 年 3 月 に 開 催 されたドバイ 国 際 競 走 には 日 本 馬 7 頭 が 参 戦 したが 勝 利 を 挙 げることはできなかった トップホースが 最 高 の 状 態 で 臨 める 環 境 づくりとともに 様 々な 広 報 活 動 や 海 外 競 馬 の 情 報 提 供 などにJRAを 始 め 関 係 者 が 一 体 となって 取 り 組 み 盛 り 上 げる 工 夫 が 必 要 だ 長 期 にわたった 売 上 げの 低 迷 傾 向 から 脱 却 の 兆 しを 見 せる 我 が 国 の 競 馬 であるが 人 口 が 減 少 していく 中 レジャーの 更 なる 多 様 化 の 進 展 とこれに 伴 う 顧 客 獲 得 競 争 の 激 化 など 予 断 を 許 さない 状 況 が 続 くと 見 られる 今 後 もファンを 魅 了 し 競 馬 の 振 興 を 図 っていく ためには 強 い 馬 づくりとその 馬 たちによる 白 熱 した 競 走 という 競 馬 そのものの 魅 力 を 引 き 続 き 粘 り 強 く 発 信 することが 欠 かせない さらに 乗 馬 を 通 じた 教 育 や 馬 とのふれあ いを 通 した 医 療 福 祉 トレッキングなどの 観 光 等 幅 広 い 分 野 との 連 携 によって 馬 との 関 わりの 裾 野 を 広 げることは 国 民 に 精 神 的 に 豊 かな 生 活 を 提 供 するとともに 新 たなフ ァン 獲 得 の 糸 口 になろう (たかはし ようこ) 39 比 較 対 象 法 人 の 年 齢 階 層 別 人 員 構 成 をウエイトに 用 い 法 人 に 国 の 給 与 水 準 を 持 ち 込 んだ 場 合 の 給 与 水 準 を 100 として 算 出 したもの 40 特 殊 法 人 等 の 役 職 員 の 給 与 等 の 水 準 ( 平 成 25 年 度 ) ( 平 成 26 年 9 月 2 日 内 閣 官 房 行 政 改 革 推 進 本 部 事 務 局 ) 41 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 13 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 42 同 上 43 第 189 回 国 会 参 議 院 農 林 水 産 委 員 会 会 議 録 第 6 号 14 頁 ( 平 成 27 年 4 月 16 日 ) 44 フェブラリーステークス(GⅠ)( 平 成 27 年 2 月 22 日 開 催 )のニューサウスウェールズ 州 ( 豪 )での 売 上 げ( 日 本 円 換 算 )は 約 220 万 円 にとどまっている ( 平 成 27 年 3 月 3 日 東 京 新 聞 ) 45 競 馬 の 売 上 金 額 (2013 年 )( 日 本 円 換 算 )は 日 本 2.8 兆 円 英 国 1.8 兆 円 豪 州 1.7 兆 円 フランス 1.4 兆 円 香 港 1.4 兆 円 アメリカ 1.1 兆 円 となっている アラブ 首 長 国 連 邦 では 宗 教 上 の 理 由 で 賭 けが 禁 止 されており 馬 券 の 発 売 は 行 われていない 85