Similar documents
2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

18 国立高等専門学校機構

m07 北見工業大学 様式①

現 地 調 査 では 火 口 周 辺 の 地 形 や 噴 気 等 の 状 況 に 変 化 は 見 られませんでした また 赤 外 熱 映 像 装 置 5) による 観 測 では 2015 年 3 月 頃 から5 月 29 日 の 噴 火 前 に 温 度 上 昇 が 認 められていた 新 岳 火 口

Taro-条文.jtd

公表表紙

大 阪 福 岡 鹿 児 島 前 頁 からの 続 き 35

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>


国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人


<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

第 1 条 適 用 範 囲 本 業 務 方 法 書 は 以 下 の 性 能 評 価 に 適 用 する (1) 建 築 基 準 法 施 行 令 ( 以 下 令 という ) 第 20 条 の7 第 1 項 第 二 号 表 及 び 令 第 20 条 の 8 第 2 項 の 認 定 に 係 る 性 能 評

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

PowerPoint プレゼンテーション

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

●電力自由化推進法案

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

Microsoft Word - 都市計画法第34条第11号及び第12号

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

16 日本学生支援機構

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

試 験 概 略 試 験 目 的 同 同 一 一 規 規 格 格 の の 電 電 熱 熱 線 線 式 式 ヒーティングユニットを2 台 台 並 並 べ べ 片 片 方 方 のユニットに 遠 遠 赤 赤 外 外 線 線 放 放 射 射 材 材 料 料 である アルミ 合 金 エキスパンションメタルを 組

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

財政再計算結果_色変更.indd

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

No.7 アメリカ 合 衆 国 小 規 模 事 例 (そ4) 助 金 も 財 源 になっている しかし 小 規 模 事 業 体 では 連 邦 政 府 から 基 金 はもちろん 市 から 補 助 金 もまったくない が 実 状 である すなわち 給 人 口 が25 人 から100 人 規 模 小 規

<4D F736F F D2095CA8E A90DA91B18C9F93A289F1939A8F D8288B3816A5F E646F63>

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ


市街化区域と市街化調整区域との区分

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

Taro-H19退職金(修正版).jtd

6. 共 有 等 に 係 る 固 定 資 産 の 判 定 3 共 有 に 係 る 固 定 資 産 については それぞれの 共 有 者 が 他 に 固 定 資 産 を 所 有 している 場 合 であっても その 資 産 とは 別 個 に 共 有 されている 固 定 資 産 を 別 の 人 格 が 所

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

<4D F736F F D AC90D1955D92E CC82CC895E DD8C D2816A2E646F63>

<4D F736F F F696E74202D2082C882E982D982C DD8ED88EE688F882CC82B582AD82DD C668DDA9770>

スライド 1

退職手当とは

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

1

< DB8CAF97BF97A6955C2E786C73>

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

福 岡 厚 生 年 金 事 案 4486 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 申 立 期 間 については その 主 張 する 標 準 報 酬 月 額 に 基 づく 厚 生 年 金 保 険 料 を 事 業 主 により 給 与 から 控 除 されていたことが 認 められることから 申 立 期

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

積 載 せず かつ 燃 料 冷 却 水 及 び 潤 滑 油 の 全 量 を 搭 載 し 自 動 車 製 作 者 が 定 める 工 具 及 び 付 属 品 (スペアタイヤを 含 む )を 全 て 装 備 した 状 態 をいう この 場 合 に おいて 燃 料 の 全 量 を 搭 載 するとは 燃 料

Microsoft PowerPoint - MVE pptx

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

件名

<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 25 年 4 月 1 日 現 在 ) 1) 一 般 行 政 職 福 島 県 国 類 似 団 体 平 均 年 齢 平


東近江行政組合職員の育児休業等に関する条例

別紙3

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

Contents 第 1 章 国 土 調 査 法 19 条 5 項 指 定 とは? 国 土 調 査 法 19 条 5 項 指 定 とは? 1 指 定 の 意 義 メリット 1 指 定 の 対 象 は? 2 対 象 となる 事 業 2 国 土 調 査 法 19 条 5 項 指 定 までの 流 れ 3

T T VWAPギャランティ 取 引 とは T T VWAPギャランティ 取 引 とは これまでの 成 行 や 指 値 とは 異 なる 東 海 東 京 証 券 が 提 供 する 新 しい 形 の 売 買 方 法 です その 方 法 とは 1 金 融 商 品 取 引 所 ( 以 下 取 引 所 )に

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 A 18,248 11,166 4, ,066 6,42

Microsoft Word - 目次.doc

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word 第1章 定款.doc

再 生 可 能 エネルギー 等 導 入 推 進 基 金 事 業 計 画 書 ( 各 年 度 計 画 書 ) ( 事 業 計 画 の 概 要 ) 計 画 の 名 称 京 都 府 地 球 温 暖 化 対 策 等 推 進 基 金 計 画 の 期 間 交 付 対 象 京 都 府 府 内 市 町 村 民 間

企業結合ステップ2に関連するJICPA実務指針等の改正について③・資本連結実務指針(その2)

送 信 局 を 電 気 通 信 事 業 者 に 貸 し 付 けるとともに 電 気 通 信 事 業 者 とあらかじめ 契 約 等 を 締 結 する 必 要 があること なお 既 に 電 気 通 信 事 業 者 において 送 信 局 を 整 備 している 地 域 においては 当 該 設 備 の 整 備

Q IFRSの特徴について教えてください

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

(7) 水 道 事 業 又 は 公 共 下 水 道 の 用 に 供 するポンプ 施 設 (8) 第 一 種 電 気 通 信 事 業 の 用 に 供 する 電 気 通 信 交 換 施 設 (9) 都 市 高 速 鉄 道 の 用 に 供 する 停 車 場 開 閉 所 及 び 変 電 所 (10) 発 電

Transcription:

気 候 変 動 201 3 自然科学 的根拠 技術要約 翻訳 協力 気象庁 Japan Meteorological Agency WG I 気候変動に関する政府間パネル 第 5 次評価報告書 第 1 作業部会報告書

気 候 変 動 2013: 自 然 科 学 的 根 拠 技 術 要 約 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル 第 1 作 業 部 会 により 受 諾 された( 但 し 詳 細 は 未 承 認 ) 報 告 書 *より 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 の 一 部 Thomas F. Stocker Working Group I Co-Chair University of Bern 編 集 Dahe Qin Working Group I Co-Chair China Meteorological Administration Gian-Kasper Plattner Director of Science Melinda M.B. Tignor Director of Operations Simon K. Allen Senior Science Officer Judith Boschung Administrative Assistant Alexander Nauels Science Assistant Yu Xia Science Officer Vincent Bex IT Officer Pauline M. Midgley Head Working Group I Technical Support Unit * 作 業 部 会 あるいはパネルの 会 合 における IPCC 報 告 書 の 受 諾 とは 文 書 が 一 行 ごとの 議 論 及 び 合 意 を 必 要 とはしなかった ことを 意 味 するが それでもなお 対 象 とする 主 題 に 関 して 包 括 的 客 観 的 で 且 つバランスのとれた 見 解 を 提 示 している 注 意 この 資 料 は IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書 本 体 報 告 書 技 術 要 約 (Technical Summary)を 気 象 庁 が 文 部 科 学 省 の 協 力 を 得 て 翻 訳 したものである この 翻 訳 は IPCC ホームページに 掲 載 されている 報 告 書 (2014 年 1 月 30 日 公 開 ): http://www.climatechange2013.org/images/report/wg1ar5_all_final.pdf をもとにし IPCC による 正 誤 表 (2015 年 4 月 17 日 版 ) http://www.climatechange2013.org/images/report/wg1ar5_errata_17042015.pdf の 訂 正 を 反 映 している 国 連 機 関 である IPCC は 6 つの 国 連 公 用 語 のみで 報 告 書 を 発 行 する そのため IPCC 報 告 書 気 候 変 動 2013- 自 然 科 学 的 根 拠 技 術 要 約 の 翻 訳 である 本 書 は IPCC の 公 式 訳 ではない 本 書 は 原 文 の 表 現 を 最 も 正 確 に 表 すために 気 象 庁 が 作 成 したものである As a UN body the IPCC publishes reports only in the six official UN languages. This translation of Technical Summary of the IPCC Report "Climate Change 2013 - The Physical Science Basis" is therefore not an official translation by the IPCC. It has been provided by the Japan Meteorological Agency, with the support of the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology, Japan, with the aim of reflecting in the most accurate way the language used in the original text. 気 象 庁 訳 (2015 年 12 月 1 日 版 (IPCC 正 誤 表 反 映 版 ))

注 意 本 翻 訳 は 2014 年 1 月 30 日 公 開 版 に 従 って 作 成 し 公 開 後 の 訂 正 (2015 年 4 月 17 日 版 )を 反 映 している 公 開 後 の 訂 正 は 正 誤 表 が IPCC ホームページに 掲 載 されている 気 象 庁 は 正 誤 表 を 随 時 翻 訳 し 本 資 料 と 同 じホームページに 掲 載 する 訳 注 は 本 文 については 巻 末 に Box 及 び TFE はそれぞれの 末 尾 に 記 載 している 翻 訳 気 象 庁 協 力 文 部 科 学 省 表 紙 の 画 像 :ノルウェーのソールフィヨルド 高 原 のフォルゲフォンナ 氷 河 (Folgefonna glacier on the high plateaus of Sørfjorden, Norway (60 03 N - 6 20 E) ) Yann Arthus-Bertrand / Altitude. 2013 Intergovernmental Panel on Climate Change 2015 気 象 庁

技 術 要 約

技 術 要 約 統 括 執 筆 責 任 者 : Thomas F. Stocker (Switzerland), Qin Dahe (China), Gian-Kasper Plattner (Switzerland) 主 執 筆 者 : Lisa V. Alexander (Australia), Simon K. Allen (Switzerland/New Zealand), Nathaniel L. Bindoff (Australia), François-Marie Bréon (France), John A. Church (Australia), Ulrich Cubasch (Germany), Seita Emori (Japan), Piers Forster (UK), Pierre Friedlingstein (UK/Belgium), Nathan Gillett (Canada), Jonathan M. Gregory (UK), Dennis L. Hartmann (USA), Eystein Jansen (Norway), Ben Kirtman (USA), Reto Knutti (Switzerland), Krishna Kumar Kanikicharla (India), Peter Lemke (Germany), Jochem Marotzke (Germany), Valérie Masson-Delmotte (France), Gerald A. Meehl (USA), Igor I. Mokhov (Russian Federation), Shilong Piao (China), Venkatachalam Ramaswamy (USA), David Randall (USA), Monika Rhein (Germany), Maisa Rojas (Chile), Christopher Sabine (USA), Drew Shindell (USA), Lynne D. Talley (USA), David G. Vaughan (UK), Shang-Ping Xie (USA) 原 稿 執 筆 協 力 者 : Myles R. Allen (UK), Olivier Boucher (France), Don Chambers (USA), Jens Hesselbjerg Christensen (Denmark), Philippe Ciais (France), Peter U. Clark (USA), Matthew Collins (UK), Josefino C. Comiso (USA), Viviane Vasconcellos de Menezes (Australia/Brazil), Richard A. Feely (USA), Thierry Fichefet (Belgium), Gregory Flato (Canada), Jesús Fidel González Rouco (Spain), Ed Hawkins (UK), Paul J. Hezel (Belgium/USA), Gregory C. Johnson (USA), Simon A. Josey (UK), Georg Kaser (Austria/Italy), Albert M. G. Klein Tank (Netherlands), Janina Körper (Germany), Gunnar Myhre (Norway), Timothy Osborn (UK), Scott Power (Australia), Stephen R. Rintoul (Australia), Joeri Rogelj (Switzerland/ Belgium), Matilde Rusticucci (Argentina), Michael Schulz (Germany), Jan Sedláček (Switzerland), Peter A. Stott (UK), Rowan Sutton (UK), Peter W. Thorne (USA/Norway/UK), Donald Wuebbles (USA) 査 読 編 集 者 : Sylvie Joussaume (France), Joyce Penner (USA), Fredolin Tangang (Malaysia) 本 技 術 要 約 の 引 用 時 の 表 記 方 法 : Stocker, T.F., D. Qin, G.-K. Plattner, L.V. Alexander, S.K. Allen, N.L. Bindoff, F.-M. Bréon, J.A. Church, U. Cubasch, S. Emori, P. Forster, P. Friedlingstein, N. Gillett, J.M. Gregory, D.L. Hartmann, E. Jansen, B. Kirtman, R. Knutti, K. Krishna Kumar, P. Lemke, J. Marotzke, V. Masson-Delmotte, G.A. Meehl, I.I. Mokhov, S. Piao, V. Ramaswamy, D. Randall, M. Rhein, M. Rojas, C. Sabine, D. Shindell, L.D. Talley, D.G. Vaughan and S.-P. Xie, 2013: Technical Summary. In: Climate Change 2013: The Physical Science Basis. Contribution of Working Group I to the Fifth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change [Stocker, T.F., D. Qin, G.-K. Plattner, M. Tignor, S.K. Allen, J. Boschung, A. Nauels, Y. Xia, V. Bex and P.M. Midgley (eds.)]. Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom and New York, NY, USA. 33

目 次.1 序... 35 Box.1: 不 確 実 性 の 扱 い... 36.2 気 候 システムにおける 変 化 の 観 測... 37.2.1 序... 37.2.2 温 度 の 変 化... 37.2.3 エネルギー 収 支 と 貯 熱 量 の 変 化... 38.2.4 循 環 と 変 動 モードの 変 化... 39.2.5 水 循 環 と 雪 氷 圏 における 変 化... 40.2.6 海 面 水 位 の 変 化... 46.2.7 極 端 現 象 の 変 化... 46.2.8 炭 素 循 環 及 びその 他 の 生 物 地 球 化 学 的 循 環 の 変 化... 50.5 地 球 規 模 及 び 地 域 規 模 の 気 候 変 動 予 測... 79.5.1 序... 79.5.2 将 来 の 強 制 力 とシナリオ... 79 Box.6: 新 しい 代 表 的 濃 度 経 路 シナリオと 第 5 期 結 合 モデル 相 互 比 較 計 画 のモデル... 79.5.3 気 候 システムの 応 答 の 定 量 化... 81.5.4 近 未 来 の 気 候 変 動... 85.5.5 長 期 の 気 候 変 動... 88.5.6 炭 素 循 環 及 びその 他 の 生 物 地 球 化 学 的 循 環 の 長 期 予 測... 92 Box.7: 気 候 ジオエンジニアリング 手 法... 98.5.7 海 面 水 位 変 化 の 長 期 予 測... 98.5.8 気 候 現 象 と 地 域 的 気 候 変 動...105.3 気 候 変 動 をもたらす 要 因... 53.3.1 序... 53.3.2 温 室 効 果 ガスによる 放 射 強 制 力... 53 Box.2: 放 射 強 制 力 と 実 効 放 射 強 制 力... 53.3.3 人 為 起 源 エーロゾルによる 放 射 強 制 力... 55.3.4.3.5 地 表 面 の 変 化 及 び 飛 行 機 雲 による 放 射 強 制 力... 55 気 候 変 動 をもたらす 自 然 起 源 の 要 因 による 放 射 強 制 力... 56.3.6 強 制 力 のまとめ: 空 間 的 時 間 的 変 化... 56.3.7 気 候 フィードバック... 58.3.8 排 出 指 標... 58.4 気 候 システム 及 びその 近 年 の 変 化 につい ての 理 解... 60.4.1 序... 60.4.2 地 上 気 温... 60 Box.3: 気 候 モデルと 過 去 15 年 間 の 世 界 平 均 地 上 気 温 上 昇 の 停 滞... 61.4.3 大 気 の 気 温... 66.4.4 海 洋... 68.4.5 雪 氷 圏... 69.4.6 水 循 環... 72.4.7 気 候 の 極 端 現 象... 72.4.8 地 球 規 模 から 地 域 規 模 まで... 73 Box.4: モデルの 評 価... 75 Box.5: 古 気 候... 77.6 重 要 な 不 確 実 性...114.6.1.6.2.6.3.6.4 テーマ 別 注 目 要 素 気 候 システムの 変 化 の 観 測 における 重 要 な 不 確 実 性...114 気 候 変 動 の 駆 動 要 因 における 重 要 な 不 確 実 性...114 気 候 システム 及 びその 近 年 の 変 化 に ついての 理 解 における 重 要 な 不 確 実 性.114 地 球 規 模 及 び 地 域 規 模 の 気 候 変 動 の 予 測 における 重 要 な 不 確 実 性...115 TFE.1 水 循 環 の 変 化... 42 TFE.2 TFE.3 TFE.4 海 面 水 位 の 変 化 : 科 学 的 理 解 と 不 確 実 性... 47 以 前 の IPCC 評 価 報 告 書 による 予 測 値 の 観 測 値 との 比 較... 64 地 球 規 模 の 気 候 システムにおけるエ ネルギー 収 支 の 変 化... 67 TFE.5 不 可 逆 性 と 急 激 な 変 化... 70 TFE.6 気 候 感 度 とフィードバック... 82 TFE.7 炭 素 循 環 の 摂 動 と 不 確 実 性... 96 TFE.8 気 候 目 標 と 安 定 化...102 TFE.9 気 候 の 極 端 現 象...109 34

.1 序 気 候 変 動 2013: 自 然 科 学 的 根 拠 (Climate Change 2013: The Physical Science Basis)は 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パ ネル(IPCC) 第 5 次 評 価 報 告 書 (AR5)の 第 1 作 業 部 会 (WGI) 報 告 書 である 気 候 変 動 の 自 然 科 学 的 側 面 に 関 するこの 包 括 的 評 価 は 気 候 変 動 の 過 去 を 理 解 し 現 在 を 記 録 し 将 来 の 変 化 を 予 測 することに 関 連 する 要 素 に 焦 点 を 当 ててい る この 報 告 書 は IPCC 第 4 次 評 価 報 告 書 (AR4) 1 と 最 近 出 された 気 候 変 動 への 適 応 推 進 に 向 けた 極 端 現 象 及 び 災 害 のリスク 管 理 に 関 する 特 別 報 告 書 (SREX) 2 を 土 台 にしたも ので 14 の 章 と 3 つの 付 録 で 構 成 されている 各 章 は 以 下 の 事 項 を 含 んでいる; 気 候 システムの 全 ての 構 成 要 素 の 変 化 についての 直 接 観 測 及 び 代 替 観 測 強 制 力 の 変 化 に 対 する 気 候 システムの 感 度 と 応 答 を 決 める 気 候 システムの 構 成 要 素 内 の 様 々な 過 程 及 び 構 成 要 素 間 の 相 互 作 用 に 関 する 現 在 の 知 識 の 評 価 大 気 組 成 の 変 化 したがって 放 射 強 制 力 (RF) 3 の 変 化 と その 結 果 生 じる 気 候 変 動 の 検 出 及 び 原 因 特 定 との 関 連 性 の 定 量 化 気 候 システムの 全 ての 構 成 要 素 の 変 化 についての 予 測 は 新 しい 一 連 のシナリオ セットにしたがって 強 制 力 を 与 えたモデルシミュレーションに 基 づいている また 報 告 書 では 一 章 を 割 いて 過 去 及 び 将 来 の 海 面 水 位 の 変 化 についても 包 括 的 評 価 を 提 示 している 地 域 の 気 候 変 動 に 関 する 情 報 は 地 球 全 体 及 び 地 域 の 気 候 予 測 アトラス ( 付 録 I)に 提 示 している さらに 付 録 II とし て 気 候 システムのシナリオ 表 付 録 III として 用 語 集 を 付 して いる この 技 術 要 約 ()の 主 目 的 は 報 告 書 本 体 の 14 の 章 で 述 べた 個 々の 証 拠 についての 完 全 な 評 価 と WGI の 政 策 決 定 者 向 け 要 約 (SPM)として 作 成 されたきわめて 密 度 の 濃 い 要 約 との 関 係 を 示 すことである すなわちこの 技 術 要 約 は 本 評 価 の 対 象 となっているより 特 定 されたトピックの 詳 細 な 情 報 を 求 める 読 者 にとって 最 初 の 手 引 きの 役 割 を 果 たす この 目 的 を 果 たすために 報 告 書 本 文 で 詳 細 な 評 価 が 掲 載 され ている 章 や 節 の 番 号 を 付 記 している 政 策 関 連 のトピックは 多 くの 章 にまたがり 気 候 システムにおいて 相 互 に 関 連 する 様 々な 過 程 を 含 むものであり ここでは テーマ 別 注 目 要 素 (TFE)として 提 示 し その 情 報 を 手 早 く 見 つけられるようにし ている この 報 告 書 では 不 可 欠 なこととして 不 確 実 性 を 示 す 特 定 の 用 語 を 用 いており 評 価 の 説 明 を 追 跡 できるようにしている (Box.1) この 報 告 書 における 重 要 な 知 見 の 確 実 性 の 度 合 いは 基 礎 となる 科 学 的 理 解 に 対 する 著 者 チームの 評 価 に 基 づいており 確 信 度 ( 検 討 対 象 の 科 学 研 究 における 証 拠 の 種 類 量 質 一 貫 性 及 び 見 解 の 一 致 度 によってレベ ルが 決 まる) 4 として 表 される 確 信 度 は 定 性 的 に 表 される ある 知 見 における 不 確 実 性 の 定 量 的 尺 度 は 確 率 的 に 表 され 観 測 値 又 はモデル 結 果 あるいはその 両 方 の 統 計 分 析 と 専 門 家 の 判 断 の 組 み 合 わせに 基 づく 適 当 と 判 断 される 場 合 に は 知 見 は 不 確 実 性 の 表 現 を 用 いず 事 実 として 述 べている ( 不 確 実 性 の 表 現 の 詳 細 については 第 1 章 及 び Box.1 を 参 照 ) 技 術 要 約 は 主 要 な 4 つの 節 で 構 成 されており AR5 WGI 報 告 書 の 記 述 構 成 にしたがって 評 価 結 果 を 提 示 している.2 節 は 観 測 に 基 づく 気 候 システムの 変 化 に 対 する 評 価 を 扱 い.3 節 は 放 射 強 制 力 として 表 される 自 然 起 源 及 び 人 為 起 源 の 様 々な 気 候 変 動 を 引 き 起 こす 要 因 に 関 する 情 報 を 要 約 し.4 節 は 観 測 された 気 候 変 動 の 定 量 的 理 解 の 評 価 を 提 示 し.5 節 は 21 世 紀 以 降 の 将 来 の 気 候 変 動 に ついて 地 域 規 模 から 地 球 規 模 までの 予 測 についての 評 価 結 果 を 要 約 している.6 節 では.2 節 から.5 節 まで で 取 り 上 げた WGI の 評 価 に 見 られる 重 要 な 不 確 実 性 をまと めて 列 挙 している AR5 WGI 報 告 書 の 様 々な 構 成 要 素 にま たがる TFE は 全 体 で 9 つ 掲 げており 主 要 な 4 つの 節 の 各 所 に 分 けて 掲 載 している 本 文 とは 一 目 で 区 別 できるように してあり TFE だけを 個 別 に 読 めるようになっている この 技 術 要 約 における 本 質 的 な 段 落 の 基 礎 は 本 体 報 告 書 の 章 節 に 見 出 すことができる それぞれの 参 照 先 の 章 節 は 波 括 弧 で 示 している 1 2 3 4 IPCC, 2007: 気 候 変 動 2007: 自 然 科 学 的 根 拠. 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル 第 4 次 評 価 報 告 書 第 1 作 業 部 会 報 告 書. [Solomon, S., D. Qin, M. Manning, Z. Chen, M. Marquis, K.B. Averyt, M. Tignor and H.L. Miller (eds.)]. Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom and New York, NY, USA, 996 pp. IPCC, 2012: 気 候 変 動 への 適 応 推 進 に 向 けた 極 端 現 象 及 び 災 害 のリスク 管 理. 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル 第 1 及 び 第 2 作 業 部 会 特 別 報 告 書. [Field, C.B., V. Barros, T.F. Stocker, D. Qin, D.J. Dokken, K.L. Ebi, M.D. Mastrandrea, K.J. Mach, G.-K. Plattner, S.K. Allen, M. Tignor and P. M. Midgley (eds.)]. Cambridge University Press, Cambridge, UK, and New York, NY, USA, 582 pp. 放 射 強 制 力 (RF)は 地 球 システムが 外 部 摂 動 に 応 答 して 生 じたエネルギー バランスの 正 味 の 変 化 を 示 す 尺 度 である 単 位 はワット 毎 平 方 メ ートル(Wm 2 )で 表 す Box.2 を 参 照 Mastrandrea, M.D., C.B. Field, T.F. Stocker, O. Edenhofer, K.L. Ebi, D.J. Frame, H. Held, E. Kriegler, K.J. Mach, P.R. Matschoss, G.-K. Plattner, G.W. Yohe, and F.W. Zwiers, 2010: IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 主 執 筆 者 のための 不 確 実 性 の 一 貫 した 扱 いに 関 するガイダンスノー ト. 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル(IPCC). 35

Box.1 不 確 実 性 の 扱 い IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 主 執 筆 者 のための 不 確 実 性 の 一 貫 した 扱 いに 関 するガイダンスノート に 基 づき この 第 1 作 業 部 会 (WGI) 報 告 書 技 術 要 約 及 び WGI 報 告 書 政 策 決 定 者 向 け 要 約 では 重 要 知 見 における 確 実 性 の 度 合 いを 伝 えるのに 以 下 の 2 種 類 の 指 標 を 用 いている この 確 実 性 の 度 合 いは 基 本 的 な 科 学 的 理 解 に 対 する 執 筆 者 チー ムによる 評 価 に 基 づいている 知 見 の 妥 当 性 の 確 信 度 ;これは 証 拠 の 種 類 量 品 質 一 貫 性 ( 例 えば メカニズムの 理 解 理 論 データ モデ ル 専 門 家 の 判 断 ) 及 び 見 解 の 一 致 度 に 基 づいている 確 信 度 は 定 性 的 に 表 す 知 見 の 不 確 実 性 の 定 量 的 尺 度 ;これは 確 率 的 に 表 し 観 測 値 あるいはモデル 結 果 の 統 計 的 分 析 や 専 門 家 の 判 断 に 基 づいている 第 5 次 評 価 報 告 書 のガイダンスノートは IPCC 第 3 次 評 価 報 告 書 及 び 第 4 次 評 価 報 告 書 (AR4)を 補 助 するために 提 供 された 手 引 きを 改 良 したものである 新 しい 情 報 の 入 手 可 能 性 科 学 的 理 解 の 向 上 データ 及 びモデルの 継 続 的 な 解 析 評 価 対 象 の 研 究 に 用 いられた 方 法 の 差 異 に 加 え 改 訂 された 不 確 実 性 に 関 するガイダンスノートを 利 用 し ていることから 本 報 告 書 の 知 見 における 不 確 実 性 の 評 価 と AR4 及 び SREX での 評 価 を 直 接 比 較 することは 難 し い またいくつかの 気 候 変 数 に 関 しては 以 前 と 今 回 とで 異 なる 側 面 が 評 価 されているため 直 接 比 較 することは 不 適 切 であろう それぞれの 重 要 な 知 見 は 関 連 する 証 拠 と 見 解 の 一 致 度 に 対 する 執 筆 者 チームの 評 価 を 基 にしている 確 信 度 の 指 標 は ある 知 見 の 妥 当 性 について 執 筆 者 チームが 証 拠 と 見 解 の 一 致 度 の 評 価 を 通 じて 行 った 判 断 を 定 性 的 に 統 合 したものである 不 確 実 性 を 確 率 的 に 定 量 化 できる 場 合 には 執 筆 者 チームは 調 整 された 可 能 性 を 示 す 用 語 又 は より 正 確 な 確 率 表 示 を 用 いて 知 見 を 特 徴 づけることができる 他 に 示 されていない 限 り 高 い 又 は 非 常 に 高 い 確 信 度 は 執 筆 者 チームが 何 らかの 可 能 性 用 語 を 与 えた 知 見 に 関 連 している ( 本 報 告 書 では) 利 用 できる 証 拠 を 記 述 するために 限 られた 中 程 度 の 確 実 な を 見 解 の 一 致 度 を 記 述 す るために 低 い 中 程 度 の 高 い といった 要 約 用 語 を 用 いる 確 信 度 は 非 常 に 低 い 低 い 中 程 度 の 高 い 非 常 に 高 い の 5 段 階 の 要 約 用 語 を 用 い 中 程 度 の 確 信 度 のように 斜 体 字 で 記 述 する Box.1 図 1 は 証 拠 及 び 見 解 の 一 致 度 についての 要 約 とその 確 信 度 との 関 係 を 示 している この 関 係 には 柔 軟 性 があり ある 一 つの 証 拠 と 見 解 の 一 致 度 に 対 して 異 なる 確 信 度 が 割 り 当 てられることがあるが 証 拠 と 見 解 の 一 致 度 の 増 加 は 確 信 度 の 増 加 と 相 関 している Box.1 図 1 証 拠 及 び 見 解 の 一 致 度 の 言 明 とその 確 信 度 との 関 係 確 信 度 は 色 の 濃 淡 で 示 唆 されるように 右 上 隅 に 向 かって 色 が 濃 くなるほど 高 くなる 一 般 に 証 拠 は 整 合 している 複 数 の 独 立 した 質 の 高 い 証 拠 があるときに 最 も 確 実 となる { 図 1.11} 以 下 に 挙 げる 用 語 は 評 価 された 可 能 性 を 示 すために 用 いられ 斜 体 字 で 表 示 される 用 語 * 結 果 の 可 能 性 ほぼ 確 実 99~100%の 確 率 可 能 性 が 非 常 に 高 い 90~100%の 確 率 可 能 性 が 高 い 66~100%の 確 率 どちらも 同 程 度 33~66%の 確 率 可 能 性 が 低 い 0~33%の 確 率 可 能 性 が 非 常 に 低 い 0~10%の 確 率 ほぼあり 得 ない 0~1%の 確 率 * 適 当 と 判 断 される 場 合 には 追 加 で 以 下 の 用 語 を 用 いることがある 可 能 性 が 極 めて 高 い: 95~100%の 確 率 どちら かと 言 えば: >50~100%の 確 率 可 能 性 が 極 めて 低 い: 0~5%の 確 率 36

.2 気 候 システムにおける 変 化 の 観 測.2.1 序 気 候 システムの 観 測 は 物 理 学 的 及 び 生 物 地 球 化 学 的 な 直 接 測 定 と 地 上 観 測 点 や 衛 星 からの 遠 隔 測 定 に 基 づいてい る 古 気 候 の 記 録 からは 長 期 的 な 情 報 が 得 られる 測 器 に よる 地 球 規 模 での 観 測 は 19 世 紀 半 ばから 始 まり 古 気 候 記 録 ではある 種 の 量 について 過 去 数 百 年 から 数 百 万 年 までさ かのぼって 復 元 している これらを 総 合 することにより 大 気 海 洋 雪 氷 圏 陸 面 の 変 動 性 及 び 長 期 的 変 化 について 包 括 的 な 展 望 が 得 られる 本 節 では 気 候 変 動 についての 観 測 的 証 拠 の 評 価 を 要 約 する 大 気 陸 面 海 洋 雪 氷 圏 の 観 測 データセットの 利 用 可 能 性 取 得 品 質 及 び 解 析 は 第 4 次 評 価 報 告 書 (AR4) 以 来 大 幅 に 進 歩 している 気 候 システムの 様 々な 側 面 が 気 候 が 変 化 していることの 証 拠 を 示 している {2 3 4 5 6 13}.2.2 温 度 の 変 化.2.2.1 地 上 気 温 19 世 紀 後 半 以 降 世 界 平 均 地 上 気 温 が 上 昇 していることは 確 実 である( 図.1 及 び 図.2) 地 球 の 表 面 では 測 器 記 録 において 過 去 30 年 の 各 10 年 はいずれも 先 立 つ 10 年 より も 高 温 になっており 2000 年 代 の 10 年 間 が 最 も 高 温 であっ た 陸 域 と 海 上 を 合 わせた 世 界 平 均 地 上 気 温 は 線 形 の 変 化 傾 向 から 計 算 すると 5 独 立 に 作 成 された 複 数 のデータセ ットが 存 在 する 1880~2012 年 の 期 間 に 0.85 [0.65~1.06] 6 昇 温 しており 独 立 に 作 成 された 3 つのデータセットに 基 づく と 1901~2012 年 には 約 0.89 [0.69~1.08] 1951~2012 年 には 約 0.72 [0.49~0.89] 昇 温 している 独 立 に 作 成 さ れた 3 つの 世 界 平 均 地 上 気 温 データセットの 中 で 最 も 長 期 間 にわたっている 英 国 ハドレー センター 及 び 気 候 研 究 ユニ ット 訳 注 A による 格 子 化 地 上 気 温 データセットバージョン 4 (HadCRUT4)に 基 づくと 1850~1900 年 の 期 間 平 均 に 対 す る 2003~2012 年 の 期 間 平 均 の 上 昇 量 は 0.78 [0.72~ 0.85] である 1850~1900 年 から 1986~2005 年 (モデリン グの 各 章 と 付 録 I のアトラスで 用 いた 基 準 期 間 )の 間 の 昇 温 は HadCRUT4 とその 不 確 実 性 の 推 定 値 を 用 いて 計 算 した 場 合 には 0.61 [0.55~0.67] である また 1950 年 以 降 地 球 規 模 で 陸 域 の 最 高 気 温 と 最 低 気 温 が 上 昇 したこともほ ぼ 確 実 である 7 {2.4.1 2.4.3; 第 2 章 補 足 資 料 第 2.SM.3 節 } 数 十 年 にわたる 明 確 な 温 暖 化 にもかかわらず 気 温 の 上 昇 率 には 年 々から 十 年 規 模 でかなりの 変 動 が 存 在 し いくつか の 期 間 では 気 温 上 昇 の 変 化 傾 向 が 他 の 期 間 より 弱 くなって いる(1998 年 以 降 の 気 温 上 昇 の 停 滞 を 含 む)( 図.1) 過 去 15 年 間 の 気 温 の 上 昇 率 (1998~2012 年 ;10 年 当 たり 0.05 [ 0.05~+0.15] )は 1951 年 以 降 の 変 化 傾 向 (1951~ 2012 年 ;10 年 当 たり 0.12 [0.08~0.14] )より 小 さい 短 期 間 における 変 化 傾 向 は 不 確 実 で 期 間 の 始 めと 終 わりの 年 の 選 び 方 に 非 常 に 敏 感 である 例 えば 1995 年 1996 年 1997 年 の 各 年 から 始 まる 15 年 間 の 変 化 傾 向 は それぞれ 10 年 当 たり 0.13 [0.02~0.24] 10 年 当 たり 0.14 [0.03~ 0.24] 10 年 当 たり 0.07 [ 0.02~0.18] である 観 測 所 での 観 測 データに 基 づく 地 球 全 体 及 び 地 域 的 な 陸 域 の 地 上 気 温 についての 独 立 した 解 析 は 地 上 気 温 が 上 昇 してい るという 点 でおおむね 一 致 している 海 面 水 温 (SST)も 上 昇 している 衛 星 データを 含 む 様 々な 測 定 方 法 によって 得 られ た 新 しい SST データの 記 録 を 相 互 比 較 した 結 果 記 録 の 不 確 実 性 やバイアスに 対 する 理 解 が 深 まった {2.4.1~2.4.3; Box 9.2} 都 市 域 のヒートアイランド 効 果 と 土 地 利 用 の 変 化 の 効 果 がど ちらも 補 正 されていないことで 陸 域 の 世 界 平 均 地 上 気 温 の 百 年 規 模 の 変 化 傾 向 は 増 大 するが その 大 きさが 報 告 され た 値 の 10% 以 上 である 可 能 性 は 低 い しかし これは 平 均 値 であり 急 速 に 開 発 が 進 んだ 地 域 においては 都 市 のヒート アイランドや 土 地 利 用 の 変 化 が 地 域 的 な 変 化 傾 向 に 与 える 影 響 はかなり 大 きくなると 推 測 される {2.4.1} 20 世 紀 以 降 の 年 平 均 地 上 気 温 の 上 昇 が 北 半 球 の 中 高 緯 度 における 過 去 5 千 年 間 の 長 期 的 な 寒 冷 化 傾 向 から 反 転 していることは 確 信 度 が 高 い 北 半 球 の 年 平 均 地 上 気 温 に 関 しては 1983~2012 年 の 期 間 が 最 近 800 年 間 で 最 も 温 暖 な 30 年 間 だった 可 能 性 が 非 常 に 高 く( 高 い 確 信 度 ) 最 近 1400 年 間 で 最 も 温 暖 な 30 年 間 であった 可 能 性 が 高 い( 中 程 度 の 確 信 度 ) このことは 測 器 による 気 温 と 多 様 な 代 替 デ ータと 統 計 手 法 から 得 た 複 数 の 復 元 を 比 較 した 結 果 に 基 づいており AR4 と 整 合 している 大 陸 規 模 の 地 上 気 温 の 復 元 によると 中 世 気 候 異 常 期 (950~1250 年 )の 数 十 年 間 に 20 世 紀 中 頃 と 同 程 度 に 温 暖 な 地 域 や 20 世 紀 後 半 と 同 程 度 に 温 暖 な 地 域 があったことの 確 信 度 は 高 い これらの 地 域 的 に 温 暖 な 期 間 は 20 世 紀 半 ば 以 降 の 温 暖 化 のようにいく つもの 地 域 にわたって 同 時 に 生 じたものではなかったことの 確 信 度 は 高 い 復 元 とシミュレーションの 比 較 に 基 づくと 軌 道 太 陽 火 山 による 外 部 放 射 強 制 力 だけでなく 内 部 変 動 も 中 世 気 候 異 常 期 と 小 氷 期 (1450~1850 年 )の 間 の 地 上 気 温 の 変 化 の 空 間 パターンとタイミングに 大 きく 寄 与 したこと の 確 信 度 は 高 い {5.3.5 5.5.1}.2.2.2 対 流 圏 と 成 層 圏 ラジオゾンデと 衛 星 センサーによる 測 定 結 果 による 複 数 の 独 立 した 解 析 に 基 づくと 20 世 紀 半 ば 以 降 地 球 全 体 で 対 流 圏 が 温 暖 化 し 成 層 圏 が 寒 冷 化 していることはほぼ 確 実 であ 5 6 7 昇 温 は 英 国 ハドレー センター 及 び 気 候 研 究 ユニットによる 格 子 化 地 上 気 温 データセットバージョン 4(HadCRUT4) 陸 域 海 洋 地 上 気 温 解 析 (MLOST) ゴダード 宇 宙 科 学 研 究 所 による 地 表 温 度 解 析 (GISTEMP)データセットから 計 算 した 線 形 変 化 傾 向 の 推 定 値 に 基 づいた 重 みなしの 平 均 として 評 価 されている( 図.2 第 2.4.3 節 参 照 ) 第 5 次 評 価 報 告 書 (AR5) 第 1 作 業 部 会 (WGI) 報 告 書 では 特 に 明 記 しない 限 り 不 確 実 性 の 範 囲 は 90%の 信 頼 区 間 で 定 量 的 評 価 がなされて いる 90%の 信 頼 区 間 の 範 囲 は 角 括 弧 で 示 されており 推 定 すべき 対 象 の 真 の 値 をその 範 囲 に 含 んでいる 可 能 性 が 90%であることを 意 味 す る 信 頼 区 間 の 上 端 点 は 推 定 すべき 対 象 の 真 の 値 を 超 えている 可 能 性 が 95%であり 下 端 点 は 真 の 値 より 低 い 可 能 性 が 95%である 最 良 の 推 定 値 が 求 められる 場 合 には その 値 も 示 される 信 頼 区 間 の 範 囲 は 必 ずしも 対 応 する 最 良 の 推 定 値 を 中 心 として 対 称 であるとは 限 らな い この 段 落 で 提 示 されている 気 温 変 化 を 計 算 する 二 つの 方 法 はともに AR4 でも 用 いられている 第 一 の 手 法 では 2 つの 年 ( 例 えば 1880 年 と 2012 年 )の 間 の 全 ての 値 に 最 もよく 適 合 する 線 形 の 変 化 傾 向 を 用 いて 差 を 算 出 する 第 二 の 方 法 では 2 つの 期 間 ( 例 えば 1850~1900 年 と 2003~2012 年 )の 平 均 値 の 差 を 計 算 する このため それぞれの 手 法 で 求 めた 数 値 及 びその 90% 信 頼 区 間 を 直 接 比 較 することはできない 37

第1作業部会報告書 技術要約 る 図.1 こうした変化傾向の符号については全ての解 析で一致しているが ラジオゾンデによって十分なサンプル がとられている北半球温帯の対流圏以外では 気温変化率 の利用可能な推定値にかなりの不一致が存在する このた め 気温の変化率とその鉛直構造については 北半球温帯 の対流圏では 中程度の確信度 しかなく その他の地域では 確信度は低い {2.4.4}.2.2.3 海洋 38 海洋表層 水深 700 m 以浅 が 1971 年から 2010 年にかけて 温暖化したことはほぼ確実であり 1870 年代から 1971 年に かけて温暖化した可能性は高い 図.1 1971 年以前の 変化については 初期のデータの取得が相対的にまばらで あったため 確からしさはより低くなる AR4 以降 過去の海 洋表層水温の測定値に測器バイアスが確認され それが軽 減されたことにより 1970 年代及び 1980 年代に最も顕著だっ た水温及び海洋表層貯熱量におけるみかけの十年規模変 動が減少した {3.2.1 3.2.3 3.5.3} 5 年平均に基づくと 1957 年から 2009 年にかけて水深 700 2000 m の層で海洋は温暖化した可能性が高い 1992 年 から 2005 年にかけて 水深 3000 m から海底までの水温は上 昇した可能性が高い一方で 水深 2000 3000 m における 世界平均水温には 1992 年頃から 2005 年にかけて有意な変 化傾向は観測されなかった 水深 3000 m 以深では 南大洋 訳注 B におい て最大の 温暖 化が観測さ れ て いる {3.2.4 3.5.1 図 3.2b, 図 3.3 FAQ 3.1}.2.3 エネルギー収支と貯熱量の変化 少なくとも 1970 年頃以降 地球は放射について不均衡の状 態にあり 入射する太陽放射によるエネルギーのほうが大気 の上端から出ていくエネルギーよりも多い 1971 年から 2010 図.1 地球全体での気候の変化に関する複数の独立した相補的な指標 それぞれの線は 気候要素について独立して得られた変化の推定 値を示す 提示されている時系列は第 2 3 4 章で評価されている おのおのの図において 全てのデータセットは共通するデータ期間において正 規化している どのソースデータセットがどの図に示されているのかについて 詳細は第 2 章の補足資料第 2.SM.5 節と それぞれの章に記載され ている 関連する図 SPM.3 に関するさらなる詳細は 技術要約の補足資料に記載されている 正誤表参照 {FAQ 2.1 図 1 2.4 2.5 3.2 3.7 4.5.2 4.5.3}

第1作業部会報告書 技術要約 年にかけて地球のエネルギーがかなり増加したことはほぼ確 実である 1971 年から 2010 年にかけての推定されるエネル ギー貯蔵量の増加量は 274 [196 351] 1021 J 高い確信 度 で 同期間における年々の値に線形回帰するとエネルギ ー増加率は 213 1012 W になる TFE.4 も参照 {Box 3.1 Box 13.1} 3%を占めている そして残りの 1%を大気の昇温が占めてい る 1971 2010 年について推定される海洋のエネルギー増 加率は同期間にわたる値に線形回帰すると 199 1012 W とな り 地球の全表面にわたる連続した加熱とすれば 0.42 Wm 2 訳注 C に相当し 海洋の昇温分を海洋の表面全体にわたる加 熱とすれば 0.55 Wm 2 に相当することになる 1993 2010 年 の間の地球のエネルギー増加量の推定値は 163 [127 201] 海洋の温暖化は 総エネルギー増加率において卓越してお 1021 J で その変化傾向の推定値は 275 1012 W 正誤表参照 と り 海洋全層での昇温が約 93% 高い確信度 海洋表層 0 なる 1993 2010 年の海洋分の変化傾向は 257 1012 W で 700 m の昇温が約 64%を占めている 氷 北極域の海氷 海洋への 0.71 Wm 2 の平均熱フラックスに相当する {3.2.3 氷床 氷河を含む の融解と大陸の昇温はそれぞれ全体の 3.2.4 Box 3.1} 水深 0 700 m の海洋貯熱量が 2003 2010 年の間で 1993 2002 年の間と比べてゆっくりと増加しているかどうかの可 能性はどちらも同程度である 図.1 経年変動がより小さ い水深 700 2000 m の海洋への熱の取り込みは 1993 2009 年の間に衰えることなく続いている可能性が高い {3.2.3 3.2.4 Box 9.2}.2.4 循環と変動モードの変化 年々から十年の時間スケールの大規模変動は 多くの場合 大気循環の長期的変化について確実な評価を行う妨げにな る 1950 年代から 1990 年代にかけての北半球中緯度の偏 西風と北大西洋振動 NAO 指数の増加と 19 世紀後半から 1990 年代の太平洋のウォーカー循環の弱化は 最近の変化 によってかなりの程度相殺されたことの確信度は高い 20 世 紀以降観測されている冬季の NAO 指数の十年及び数十年 規模の変動は 過去 500 年間に例のないものではないことの 確信度は高い {2.7.2 2.7.5 2.7.8 5.4.2 Box 2.5 表 2.14} 1970 年代以降 大気循環の特徴が極向きに移動している可 能性が高い これには熱帯域の拡大 低気圧経路とジェット 気流の極方向への移動 北極の極渦の収縮が含まれる 証 拠は北半球でより明確である 1950 年代以降 南半球環状 モード SAM がより大きな正の値になっている 可能性が高 い 1950 年以降 観測された夏季の SAM の強さの増大は 中程度の確信度で過去 400 年において特異である {2.7.5 2.7.6 2.7.8 5.4.2 Box 2.5 表 2.14} 高解像度のサンゴ記録から得た新しい結果によれば エル ニーニョ 南方振動 ENSO システムが過去 7 千年間一貫し て変動が大きかったことの確信度は高く 軌道強制力によっ て ENSO が変調しているという識別可能な証拠は示されてい ない {5.4.1} 図.2 3 つのデータセットによる線形変化傾向で求めた 1901 2012 年における地上気温の変化 白色の部分はデータが不完全又は 欠測していることを示す 変化傾向は 70%以上の完全な記録がそろっ ており かつ期間の最初の 10%と最後の 10%においてそれぞれ 20% 以上のデータが利用可能な格子についてのみ計算された 黒のプラス 記号 は 変化傾向が有意である格子を示している すなわち プラ ス記号を示していない変化傾向は 90%信頼区間の外側にある 被覆 率が異なっている理由は主に データセット提供機関がデータの欠けて いる地域を埋めるために行った補間の程度の差によるものであり 格子 内平均以外行っていない場合 英国ハドレー センター及び気候研究ユ ニットによる格子化地上気温データセットバージョン 4 HadCRUT4 か ら かなり補間を行った場合 ゴダード宇宙科学研究所による地表温度 解析 GISTEMP まである 関連する図 SPM.1 に関するさらなる詳細 は 技術要約の補足資料に記載されている {図 2.21} 最近の観測により 主要な海洋循環系が年々から数十年規 模で変動している証拠が強化されている 北太平洋と南太 平洋の亜熱帯循環が 1993 年以降拡大して強化された可能 性は非常に高い 大西洋子午面循環 AMOC 全体と様々 な緯度や期間における個々の構成要素の測定値に基づくと 長期変化傾向の証拠はない また インドネシア通過流 南 極周極流 ACC 及び大西洋とノルディック海の間の輸送 量のいずれにも変化傾向の証拠がない ただし 1950 2010 年の間のデータにより 中程度の確信度で ACC が緯 度でおよそ 1 度分南側へ移動したことが観測されている {3.6} 39

.2.5.2.5.1 大 気 水 循 環 と 雪 氷 圏 における 変 化 地 球 全 体 の 陸 域 で 平 均 した 降 水 量 の 変 化 の 確 信 度 は 1951 年 までは 低 く それ 以 降 は 中 程 度 である この 理 由 は 特 に 記 録 の 初 期 の 部 分 をはじめとして データが 不 十 分 なためで ある( 地 球 全 体 の 水 循 環 において 観 測 された 変 化 と 予 測 され た 変 化 の 概 要 は TFE.1 を 参 照 ) さらに 復 元 手 法 を 用 いて ほとんど 全 ての 陸 域 を 埋 めても その 結 果 得 られる 時 系 列 に よれば 1901 年 以 降 の 陸 域 の 降 水 量 にはほとんど 変 化 はみら れない 北 半 球 の 中 緯 度 の 陸 域 では 降 水 量 が 全 体 として 増 加 している 可 能 性 が 高 いことを 示 している(1951 年 までは 中 程 度 の 確 信 度 だが それ 以 降 は 高 い 確 信 度 ) その 他 の 緯 度 帯 で 面 積 平 均 した 降 水 量 の 長 期 変 化 傾 向 は 正 であれ 負 であれ 確 信 度 は 低 い(TFE.1 図 2) 正 誤 表 参 照 {2.5.1} に 減 少 した 確 信 度 は 非 常 に 高 い( 図.1) 年 平 均 の 減 少 率 は 10 年 当 たり 3.5~4.1%(10 年 当 たり 45 万 ~51 万 km 2 ) であった 可 能 性 が 非 常 に 高 い 10 年 平 均 した 北 極 域 の 海 氷 面 積 の 平 均 的 な 減 少 速 度 は 夏 と 秋 に 最 も 急 速 に 進 んでい る( 高 い 確 信 度 )が 全 ての 季 節 について また 1979 年 以 降 の 10 年 間 ごとに 連 続 して それぞれ 面 積 が 減 少 している( 高 い 確 信 度 ) 北 極 域 の 越 年 氷 及 び 多 年 氷 の 面 積 は 1979 年 から 2012 年 の 期 間 にわたって 減 少 した( 確 信 度 が 非 常 に 高 い) 夏 季 の 最 小 時 の 海 氷 面 積 ( 越 年 氷 )の 減 少 率 は 1979~ 2012 年 の 間 に 10 年 当 たり 11.5 [9.4~13.6] %(10 年 当 たり 73 万 ~107 万 km 2 ) 多 年 氷 の 減 少 率 は 10 年 当 たり 13.5 [11 ~16] %だった 可 能 性 が 非 常 に 高 い 復 元 によると 少 なくと も 過 去 1450 年 間 において 現 在 (1980~2012 年 )の 夏 の 北 極 域 の 海 氷 後 退 は 前 例 がないもので また SST は 異 常 に 高 かったということについて 中 程 度 の 確 信 度 がある {4.2.2 5.5.2} 40 地 球 全 体 の 地 表 面 付 近 及 び 対 流 圏 の 大 気 比 湿 は 1970 年 代 以 降 に 増 加 した 可 能 性 が 非 常 に 高 い しかしながら 近 年 は 陸 域 の 地 表 面 付 近 の 湿 潤 化 が 弱 まっている( 中 程 度 の 確 信 度 )( 図.1) その 結 果 として 近 年 陸 域 では 地 表 面 付 近 の 相 対 湿 度 がかなり 広 範 囲 にわたって 低 下 していることが 観 測 されている {2.4.4 2.5.4 2.5.5 正 誤 表 参 照 } 雲 量 の 変 化 傾 向 は 独 立 したデータセット 間 でも 整 合 してい る 特 定 の 地 域 はあるが 地 球 規 模 の 雲 の 変 動 と 変 化 傾 向 の 観 測 においてはかなりの 曖 昧 さが 残 るため 依 然 として 確 信 度 は 低 い {2.5.6 正 誤 表 参 照 }.2.5.2 海 洋 及 び 海 面 フラックス 1950 年 代 以 降 地 域 ごとの 変 化 傾 向 により 海 洋 表 面 の 塩 分 の 地 域 による 差 が 強 化 されている 可 能 性 が 非 常 に 高 い すなわち 蒸 発 が 卓 越 している 中 緯 度 域 の 海 面 の 高 塩 分 水 は 塩 分 がより 上 昇 し 降 雨 が 卓 越 している 熱 帯 域 及 び 極 域 の 相 対 的 に 塩 分 の 低 い 表 面 水 の 塩 分 がさらに 低 下 している 高 塩 分 域 と 低 塩 分 域 の 平 均 的 な 差 は 1950 年 から 2008 年 にかけて 0.13 [0.08~0.17] 増 加 した 海 盆 間 における 淡 水 量 の 差 が 増 大 している 可 能 性 は 非 常 に 高 い すなわち 大 西 洋 はより 塩 分 が 高 くなり 太 平 洋 と 南 大 洋 は 塩 分 が 低 下 して いる AR4 においても 同 様 の 結 論 に 達 したが より 拡 充 され たデータセットと 新 しい 解 析 法 に 基 づく 最 近 の 研 究 は この 評 価 に 高 い 確 信 度 を 与 えている {3.3.2 3.3.3 3.9;FAQ 3.2} 塩 分 の 変 化 傾 向 平 均 塩 分 そして 蒸 発 量 から 降 水 量 を 差 し 引 いた 値 の 平 均 分 布 の 空 間 分 布 は 全 て 似 ている(TFE.1 図 1) この 類 似 性 は 海 洋 における 蒸 発 量 と 降 水 量 の 差 の 分 布 が 1950 年 代 以 降 強 化 されたことの 間 接 的 な 証 拠 を 提 供 している( 中 程 度 の 確 信 度 ) 1950 年 以 降 観 測 されている 塩 分 の 変 化 の 時 間 スケールにおいて 海 洋 での 蒸 発 量 又 は 降 水 量 の 地 域 規 模 あるいは 地 球 規 模 での 分 布 の 変 化 傾 向 を 直 接 特 定 するには 現 在 利 用 可 能 な 海 面 フラックスデータの 不 確 実 性 が 大 きすぎるため このデータセットをまだ 信 頼 して 利 用 することはできない {3.3.2~3.3.4 3.4.2 3.4.3 3.9; FAQ 3.2}.2.5.3 海 氷 AR4 で 報 告 された 変 化 傾 向 が 継 続 しており 北 極 域 の( 一 年 氷 多 年 氷 越 年 氷 訳 注 D の) 海 氷 面 積 が 1979~2012 年 の 間 1979~2012 年 の 期 間 に 北 極 域 の 越 年 氷 の 毎 年 の 表 面 融 解 期 間 は 10 年 当 たり 5.7 [4.8~6.6] 日 長 くなっている 可 能 性 が 高 い この 期 間 には 東 シベリア 海 と 西 ボーフォート 海 の 間 の 海 域 において 無 海 氷 面 期 間 が 3 か 月 近 く 増 えてい る {4.2.2} 北 極 海 盆 における 冬 季 の 平 均 氷 厚 が 1980~2008 年 の 間 に 減 少 したことの 確 信 度 は 高 い 平 均 減 少 量 は 1.3 m から 2.3 m の 範 囲 であった 可 能 性 が 高 い この 評 価 における 高 い 確 信 度 は 潜 水 艦 電 磁 誘 導 式 (EM) 氷 厚 計 衛 星 高 度 計 という 複 数 の 観 測 方 法 による 観 測 結 果 に 基 づいており 多 年 氷 及 び 越 年 氷 の 面 積 の 減 少 と 整 合 している 2010~2012 年 の 期 間 に 行 われた 衛 星 による 測 定 は 2003~2008 年 の 期 間 の 測 定 に 比 べて 海 氷 量 の 減 少 を 示 している( 中 程 度 の 確 信 度 ) 海 氷 厚 が 減 少 している 北 極 域 において 海 氷 の 漂 流 速 度 が 増 したことについては 高 い 確 信 度 がある {4.2.2} 南 極 域 の 年 平 均 海 氷 面 積 は 1979~2012 年 の 期 間 に 10 年 当 たり 1.2~1.8%の 割 合 (10 年 当 たり 13 万 ~20 万 km 2 )で 増 加 した 可 能 性 が 非 常 に 高 い( 非 常 に 高 い 確 信 度 ) 浮 氷 域 に おける 開 放 水 面 の 割 合 が 減 少 したため 海 氷 面 積 の 更 に 大 きな 増 加 があった この 年 変 化 率 には 強 い 地 域 差 があり 面 積 が 増 加 している 地 域 もあれば 減 少 している 地 域 もあること の 確 信 度 は 高 い また 南 極 周 辺 には 衛 星 による 観 測 が 行 われた 期 間 に 海 氷 が 無 い 季 節 が 長 くなった 海 域 もあれば 対 照 的 に 短 くなった 海 域 もある( 高 い 確 信 度 ) {4.2.3}.2.5.4 氷 河 と 氷 床 氷 河 の 長 さ 面 積 体 積 質 量 について 測 定 された 変 化 の 時 系 列 によって 明 らかになったように 世 界 中 の 氷 河 が 継 続 的 に 縮 小 していることの 確 信 度 は 非 常 に 高 い( 図.1 及 び 図.3) ごくわずかな 例 外 は 地 域 的 及 び 時 間 的 に 限 定 さ れている 氷 河 の 変 化 の 測 定 数 は AR4 以 降 大 幅 に 増 え ている 新 しいデータのほとんどは 地 球 全 体 を 網 羅 した 氷 河 目 録 とともに 衛 星 による 遠 隔 測 定 から 得 たものである {4.3.1 4.3.3} 最 近 の 10 年 間 に 地 球 全 体 の 氷 河 の 氷 の 減 少 に 最 も 寄 与 し たのは アラスカ カナダ 北 極 圏 グリーンランド 氷 床 周 辺 アンデス 南 部 及 びアジアの 山 地 からだったことの 確 信 度 は 非 常 に 高 い これらの 領 域 を 全 て 合 わせると 氷 の 減 少 量 全 体 の 80% 以 上 を 占 める 世 界 の 全 氷 河 からの 総 質 量 減 少 は

氷 床 周 辺 の 氷 河 を 除 くと 1971~2009 年 の 期 間 には 1 年 当 たり 226 [91~361] Gt( 海 面 水 位 換 算 では 1 年 当 たり 0.62 [0.25~0.99] mm) 1993~2009 年 の 期 間 は 1 年 当 たり 275 [140~410] Gt(1 年 当 たり 0.76 [0.39~1.13] mm) 2005~ 2009 年 の 期 間 は 1 年 当 たり 301 [166~436] Gt(1 年 当 たり 0.83 [0.46~1.20] mm)であった 可 能 性 が 非 常 に 高 い 8 {4.3.3; 表 4.4 表 4.5} 現 在 の 氷 河 面 積 は 現 在 の 気 候 条 件 と 平 衡 状 態 にはなく た とえ 将 来 これ 以 上 気 温 が 上 昇 しないとしても 氷 河 は 縮 小 し 続 けることを 示 している( 高 い 確 信 度 ) {4.3.3} グリーンランド 氷 床 の 氷 が 最 近 20 年 間 に 減 少 したことの 確 信 度 は 非 常 に 高 い 衛 星 及 び 航 空 機 による 遠 隔 測 定 並 びに 現 場 データを 組 み 合 わせると いくつかの 領 域 で 氷 床 の 減 少 が 生 じていることと 大 きな 質 量 減 少 率 の 領 域 が AR4 で 報 告 されたよりも 広 い 地 域 に 広 がっていることが 高 い 確 信 度 で 示 される( 図.3) グリーンランド 氷 床 の 質 量 損 失 が 1992 年 以 降 加 速 していることの 確 信 度 は 高 く 平 均 減 少 率 は 1992 ~2001 年 の 期 間 には 1 年 当 たり 34 [ 6~74] Gt( 海 面 水 位 換 算 で 1 年 当 たり 0.09 [ 0.02~0.20] mm)であったものが 2002~2011 年 の 期 間 には 1 年 当 たり 215 [157~274] Gt(1 年 当 たり 0.59 [0.43~0.76] mm)に 増 加 した 可 能 性 が 非 常 に 高 い グリーンランドからの 氷 の 減 少 は 表 面 融 解 とその 流 出 の 増 加 と 流 出 氷 河 の 増 加 の 結 果 としてもたらされたもので あることの 確 信 度 は 高 く その 両 方 がほぼ 同 じ 量 であった 夏 季 に 融 解 している 面 積 が 最 近 20 年 間 で 増 加 していること の 確 信 度 は 高 い {4.4.2 4.4.3} 図.3 ( 上 図 )(a) 南 極 大 陸 と(b)グリーンランドについて 重 力 回 復 と 気 候 実 験 (GRACE 訳 注 E )で 得 られた 重 力 の 時 間 変 化 から 求 めた 氷 の 減 少 量 の 分 布 2003~2012 年 の 期 間 について 1 年 当 たりの 氷 の 変 化 量 を 単 位 面 積 当 たりの 水 の 厚 さに 換 算 してセンチメートルで 表 示 している ( 下 図 ) 氷 河 及 び 氷 床 からの 氷 の 総 減 少 量 の 評 価 を 質 量 (Gt) 及 び 海 面 水 位 換 算 (mm)で 示 している 氷 の 減 少 への 氷 河 からの 寄 与 の 評 価 において は 氷 床 周 辺 の 氷 河 を 除 いている {4.3 4.4; 図 4.12~4.14 図 4.16 図 4.17 図 4.25} 正 誤 表 参 照 8 1 年 当 たり 100 Gt の 氷 減 少 は 海 面 水 位 換 算 では 1 年 当 たり 約 0.28 mm 41

テーマ 別 注 目 要 素 TFE.1 水 循 環 の 変 化 水 循 環 とは 液 体 固 体 蒸 気 の 形 をとりながら 気 候 システムを 通 じた 水 の 連 続 した 移 動 と 海 洋 雪 氷 圏 陸 域 の 地 表 面 及 び 大 気 中 の 貯 水 場 所 に 蓄 えられることを 表 す 言 葉 である 大 気 中 では 水 は 主 に 気 体 すなわち 水 蒸 気 として 存 在 するが 雲 の 中 では 氷 や 液 体 の 水 としても 存 在 する 海 洋 は 主 に 液 体 の 水 だが 極 域 では 部 分 的 に 氷 で 覆 われ ている 液 体 の 陸 水 は 地 表 水 ( 湖 河 川 ) 土 壌 水 分 地 下 水 として 現 れる 固 体 の 陸 水 は 氷 床 氷 河 雪 地 表 面 の 氷 永 久 凍 土 として 存 在 する 気 候 システムにおける 水 の 移 動 は 陸 上 の 生 命 に 不 可 欠 である というのは 降 水 として 陸 上 に 落 ちて 土 壌 水 分 や 河 川 の 流 れを 供 給 する 水 の 大 部 分 は 海 洋 から 蒸 発 して 大 気 によって 陸 域 に 運 ばれ たものだからである 冬 に 雪 として 降 る 水 も 春 には 土 壌 水 分 を 夏 には 河 川 の 流 れを 供 給 し 自 然 と 人 間 の 両 方 のシ ステムに 不 可 欠 である 大 気 と 海 洋 の 間 の 淡 水 の 移 動 は 海 洋 の 密 度 と 循 環 の 重 要 な 駆 動 要 因 である 海 洋 塩 分 にも 影 響 を 与 える 大 気 中 の 水 蒸 気 に 含 まれる 潜 熱 は 個 々の 雷 雨 から 地 球 全 体 の 大 気 循 環 まで 様 々な 規 模 での 大 気 循 環 を 駆 動 するのに 不 可 欠 である {12.4.5; FAQ 3.2 FAQ 12.2} 観 測 された 水 循 環 の 変 化 空 気 の 飽 和 水 蒸 気 圧 は 気 温 とともに 上 昇 するため 空 気 中 の 水 蒸 気 量 は 気 候 の 温 暖 化 に 伴 って 増 加 することが 予 測 される 地 上 観 測 所 ラジオゾンデ GPS 訳 注 a 衛 星 測 定 による 観 測 結 果 は 大 規 模 な 空 間 スケールでの 対 流 圏 の 水 蒸 気 の 増 加 を 示 している(TFE.1 図 1) 対 流 圏 の 大 気 比 湿 は 1970 年 代 以 降 に 増 加 した 可 能 性 が 非 常 に 高 い 過 去 40 年 間 に 観 測 された 地 球 全 体 の 対 流 圏 水 蒸 気 の 約 3.5%という 変 化 の 大 きさは 約 0.5 の 気 温 の 変 化 と 整 合 してお り 相 対 湿 度 はほぼ 一 定 に 留 まった 中 程 度 の 確 信 度 で 水 蒸 気 の 変 化 の 原 因 は 人 為 影 響 に 帰 することができる {2.5.4 10.3.2} 降 水 量 の 変 化 は 既 存 の 記 録 で 評 価 することが 水 蒸 気 の 場 合 よりも 難 しい というのは 降 水 量 のサンプリングの 方 が より 難 しいことと 降 水 量 の 方 が 空 気 中 の 水 蒸 気 量 に 比 べて 気 候 の 温 暖 化 に 伴 う 変 化 率 が 小 さいと 予 測 されるため である 地 域 的 な 降 水 の 変 化 傾 向 はいくつか 確 実 に 現 れているが(TFE.1 図 2) 復 元 手 法 を 用 いてほとんど 全 ての 陸 域 を 埋 めても その 結 果 得 られる 時 系 列 によれば 1900 年 以 降 の 全 陸 域 平 均 の 降 水 量 にほとんど 変 化 が 見 られな い 現 時 点 では 北 半 球 中 高 緯 度 域 における 増 加 を 含 め 降 水 パターンにおける 地 球 規 模 の 変 化 に 有 意 な 人 為 影 響 があったことの 確 信 度 は 中 程 度 である 降 水 の 極 端 現 象 の 変 化 や 水 循 環 に 関 連 する 他 の 気 候 の 極 端 現 象 の 変 化 については TFE.9 で 包 括 的 に 考 察 している {2.5.1 10.3.2} 利 用 できる 観 測 記 録 から 降 水 量 と 蒸 発 量 の 変 化 傾 向 を 直 接 評 価 することは 難 しいが 蒸 発 量 と 降 水 量 の 差 に 大 きく 左 右 される 海 面 塩 分 の 観 測 結 果 は 有 意 な 変 化 傾 向 を 示 している(TFE.1 図 1) 1950 年 以 降 の 塩 分 の 変 化 傾 向 の 空 間 パターンは 平 均 塩 分 及 び 蒸 発 量 と 降 水 量 の 差 の 平 均 分 布 に 非 常 に 良 く 似 ている 蒸 発 が 卓 越 する 高 塩 分 領 域 ではより 塩 分 が 高 くなり 降 雨 が 卓 越 する 低 塩 分 領 域 はより 塩 分 が 低 くなっている(TFE.1 図 1) このことは 海 洋 上 に おける 蒸 発 量 と 降 水 量 の 差 のパターンが 1950 年 代 以 降 強 化 されていることの 間 接 的 な 証 拠 を 与 えている( 中 程 度 の 確 信 度 ) 蒸 発 量 と 降 水 量 の 差 の 推 定 された 変 化 は より 高 温 の 大 気 中 で 観 測 された 水 蒸 気 量 の 増 加 と 整 合 する 海 面 及 び 表 層 の 塩 分 において 観 測 された 変 化 の 一 因 が 人 為 的 気 候 強 制 力 にある 可 能 性 は 非 常 に 高 い {2.5 3.3.2 ~3.3.4 3.4 3.9 10.4.2; FAQ 3.2} 解 析 がなされたほとんどの 地 域 において 冬 季 の 気 温 上 昇 が 観 測 された 場 所 における 降 雪 現 象 の 回 数 が 減 少 してい る 可 能 性 が 高 い 衛 星 及 び 現 場 の 観 測 結 果 はともに 北 半 球 の 積 雪 面 積 が 過 去 90 年 間 に 有 意 に 減 少 し その 減 少 の 大 部 分 が 1980 年 代 に 生 じていることを 示 している 1967~2012 年 の 期 間 において 積 雪 面 積 が 最 も 減 少 したのは 6 月 であり 同 月 には 平 均 面 積 は 53%(40~66%) 減 少 した 可 能 性 が 非 常 に 高 い 1922~2012 年 の 期 間 については 利 用 可 能 なデータは 3 月 と 4 月 に 限 られており 非 常 に 高 い 可 能 性 で 7%(4.5~9.5%)の 減 少 を 示 している 春 の 融 雪 が 早 まっているために 北 半 球 の 積 雪 期 間 は 1972/1973 年 の 冬 以 降 10 年 当 たり 5.3 日 減 少 している 1970 年 代 以 降 に 観 測 されているこのような 積 雪 面 積 の 減 少 には 人 為 起 源 に 係 わる 要 素 が 寄 与 している 可 能 性 が 高 い {4.5.2 10.5.1 10.5.3} 河 川 の 流 出 に 関 する 最 新 で 最 も 包 括 的 な 解 析 は 20 世 紀 に 地 球 全 体 の 流 出 量 が 増 えたという IPCC 第 4 次 評 価 報 告 書 (AR4)の 結 論 を 支 持 していない 新 しい 結 果 はさらに 1970 年 代 以 降 の 干 ばつの 地 球 全 体 での 増 加 傾 向 に 関 する AR4 の 結 論 についても 支 持 されなくなったことを 示 している {2.5.2 2.6.2} 将 来 変 化 の 予 測 水 循 環 の 変 化 が 温 暖 化 する 気 候 において 生 じると 予 測 されている(TFE.1 図 3 4.6 5.6 付 録 I も 参 照 ) 地 球 規 模 の 降 水 量 は 21 世 紀 中 には 徐 々に 増 加 すると 予 測 されている 降 水 量 の 増 加 率 (1K 当 たり 約 2%)は 地 球 全 体 のエネルギー 的 な 制 約 のために 下 部 対 流 圏 の 水 蒸 気 の 増 加 率 (1K 当 たり 約 7%)よりもはるかに 小 さいと 予 測 さ れている 温 暖 化 が 進 んだ 世 界 における 平 均 降 水 量 の 変 化 は 地 域 的 に 均 一 ではなく 増 加 する 地 域 もあれば 減 少 ( 次 ページに 続 く) 42

第1作業部会報告書 技術要約 TFE.1 続き TFE.1 図 1 海面塩分の変化は 蒸発量と降水量の差 E P と 総可降水量の変化傾向の大気パターンに関係している a 衛星観測 による総可降水量 地球の表面から大気中全てを積分した水蒸気 10 年当たり kg m 2 の線形変化傾向 1988 2010 年 b 気象再 解析データによる 1979 2005 年における正味の蒸発量と降水量の差の気候学的平均値 1 年当たり cm c 海面塩分の変化傾向 1950 2000 年 50 年当たりの実用塩分スケール 訳注 b 正誤表参照 d 海面塩分の気候学的平均値 実用塩分スケール 青色 <35 黄色 赤色 >35 e 海面塩分が世界平均海面塩分よりも高い地域について平均した塩分 高塩分 と世界平均よりも低い地域につ いて平均した塩分 低塩分 の地球全体での差 データソースの詳細については図 3.21 及び FAQ3.2 図 1 を参照 {3.9} 43

第1作業部会報告書 技術要約 TFE.1 続き TFE.1 図 2 1901 年から 2010 年 左図 及び 1951 年から 2010 年 右図 にかけて観測された 陸域における降水量の変化の分布図 気候研究ユニット CRU 世界歴史気候ネットワーク GHCN 世界降水気候センター GPCC のデータセットに基づく 年降水量の変化 傾向は 70%以上の完全な記録がそろっており かつ期間の最初の 10%と最後の 10%においてそれぞれ 20%以上のデータが利用可能 な格子についてのみ計算された 白色部分はデータが不完全又は欠測していることを示す 黒のプラス記号 は 変化傾向が有意な 格子を示している すなわち 変化傾向をゼロとした時 90%信頼区間の外側になる 関連する図 SPM.2 に関するさらなる詳細は 技術 要約の補足資料に記載されている {図 2.29 2.5.1} する地域や全く変化のない地域もあるだろう 高緯度の陸域では 対流圏の温暖化により水蒸気を輸送する能力が増 すため 降水量は増える 可能性が高い 中緯度と亜熱帯の乾燥地域及び半乾燥地域の多くは 降水量が減る可能 性が高い ユーラシア北部と北アメリカでは 冬季に最も大きな降水量の変化が起きると予測されている {12.4.5 付 録 I} 地域規模から地球規模における土壌水分と干ばつの予測は 水循環の他の側面に比べると比較的不確実なままに なっている しかしながら 地中海 米国南西部 アフリカ南部地域における乾燥化は ハドレー循環において予測さ れている変化と整合することから こうした地域では地球全体の昇温に伴い 代表的濃度経路 RCP8.5 に基づく数 の昇温に対し乾燥化する可能性が高い 南ヨーロッパと中東では河川の流出量が減少する可能性が高い 北半球高 緯度域では流出量が増加する可能性が高く 同域において予測されている降水量の増加に整合している {12.4.5} 次ページに続く 44

第1作業部会報告書 技術要約 TFE.1 続き TFE.1 図 3 代表的濃度経路 RCP8.5 Box.6 参照 に基づく 1986 2005 年に対する 2081 2100 年の降水量 P 蒸発量 E 相対湿度 蒸発量と降水量の差 E P 流出量 土壌水分の年平均変化 各図の右上隅の数値は 複数モデル平均の算出に用いた第 5 期結合モデル相互比較計画 CMIP5 のモデル数を表している 斜線部は 複数モデル平均の変化量が内部変動の標準偏差の 1 倍未 満である地域を示す また点描部は 複数モデル平均の変化量が内部変動の標準偏差の 2 倍以上であり かつ 90%のモデルが同じ符 号の変化を示している地域を示す Box 12.1 参照 {図 12.25 12.27} 訳注 a 全球測位システム Global Positioning System 本質的には衛星を用いて位置を決定するシステムであるが 水蒸気により電波 の遅延が生じることを利用して このシステムから大気中の水蒸気分布を推定することができる 訳注 b 実用塩分スケール Practical Salinity Scale, 1978; PSS78 は 標準溶液との電気伝導度の比によって決定された無次元の塩分 尺度で 海水 1 kg に溶解している塩分の重量をグラムであらわした数値とほぼ等しい 45

南 極 氷 床 の 氷 が 最 近 20 年 間 に 減 少 したことの 確 信 度 は 高 い( 図.3) この 減 少 が 主 に 南 極 半 島 北 部 と 西 南 極 のアム ンゼン 海 部 分 で 起 きていることについての 確 信 度 は 非 常 に 高 く その 原 因 が 氷 河 の 流 出 速 度 の 増 大 によるものであるこ との 確 信 度 は 高 い 南 極 氷 床 の 平 均 減 少 率 は 1992~2001 年 の 期 間 には 1 年 当 たり 30 [ 37~97] Gt ( 海 面 水 位 換 算 で 1 年 当 たり 0.08 [ 0.10~0.27] mm)であったものが 2002~ 2011 年 の 期 間 には 1 年 当 たり 147 [72~221] Gt ( 同 1 年 当 たり 0.40 [0.20~0.61] mm)に 増 加 している 可 能 性 が 高 い {4.4.2 4.4.3} 南 極 域 の 一 部 において 浮 いている 棚 氷 が 大 きな 変 化 を 遂 げつつあることの 確 信 度 は 高 い 西 南 極 のアムンゼン 海 域 に おいて 棚 氷 が 薄 くなっていることについての 確 信 度 は 中 程 度 であり その 原 因 が 海 洋 からの 大 きな 熱 フラックスにあること の 確 信 度 は 中 程 度 である 正 誤 表 参 照 南 極 半 島 周 囲 の 棚 氷 で は 数 十 年 前 に 始 まった 後 退 と 部 分 的 崩 壊 の 長 期 変 化 傾 向 が 継 続 していることの 確 信 度 は 高 い {4.4.2 4.4.5} 東 南 極 氷 床 域 の 一 部 の 退 氷 による 海 面 水 位 変 化 は 鮮 新 世 の 最 も 温 暖 な 期 間 においても+20 m を 超 えなかったことの 確 信 度 は 高 い {5.6.1 13.2} 最 終 間 氷 期 (およそ 12 万 9 千 年 前 ~11 万 6 千 年 前 )に 数 千 年 にわたって 世 界 平 均 海 面 水 位 の 最 大 値 が 現 在 より 少 な くとも 5 m 高 かったことの 確 信 度 は 非 常 に 高 く 現 在 よりも 10 m 以 上 高 くはなかったことの 確 信 度 は 高 い これは グリーン ランドと 南 極 の 氷 床 がかなり 寄 与 したことを 示 唆 している こ の 海 面 水 位 の 変 化 は 地 球 の 軌 道 要 素 が 現 在 とは 異 なること による 強 制 力 のもとで 起 こり 高 緯 度 域 の 地 上 気 温 は 数 千 年 にわたる 平 均 で 現 在 より 少 なくとも 2 高 かった( 高 い 確 信 度 ) 新 しいグリーンランド 氷 床 コアから 得 た 高 度 変 化 と 整 合 する 氷 床 モデルシミュレーションによると グリーンランド 氷 床 は 海 面 水 位 換 算 で 1.4 m~4.3 m の 間 で 寄 与 した 可 能 性 が 非 常 に 高 く 中 程 度 の 確 信 度 で 最 終 間 氷 期 の 間 に 南 極 氷 床 から 世 界 平 均 海 面 水 位 への 寄 与 があったことを 示 唆 している {5.3.4 5.6.2 13.2.1}.2.5.5 積 雪 面 積 淡 水 氷 凍 土 北 半 球 では 積 雪 面 積 が 減 少 しており 特 に 春 季 に 顕 著 であ ることの 確 信 度 は 非 常 に 高 い( 図.1) 衛 星 観 測 の 記 録 に よると 1967~2012 年 の 期 間 に 積 雪 面 積 が 減 少 した 可 能 性 は 非 常 に 高 く 53% [ 40~ 66%]という 最 大 の 変 化 は 6 月 に 生 じていた 統 計 的 に 有 意 な 増 加 を 示 した 月 は 無 かった より 長 い 1922~2012 年 の 期 間 では データは 3 月 と 4 月 に 限 られるが 積 雪 面 積 は 7% [4.5~9.5%] 減 少 した 可 能 性 が 高 く 3 月 から 4 月 の 北 緯 40 度 から 北 緯 60 度 の 陸 域 の 地 上 気 温 と 負 の 相 関 関 係 ( 0.76)を 示 している 南 半 球 について は 証 拠 があまりに 限 定 されているため 変 化 が 起 こったかど うかの 結 論 を 得 ることはできない {4.5.2 4.5.3} 永 久 凍 土 の 温 度 は 1980 年 代 初 頭 以 降 世 界 のほとんどの 地 域 で 上 昇 している( 高 い 確 信 度 ) この 温 度 上 昇 は 気 温 上 昇 並 びに 積 雪 の 時 期 及 び 厚 さの 変 化 に 応 答 したものであ る( 高 い 確 信 度 ) 一 般 に より 温 度 の 低 い 永 久 凍 土 のほうが より 温 度 の 高 い 永 久 凍 土 よりも 温 度 上 昇 は 大 きかった( 高 い 確 信 度 ) {4.7.2; 表 4.8} 海 面 水 位 の 代 替 データと 測 器 によるデータは 19 世 紀 後 半 から 20 世 紀 初 頭 にかけて 過 去 2 千 年 間 にわたる 比 較 的 小 さな 平 均 上 昇 率 から より 高 い 上 昇 率 に 移 行 したことを 示 して いる( 高 い 確 信 度 ) {3.7 3.7.4 5.6.3 13.2} 潮 位 計 データ 及 び 1993 年 以 降 追 加 で 用 いている 衛 星 デ ータに 基 づき 1901~2010 年 の 期 間 の 線 形 トレンドから 見 積 もると 世 界 平 均 海 面 水 位 は この 期 間 中 0.19 [0.17~0.21] m 上 昇 した 世 界 平 均 海 面 水 位 の 平 均 上 昇 率 は 1901~ 2010 年 の 期 間 で 1 年 当 たり 1.7 [1.5~1.9] mm だった 可 能 性 が 非 常 に 高 い 1993~2010 年 の 期 間 で 上 昇 率 はさらに 高 く なり 1 年 当 たり 3.2 [2.8~3.6] mm であった 可 能 性 が 非 常 に 高 い 1920~1950 年 の 期 間 には 1993~2010 年 の 期 間 と 同 程 度 の 高 い 上 昇 率 となっていた 可 能 性 が 高 い 世 界 平 均 海 面 水 位 の 上 昇 率 は 1900 年 代 初 頭 以 降 上 昇 している 可 能 性 が 高 く 推 定 値 は 0.000 [ 0.002~0.002] mm/ 年 2 から 0.013 2 正 誤 表 参 照 [0.007~0.019] mm/ 年 の 範 囲 にわたっている {3.7 5.6.3 13.2}.2.7 極 端 現 象 の 変 化.2.6 海 面 水 位 の 変 化.2.7.1 大 気 46 海 洋 の 水 の 体 積 の 変 化 をもたらす 主 要 な 要 因 は 海 水 の 昇 温 に 伴 う 膨 張 と 現 在 陸 域 に 貯 蔵 されている 水 ( 特 に 氷 河 や 氷 床 の 水 )の 海 洋 への 移 動 である 貯 水 池 への 貯 水 量 の 変 化 による 寄 与 と 地 下 水 の 減 少 ( 及 びその 後 の 海 洋 への 流 出 ) による 寄 与 も 海 面 水 位 に 影 響 を 与 える 陸 地 に 対 する 海 面 水 位 ( 相 対 的 海 面 水 位 )の 変 化 は 海 洋 における 水 の 分 布 の 変 化 陸 地 の 上 下 運 動 地 球 の 重 力 場 の 変 化 のために 世 界 平 均 海 面 水 位 の 変 化 とは 大 きく 異 なることがあり 得 る 最 近 の( 及 び 予 測 されている) 海 面 水 位 の 変 化 に 関 連 する 科 学 的 理 解 と 不 確 実 性 の 概 観 については TFE.2 を 参 照 {3.7.3 13.1} 中 期 鮮 新 世 (330 万 年 前 ~300 万 年 前 )の 温 暖 期 には 世 界 平 均 地 上 気 温 は 工 業 化 以 前 の 気 候 よりも 1.9 ~3.6 高 く 二 酸 化 炭 素 (CO 2 ) 濃 度 は 350~450 ppm であった( 中 程 度 の 確 信 度 )が 世 界 平 均 海 面 水 位 が 現 在 よりも 高 かったことに ついて 高 い 確 信 度 があり 極 域 の 氷 床 量 が 減 少 していたこと を 示 唆 している 様 々な 手 法 から 得 た 最 良 の 推 定 値 の 示 唆 するところでは グリーンランド 氷 床 及 び 西 南 極 氷 床 並 びに 極 端 現 象 に 関 する 最 近 の 解 析 は AR4 と SREX の 結 論 をお おむね 裏 付 けている(TFE.9 と まとめとして 特 に TFE.9 表 1 を 参 照 ) 1951~2010 年 の 間 に 地 球 規 模 で 寒 い 日 や 寒 い 夜 の 日 数 が 減 少 し 暑 い 日 や 暑 い 夜 の 日 数 が 増 加 した 可 能 性 が 非 常 に 高 い 20 世 紀 半 ば 以 降 熱 波 を 含 む 継 続 的 な 高 温 の 持 続 期 間 と 頻 度 が 地 球 全 体 で 増 加 したことについては 中 程 度 の 確 信 度 しかないが その 主 な 理 由 はアフリカと 南 アメリ カにおけるデータや 研 究 が 不 足 していることにある ただし この 期 間 にヨーロッパ アジア オーストラリアの 大 部 分 で 熱 波 の 頻 度 が 増 加 した 可 能 性 は 高 い {2.6.1; 表 2.12 表 2.13} 1950 年 頃 以 降 陸 域 での 強 い 降 水 現 象 の 回 数 が 増 加 して いる 地 域 のほうが 減 少 している 地 域 よりも 多 い 可 能 性 が 高 い 北 アメリカ 及 びヨーロッパについては 確 信 度 が 最 も 高 く 強 い 降 水 の 頻 度 又 は 強 度 のいずれかが 増 加 した 可 能 性 が 高 いが 季 節 的 及 び 地 域 的 な 変 動 がある 北 アメリカ 中 央 部 において 降 水 現 象 がより 強 くなる 傾 向 にある 可 能 性 は 非 常 に 高 い {2.6.2; 表 2.13}

テーマ 別 注 目 要 素 TFE.2 海 面 水 位 の 変 化 : 科 学 的 理 解 と 不 確 実 性 最 終 氷 期 最 盛 期 の 後 世 界 平 均 海 面 水 位 は 数 千 年 前 に 現 在 の 値 の 近 くまで 達 した それ 以 来 海 面 水 位 の 上 昇 率 は 完 新 世 後 期 における 低 い 海 面 水 位 の 変 化 率 (1 年 当 たり 10 分 の 数 mm 程 度 )から 20 世 紀 の 変 化 率 (1 年 当 たり 数 mm 程 度 図.1)に 増 大 したことはほぼ 確 実 である {3.7 5.6 13.2} 海 水 の 熱 膨 張 と 氷 河 の 質 量 損 失 は 20 世 紀 における 世 界 平 均 海 面 水 位 の 上 昇 の 主 要 な 原 因 である( 高 い 確 信 度 ) 1971~2010 年 の 期 間 において 海 洋 の 温 暖 化 は 海 面 水 位 の 1 年 当 たり 0.8 [0.5~1.1] mm の 変 化 に 寄 与 し その 大 部 分 は 700 m 以 浅 の 海 洋 表 層 の 昇 温 の 寄 与 である 可 能 性 が 非 常 に 高 い 1971~2010 年 の 期 間 におけるモデルによ る 平 均 の 海 洋 熱 膨 張 率 は 観 測 された 値 に 近 い {3.7 13.3} 観 測 結 果 は その 解 析 手 法 の 向 上 と 合 わせることで 1971~2010 年 の 期 間 における 地 球 全 体 の 氷 河 (グリーンランド と 南 極 大 陸 の 周 囲 の 氷 河 を 除 く)の 海 面 水 位 への 寄 与 が 海 面 水 位 換 算 で 1 年 当 たり 0.25~0.99 mm であったことを 示 している 氷 河 の 表 面 質 量 収 支 に 関 する 諸 過 程 に 基 づく 理 解 観 測 に 基 づく 氷 河 の 変 化 の 解 析 結 果 とモデルによ る 変 化 との 整 合 性 そして 大 気 海 洋 大 循 環 モデル(AOGCM)による 気 候 シミュレーションが 現 実 的 な 気 候 値 を( 氷 河 の) 質 量 収 支 モデルに 入 力 できるという 証 拠 により 氷 河 の 変 化 の 予 測 に 用 いる 地 球 全 体 の 氷 河 質 量 収 支 モデルの 結 果 には 中 程 度 の 確 信 度 がある 観 測 された 気 候 データを 用 いたシミュレーションは AOGCM からの 気 候 データを 用 いたシミュレーションよりも 1930 年 代 の 氷 河 の 質 量 損 失 が 大 きな 割 合 になるが おそらくこれは 外 的 強 制 によらな い 地 域 的 な 気 候 変 動 に 関 連 したグリーンランドでの 昇 温 のためである {4.3 13.3} 観 測 によると グリーンランド 氷 床 は 最 近 20 年 間 にわたり 表 面 融 解 と( 融 解 水 ) 流 出 の 増 加 及 び 氷 の 流 出 の 増 加 の 両 方 によって 正 味 で 質 量 を 減 少 させた 可 能 性 が 非 常 に 高 い( 図.3) 地 域 気 候 モデルは 1960 年 代 から 1980 年 代 にかけてはグリーンランド 氷 床 の 表 面 の 質 量 収 支 に 有 意 な 変 化 傾 向 がないことを 示 すが 1990 年 代 初 頭 以 降 融 解 とその 結 果 生 じる 流 出 が 増 加 していることを 示 している この 傾 向 は 顕 著 な 地 域 的 な 温 暖 化 に 関 連 しており これ は 近 年 における 気 候 の 特 異 な 地 域 的 変 動 と 人 為 起 源 の 気 候 変 動 が 組 み 合 さったことによるものかもしれない グリ ーンランドにおいて 将 来 気 温 が 上 昇 し 表 面 融 解 が 増 加 するという 予 測 に 対 する 高 い 確 信 度 は 十 分 に 理 解 された 物 理 的 理 由 で 北 半 球 の 高 緯 度 では 気 温 の 上 昇 幅 が 大 きくなるという 予 測 についてモデル 間 で 定 性 的 な 一 致 が 見 られ ることに 基 づいている {4.4 13.3} 南 極 氷 床 が 正 味 で 質 量 を 失 っている 状 態 にあることの 確 信 度 は 高 く 最 近 20 年 間 に 南 極 氷 床 の 海 面 水 位 への 寄 与 が 増 加 した 可 能 性 も 高 い 1990 年 代 以 降 氷 の 流 出 の 加 速 が 観 測 されていて 特 に 西 南 極 のアムンゼン 海 部 分 で 顕 著 であ る 涵 養 (かんよう) 量 の 年 々 変 動 は 大 きいため 1979 年 以 降 の 涵 養 量 にはモデルと 観 測 のいずれにおいても 有 意 な 変 化 傾 向 はみられない 南 極 大 陸 では 表 面 融 解 は 現 在 のところ 無 視 できる {4.4 13.3} 陸 域 の 貯 水 ( 積 雪 表 層 水 土 壌 水 分 地 下 水 )の 気 候 に 関 連 した 変 化 をモデルに 基 づいて 推 定 した 結 果 最 近 数 十 年 における 海 面 水 位 変 化 に 対 する 有 意 な 長 期 的 寄 与 は 示 されなかった しかしながら 人 為 起 源 の 変 化 ( 人 工 貯 水 池 への 貯 水 と 地 下 水 利 用 )は 海 面 水 位 の 変 化 にそれぞれ 少 なくとも 1 年 当 たり 10 分 の 数 mm は 寄 与 している 20 世 紀 のほとんどの 期 間 において 貯 水 池 の 貯 水 量 の 寄 与 は 地 下 水 の 減 少 による 寄 与 を 上 回 っていたが 地 下 水 の 減 少 速 度 による 寄 与 は 増 えており 現 在 では 貯 水 速 度 による 寄 与 を 上 回 っている 20 世 紀 における 両 要 因 の 正 味 の 寄 与 は 小 さいものと 推 定 されている {13.3} 1993~2010 年 の 期 間 に 観 測 された 世 界 平 均 海 面 水 位 の 上 昇 は 観 測 によって 推 定 された 寄 与 の 合 計 と 整 合 してい る(TFE.2 図 1e) 最 近 の 期 間 について 観 測 上 の 収 支 が 不 確 実 性 の 範 囲 内 で 合 っていることは 過 去 の 世 界 平 均 海 面 水 位 の 変 化 の 原 因 に 対 する 物 理 的 理 解 が IPCC 第 4 次 評 価 報 告 書 以 降 著 しく 進 展 していることの 現 れであり 予 測 を 行 うモデルの 信 頼 性 を 評 価 する 目 的 で これらの 寄 与 についてモデルを 厳 密 に 評 価 する 上 でより 良 い 基 礎 を 与 え ている {13.3} モデルによる 海 洋 の 熱 膨 張 及 び 氷 河 の 寄 与 と 陸 域 の 貯 水 量 の 推 定 変 化 量 ( 比 較 的 小 さい)の 合 計 は 観 測 された 1901~1990 年 の 世 界 平 均 海 面 水 位 上 昇 の 約 65%と 1971~2010 年 及 び 1993~2010 年 の 上 昇 の 90%を 説 明 できる (TFE.2 図 1) 氷 床 からの 小 さいが 長 期 的 な 寄 与 と 外 部 強 制 によらない 気 候 の 変 動 に 起 因 する 1930 年 代 における 前 後 よりも 大 きかった 可 能 性 のある 氷 河 の 質 量 損 失 を 含 めると モデルにより 推 定 される 寄 与 の 合 計 は 観 測 された 上 昇 量 に 近 くなる 1993 年 以 降 に 観 測 された 氷 床 の 寄 与 を 加 えると 観 測 された 海 面 水 位 上 昇 とモデルによる 推 定 の 一 致 度 はさらに 向 上 する(TFE.2 図 1) 現 在 利 用 可 能 な 証 拠 は 20 世 紀 の 海 面 水 位 変 化 について 以 前 の IPCC の 評 価 報 告 書 よりも 明 確 な 根 拠 を 提 供 する {13.3} 最 近 改 善 されている 力 学 的 な 氷 床 モデルは 適 切 な 較 正 をすれば 個 々の 氷 河 システムにおいて 観 測 されている 氷 床 流 出 の 急 速 な 変 化 を 再 現 することができる( 例 えば 南 極 大 陸 のパイン 島 氷 河 ; 中 程 度 の 確 信 度 ) しかしながら 地 ( 次 ページに 続 く) 47

第1作業部会報告書 技術要約 TFE.2 続き TFE.2 図 1 a 1900 2010 年の海面水位変化の観測値とモデルにより推定された値 b 同期間における海面水位の 1 年当たり の変化率 衛星高度計のデータは赤い点で変化率を表示 c 1961 2010 年の海面水位の観測値とモデルにより推定された値 d 1990 2010 年の海面水位の観測値とモデルにより推定された値 図 e は 観測された寄与の合計 オレンジ色 と衛星高度計データ から観測された海面水位 赤 を比較している 異なるデータを元に得た世界平均海面水位の推定値が示されており 陰影部は不確実 性の見積もりを示している 標準偏差の 2 倍 1993 年以降の衛星高度計のデータは 赤色で示している 図 a d の灰色の線は モデルにより推定された海洋の熱膨張及び氷河 南極氷床の周辺の氷河を除く からの寄与と 陸域の貯水量の変化の合計である 図 13.4 参照 黒い線は 灰色の線の平均に 大気海洋大循環モデル AOGCM の参照実験における火山からの強制力を除くため熱膨張 の補正を加えたものである 第 13.3.1 節を参照 黒い破線は調整されたモデルの平均を表し 前述の補正された熱膨張の各モデルの 平均 陸域貯水量の変化 モデルによるものではなく 観測された気候を用いて推定された氷河からの海面水位への寄与 図 13.4 を参 照 例示的な氷床の長期的寄与 1 年当たり 0.1 mm を加えた合計からなる 黒い点線は調整モデル平均だが ここでは 1993 年より 観測された氷床の寄与を含んでいる 観測による氷床の寄与の推定値にはグリーンランド氷床と南極氷床の周辺の氷河が含まれるた め 第 4.4 節による 調整されたモデルの平均における氷河の寄与には 二重計上を避けるために氷床縁辺の氷河の寄与は含めな い {13.3 図 13.7} 48

TFE.2( 続 き) 球 温 暖 化 に 対 する 氷 床 の 応 答 及 び 特 に 氷 床 と 海 洋 の 相 互 作 用 については 氷 床 モデルは 不 完 全 であり 過 去 のモ デル 的 収 支 解 析 から 氷 床 モデル 特 に 力 学 が 省 略 されていることは 温 暖 化 に 対 する 氷 床 の 応 答 や 氷 床 と 海 洋 の 相 互 作 用 からの 寄 与 が 他 の 寄 与 ほど 厳 密 な 評 価 を 受 けていないことを 意 味 する {13.3 13.4} TFE.2 図 2 海 面 水 位 の 古 記 録 ( 紫 ) 潮 位 計 データ( 青 赤 緑 ) 高 度 計 データ( 水 色 ) 及 び 将 来 予 測 に 関 して RCP2.6( 青 )と RCP8.5 ( 赤 )の 各 シナリオによる CMIP5 の 結 果 と 諸 過 程 に 基 づくモデル 訳 注 a の 組 み 合 わせから 得 られた 世 界 平 均 海 面 水 位 上 昇 の 中 央 推 定 値 と 可 能 性 の 高 い 予 測 範 囲 全 ての 数 値 は 工 業 化 以 前 に 相 対 的 なもの { 図 13.3 図 13.11 図 13.27} 代 表 的 濃 度 経 路 (RCP)における 2081~2100 年 の 世 界 平 均 海 面 水 位 上 昇 (1986~2005 年 平 均 との 比 較 )は 第 5 期 結 合 モデ ル 相 互 比 較 計 画 (CMIP5)の 気 候 予 測 と 他 の 寄 与 についての 諸 過 程 に 基 づくモデルとの 組 み 合 わせから 得 られた 範 囲 の 5~ 95%に 収 まる 可 能 性 が 高 い( 中 程 度 の 確 信 度 ) 具 体 的 には 0.26~0.55 m(rcp2.6) 0.32~0.63 m(rcp4.5) 0.33~0.63 m (RCP6.0) 0.45~0.82 m(rcp8.5)となる( 表.1 及 び RCP の 強 制 力 については 図.15 を 参 照 ) RCP8.5 の 場 合 2100 年 において 予 測 される 範 囲 は 0.52~0.98 m となる 予 測 されている 可 能 性 の 高 い 範 囲 に 対 する 確 信 度 は 諸 過 程 に 基 づくモデ ルの 結 果 と 観 測 値 との 整 合 性 及 び 物 理 的 理 解 によっている 可 能 性 が 高 いと 評 価 された 範 囲 を 上 回 るような 特 定 の 水 位 にな る 確 率 の 評 価 は 現 在 のところ 証 拠 が 不 十 分 であると 評 価 される(ためできない) 現 在 の 理 解 に 基 づくと 世 界 平 均 海 面 水 位 の 上 昇 が 21 世 紀 において 可 能 性 の 高 い 範 囲 を 大 幅 に 越 えて 引 き 起 こされ 得 るのは 南 極 氷 床 の 海 洋 を 基 部 とする 部 分 の 崩 壊 が 始 まった 場 合 のみである このような 崩 壊 が 起 こる 確 率 については 合 意 が 得 られていないうえ 世 界 平 均 海 面 水 位 上 昇 に 対 する 考 え 得 る 追 加 的 寄 与 については 正 確 に 定 量 化 できないが 中 程 度 の 確 信 度 で 21 世 紀 中 の 海 面 水 位 上 昇 は 数 十 cm を 超 えないだろうと 見 込 まれている 2100 年 以 降 も 世 界 平 均 海 面 水 位 が 上 昇 しつづけることはほぼ 確 実 である {13.5.1 13.5.3} 半 経 験 的 モデルによる 世 界 平 均 海 面 水 位 上 昇 の 予 測 の 多 くは 諸 過 程 に 基 づくモデルの 予 測 よりも 高 いが その 信 頼 性 に ついては 科 学 界 における 合 意 が 無 く 故 に 半 経 験 的 モデルに 基 づく 予 測 については 確 信 度 は 低 い {13.5.2 13.5.3} TFE.2 図 2 は 1700 年 以 降 の 海 面 水 位 上 昇 について 古 記 録 潮 位 計 高 度 計 の 観 測 値 と 2100 年 までに 予 測 されている 世 界 平 均 海 面 水 位 の 変 化 を 組 み 合 わせたものである {13.5 13.7 13.8} 訳 注 a 海 面 水 位 について さまざまな 要 素 の 物 理 的 力 学 的 な 相 互 作 用 を 規 定 する 方 程 式 を 計 算 機 によるシミュレーションで 数 値 的 に 解 く ことでそれらの 要 素 の 時 間 発 展 を 予 測 するモデル 半 経 験 的 モデルと 異 なり 氷 床 の 融 解 や 流 出 のプロセスについても 世 界 平 均 地 上 気 温 や 放 射 強 制 力 などの 予 測 値 を 与 えて 直 接 計 算 し 将 来 の 海 面 水 位 変 化 にどの 程 度 寄 与 するか 予 測 する 49

地 球 規 模 で 観 測 されている 干 ばつ 又 は 乾 燥 ( 降 雨 不 足 )の 変 化 傾 向 に 関 しては 直 接 観 測 の 不 足 推 測 される 変 化 傾 向 が 指 数 の 選 び 方 に 左 右 されること 変 化 傾 向 に 地 理 的 な 不 一 致 があることから 確 信 度 は 低 い ただし ここには 重 要 な 地 域 的 変 化 が 隠 されており 例 えば 1950 年 以 降 干 ばつ の 頻 度 と 強 度 は 地 中 海 と 西 アフリカで 増 大 した 可 能 性 が 高 く 北 アメリカ 中 央 部 とオーストラリア 北 西 部 で 減 少 した 可 能 性 が 高 い {2.6.2; 表 2.13} 最 近 1000 年 間 の 干 ばつは 多 くの 地 域 において 20 世 紀 初 め 以 降 観 測 されているものより 規 模 が 大 きく 継 続 期 間 が 長 いことについて 高 い 確 信 度 がある 小 氷 期 (1450~1850 年 ) は 中 世 気 候 異 常 期 (950~1250 年 )に 比 べて アジアのモン スーン 域 においてより 多 くの 大 規 模 干 ばつが 発 生 し 乾 燥 し た 中 央 アジアと 南 アメリカのモンスーン 地 域 ではより 湿 潤 な 状 態 が 卓 越 していたことの 確 信 度 は 中 程 度 である {5.5.4 5.5.5} 熱 帯 低 気 圧 活 動 度 の 長 期 的 ( 百 年 規 模 ) 変 化 は 観 測 能 力 の 過 去 の 変 化 を 考 慮 すれば 引 き 続 き 確 信 度 は 低 い しか しながら その 理 由 については 論 議 されているところだが 1970 年 代 以 降 の 期 間 については 北 大 西 洋 における 低 気 圧 の 頻 度 と 強 度 が 増 加 していることはほぼ 確 実 である(TFE.9 参 照 ) 過 去 1 世 紀 にわたる 激 しい 風 雨 の 大 規 模 な 変 化 傾 向 についての 確 信 度 は 低 く ひょうや 雷 雨 などの 小 規 模 で 激 しい 気 象 現 象 における 変 化 傾 向 が 存 在 するかどうかを 決 定 するための 証 拠 はまだ 不 十 分 である {2.6.2~2.6.4} 北 中 央 ヨーロッパ 西 地 中 海 地 域 アジア 東 部 において 過 去 5 世 紀 の 間 には 20 世 紀 以 降 に 記 録 されているものより 大 きな 洪 水 が 発 生 した 確 信 度 は 高 い 中 近 東 インド 北 ア メリカ 中 部 において 現 代 の 大 洪 水 がその 大 きさや 頻 度 にお いて 過 去 の 洪 水 と 同 程 度 か 又 はそれを 上 回 ることの 確 信 度 は 中 程 度 である {5.5.5}.2.7.2 海 洋 極 端 な 高 潮 位 現 象 の 大 きさは 1970 年 以 降 増 大 している 可 能 性 が 高 い(TFE.9 表 1 参 照 ) 極 端 な 潮 位 現 象 の 増 加 の 大 部 分 は 平 均 海 面 水 位 の 上 昇 によって 説 明 できる つまり 極 端 な 高 潮 位 の 変 化 は 平 均 海 面 水 位 の 上 昇 を 考 慮 に 入 れれば 潮 位 計 の 94%において 1 年 当 たり 5 mm 未 満 に 縮 訳 注 F 小 される 再 解 析 データで 駆 動 したモデルによる 再 予 報 と 船 舶 観 測 の 結 果 に 基 づくと 北 緯 45 度 以 北 の 北 大 西 洋 の 大 部 分 において 1950 年 代 以 降 に 平 均 有 義 波 高 が 増 加 して いることの 確 信 度 は 中 程 度 で 典 型 的 な 冬 季 の 変 化 傾 向 は 10 年 当 たり 最 大 20 cm であった {3.4.5 3.7.5}.2.8 炭 素 循 環 及 びその 他 の 生 物 地 球 化 学 的 循 環 の 変 化 温 室 効 果 ガス(GHG)である 二 酸 化 炭 素 (CO 2 ) メタン(CH 4 ) 一 酸 化 二 窒 素 (N 2 O)の 2011 年 における 大 気 中 濃 度 は 過 去 80 万 年 間 の 氷 床 コアの 記 録 による 濃 度 の 範 囲 を 超 えてい る GHG の 大 気 中 濃 度 の 過 去 における 変 化 は 極 域 氷 床 コ アの 記 録 から 非 常 に 高 い 確 信 度 で 決 定 される こうした 記 録 は AR4 以 降 65 万 年 前 までから 80 万 年 前 までに 期 間 が 拡 大 されている {5.2.2} CO 2 CH 4 N 2 O の 大 気 中 濃 度 の 現 在 の 増 加 率 と それに 関 連 する 放 射 強 制 力 の 増 加 率 は 解 像 度 が 最 も 高 い 最 近 2 万 2 千 年 分 の 氷 床 コアの 記 録 には 前 例 が 見 られないことの 確 信 度 は 非 常 に 高 い 観 測 された GHG 濃 度 の 増 加 率 は 解 像 度 がより 低 い 過 去 80 万 年 間 の 記 録 と 比 較 しても 前 例 がな いことの 確 信 度 は 中 程 度 である {2.2.1 5.2.2} 中 程 度 の 確 信 度 で 大 気 中 の CO 2 濃 度 が 高 いことで 特 徴 づ けられる 過 去 のいくつかの 期 間 において 世 界 平 均 地 上 気 温 は 工 業 化 以 前 の 水 準 を 大 きく 上 回 っていた 中 期 鮮 新 世 (330 万 年 前 ~300 万 年 前 )には 世 界 平 均 地 上 気 温 が 工 業 化 以 前 の 気 候 よりも 1.9 ~3.6 高 い 時 に( 中 程 度 の 確 信 度 ) 大 気 中 CO 2 濃 度 は 350 ppm~450 ppm だった( 中 程 度 の 確 信 度 ) 始 新 世 初 期 (5200 万 年 前 ~4800 万 年 前 )にお いては 世 界 平 均 地 上 気 温 が 工 業 化 以 前 の 状 態 より 9 ~ 14 高 い 時 に 大 気 中 CO 2 濃 度 は 約 1000 ppm を 超 えてい た( 中 程 度 の 確 信 度 ) {5.3.1}.2.8.1 二 酸 化 炭 素 エネルギー 及 び 燃 料 の 使 用 統 計 から 推 定 すると 1750~ 2011 年 の 間 に 化 石 燃 料 の 燃 焼 やセメント 生 産 による CO 2 排 出 量 は 375 [345~405] PgC 9 だった 2002~2011 年 には 化 石 燃 料 とセメント 製 造 による 平 均 排 出 量 は 1 年 当 たり 8.3 [7.6~9.0] PgC で( 高 い 確 信 度 ) 平 均 増 加 率 は 1 年 当 たり 3.2%だった( 図.4) この 化 石 燃 料 による 排 出 増 加 率 は 1990 年 代 (1 年 当 たり 1.0%)よりも 高 い 2011 年 における 化 石 燃 料 からの 排 出 量 は 9.5 [8.7~10.3] PgC だった {2.2.1 6.3.1; 表 6.1} 土 地 被 覆 のデータとモデリングから 推 定 すると 1750~2011 年 の 間 に 土 地 利 用 の 変 化 ( 主 に 森 林 減 少 )によって 180 [100 ~260] PgC が 排 出 された 2002 年 から 2011 年 にかけての 土 地 利 用 の 変 化 による 排 出 は 熱 帯 の 森 林 減 少 によるものが 大 部 分 を 占 めていて 1 年 当 たり 0.9 [0.1~1.7] PgC と 推 定 され ている( 中 程 度 の 確 信 度 )が この 10 年 間 の 森 林 損 失 は 1990 年 代 よりも 少 ないと 報 告 されていることから 排 出 量 は 少 し 減 少 した 可 能 性 がある この 推 定 値 には 森 林 減 少 による 総 排 出 量 1 年 当 たり 約 3 PgC と それを 相 殺 する 一 部 地 域 ( 主 に 放 棄 農 地 )における 森 林 の 再 成 長 分 1 年 当 たり 約 2 PgC を 含 んでいる {6.3.2; 表 6.2} 1750 年 から 2011 年 にかけて 化 石 燃 料 と 土 地 利 用 から 大 気 中 に 排 出 された 555 [470~640] PgC のうち 240 [230~250] PgC が 大 気 中 に 蓄 積 した この 数 値 は 観 測 された 大 気 中 CO 2 濃 度 が 1750 年 における 278 [273~283] ppm 10 から 2011 年 には 390.5 [390.4~390.6] ppm に 増 加 したことをもとに 非 常 に 高 い 精 度 で 推 定 された 大 気 中 の CO 2 の 量 は 21 世 紀 の 最 初 の 10 年 間 に 1 年 当 たり 4.0 [3.8~4.2] PgC 増 加 した 観 測 された 大 気 中 CO 2 増 加 の 緯 度 分 布 は 赤 道 以 北 の 工 業 国 において 主 に 発 生 する 人 為 起 源 の 排 出 が 増 加 の 駆 動 原 因 と なっていることをはっきりと 示 している 年 平 均 濃 度 に 基 づくと 北 半 球 の 観 測 所 は 南 半 球 の 観 測 所 よりもわずかに 高 い 濃 度 50 9 10 1 ペタグラムの 炭 素 = 1 PgC = 10 15 グラムの 炭 素 = 1 ギガトンの 炭 素 = 1 GtC これは 3.667 GtCO 2( 二 酸 化 炭 素 換 算 で 36 億 6700 万 トン)に 相 当 する ppm(100 万 分 の 1)もしくは ppb(10 億 分 の 1)は 乾 燥 空 気 中 の 全 分 子 数 に 占 める 温 室 効 果 ガスの 分 子 数 の 割 合 例 えば 300 ppm は 100 万 個 の 乾 燥 空 気 分 子 のうち 温 室 効 果 ガスが 300 個 あることを 意 味 している

を 示 している 観 測 された 大 気 中 の CO 2 増 加 が 人 為 起 源 によ るものであることの 独 立 した 証 拠 は 大 気 中 の 酸 素 (O 2 ) 含 有 量 の 一 貫 した 減 少 と 大 気 中 の CO 2 の 安 定 同 位 体 比 ( 13 C/ 12 C) の 減 少 が 観 測 されていることから 得 られる( 図.5) {2.2.1 6.1.3} 化 石 燃 料 の 使 用 と 土 地 利 用 によって 排 出 された 炭 素 の 残 りの 量 は 海 洋 と 陸 域 生 態 系 によって 再 吸 収 されてきた 異 なる 手 法 とデータセット( 海 洋 中 の 炭 素 酸 素 過 渡 的 トレーサな どのデータ)を 用 いた 独 立 した 推 定 値 間 の 一 致 度 が 高 いこと に 基 づくと 地 球 全 体 の 海 洋 に 貯 蔵 された 人 為 起 源 の 炭 素 量 は 1994 年 から 2010 年 にかけて 増 加 した 可 能 性 が 非 常 に 高 い 2011 年 の 貯 蔵 量 は 155 [125~185] PgC と 推 定 される 異 なる 期 間 について 独 立 したデータセット( 海 洋 人 為 起 源 炭 素 貯 蔵 量 の 変 化 大 気 中 の 窒 素 に 対 する 酸 素 の 比 率 (O 2 /N 2 )の 測 定 あるいは 二 酸 化 炭 素 分 圧 (pco 2 )データ)から 計 算 した 地 球 全 体 の 海 洋 での 年 間 吸 収 量 は 互 いの 不 確 実 性 の 範 囲 内 で 相 互 に 一 致 しており 1 年 当 たり 1.0~3.2 PgC の 範 囲 に 収 ま る 可 能 性 が 非 常 に 高 い 海 洋 の 人 為 起 源 炭 素 貯 蔵 率 を 地 域 的 に 観 測 した 値 は 大 気 中 CO 2 濃 度 の 増 加 の 結 果 として 生 じ る 貯 蔵 率 の 予 測 値 とおおむね 一 致 するが 空 間 的 及 び 時 間 的 にはかなりばらつきがある {3.8.1 6.3} 図.4 1750 年 から 2011 年 にかけての 人 為 起 源 CO 2 の 年 間 排 出 量 と その 大 気 陸 域 海 洋 への 分 配 (1 年 当 たり PgC) ( 上 ) 化 石 燃 料 とセメ ントによるカテゴリー 別 CO 2 排 出 量 二 酸 化 炭 素 情 報 分 析 センター(CDIAC)による 推 定 ( 下 ) 化 石 燃 料 とセメントによる CO 2 排 出 量 は 上 記 と 同 じ 森 林 減 少 が 主 である 正 味 の 土 地 利 用 変 化 による CO 2 排 出 量 は 土 地 被 覆 変 化 データに 基 づく( 表 6.2 参 照 ) 1959 年 以 前 の 大 気 中 CO 2 増 加 率 は 氷 床 コア 観 測 結 果 のスプライン 近 似 と 1959 年 以 降 の 大 気 中 の 測 定 値 の 統 合 結 果 に 基 づく 氷 床 コア 観 測 値 への 近 似 結 果 は 大 気 中 CO 2 の 大 きな 年 々 変 動 は 捉 えておらず 破 線 で 示 してある 海 洋 の CO 2 吸 収 量 は モデルによる 値 と 観 測 に 基 づく 値 を 組 み 合 わせたものによる 残 りの 陸 域 吸 収 量 ( 図 の 緑 色 部 分 の 要 素 )は 他 の 要 素 の 残 りから 計 算 した 排 出 量 とその 分 配 先 には 1750 年 以 降 変 化 したフラックスのみを 含 んでおり 1750 年 以 前 に 存 在 し 現 在 もなお 存 在 している 大 気 陸 域 海 洋 の 貯 蔵 庫 間 における 自 然 の CO 2 フラックス( 例 えば 風 化 による 大 気 CO 2 の 吸 収 湖 や 河 川 からの CO 2 放 出 河 川 によって 運 ばれた 炭 素 を 由 来 とする 海 洋 からの CO 2 放 出 など; 図 6.1 を 参 照 )は 含 まない 様 々な 要 素 における 不 確 実 性 は 第 6 章 で 考 察 しており 10 年 間 の 平 均 値 は 表 6.1 に 掲 載 している { 図 6.8} 51