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者 が 在 学 した 期 間 の 年 数 を 乗 じて 得 た 額 から 当 該 者 が 在 学 した 期 間 に 納 付 すべき 授 業 料 の 総 額 を 控 除 した 額 を 徴 収 するものとする 3 在 学 生 が 長 期 履 修 学 生 として 認 められた 場 合 の 授 業 料 の

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後 にまで 及 んでおり(このような 外 部 研 究 資 金 を 以 下 契 約 理 由 研 究 という ) かつ その 者 が 退 職 後 も 引 き 続 き 研 究 代 表 者 となることを 研 究 所 が 認 める 場 合 とし 理 事 室 の 命 を 受 けて 発 議 書 ( 別 に 定 め

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工 事 名 沢 口 浄 配 水 場 建 設 工 事 ( 浄 水 管 理 棟 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 平 成 24 年 5 月 8 日 ( 火 ) 正 午 から 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 基 本 事 項 2のとおり

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Transcription:

事 故 防 止 のための 失 敗 学 Presentation: Haruhiko Higuchi Copyright 2010, Haruhiko Higuchi

Part 1 三 菱 重 工 火 災 事 故 客 船 火 災 事 故 の 概 要 平 成 14 年 10 月 長 崎 造 船 所 で 建 造 中 の 客 船 ダイヤモンド プリンセス で 火 災 が 発 生 36 時 間 後 に 鎮 火 するまでに 船 体 床 面 積 の 約 四 割 を 焼 損 損 害 額 は300 億 円 を 超 える 同 船 は 英 国 海 運 会 社 から 受 注 したもので 排 水 量 11 万 3000トン 全 長 290m 幅 37.5m 高 さ54m 甲 板 17 層 旅 客 数 約 3100 人 と 日 本 造 船 史 上 最 大 の 豪 華 客 船

Part 1 三 菱 重 工 火 災 事 故 火 災 発 生 のメカニズム1 出 火 場 所 は5 番 デッキの 客 室 320 号 付 近 は 内 装 工 事 が 終 了 し 当 日 も 火 気 作 業 なし 4 番 デッキで 行 われた 溶 接 作 業 の 熱 が 階 上 に 伝 わり 家 具 などの 可 燃 物 を 引 火 させた 船 装 課 の 作 業 員 A( 当 時 52 歳 )が サポートアン グル と 称 する 部 材 を 溶 接 する 業 務 に 従 事 溶 接 箇 所 は 天 井 部 の 梁 とされていたが 例 外 的 に 天 井 面 に 溶 接 する 直 溶 接 を 認 める

Part 1 三 菱 重 工 火 災 事 故 火 災 発 生 のメカニズム2 各 層 天 井 部 は 直 上 層 の 床 を 兼 ねた 厚 さ5ミリの 鋼 板 であり 直 溶 接 は 火 事 の 危 険 がある 可 燃 物 搬 入 区 域 を 特 防 区 画 に 指 定 特 防 区 画 周 辺 で 直 溶 接 を 行 う 場 合 には 特 別 防 災 班 の 許 可 を 受 けた 上 で 可 燃 物 を 除 去 して 見 張 り 要 員 を 配 置 することが 必 要 Aは 特 別 防 災 班 に 申 請 を 出 さず 上 層 の 可 燃 物 を 除 去 せず 見 張 り 要 員 も 配 置 せずにそのまま 直 溶 接 を 実 施

Part 1 三 菱 重 工 火 災 事 故 事 故 の 予 見 可 能 性 客 船 の 構 造 は 非 常 に 複 雑 であり 内 装 には 量 の 可 燃 性 資 材 が 使 用 されている 本 件 事 故 に 先 立 って 本 船 内 では 四 件 の 失 火 事 件 が 発 生 ( 初 期 消 火 に 成 功 ) そのすべてが 直 溶 接 する 際 の 確 認 懈 怠 を 原 因 とする 本 件 事 故 に 先 立 って 本 船 内 では 三 件 の 放 火 事 件 が 発 生 し この 時 点 では 犯 人 は 未 検 挙 火 災 事 故 の 危 険 性 が 顕 在 化 していたのに 何 故 本 件 火 災 の 発 生 を 抑 止 あるいは 被 害 の 拡 大 を 防 止 できなかったのか?

Part 1 三 菱 重 工 火 災 事 故 監 督 の 不 在 1 Aは 昭 和 46 年 入 社 のベテランで 溶 接 に 関 する 各 種 講 習 も 受 講 済 み Aは 作 業 要 領 を 遵 守 せずに 直 溶 接 を 実 施 して いたので 相 勤 者 に 度 々 注 意 されていたが その 態 度 は 改 まらず 火 災 までに 数 十 本 を 直 溶 接 直 属 上 司 Bは 報 告 を 受 けていなかったが 火 災 前 日 に Aが 相 勤 者 に 注 意 されている 現 場 に 通 り かかり Aの 規 則 違 反 を 把 握 Bは その 場 でAの 作 業 状 況 を 点 検 し 必 要 な 指 導 を 実 施 することを 懈 怠 した

Part 1 三 菱 重 工 火 災 事 故 監 督 の 不 在 2 年 長 者 を 尊 敬 する 文 化 を 持 つ 日 本 ではベテラン の 行 動 に 対 する 監 督 が 緩 い Bの 入 社 はAより 二 年 遅 かったため Aに 対 して 厳 しい 指 導 を 行 うことを 躊 躇? 他 にも 失 火 事 件 があり A 以 外 にも 多 くの 作 業 員 が 作 業 要 領 を 遵 守 していなかった 職 場 内 で 作 業 要 領 違 反 が 常 態 化 していた ことで 管 理 者 側 の 良 識 が 麻 痺 し Aの 違 反 行 為 を 安 易 に 看 過?

Part 1 三 菱 重 工 火 災 事 故 監 督 の 不 在 3 アンケート 調 査 結 果 ⅰ 守 るべきルール/マニュ アルが 多 すぎ 実 情 に 合 わない 必 要 性 が 小 さい 現 場 の 実 情 から 乖 離 した 規 則 やマニュアルを 増 やすと かえって 現 場 の 規 範 意 識 を 後 退 させる 危 険 性 がある アンケート 調 査 結 果 ⅱ 会 議 報 告 が 多 く 本 来 の 現 場 管 理 生 産 技 術 に 傾 注 できない 報 告 記 録 文 書 の 種 類 や 枚 数 が 時 間 の 経 過 とともに 増 える 紙 様 信 仰

Part 1 三 菱 重 工 火 災 事 故 組 織 的 な 焦 燥 1 造 船 業 界 では 韓 国 との 受 注 競 争 が 激 化 したため 高 付 加 価 値 船 の 建 造 にシフト 平 成 8 年 以 降 に 三 菱 重 工 の 業 績 は 急 激 に 悪 化 し 平 成 11 年 度 には 約 910 億 円 の 赤 字 利 潤 の 高 い 豪 華 客 船 分 野 への 進 出 が 急 務 海 外 の 海 運 会 社 から 豪 華 客 船 の 発 注 を 受 けた のは 今 回 が 初 めて 三 菱 重 工 としては このプロジェクトを 成 功 させて 市 場 を 開 拓 したいと 懸 命 その 組 織 的 な 焦 燥 が 本 件 事 故 の 背 景 に

Part 1 三 菱 重 工 火 災 事 故 組 織 的 な 焦 燥 2 発 注 者 側 に 対 して 三 菱 重 工 側 が 特 別 に 配 慮 し 本 船 の 引 き 渡 しを 予 定 より 二 ヶ 月 も 早 める 工 期 の 前 倒 しにより 作 業 が 混 乱 し 火 気 作 業 区 域 の 隣 に 大 量 の 可 燃 性 資 材 を 搬 入 作 業 工 程 の 遅 れに 対 する 管 理 者 の 焦 りが 現 場 の 違 反 行 為 の 看 過 につながった? 三 菱 重 工 が 市 場 開 拓 のために 重 ねた 無 理 が 爆 発 したのが 今 回 の 火 災 事 故

Part 2 シンドラー 事 故 と 報 道 事 故 の 概 要 1 2006 年 6 月 公 共 住 宅 ( 地 上 23 階 地 下 2 階 建 て)に おいて エレベーターが 開 扉 状 態 のまま 上 昇 天 井 とエレベーターの 間 に 挟 まれた 高 校 生 が 死 亡 問 題 のエレベーターはシンドラー 社 の 製 品 ( 定 員 28 名 定 格 積 載 量 1,850kg) 事 故 機 には 以 前 から 不 具 合 が 続 出 していたので 制 御 盤 あるいはソフトウェアに 欠 陥 があったのでは ないかと 事 故 直 後 に 指 摘 その 後 の 調 査 によって 制 御 盤 には 問 題 がなく 保 守 管 理 のミスによるものと 判 明

Part 2 シンドラー 事 故 と 報 道 事 故 の 概 要 2 エレベーターの 保 守 には 高 度 の 技 術 が 必 要 である ため 実 際 の 作 業 は 専 門 業 者 が 実 施 事 故 機 の 保 守 管 理 は 公 共 住 宅 が1998 年 に 完 成 して 以 来 随 意 契 約 によりシンドラー 社 が 担 当 指 名 競 争 入 札 に 切 り 替 えた 結 果 2005 年 度 は 独 立 系 業 者 のN 社 2006 年 度 は 同 じくS 社 が 受 注 S 社 では 事 故 の 発 生 までに4 回 の 定 期 点 検 を 実 施 し 直 近 の 点 検 は 事 故 の9 日 前 に 行 われていた この 時 点 では ブレーキパッドの 摩 耗 で 生 じた 黒 い 粉 が 現 場 に 堆 積 していたが 作 業 員 が 異 常 を 見 落 としたことが 直 接 の 原 因

Part 2 シンドラー 事 故 と 報 道 マスコミ 報 道 の 問 題 点 1 本 事 故 の 直 接 原 因 は ろくなノウハウもないのに 受 注 した 独 立 系 業 者 による 点 検 の 不 備 それにもかかわらず 事 故 直 後 からエレベーター の 欠 陥 が 原 因 と 決 めつける 報 道 その 後 も 同 社 製 のエレベーターに 不 具 合 が 発 見 されるたびに またシンドラー 社 と 報 道 日 本 国 内 ではシンドラー 社 に 極 めて 否 定 的 な イメージが 定 着 本 事 故 が 発 生 してからの 三 年 間 同 社 の 新 規 受 注 はゼロという 状 況

Part 2 シンドラー 事 故 と 報 道 マスコミ 報 道 の 問 題 点 2 シンドラー 社 が 事 故 の 直 後 に 被 害 者 の 遺 族 に 謝 罪 をせず 住 民 やマスコミへ 情 報 提 供 を 行 わな かったために マスコミの 反 感 を 買 ったことが 原 因 シンドラー 社 としては 事 故 原 因 が 不 明 な 段 階 で 謝 罪 をするわけにはいかない 一 年 以 上 も 事 故 機 を 整 備 していないので 具 体 的 な 情 報 も 提 供 できない 国 際 的 に 見 れば 法 的 責 任 が 不 明 な 段 階 で 謝 罪 を 要 求 する 日 本 社 会 のほうがむしろ 異 質 しかし 危 機 管 理 としては 日 本 でビジネスを する 以 上 日 本 の 現 状 に 則 した 対 応 が 必 要

Part 2 シンドラー 事 故 と 報 道 危 機 管 理 の 広 報 の 心 得 商 業 マスコミは すぐに 結 論 を 出 したがる 上 に 庶 民 感 情 に 迎 合 しようとする 傾 向 がある 話 題 性 のある 組 織 ほど 叩 き 甲 斐 がある 路 線 が 決 まると 後 は 各 社 が 競 い 合 うように 報 道 内 容 をエスカレートさせるだけ 一 度 悪 者 のレッテルを 貼 られたら 名 誉 回 復 は 困 難 なため 初 動 段 階 での 広 報 が 極 めて 重 要 不 勉 強 な 記 者 のために 記 事 を 書 きやすい 説 明 を 心 がけ 締 切 時 間 にも 配 慮 せよ 科 学 的 な 正 確 さを 追 求 するのではなく 素 人 でも 理 解 できる 表 現 に 翻 訳 が 必 要

Part 3 やかまし 屋 と 教 育 者 事 故 を 予 防 するためには リスクを 認 識 することが 全 ての 出 発 点 職 場 でのヒヤリ はっと 情 報 の 収 集 や 他 企 業 で 起 きた 事 故 の 勉 強 に 務 めよ なぜそうしたのか と 掘 り 下 げて 追 求 し 背 後 要 因 まで 遡 って 分 析 することが 必 要 人 間 工 学 的 に 事 故 の 起 きにくい 環 境 を 整 備 する ことは 重 要 だが 最 後 まで 残 るのは 人 間 自 身 の 問 題 知 識 不 足 不 順 守 不 注 意 にどう 対 処 すればよいのか

Part 3 やかまし 屋 と 教 育 者 教 育 者 としての 管 理 職 知 識 不 足 の 部 下 に 対 しては 教 育 が 必 要 管 理 職 は 教 育 者 でなければいけないが 知 らない 事 が 沢 山 あるのは 当 然 それを 自 分 で 誤 魔 化 さずに マニュアルや 実 務 を 勉 強 せよ 事 故 防 止 の 面 では What だけでなく Why を 理 解 することが 特 に 重 要 ただし 知 識 だけでは 十 分 ではなく 相 手 にそれ を 理 解 させるための 説 明 力 が 必 要 良 い 研 究 者 = 良 い 教 育 者 ではない 理 解 できない 相 手 が 悪 い は 禁 句

Part 3 やかまし 屋 と 教 育 者 説 得 力 について 安 全 ルールを 知 っていても それを 実 践 できなけ れば 意 味 がない 安 全 ルールの 不 順 守 を 防 ぐためには 相 手 を 心 底 から 納 得 させる 説 得 力 が 重 要 となる 説 得 力 の 鍵 となるのは 相 手 に 与 える 衝 撃 状 況 をリアルに 描 き 出 す 迫 真 性 新 しい 素 材 を 使 った 新 鮮 さ 自 ら 考 えるように 仕 向 ける 話 術 マンネリこそ 最 大 の 敵 教 育 内 容 の 工 夫 を 日 々 積 み 重 ねるしかない

Part 3 やかまし 屋 と 教 育 者 互 いに 声 を 掛 け 合 う 現 場 を 事 故 が 発 生 する 直 接 原 因 は 本 人 の 不 注 意 で あることが 多 い 不 注 意 である 以 上 ゼロにするのは 困 難 現 場 で 互 いに 声 を 掛 け 合 うことが 事 故 防 止 の 上 で 非 常 に 重 要 であるが 職 種 別 役 職 別 などの 垣 根 が 現 場 に 出 来 ていないか? 気 軽 に 会 話 が 出 来 ることがすべての 出 発 点 雑 談 をしたり 一 緒 に 食 事 をして 仲 間 意 識 を 醸 成 することがスタート 地 点

Part 3 やかまし 屋 と 教 育 者 やかまし 屋 の 再 生 を 網 羅 性 柔 軟 性 創 造 性 の 観 点 から 人 間 に 優 る リスク 管 理 装 置 は 存 在 しない がみがみネチネチと 口 うるさい やかまし 屋 が かつてはどの 職 場 にもいたが 最 近 は やさしい 人 ばかりになってしまった やかまし 屋 が 早 期 に 介 入 して 何 事 もなく 済 んだこ とが そのまま 放 置 されて 大 きな 事 故 に 現 場 の 隅 々にまで 目 を 光 らせるやかまし 屋 の 再 生 こそ 事 故 対 策 の 切 り 札 に

講 演 内 容 の 総 括 マニュアルや 報 告 書 が 増 えすぎると 現 場 の 業 務 が 逆 に 杜 撰 になる 短 期 的 な 業 績 向 上 に 執 心 すると 安 全 性 など の 長 期 的 な 指 標 に 悪 影 響 が 出 る 危 機 管 理 の 広 報 には 科 学 的 な 正 確 さではなく わかりやすさが 必 要 現 場 の 隅 々にまで 目 を 光 らせるやかまし 屋 の 再 生 こそ 事 故 対 策 の 切 り 札 Copyright 2010, Haruhiko Higuchi