大 澤 工 業 株 式 会 社 昇 降 機 の 検 査 基 準 と 注 意 事 項 はじめに 本 書 は 定 期 検 査 に 関 する 基 準 技 術 情 報 並 びに 定 期 検 査 時 に 必 ず 実 施 いただきたいこと などを 記 載 しています 検 査 者 は 検 査 実 施 の 前 に 必 ず 本 書 をお 読 み 頂 き 注 意 事 項 や 検 査 事 項 を 確 実 にお 守 りください 定 期 検 査 実 施 時 は 検 査 対 象 の 機 器 をよく 確 認 の 上 実 施 してください 当 社 は 検 査 者 が 検 査 基 準 を 取 り 違 えて 検 査 したことに 起 因 する 事 故 や 不 具 合 などにつ いて 一 切 責 任 を 負 いません 本 書 の 記 載 内 容 は 予 告 なく 変 更 される 場 合 がありますので 検 査 前 に 必 ず 弊 社 へお 問 い 合 わせください 本 書 に 記 載 されている 機 器 の 形 状 は 代 表 的 なものですので 実 際 の 製 品 とは 異 なる 場 合 があります ロープ 式 エレベーター 油 圧 式 エレベーター 段 差 解 消 機 (フレンドリーリフト-P 型 PS 型 )それぞれ 機 種 に 合 わせて 願 います 昇 降 機 の 定 期 検 査 は 昇 降 機 検 査 資 格 者 にご 依 頼 ください 表 示 マークの 意 味 禁 止 事 項 を 示 します 実 施 いただきたい 事 項 を 示 します 機 種 について R:ロープ 式 エレベーター O: 油 圧 式 エレベーター H:ホームエレベーター 小 型 エレベーター P: 段 差 解 消 機 (フレンドリーリフト-P 型 ) PS: 段 差 解 消 機 (フレンドリーリフト-PS 型 ) D: 段 差 解 消 機 大 澤 工 業 株 式 会 社 1
1. 機 械 室 1-1 救 出 装 置 救 出 装 置 は 巻 上 機 のフレーキタイプにより 異 なりますので 機 種 に 合 わせた 使 用 を 行 ってください < 代 表 的 な 開 放 方 法 > 1 開 放 レバーをモーター 先 端 にあるフレーキの 開 放 部 にかけてください 2 開 放 レバーを 矢 印 方 向 に 押 すことによりブレーキを 開 放 します 3 開 放 レバーの 操 作 方 向 は 巻 上 機 によって 異 なりますので 構 造 をあらかじめ 確 認 し てから 行 ってください 4 手 動 ハンドル 回 転 部 を 操 作 し 回 転 させてください 回 転 方 向 に 注 意 してください 1-2 巻 上 機 の 潤 滑 量 巻 上 機 により 油 屋 確 認 方 法 が 異 なります 下 記 に 代 表 的 な 油 屋 の 確 認 方 法 を 記 載 いた しますのであらかじめ 確 認 してください < 代 表 的 な 油 屋 をオイルゲージで 確 認 する 方 法 > 1 ギアボックスにオイルゲージ オイル 窓 を 確 認 してください 2 そのゲージの 上 限 目 盛 と 下 限 目 盛 の 間 にある 場 合 は 規 定 量 があるか 色 が 変 色 していないかを 確 認 してください 3 オイルゲージ オイル 窓 がない 場 合 には オイル 注 入 口 より 定 量 があるか 色 が 変 色 していないかを 確 認 してください オイルは 3~5 年 程 度 での 交 換 が 必 要 です 1-3 巻 上 機 の 網 車 溝 巻 上 機 の 綱 車 溝 の 要 是 正 判 定 基 準 巻 上 機 の 細 筆 溝 の 要 是 正 基 準 は 綱 車 溝 の 全 体 を 点 検 し 1 本 でも 以 下 の12 項 のいず れかに 該 当 する 場 合 は 要 是 正 となります 大 澤 工 業 株 式 会 社 2
1-4 ブレーキ 部 分 の 状 態 確 認 ブレーキ 部 分 に 油 やごみなどの 付 着 や 著 しい 発 錆 などの 異 常 がないことを 確 認 してく ださい 1-5 ブレーキパッド 残 存 厚 みの 基 準 ブレーキパッド 残 存 厚 みの 要 重 要 点 検 値 及 び 要 是 正 値 機 種 名 新 品 時 のブレーキライ ニングの 厚 み(mm) 要 重 要 点 検 値 (mm) 要 是 正 値 (mm) 乗 用 ロープ 式 巻 上 機 6mm 4mm 2mm (MGT 社 製 ) 荷 物 用 ローフ 式 巻 上 機 6mm 4mm 2mm (MGT 社 製 ) 乗 用 ロープ 式 巻 上 機 ( 三 栄 :ギアード) 乗 用 ローフ 式 巻 上 機 ( 三 栄 :ギアレス) 荷 物 用 ローフ 式 巻 上 機 ( 三 栄 :ギアード) 荷 物 用 ローフ 式 巻 上 機 ( 三 栄 :ギアレス) ローフ 式 巻 上 機 ( 三 栄 :その 他 ) ホームローフ 式 巻 上 機 (タブチテック 製 ) フレンドリーリフト (シグマ 技 研 製 ) 大 澤 工 業 株 式 会 社 3
1-6 ブレーキ 作 動 時 の 規 定 制 動 距 離 1エレベーター 別 紙 2P PS 型 P PS 型 制 動 距 離 角 度 (mm) 30 40.8 31 42.5 32 44.2 33 45.9 34 47.7 35 50 36 51.4 37 53.3 38 55.2 39 57.3 40 59.3 41 61.5 42 63.7 43 65.9 44 68.3 45 70.7 1-7 ドライブチェーンの 伸 び チェーンがスプロケット 上 で 屈 曲 する 際 ピンとブシュが 摺 動 し 少 しずつピン 外 周 とブ シュ 内 周 の 摩 耗 が 進 行 します これがチェーンの 摩 耗 伸 びとなります チェーンの 摩 耗 伸 びが 進 行 すると チェーンがスプロケット 歯 の 山 に 登 っていくようにな り ついには 歯 飛 びを 起 こし 噛 合 い 不 能 になります 歯 飛 びを 起 こす 限 界 チェーン 伸 び 率 は スプロケット 歯 数 に 応 じて 異 なります 歯 数 が 小 さくなると 計 算 上 限 界 伸 び 率 は 大 きくなりますが 実 用 上 振 動 が 大 きくなったり 強 度 低 下 するなど 弊 害 が 多 いため P PS 型 の 歯 数 60 枚 以 下 の 為 限 界 を 1.5%としています 大 澤 工 業 株 式 会 社 4
摩 耗 伸 び 率 の 算 出 方 法 チェーン 伸 び 率 =( 判 定 寸 法 - 基 準 長 さ)/ 基 準 長 さ 100(%) 基 準 長 さ=チェーンピッチ リンク 数 規 定 値 P 型 使 用 チェーン RS35-2 列 チェーンピッチ 9.525mm PS 型 使 用 チェーン RS50-2 列 チェーンピッチ 15.875mm 2. 機 械 室 2-1 外 部 への 連 絡 装 置 < 動 作 確 認 方 法 の 注 意 > 動 作 確 認 はエレベーターに 供 給 されている 動 力 電 源 及 び 照 明 電 源 を 遮 断 して 行 なってください 2-2 カゴ 内 停 止 スイッチ かご 操 作 盤 開 き 戸 内 の 運 転 又 は 安 全 スイッチが 該 当 スイッチです 2-3 停 電 灯 < 動 作 確 認 方 法 の 注 意 > 動 作 確 認 はエレベーターに 供 給 されている 動 力 電 源 及 び 照 明 電 源 を 遮 断 して 行 なってください 3.かご 上 3-1 かご 上 停 止 スイッチ かご 上 運 転 盤 及 びポータブルスイッチに 設 けられた 運 転 又 は 安 全 RUN-STOP スイッ チが 該 当 スイッチです 3-2 頂 部 安 全 距 離 確 保 スイッチ 昇 降 路 に 設 けられた UDS が 該 当 スイッチです 機 種 によっては 頂 部 安 全 距 離 確 保 スイッチが 設 置 されていません 3-3 上 部 ファイナルリミットスイッチ リミット( 強 制 停 止 )スイッチ 昇 降 路 に 設 けられた 最 上 部 に 設 置 しているのが 該 当 スイッチです 上 部 ファイナルリミ ットスイッチ: UFL 大 澤 工 業 株 式 会 社 5
3-4 底 部 安 全 距 離 確 保 スイッチ 昇 降 路 に 設 けられた DDS が 該 当 スイッチです 機 種 によっては 頂 部 安 全 距 離 確 保 スイッチが 設 置 されていません 3-5 下 部 ファイナルリミットスイッチ リミット( 強 制 停 止 )スイッチ 昇 降 路 に 設 けられた 最 下 部 に 設 置 しているのが 該 当 スイッチです 上 部 ファイナルリミ ットスイッチ: DFL 4. 絶 縁 試 験 方 法 4-1 電 動 機 インバーター 仕 様 のエレベーター マイコン 仕 様 のエレベーターの 場 合 はモーター 端 子 台 よりモーターケーブルを 外 した 状 態 で 測 定 4-2 制 御 操 作 回 路 低 圧 15Vメガー 測 定 器 を 使 用 し 各 部 を 測 定 但 し 測 定 時 間 を 短 くすること 4-3 照 明 回 路 通 常 通 り 測 定 5. 非 常 止 め 5-1 非 常 止 め 試 験 エレベーターに 設 置 している 調 速 機 に 回 転 機 を 使 用 して 測 定 します 回 転 の 速 度 を 計 測 しながら 非 常 止 めおよびスイッチが 働 くことを 確 認 してください 段 差 解 消 機 ( 斜 行 型 )フレンドリーリフト-P 型 の 場 合 は ドライブローラーを 取 り 外 し 回 転 機 で 回 転 しながら 測 定 を 行 ってください 定 格 速 度 の3 倍 (6m 毎 分 3=18m 毎 分 )でキャッチ スイッチが 作 動 すれば 正 常 作 動 です 上 記 の 試 験 により 作 動 状 態 が 正 しくない 場 合 は 正 しい 数 値 が 出 るように 調 整 を 行 って ください 大 澤 工 業 株 式 会 社 6
フレンドリーリフト-P 型 モータの 定 期 点 検 について DCギヤモータはブラシやオイルシールなどの 磨 耗 する 部 品 がありますので 定 期 的 に 点 検 して 故 障 を 未 然 に 防 止 してください 適 正 な 環 境 において 定 格 時 間 で 使 用 した 場 合 の 寿 命 は 約 200 0 時 間 ですが 1 年 に1 回 以 上 の 定 期 点 検 をお 奨 めします 1.モータ 負 荷 電 流 の 点 検 電 流 計 で 銘 板 記 載 の 定 格 電 流 以 内 であることを 確 認 してください 2. 騒 音 の 点 検 聴 感 にてモータ ブレーキ エンコーダ ギヤ 部 から 異 常 な 音 (いつもと 違 ったガタ ゴト 音 周 期 音 ) が 出 ていないかの 確 認 をしてください 3. 振 動 の 点 検 触 感 にていつもと 違 った 異 常 な 振 動 がないことを 確 認 してください 4. 減 速 機 部 のグリース 漏 れの 点 検 目 視 にてギヤケースの 接 合 部 やオイルシールなどからグリースが 漏 れ 出 していないかを 確 認 してください (オイルシールのリップと 軸 の 周 辺 に 滲 み 出 ている 分 はOKです) 5.ブレーキの 点 検 ブレーキを 制 動 させて いつもよりブレーキの 効 きが 遅 くないかを 確 認 してください 6.エンコーダの 点 検 モータを 駆 動 させて モータがスムーズに 回 転 しているかを 確 認 してください 7.DCモータ ブラシの 点 検 ブラシカバーを 外 しブラシホルダーからブラシを 取 り 出 して 磨 耗 状 態 を 確 認 してください この 時 ブラシの 位 置 と 方 向 に 注 意 してください 位 置 や 方 向 が 変 わりますとブラシの 接 触 が 悪 くなり 異 常 音 や 整 流 火 花 が 大 きくなり 整 流 子 面 を 傷 める 原 因 になります 確 認 後 磨 耗 限 度 であれば 新 品 と 交 換 す る 必 要 があります また ブラシに 欠 損 やヒビ 割 れなどが 見 つかった 場 合 も 同 様 です 8. 整 流 子 の 点 検 ブラシを 抜 き 取 り 整 流 子 面 の 目 視 確 認 してください 表 面 が 光 沢 のあるチョコレート 色 であれば 正 常 です 黒 化 していたり 荒 損 していたら 整 流 子 面 を 削 正 す る 必 要 があります 9. 絶 縁 抵 抗 の 点 検 モータリード 線 とブラケット 間 の 絶 縁 抵 抗 を 確 認 してください 絶 縁 抵 抗 計 500Vメガーで 測 定 し1MΩ 以 上 であれば 正 常 です 10. 清 掃 運 転 時 間 の 経 過 と 共 にブラシの 磨 耗 粉 がモータ 内 に 付 着 します 絶 縁 抵 抗 を 低 下 させたり エンコーダや ブレーキなどにも 弊 害 を 及 ぼすこともありますので モータ 内 部 ( 特 にブラシホルダ 周 り)を 圧 縮 空 気 な どで 清 掃 してください 大 澤 工 業 株 式 会 社 7