- - 海 外 には 自 由 な 雰 囲 気 共 同 研 究 や 人 的 交 流 の 機 会 があり 雑 用 が 少 なく そして 有 能 なボ スがいる 留 学 先 から 給 料 を 貰 うのはもはや 主 流 語 学 力 向 上 留 学 先 ラボの 情 報 収 集 に 力 を 入 れるべきだったと 反 省 3 年 程 度 を 見 込 んだ 留 学 は 更 に 長 くずれ 込 みがちであるが 留 学 を 長 すぎたとは 感 じず もっと 居 たいと 思 うのが 多 数 派 であった 研 究 成 果 は 期 待 ほど 出 ない 場 合 が 多 いが それでも 得 るものは 大 きく 留 学 について 後 悔 したのは1% 以 下 であっ た 留 学 後 の 将 来 展 望 は 柔 軟 に 考 えているものの 日 本 に 帰 れなくなる 可 能 性 や 情 報 不 足 の 危 機 感 が 強 い 海 外 日 本 人 研 究 者 のネットワークと 留 学 後 のキャリアパスの 整 備 は 渇 望 さ れている 全 集 計 結 果 はこちら( http://www.uja-info.org/2013mbsj/2013ujasurvey.pdf ) 以 下 のカッコ 内 数 字 は 参 照 先 の 全 集 計 結 果 の 設 問 番 号 に 対 応 しています - - これまで 海 外 の 日 本 人 研 究 者 について 包 括 的 に 把 握 している 機 関 はなく 日 本 の 政 府 行 政 機 関 は 日 本 とつながりのある 留 学 者 ( 日 本 の 機 関 に 籍 がある 公 的 制 度 で 留 学 してい る)を 中 心 に 対 象 として 調 査 し 日 本 に 籍 を 置 きながら 留 学 するケースが 顕 著 に 減 少 して いるデータでもって 内 向 き 志 向 といった 印 象 論 を 展 開 してきた しかし ただ 欧 米 に 留 学 すればそれで 箔 が 付 くような 時 代 でもなくなってきている 今 大 学 業 務 の 負 担 増 や 若 手 ポジションの 減 少 と 過 度 な 競 争 が 本 質 的 な 背 景 で むしろ 日 本 に 籍 を 残 さずに 世 界 に 飛 び 出 して 活 躍 する 日 本 人 研 究 者 は 増 加 しているのではないかということが 示 唆 されている ( 例 : http://ssu.mri.co.jp/columns/articles/vol160 ) このような 実 態 を 正 しく 把 握 して 世 界 中 に 散 らばった 日 本 人 のネットワークを 強 化 して 活 用 することは 個 々 人 としても 国 家 としても 世 界 的 な 競 争 の 中 でプレゼンスを 高 め 戦 略 的 かつ 効 率 的 に 主 導 権 を 掌 握 する 上 で 極 めて 重 要 なはずである そのような 理 念 の 共 有 から 海 外 日 本 人 研 究 者 の 有 志 として JSPS-Washington Office の 協 力 も 仰 ぎつつ 自 助 互 助 的 な 組 織 として UJA を 立 ち 上 げ ボトムアップでネットワー ク 構 築 を 開 始 した 今 回 日 本 分 子 生 物 学 会 の 企 画 に 併 せ 研 究 留 学 の 実 態 についての 大 規 模 アンケートを 行 った 研 究 留 学 に 関 するアンケート 2013 ダイジェスト 1
2013 年 から 9 月 から 11 月 までウェブサイト 上 のアンケートフォームで 実 施 無 記 名 で 滞 在 地 域 と 所 属 について 質 問 Cookie の 設 定 で 重 複 回 答 を 避 ける 参 加 呼 びかけは 分 子 生 物 学 会 年 会 のホームページからのリンク UJA 参 加 メンバー コミュニティー 各 協 力 団 体 への 連 絡 UJA ホームページや Twitter, facebook での 拡 散 など 設 問 は 選 択 式 を 中 心 とし 一 部 でコメント 記 入 また 留 学 中 留 学 経 験 あり 興 味 あり 興 味 なし の 属 性 で 設 問 を 分 岐 回 答 時 間 は 15 分 程 度 を 想 定 回 答 頂 いた 533 名 のうち 326 名 が 留 学 中 134 名 が 留 学 経 験 あり 69 名 が 興 味 あり 4 名 が 興 味 なしという 内 訳 (2) 回 答 に 際 して 分 野 や 立 場 を 限 定 はしていないが 生 命 科 学 系 がやはり 多 いのではないかと 推 測 される 留 学 先 の 国 はアメリカが 多 かったが ヨーロ ッパ 諸 国 シンガポールなどの 回 答 も 少 なからずあった (23-25) 年 齢 構 成 として 留 学 中 は 29 歳 から 39 歳 がボリュームゾーン 興 味 あ り は 20 代 前 半 がピ ークで 30 代 まで 幅 広 くあり (1) 家 族 構 成 は 独 身 が 半 数 以 上 子 連 れは 3 割 程 度 現 地 で 共 働 きは 少 ない(16-17) 留 学 中 の 立 場 としてポスドクが 7 割 強 学 生 が 1 割 程 度 であり 8 割 以 上 がパーマネント の 職 ではない(7-8) 動 機 としては 研 究 の 幅 を 広 げたい 英 語 を 含 めたコミュニケーシ ョン 能 力 の 向 上 というのが 多 く 海 外 でしか 出 来 ない 研 究 だから という 回 答 はやや 少 なかった(9) 単 純 に 研 究 設 備 等 の 水 準 として 日 本 が 海 外 より 遅 れているということは 感 じられない 中 で 国 際 化 への 問 題 がより 意 識 されているのではないか 留 学 開 始 年 齢 は 学 部 卒 業 後 と 思 われる 20 台 前 半 に 小 さなピーク そして 博 士 課 程 修 了 後 と 思 われる 27 歳 以 降 から 急 激 に 増 加 30 代 後 半 から 減 少 していた(6) 留 学 期 間 につい て 半 数 以 上 は 事 前 に 定 まっておらず 定 まっている 場 合 は 2 年 ぐらいという 回 答 が 多 かっ た これは 日 本 で 得 られるフェローシップの 多 くが 2 年 以 下 に 設 定 しているものが 多 いこ とに 関 連 しているかもしれない 留 学 期 間 が 定 まっていない 場 合 当 初 見 込 みでは 3 年 以 上 が 多 かった 実 際 の 留 学 期 間 について 2 年 程 度 までの 留 学 は 当 初 見 込 みとの 差 が 小 さい が 3 年 以 降 見 込 みより 長 くなるケースが 増 えるようである また 半 数 以 上 が 次 の 職 を 得 たという 理 由 で 留 学 を 終 了 している 気 持 ちとして 早 く 帰 りたかったのは 1 割 程 度 である 留 学 支 援 制 度 として 2 年 を 超 えるもの 留 学 期 間 を 延 ばせるものに 潜 在 的 ニーズがありそ うである 帰 国 する 際 の 立 場 は 半 数 弱 が 任 期 のあるポジションであった 元 の 所 属 ないし 関 連 する 場 所 に 戻 るケースが 最 も 多 く 次 に 公 募 と 知 り 合 いのつてが 同 程 度 である 研 究 留 学 に 関 するアンケート 2013 ダイジェスト 2
留 学 中 の 収 入 源 は 留 学 先 からというのが 最 も 多 く その 次 に 奨 学 金 フェローシップとな った 一 方 で 留 学 に 興 味 のある 人 にとって 留 学 先 から 貰 うというイメージは 非 常 に 小 さく 現 実 との 情 報 ギャップがあるようである また 経 済 的 問 題 とともに 語 学 力 を 留 学 の 障 害 と 感 じているが 実 際 の 事 前 自 己 評 価 は 留 学 中 経 験 者 との 回 答 と 大 差 は 無 く 日 々 精 進 し ている 努 力 して 克 服 したと いう 人 が 多 いが 困 っている 出 来 ないと 割 り 切 って いる 人 も 2 割 弱 あった 語 学 の 問 題 は 依 然 として 大 きいが それでも 日 本 人 研 究 者 を 雇 いたいという 海 外 での 評 価 があるといえる 留 学 でなければ 得 られなかったものは 幅 広 い 経 験 人 的 つながり 語 学 力 の 回 答 が 多 い 一 方 で よい 研 究 成 果 キャリアアップ はやや 少 なかった(41) またマイナス 要 素 として 日 本 に 帰 れなくなる と 半 数 以 上 が 答 え 留 学 後 のキャリアパス 整 備 が 重 要 であるとの 回 答 は 8 割 近 くあった(42 44) 個 人 の 能 力 アップにはなるがキャリアアップ には 直 接 つながらないとの 見 方 ができる 海 外 で 日 本 より 良 いと 感 じる 点 は 自 由 な 雰 囲 気 雑 用 の 少 なさ が 最 も 多 く 挙 げられ 共 同 研 究 人 的 交 流 ボスの 能 力 が 次 に 上 位 であった 一 方 で 評 価 方 法 経 済 状 況 面 倒 見 の 良 さ 法 律 規 制 が 日 本 より 良 いという 回 答 は 少 なかった(26) また 当 初 の 期 待 に 対 して 人 間 関 係 生 活 環 境 は 期 待 通 りあるいは 期 待 を 上 回 ったとする 回 答 が 多 い 一 方 で 研 究 成 果 に つ い て は 不 満 と す る 回 答 が 他 に 比 べ て 少 し 多 か っ た (29) やはり 今 は 留 学 に 際 して 実 質 的 な 成 果 を 挙 げることを 志 し またプレッシャーがあるので はないか 留 学 についての 反 省 点 は 準 備 不 足 が 最 多 で コメントから 語 学 力 の 問 題 が 多 いと 思 われる(30-1) そのあと 情 報 不 足 が 続 き 少 し 下 がって 他 の 可 能 性 の 検 討 実 力 不 足 ラボ 選 択 も 挙 げられた 留 学 先 研 究 室 の 選 択 には 反 省 があるケースが 多 々 あるのかもしれない 留 学 しない 方 がよかった という 回 答 は 皆 無 に 近 かった コメント 欄 には 多 くの 経 験 談 が 詰 まっているのでぜひ 参 照 されたい(30-2) ラ ボ 選 択 に 際 し て 事 前 に 問 い 合 わせたラボの 数 は1つだけというケースが 半 数 近 くであり 興 味 ありとする 人 との 感 覚 とは 大 きく 異 なる(11) これは 複 数 考 えていても 実 際 には 最 初 に 問 い 合 わせて 良 い 返 事 が 来 たらそこに 決 めてしまうからではないかと 推 測 される 一 方 で 複 数 問 い 合 わせ る 場 合 は 5 以 上 にも 数 が 伸 びる 傾 向 もあり 探 し 方 は 状 況 によって 大 きく 分 かれるようで ある ラボの 決 定 において 重 視 した(する)ことでは 留 学 に 興 味 がある 方 留 学 未 経 験 者 にお いては 相 手 ボスの 人 柄 相 性 生 活 環 境 を 重 視 す る 一 方 経 験 者 においてはこれら の 項 目 の 重 要 度 は 大 きく 低 下 する 傾 向 がみられた 実 際 に 留 学 する 際 に こうした 情 報 を 知 り 得 る 機 会 が 無 かったからかもしれない(12-1) また 雇 用 条 件 について 経 験 者 ではあま 研 究 留 学 に 関 するアンケート 2013 ダイジェスト 3
り 重 視 されない 傾 向 があった フェローシップを 得 たからか 選 択 肢 のなかで 条 件 に 大 き な 差 がなかったからかもしれない そのほか 各 自 の 貴 重 かつ 具 体 的 な 経 験 談 を 多 く 寄 せて いただいている(12-2) PIを 目 指 す 人 (あるいはすでにPI)は 7 割 弱 目 指 さないが 研 究 を 仕 事 としたい 人 が 2 割 5 分 であった(5) ア カ デ ミ ア 以 外 の キ ャ リ ア パ ス に 興 味 が あ る と し た の は 半 数 を 超 えているが 応 募 書 類 を 送 る 以 上 の 行 動 を 起 こしているのは 2 割 程 度 であった (49-50) キャリアパス 多 様 化 に 対 して 有 効 と 考 える 支 援 は より 深 い 情 報 の 提 供 マッ チングの 場 の 提 供 資 金 的 援 助 などが 有 効 だと 思 うと 多 数 が 答 えたが 教 育 訓 練 プ ログラム はやや 低 かった(51-1) 情 報 と 機 会 の 不 足 また 面 接 など 就 職 活 動 の 資 金 的 な 問 題 というのが 実 感 としてあると 思 われる 体 験 に 基 づく 多 くのコメントをいただいてい る(51-2-1) 留 学 中 の 人 がこの 企 画 について 知 るのは 人 づてで 聞 いてというのが 最 も 多 かった(53-2) コメントの 中 には 周 知 が 不 十 分 との 意 見 もある また 企 画 に 対 する 期 待 および 評 価 は 留 学 に 興 味 ある 人 においては 圧 倒 的 であるが(56-1) 留 学 経 験 者 としては 注 文 もあるようである 特 に 額 の 10 万 円 が 少 ないというコメントが 目 立 った(55-2) また 応 募 条 件 選 考 基 準 や 地 域 などによる 金 額 の 考 慮 についても 意 見 があった これは 分 生 側 も 承 知 の 上 で 事 務 方 の 負 担 等 との 兼 ね 合 いで 決 断 したものと 察 せられるが 今 後 制 度 として 定 着 するとなればまた 議 論 されるであろう JSPS は 日 本 人 が 研 究 留 学 をするにあたって 最 も 大 きな 支 援 母 体 であり 今 回 のアンケー トでも 研 究 留 学 に 関 する 情 報 をぜひ 活 用 したいとの 要 望 があったので JSPS の 制 度 につい ての 設 問 も 含 めた 実 際 に 海 外 で 研 究 するにあたって JSPS から 支 援 を 受 けた 経 験 のある 割 合 は 3 割 程 度 で 主 に 海 外 研 究 員 ないし 特 別 研 究 員 制 度 であった(60) 制 度 への 改 善 要 望 と して 家 族 構 成 や 地 域 の 実 態 に 合 った 支 給 額 の 調 整 期 間 の 延 長 あるいは 留 学 後 の 帰 国 か らキャリア 形 成 までの 支 援 一 時 帰 国 の 際 の 返 金 制 度 の 緩 和 ( 条 件 および 書 類 作 業 )が 目 立 った この 実 質 的 な 一 時 帰 国 の 制 限 や 海 外 期 間 2 年 できっかりで 切 れることが 就 職 活 動 を 配 慮 していないという 主 旨 の 指 摘 が 見 られた 近 年 の 研 究 留 学 は 次 のキャリアが 保 障 されていない 中 で 実 績 をあげて 就 職 活 動 もしていかなければいけないケースが 多 いので 研 究 留 学 に 関 するアンケート 2013 ダイジェスト 4
そういった 事 情 に 合 わせた 期 間 設 定 など 制 度 の 柔 軟 性 また 帰 国 後 のキャリア 形 成 を 支 援 する 新 たな 制 度 が 求 められているのではないか もちろん JSPS の 制 度 があったからこそ 留 学 が 出 来 たという 感 謝 のコメントも 多 数 あった(61) 大 部 分 の 人 が 海 外 において 日 本 人 研 究 者 がネットワークを 形 成 することはプラスだと 回 答 した(57) 国 の 支 援 についてはボトムアップの 精 神 を 大 切 にすべきとの 趣 旨 の 意 見 があっ た 他 の 外 国 人 は 強 固 なネットワークを 作 って 活 用 しているのに 日 本 人 はそういうのがな いという 意 見 が 少 なからずあった(58) 不 安 定 なキャリア 見 通 しのまま 世 界 の 競 争 の 中 で 勝 負 するという 留 学 がかなり 多 くなっ てきているという 実 態 がみえた そのよりシビアな 状 況 に 配 慮 した 支 援 や 情 報 網 が 整 って いないままでは 表 面 的 な 留 学 の 数 を 増 やすような 単 純 に 押 し 出 す 施 策 では 問 題 が 多 いの ではないだろうか より 実 質 的 な 成 果 とともに 次 のキャリアへと 繋 がる 留 学 となるよう 帰 国 後 のキャリアパスを 整 備 しつつ 多 角 的 な 支 援 と 自 助 互 助 を 可 能 にするネットワーク の 整 備 こそが 日 本 ( 人 )の 国 際 プレゼンスと 競 争 力 を 向 上 させ 科 学 技 術 分 野 で 戦 略 的 にイニシアティブを 取 っていくことにも 繋 がり 費 用 対 効 果 からしても 優 先 度 の 高 い 課 題 では 無 いだろうか 国 としてのリソースが 限 られる 今 行 政 側 としてもより 強 い 根 拠 と 説 明 を 必 要 としており 研 究 者 もそのような 行 政 の 立 場 を 理 解 しながら 積 極 的 に 情 報 提 供 と フィードバックを 行 い 建 設 的 で 現 実 的 な 議 論 と 提 案 をしていかなければいけない 研 究 留 学 に 関 するアンケート 2013 ダイジェスト 5