平 成 27 年 度 研 究 所 奨 学 論 文 応 募 研 究 所 政 治 経 済 研 究 所 Facebook と 投 票 論 文 作 品 テーマ 都 会 と 田 舎 における 影 響 の 差 フリガナ アンドウ ユウスケ 氏 名 安 藤 雄 祐 ( 代 表 者 ) ( 共 同 執 筆 の 場 合 は 上 記 者 が 代 表 者 となる 代 表 者 他 名 ) 所 属 研 究 科 専 攻 または 学 部 学 科 政 経 学 部 経 済 学 科 4 年 学 生 番 号 :24051 - 目 次 - 共 同 執 筆 の 場 合 のみ 記 入 1. はじめに ( 担 当 : ) 2. 先 行 研 究 ( 担 当 : ) 3. 理 論 と 仮 説 の 提 示 ( 担 当 : ) 4. データ ( 担 当 : ) 5. 分 析 結 果 ( 担 当 : ) 6. 結 論 と 今 後 の 展 望 ( 担 当 : ) 応 募 期 日 : 平 成 27 年 10 月 14 日 ( 水 ) 23:00 必 着 厳 守 1
1.はじめに 近 年 さまざまなインターネットメディア( 以 下 ネットメディア)での 政 治 活 動 が 顕 著 になっている 特 にブログや Facebook,twitter 上 で 政 治 家 が 有 権 者 にアピールをする 様 子 も Youtube やニコニコ 生 放 送 で 政 治 家 が 討 論 しそれに 対 して 有 権 者 がコメントを 行 う 様 子 も 珍 しくはない こうしたイン ターネット 上 での 政 治 活 動 のうち 選 挙 運 動 に 関 しては 2013 年 4 月 の 公 職 選 挙 法 改 正 によって 認 められ 同 年 に 実 施 された 参 議 院 議 員 選 挙 において 初 めて 解 禁 された これまで インターネット 選 挙 運 動 ( 以 下 ネット 選 挙 )に 関 する 有 権 者 の 意 識 調 査 や 分 析 は 数 多 く 行 われてきたが そのうちの 殆 どがネット 選 挙 によ る 有 権 者 への 影 響 に 対 し 否 定 的 な 意 見 を 取 っている 実 際 過 去 に 総 務 省 によって 行 われた 参 院 選 や 地 方 選 を 対 象 としたアンケート 調 査 ではネット 選 挙 を 投 票 の 参 考 にしたという 人 の 割 合 は 参 院 選 で 21.6% 地 方 選 で 19.2% であった さらに 毎 日 新 聞 の 記 事 ではネット 選 挙 の 効 果 に 都 会 と 田 舎 に 格 差 があることを 示 唆 している インターネット 利 用 率 の 低 さから 田 舎 ではネット 選 挙 が 浸 透 しないということだ つまり 有 権 者 はネット 選 挙 を 投 票 の 参 考 にしてない ということが 定 説 になりつつある しかし 本 当 に ネット 選 挙 は 有 権 者 の 投 票 行 動 に 影 響 を 与 えていないのであろうか? そこで 本 論 ではネット 選 挙 運 動 が 実 際 に 適 用 された 2014 年 の 衆 議 院 議 員 選 挙 ( 以 下 衆 院 選 )のデータを 基 に ネットメディアが 持 つ 政 治 への 有 用 性 を 実 証 的 に 分 析 する 本 論 では Facebook に 焦 点 を 当 て 候 補 者 の Facebook での 活 動 が 有 権 者 の 投 票 行 動 に 与 えた 影 響 の 有 無 を 実 証 的 に 分 析 する Facebook に 焦 点 を 当 てる 理 由 は 2 つある 1 点 目 に Facebook を 数 値 化 可 能 な 変 数 とすることが 可 能 なためである 2 点 目 に Facebook に 存 在 する シェア いいね! 返 信 友 達 と い っ た 機 能 が 候 補 者 と 有 権 者 の 間 に 双 方 向 の 関 係 を 作 り 出 し ていると 考 えられるからである こういったインターネットの 双 方 向 性 が 2
市 民 と 政 治 家 による 政 治 討 論 や 意 見 の 交 換 を 可 能 とするため 有 権 者 はより 政 治 家 を 認 知 するようになると 考 えられる さらに Facebook には 他 ネットメディアであるブログや twitter との 連 動 機 能 も 充 実 しているため 有 権 者 は Facebook を 見 ることで 多 くの 情 報 を 一 度 に 獲 得 でき 投 票 の 参 考 になりやすいと 考 えられる 本 論 の 特 徴 は 以 下 の 2 点 である 1 点 目 は ネットメディアの 使 用 頻 度 の 高 い 候 補 者 ほど 有 権 者 の 目 に 止 ま るということである ネットメディアへの 投 稿 数 が 候 補 者 の 得 票 率 に 影 響 を 与 えるという 仮 説 を 検 証 する ここでは 主 要 なネットメディアである Facebook における 各 候 補 者 の 投 稿 数 を 使 用 する 2 点 目 は 各 選 挙 区 ごとの 都 市 度 ( 都 会 か 田 舎 かを 数 値 化 した 指 標 )を 用 い た 交 差 項 を 分 析 に 取 り 入 れ Facebook の 投 稿 数 が 候 補 者 の 得 票 率 に 与 える 影 響 が 都 会 と 田 舎 でどの 程 度 異 なるかを 示 す 本 論 では Facebook の 投 稿 数 が 増 えるほど 候 補 者 の 得 票 率 が 増 える 傾 向 になると 予 想 する また 都 会 ほど Facebook 投 稿 数 が 候 補 者 の 得 票 率 に 与 える 影 響 は 大 きいと 考 える 結 論 として 予 想 通 り Facebook 投 稿 数 が 増 えるほど 候 補 者 の 得 票 率 は 高 くなる 傾 向 にあることが 分 かった また 予 想 通 り 都 市 と 田 舎 には Facebook 投 稿 数 と 得 票 率 の 関 係 に 差 異 が 確 認 できた しかし 通 説 に 反 して 田 舎 の 方 がより Facebook 投 稿 数 が 得 票 率 へ 与 える 影 響 が 大 きいことが 分 かった 本 論 の 構 成 は 以 下 のとおりである 第 二 節 では ネットメディアと 投 票 行 動 に 関 する 先 行 研 究 を 紹 介 し 第 三 節 では 本 論 で 扱 う 理 論 と 仮 説 を 提 示 す る 第 四 節 では 本 論 で 使 用 するデータを 提 示 しデータに 関 する 解 説 を 行 う 第 五 節 では 分 析 結 果 を 示 し 第 六 節 では 本 論 の 結 論 と 今 後 の 展 望 につい て 述 べる 2. 先 行 研 究 3
本 項 では 投 票 行 動 と ネットメディアが 投 票 に 与 える 影 響 に 関 する 2 種 類 の 先 行 研 究 を 紹 介 する 有 権 者 の 投 票 行 動 に 関 する 先 行 研 究 として 投 票 行 動 がある( 三 宅 1989,P63) 三 宅 は 1983 年 の 総 選 挙 の 調 査 (JES)データを 用 い 同 年 総 選 挙 での 有 権 者 の 投 票 候 補 者 と 投 票 基 準 に 関 して 実 証 分 析 を 行 った 三 宅 は 有 権 者 からの 認 知 度 が 高 い 候 補 者 ほど 好 感 をもたれるという 結 果 を 得 認 知 度 と 好 悪 の 評 価 度 には 高 い 相 関 があり よく 知 れば 知 るほど 好 きになるという 関 係 がある と 結 論 づけている( 三 宅 1989,p63) つまり 候 補 者 と 有 権 者 の 距 離 を 縮 める 手 段 の 存 在 は 候 補 者 にとって 票 を 得 る 上 で 有 利 に 働 くと 考 えられる ネットメディアの 影 響 力 に 関 する 先 行 研 究 として ネットメディアの 主 要 なユーザーである 若 年 層 はインターネット 上 での 意 見 共 有 交 換 が 可 能 な 双 方 向 的 コンテンツを 好 む 傾 向 があるとしている(Romer,Jamieson,& Pasek, 2009) だが 殆 どの 先 行 研 究 では ネットメディアの 影 響 力 に 対 して 否 定 的 なも のが 多 い 例 えば 総 務 省 の 調 査 では 対 象 のインターネットモニターのう ちネット 選 挙 情 報 を 利 用 したと 回 答 したのはわずか 9.3%であり その 中 でも 2,30 歳 代 の 若 年 層 と 60 歳 以 上 の 利 用 率 には 14%もの 格 差 が 見 られた 1 とある また 日 本 経 済 新 聞 の 記 事 で 菅 原 は 2012 年 12 月 の 衆 議 院 総 選 挙 で 候 補 者 が twitter 上 で 行 った 活 動 履 歴 を 見 て twitter を 積 極 的 にし ようがしまいが その 程 度 で 当 落 が 直 接 左 右 されることはなかった という 点 を 指 摘 している 2 ( 菅 原 2013) その 一 方 肯 定 的 な 意 見 として 谷 井 佐 藤 は ネット 選 挙 解 禁 に 伴 う ネットメディアが 投 票 行 動 に 与 える 影 響 の 中 で 2013 年 の 参 議 院 選 挙 におけ る 候 補 者 の twitter 上 での 発 言 回 数 とフォロワー 数 と 得 票 率 に 関 する 実 証 分 析 をしており 候 補 者 の 得 票 率 にはフォロワー 数 が 影 響 している と 述 べ ている ( 谷 井 佐 藤 2013) 以 上 の 先 行 研 究 では いずれも 2013 年 の 参 議 院 議 員 選 挙 や ネット 選 挙 4
解 禁 以 前 のデータを 用 いている 本 論 では 2014 年 の 衆 院 選 のデータを 用 い ることで ネット 選 挙 の 2015 年 時 点 での 状 況 を 分 析 することができる 3. 理 論 と 仮 説 の 提 示 本 論 では 第 二 節 で 紹 介 した 有 権 者 に 認 知 されている 候 補 者 は 好 かれる という 有 権 者 の 投 票 行 動 に 関 する 三 宅 の 理 論 を 用 いる この 理 論 から 以 下 の 仮 説 を 引 き 出 すことが 出 来 る 仮 説 : 公 示 期 間 の Facebook の 投 稿 数 が 多 い 候 補 者 ほど 衆 院 選 における 得 票 率 が 高 い 本 論 における 候 補 者 とは 2014 年 の 12 月 14 日 に 行 われた 第 47 回 衆 議 院 議 員 総 選 挙 における 選 挙 区 選 出 議 員 を 指 し 比 例 区 選 出 議 員 は 分 析 か ら 除 外 する 除 外 する 理 由 としては 本 論 の 分 析 目 的 が 候 補 者 個 人 の 行 動 が 有 権 者 の 投 票 意 識 に 与 える 影 響 であり 政 党 名 を 記 入 する 比 例 区 選 挙 は 分 析 対 象 として 不 適 切 なためである また Facebook の 投 稿 数 を 公 示 期 間 に 限 定 する 理 由 は 公 職 選 挙 法 によっ て 候 補 者 のネット 上 での 選 挙 活 動 の 期 間 は 公 示 期 間 内 に 限 られているから である 図 1は 本 論 で 扱 う 分 析 モデルである このモデルにおける 従 属 変 数 は 候 補 者 の 得 票 率 である 独 立 変 数 は Facebook 投 稿 数 と 各 選 挙 区 ごとの 都 市 度 を 用 いた 交 差 項 Facebook 投 稿 数 * 都 市 度 である Facebook の 投 稿 数 は 投 稿 記 事 を 増 やすことによって 有 権 者 に 候 補 者 個 人 の 行 動 や 政 治 思 想 を 伝 えることができるため その 数 が 多 いほど 大 衆 はその 候 補 者 を 認 知 し 好 感 を 得 るはずである 交 差 項 である Facebook 投 稿 数 * 都 市 度 は 都 市 部 と 田 舎 のネット 選 挙 使 用 率 の 格 差 を 分 析 対 象 に 入 れることが 出 来 る 都 市 度 が 高 い つまり 都 市 部 であるほどネットメディアの 主 要 使 用 者 である 5
若 年 層 の 比 率 が 高 く 田 舎 であるほどネットメディアに 触 れる 機 会 の 少 ない 高 齢 層 の 比 率 が 高 いと 考 えられるからである 以 上 が 上 記 の 理 論 から 分 析 に 用 いる 仮 説 を 導 き 出 した 理 由 である 図 1 分 析 モデル ( 注 : 著 者 が 作 成 ) これらの 独 立 変 数 以 外 に 従 属 変 数 に 影 響 を 与 えていると 考 えられる 要 因 と して 当 選 回 数 与 党 ダミー 候 補 者 数 の 3 つをコントロール 変 数 と して 分 析 モデルに 含 めた 当 選 回 数 を 考 慮 する 理 由 は 当 選 を 重 ねた 候 補 者 ほど 選 出 区 における 認 知 度 が 高 まり 地 盤 を 形 成 することによる 固 定 票 を 得 られると 予 想 できるためである ここでの 与 党 ダミー とは 自 民 党 公 明 党 のことである 与 党 ダミー を 考 慮 する 理 由 は 本 衆 院 選 の 時 点 で 政 権 与 党 であるため 選 挙 において 有 利 であろうと 考 えられるためである また 候 補 者 数 は 同 選 挙 区 内 での 候 補 者 数 のことである 同 選 挙 区 内 に 候 補 者 が 増 えればおのずと 票 が 割 れることになるため 候 補 者 数 が 増 える ほど 得 票 率 は 下 がると 予 測 できる 6
4.データ 本 論 では 2014 年 の 衆 院 選 における 小 選 挙 区 の 候 補 者 959 名 全 てを 分 析 対 象 とする 独 立 変 数 で 使 用 する Facebook 投 稿 数 は 本 選 挙 の 公 示 期 間 である 2014 年 12 月 2 日 から 13 日 までの 12 日 間 に 投 稿 された 記 事 の 数 を 候 補 者 本 人 の Facebook アカウントから 著 者 が 集 計 した なお Facebook アカウントがない 候 補 者 は 投 稿 数 0 として 集 計 した 従 属 変 数 である 得 票 率 と コントロ ール 変 数 である 当 選 回 数 候 補 者 数 与 党 ダミー は 2014 衆 院 選 朝 日 新 聞 デジタル に 掲 載 されていた 候 補 者 の 経 歴 を 参 照 した 交 差 項 である Facebook 投 稿 数 * 都 市 度 で 使 用 する 都 市 度 は 菅 原 研 究 室 の 2003 年 衆 議 院 選 挙 区 別 都 市 度 を 使 用 する 都 市 度 は 0 から 100 までを 表 し 100 に 近 いほ ど 都 市 であることを 示 す 2003 年 のデータを 使 用 する 理 由 は 2014 年 におけ る 都 市 度 のデータが 存 在 しないためである 表 1は 本 論 で 使 用 したデータの 記 述 統 計 である 左 端 から 順 に 変 数 名 平 均 標 準 偏 差 最 小 値 最 大 値 を 表 している 本 論 における 従 属 変 数 であ る 得 票 率 は 最 小 値 0.5% 最 大 値 が 83.3 であることを 示 しており 候 補 者 全 体 の 得 票 率 の 平 均 が 30.71 であることが 分 かる 与 党 候 補 者 につい ては 候 補 者 が 自 民 党 公 明 党 議 員 である 場 合 は 1,そうでない 場 合 には 0 と いう 値 を 割 り 振 っているため 最 小 値 は 0 で 最 大 値 は 1 となっている 表 の 左 下 にある N=959 とは 今 回 分 析 する 候 補 者 の 観 測 数 を 表 している 7
変 数 平 均 標 準 偏 差 最 小 値 最 大 値 得 票 率 (%) 30.76 18.91 0.5 83.3 Facebook 投 稿 数 17.29 29.46 0 265 都 市 度 0.66 0.29 0.08 1 交 差 項 Facebook 投 稿 数 * 都 市 度 11.91 22.67 0 259.7 当 選 回 数 2.16 2.87 0 16 与 党 候 補 者 0.3 0.46 0 1 候 補 者 数 3.46 0.87 0 7 N=959 表 1 記 述 統 計 ( 注 :データを 元 に 著 者 が 作 成 ) 図 2は 得 票 率 と Facebook 投 稿 数 の 相 関 を 示 した 散 布 図 とグラフで ある 縦 軸 は 得 票 率 を 表 しており 上 に 行 くほど 候 補 者 の 得 票 率 が 高 いことを 示 している 横 軸 は Facebook 投 稿 数 を 表 しており 右 に 行 くほ ど Facebook に 投 稿 した 数 が 多 いことを 示 している 2 つの 変 数 の 相 関 係 数 は 0.10 であり 両 者 の 間 には 正 の 相 関 が 見 られ ネットメディアと 得 票 率 に は 相 関 はないという 多 くの 先 行 研 究 とは 反 することを 示 唆 している 図 3 は Facebook 投 稿 数 のばらつきを 表 したヒストグラムである 横 軸 は facebook 投 稿 数 を 表 しており 右 に 行 くほど Facebook の 投 稿 した 数 が 多 いということを 示 している 縦 軸 は 投 稿 した 候 補 者 の 数 を 表 しており 上 にいくほど その 投 稿 数 の 候 補 者 がどれだけいるかを 示 している この 図 から 投 稿 数 0 ないしは Facebook ページを 持 っていない 候 補 者 が 大 多 数 であ り 投 稿 していても その 殆 どが 50 回 以 下 であることがわかる 8
図 2 2014 年 12 月 14 日 衆 議 院 選 挙 候 補 者 の 得 票 率 と facebook 投 稿 数 の 関 係 ( 注 :Stata10 を 使 って 著 者 が 作 成 ) 図 3 2014 年 12 月 14 日 衆 議 院 選 挙 候 補 者 の facebook 投 稿 数 のばらつき ( 注 :Stata11 を 使 って 著 者 が 作 成 ) 5. 分 析 結 果 9
本 節 では 重 回 帰 分 析 から 得 られた 結 果 と 交 差 項 を 用 いた 分 析 による 結 果 の 2 つを 述 べる 1 重 回 帰 分 析 結 果 表 2 は 候 補 者 の 得 票 率 を 従 属 変 数 とした 重 回 帰 分 析 の 結 果 を 示 してい る 予 測 蘭 にあるそれぞれのプラス マイナス 記 号 は 独 立 変 数 の 計 数 の 正 負 を 予 測 したものである 結 果 蘭 の 数 値 はそれぞれの 独 立 変 数 を 表 している 独 立 変 数 予 測 係 数 P 値 3 Beta 値 4 Facebook 投 稿 数 - 0.071*** 0.01 0.11 都 市 度 -0.05 0.97 0 Facebook 投 稿 数 * 都 市 度 + -0.0007* 0.076-0.08 当 選 回 数 + 3.11*** 0 0.47 与 党 候 補 者 + 17.87*** 0 0.44 候 補 者 数 - -4.25*** 0-0.19 定 数 観 測 数 Prob>F 32.89 959 0 補 正 R 2 0.72 有 意 水 準 :***p<0.01 **p<0.05 *p<0.1 表 2 : 分 析 結 果 ( 注 :データを 元 に 著 者 が 作 成 ) 10
表 2 から Prob > F 5 の 値 が 0 であるため このモデルの 全 体 の 有 意 性 に 対 する 帰 無 仮 説 が 有 意 水 準 1%で 棄 却 される したがって この 回 帰 モデルは 母 集 団 でも 一 定 の 説 明 力 を 持 つと 言 える また 補 正 R 2 の 値 が 0.71 であるため 従 属 変 数 である 得 票 率 の 分 散 の 71%がこの 分 析 モデルによって 説 明 でき る この 重 回 帰 分 析 から 得 られた 結 果 は 以 下 の 通 りである 第 1 に Facebook 投 稿 数 が 1 回 増 えると 得 票 率 は 0.07 パーセン テージ ポイント 上 がることが 分 かった 従 って 予 測 通 り Facebook の 投 稿 数 が 増 えるほど(ネット 選 挙 活 動 をするほど) 候 補 者 が 得 る 得 票 率 は 上 がるという 仮 説 が 支 持 される 結 果 となった 第 2 に 予 測 通 り 当 選 回 数 が 1 回 増 えると 得 票 率 が 3.11 パーセン テージ ポイント 上 がるということが 分 かった また 与 党 候 補 者 であ れば 得 票 率 が 17.87 パーセンテージ ポイント 増 えることが 分 かり 候 補 者 数 が 1 人 増 えると 得 票 率 は 4.25 パーセンテージ ポイント 下 がることが 分 かった Beta 値 の 係 数 を 比 較 すると 当 選 回 数 が 一 番 大 き く 次 に 与 党 候 補 者 Facebook 投 稿 数 と 続 く このことから 候 補 者 の 得 票 率 に 関 係 する 一 番 大 きな 要 因 は 与 党 候 補 者 か 否 か ということが 分 かった 2 交 差 項 を 用 いた 分 析 都 会 と 田 舎 における Facebook 投 稿 数 の 差 異 を 交 差 項 を 用 いて 示 す 上 記 の 分 析 結 果 から 交 差 項 Facebook 投 稿 数 * 都 市 度 の P 値 は 0.076 で あり 10% 有 意 水 準 でこの 交 差 項 は 有 意 である つまり Facebook 投 稿 数 が 得 票 率 に 与 える 影 響 は 都 市 度 によって 異 なることを 示 している 本 論 では 交 差 項 に 2 つの 量 的 変 数 を 用 いるため 都 市 度 の 平 均 値 である 0.66 に 1 標 準 偏 差 である 0.29 を 加 減 したものを 都 市 度 の 高 低 水 準 に 用 いる つまり 都 市 度 が 0.95 を 越 える 選 挙 区 は 都 会 であり 0.37 を 下 回 る 選 挙 区 は 田 舎 であるとする 上 記 の 重 回 帰 分 析 結 果 から 以 下 の 式 が 成 り 立 つことが 11
分 かる 都 会 : 得 票 率 =32.89+0.0064 * Facebook 投 稿 数 田 舎 : 得 票 率 =32.89+0.046 * Facebook 投 稿 数 図 4 は この 式 から 導 かれた 散 布 図 と 回 帰 直 線 である 図 4 都 市 度 差 を 含 めた Facebook 投 稿 数 と 得 票 率 の 関 係 ( 注 ;Stata11 を 使 って 筆 者 が 作 成 ) 図 4 の 実 線 は 田 舎 点 線 は 都 会 での Facebook 投 稿 数 が 得 票 率 に 与 える 影 響 を 示 している 上 記 の 回 帰 式 と 回 帰 直 線 から 導 かれた 結 論 として 通 説 通 り 都 会 と 田 舎 での 影 響 力 に 差 異 があることが 確 認 できた しかし ネットメディアが 通 説 とは 異 なる 結 果 として 田 舎 ほど Facebook 投 稿 数 が 得 票 率 に 与 える 影 響 が 大 きいことが 分 かった 例 えば Facebook の 投 稿 数 が 100 件 増 えると 田 舎 では 4.6 パーセンテージ ポイント 得 票 率 が 上 がるのに 対 し 都 会 では 0.7 パーセンテージ ポイント 得 票 率 は 上 がることになる 12
6. 結 論 と 今 後 の 展 望 本 論 では ネットメディアが 有 権 者 の 投 票 行 動 に 影 響 を 与 えているのか という 問 いに 対 して Facebook の 投 稿 数 に 焦 点 を 当 て 分 析 した その 結 果 先 行 研 究 で 言 及 されてきた ネット 選 挙 が 有 権 者 の 投 票 行 動 に 与 える 影 響 は ほぼない という 仮 説 に 反 し Facebook の 投 稿 数 が 有 権 者 の 投 票 行 動 に 影 響 を 与 えることを 明 らかにした また 都 市 部 ほどネットメディアの 使 用 が 多 く ネット 選 挙 の 影 響 が 大 きい という 通 説 に 反 し 田 舎 ほどネット 選 挙 の 影 響 が 大 きい ということが 明 らかになった 田 舎 においてネットメディア へ 選 挙 資 金 を 回 せるだけの 候 補 者 は ネット 選 挙 を 使 用 するだけの 人 件 費 が 捻 出 できる つまりそもそも 選 挙 に 強 いのではないかという 内 生 性 の 問 題 が ある 可 能 性 を 予 測 し 指 摘 する 今 後 の 展 望 として 3 点 を 指 摘 する 1 点 目 は なぜ 都 市 部 より 田 舎 の 方 が ネットメディアの 影 響 が 強 いのかを 明 らかにすることである 2 点 目 は Facebook 内 の 他 者 への 記 事 拡 散 機 能 である いいね! が 多 い 議 員 はより 認 知 度 が 高 いため よ り 得 票 率 が 高 く な る の で は な い か? と い う ことである 3 点 目 は データ 不 足 のため 分 析 に 選 挙 区 別 の 有 権 者 の 平 均 年 齢 を 考 慮 に 入 れられなかったことである 本 論 では 代 替 として 都 市 度 を 用 いて 年 齢 層 の 差 別 化 を 図 ったが 選 挙 区 別 の 有 権 者 の 平 均 年 齢 を 考 慮 に 入 れること でより 正 確 な 分 析 が 出 来 ると 考 える 13
注 1. インターネット 選 挙 運 動 解 禁 に 関 する 調 査 報 告 書 より 2. 菅 原 は その 理 由 として 結 局 票 を 取 るために 選 挙 期 間 中 だけネットを 活 用 するのは 割 に 合 わない 固 定 ファンを 獲 得 するために 日 常 的 に 使 わなければネット 選 挙 はその 力 を 発 しない と 述 べている ( 日 本 経 済 新 聞 つぶやき 当 落 左 右 せず 政 治 学 者 が ネット 選 挙 解 析 )より 引 用 3. P 値 とは 金 仮 説 が 正 しいとき 検 定 統 計 量 が 実 際 にデータから 得 られた 値 以 上 に 分 布 の 中 心 からかけ 離 れた 値 をとる 確 立 である 4. Beta 値 とは 独 立 変 数 の 従 属 変 数 への 影 響 の 大 きさを 表 す 5. Prob > F とは F 検 定 での P 値 である 参 考 文 献 1. 浅 野 正 彦 矢 内 勇 生 Stata による 計 量 政 治 学 東 京 :オーム 社,2013. 2. 金 相 美 市 民 の 政 治 参 加 におけるインターネットの 影 響 力 に 関 する 考 察 参 加 型 ネッ トツールは 投 票 参 加 を 促 進 するのか 選 挙 研 究 東 京 : 木 鐸 社,2009,74-88. 3. 三 宅 一 郎 投 票 行 動 (1989) 東 京 : 東 京 大 学 出 版 会. 4. 谷 井 雄 介 佐 藤 佑 一 ネット 選 挙 解 禁 に 伴 うネットメディアが 投 票 行 動 に 与 える 影 響 (2013) 5. Romer, D., Jamieson, K.H., & Pasek,J. 2009. Building Social Capital in Young People:The Role of Mass Media and Life Outlook. Political Communication,26(1),65-83. 6. インターネット 選 挙 運 動 に 関 する 調 査 報 告 書 総 務 省. http://www.soumu.go.jp/main_content/000293496.pdf( 参 照 2015-10-7). 14
7. 衆 院 選 :ネット 選 挙 都 市 と 田 舎 に 格 差 選 挙 毎 日 (2014-12-10). http://senkyo.mainichi.jp/news/20141210k0000m010144000c.html ( 参 照 2015-10-7) 8. つぶやき 当 落 左 右 せず 政 治 学 者 がネット 選 挙 解 析 日 本 経 済 新 聞. (2013-8-29) http://www.nikkei.com/article/dgxbzo58845970t20c13a8000000/ ( 参 照 2015-10-7) 9. 2014 衆 院 選 朝 日 新 聞 デジタル. http://www.asahi.com/senkyo/sousenkyo47/( 参 照 2015-10-7) 10. 2003 年 衆 議 院 選 挙 区 別 都 市 度 菅 原 研 究 室. http://freett.com/sugawara_taku/data/2003did.html( 参 照 2015-10-7) 15