第 1 章 リスク 回 避 と 期 待 効 用 練 習 問 題 1.1 の 解 答 解 答 は, 図 1.13 で 示 されたスプレッドシート CHAP1 のシート 1 である ジョーはギャ ンブル A を,クレプス 教 授 はギャンブル B を,パテル 教 授 はギャンブル C を 選 ぶだろう 図 1.13 スプレッドシート CHAP1 のシート 1: 練 習 問 題 1.1 の 解 1
練 習 問 題 1.3 の 解 答 (a) 保 険 会 社 はこの 保 険 から,$40,000 の 保 険 料 を 受 けとり,その 期 待 支 払 額 は 0.05 $750,000 = $37,500 である したがって,この 保 険 からの 期 待 純 収 益 は$,500 となる (b)もし 個 人 がリスク 中 立 的 であるならば, 保 険 なしというのは, 確 率 0.95 で 賞 金 が $1,000,000 と 確 率 0.05 で 賞 金 が$50,000,つまり 期 待 値 $96,500 のギャンブルを する のと 同 じになる 保 険 証 書 を 購 入 するならば, 火 災 の 有 無 に 関 わらず, 純 資 産 価 値 は $960,000 となる したがって, 保 険 を 購 入 しないほうが 賢 明 である (c) 個 人 が,リスク 回 避 型 の 効 用 関 数 x をもち, 期 待 効 用 最 大 を 最 大 化 するならば, 保 険 証 書 を 購 入 することで, 個 人 の 純 資 産 価 値 は 確 実 に$960,000 となる ここで x は 純 資 産 価 値 である 保 険 証 書 を 購 入 しないならば, 図 1.14 で 示 されたギャンブルを する こと になる 図 1.14 では, 効 用 水 準 と 期 待 効 用 の 計 算 結 果 が 与 えられている この 個 人 の 期 待 効 用 は[975]である すると,( 960,000 = [979.796] と 計 算 される) 確 実 に$960,000 を 得 ら れる 場 合 の 効 用 を 計 算 できる もしくは,( 効 用 はドル 単 位 の 乗 根 であるので)975 を 乗 することによる, 効 用 水 準 [975]に 対 応 する 確 実 性 等 価, 975 = $950, 65 を 計 算 できる つまり,この 個 人 は 保 険 証 書 を 購 入 しないよりも, 購 入 することで,$10,000 改 善 できる (d) 部 分 的 に 補 填 する 保 険 の 可 能 性 を 評 価 するために, 図 1.15 で 示 された 単 純 なスプレ ッドシート CHAP1 のシート を 使 おう 行 には, 保 険 料, 損 失 確 率, 損 失 がない 場 合 の 資 産 価 値, 損 失 額 が 与 えられている このとき, 部 分 保 険 が 計 算 される 続 く つの 行 は, 損 失 がない 場 合 ( 損 失 がない 場 合 の 資 産 と 部 分 保 険 の 保 険 料 の 差 額 )の 意 思 決 定 者 の 純 資 産 と, 損 失 が 生 じた 場 合 ( 損 失 があった 場 合 の 資 産 から, 部 分 保 険 料 と 部 分 的 に 補 償 され た 損 失 額 の 和 を 差 し 引 いたもの)が 計 算 されている そして, 平 方 根 関 数 を 用 いて, 効 用 水 準, 期 待 効 用,そして 確 実 性 等 価 が 計 算 される 次 に, 部 分 保 険 の 保 険 料 を 変 化 させることで,ソルバーで 期 待 効 用 を 最 大 化 させる( 確 実 性 等 価 CE を 最 大 化 させるようにソルバーを 設 定 しても, 同 一 の 解 を 得 ることができる だろう) 図 1.15 には,この 解 が 示 されている この 個 人 にとっての 最 適 部 分 保 険 は, 約
83%の 保 険 となる そしてこれは 個 人 の CE を, 完 全 保 険 よりも$11 高 めることになる( 比 較 のために, 隣 の つの 列 に 完 全 保 険 の 場 合 と, 保 険 がない 場 合 の 数 値 が 与 えられている) 図 1.15 問 題 1.3(d): 最 適 部 分 保 険 スプレッドシート CHAP15 のシート には, 意 思 決 定 者 のこの 保 険 の 最 適 部 分 保 険 率 が 83%が 導 かれることを 示 している 練 習 問 題 1.4 の 解 答 図 1.16 と 図 1.17 において,パテル 教 授 と 双 子 の 弟 のクリシュナ パテル 教 授 の 結 果 が 示 されている 数 値 が 説 明 的 であることを 願 っている これらは,CHAP1 のシート 3 から 得 られたものである そして,これらの 数 値 がどのようにして 計 算 されたかについての 疑 問 を 持 つならば, 助 言 を 求 めるべきである( 特 に,パテル 教 授 の 期 待 効 用 から CE を 計 算 す る 公 式 については 注 意 深 く 吟 味 すべきである) 3
図 1.16 問 題 1.4:サンジェイ パテル 教 授 の 計 算 方 法 4
図 1.17 問 題 1.4:クリシュナ パテル 教 授 の 計 算 方 法 付 録 指 数 型 期 待 効 用 関 数 問 題 1.4 の 解 答 から 以 下 のことを 注 意 してもらいたい 双 子 のパテル 教 授 各 々がつける 3 つのギャンブルの 順 位 は, 総 資 産 額 に 依 存 しない 実 際 に, 各 ギャンブルの CE は, 双 子 の 資 産 に 対 して, 線 形 に 上 下 するだけである つまり,サンジェイ パテル 教 授 のギャンブル B の CE は, 当 初 の 資 産 が$500,000 で あるならば,$558,839 であり, 当 初 の 資 産 が$1,000,000 であるならば,$1,058,839 であ 5
り, 当 初 資 産 が$0 であるならば,$58,839 である 実 際 にこの 効 用 関 数 の 場 合, 当 初 の 純 資 産 額 が 例 えば $100,000 (つまり 負 債 )であるならば, 彼 のギャンブル B の CE は,この 当 初 の 純 資 産 額 から,$58,839 $100,000 = $41,161と 計 算 される 当 初 の 資 産 額 を 変 えることで 効 用 の 値 は 変 化 するが, 経 済 学 的 な 意 味 は 何 も 変 化 しない サンジェイ パテル 教 授 よりも,クリシュナ パテル 教 授 は 倍 興 奮 しやすく,100 単 余 分 に 楽 観 的 であるという 問 題 の 注 釈 にも 関 わらず, 彼 らの 効 用 関 数 は, 単 に 他 方 の 効 用 関 数 を 変 換 して, 一 様 に 引 き 伸 ばしたり 圧 縮 したものである したがって, 彼 らは 全 く 同 じようにギャンブルを 順 位 付 け, 実 際 に 彼 らの 確 実 性 等 価 も 同 一 である 異 なっている 点 は, 効 用 の 値 のみである 相 対 的 リスク 回 避 度 一 定 の 指 数 型 効 用 関 数 は, 上 記 つの 性 質 の 中 で 最 初 のものは,とり わけ 特 筆 すべきことである つまり, 意 思 決 定 者 が 指 数 型 の 効 用 関 数 を 持 つならば,ある ギャンブルにおいて, 全 ての 賞 金 に 一 定 量 を 足 したり 引 いたりして,この 量 まで 確 実 性 等 価 をシフトさせる この 方 法 により, 例 とモデルで 指 数 型 効 用 関 数 が 示 したように, 比 較 的 計 算 が 簡 単 となる 問 題 1. からさらに 例 を 作 ってみよう 保 険 証 書 を 購 入 していない 個 人 は, 資 産 が 確 率 0.95 で$1,000,000 に, 確 率 0.05 で$5,000 になる 状 況 に 直 面 している 問 題 1. では, 個 人 は 効 用 関 数 x を 持 つと 仮 定 されていた したがって,( 保 険 証 書 を 購 入 していない) 個 人 の 期 待 効 用 は 0.95 1,000,000 + 0.05 50,000 = [975] となる これは 確 実 性 等 価 が$950,65 となることを 意 味 していた 問 題 を 以 下 のように 変 更 する 第 1 に, 利 用 可 能 な 保 険 証 書 には, 免 責 が$100,000 設 定 されている つまり,この 保 険 証 書 を 購 入 する 個 人 は, 損 失 が 発 生 しなければ,$1,000,000 から 保 険 料 を 差 し 引 いたものが 最 終 的 な 資 産 価 値 となり, 損 失 が 発 生 すれば,$900,000 か ら 保 険 料 を 差 し 引 いたものが 最 終 的 な 資 産 価 値 となる そして,( 他 の 選 択 肢 が 保 険 なしと いう 状 況 で) 個 人 が 喜 んで 保 険 証 書 を 購 入 するかどうか 尋 ねる 代 わりに,この 個 人 が 支 払 う 最 大 の 保 険 料 はいくらか, 尋 ねてみる これを 解 くために, 保 険 料 を P として, 保 険 を 購 入 することで, 個 人 の 期 待 効 用 が 以 下 のようになることに 注 意 しよう 0.95 1, 000, 000 P + 0.05 900, 000 P 個 人 が 支 払 う 最 大 の 保 険 料 を 見 つけるためには,この 式 が 個 人 の 保 険 がない 期 待 効 用 水 準 [975]と 等 しいとおいて,P に 関 して 解 かなければならない これはそれほど 難 しく,Excel と,ソルバーもしくはゴールシークどちらかを 使 うことで, 解 くことができる しかし 代 数 的 に 正 確 にこれを 解 く 必 要 はない 6
その 代 わりに,この 問 題 を, 指 数 型 の 効 用 関 数 をもつ 個 人 として, 解 いてみよう ここ 0.00001x で, 個 人 の 期 待 効 用 をU( x) = e と 特 定 化 しよう Excel かよい 表 計 算 ソフトどちらか が 必 要 になるが, 以 下 のことは 直 接 計 算 できる 1. もし 個 人 が 保 険 を 購 入 しないならば, 期 待 効 用 は 以 下 のようになる + = 0.00001 1,000,000 0.00001 50,000 0.95 e 0.05 e 0.00414738 それゆえに, 保 険 を 購 入 しないときの,この 個 人 の 確 実 性 等 価 は, 以 下 を 解 にもつ 0.00001 CE ln(0.00414738) e = 0.00414738 or CE = = $548, 57.85 0.00001. もし 個 人 が$100,000 という 免 責 のある 無 料 の 保 険 (つまり, 保 険 料 は$0)を 購 入 する ならば, 彼 の 期 待 効 用 は + = 0.00001 1,000,000 0.00001 900,000 0.95 e 0.05 e 0.0000493 となる それゆえ, 保 険 料 が 無 料 の 確 実 性 等 価 の 解 は 以 下 のようになる 0.00001 CE ln(0.0000493) e = 0.0000493 or CE = = $991, 757.79 0.00001 これら つの 計 算 を 終 えた 後, 選 択 肢 が 保 険 の 購 入 と 購 入 しないしかない 場 合 に,この 個 人 が 支 払 う 最 大 の 保 険 料 はいくらになるか, 再 び 問 いかけてみよう 保 険 料 P は, 番 目 のギャンブル( 保 険 があるギャンブル)の 賞 金 を, 保 険 料 P だけ 引 き 下 げる この 個 人 が 指 数 型 効 用 関 数 を 持 つので, 保 険 料 P は 保 険 がある 場 合 の 確 実 性 等 価 を,ちょうど 保 険 料 P の 分 だけ 引 き 下 げるのである 言 い 換 えると,この 保 険 証 書 の 保 険 料 が P であるならば, 保 険 がある 場 合 のギャンブル の 確 実 性 等 価 は, $991,757.79 P となる したがって,この 保 険 で, 個 人 が 支 払 ってもよ いと 考 える 最 大 の 保 険 料 は, 以 下 の 解 をもつ $991, 757.79 P = $548, 57.85 or P = $443, 9.94 平 均 - 分 散 モデル 金 融 論 の 講 義 や 教 科 書 では, 不 確 実 性 下 の 選 択 として 平 均 - 分 散 モデルに 出 くわす リス クのある 資 産 のポートフォリオの 選 択 で 主 に 適 用 されるが, 原 則 的 には 賞 金 が 貨 幣 である ときにはいつも,より 広 い 範 囲 で 使 われる それはとても 単 純 である 賞 金 が 貨 幣 である ので, 各 ギャンブルの 平 均 賞 金 の 尺 度 は,その 期 待 貨 幣 価 値,もしくは EMV である そして,ギャンブルのリスクの 尺 度 は,その 分 散 となる このとき, 意 思 決 定 者 は, 平 均 - 分 散 平 面 の, 無 差 別 曲 線 によって 表 された 選 好 をもつと 仮 定 される 平 均 が 高 ければ 効 用 7
は 高 く, 分 散 が 低 ければ 効 用 は 高 くなる 例 えば, 意 思 決 定 者 が 図 1.18 の 無 差 別 曲 線 によって 与 えられる 選 好 を 持 つ 状 況 を 考 えて みよう さらに, 意 思 決 定 者 は 図 1.16 における 3 つのギャンブルから 選 択 をするとしよう 3 つのギャンブルの 平 均 と 分 散 を 計 算 し, 平 均 - 分 散 平 面 にこれらを 配 置 する 図 で 示 され たように,これらは 3 つの 太 い 点 で 表 される 最 初 のギャンブルの 平 均 - 分 散 の 組 み 合 わせ はこの 個 人 にとっての 無 差 別 曲 線 で 最 大 のところにあるので,このモデルに 関 して 選 択 す る 点 となる 平 均 - 分 散 選 好 は, 意 思 決 定 者 が 選 択 すべき ギャンブル が,ある 有 限 の 証 券 リストか らなされるポートフォリオであるときには,とても 便 利 なものである 読 者 の 所 有 してい る 教 科 書 もしくは 読 者 が 講 義 を 受 けている 教 授 は,この 理 由 を 示 すことができる しかし, その 通 りなのである そしてこれが, 金 融 論 の 講 義 と 教 科 書 が 平 均 - 分 散 モデルを 使 う 理 由 なのである しかし 代 数 的 に 便 利 であるにも 関 わらず,モデルはとても 奇 妙 な 特 徴 を 生 じ させる たとえば, つの 投 資 戦 略 を 考 えよう 1 つ 目 は, 確 実 に$100 の 利 益 がある 番 目 のも のは,とてもリスクがあり, 分 散 n で,$101 の 期 待 利 益 がある もし 意 思 決 定 者 が 平 均 と 分 散 の 間 でトレードオフがあるならば, n が 十 分 に 大 きいと, 確 実 なものを 選 好 しなけれ ばならない 例 えば, 分 散 が n = 10 10 という, 期 待 利 益 での 超 過 $1 を 負 担 には, 極 めて 大 8
きなリスク であるとしよう(より 大 きな 分 散 であるならば, 以 下 の 数 値 を 単 純 に 調 整 す ればよい) 番 目 のリスクのあるギャンブルは, 以 下 のような 完 全 な 分 布 をもつ 確 率 ( ) 10 1 /10 11 11 11 11 で,$100 の 利 益 で, 確 率 1/10 で100 + 10 の 利 益 である このギャンブルの 期 待 値 は$101 で, 分 散 は10 1 > 10 11 10 である それゆえ, 意 思 決 定 者 が 文 字 通 りの 平 均 - 分 散 選 好 をもつならば,ギャンブルによって, 少 なくとも$100 が 意 思 決 定 者 にもたらされ,よ りたくさんの 賞 金 を 得 る 機 会 はほとんどないので,このギャンブルよりもむしろ 確 実 な $100 を 選 択 するように 促 す そして 仮 定 したように, 意 思 決 定 者 はこれをしないだろう 問 題 は, 平 均 と 分 散 が, 確 率 変 数 の 平 均 と 分 散 で 大 雑 把 に 記 述 されているから である しかし, 完 全 な 分 布 を 持 っており, つの 記 述 統 計 では, 個 人 の 分 布 分 布 に 関 し ての 感 じ 方 を 把 握 できない 平 均 と 分 散 がアベレージとリスクをよく 近 似 する 範 囲 では, 選 好 に 基 づく 平 均 - 分 散 モデルは 正 確 な 選 好 の 近 似 を 与 えてくれる しかし,あくまで も 近 似 なのである 特 定 の 状 況 下 では, 平 均 - 分 散 選 好 は 完 全 に 機 能 する 1 つ 目 は, 個 人 の 効 用 関 数 が 次 関 数 である 場 合 である つまり, 以 下 のような 形 状 である U( x) = ax bx for a, b> 0 このとき,いかなるギャンブルであれ,ギャンブルの 期 待 値 は m で,その 分 散 は s, 期 待 効 用 は am + bm bs となる このギャンブルの 期 待 効 用 は,ギャンブルの 期 待 値 と 分 散 の 単 純 な 関 数 となり, 平 均 - 分 散 モデルが 機 能 する しかし 次 関 数 の 効 用 は 問 題 をもつ あ る x ( x > a/( b ) )が 十 分 に 大 きいと,この 効 用 関 数 は x に 関 しての 減 少 関 数 となる 次 関 数 の 効 用 をもつ 者 は, 貨 幣 量 が 十 分 に 大 きいとき, 貨 幣 が 多 くなるにつれて,より 少 な い 貨 幣 を 選 好 する あるいは, 全 てのギャンブルの 従 う 分 布 が, 正 規 分 布 のような 特 定 の 確 率 分 布 族 に 限 定 されるのであれば, 意 思 決 定 者 の 高 揚 関 数 がいかなるものであっても, 平 均 - 分 散 選 好 は 機 能 する この 理 由 は,この 教 科 書 の 水 準 を 超 えるものであるので, 説 明 は 省 略 する しか し, 部 分 的 に 説 明 するならば, 同 じ 平 均 と 分 散 をもつ つの 正 規 分 布 は, 同 一 であること に 注 意 してもらいたい もし 平 均 と 分 差 が 全 ての 効 用 関 数 の 選 好 を 十 分 に 記 述 するならば, これは 分 布 族 にとっての 十 分 条 件 となる これについて 詳 細 に 知 りたいならば, 金 融 論 の 教 授 に 尋 ねてもらいたい 9