溶接技術分野でのコンピュータ技術の応用



Similar documents
2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

18 国立高等専門学校機構

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

第 1 条 適 用 範 囲 本 業 務 方 法 書 は 以 下 の 性 能 評 価 に 適 用 する (1) 建 築 基 準 法 施 行 令 ( 以 下 令 という ) 第 20 条 の7 第 1 項 第 二 号 表 及 び 令 第 20 条 の 8 第 2 項 の 認 定 に 係 る 性 能 評

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

公表表紙

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

Microsoft Word 印刷ver 本編最終no1(黒字化) .doc

Microsoft Word - No.10 西村.doc

m07 北見工業大学 様式①

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>


Taro-H19退職金(修正版).jtd

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

表紙

スライド 1

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

<4D F736F F F696E74202D D382E982B382C68AF1958D8BE090A C98AD682B782E B83678C8B89CA81698CF6955C A2E >

第 2-2 表 耐 火 構 造 等 に 必 要 な 性 能 に 関 する 技 術 的 基 準 構 造 の 種 類 部 分 火 災 の 種 類 時 間 要 件 1 時 間 を 基 本 とし 建 耐 力 壁 柱 床 はり 屋 根 階 段 耐 火 構 造 ( 令 第 107 条 ) 壁 床 外 壁 屋 根

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

1 書 誌 作 成 機 能 (NACSIS-CAT)の 軽 量 化 合 理 化 電 子 情 報 資 源 への 適 切 な 対 応 のための 資 源 ( 人 的 資 源,システム 資 源, 経 費 を 含 む) の 確 保 のために, 書 誌 作 成 と 書 誌 管 理 作 業 の 軽 量 化 を 図

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

<4D F736F F D F5A91EE8BC F368C8E3393FA8DC48D F C8E323893FA916493C B95AA8D CE3816A>

Microsoft Word - 土木報告No.3頁.doc

財政再計算結果_色変更.indd

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

耐 震 診 断 受 付 期 間 4 月 16 日 ( 月 )~1 月 31 日 ( 木 ) 予 定 戸 数 100 戸 1 補 助 の 条 件 次 のすべての 要 件 に 該 当 すること (1) 市 民 自 らが 所 有 し 居 住 していること (2) 昭 和 56 年 5 月 31 日 以 前

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

* 解 雇 の 合 理 性 相 当 性 は 整 理 解 雇 の 場 合 には 1 整 理 解 雇 の 必 要 性 2 人 員 選 択 の 相 当 性 3 解 雇 回 避 努 力 義 務 の 履 行 4 手 続 きの 相 当 性 の 四 要 件 ( 要 素 )で 判 断 され る 部 門 閉 鎖 型

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

Box-Jenkinsの方法

2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

兵庫県公立学校教職員等財産形成貯蓄事務取扱細則

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

PowerPoint プレゼンテーション

< F2D A C5817A C495B6817A>

目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

Microsoft PowerPoint - 経営事項審査.ppt

「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証債務の整理に係る課税関係の整理

16 日本学生支援機構

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

任意整理について | 多重債務Q&A | 公益財団法人 日本クレジットカウンセリング協会

安 芸 太 田 町 学 校 適 正 配 置 基 本 方 針 の 一 部 修 正 について 1 議 会 学 校 適 正 配 置 調 査 特 別 委 員 会 調 査 報 告 書 について 安 芸 太 田 町 教 育 委 員 会 が 平 成 25 年 10 月 30 日 に 決 定 した 安 芸 太 田

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

新 行 財 政 改 革 推 進 大 綱 実 施 計 画 個 票 取 組 施 策 国 や 研 究 機 関 への 派 遣 研 修 による 資 質 向 上 の 推 進 鳥 インフルエンザ 等 新 たな 感 染 症 等 に 対 する 検 査 技 術 の 習 得 など 職 員 の 専 門

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

<4D F736F F D AC90D1955D92E CC82CC895E DD8C D2816A2E646F63>

スライド 1

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.


官 庁 営 繕 事 業 の 事 後 評 価 表 事 業 名 かいじょうほあんだいがっこう(そうごうじっしゅうとう) 海 上 保 安 大 学 校 ( 総 合 実 習 棟 ) 実 施 箇 所 呉 市 若 葉 町 5-1 該 当 基 準 事 業 完 了 後 3 年 間 が 経 過 した 事 業 事 業 諸

2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

川崎市木造住宅耐震診断助成金交付要綱

Q IFRSの特徴について教えてください

 

平成22年度

第4回税制調査会 総4-1

文化政策情報システムの運用等

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の


積 載 せず かつ 燃 料 冷 却 水 及 び 潤 滑 油 の 全 量 を 搭 載 し 自 動 車 製 作 者 が 定 める 工 具 及 び 付 属 品 (スペアタイヤを 含 む )を 全 て 装 備 した 状 態 をいう この 場 合 に おいて 燃 料 の 全 量 を 搭 載 するとは 燃 料

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

Microsoft Word - A04◆/P doc

Microsoft Word - 論文最終.doc

慶應義塾利益相反対処規程

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

< C8EAE81698B4C93FC8FE382CC97AF88D38E968D CA8E86816A2E786C73>

(2) 実 務 上 の 取 扱 い 減 価 償 却 の 方 法 は 会 計 方 針 にあたるため その 変 更 は 本 来 会 計 方 針 の 変 更 として 遡 及 適 用 の 対 象 と なります しかしながら 減 価 償 却 方 法 の 変 更 については 会 計 方 針 の 変 更 を 会

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

景品の換金行為と「三店方式」について

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

Microsoft Word - 不正アクセス行為の禁止等に関する法律等に基づく公安

Microsoft Word - 答申第143号.doc

Taro-01 議案概要.jtd

(2) 広 島 国 際 学 院 大 学 ( 以 下 大 学 という ) (3) 広 島 国 際 学 院 大 学 自 動 車 短 期 大 学 部 ( 以 下 短 大 という ) (4) 広 島 国 際 学 院 高 等 学 校 ( 以 下 高 校 という ) ( 学 納 金 の 種 類 ) 第 3 条

Transcription:

溶 接 継 手 の 特 性 予 測 新 日 本 製 鐵 株 式 会 社 鉄 鋼 研 究 所 接 合 研 究 センター 糟 谷 正

溶 接 継 手 の 特 性 予 測 新 日 鐵 糟 谷 正. 緒 言 ( 社 ) 日 本 溶 接 協 会 に 溶 接 データシステム 研 究 委 員 会 (WDS 委 員 会 )が 設 立 されたのは 1976 年 すでに8 年 前 となる 著 者 も 途 中 からではあるが 委 員 としてその 活 動 に 参 加 させてもらった ここで これまでの 活 動 を 簡 単 に 振 り 返 ってみたい WDS 委 員 会 は コンピュータを 溶 接 技 術 分 野 に 適 用 応 用 するために 設 立 されたもので 著 者 は 溶 接 継 手 特 性 の 推 定 をコンピュータで 行 うためのアルゴリズム 調 査 からスタートし た これは コンピュータを 利 用 して 溶 接 継 手 の 特 性 を 効 率 よく 推 定 しようというのが 目 的 であった 調 査 した 継 手 特 性 としては 硬 さ 割 れ 破 面 遷 移 温 度 シャルピー 吸 収 エネル ギーなどである これら 特 性 の 推 定 方 法 は いわゆる 実 験 式 の 形 をとっていて コンピュー タに 取 り 入 れるのはそれほど 難 しいことではなかった むしろ この 活 動 と 通 じて 感 じたこ とは 継 手 特 性 の 予 測 で 重 要 な 点 はコンピュータに 取 り 入 れやすい 形 になっているかどうか という 点 だけでなく その 推 定 方 法 がどれだけ 信 頼 性 があるかどうかが 重 要 である という 点 であった あたりまえのようなことであるが 継 手 特 性 の 決 定 過 程 は 複 雑 で それを 全 て 推 定 式 の 中 に 反 映 させることは 簡 単 なことではない コンピュータを 有 効 利 用 するためには 信 頼 性 のある 推 定 方 法 を 確 立 するための 地 道 な 研 究 が 必 要 なのである その 後 1995 年 の 阪 神 大 震 災 をきっかけに 日 本 溶 接 協 会 に 溶 接 部 の 性 能 評 価 法 調 査 特 別 委 員 会 が 発 足 WDS 委 員 会 の 協 力 のもと 著 者 がこの 特 別 委 員 会 の 委 員 も 兼 ねる 形 で 活 動 が 始 まった この 活 動 は 確 かに 溶 接 継 手 特 性 の 予 測 にかかわるものであったが その 手 法 はそれまでの 方 法 と 大 きく 異 なっていた それまでの 継 手 特 性 推 定 といえば 推 定 するため の 基 本 データ 例 えば 溶 接 条 件 用 いた 鋼 材 および 溶 接 材 料 に 関 する 情 報 が 充 分 あるとい う 前 提 があり 実 際 これまでの 推 定 式 もこの 前 提 のもとで 成 り 立 っている この 特 別 委 員 会 では これら 情 報 がないという 条 件 で 実 際 目 の 前 にある 継 手 に 対 してどうすればその 特 性 を 推 定 できるか ということを 扱 った もちろん そのために 必 要 な 試 験 片 採 取 (シャルピー 試 験 片 や 引 っ 張 り 試 験 片 等 )ができないという 条 件 下 での 推 定 である このため 継 手 に 大 きな 損 傷 を 与 えない 程 度 で 採 取 可 能 なデータがどれだけあるか またそれらデータと 機 械 的 特 性 が 良 い 相 関 があるかどうか などを 調 査 した この 手 法 は 厳 密 な 意 味 での 非 破 壊 方 法 ではないため セミ 非 破 壊 方 法 と 呼 んでいる WDS 委 員 会 における 著 者 の 活 動 は 大 きく 上 記 つに 分 けることができる それらはいわ ゆるコンピュータ 利 用 という 観 点 からは 若 干 ずれている 感 がないわけではないが このような 状 況 になってしまったのは 継 手 特 性 の 予 測 は 確 立 されていない 部 分 が 多 い ということが 原 因 であろう ここでは 上 記 活 動 の 成 果 を 紹 介 すると 共 に 今 後 どのような 発 展 をするのか 期 待 するところを 述 べてみたい 1. 継 手 特 性 推 定 式 溶 接 部 の 継 手 予 測 がいつから 始 まったかと 問 われれば 著 者 はまず 194 年 の Dearden &O Niell の 論 文 1)を 思 い 浮 かべる この 年 初 めて 炭 素 当 量 が 提 案 され これにより 鋼 材 成 分 が 与 えられると HAZ の 最 高 硬 さが 推 定 できるようになった このときには まだ 冷 却 時 間 が 1

考 慮 されておらず 現 在 の 推 定 式 と 比 べると 信 頼 性 は 劣 るものの それ 以 前 は 鋼 材 が 与 えら れても 硬 さ 推 定 ができなかったことを 考 えると 大 きな 進 歩 であった 特 に 炭 素 当 量 という 便 利 な 指 標 は その 後 の 推 定 式 にも 大 いに 利 用 されている 炭 素 当 量 とは 継 手 特 性 例 えば 硬 さを 各 成 分 の 冪 級 数 にしたときの1 次 の 項 と 考 えられ る 二 次 の 項 以 降 の 影 響 は 小 さいとしたとき この 特 性 は( 少 なくとも 成 分 の 影 響 に 関 しては) 炭 素 当 量 で 表 される 継 手 特 性 なるものが 鋼 材 成 分 の 影 響 を 受 ける 以 上 それは 成 分 の 関 数 と 見 なすことができ したがって 冪 級 数 に 展 開 することが 可 能 である 炭 素 当 量 で 表 される かどうかは 冪 級 数 の 二 次 項 以 降 が 大 きいか 小 さいかという 問 題 に 帰 着 される WDS 委 員 会 では 継 手 特 性 推 定 用 として 利 用 できる 式 の 調 査 を 行 ってきた その 一 部 は 平 成 3 年 の 第 回 セミナーで 発 表 されている ここで その 一 例 を 紹 介 する まず シャルピー 吸 収 エネルギーでは 佐 藤 らが 1971 年 に 以 下 の 式 を 報 告 した ) BvE = 16Ceq(BvE ) + 1.15R + 34.1 (1) Si 1n Ni Cr o Ceq( BvE) = C + + + + 17 85 36 1 17 V 1Al + + 5.1B 3 43 BvE.9Ceq(BvE ) +.87R 9.31 () 4 = 4 4 + Ceq ( BvE 4) 1Si 1n Ni Cr o = C + + 71 9 174 19 118 1V Al + + 1.7B 14 15 HvE = 115Ceq(HvE ) + 1.5R + 47. (3) 1Si 1n Ni Cr 1o Ceq( HvE) = C + + + + 51 65 35 55 6 V 1Al + +.9B 3 49 HvE.3Ceq(HvE ) + 1.14R 1.5 (4) 4 = 77 4 + Ceq HvE ( 4) Si n Ni Cr 1o = C + + + 3 1 138 8 5 1V Al + + 3.B 36 1 ここに BvE はボンドの 吸 収 エネルギー HvE は 熱 影 響 部 中 央 での 吸 収 エネルギーをさし 単 位 は kg m である 適 用 範 囲 は HT6~1 鋼 材 で R は 54 での 冷 却 時 間 [ /s]で あり かつ R の 範 囲 は.6~8.3 である 1978 年 には 川 口 らが 3) 破 面 遷 移 温 度 の 推 定 式 として vts = 645C + 115Si + 16n + 66Ni + 18Cr + 16o + 37B (5) 91N 44 を 報 告 した これは 板 厚 が 3mm で 入 熱 量 が 13kJ/cm という 条 件 での 6 キロ 鋼 材 のボン ド 部 シャルピー 試 験 結 果 を 用 いている

1974 年 には 桝 本 らが 4) R が 1 /s と /s の 場 合 における 破 面 遷 移 温 度 の 推 定 式 を 報 告 した vts1 = 3 81C + 41Si + 5n 9Cu 6Ni + 9o + V + 178Nb (6) + 113Ti + 83N vts = 16 + 17C + 4Si 7n 39Cu + Ni + 3Cr + 15o + 488V (7) + 76Nb+ 16P 桝 本 らは 上 記 式 の 推 定 誤 差 は 18 あるため 二 次 の 項 も 含 めた 式 も 報 告 している vts1 = 148 + 1138C + 9Si + n 48Cu + 8Ni + 33Cr + 39o + 5V + 1678Nb+ 885Ti + 1189N 59C n 367C Cr (8) 584C o 5Cr o + 14Cu 4Ni 187o vts = 141+ 818C + 5Si + 7n 5Cu + Ni + 115Cr + 175o + 54V + 61Nb+ 1785P 78N 99C n 64C Cr 35n Cr 5n o 59Cr o 9n Cu 16Ni 75o 16Cr (9) 上 記 式 は (6) 式 (7) 式 と 比 べ かなり 複 雑 になってはいるが 推 定 誤 差 は 15 と それほ ど 改 善 されていないようである その 原 因 として 式 で 考 慮 した 以 外 の 要 因 でミクロ 組 織 に 与 える 影 響 が 大 きい 元 素 がある などの 考 察 を 行 っている 式 (8) (9)を 除 くと 上 記 推 定 式 は 各 成 分 の 一 次 式 であるため 炭 素 当 量 を 利 用 した 推 定 式 である ということができる 次 に これまでの 推 定 式 より 形 式 が 複 雑 であるが やはり 炭 素 当 量 の 概 念 を 利 用 してい る 例 として HAZ の 最 高 硬 さ 推 定 式 を 紹 介 する 5) H = H V + H 1 V ) (1) ここに V V B ( ( t85 / t ) ( t t ) log / =. 5. 455 arctan 4 log B / ( ) H = 884C 1. 3C + 94 H = 197CE + 117 Si n Cu Ni Cr o V Nb CE II = C + + + + + + + + 4 5 1 18 5. 5 5 3 ln t = 1. 6CE 4. 8 ( ) Si n Cu Ni o Cr CE = C + + + + + + 4 6 15 1 4 B II ( 1.16 Cr ) + H 8, B. 1. 3 f N, B =. H =. 6 f N, B =. 3. 9 f N, B. 4 f N =. N. 3

( t ) ln = 6. CE + 87. B B n Cu Ni Cr o CE B = C + + + + + 3.6 9 5 4 式 (1)を 計 算 するために それ 以 降 の 各 パラメーターを 計 算 する 必 要 があるが それぞれのパ ラメーター( t など)には 炭 素 当 量 の 概 念 が 利 用 されている 最 高 硬 さ 推 定 式 は これ 以 外 のも 多 くの 研 究 報 告 があるが ここでの 紹 介 は 省 略 させてもらい 参 考 文 献 に 載 せる 程 度 にとどめたい 9-11) WDS 委 員 会 活 動 で 扱 った 継 手 特 性 予 測 方 法 として 最 後 に 紹 介 するのは 溶 接 低 温 割 れ す なわち 割 れ 防 止 予 熱 温 度 の 推 定 である まず 伊 藤 らの 有 名 な 式 6)を 紹 介 する T 144P 39 (11) = W P H = Pcm + 6 JIS W + h 6 Si n + Cu + Cr Ni o V Pcm = C + + + + + + 5B 3 6 15 5 (11) 式 は y 形 溶 接 割 れ 試 験 における 限 界 予 熱 温 度 を 推 定 する 式 で H JIS はグリセリン 法 で 測 定 した 拡 散 性 水 素 量 h は 板 厚 である この 式 の 特 徴 は n 等 の 合 金 元 素 の 係 数 が 小 さい 炭 素 当 量 Pcm を 用 いていて( 本 来 は この 式 により Pcm が 定 義 された) 水 素 量 の 影 響 が 線 形 である などがある 水 素 量 の 影 響 が 線 形 か 対 数 的 か 鋼 材 組 成 の 影 響 が Pcm で 表 現 すべ きか CE(IIW)で 表 現 すべきか などの 割 れ 感 受 性 の 議 論 がこれまで 行 われてきた なお 著 者 が 現 在 最 も 精 度 がよいと 考 えている 方 法 は 以 下 の CEN チャート 方 式 7)である これは 炭 素 当 量 として CEN を 採 用 しているが これは 高 炭 素 領 域 で IIW の 炭 素 当 量 に 低 炭 素 領 域 で Pcm になるような 関 数 を 採 用 している また 限 界 予 熱 温 度 は 式 化 されてい るわけではなく グラフを 用 いて 決 定 するようになっている Si n Cu Ni Cr + o + V + Nb CEN = C + A( C) + + + + + 5B (1) 4 6 15 5 A ( C) =.75 +.5 tanh C.1 { ( )} n Cu + Ni Cr + o + V CE( IIW ) = C + + + (13) 6 15 5 図.1 は 基 本 的 なグラフで 板 厚 毎 に CEN と 割 れ 防 止 予 熱 温 度 の 関 係 を 示 したグラフで ある 板 厚 毎 に 関 係 を 決 定 しているのは (11) 式 中 Pw の 第 3 項 に 対 応 する すなわち 拘 束 度 の 影 響 を 考 慮 してのことである 図. は 実 際 の 水 素 量 が 図.1 における 水 素 量 5ml/ 1g からずれたときの 影 響 図.3 は 入 熱 量 が 1.7kJ/mm からずれたときの 影 響 を CEN の 増 減 に 換 算 したものである 図. 図.3 の CEN 増 減 を 鋼 材 組 成 から 計 算 される CEN に 加 えたものを 用 いて 図.1 を 利 用 すればよい これまで 紹 介 した 推 定 は 研 究 の 歴 史 が 古 く 限 界 予 熱 温 度 ( ) 5 H GC =5mml/1g 入 熱 量 =1.7kJ/mm T =1 15 1 5 75 75 6 5 4 3 5 15 板 厚 (mm) 1..3.4.5.6 CEN (%) 図.1 CEN と 割 れ 防 止 限 界 予 熱 温 度 4

最 新 の 推 定 方 法 も 過 去 の 研 究 者 が 得 た 知 見 の. 上 に 成 り 立 っていると 言 っても 過 言 ではない このことを 硬 さ 推 定 式 の 歴 史 で 見 てみよう.1 既 に 述 べたが Dearden&O Niell の 論 文 では 硬 さは 炭 素 当 量 で 表 現 されるのみで 冷 却 時 間 等 溶 接 条 件 の 影 響 は 考 慮 されていない しかし 現 在 の 硬 さ 推 定 式 でも 例 えばベイナイト1 -.1 % 組 織 の 硬 さは 成 分 の 一 次 関 数 で 与 えてい る そういう 意 味 では Dearden&O Niell の 考 -. 1 5 1 5 1 えを 利 用 しているといえる 冷 却 時 間 が 影 響 す 拡 散 性 水 素 量 (ガスクロ 法 ) (ml/1g) るのは ミクロ 組 織 率 が 影 響 され 結 果 として 硬 さも 冷 却 時 間 に 影 響 するためである 図. 水 素 量 とΔCEN の 関 係 ミクロ 組 織 率 を 決 めるのに 重 要 な1% マルテンサイトが 得 られる 限 界 冷 却 時 間.1 ( t : 鋼 材 組 成 の 関 数 冷 却 速 度 を 用 いる 場 CE(IIW)=.6 合 もある)という 概 念 は 197 年 の Bastien.5 CE(IIW)=.55 らの 論 文 8)で 発 表 された この 論 文 では 硬 さ CE(IIW)=.5 推 定 を 行 うまでには 至 っていない -.5 一 方 1973 年 に Beckert らが t 8/ 5 (8 から 5 までの 冷 却 時 間 )を 用 いた 硬 さ 推 定 -.1 CE(IIW)=.45 式 を 発 表 した 9) このとき 初 めて 溶 接 条 件 の -.15 CE(IIW)=.4 CE(IIW)=.35 影 響 が 推 定 式 に 反 映 されることとなった しか CE(IIW)=.3 -. 1 3 4 5 し Beckert らの 推 定 式 は Bastien らの 概 念 入 熱 量 (kj/mm) が 反 映 されていない すなわち Beckert らの 式 では1%マルテンサイトを 得 るために 図.3 入 熱 量 とΔCEN の 関 係 は t 8/ 5 = でなければならず でない 有 限 の 値 で1%マルテンサイトになることはない ただ 溶 接 条 件 の 影 響 を t 8/ 5 におきかえ 推 定 式 に 取 り 込 んだのは 大 きな 進 歩 であった その 後 Blondeau ら 1) は t 以 外 の 1 %フェライト-パーライト 限 界 冷 却 時 間 などの 推 定 式 を 提 案 している このような 知 見 を 取 り 入 れた 推 定 式 は 1979 年 Arata らによって 発 表 された 11) この 推 定 式 では 溶 接 条 件 の 影 響 は t 8/ 5 で 考 慮 し かつ 限 界 冷 却 時 間 t も 式 中 に 考 慮 されてい る( t 以 下 の t 8/ 5 の 場 合 マルテンサイト1%になるため 同 じ 硬 さとなる) ここま でくるのに 194 年 の Dearden&O Niell の 論 文 から 約 4 年 もの 歳 月 が 必 要 であった 実 用 的 な 推 定 式 はそれ 以 降 の 198 年 代 に 発 表 され 現 在 に 至 っている このように 推 定 式 と 一 口 に 言 っても 多 くの 研 究 者 の 成 果 が 背 景 にある そして それ ぞれの 推 定 式 はコンピュータに 取 り 入 れやすい 形 にはなっていた ただ プログラム 化 され 積 極 的 に 利 用 されてきたのは 198 年 代 以 降 ではなかろうか これは コンピュータ 技 術 の 進 歩 というよりも 198 年 代 以 降 に 実 用 的 推 定 式 が 発 表 されたため というのが 本 当 のことで あろう コンピュータの 有 効 利 用 には まず 信 頼 性 のある 推 定 式 の 確 立 が 必 要 と 著 者 が 感 じ たのは このような 文 献 調 査 結 果 から 来 たものである ΔCEN (%) ΔCEN (%) 5

. 継 手 特 性 のセミ 非 破 壊 検 査 方 法 これまでの 推 定 式 は ここに 示 した 方 法 以 外 のものも 推 定 に 必 要 な 情 報 がある という 前 提 に 立 っている しかしながら 溶 接 継 手 特 性 を 推 定 したい と 考 える 場 合 必 ずしもこ のような 事 前 情 報 が 充 分 そろっているという 保 障 はない 継 手 特 性 を 推 定 するための 情 報 が ない 場 合 推 定 可 能 なのか という 指 摘 は 充 分 ありえる しかし 例 えば 目 の 前 に 溶 接 条 件 鋼 材 溶 接 材 料 が 不 明 な 溶 接 継 手 があり その 特 性 を 知 りたい という 場 合 はどうなるであ ろうか しかも 試 験 片 採 取 ができない という 場 合 である 問 題 となる 継 手 が 実 構 造 物 の 場 合 は このような 状 況 は 充 分 ありえるであろう このような 要 求 は 著 者 の 経 験 では 16 1995 年 の 阪 神 大 震 災 以 降 顕 著 になっ 14 Experiments.5kJ/mm てきたように 思 える 実 際 その 後 Calculations 1 溶 接 協 会 に 特 別 委 員 会 が 発 足 し 実 継 1 手 の 機 械 的 特 性 の 推 定 方 法 を 検 討 して 8 きた この 方 法 は 継 手 に 有 害 な 傷 を 6 つけない 程 度 の 範 囲 でデータを 採 取 し 4 それをもとに 継 手 特 性 を 推 定 しようと いうものである veやtsのデータ を 直 接 採 取 するわけではないが 採 取 4 6 8 可 能 な 間 接 データを 用 いて 推 定 する 方 Time (s) 法 であり しかも 厳 密 には 非 破 壊 方 図 3.1 連 続 往 復 溶 接 時 の 温 度 曲 線 法 というわけではないため セミ 非 破 壊 方 法 と 呼 び 広 い 意 味 での 継 手 特 性 推 定 の 一 種 として 扱 ってきた この 特 別 委 員 会 が 設 立 された 背 景 としては 阪 神 大 震 災 以 降 建 築 鉄 骨 の 柱 梁 溶 接 部 の 機 械 的 特 性 が 注 目 されるようになったことが 挙 げられる この 溶 接 部 は 溶 接 熱 伝 導 的 な 観 点 から 他 の 継 手 とは 異 なる 状 況 下 にある それは 溶 接 ビードが 短 く かつ 連 続 往 復 溶 接 される という 点 が 挙 げられる このため 入 熱 量 は 通 常 のレベルであってもパス 間 温 度 が 非 常 に 高 くなり 熱 影 響 という 意 味 では 入 熱 量 以 上 の 影 響 がある 図 3.1 は 入 熱 量.5kJ/mm で 連 続 往 復 溶 接 した 場 合 の 溶 接 部 温 度 曲 線 の 一 例 である 1) 図 から 最 終 溶 接 終 了 後 の t 8/ 5 は 約 15 秒 であることがわかる もし t 8/ 5 を 一 パス 溶 接 で 15 秒 にするとすれば 入 熱 量 を 15kJ/mm にしなければならない すなわち t 8/ 5 をパラ メーターとすると 入 熱 量 が 大 幅 に 増 加 した 場 合 と 同 じ 影 響 を 受 けると 考 えなければならな い つまり 継 手 特 性 という 観 点 からはきわめて 厳 しい 条 件 下 での 施 工 ということができる 熱 影 響 のがどの 程 度 かを 見 るには 断 面 マクロ 観 察 すればいいが 図 3. はその 一 例 であ る 右 は 連 続 往 復 溶 接 左 はパス 間 温 度 を 管 理 した 溶 接 を 施 工 した 場 合 の 写 真 で 入 熱 量 が 同 じでもマクロ 形 状 は 大 きく 異 なる 右 のマクロのほうが 熱 影 響 度 が 大 きいことが 理 解 できる また 同 一 材 料 を 用 いたとしても 継 手 特 性 は 大 きく 異 なるであろうことは 容 易 に 想 像 できることである すなわち 同 一 入 熱 量 同 一 材 料 でも 継 手 特 性 が 異 なる 可 能 性 が 出 てくるわけである 特 別 委 員 会 が 設 立 されたのは このような 背 景 による Temperature ( ) 6

図 3. 連 続 往 復 溶 接 とパス 間 温 度 管 理 溶 接 の 断 面 マクロ 特 別 委 員 会 でまず 実 施 したのは 文 献 調 査 であった これは どのような 技 術 が 現 状 存 在 して セミ 非 破 壊 的 に 採 取 可 能 なデータは 何 か を 調 べるだけでなく 継 手 特 性 推 定 に 必 要 な 最 低 限 のデータは 何 か を 調 べるためである 例 えば シャルピー 吸 収 エネルギー(vE)を 推 定 し ようとする 場 合 (1) 式 や(3) 式 などを 考 えると 鋼 材 組 成 と 冷 却 速 度 (あるいは 冷 却 時 間 )が 必 要 となる 鋼 材 組 成 は 非 破 壊 的 にデータ 採 取 できることがわかったが 冷 却 速 度 はデータ 採 取 が 不 可 能 である そこで 考 えたのが 硬 さであった (1) 式 によると 硬 さは 鋼 材 組 成 と 冷 却 時 間 の 関 数 であるため 逆 に 硬 さと 組 成 を 決 めれば 冷 却 時 間 も 決 まるはずと 考 えた しかし (1) 式 を 用 いて 硬 さ 組 成 から t 8/ 5 を 逆 算 することはせずに 組 成 硬 さを 入 力 データとしたと きの ve との 関 係 を 調 べ 実 験 式 化 することにした 入 力 データが 組 成 と 硬 さでも その 背 景 として(1) 式 や(3) 式 のような 冷 却 時 間 ( 速 度 )を 考 えている 溶 接 部 の 硬 さは 表 面 に 衝 撃 を 与 える 形 で 簡 易 的 に 測 定 できるので この 方 法 は 採 用 可 能 と 判 断 した さらに 継 手 表 面 を 研 磨 してミクロ 組 織 観 察 もセミ 非 破 壊 的 に 測 定 できるので このデータも 推 定 に 用 いることと した ミクロ 組 織 を 入 力 データにすることで 測 定 精 度 の 向 上 を 期 待 した 次 に 推 定 式 を 作 成 するために 特 別 委 員 会 では 入 熱 量 パス 間 温 度 を 変 化 させた 溶 接 継 手 を 作 製 し 蒸 気 データを 採 取 および 溶 接 金 属 引 っ 張 り 強 度 シャルピー 衝 撃 試 験 を 実 施 した そして 引 張 り 衝 撃 試 験 結 果 と 組 成 硬 さ ミクロ 組 織 率 の 関 係 を 調 べた 13) まず 引 張 り 強 度 であるが これは 硬 さ 測 定 結 果 との 相 関 を 調 べた 文 献 などにある 硬 さと 引 張 り 強 度 が 良 い 相 関 があるという 知 見 を 利 用 したものである その 結 果 TS =.6Hv + 177 (14) を 得 た( 相 関 係 数 =.95) 図 3.3 は 硬 さと 継 手 引 張 り 強 度 の 関 係 である 一 般 に ビッカ ース 硬 さを3 倍 すると(kg/mm の 単 位 では3で 割 る) 大 体 引 張 り 強 度 になるのがこれまで の 知 見 であるが(14) 式 はそうなっていない これは 引 張 り 試 験 片 が 溶 接 ままや 再 熱 部 な どが 混 在 し それらの 平 均 として 引 張 り 強 さが 決 まるのに 対 し 硬 さデータは 表 面 からのみ の 採 取 に 限 定 されているためと 考 えられる 次 に シャルピー 吸 収 エネルギーであるが (1) 式 (3) 式 からすると 冷 却 時 間 と 組 成 だけでよいことになるが 特 別 委 員 会 でさらに 文 献 調 査 を 進 めると ミクロ 組 織 や 引 張 り 強 度 もパラメーターにしている 論 文 もあることがわかった 強 度 については 硬 さで 代 用 できる と 考 え 最 終 的 に 組 成 硬 さ ミクロ 組 織 の3パラメーターを 検 討 した その 結 果 以 下 の3 式 をパラメーターとした P = 7.94 17 AF (15) 1 + 7

P = 16 + 57.9AF +. 855Hv (16) P = 191+ 44.AF +.934Hv + 9.C 169Si (17) 3 + ここに AF はアシキュラーフェライト 率 である ミクロ 組 織 率 としては その 他 の 組 織 も 分 類 し 回 帰 分 析 を 行 ったが それほど 相 関 の 向 上 は 見 られなかったので この 組 織 のみパ ラメーターとして 採 用 した 7 溶 接 金 属 強 度 (Pa) 65 6 55 5 45 Unit slope シャルヒ ー 吸 収 エネルキ ー(J) 16 1 8 4 Unit slope 4 15 15 175 5 5 75 表 面 ビッカ-ス 硬 さ 4 8 1 16 P1 図 3.3 表 面 硬 さと 溶 接 金 属 強 度 の 関 係 図 3.4 P1 と シャルピー 吸 収 エネルギー シャルヒ ー 吸 収 エネルキ ー(J) 16 1 8 4 Unit slope シャルヒ ー 吸 収 エネルキ ー(J) 16 1 8 4 Unit slope 4 8 1 16 P 図 3.5 P と シャルピー 吸 収 エネルギー 4 8 1 16 P3 図 3.6 P3 と シャルピー 吸 収 エネルギー 図 3.4 3.5 3.6 は (15)~(17) 式 の 値 と シャルピー 吸 収 エネルギーとの 関 係 である そ れぞれの 相 関 係 数 は.71.8.86 であった 以 上 のような 検 討 を 重 ね 引 張 り 強 度 シャルピー 値 がある 程 度 の 精 度 で 推 定 できる ことを 示 した この 方 法 は 適 用 できるのは 鋼 材 溶 接 材 料 が4~49Pa 級 に 限 8

られる しかし 本 方 法 では パス 間 温 度 が45 以 下 に 管 理 されていたかどうかの 判 別 も 可 能 となり それなりの 意 義 がある 知 見 と 考 えられる 3. 今 後 への 期 待 これまで 継 手 特 性 の 推 定 といえば 硬 さやシャルピー 値 など 溶 接 冶 金 的 側 面 をさして いる 場 合 が 多 かった しかし 著 者 は 溶 接 現 象 という 意 味 では アーク 現 象 継 手 の 冶 金 特 性 ( 相 変 態 ミクロ 組 織 etc) 継 手 全 体 としての 特 性 ( 残 留 応 力 溶 接 変 形 等 を 含 む) という 流 れがあり そのうちの 一 面 を 取 り 上 げていた という 感 覚 を 持 っている これは 溶 接 現 象 の 複 雑 さを 考 えるとしかたがない 面 があった そのため 今 後 の 方 向 としては こ れら 現 象 を 1 つのシステムに 統 合 されていくことが 考 えられる 統 合 する 場 合 単 にシステ ムが 使 いやすくなる 以 上 の 効 果 を 期 待 したい 例 えば 溶 接 変 形 に 関 しては これまで 鋼 材 溶 接 材 料 の 特 性 を 利 用 した 変 形 低 減 が 試 みら れてきた 例 は 少 ない これは 溶 接 変 形 低 減 が 鋼 材 溶 接 材 料 以 上 に 溶 接 方 法 溶 接 順 序 溶 接 構 造 などの 影 響 の 方 が 大 きい というのが 主 な 理 由 であろう しかし それ 以 外 にも ア ーク 現 象 から 冶 金 現 象 を 経 由 した 最 終 的 な 継 手 の 力 学 特 性 までの 溶 接 現 象 そのものを 一 人 の 専 門 家 が 理 解 することの 難 しさも 一 つの 理 由 であろう 著 者 は 溶 接 変 形 低 減 の 試 みとして 鋼 材 溶 接 材 料 の 特 性 をコントロールする 方 法 を 以 前 提 案 した 14) が 上 記 のような 一 連 の 溶 接 現 象 を 理 解 しきった 上 での 提 案 ではなく まだまだ 気 がつかない 方 法 があるかもしれない このような 場 合 の 事 前 検 討 には システム 統 合 はきわ めて 有 用 である 溶 接 変 形 以 外 では 溶 接 金 属 の 変 態 膨 張 を 利 用 して 溶 接 部 に 圧 縮 残 留 応 力 を 導 入 することで 疲 労 強 度 を 向 上 させる 技 術 があるが 15) このような 場 合 でも システムが 統 合 されていれば 評 価 検 討 もしやすいはずである 4. おわりに コンピュータを 溶 接 技 術 に 積 極 的 に 利 用 しようという 趣 旨 で 設 立 された 溶 接 データシステ ム 研 究 委 員 会 活 動 も8 年 を 超 え 著 者 も 長 らくこの 活 動 の 参 加 させていただいた この 活 動 を 通 して 学 んだことは 溶 接 という 複 雑 な 現 象 を 解 析 するためのコンピュータ 技 術 の 利 用 とい う 方 向 性 は 間 違 いがないものの それを 有 効 利 用 するためにはより 基 礎 的 理 解 を 深 める 必 要 が ある という 点 である 将 来 の 溶 接 技 術 を 考 えるとき コンピュータ 利 用 は 避 けて 通 れない 著 者 としては そのと き 溶 接 現 象 の 理 解 不 足 のためにせっかくのコンピュータ 技 術 が 生 かしきれていない と 言 われ ないよう 努 力 する 必 要 がある と 思 いを 新 たにする 次 第 である 参 考 文 献 1) J.Dearden and H.O Neill: Trans. Inst. Weld., Vol.3(194),p3. ) 佐 藤 他 ; 溶 接 学 会 誌 Vol.4(1971) p619. 3) 川 口 他 ; 溶 接 学 会 誌 Vol.47(1978) p173. 4) 桝 本 他 ; 溶 接 学 会 講 演 概 要 集 Vol.15(1974) p84. 9

5) N.Yurioka et al; etal Constr., Vol.19(1987),p17R. 6) 伊 藤 別 所 ; 溶 接 学 会 誌 Vol.37(1968) p983. 7) N.Yurioka and T.Kasuya; 溶 接 学 会 論 文 集 Vol.13(1995) p347. 8) P.G.Bastien et al; etal Constr. And British Weld. J., 197, p9. 9).Beckert and R.Holz; Schweibtechnik, Vol.3(1973), p344. 1) R.Blondeau et al; Heat Treatment, 76, etal Soc. London(1976), p189. 11) Y.Arata et al; Trans. of JWRI, Vol.8(1979), p43. 1) T.Kasuya et al; Sci. Tech. Weld. Joining, Vol.5(), p15. 13) 糟 谷 他 ; 鋼 構 造 論 文 集 Vol.7() p9. 14) 糟 谷 ;( 財 ) 溶 接 接 合 工 学 振 興 会 第 14 回 セミナー 資 料 3 東 京. 15) 平 成 15 年 度 溶 接 学 会 春 季 全 国 大 会 フォーラム 疲 労 強 度 改 善 スマートマテリアル 低 変 態 温 度 溶 接 材 料 の 効 果 と 適 用 性 3 東 京. 1