80 診断され 安静時痛に対し消炎鎮痛剤の坐薬の投 の鑑別診断について考察する 与を連日受けていた しかし 7月になり痔痛がさ 症 例 らに増強したため当科を紹介された 初診時 左 症例1 26歳 女性 1994年12月より左下腿痛 下腿中央前内側部に軽度の腫脹と圧痛があり 単 が出現し 1995年



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80 診断され 安静時痛に対し消炎鎮痛剤の坐薬の投 の鑑別診断について考察する 与を連日受けていた しかし 7月になり痔痛がさ 症 例 らに増強したため当科を紹介された 初診時 左 症例1 26歳 女性 1994年12月より左下腿痛 下腿中央前内側部に軽度の腫脹と圧痛があり 単 が出現し 1995年2月 近医で左脛骨類骨骨腫と 純X線写真では左脛骨中央外側部の皮質骨の肥 厚と骨膜反応が認められた 図1 b またMR 像では 脛骨の後部にT1強調像とT2強調像で いずれも低信号を示す紡錐形の病巣が観察された 図2 b さらに99mTc骨シンチグラフィーをお 還怠 こなったところ 病変部周辺に高集積像が認めら れ 1995年8月22日 病巣切除をおこなった 図 3 病理組織所見では 骨皮質部に幼弱な新生骨 形成があり また骨髄に近い部位では小円球炎症 細胞が一部に認められたが明らかな類骨形成はな く 病理診断はhyperostosisとなった 図4 b 鰻 畷 症例2 45歳 男性 1993 4年と会社の定期検 儀 瀬叉 1 エ 響ξ ダ ご言ト鰭 b ふ 輪 嘩 りしシぱ さLロや x働 灘 焔鰺 4t ぷ ご隅 ご 善 縄 w 詫喜 一 き撫遺融 し 鋤鶉 図 臨 WZ ぎ 瓢響只 ご滝 蜜 術後 疾痛は消失し 現在経過観察中である 一寧菩跳 き⑭懲 4 ヒ碁e 為 軸 端 へポ 墾 饗 犠蕪 ANT AHT L b 図6 症例299mTc骨シンチグラム 1 既存皮質骨と新生添加骨 H E 中拡大 b 幼弱新生骨 H E 中拡大 骨盤左側全体の広範な高集積像 b 脛骨のほぼ全長にわたる広範な高集積像 鑑 b C 図5 症例2単純X線写真 左恥骨枝から臼蓋にかけての骨硬化像 b c 左脛骨のほぼ全長にわたる 前方部皮質骨の肥厚と骨融解像の混在した像

81 F 1 ISg5 6 治 伊 濫 図9 症例3単純X線写真 5 o S oil o転畠唱5903 右脛骨近位部内側から後面の限局した皮質 骨の肥厚像 図7 症例2T2強調像 左脛骨前方部の高信号域 華玲 難鱗 n 衆 三 姦撃 ぎ べ 4 壷 喰 弓rf 靱 〆 轟 t ざ警蔑 遜 9 魂 へ 才ぱ 茅詞 視 ぺ A T ぎ ぷ や 図10 症例399 ntc骨シンチグラム 右脛骨近位部の高集積像 し 〆 凄 t 壕 鯵ヌ A冷 パ 左脛骨に広範な高集積像が認められ 当科を紹介 糺v び 電 L 芦声 鰺 餐 された 初診時 臨床的には柊痛や局所の圧痛な どは認められなかった 単純X線写真では 左恥 事 轟 藁噛葺3メ 骨枝から臼蓋にかけて骨硬化像が認められ また 左脛骨のほぼ全長にわたり 前方部皮質骨の肥厚 ぜ つ と骨融解像の混在した像が観察された 図5 b c 99mTc骨シンチグラムでは 骨盤の左側全体 図8 症例2 モザイクパターンの骨吸収形成像 H E 中拡大b II E 強拡大 と脛骨のほぼ全体にわたる広範な高集積像が認め られ 図6 b さらにMR像では 左脛骨の前 方部にT2強調像で高信号が また 脂肪抑制造影 診でアルカリホスファターゼ ALP の高値を指 摘された 1995年8月 当院内科を受診しtJCmTc 骨シンチグラフィーをおこなったところ 骨盤と Tl強調像で低信号の中に不均一に造影される像 がとらえられた 図7 1995年9月19口 恥骨 部と脛骨部の骨生検をおこなった 病理組織所見

82 IUd LlI 順 W轍El Fぴ 罰 オ x F警 Cor 紗 図11 症例3T1強調像 右脛骨近位部内側の低信号域 では恥骨 脛骨ともに明らかな腫瘍細胞や炎症細 胞などは認められず 皮質骨では新生骨形成が ま た海綿骨では添加骨形成と血管結合織の侵入が観 滅違辮 察された この部位での骨梁は不整で 骨吸収と 骨新生を不規則に繰り返すいわゆるモザイクパ ターンが観察され この部位での骨のturnoverが 元進している状態であった 図8 b 病理診断 はboneremodelingであった 症例3 28歳 男性 職業は運送業者である b 図12 症例3 血管結合織と添加骨形成 H E 弱拡大 b 閉塞した血管と添加新生骨 H E 強拡 大 1997年6月から誘因なく右下腿近位部に歩行時 痛が出現し 同年7月当科を紹介され受診した 初 れず 炎症細胞にも乏しかった 結局 血管の増 診時 右下腿近位内側部に軽度の腫脹と圧痛が認 生を伴った添加骨のみが認められ 病理診断は められたが 発赤や局所の熱感はなかった 経過 hyperostosisあった 図12 b 考 観察していたが 9月の時点では疾痛はほとんど なく 違和感程度になっていた 血液生化学所見 ではCRPが正常上限より少し上昇している以 察 単純X線写真上 脛骨皮質骨の肥厚を認める疾 外 異常所見はなかった 単純X線写真では 右 患としては疲労骨折 類骨骨腫 原発性転移性 脛骨近位3分の1の部位で 内側から後面にかけ 骨腫瘍 慢性硬化性骨髄炎 化骨性骨髄炎 骨ペー て限局した皮質骨の肥厚が認められた 図9 99m ジェット病やその他の骨系統疾患などが考えられ Tc骨シンチグラムでは 同部から近位脛骨の外 鑑別を要する1 しかし これらの中には非定型的 側荷重面にかけて高集積が認められた 図10 な病態を呈するものもあり その鑑別診断は必ず MR像では 髄腔内にT1強調像で広範な低信号 域が また後内側部ではT1強調像とT2強調像 しも容易ではない 症例1と症例3は疾痛と軽度 の腫脹が存在し 血液生化学検査では異常を示し でいずれも低信号を呈する部分が観察された 図 ていない点で一致している これに対して症例2 11 1997年10月2日 脛骨の骨生検をおこなっ は局所症状はなくALPの上昇のみである 単純 たが その際の病理所見では 腫瘍細胞は認めら X線写真で骨肥厚が認められる場合 臨床所見

83 血液生化学所見などから鑑別すべき疾患が異なっ 炎 疲労骨折 骨腫瘍などが考えられる 職業が てくる また いずれの症例も99mTc骨シンチグ 重いものを持つ仕事であり 痛みが歩行時のみで ラムで高集積が認められることから 骨のturn 約3ヶ月の経過でこの柊痛が軽快していることか overが充進する何らかの病変が存在したことは ら 診断として疲労骨折が最も疑わしい しかし 間違いない 和田ら7 の報告によれば 疲労骨折の骨肥厚の部 症例1は 単純X線写真で骨膜反応が見られる 位は脛骨外側前方中央2分の1のところが多く 近位脛骨内側部に病変のある本症とはくい違いが ことから悪性骨腫瘍なども否定できない しかし 消炎鎮痛剤に反応する安静時痛があること 病巣 みられる またMR像からは骨髄内にT1強調で の切除により症状が軽快していること MR像に おいて 単純X線写真でみられた骨肥厚性病変の 広範囲の低信号域がみられ 骨髄炎が疑われた 骨 髄炎の中には化膿 腐骨 痩孔形成を伴わず 骨 近傍に T1強調像とT2強調像でいずれも低信号 を示すnidus様の像が認められることなどから類 の膨隆 肥厚のみをきたし慢性に経過する例が知 骨骨腫が最も考えられた 病理所見では悪性骨腫 髄炎は鑑別すべき疾患のひとつに挙げられる し られており8 骨肥厚性病変が認められた場合 骨 瘍は否定されたが nidusの本体である典型的な かし 病理所見では腫瘍細胞や炎症細胞は確認さ 類骨形成像は認められず 一部に炎症細胞を伴う れず 骨髄内での内壁が肥厚した血管の増生や 壊 hyperostosisの所見がみられた このことから推 死骨梁と添加新生骨などが観察された このこと 測すると 脛骨の後面に存在したnidusを手術時 から 本症例は何らかの阻血性の変化が起こって に採りきれず 結果的にnidusの辺縁部の炎症性 反応性に骨肥厚をきたしたものと考えられた こ 反応像のみをみている可能性がある ところで類 の症例は病理診断でも確定診断は得られなかった 骨骨腫の発生部位は脛骨が最も多く 伊丹ら2 に が 症例1 2同様 今後長期の経過観察が必要で よれば36 を占めるという また 単純X線写真 あると思われた でnidusが認められず 病理組織診断で初めて類 骨骨腫と診断される場合もあり3 4 脛骨の骨肥厚 まとめ 性病変では類骨骨腫は常に鑑別すべき疾患のひと 1 単純X線写真上 脛骨に骨肥厚性病変を認 つである め 骨生検によって病理組織学的検索をおこなっ 症例2は 画像所見からは骨ページェット病や た3症例を経験し それらの鑑別診断につき検討 悪性骨腫瘍が考えられた 加えて 血液生化学所 した 見でALPが高値を示していることや 病理所見 で不規則に骨吸収と骨新生を繰り返している像 2 いずれも確定診断には至らなかったが 1例 いわゆるモザイクパターン が認められたこと などから 本症例は骨ページェット病が最も考え は疲労骨折が最も疑われた 目は類骨骨腫 2例目は骨ページェット病 3例目 られる 骨ページェット病の発生部位は骨盤 脊 椎 頭蓋骨が多く 森ら5 によると22例中12例が 文 献 1 K6hleretl LowerLeg MiddleSection 多骨性で10例が単骨性であった われわれの症例 BorderlndsofNormlndErlyPthologic 2は多骨性に分類され得る FindingsinSkeletlRdiogrphy Thieme また骨ページェット病は40歳以下はまれとい MediclPublishers NewYork pp754 757 われる6 が この症例は45歳で年齢的にも妥当で 1993 ある 長期経過例では悪性腫瘍の発生率が高くな ると言われており56 今後の経過観察が必要であ る 症例3は 単純X線写真からは慢性硬化性骨髄 2 伊丹康人他 OsteoidOsteom 類骨骨腫 骨 腫瘍 金原出版 東京 pp121 139 1970 3 福田昇司他 OsteoidOsteomのMRIと病理 組織像の対比 日整会誌66 1004 1992 4 森井健司他 類骨骨腫の診断と治療 東日本整