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男 子 n=806 女 子 n=570 363 人 45.0% 348 人 61.1% 443 人 55.0% 受 傷 者 数 傷 害 なし 222 人 38.9% 受 傷 者 数 傷 害 なし 図 1-1 男 子 の 傷 害 発 生 者 割 合 図 1-2 女 子 の 傷 害 発 生 者 割 合 男 子 45.0% 女 子 61.1%の 選 手 が けが をしながらスポーツを 行 っている 女 子 のスポーツ 傷 害 発 生 率 が 高 い 2 スポーツ 傷 害 発 生 数 の 部 位 別 状 況 (1) 男 女 別 競 技 別 部 位 別 のスポーツ 傷 害 発 生 数 ( 一 人 の 重 複 傷 病 あり) 及 び 発 生 率 は 表 2-1 表 2-2のとおりである 発 生 率 は 各 競 技 の 受 診 者 数 からの 割 合 である 表 2-1 男 子 の 部 位 別 スポーツ 傷 害 発 生 状 況 男 子 のスポーツ 傷 害 発 生 状 況 は 全 体 の 合 計 の 比 較 で 最 も 少 ないバドミントンの25.0%から 最 も 多 いハンドの73.1%まで 広 く 分 布 し スポーツ 競 技 による 差 がみられる 身 体 を 大 きく 三 部 位 に 分 けてみると 下 肢 部 のスポーツ 傷 害 発 生 割 合 (49.7%)が 多 く 次 いで 腰 背 部 (27.1%) 上 肢 部 (23.3%)の 順 である 下 肢 部 では 全 競 技 で 膝 関 節 足 関 節 下 腿 の 発 生 率 が 高 い 腰 背 部 は 下 肢 部 上 肢 部 の 個 々の 細 部 位 と 比 べると 発 生 率 は 高 く 硬 式 野 球 バス ケット 以 外 の 競 技 では 発 生 率 第 1 位 である 上 肢 部 は 三 部 位 比 較 での 発 生 数 は 少 ないが 硬 式 野 球 の 肘 関 節 肩 関 節 バレーの 肩 関 節 は 発 生 率 が 高 い 3

表 2-2 女 子 の 部 位 別 スポーツ 傷 害 発 生 状 況 女 子 のスポーツ 傷 害 発 生 状 況 は 全 体 の 合 計 の 比 較 で 最 も 少 ないバドミントンの48.8%から 最 も 多 いハンドの100%まで 広 く 分 布 し スポーツ 競 技 による 差 がみられる 身 体 を 大 きく 三 部 位 に 分 けてみると 下 肢 部 のスポーツ 傷 害 発 生 割 合 (62.8%)が 多 く 次 いで 腰 背 部 (25.1%) 上 肢 部 (11.4%)の 順 である 下 肢 部 では 全 競 技 で 下 腿 膝 関 節 足 足 関 節 の 発 生 率 が 高 い 腰 背 部 は 下 肢 部 上 肢 部 の 個 々の 細 部 位 と 比 べるとバレー 剣 道 の 発 生 率 は 第 1 位 で 他 競 技 においても 発 生 率 は 高 い 上 肢 部 は 三 部 位 比 較 での 発 生 数 は 少 ないがバレー ハンドの 肩 関 節 は 発 生 率 が 高 い (2)スポーツ 傷 害 受 傷 者 全 体 の 部 位 別 割 合 は 図 2-1 図 2-2のとおりである また 細 部 位 別 割 合 を 図 3-1 図 3-2に 示 した 104 件 23.3% 男 子 n=363 女 子 n=348 (447 件 ) 50 件 11.4% 3 件 0.7% (438 件 ) 121 件 27.1% 222 件 49.7% 110 件 25 1% 275 件 62.8% 下 肢 部 腰 背 部 上 肢 部 下 肢 部 腰 背 部 上 肢 部 その 他 図 2-1 男 子 の 部 位 別 傷 害 発 生 割 合 図 2-2 女 子 の 部 位 別 傷 害 発 生 割 合 男 女 共 に 受 傷 者 の 三 部 位 の 発 生 率 順 位 は 同 じである 上 肢 部 のスポーツ 傷 害 の 男 女 差 につい ては 男 子 のみ 参 加 の 硬 式 野 球 が 上 肢 の 障 害 増 に 影 響 していると 考 えられる 4

大 腿 27 件 6.0% 足 28 件 6.3% 手 指 16 件 3.6% 股 関 節 8 件 1.8% 男 子 上 腕 8 件 1.8% 胸 2 件 0.4% 首 1 件 0.2% 腰 背 部 121 件 27.1% n=363 (447 件 ) 肘 関 節 36 件 8.1% 下 腿 38 件 8.5% 肩 関 節 41 件 9.2% 足 関 節 48 件 10.7% 膝 関 節 73 件 16.3% 図 3-1 男 子 の 細 部 位 別 傷 害 発 生 割 合 男 子 の 発 生 率 で 一 番 高 いのは 腰 背 部 次 いで 膝 関 節 足 関 節 肩 関 節 下 腿 肘 関 節 の 順 である 肩 関 節 27 件 6.2% 大 腿 28 件 6.4% 股 関 節 6 件 1.4% 手 指 10 件 2.3% 肘 関 節 4 件 0.9% 首 4 件 0.9% 女 子 上 腕 3 件 0.7% 内 科 3 件 0.7% 胸 2 件 (0.5%) n=348 (438 件 ) 腰 背 部 110 件 25.1% 足 関 節 54 件 12.3% 足 57 件 13.0% 膝 関 節 63 件 14.4% 下 腿 67 件 15.3% 図 3-2 女 子 の 細 部 位 別 傷 害 発 生 割 合 女 子 の 発 生 率 で 一 番 高 いのは 腰 背 部 次 いで 下 腿 膝 関 節 足 足 関 節 大 腿 肩 関 節 の 順 である 5

3 発 生 頻 度 の 高 いスポーツ 傷 害 P5の 図 3-1 図 3-2で 明 らかになった 頻 度 の 高 い 部 位 順 位 別 に 傷 病 名 と 発 生 割 合 を 分 析 した (1) 腰 背 部 ア 腰 背 部 の 男 女 別 傷 病 名 と 発 生 割 合 は 表 3-1 表 3-2のとおりである 表 3-1 男 子 腰 背 部 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 表 3-2 女 子 腰 背 部 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 腰 背 部 で 発 生 している 傷 病 は 男 女 ともに 腰 痛 症 が 最 も 多 い 傷 病 の 診 断 は 病 院 で の 検 診 (MRI 検 査 CTスキャン 等 )ではないために 受 診 者 からの 申 し 出 がない 場 合 はっきりとした 診 断 名 が 出 せないケースが 多 く 従 って 腰 痛 症 と 診 断 された 中 には 様 々な 病 名 が 含 まれている 可 能 性 がある イ 男 女 別 競 技 別 の 腰 痛 症 の 発 生 割 合 は 表 3-3 表 3-4のとおりである また 表 の 割 合 を 図 4-1 図 4-2に 示 した ( 発 生 割 合 は 各 競 技 の 総 受 診 者 からの 割 合 であ る ) 表 3-3 競 技 別 男 子 腰 痛 症 の 発 生 割 合 表 3-4 競 技 別 女 子 腰 痛 症 の 発 生 割 合 6

男 子 腰 痛 症 女 子 腰 痛 症 バレー サッカー バドミ ントン 20.3% 15.4% 12.5% バレー 剣 道 卓 球 15.4% 28.1% 24.1% 硬 式 野 球 バスケット 陸 上 競 技 ハンド 3.8% 10.4% 9.2% 9.2% バスケット ハンド バドミ ントン ボート 14.7% 10.3% 9.8% 9.1% ボート 2.7% 陸 上 競 技 5.6% 0% 10% 20% 30% 0% 10% 20% 30% 図 4-1 男 子 の 腰 痛 症 発 生 割 合 図 4-2 女 子 の 腰 痛 症 発 生 割 合 男 女 ともに 多 くの 競 技 に 発 生 が 見 られる 競 技 別 にみると 男 子 は バレー 20.3% サッカー 15.4%の 順 に 発 生 率 が 高 く 女 子 は バレー 28.1% 剣 道 24.1%の 順 に 発 生 率 が 高 い (2) 膝 関 節 ア 男 女 共 に 下 肢 部 の 中 でも 傷 害 発 生 率 の 多 かった 膝 関 節 の 男 女 別 傷 病 名 と 発 生 割 合 は 表 4-1 4-2のとおりである 表 4-1 男 子 膝 関 節 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 表 4-2 女 子 膝 関 節 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 膝 関 節 で 発 生 している 傷 病 は 男 女 で 異 なり 男 子 は 身 体 の 構 造 上 筋 力 が 強 く 膝 痛 ジャンパー 膝 オスグッド 病 膝 蓋 大 腿 関 節 痛 等 大 腿 部 と 下 腿 部 をつなぐ 脚 伸 展 機 構 への 傷 病 が 多 く 発 生 している 一 方 女 子 は 骨 盤 の 幅 が 広 いため 下 肢 のX 脚 傾 向 が 強 く 膝 が 内 側 に 入 り 易 い(Knee-in toe-out)ことから 膝 蓋 骨 亜 脱 臼 靱 帯 損 傷 などの 発 生 率 が 高 いと 考 えられる 7

イ 男 子 の 競 技 別 膝 痛 ジャンパー 膝 の 発 生 割 合 は 表 4-3 表 4-4のとおりであ る また 表 の 割 合 を 図 5-1 図 5-2に 示 した ( 発 生 割 合 は 各 競 技 の 総 受 診 者 からの 割 合 である ) 表 4-3 競 技 別 男 子 膝 痛 の 発 生 割 合 表 4-4 競 技 別 男 子 ジャンパー 膝 の 発 生 割 合 男 子 膝 痛 男 子 ジャンパー 膝 サッカー バレー 3.8% 3.8% バスケット 5.5% 硬 式 野 球 3.2% ハンド 3.8% ボート 2.7% バスケット 1.8% バレー 2.5% 0% 10% 20% 30% 0% 10% 20% 30% 図 5-1 男 子 の 膝 痛 発 生 割 合 図 5-2 男 子 のジャンパー 膝 発 生 割 合 男 子 の 膝 痛 発 生 率 をみると 競 技 の 特 性 に 関 係 なく 受 傷 している ジャンパー 膝 はジャ ンプ 競 技 の 特 性 があらわれている ウ 女 子 の 競 技 別 膝 蓋 骨 亜 脱 臼 靱 帯 損 傷 の 発 生 割 合 は 表 4-5 表 4-6のとおりで ある また 表 の 割 合 を 図 5-3 図 5-4に 示 した ( 発 生 割 合 は 各 競 技 の 総 受 診 者 から の 割 合 である ) 表 4-5 競 技 別 女 子 膝 蓋 亜 脱 臼 の 発 生 割 合 表 4-6 競 技 別 女 子 靭 帯 損 傷 の 発 生 割 合 8

女 子 膝 蓋 亜 脱 臼 女 子 靭 帯 損 傷 (ACL MCL) 剣 道 10.3% 剣 道 10.3% ハンド 5.1% バドミ ントン 4.9% バスケット 4.9% バスケット 2.9% バドミ ントン 2.4% ハンド 2.6% バレー 2.1% バレー 0.5% 0% 10% 20% 30% 0% 10% 20% 30% 図 5-3 女 子 の 膝 蓋 骨 亜 脱 臼 発 生 割 合 図 5-4 女 子 の 靭 帯 損 傷 発 生 割 合 膝 蓋 骨 亜 脱 臼 靭 帯 損 傷 の 発 生 割 合 をみると インドア 競 技 に 多 く 見 られ 脚 を 強 く 踏 み 込 む 競 技 に 多 く 発 生 している 両 傷 病 ともに 剣 道 が 発 生 率 10% 以 上 である (3) 下 腿 ア 下 肢 部 の 中 でも 女 子 選 手 に 傷 害 発 生 率 の 多 かった 下 腿 部 の 男 女 別 傷 病 名 と 発 生 割 合 は 表 5-1 5-2のとおりである 表 5-1 男 子 下 腿 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 表 5-2 女 子 下 腿 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 下 腿 部 で 発 生 している 傷 病 は 男 女 ともに シンスプリント が 最 も 多 く 女 子 に 発 生 の 割 合 が 高 い 9

イ 男 女 別 競 技 別 の シンスプリント の 発 生 割 合 は 表 5-3 表 5-4のとおりである また 表 の 割 合 を 図 6-1 図 6-2に 示 した ( 発 生 割 合 は 各 競 技 の 総 受 診 者 からの 割 合 である ) 表 5-3 競 技 別 男 子 シンスプリントの 発 生 割 合 表 5-4 競 技 別 女 子 シンスプリントの 発 生 割 合 アメリカン フット バレー 陸 上 競 技 ハンド サッカー バスケット ボート 硬 式 野 球 男 子 シンスプリント 0.5% 3.8% 3.8% 3.7% 2.7% 5.1% 4.6% 15.4% 0% 10% 20% 30% バスケット バレー 陸 上 競 技 ハンド 卓 球 剣 道 女 子 シンスプリント 3.4% 8.9% 7.7% 7.7% 7.7% 13.7% 0% 10% 20% 30% 図 6-1 男 子 のシンスプリント 発 生 割 合 図 6-2 女 子 のシンスプリント 発 生 割 合 男 女 ともに 多 くの 競 技 に 発 生 がみられる 男 子 は バレー 5.1% 陸 上 競 技 4.6%の 順 に 発 生 率 が 高 く 女 子 は バスケット 13.7% バレー 8.9%の 順 に 発 生 率 が 高 い 10

(4) 足 関 節 ア 下 肢 部 の 中 でも 男 女 選 手 ともに 傷 害 発 生 率 の 多 かった 足 関 節 の 男 女 別 傷 病 名 と 発 生 割 合 は 表 6-1 6-2のとおりである 表 6-1 男 子 足 関 節 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 表 6-2 女 子 足 関 節 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 足 関 節 で 発 生 している 傷 病 は 男 女 ともに 捻 挫 靭 帯 損 傷 が 最 も 多 く 女 子 選 手 に 発 生 の 割 合 が 高 い イ 男 女 別 競 技 別 の 捻 挫 靭 帯 損 傷 の 発 生 割 合 は 表 6-3 表 6-4のとおりである また 表 の 割 合 を 図 7-1 図 7-2に 示 した ( 発 生 割 合 は 各 競 技 の 総 受 診 者 からの 割 合 である ) 表 6-3 競 技 別 男 子 捻 挫 靭 帯 損 傷 の 発 生 割 合 表 6-4 競 技 別 女 子 捻 挫 靭 帯 損 傷 の 発 生 割 合 11

男 子 捻 挫 靭 帯 損 傷 女 子 捻 挫 靭 帯 損 傷 ハンド バスケット バレー サッカー 硬 式 野 球 7.7% 6.7% 6.3% 3.8% 1.8% バスケット ハンド バレー バドミ ントン 5.7% 4.9% 12.8% 15.7% 陸 上 競 技 0.7% 剣 道 3.4% 0% 10% 20% 30% 0% 10% 20% 30% 図 7-1 男 子 の 捻 挫 靭 帯 損 傷 発 生 割 合 図 7-2 女 子 の 捻 挫 靭 帯 損 傷 発 生 割 合 男 女 ともに 多 くの 競 技 に 発 生 がみられる 男 子 は ハンド 7.7% バスケット 6.7% バレー 6.3%の 順 に 発 生 率 が 高 く 女 子 は バスケット の15.7% ハンド の12.8%の 順 に 発 生 率 が 高 い (5) 肩 関 節 ア 男 女 共 に 傷 害 発 生 数 の 少 なかった 上 肢 部 の 内 競 技 別 では 発 生 率 の 高 い 肩 関 節 の 男 女 別 傷 病 名 と 発 生 割 合 は 表 7-1 表 7-2のとおりである 表 7-1 男 子 肩 関 節 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 表 7-2 女 子 肩 関 節 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 上 肢 部 で 発 生 している 傷 病 は 男 女 ともに 肩 痛 が 最 も 多 い 傷 病 の 診 断 は 腰 痛 症 と 同 様 に はっきりとした 診 断 名 が 出 せないケースが 多 く 従 って 肩 痛 と 診 断 された 中 に は 様 々な 病 名 が 含 まれている 可 能 性 がある 12

イ 男 女 別 競 技 別 の 肩 痛 の 発 生 割 合 は 表 7-3 表 7-4のとおりである また 表 の 割 合 を 図 8-1 図 8-2に 示 した ( 発 生 割 合 は 各 競 技 の 総 受 診 者 からの 割 合 である ) 表 7-3 競 技 別 男 子 肩 痛 の 発 生 割 合 表 7-4 競 技 別 女 子 肩 痛 の 発 生 割 合 男 子 肩 痛 女 子 肩 痛 ハンド 5.1% 硬 式 野 球 6.8% バレー 3.6% バレー 1.9% 剣 道 陸 上 競 技 3.4% 2.8% 0% 10% 20% 30% 0% 10% 20% 30% 図 8-1 男 子 の 肩 痛 発 生 割 合 図 8-2 女 子 の 肩 痛 発 生 割 合 男 子 は 硬 式 野 球 6.8% バレー 1.9%の2つの 競 技 に 発 生 が 見 られる 女 子 は ハンド 5.1% バレー の3.6% 剣 道 3.4% の 順 に 発 生 率 が 高 い 13

(6) 肘 関 節 ア 男 女 共 に 傷 害 発 生 数 の 少 なかった 上 肢 部 の 内 競 技 別 では 発 生 率 の 高 い 肘 関 節 の 男 女 別 傷 病 名 と 発 生 割 合 は 表 8-1 表 8-2のとおりである 表 8-1 男 子 肘 関 節 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 表 8-2 女 子 肘 関 節 の 傷 病 名 と 発 生 割 合 肘 関 節 で 発 生 している 傷 病 は 男 子 肘 通 ( 内 側 部 痛 ) 野 球 肘 である 女 子 の 発 生 率 は 低 い イ 男 子 の 競 技 別 の 肘 痛 ( 内 側 部 痛 野 球 肘 の 発 生 割 合 は 表 8-3 表 8-4のとおり である また 表 の 割 合 を 図 9-1 図 9-2に 示 した ( 発 生 割 合 は 各 競 技 の 総 受 診 者 か らの 割 合 である ) 表 8-3 競 技 別 男 子 肘 内 側 部 痛 の 発 生 割 合 表 8-4 競 技 別 男 子 野 球 肘 の 発 生 割 合 男 子 肘 ( 内 側 部 痛 ) 男 子 野 球 肘 硬 式 野 球 5.4% 硬 式 野 球 4.5% バレー 1.9% 0% 10% 20% 30% 0% 10% 20% 30% 図 9-1 男 子 の 肘 内 側 部 痛 発 生 割 合 図 9-2 男 子 の 野 球 肘 発 生 割 合 肘 痛 ( 内 側 部 ) 硬 式 野 球 5.4% 野 球 肘 硬 式 野 球 4.5%である 14

4 腰 背 部 と 各 部 位 のスポーツ 傷 害 発 生 の 関 連 性 腰 背 部 は 男 女 ともに スポーツ 傷 害 発 生 率 が 最 も 高 く 動 作 の 始 点 となるコア 部 でもある 腰 背 部 に 傷 病 が 発 生 している 選 手 が 他 の 各 部 位 の 傷 病 発 生 に 関 連 があるか また 各 部 位 に 傷 害 が 発 生 している 選 手 が 腰 背 部 の 傷 害 発 生 に 関 連 があるか 両 者 を 比 較 分 析 した 男 女 別 腰 背 部 傷 病 発 生 と 各 部 位 の 傷 病 発 生 各 部 位 の 傷 病 発 生 と 腰 背 部 傷 病 発 生 の 受 傷 割 合 は 表 9-1 表 9-2のとおりである また その 割 合 の 比 較 を 図 10-1 図 10-2に 示 した なお 各 部 位 は 男 女 別 にスポーツ 傷 害 発 生 割 合 の 頻 度 の 高 い 順 に4 部 位 とし 各 部 位 ともに 比 率 の 差 の 検 定 を 行 った 有 意 水 準 については 以 下 のとおりである 表 9-1 男 子 腰 背 部 傷 病 各 部 位 傷 病 関 連 受 傷 割 合 * 腰 背 部 と 膝 関 節 傷 害 発 生 16 件 1 腰 背 部 と 膝 関 節 腰 背 部 と 足 関 節 傷 害 発 生 4 件 2 腰 背 部 と 足 関 節 膝 関 節 傷 害 発 生 73 件 腰 背 部 傷 害 発 生 121 件 足 関 節 傷 害 48 件 腰 背 部 傷 害 発 生 121 件 15

3 腰 背 部 と 肩 関 節 4 腰 背 部 と 下 腿 腰 背 部 と 肩 関 節 傷 害 発 生 6 件 * 腰 背 部 と 下 腿 傷 害 発 生 2 件 腰 背 部 傷 害 発 生 121 件 腰 背 部 傷 害 発 生 121 件 肩 41 件 下 腿 38 件 図 10-1 男 子 の 腰 背 部 と 各 部 位 の 傷 病 発 生 割 合 比 較 男 子 の 受 傷 割 合 を 比 較 すると 各 部 位 ともに 腰 背 部 をけがしながら 各 部 位 を けがしている 割 合 よりも 各 部 位 をけがしながら 腰 背 部 をけがしている 割 合 が 高 い 肩 関 節 と 腰 背 部 は 受 傷 割 合 の 差 に5% 水 準 の 有 意 差 がみられた 表 9-2 女 子 腰 背 部 傷 病 各 部 位 傷 病 関 連 受 傷 割 合 ** 16

1 腰 背 部 と 下 腿 2 腰 背 部 と 膝 関 節 腰 背 部 と 下 腿 部 傷 害 発 生 12 件 腰 背 部 と 膝 関 節 傷 害 発 生 11 件 下 腿 部 傷 害 発 生 67 件 腰 背 部 傷 害 発 生 121 件 膝 関 節 傷 害 発 生 63 件 腰 背 部 傷 害 発 生 121 件 腰 背 部 と 足 関 節 傷 害 発 生 5 件 3 腰 背 部 と 足 関 節 腰 背 部 と 肩 関 節 傷 害 発 生 6 件 3 腰 背 部 と 肩 関 節 ** 足 関 節 傷 害 発 生 54 件 腰 背 部 傷 害 発 生 121 件 肩 27 件 腰 背 部 傷 害 発 生 121 件 図 10-2 女 子 の 腰 背 部 と 各 部 位 の 傷 病 発 生 割 合 比 較 女 子 も 受 傷 割 合 を 比 較 すると 男 子 同 様 に 各 部 位 ともに 腰 背 部 をけがしながら 各 部 位 をけがしている 割 合 よりも 各 部 位 をけがしながら 腰 背 部 をけがしている 割 合 が 高 い 肩 関 節 と 腰 背 部 についてはその 割 合 に1% 水 準 で 有 意 差 がみられた 17

スポーツ 傷 害 の 病 状 について 1) 1 腰 背 部 (1) 腰 痛 症 腰 痛 の 中 には 椎 間 板 ヘルニアや 腰 椎 分 離 症 のような 明 確 な 診 断 名 をつけられないものが 多 い 原 因 を 特 定 できない 腰 痛 に 対 して 腰 痛 症 というあいまいな 病 名 が 使 われる 腰 痛 症 はその 原 因 によって 筋 性 の 腰 痛 椎 間 板 性 の 腰 痛 椎 間 関 節 性 の 腰 痛 に 分 け られる 筋 性 の 腰 痛 は 背 筋 群 の 疲 労 によって 筋 肉 組 織 が 上 手 く 収 縮 できずに 血 流 不 足 により 起 こる また このようなメカニズムの 症 状 を 総 称 してコンパートメント 症 候 群 という 椎 間 板 性 の 腰 痛 は 椎 間 板 が 傷 ついている 場 合 に 起 こる 痛 みで ヘルニアのように 大 きな 圧 迫 がない 場 合 にも 椎 間 板 に 圧 力 やねじれのような 負 荷 が 加 わることで 痛 みが 発 生 する 椎 間 関 節 性 の 腰 痛 は 上 体 を 反 らせる 姿 勢 で 痛 みが 起 こる 上 体 を 大 きく 反 らす 姿 勢 が 椎 骨 と 椎 骨 をつなぐ 椎 間 関 節 に 大 きな 圧 力 がかかるために 痛 みが 生 じる (2) 椎 間 板 ヘルニア 椎 間 板 は 椎 骨 と 椎 骨 の 間 にある 軟 骨 のクッション 組 織 である 椎 間 板 に 許 容 範 囲 を 超 える 強 い 力 が 加 わると 椎 間 板 に 損 傷 が 生 じて 後 方 に 飛 び 出 すものを 椎 間 板 ヘルニア という 椎 間 板 の 内 圧 は 前 かがみの 姿 勢 で 物 を 持 ち 上 げるような 姿 勢 で 最 も 高 まりやすい その 他 後 ろへの 反 りや 捻 り 動 作 でも 勢 いが 強 く 重 量 が 加 われば 椎 間 板 への 圧 力 が 高 まりヘルニアを 起 こしやすい (3) 腸 骨 骨 端 症 スポーツなどの 激 しい 運 動 をする 成 長 期 (10 代 中 高 校 生 くらい)に 多 く 見 られる この 時 期 は 腸 骨 稜 に 骨 端 線 ( 成 長 軟 骨 )が 残 っていることが 多 く 完 成 された 大 人 の 骨 と 比 べると 力 学 的 に 弱 いため 傷 害 を 起 こしやすい 急 激 に 強 い 筋 肉 の 牽 引 力 が 働 いた 場 合 を 裂 離 骨 折 比 較 的 弱 い 筋 肉 の 収 縮 力 が 繰 り 返 し 働 いた 場 合 を 骨 端 症 とよぶことが 多 く 身 体 を 捻 るス ポーツ( 野 球 のバッティングやダンスなど)で 起 こりやすい (4) 腰 椎 分 離 症 腰 椎 の 後 方 部 分 で 疲 労 骨 折 が 起 こり 進 行 すると 骨 が 割 れた( 分 離 した) 状 態 を 腰 椎 分 離 症 という 野 球 サッカー 体 操 競 技 ウェイトリフティングなどのスポーツでよく 見 られる 損 傷 が 発 生 するのは 第 5 腰 椎 が 多 く 腰 椎 の 後 方 にある 関 節 突 起 部 に 骨 折 が 起 こる 腰 椎 に 反 りや 強 い 捻 りが 続 く 動 作 において 関 節 突 起 部 に 負 荷 が 集 中 するために 疲 労 骨 折 が 生 じ 進 行 して 完 全 に 分 離 していくケースが 多 い 2 膝 関 節 (1) 膝 蓋 骨 亜 脱 臼 膝 蓋 骨 がはずれてしまうのが 膝 蓋 骨 脱 臼 で はずれそうになったものを 膝 蓋 骨 亜 脱 臼 という スポーツの 場 面 では X 脚 であったり 膝 を 強 く 内 側 に 捻 った 場 合 に 起 こりやすい 膝 につ いている 大 腿 四 頭 筋 の 働 きによって 膝 の 外 側 に 力 がかかるので 膝 蓋 骨 は 外 側 にはずれる (2) 前 十 字 靱 帯 損 傷 (ACL 損 傷 ) 膝 関 節 の 周 囲 でなく 関 節 内 部 に 存 在 し 関 節 の 安 定 化 を 図 っている 靱 帯 である 接 触 損 傷 と 非 接 触 損 傷 に 大 別 され 前 者 はラグビーのタックルのように 他 の 選 手 との 接 触 に よる 外 部 からの 力 が 膝 に 加 わることで 起 こりやすい 主 に 横 からの 力 で 膝 が 内 側 に 曲 げられた り( 外 反 ) まっすぐの 状 態 から 逆 に 反 ったり( 過 伸 展 )することで 損 傷 が 起 こる 後 者 は 本 人 の 動 作 だけで 起 こるもので 急 停 止 や 方 向 転 換 の 動 作 着 地 動 作 などで 損 傷 が 生 じる 18

(3) 内 側 側 副 靱 帯 損 傷 (MCL 損 傷 ) 膝 関 節 の 周 囲 に 位 置 し 膝 関 節 の 傷 害 では 球 技 を 中 心 に 靱 帯 損 傷 が 発 生 しやすく 中 でも 発 生 件 数 が 多 いのは 関 節 の 内 側 を 支 持 している 内 側 側 副 靱 帯 である 合 併 損 傷 として 半 月 板 損 傷 や 前 十 字 靱 帯 損 傷 など 関 節 内 部 の 損 傷 が 起 こることも 多 い 膝 が 外 側 から 内 側 に 曲 げられる( 外 反 )ことで 起 こりやすく タックル 等 の 外 側 からの 衝 撃 や 方 向 転 換 着 地 時 に 多 く 見 られる (4)ジャンパー 膝 正 式 名 称 は 膝 蓋 腱 炎 で 膝 蓋 骨 の 正 面 を 覆 う 靱 帯 ( 膝 蓋 骨 の 下 側 )の 損 傷 ジャンプする 競 技 に 多 く 見 られる バレーのアタッカーのように 高 いジャンプを 繰 り 返 すことで 発 生 するのが 典 型 的 である 膝 を 曲 げて 重 心 を 下 げたジャンプの 準 備 動 作 では 膝 蓋 腱 は 引 き 伸 ばされ ジャンプの 瞬 間 は 大 腿 四 頭 筋 により 元 の 長 さに 戻 る 着 地 では 再 び 引 き 伸 ばされ この 動 作 を 繰 り 返 すことで 損 傷 する 最 近 では 陸 上 競 技 のランニング 動 作 でも 起 こる と 言 われている (5)オスグッド 病 成 長 期 の 骨 格 には 成 長 軟 骨 が 存 在 するために 激 しい 運 動 をする 成 長 期 (10 代 中 高 校 生 くらい)によく 発 生 する 脛 骨 の 成 長 軟 骨 は 膝 関 節 の 直 下 から 前 下 方 に 伸 びている 膝 蓋 腱 の 付 着 部 はちょうど 脛 骨 の 前 下 方 に 伸 びた 部 分 に 存 在 し 大 腿 四 頭 筋 の 張 力 により 膝 蓋 腱 の 付 着 部 が 引 っ 張 られることで 軟 骨 が 裂 けて 持 ち 上 がる 3 下 腿 シンスプリント 脛 骨 の 内 側 後 縁 の 下 1/3から1/2の 範 囲 に 痛 みを 有 する 慢 性 の 障 害 である 下 腿 三 頭 筋 を 覆 う 筋 膜 と 脛 骨 の 骨 膜 との 連 結 部 付 近 が 引 っ 張 られ 損 傷 を 起 こす 土 踏 まずが 下 がるような 動 き( 回 内 )が 筋 膜 の 張 力 を 高 めるために 偏 平 足 の 選 手 にシンス プリントが 多 い 4 足 関 節 (1) 捻 挫 靱 帯 損 傷 あらゆるスポーツ 場 面 で 起 こりやすい 捻 挫 で 実 際 に 損 傷 を 受 ける 組 織 には 靱 帯 や 関 節 包 ときには 骨 や 軟 骨 も 含 まれる 関 節 が 動 く 限 界 を 超 えるため 多 くの 場 合 は 靱 帯 が 損 傷 される その 意 味 では 捻 挫 を 靱 帯 損 傷 と 言 い 換 えても 誤 りではない 捻 挫 の 大 半 が つま 先 が 内 側 を 向 き 甲 が 下 を 向 くようにして 起 こる 内 反 捻 挫 で 方 向 転 換 やジャンプからの 着 地 などで 生 じやすく 前 距 腓 靱 帯 踵 腓 靱 帯 等 を 損 傷 する 一 方 接 触 型 スポーツ 等 で 他 者 に 足 関 節 の 外 側 から 乗 られて 内 反 と 逆 方 向 に 捻 るものを 外 反 捻 挫 といい 脛 腓 靱 帯 等 を 損 傷 する (2) 踝 骨 折 足 関 節 捻 挫 と 同 様 のメカニズムで 内 反 外 反 の 負 荷 が 加 わったときに 靱 帯 損 傷 にとどまらず に 骨 折 が 生 じる 内 反 の 負 荷 が 強 く 加 わった 場 合 は 内 側 踝 の 骨 折 と 外 側 の 靱 帯 損 傷 が 起 こりやすく 逆 に 外 反 の 負 荷 が 強 く 加 わった 場 合 は 外 側 踝 の 骨 折 と 内 側 の 靱 帯 損 傷 が 起 こると 考 えられる 19

5 肩 関 節 (1) 肩 痛 肩 痛 の 中 には 肩 腱 板 炎 棘 下 ( 上 ) 筋 炎 脱 臼 のような 明 確 な 診 断 名 をつけられないもの が 多 い 原 因 を 特 定 できない 肩 の 痛 みに 対 して 肩 痛 というあいまいな 病 名 が 使 われる (2) 投 球 障 害 2) 投 球 動 作 は 全 身 運 動 であり 身 体 の 重 心 移 動 や 捻 りによって 行 われる 従 って 投 球 によっ て 発 生 する 肩 関 節 の 障 害 は 肩 関 節 のみに 起 因 するのではなく 全 身 の 各 部 位 に 関 係 している ことがほとんどです 投 球 障 害 の 原 因 は 投 球 数 やフォーム,アライメントなど 色 々なことが 考 えられる そのほ とんどに 共 通 している 点 が 肩 関 節 がcomplex( 複 合 体 )であるということ 肩 甲 骨 と 上 腕 ( 関 節 唇 ) それを 包 む 関 節 ( 関 節 包 ) 関 節 を 支 える 筋 (インナーマッスル) 筋 が 付 着 し ている 骨 という 感 じで その 連 動 性 に 注 意 する 必 要 があり そこから 各 部 の 損 傷 が 生 ずる (3) 腱 板 損 傷 腱 板 とは 肩 関 節 の 安 定 性 を 保 っているインナーマッスルの 腱 ( 棘 下 筋 棘 上 筋 肩 甲 下 筋 小 円 筋 )が 板 状 になっている 部 分 を 指 し 急 性 タイプの 損 傷 と 慢 性 タイプの 損 傷 の2 種 類 に 分 けられる 前 者 は 外 側 からの 衝 撃 を 受 けて 腱 が 損 傷 する 場 合 で 後 者 は 腕 を 高 い 位 置 から 振 り 下 ろす 競 技 ( 野 球 バレー バドミントン テニス 等 )によくみられ 振 り 下 ろし 動 作 を 繰 り 返 すことで 徐 々に 発 生 する (4) 棘 上 筋 炎 肩 のインナーマッスルのうち 腕 を 振 り 上 げる 動 作 を 担 う 棘 上 筋 の 腱 が 真 上 の 骨 と 衝 突 し 損 傷 を 起 こすものをいう (5) 棘 下 筋 炎 肩 のインナーマッスルのうち 腕 の 振 り 下 ろし 動 作 の 最 後 に 腕 にブレーキをかける 役 割 が 棘 下 筋 であり 振 り 下 ろし 動 作 の 反 復 により 腱 が 伸 ばされ 損 傷 を 起 こすものをいう (6) 肩 脱 臼 肩 関 節 は 人 体 の 関 節 の 中 でも 最 も 可 動 域 が 大 きい その 反 面 安 定 性 に 乏 しい 構 造 をしている 腕 を 身 体 の 後 方 に 上 げた 状 態 から 強 い 力 で 後 方 に 持 っていかれるのが 典 型 的 な 肩 脱 臼 の 起 こり 方 である 上 腕 骨 のつけ 根 が 完 全 に 外 れた 場 合 を 脱 臼 といい 関 節 のつけ 根 が 残 っている 場 合 を 亜 脱 臼 とよぶ 大 部 分 は 上 腕 骨 が 前 方 に 外 れる (7)ルースショルダー( 肩 関 節 不 安 定 症 ) 肩 関 節 がゆるい 状 態 で 肩 に 痛 みを 伴 い 肩 関 節 周 囲 の 障 害 をおこす 特 に 肩 を 酷 使 する 野 球 の 投 手 等 に 多 くみられ 腱 や 関 節 包 が 伸 びてしまうと 元 に 戻 らずに 肩 関 節 の 正 常 な 動 きの 妨 げになる 6 肘 関 節 (1) 肘 痛 ( 内 側 部 痛 ) (2) 野 球 肘 の 内 側 型 参 照 (2) 野 球 肘 原 因 となるのは 投 球 動 作 野 球 はもちろん 陸 上 競 技 の やり 投 げ 競 技 などでも 障 害 が 起 こ りやすい 障 害 の 発 生 する 位 置 から 内 側 型 外 側 側 後 方 型 に 分 類 できる 投 球 動 作 により 内 側 型 は 肘 関 節 内 側 が 引 っ 張 られる 力 が 働 くことにより 靭 帯 が 裂 けたり 上 腕 骨 骨 端 軟 骨 層 が 離 裂 症 状 を 起 こす 外 側 型 は 肘 関 節 外 側 が 圧 迫 される 力 が 働 き 上 腕 骨 小 頭 がぶつかり 傷 つく この 動 作 が 続 くと 遊 離 軟 骨 として 神 経 を 圧 迫 したり 軟 骨 をつぶす 後 方 型 は 腕 が 伸 びきった 状 態 が 上 腕 骨 と 尺 骨 の 肘 頭 部 を 激 しく 衝 突 させ 疲 労 骨 折 を 引 き 起 こす 20

考 察 1 スポーツ 傷 害 発 生 状 況 データは 県 立 体 育 センターの 競 技 力 向 上 コースに 参 加 した 多 競 技 種 目 選 手 ( 主 に 高 校 生 ) 男 子 806 人 女 子 570 人 を 対 象 とした 参 加 選 手 の 競 技 力 は 全 国 レベルから 地 区 大 会 レベルまで 幅 広 い が 県 内 上 位 チームが 多 数 参 加 している 競 技 種 目 により 参 加 人 数 が200 人 超 から8 人 と 母 体 数 にばらつきがあるためにスポーツ 傷 害 発 生 割 合 の 数 値 が 同 等 の 比 較 ならない 部 分 もあるが 競 技 指 導 の 参 考 になれば 幸 いである 男 子 のスポーツ 傷 害 受 傷 割 合 45.0% 女 子 61.1%で 女 子 選 手 の 方 がスポーツ 傷 害 受 傷 割 合 が 高 い これは 身 体 の 骨 格 構 造 ホルモンによる 脂 肪 量 筋 肉 量 の 違 いから 差 がでていると 考 えら れる 2 スポーツ 傷 害 発 生 数 の 部 位 別 状 況 男 女 ともに 競 技 種 目 によって 酷 使 している 部 位 が 違 うために 当 然 のことながらスポーツ 傷 害 の 部 位 別 発 生 率 にも 差 がでている 身 体 を 細 かく 部 位 別 にみると 男 女 ともに 腰 背 部 膝 関 節 足 関 節 下 腿 の 発 生 率 が 高 い 腰 背 部 が 男 女 ともに 発 生 率 第 1 位 なのは 身 体 の 中 心 部 であり 動 作 の 始 点 となっ ているコア 部 であるために どの 競 技 も 発 生 率 が 高 くなっていると 考 えられる 下 肢 部 と 上 肢 部 を 比 較 すると 上 肢 部 については 投 動 作 スイング 動 作 は 競 技 特 有 の 動 きとなるために 全 体 の 発 生 率 が 少 なく 下 肢 部 については ほとんどの 競 技 に 共 通 の 動 作 であるために 発 生 率 が 高 くなっていると 思 われる 3 発 生 頻 度 の 高 いスポーツ 傷 害 腰 背 部 の 傷 害 は 男 女 ともに 腰 痛 症 が 最 も 多 く 多 競 技 種 目 選 手 に 発 生 している 腰 痛 症 の 原 因 を 調 べると 背 筋 群 のモビリティー( 柔 軟 性 とそれに 対 応 する 筋 力 ) 不 足 による 傷 害 と 脊 柱 と 骨 盤 の 位 置 (アライメント)の 不 安 定 から 生 じる 椎 間 板 性 椎 間 関 節 性 の 傷 害 とに 分 けられる このことから 傷 害 予 防 メニューとしては ストレッチ とドローイン ( 腹 圧 をかける) 状 態 をキープした スタビライゼーション トレーニングが 不 可 欠 である 膝 関 節 のスポーツ 傷 害 は 男 女 のはっきりとした 違 いがみられる 男 子 選 手 は 女 子 選 手 と 比 べると 筋 力 が 強 いために キック ジャンプ 動 作 時 の 脚 伸 展 機 構 ( 大 腿 部 と 下 腿 部 をつ なぐ 膝 関 節 前 面 上 方 下 方 の 靱 帯 )の 傷 病 が 上 位 を 占 めている 一 方 女 子 選 手 は 骨 格 構 造 上 骨 盤 の 幅 が 広 いためにX 脚 傾 向 が 強 く 膝 関 節 が 内 側 に 入 り 易 く 膝 蓋 骨 が 外 側 に 外 れる 亜 脱 臼 膝 関 節 の 側 面 の 靭 帯 ( 内 側 側 副 靱 帯 )や 膝 関 節 の 捻 りを 制 御 している 前 十 字 靱 帯 等 の 傷 病 が 上 位 を 占 めている このことから 傷 害 予 防 メニューとしては 男 子 選 手 は 大 腿 四 頭 筋 下 腿 三 頭 筋 ハムストリングス のモビリティーを 高 める 必 要 があり 女 子 選 手 は 股 関 節 膝 関 節 足 関 節 の 位 置 を 一 直 線 上 にする アライメント 調 整 且 つ ジャンプ 切 り 替 えし 動 作 に 耐 えられる 大 腿 四 頭 筋 下 腿 三 頭 筋 ハムストリングス の 筋 力 強 化 が 必 要 である 下 腿 部 の 傷 害 は 男 女 ともに シンスプリント が 最 も 多 く 多 競 技 種 目 選 手 に 発 生 して いる 男 女 の 発 生 率 を 比 較 すると 女 子 選 手 に 発 生 の 割 合 が 高 い シンスプリント の 多 くは 下 腿 部 のオーバーワーク( 疲 労 )に 起 因 していることが 多 く 土 踏 まずのアーチ 部 が 下 がり 硬 直 することにより 脛 骨 内 側 の 骨 膜 が 引 っ 張 られ 易 い このことから 傷 害 予 防 メニューと しては 土 踏 まずの 柔 軟 性 を 高 め 足 の 五 指 を 前 後 左 右 に 動 かすこと また 下 腿 三 頭 筋 ( 前 脛 骨 筋 ヒラメ 筋 腓 腹 筋 )のモビリティーを 高 める 必 要 がある 足 関 節 の 傷 害 は 男 女 ともに 捻 挫 が 圧 倒 的 に 多 い データ 数 はメディカルチェック 時 点 受 傷 数 なので 実 際 にはもっと 受 傷 割 合 は 高 いものと 思 われる このことから 傷 害 予 防 メニ ューとしては 前 頚 骨 筋 の 筋 力 強 化 且 つ 足 関 節 と 膝 関 節 のアライメント 調 整 が 必 要 である 21

肩 関 節 の 傷 害 は 男 女 ともに 肩 痛 が 最 も 多 く 投 動 作 スイング 動 作 の 競 技 に 傷 害 発 生 がある 肩 関 節 は 可 動 域 が 広 く 機 能 が 複 雑 なので 傷 害 予 防 メニューとしては ピラー ( 軸 = 頭 部 脊 柱 骨 盤 が 一 直 線 )を 意 識 した 肩 関 節 周 囲 のインナーマッスル アウターマ ッスルの 強 化 が 必 要 である 肘 関 節 の 傷 害 は 肩 関 節 同 様 投 動 作 スイング 動 作 の 競 技 に 傷 害 発 生 がある 肘 痛 の 原 因 は 肘 関 節 の 過 伸 展 により 関 節 内 側 の 靭 帯 損 傷 外 側 の 上 腕 骨 軟 骨 離 裂 前 腕 骨 疲 労 骨 折 に 分 類 できる このことから 傷 害 予 防 メニューとしては 前 腕 筋 上 腕 二 頭 筋 の 筋 力 強 化 による 過 伸 展 を 防 止 する 必 要 がある 4 腰 背 部 と 各 部 位 のスポーツ 傷 害 発 生 の 関 連 性 男 女 ともにスポーツ 傷 害 発 生 率 第 1 位 だった 腰 背 部 と 各 部 位 の 傷 害 発 生 の 関 連 性 につ いては 腰 背 部 に 傷 病 がある 選 手 が 他 の 部 位 に 傷 害 を 併 発 している 割 合 よりも 各 部 位 に 傷 病 がある 選 手 が 腰 背 部 に 傷 病 を 併 発 している 割 合 が 高 かった 特 に 男 女 ともに 肩 関 節 と 腰 背 部 腰 背 部 と 肩 関 節 については 受 傷 割 合 の 差 に 有 意 差 がでていることからも 各 部 位 にスポーツ 傷 害 が 発 生 した 場 合 は 治 癒 に 専 念 することが 大 切 であり 我 慢 をして 活 動 を 続 けていると 腰 背 部 にスポーツ 傷 害 を 併 発 する 可 能 性 があると 推 測 される まとめ スポーツ 傷 害 発 生 状 況 発 生 頻 度 の 高 いスポーツ 傷 害 のテータ 分 析 結 果 傷 害 予 防 のた めには スタビライゼーション モビリティー アライメント 筋 力 アップ が 重 要 であることがあきらかになった そこで スポーツ 傷 害 予 防 のために ストレッチ 及 び ストレ ングスメニュー を 作 成 した 22

スポーツ 傷 害 予 防 トレーニングメニュー 1 ストレッチ (1) 静 的 ストレッチ( 練 習 開 始 前 クーリングダウン) 酷 使 する(した) 身 体 をケアする 意 識 を 持 つ ストレッチを 行 う 時 間 は 個 人 差 があるために 突 っ 張 り 感 が 和 らぐまでが 目 安 となる 呼 吸 を 止 めずに リラックスして 行 う 決 して 無 理 はしない 頑 張 らない ア 腰 背 部 脊 柱 起 立 筋 広 背 筋 ( 前 ) 脊 柱 起 立 筋 広 背 筋 ( 横 ) 腹 直 筋 ( 前 ) 腹 直 筋 ( 横 ) イ 股 関 節 股 関 節 横 開 き 股 関 節 縦 開 き 23

ウ 大 腿 四 頭 筋 ( 大 腿 部 前 ) 大 腿 四 頭 筋 ( 立 ち 姿 勢 ) 大 腿 四 頭 筋 ( 寝 姿 勢 ) エ ハムストリングス( 大 腿 部 後 ) ハムストリングス( 立 ち 姿 勢 ) ハムストリングス( 座 姿 勢 ) オ 腸 脛 靭 帯 ( 大 腿 部 側 面 外 側 ) 腸 脛 靭 帯 ( 座 姿 勢 ) 24

カ 内 転 筋 ( 大 腿 部 側 面 内 側 ) 内 転 筋 ( 座 姿 勢 ) キ 前 頚 骨 筋 前 頚 骨 筋 ( 座 姿 勢 ) ク 肩 上 腕 側 面 ( 外 側 ) 上 腕 側 面 ( 内 側 ) 上 腕 裏 ( 三 頭 筋 側 ) 上 腕 表 ( 二 頭 筋 側 ) 25

(2) 動 的 ストレッチ( 試 合 練 習 ウォーミングアップ) モビリティー( 関 節 可 動 域 +それに 対 応 する 筋 力 )を 高 める ピラー( 軸 = 頭 脊 柱 骨 盤 )を 崩 さないように 意 識 する 身 体 を 支 える 腕 は 両 手 片 手 ( 軸 足 と 逆 手 ) 支 えなしとレベルを 上 げていく ア 股 関 節 横 振 り 左 右 の 脚 各 10 回 ~15 回 連 続 で 股 関 節 から 横 に 振 る 縦 振 り 左 右 の 脚 各 10 回 ~15 回 連 続 で 股 関 節 から 縦 に 振 る 回 旋 ( 外 回 し) 左 右 の 脚 各 10 回 ~15 回 連 続 で 股 関 節 から 外 旋 させる 回 旋 ( 内 回 し) 左 右 の 脚 各 10 回 ~15 回 連 続 で 股 関 節 から 内 旋 させる 26

イ 大 腿 部 ハムストリングス 反 対 脚 は 膝 を 伸 ばし 伸 展 脚 を 可 動 域 可 能 範 囲 まで 上 げる ペアは 伸 展 脚 の 踵 を 保 持 し 抵 抗 をかけながら 約 3~5 秒 間 で 伸 展 脚 を 全 力 で 下 ろさせる 左 右 の 脚 各 3~5セット 行 う 大 腿 四 頭 筋 横 向 き 姿 勢 から 上 方 の 脚 の 膝 を 曲 げ 同 側 の 手 で 足 首 を 掴 み 可 動 域 可 能 範 囲 まで 膝 を 後 方 に 引 く ペアは 膝 と 大 腿 関 節 を 後 方 から 保 持 し 抵 抗 をかけながら 約 3~5 秒 間 で 膝 を 全 力 で 前 方 に 押 させる 左 右 の 脚 各 3~5セット 行 う 腸 脛 靭 帯 仰 向 け 姿 勢 から 伸 展 脚 の 膝 を 曲 げ 反 対 脚 に 交 差 し 腸 脛 靭 帯 を 上 方 に 向 ける その 際 同 側 肩 が 床 面 から 離 れないようにし 可 動 域 可 能 範 囲 まで 膝 内 側 を 床 面 に 下 ろす ペアは 膝 と 大 腿 関 節 を 真 上 から 垂 直 に 保 持 し 抵 抗 をかけながら 約 3~5 秒 間 で 膝 を 全 力 で 上 方 に 押 させる 左 右 の 脚 各 3~5セット 行 う 27

内 転 筋 開 脚 座 位 姿 勢 から 可 動 域 可 能 範 囲 まで 脚 を 広 げる ペアは 伸 展 脚 の 反 対 脚 膝 内 側 を 自 分 分 の 足 で 押 え 伸 展 脚 の 膝 内 側 を 両 手 で 保 持 し 抵 抗 をかけながら 約 3~5 秒 間 で 伸 展 脚 を 全 力 で 前 方 に 押 させる 左 右 の 脚 各 3~5セット 行 う ウ 腰 背 部 脊 柱 起 立 筋 広 背 筋 座 位 姿 勢 から 膝 を 曲 げ ピラー( 後 頭 部 脊 柱 骨 盤 )が 真 っ 直 ぐの 姿 勢 を 保 ち 可 動 域 可 能 範 囲 まで 腰 を 前 屈 する ペアは 背 中 を 両 手 で 押 え 抵 抗 をかけながら 約 3~5 秒 間 で 腰 から 後 方 に 押 させる 3~5セット 行 う エ 肩 関 節 上 腕 側 面 ( 外 側 ) 座 位 姿 勢 から 伸 展 側 腕 を 前 方 に 伸 ばし 可 動 域 可 能 範 囲 まで 内 側 に 引 く ペアは 伸 展 側 腕 の 前 腕 肩 を 保 持 し 抵 抗 をかけながら 約 3~5 秒 間 で 伸 展 側 腕 を 全 力 で 前 方 に 押 させる 左 右 の 腕 各 3~5セット 行 う 28

上 腕 側 面 ( 内 側 ) 座 位 姿 勢 から 伸 展 側 腕 を 前 方 に 伸 ばし 可 動 域 可 能 範 囲 まで 外 側 に 引 く ペアは 伸 展 側 腕 の 前 腕 肩 を 保 持 し 抵 抗 をかけながら 約 3~5 秒 間 で 伸 展 側 腕 を 全 力 で 前 方 に 押 させる 左 右 の 腕 各 3~5セット 行 う 上 腕 裏 面 ( 三 頭 筋 側 ) 座 位 姿 勢 から 伸 展 側 腕 を 上 方 に 伸 ばし 可 動 域 可 能 範 囲 まで 後 方 に 引 く( 親 指 後 方 ) ペアは 伸 展 側 腕 の 前 腕 肘 を 保 持 し 抵 抗 をかけながら 約 3~5 秒 間 で 伸 展 側 腕 を 全 力 で 前 方 に 押 させる 左 右 の 腕 各 3~5セット 行 う 上 腕 表 面 ( 二 頭 筋 側 ) 座 位 姿 勢 から 伸 展 側 腕 を 下 後 方 に 伸 ばし 可 動 域 可 能 範 囲 まで 後 方 に 引 く( 親 指 前 方 ) ペアは 伸 展 側 腕 の 前 腕 肘 を 保 持 し 抵 抗 をかけながら 約 3~5 秒 間 で 伸 展 側 腕 を 全 力 で 前 方 に 押 させる 左 右 の 腕 各 3~5セット 行 う 29

回 旋 ( 腕 前 方 ) 両 腕 を 前 方 に 伸 ばし 直 径 20cmの 円 を 描 くように 両 肩 を 回 旋 させる 内 旋 外 旋 各 10 回 回 旋 ( 腕 側 方 ) 両 腕 を 側 方 に 伸 ばし 直 径 20cmの 円 を 描 くように 両 肩 を 回 旋 させる 内 旋 外 旋 各 10 回 回 旋 ( 腕 上 方 ) 両 腕 を 上 方 に 伸 ばし 直 径 20cmの 円 を 描 くように 両 肩 を 回 旋 させる 内 旋 外 旋 各 10 回 30

オ 複 合 ショルダースイング 仙 骨 の 後 ろ 側 に 両 手 を 組 み ジョギングしながら 肘 を 前 後 に 動 かす ドローインをキープしながら ピラー( 軸 )を 安 定 させる できるだけ 力 を 抜 いて 行 う スピードはつけない リバースバットキック(バック 走 ) 後 方 に 向 かって 脚 を 大 きく 蹴 りだす 腸 腰 筋 大 腿 四 頭 筋 をダイナミックに 伸 ばす ドローインをキープしながら ピラー( 軸 )を 安 定 させる 筋 肉 の 伸 展 目 的 の 場 合 はゆっくりと 動 作 を 大 きくする スピードをつけると 大 腿 四 頭 筋 の 敏 捷 性 トレーニングになる (スクワット 後 に 行 うと 効 果 は 大 きい ) 31

2 トレーニング (1)ドローイン 腹 式 呼 吸 を 行 い 息 を 吐 きだした 状 態 ( 腹 圧 をかける)をキープする 呼 吸 は 胸 式 呼 吸 に 切 り 替 え ピラー( 軸 = 後 面 は 後 頭 部 脊 椎 骨 盤 が 一 直 線 上 前 面 は 鼻 おへそが 一 直 線 上 )を 真 っ 直 ぐにする ドローインを 意 識 することで 全 ての 動 きに 共 通 する 体 幹 部 の 基 本 姿 勢 をつくる ドローイン 状 態 とは 上 図 のインナーユニットと 呼 ばれる 内 層 筋 群 が 脊 柱 と 骨 盤 を 上 下 左 右 後 方 からしっかりと 安 定 (スタビライゼーション)させることである (2) 傷 害 予 防 トレーニングメニュー 中 学 生 から 高 校 生 の 時 期 は 成 長 途 中 であり 骨 筋 肉 の 発 達 のしかたに 個 人 差 が 多 い チー ム 全 体 で 同 メニュー 同 回 数 行 うのではなく 個 人 にあったトレーニングを 漸 進 的 に 取 り 入 れ たい メニューは 神 経 ( 動 作 の 認 識 ) 安 定 ( 動 作 の 維 持 ) アクティブ( 負 荷 ) リアクティブ( 連 続 反 射 ) の 順 に 個 人 の 筋 力 に 応 じて 選 択 し 正 しい 動 作 で 行 うことが 大 切 である ア 腰 背 部 (ア)スタビライゼーション < 神 経 > うつ 伏 せ 手 首 膝 の4 点 支 持 でドローインをキープする ピラー( 軸 = 後 頭 部 脊 柱 骨 盤 )が 一 直 線 上 になるように 姿 勢 をチェックしても らう 個 人 の 筋 力 に 合 わせて30 秒 ~120 秒 行 う 32

(イ)スタビライゼーション < 安 定 > プローン ラテラル スパイン 各 ポジションでドローインをキープする ピラー( 軸 = 後 頭 部 脊 柱 骨 盤 )が 一 直 線 上 になるように 姿 勢 をチェックして もらう 個 人 の 筋 力 に 合 わせて30 秒 ~120 秒 行 う (ウ)スタビライゼーション <アクティブ> プローンは2 点 支 持 の 状 態 で 支 持 していない 腕 と 脚 を 引 きあげる 動 作 を 繰 り 返 す ラテラルは2 点 支 持 の 状 態 で 腕 と 脚 を 同 時 に 持 ち 上 げる 動 作 を 繰 り 返 す スパインは2 点 支 持 の 状 態 で 片 脚 のみを 持 ち 上 げる 動 作 を 繰 り 返 す 個 人 の 筋 力 に 合 わせて30 秒 ~120 秒 行 う イ 足 関 節 下 腿 (ア) 下 腿 三 頭 筋 ( 腓 腹 筋 ヒラメ 筋 前 頚 骨 筋 )< 神 経 > 腓 腹 筋 ヒラメ 筋 前 頚 骨 筋 ラバーチューブ ゴムチューブ タオル 等 を 使 用 して 足 関 節 を 動 かすのに 必 要 な 筋 肉 ( 下 腿 三 頭 筋 )に 刺 激 を 入 れる 左 右 の 足 各 15 回 ~20 回 行 う 33

(イ) 下 腿 三 頭 筋 ( 腓 腹 筋 ヒラメ 筋 前 頚 骨 筋 ) < 安 定 > 片 足 立 ち( 硬 い 床 ) 片 足 立 ち( 柔 らかい 床 ) 片 足 立 ち(バランスディスク) ドローインをキープし 60 秒 ~120 秒 行 う (ウ) 下 腿 三 頭 筋 ( 腓 腹 筋 ヒラメ 筋 前 頚 骨 筋 ) <アクティブ> クロスアップステップ ドローインをキープし 踏 み 台 に 対 して 直 角 に 位 置 し 一 歩 で 大 きく 踵 から 踏 み 台 に 昇 る 昇 り 切 ったら 反 対 脚 の 膝 を 持 ち 上 げ 両 腕 を 真 上 に 伸 ばしバランスをとる 動 作 時 に 重 心 (ベクトル)が 身 体 の 外 にいかないようにする 身 体 の 中 心 (へその 下 10cm)に 持 っていく 左 右 の 脚 各 10 回 ~15 回 行 う ウ 膝 関 節 (ア)スクワット < 安 定 > ドローインをキープし 股 関 節 膝 を 曲 げ ゆっくりしゃがむ つま 先 よりも 膝 が 前 に 出 ない 両 脚 ともに 足 関 節 膝 関 節 股 関 節 が 一 直 線 上 (アライメント)に なるようにする 脊 柱 の 角 度 と 頚 骨 の 角 度 が 平 行 になるようにする 20 秒 以 上 行 う 34

(イ)シングルスクワット <アクティブ> 横 から 前 から ドローインをキープし 片 脚 は 踏 み 台 の 上 に 乗 せる 膝 を 曲 げ ゆっくりしゃがむ 膝 がつま 先 よりも 前 方 に 出 ないように 気 をつけて 両 脚 ともに 足 関 節 膝 関 節 股 関 節 が 一 直 線 上 (アライメント)になるようにする また 脊 柱 の 角 度 と 頚 骨 の 角 度 が 平 行 になるようにする 重 心 が 膝 ( 前 方 ) に 行 かないようにする 身 体 の 中 心 (へその 下 )に 持 ってい く 個 人 の 筋 力 に 合 わせて 回 数 を 設 定 する (ウ)アンクルポップ <リアクティブ> 足 首 膝 股 関 節 を 連 動 させて 高 く 跳 ぶ 動 作 を 繰 り 返 す 着 地 の 際 に 踏 み 込 まずに バウンディングのように 素 早 く 連 続 させる ジャンプの 際 は 大 殿 筋 を 収 縮 させて 大 きい 筋 肉 を 使 う 個 人 の 能 力 に 合 わせて 回 数 と 距 離 を 決 める 35

(エ)ノルディック ハムストリングス < 神 経 安 定 > 膝 立 ち つま 先 立 ち 姿 勢 から ペアに 下 腿 部 をしっかりと 押 さえてもらい 身 体 を 前 傾 させる ドローインをキープしながら 行 う 個 人 の 筋 力 に 合 わせて 時 間 を 設 定 する 20 秒 以 上 行 う (オ)レッグ キック アップ <リアクティブ> ドローインをキープしながら 膝 が 前 方 に 出 ないように 膝 を 屈 曲 し 踵 が 臀 部 を 叩 くようにできるだけ スピード をつけて 走 る ノルディック ハムストリングス 終 了 後 のトレーニングとして ハムストリングス の 敏 捷 性 をつける 個 人 の 筋 力 に 合 わせて 距 離 を 設 定 する 30 秒 以 上 行 う 36

オ 下 肢 部 総 合 (ア)3 方 向 ランジ <アクティブ> ベースポジション 正 面 ( 0 度 ) 後 方 ( 135 度 ) 側 方 ( 90 度 ) ドローインをキープし 両 腕 は 頭 の 後 ろに 組 む 軸 足 はベースポジションをキープし 反 対 脚 を 大 きく 踏 み 出 し 膝 を90 度 屈 曲 させる 軸 足 の つま 先 は 常 に 正 面 を 向 いている 足 関 節 膝 関 節 股 関 節 が 一 直 線 上 (アライメント) 膝 が つま 先 よりも 前 方 に 出 ない 脊 柱 の 角 度 と 頚 骨 の 角 度 が 平 行 になるようにキープする 重 心 が 膝 ( 前 方 = 身 体 の 外 ) に 行 かないようにする 身 体 の 中 心 (へその 下 )に 持 っていく 個 人 の 筋 力 に 合 わせて 回 数 を 設 定 する 37

カ 肩 関 節 (ア)インナーマッスル < 神 経 > ラバーチューブ ゴムチューブ 等 を 使 用 して 肩 のインナーマッスルに 刺 激 を 入 れる 左 右 の 肩 各 10 回 ~20 回 行 う ドローインをキープし ピラー( 軸 )を 崩 さないようにする 軽 い 負 荷 でゆっくり 行 う (ダンベル 等 強 い 負 荷 をかけると 三 角 筋 や 上 腕 三 頭 筋 上 腕 二 頭 筋 等 のアウターマッスルを 鍛 えてしまうので 注 意 する ) 38

(イ)インナーマッスル < 安 定 > つま 先 手 のひら( 硬 い 床 ) つま 先 ( 硬 い 床 ) つま 先 (バランスディスク) 手 のひら(バランス) 手 のひら(バランス) 基 本 応 用 1 応 用 2 ドローインをキープし ピラー( 軸 )を 崩 さないこと ( 一 枚 の 板 になるよう 意 識 する ) 個 人 の 筋 力 に 合 わせてレベルと 時 間 を 上 げていく (ウ)インナーマッスル アウターマッスル <アクティブ> 腕 立 て 伏 せ( 基 本 ) バランスを 使 っての 腕 立 て 伏 せ( 応 用 1) バランス+バランスディスクを 使 って 腕 立 て 伏 せ( 応 用 2) ドローインをキープし ピラー( 軸 )を 崩 さないこと ( 一 枚 の 板 になるよう 意 識 する ) 重 心 の 位 置 が 大 切 肩 ( 前 方 ) に 重 心 をかけない 身 体 の 中 心 (へその 下 )に 持 っていく 39

手 押 し 車 ドローインをキープし ピラー( 軸 )を 崩 さないこと ( 一 枚 の 板 になるよう 意 識 する ) 重 心 の 位 置 が 大 切 肩 ( 前 方 ) に 重 心 をかけない 身 体 の 中 心 (へその 下 )に 持 っていく 個 人 の 筋 力 に 合 わせて 距 離 を 決 める (エ) 三 角 筋 上 腕 三 頭 筋 <リアクティブ> 腕 立 て 連 続 ジャンプ ドローインをキープし ピラー( 軸 )を 崩 さないこと ( 一 枚 の 板 になる 意 識 ) 腕 立 てジャンプの 際 に 余 裕 があれば 両 手 を 叩 く 着 手 の 際 に 時 間 をかけない バウンディングの 要 領 で 行 う 個 人 の 筋 力 に 合 わせて 回 数 を 設 定 する 40

トレーニングメニューの 活 用 とポイント 静 的 ストレッチ は 酷 使 する 筋 や 腱 をケアする 意 識 を 持 ち リラックスしながら 決 して 無 理 をしないで 実 施 する 絶 対 に 他 人 と 競 わせないこと 静 的 ストレッチ は 自 宅 学 校 の 休 み 時 間 等 を 利 用 しながら 選 手 自 ら 時 間 をつくり 実 施 す ることが 望 ましい 動 的 ストレッチ は チーム 練 習 のアップメニューとして また 試 合 直 前 のアップメニュ ーとして 既 存 のフットワーク 等 に 組 み 込 みながら 実 施 する 動 的 ストレッチ は ただ 単 に 身 体 の 組 織 の 準 備 動 作 ではなく ベストパフォーマンスでき る 神 経 への 刺 激 (トレーニング)である 意 識 を 持 つこと トレーニング メニューは 競 技 の 特 性 に 合 わせて メニューを 選 び (または 既 存 のトレ ーニングでも 可 能 ) 正 しい 動 作 で 正 確 に 行 うことが 大 切 である 例 えば 正 しくない 動 作 のトレーニング100 回 よりも 正 しく 正 確 な 動 作 のトレーニング2 回 の 方 が 効 果 がある トレーニング の 負 荷 ( 回 数 時 間 セット 数 週 あたりの 頻 度 )は 個 人 の 能 力 に 合 わせて プログラムすること 1 神 経 2 安 定 3 アクティブ 4 リアクティブ の 順 番 を 守 ること 筋 力 アップ(ウェートを 使 ったバーベル ダンベル)を 入 れる 場 合 は 筋 肉 組 織 の 再 生 時 間 48 時 間 (2 日 )を 必 ず 空 けること ウェートトレーニング 以 外 は 毎 日 実 施 することが 可 能 である 謝 辞 2 年 間 に 亘 り 研 究 者 として またスポーツドクターとして 専 門 的 な 立 場 から 本 研 究 に 対 して アドバイスをいただいた 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 健 康 マネジメント 研 究 科 の 大 谷 俊 郎 教 授 並 びに トレ ーニングメニューに 関 しての 的 確 なアドバイスをいただいた World Athlete Club Academy 岩 崎 由 純 トレーナーに 心 より 御 礼 申 し 上 げます 文 献 1) 鳥 居 俊 基 礎 から 学 ぶ!スポーツ 障 害 2008 年 12 月 発 行 ベースマガジン 社 2)アスレチックトレーナーの 基 礎 知 識 http://www.geocities.jp/miyadai0403/topin/at-study/st-con/throw.htm 3)トレーニングジャーナル 2009 年 1 月 号 Book House HD 社 4)スポーツメディシン 2009 年 11 月 号 Book House HD 社 5)トレーニングジャーナル 2010 年 3 月 号 Book House HD 社 6)コーチングクリニック 2010 年 4 月 号 ベースマガジン 社 7)コーチングクリニック 2010 年 10 月 号 ベースマガジン 社 8) 村 上 貴 弘 DVDコアトレーニング 2008 年 発 行 池 田 書 店 41