2008 年 度 修 士 論 文 板 書 データの 折 線 近 似 を 改 良 した 通 常 教 室 における 講 義 コンテンツ 自 動 作 成 システム 指 導 教 授 岩 月 正 見 教 授 法 政 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 電 気 工 学 専 攻 修 士 課 程 07R3124 ト サ 戸 佐 ナ オ ト 直 人
Automatic Digital Content Generation System for Regular Classrooms with Improvement of Piecewise Linear Approximation for Handwritten Data on Blackboard Naoto TOSA Abstract We have been developing a new automatic digital content generation system for lectures in regular classrooms with a blackboard. However the system could not generate highly reproducible vector data of handwriting characters on blackboard. This paper proposes the modified system by improving of piecewise linear approximation for handwritten data on blackboard. 2
目 次 目 次.. 3 第 1 章.. 5 1.1 目 的.. 5 1.2 本 論 文 の 概 要.. 6 第 2 章.. 7 2.1 はじめに.. 7 2.2 システムの 概 要 と 特 徴.. 7 2.3 おわりに.. 8 第 3 章.. 9 3.1 はじめに.. 9 3.2 黒 板 領 域 の 抽 出.. 9 3.3 おわりに 11 第 4 章 12 4.1 はじめに 12 4.2 板 書 情 報 の 中 間 データ 生 成 12 4.3 中 間 データからベクトルデータ 生 成 14 4.4 講 師 映 像 の 抽 出 18 3
4.5 おわりに 20 第 5 章 21 5.1 はじめに 21 5.2 Web コンテンツの 概 要 21 5.3 Web コンテンツの 構 成 22 5.4 コンテンツデータ 量 の 比 較 23 5.5 おわりに 23 第 6 章 24 参 考 文 献 25 謝 辞 26 4
第 1 章 緒 言 1.1 目 的 近 年,インターネット 技 術 の 発 展 により, 教 育 現 場 において, 講 義 のリアル タイム 配 信 やオン デマンド 配 信 を 行 うための e-learning システムの 導 入 が 増 加 している.これにより, 直 接 参 加 することでしか 体 験 できなかった 講 義 の 内 容 をデジタル 的 に 保 存 でき,Web コンテンツとして 時 間 や 場 所 の 制 約 を 受 けず に 受 講 することが 可 能 となってきている[1][2].このように 講 義 をデジタルコン テンツ 化 して 配 信 する 場 合,PC 上 の 電 子 スライドだけを 利 用 しているのであ れば,PCとビデオカメラのみの 簡 便 なハードウェア 環 境 で, 資 料 提 示 のタイ ミングと 同 期 をとりながらコンテンツを 自 動 作 成 することが 可 能 である.しか しながら, 一 般 の 連 続 講 義 において,すべての 内 容 を 電 子 スライドとして 準 備 することは 相 当 な 負 担 を 教 員 に 強 いることになる.これに 対 して, 一 般 的 な 講 義 で 提 示 されるような 板 書 データをコンテンツ 化 する 場 合, 教 員 に 対 する 負 担 はないものの, 電 子 ホワイトボードなどが 設 置 された 特 別 な 教 室 を 用 意 する 必 要 があった.この 場 合,すべての 教 室 にこのシステムを 導 入 するには 膨 大 な 経 費 が 必 要 になる.また, 電 子 ホワイトボードやタブレットPCを 利 用 できたと しても, 板 書 スペースが 黒 板 と 比 べて 非 常 に 小 さいため, 数 式 や 図 を 多 用 する 理 工 系 の 講 義 では 使 いにくいという 不 満 もある. 事 前 事 後 学 習 教 材 としての e-learning コンテンツを 教 育 現 場 に 広 く 普 及 させることができないのは, 以 上 のような 原 因 によるところが 大 きいと 考 えられる.このような 問 題 に 対 し, 筆 者 らはハイビジョンカメラを 使 って 通 常 教 室 での 授 業 を 撮 影 するだけで,その 映 像 を 用 いた 画 像 処 理 により 黒 板 の 板 書 文 字 を 時 系 列 的 に 板 書 データ 化 して 提 示 することで, 通 常 教 室 における 講 義 をデジタルコンテンツ 化 して, 現 状 のイ ンターネット 環 境 でもストレスなく 快 適 に 遠 隔 配 信 できるシステムを 試 作 した [3].しかしながら,このシステムでは, 板 書 データの 折 線 近 似 の 精 度 が 悪 く, Web コンテンツ 上 で 提 示 される 板 書 データが 見 づらいという 問 題 があった.そ こで 本 稿 では,この 問 題 に 対 して, 折 線 近 似 の 折 れ 点 を 従 来 のシステムより 多 くとることにより, 板 書 データの 折 線 近 似 の 精 度 が 向 上 したシステムを 構 築 し たので 報 告 する. 5
1.2 本 論 文 の 概 要 本 論 文 では,6 章 から 構 成 されており, 各 章 の 概 要 を 以 下 に 示 す. 第 1 章 では, 本 論 文 の 目 的 や 概 要 第 2 章 では, 本 システムの 概 要 と 特 徴 第 3 章 では, 黒 板 領 域 の 抽 出 第 4 章 では, 板 書 データの 生 成 第 5 章 では,Web コンテンツの 作 成 第 6 章 では, 本 論 文 のまとめ について 述 べる. 6
第 2 章 本 システムの 概 要 2.1 はじめに 本 章 では, 本 システムの 概 要 や 特 徴 について 述 べる. 2.2 システムの 概 要 と 特 徴 図 1に 示 すように, 本 システムでは 講 師 1 人 による 通 常 教 室 における 黒 板 で の 講 義 に 対 して 1 台 のハイビジョンカメラを 用 いて 撮 影 を 行 う. 図 2に, 本 シ ステムで 行 われる 処 理 の 概 要 を 示 す. 本 システムでは,まず, 講 義 をハイビジ ョンカメラで 撮 影 し,その 映 像 を 1280 720 ピクセルサイズのビデオストリー ムとしてエンコーダ PC でキャプチャする.つぎに, 得 られた 映 像 から 動 きの 大 きい 講 師 映 像 部 分 を 消 去 し, 板 書 情 報 の 差 分 データを 検 出 し 中 間 データとする. このデータは, 黒 板 の 更 新 画 像 と 板 書 差 分 の 時 系 列 データが 保 存 されている. つぎに,この 中 間 データを 時 系 列 的 にブロック 化 し,それらを Zou 氏 らの 提 案 している 形 状 分 割 による 線 画 のベクトル 化 の 手 法 [4]を 適 用 して,ベクトルデー タに 変 換 する.また,これらの 処 理 とは 別 に, 撮 影 したビデオ 映 像 の 中 で, 動 きの 大 きい 部 分 を 講 師 映 像 として 切 り 出 す. 最 後 に, 仮 想 黒 板 上 にベクトルデ ータと 講 師 映 像 を 時 系 列 に 従 って 提 示 する Web コンテンツを 生 成 する. 本 シ ス テ ム の 特 徴 と し て は, 一 般 的 な 黒 板 や ホ ワ イ ト ボ ー ド な ど の あ る 通 常 教 室 に そ の ま ま 導 入 で き る の で, 電 子 ホ ワ イ ト ボ ー ド や デ ジ タ ル 黒 板 を 用 い た シ ス テ ム と 比 較 す る と 導 入 経 費 が 大 幅 に 削 減 で き る と い う 利 点 が あ る. ま た, 講 師 映 像 を 小 さ く し, 板 書 文 字 を ベ ク ト ル デ ー タ と し て 抽 出 す る 事 に よ り, 講 義 コ ン テ ン ツ の デ ー タ 総 量 を 小 さ く す る 事 で, 講 義 を 撮 影 し た 映 像 を 動 画 デ ー タ の ま ま 保 存 す る の に 比 べ て, 膨 大 な 記 憶 領 域 を 必 要 と し な い 特 徴 が あ る. 7
エ ン コ ー ダ PC 黒 板 ハイビジョン 映 像 図 1 システムの 構 成 講 義 映 像 の 撮 影 板 書 黒 板 領 域 の 抽 出 講 師 映 像 の 生 成 中 間 データの 生 成 板 書 文 字 のベクトルデータ 生 成 Web コンテンツの 生 成 図 2 処 理 の 概 要 2.3 おわりに 本 章 では,システムの 概 要 について 述 べた. 次 章 では, 本 章 で 述 べた 記 述 順 通 りに, 高 圧 縮 な 板 書 データの 生 成 手 法 につい て 述 べる. 8
第 3 章 板 書 領 域 の 抽 出 3.1 はじめに 本 章 では, 講 義 映 像 から 黒 板 やホワイトボードに 書 かれている 文 字 を, 高 圧 縮 な 板 書 データにする 手 法 について 述 べる. 簡 単 な 流 れを 述 べると,まず 板 書 領 域 を 抽 出 し,その 領 域 内 でチョークライン があれば 抽 出 を 行 い, 時 系 列 的 にファイルに 保 存 していくという 流 れである. 3.2 板 書 領 域 の 抽 出 撮 影 した 講 義 映 像 には 板 書 領 域 以 外 の 物 体 も 映 っているため,これらを 除 いて 板 書 領 域 のみにし, 板 書 データを 検 索 する 範 囲 を 狭 めることで, 誤 認 識 を 減 ら し,かつ 処 理 を 軽 くする. 検 出 手 順 は 以 下 の 通 りである. 1 図 3(1)のような 初 期 画 像 に 対 して Canny を 用 いてエッジ 検 出 を 行 い, 図 3(2)のような 画 像 を 得 る. 2 図 3(2)の 画 像 に 対 して 膨 張 収 縮 処 理 を 行 い,ノイズを 除 去 した 後, 画 素 値 を 反 転 させることで 図 3(3)のような 画 像 を 得 る. 3 一 般 的 に 黒 板 の 面 積 は, 撮 影 した 映 像 の 中 で 比 較 的 大 きいので, 図 3(3) の 画 像 に 対 してラベリング 処 理 を 行 い, 面 積 の 大 きい 物 を 板 書 領 域 の 候 補 とする. 4 板 書 領 域 の 候 補 の 中 で, 色 の 平 均 と 分 散 から 縦 と 横 の 長 さを 求 め, 横 が 縦 より 長 く 形 状 が 四 角 形 であるものを 板 書 領 域 とする. 結 果 は 図 3(4)のような 画 像 となる. 9
図 3(1) 初 期 画 像 図 3(2) エッジ 検 出 10
図 3(3) 膨 張 収 縮 処 理 後, 画 素 値 反 転 図 3(4) 板 書 領 域 の 検 出 結 果 3.3 おわりに 本 章 では, 板 書 領 域 の 抽 出 手 法 について 述 べた. 11
第 4 章 板 書 データの 生 成 4.1 はじめに 本 章 では,ハイビジョンカメラの 映 像 から,ユーザに 提 示 する 講 師 映 像 を 生 成 する 手 法 について 述 べる.また, 従 来 の 手 法 ではリアルタイム 配 信 が 不 可 能 な 処 理 速 度 であったため,リアルタイム 配 信 可 能 な 処 理 速 度 を 実 現 する 手 法 につ いても 述 べる. 4.2 板 書 情 報 の 中 間 データ 生 成 板 書 領 域 の 範 囲 の 映 像 の 中 でエッジが 極 めて 近 接 している 部 分 を,ラインとし て 検 出 する.ラインを 検 出 するために, 表 1に 示 す 細 線 抽 出 マスクを 用 いてマ スク 処 理 を 行 う.マスク 処 理 の 計 算 結 果 が 220~255 の 間 であるものをラインと して 認 識 し,そのラインが 40 フレーム 中 85% 以 上 のフレームにおいて 同 じ 位 置 にあれば,チョークによる 線 分 とする.チョークによる 線 分 の 位 置 および 色, 更 新 時 刻 を 時 系 列 的 にファイルに 保 存 し,これを 板 書 情 報 の 中 間 データとする. 図 4に 線 分 抽 出 デモの 画 像 を, 図 5に 表 1 のマスクを 用 いて 抽 出 した 板 書 情 報 の 中 間 データを 再 現 した 画 像 をそれぞれ 示 す. 表 1 細 線 抽 出 マスク 0-2 -2-2 0-2 0 3 0-2 -2 3 12 3-2 -2 0 3 0-2 0-2 -2-2 0 12
図 4 線 分 抽 出 デモ 図 5 板 書 データから 文 字 を 再 現 13
4.3 中 間 データからベクトルデータ 生 成 前 節 で 述 べた 板 書 の 中 間 データから 折 線 近 似 に 必 要 な 折 れ 点 となる 二 次 元 座 標 を 求 め,これを 折 線 近 似 化 したベクトルデータとする.しかし, 従 来 手 法 で は, 折 線 近 似 に 必 要 な 折 れ 点 の 数 が 少 なかったため, 近 似 精 度 が 悪 く,Web コ ンテンツ 上 での 拡 大 操 作 時 にユーザ 側 に 見 づらい 結 果 を 与 えていた.そこで, Zou 氏 らの 提 案 している 形 状 分 割 による 線 画 のベクトル 化 の 手 法 [4]を 適 用 し, 折 線 近 似 の 精 度 向 上 を 図 る.この 手 法 は,まず, 線 画 を 閉 曲 線 領 域 と 捉 え,こ の 閉 領 域 にドロネー 分 割 を 適 用 して, 重 畳 のない 小 さな 三 角 形 に 分 割 する.つ ぎに, 得 られた 三 角 形 郡 において, 隣 接 する 三 角 形 と 共 有 している 辺 の 中 点 を 抽 出 する.また 全 ての 辺 を 他 の 三 角 形 と 共 有 している 三 角 形 において, 三 角 形 の 重 心 となる 点 を 抽 出 する. 最 後 に, 各 三 角 形 において, 保 有 する 中 点 や 重 心 を 結 び,ひげのようなノイズやジャンクション 部 分 の 補 正 を 行 うことにより, 高 精 度 な 折 線 近 似 を 実 現 する 手 法 である. 具 体 的 に, 図 6の 中 間 データ 画 像 に 対 して,この 手 法 を 用 いたベクトルデー タ 生 成 手 順 を 以 下 に 示 す. また 比 較 図 として 従 来 手 法 で 生 成 した 折 線 近 似 画 像 の 拡 大 図 を 図 7に 示 す. 1. まず, 中 間 データを 図 6のような 二 値 化 した 画 像 に 変 換 し, 線 画 を 検 出 し, 図 8(1)のように 重 畳 のない 小 さな 三 角 形 に 分 割 する. 2. つぎに, 図 8(1)において, 図 8(2)のように 得 られた 三 角 形 群 の 隣 接 す る 辺 の 中 点 を 抽 出 し 結 ぶ. 3. 最 後 に, 図 8(2)に 対 して,ひげのようなノイズやジャンクション 部 分 の 補 正 を 行 うことにより, 図 8(3)のように 折 線 近 似 化 し, 折 線 近 似 の 各 線 分 を 形 成 している 折 れ 点 の 二 次 元 座 標 をベクトルデータとする. 14
図 6 二 値 化 した 中 間 データ 画 像 図 7 従 来 手 法 による 折 線 近 似 化 15
図 8(1) ドロネー 分 割 図 8(2) 三 角 形 群 において 隣 接 する 辺 の 中 点 を 結 んだ 画 像 16
図 8(3) 折 線 近 似 画 像 図 6の 中 間 データ 画 像 を 元 に, 改 良 前 の 従 来 手 法 を 用 いて 生 成 した 図 7の 折 線 近 似 の 折 れ 点 と, 改 良 後 である 図 8(3)の 折 線 近 似 の 折 れ 点 総 数 を 比 較 すると 表 2のようになる.この 表 からわかるように, 改 良 後 の 折 れ 点 総 数 は 改 良 前 に 比 べて 多 く 抽 出 している 事 により, 近 似 精 度 を 上 げている. 表 2 折 れ 点 総 数 の 比 較 改 良 前 改 良 後 折 れ 点 総 数 80 1633 17
4.4 講 師 映 像 の 抽 出 まず,カメラの 映 像 の 左 上 隅 を 画 像 原 点 とし, 水 平 右 方 向 をx, 垂 直 下 方 向 を yとする.また, 講 師 はカメラ 映 像 の 外 から 入 ってくるものとし,480 360 ピ クセルの 検 索 領 域 を 講 師 の 入 ってくる 方 向 に 設 定 する. 次 に 図 9(2)のように, 映 像 中 の 講 師 の 位 置 を 得 るため,カメラ 映 像 の 検 索 領 域 内 でフレーム 間 差 分 を 行 う. 動 体 を 毎 フレーム 検 出 する 必 要 はないので,フレーム 間 差 分 は4フレー ムに 1 回 とし,これらの 差 分 画 像 を2 値 化 する.2 値 化 処 理 の 結 果 から 検 索 領 域 内 で 動 体 があると 判 断 した 場 合,その 動 体 の 重 心 のx 座 標 を 求 める.また, 講 師 映 像 が 上 下 に 動 くと 見 づらいので y 座 標 は 固 定 して 切 り 出 すことにする. まず, 動 体 の 頂 点 座 標 を 求 め,ある 時 間 間 隔 で 得 られる 頂 点 座 標 のヒストグラ ムから, 出 現 頻 度 の 最 も 多 いy 座 標 を 求 める.こうして 求 めた x,y 座 標 を 講 師 座 標 とし 図 9(2),(3)の 赤 丸 で 示 す.しかし, 講 師 座 標 は 講 師 の 頭 ギリギリ の 位 置 なので, 余 裕 をもたせるためにある 値 γを 加 算 し,この 座 標 を 中 心 に 320 240 ピクセルの 矩 形 領 域 を 切 り 抜 くことで 講 師 映 像 を 生 成 する. 18
(1) 元 画 像 (2) 検 索 領 域 内 のフレーム 間 差 分 γ (3) 講 師 映 像 切 り 出 し 図 9 講 師 映 像 生 成 19
4.5 おわりに 本 章 では, 板 書 データの 生 成 手 法 と 講 師 映 像 の 生 成 手 法 について 述 べた. 次 章 では 本 章 で 述 べた 板 書 データと 講 師 映 像 を 用 いて Web コンテンツを 構 成 する. 20
第 5 章 WEB コンテンツの 提 示 5.1 はじめに 3 章,4 章 の 方 法 で 生 成 した 講 師 映 像 と 板 書 データを 用 いて,ブラウザ 上 で 講 義 が 視 聴 できる WEB コンテンツ 作 成 した. 本 章 では, 作 成 した WEB コンテンツ の 構 成 と 特 徴 について 述 べる. 5.2 WEB コンテンツの 概 要 本 システムの Web コンテンツは,PC 上 のブラウザで 標 準 的 に 採 用 されている HTML,JavaScript,Java Applet,Windows Media Player( 以 下 WMP)を 用 いて 作 成 している.これらは, 講 師 映 像 以 外 すべてをテキスト 形 式 で 記 述 す るだけで 簡 単 に 作 成 できるので, 講 師 映 像 と Java コンパイラさえ 用 意 すれば, コンテンツを 自 動 作 成 できるという 大 きな 利 点 がある.この Web コンテンツは, 講 義 映 像 を 閲 覧 するのに 必 要 な 標 準 動 作 である, 再 生, 停 止, 一 時 停 止, 早 送 り, 拡 大 縮 小 の 機 能 を 備 えている. 図 10に, 本 システムが 生 成 したブラウザ 画 像 の 実 際 の 例 を 示 す. 図 中 の 左 上 フレームに, 分 離 した 講 師 映 像 が 表 示 され, WMP の 各 種 ボタンにより 映 像 を 制 御 できる.また, 下 段 フレームに 板 書 データの 線 画 を 表 示 する 仮 想 黒 板 が 配 置 されている.この 仮 想 黒 板 上 でマウスをクリッ クすると, 右 上 フレームに,そのクリック 点 を 中 心 とする 拡 大 画 像 が 得 られる ようになっている.さらに, 拡 大, 縮 小 ボタンにより, 拡 大 比 率 を 変 えること ができる. 図 10 WEB コンテンツ 21
5.3 WEB コンテンツの 構 成 本 システムの Web コンテンツにおける 構 成 要 素 は, 先 ほども 述 べたように, HTML,JavaScript,Java Applet,WMP の4つである, 図 11に,それらの 関 係 を 示 す.この Web コンテンツにおいて 重 要 なことは,WMP による 講 師 映 像 と Java Applet による 仮 想 黒 板 とが 同 期 するということである. 同 期 させる 基 準 の 時 間 として WMP の 時 間 を 用 いた.その 時 間 を JavaScript で 取 得 し, 必 要 なタイ ミングに Java Applet の 関 数 を 呼 び 出 して, 仮 想 黒 板 に 描 画 することで 同 期 を 取 っている.また,WMP の 状 態 の 変 化 を 取 得 し,JavaScript がそれにあわせた Java Applet の 関 数 を 呼 び 出 すことで, 停 止 や 再 生 位 置 の 指 定 等 にも 対 応 してい る. 拡 大, 縮 小 の 倍 率 に 関 しては JavaScript が Java Applet の 関 数 を 実 行 して いる. 拡 大, 縮 小 の 位 置 に 関 しては,Applet 間 通 信 を 用 いて,メインフレーム の Applet が 拡 大 フレームの Applet を 制 御 する 形 になっている. HTML JavaScript 時 間 再 生, 停 止 一 時 停 止, 早 送 り 拡 大, 縮 小 JavaApplet 再 生, 停 止 一 時 停 止, 早 送 り 拡 大, 縮 小 WMP 時 間 再 生, 停 止 一 時 停 止, 早 送 り 図 11 Web コンテンツ 構 成 要 素 の 関 係 22
5.4 コンテンツデータ 量 の 比 較 講 義 をハイビジョンカメラで 撮 影 した 動 画 のデータ 容 量 と, 折 線 近 似 改 良 後 の 板 書 データおよび 講 師 映 像 のデータ 量 の 比 較 を 表 3に 示 す.また 折 線 近 似 化 の 改 良 前 と 改 良 後 の 板 書 データのデータ 量 の 比 較 を 表 4に 示 す. 表 3を 見 ると, ハイビジョン 映 像 に 比 べ, 講 師 映 像 と 板 書 データは 圧 倒 的 に 少 ないデータ 量 で あることが 分 かる.また 表 4を 見 ると, 改 良 前 に 比 べて 改 良 後 の 板 書 データ 量 は 増 えたが, 十 数 Kbyte 単 位 の 差 であるため,コンテンツを 保 存 するための 膨 大 な 記 憶 容 量 を 必 要 としないデータ 量 である 事 がわかる. 表 3 コンテンツデータ 量 の 比 較 動 画 (Mpeg2) 講 師 映 像 (wmv) 板 書 データ 容 量 (Kbyte) 71649 7880 47 撮 影 時 間 1:00 板 書 データは 5 秒 毎 に 更 新 表 4 板 書 データの 比 較 改 良 前 改 良 後 容 量 (Kbyte) 5 47 板 書 データは 5 秒 毎 に 更 新 5.5 おわりに 本 章 では, 本 システムにおける Web コンテンツの 概 要 について 述 べた. 23
第 6 章 結 語 本 論 文 では, 板 書 情 報 の 折 線 近 似 を 改 良 する 事 で, 従 来 のシステムに 比 べて, ユーザ 側 に 見 やすい 板 書 データを 提 示 するシステムを 報 告 した. 本 システムは 教 育 現 場 で, 手 軽 に 授 業 をデジタルコンテンツとして 保 存 することができるた め,e-Learning システムの1つとして 広 く 普 及 すると 期 待 される. しかし, 実 用 試 験 を 行 っていないので, 実 用 試 験 を 実 施 し,その 評 価 を 分 析 し て 改 良 を 行 っていく 必 要 がある. 24
参 考 文 献 1) 西 口 敏 司, 仙 田 修 司, 美 濃 導 彦, 池 田 克 夫, 首 振 りカメラによる 黒 板 の 記 録 手 法, 画 像 の 認 識 理 解 シンポジウム (MIRU' 96),vol. I,pp. 37-42,July.1996. 2) 大 西 正 輝, 泉 正 夫, 福 永 邦 雄, 講 義 映 像 における 板 書 領 域 のブロック 分 割 とその 応 用, 電 子 情 報 通 信 学 会 論 文 誌,Vol. J83-D-I,No.11,pp. 1187-1195, Nov.2000. 3) 米 川 輝, 萩 原 靖 久, 岩 月 正 見 : 通 常 教 室 における 講 義 のデジタルコンテン ツ 自 動 作 成 システムの 開 発,JSiSE2006 第 31 回 全 国 大 会 講 演 論 文 集, pp.685-688(2006-11). 4) Ju Jia Zou, Hong Yan, "Cartoon Image Vectorization Based on Shape Subdivision," Computer Graphics International 2001 (CGI'01), pp.0225-231, 2001. 5) 戸 佐 直 人, 岩 月 正 見 : 板 書 データの 折 線 近 似 を 改 良 した 講 義 コンテンツ 自 動 作 成 システム, 第 41 回 計 測 自 動 制 御 学 会 北 海 道 支 部 学 術 講 演 会 論 文 集, (2009-2) 25
謝 辞 本 論 文 は, 著 者 が 法 政 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 電 気 工 学 専 攻 に 在 学 している 際 に, 岩 月 研 究 室 において 行 った 研 究 を 取 りまとめたものです. 本 研 究 を 遂 行 す るにあたり, 全 般 的 に 深 い 御 指 導, 御 協 力 を 賜 りました 岩 月 正 見 教 授 に 心 から 感 謝 致 します.また, 本 研 究 に 携 わってきた 研 究 室 の OB の 方 々,4 年 間 共 に 研 究 に 励 んできた 植 田 君, 鈴 木 君,ならびに 岩 月 研 究 室 のシステムデザイン 専 攻 の 大 学 院 生,システムデザイン 学 科 の 学 部 生 の 皆 々 様 に 深 く 御 礼 申 し 上 げます. 2009 年 2 月 18 日 Naoto TOSA 26