2020年全面的小康社会への展望



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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

Q IFRSの特徴について教えてください

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

●電力自由化推進法案

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情


( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

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公表表紙

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

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Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

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1

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

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別紙3

m07 北見工業大学 様式①

ような 厚 生 年 金 基 金 関 係 の 法 改 正 がなされており (2)については 平 成 16 年 10 月 1 日 から (1) 及 び(3)については 平 成 17 年 4 月 1 日 から 施 行 されている (1) 免 除 保 険 料 率 の 凍 結 解 除 ( 母 体 企 業 (

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです 3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給

3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

目 次 都 市 づくりの 全 体 構 想 偏 1. 都 市 づくりの 理 念 と 目 標 1 1. 都 市 づくりの 理 念 と 将 来 像 1 2. 都 市 づくりの 目 標 とテーマ 2 3. 計 画 期 間 3 4. 将 来 人 口 フレーム 3 2. 将 来 都 市 構 造 4 1. 将 来

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

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RIETI Discussion Paper Series 12-J-009

RIETI Discussion Paper Series 12-J-009 2012 年 4 月 2020 年 全 面 的 小 康 社 会 への 展 望 孟 健 軍 ( 経 済 産 業 研 究 所 ) 1 要 旨 改 革 開 放 政 策 以 降 中 国 の 経 済 発 展 は 様 々な 困 難 を 克 服 しながらも 市 場 化 された 近 代 経 済 に 変 容 してきた この 間 5 億 人 の 貧 困 問 題 を 解 決 し 新 たな 発 展 段 階 に 入 った しかし 先 富 論 という 発 展 観 に 基 づいた 結 果 10%を 超 える 粗 放 な 高 成 長 によって 経 済 格 差 を 中 心 に 様 々な 社 会 問 題 を 抱 えている これからの 中 国 にとって 筆 者 は 共 同 富 裕 論 に 基 づいた 2020 年 達 成 目 標 の 全 面 的 小 康 社 会 こそが 今 後 の 経 済 発 展 に 影 響 を 与 える 重 要 なキーワードだと 考 えている つ まり 民 生 を 重 視 し 経 済 資 源 の 合 理 的 配 分 を 実 現 することが 今 後 の 中 国 発 展 の 基 本 になる と 思 っている 本 稿 では こうした 考 え 方 を 踏 まえ まず 中 国 特 有 の 小 康 社 会 という 概 念 の 整 理 を 通 じ 経 済 発 展 において 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 がどのようなものかという 点 について 分 析 する 次 にそれがどのような 統 計 指 標 によって 測 られるのか そしてそれぞれの 地 域 が 現 時 点 でどのような 発 展 段 階 の 小 康 社 会 に 達 したかを 実 証 的 に 考 察 する さらに 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 を 目 指 す 際 に 重 点 的 に 取 り 組 まなければならない 問 題 点 とその 解 決 策 に ついて 検 討 する 最 後 に 全 面 的 小 康 社 会 の 将 来 を 展 望 することにしたい キーワード: 経 済 制 度 発 展 モデル 指 標 体 系 構 造 転 換 JEL classification: O18, O21, O38, O43 RIETI ディスカッション ペーパーは 専 門 論 文 の 形 式 でまとめられた 研 究 成 果 を 公 開 し 活 発 な 議 論 を 喚 起 することを 目 的 としています 論 文 に 述 べられている 見 解 は 執 筆 者 個 人 の 責 任 で 発 表 するものであ り ( 独 ) 経 済 産 業 研 究 所 としての 見 解 を 示 すものではありません 1 本 稿 は 筆 者 が 独 立 行 政 法 人 経 済 産 業 研 究 所 客 員 研 究 員 として 2012 年 1 月 から 開 始 した 研 究 プロジェク トの 成 果 である 本 稿 を 作 成 するに 当 たっては 清 華 大 学 国 情 研 究 センター 並 びに 経 済 産 業 研 究 所 の 方 々 から 多 くの 有 益 なコメントを 頂 いた 1

1 はじめに 1978 年 から 開 始 された 中 国 経 済 の 改 革 開 放 政 策 は 2011 年 までで 既 に 33 年 が 経 過 し た 中 国 の 経 済 発 展 は 自 身 が 様 々な 困 難 を 克 服 しながら 市 場 メカニズムに 従 い 農 村 社 会 を 中 心 とする 伝 統 経 済 と 国 有 企 業 を 中 心 とする 計 画 経 済 から 徐 々に 脱 皮 し 市 場 化 さ れた 近 代 経 済 に 変 貌 しつつあると 言 える この 間 5 億 人 の 貧 困 問 題 を 解 決 し 新 たな 発 展 段 階 に 入 ったが 先 富 論 という 発 展 観 に 基 づいた 結 果 10%を 超 える 粗 放 な 高 成 長 によっ て 経 済 格 差 を 中 心 に 様 々な 社 会 問 題 を 抱 えている 中 国 の 変 容 をどう 理 解 したらよいのか 中 国 経 済 の 現 状 はいったいどうなっているのか これからの 中 国 はどこに 向 かっていくのか こうした 様 々な 問 題 提 起 に 対 しては その 答 えを 見 出 し 難 いと 思 われる 筆 者 は 中 国 における 共 同 富 裕 論 に 基 づいて 2020 年 達 成 目 標 とする 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 こそが 今 後 経 済 発 展 に 影 響 を 与 える 重 要 なキーワードだと 考 えている 即 ち これまでの 発 展 モデルは 先 富 論 から 共 同 富 裕 論 へのビジョンシフトによって 社 会 格 差 をなくす 方 向 に 転 換 する 具 体 的 に 言 えば 中 国 において 小 康 社 会 を 全 面 的 に 建 設 する ことを 通 じて 民 生 を 重 視 する 経 済 運 営 により 経 済 資 源 の 合 理 的 な 配 分 を 実 現 すること が 2020 年 までの 中 国 経 済 発 展 の 基 本 になるということである 本 稿 では こうした 考 え 方 を 踏 まえ まず 中 国 特 有 の 小 康 社 会 という 概 念 の 整 理 を 通 じ 経 済 発 展 において 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 がどのようなものかという 点 について 分 析 する 次 にそれがどのような 統 計 指 標 によって 測 られるのか そしてそれぞれの 地 域 が 現 時 点 でどのような 発 展 段 階 の 小 康 社 会 に 達 したかを 実 証 的 に 考 察 する さらに 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 を 目 指 す 際 に 重 点 的 に 取 り 組 まなければならない 問 題 点 とその 解 決 策 に ついて 検 討 する 最 後 に 全 面 的 小 康 社 会 の 将 来 を 展 望 することにしたい 2 小 康 社 会 の 概 念 整 理 改 革 開 放 以 来 の 三 十 数 年 間 中 国 社 会 を 経 済 発 展 の 道 に 導 くため 様 々な 概 念 理 論 目 標 などが 打 ち 出 されてきた 先 富 論 をはじめとし 小 康 社 会 南 巡 講 話 社 会 主 義 市 場 経 済 共 同 富 裕 論 三 つの 代 表 和 諧 社 会 科 学 的 発 展 観 等 がある それらのなかで は 小 康 社 会 を 社 会 経 済 発 展 の 段 階 的 目 標 として 鄧 小 平 時 代 から 江 沢 民 時 代 を 経 て 今 日 の 胡 錦 濤 時 代 に 至 るまで 語 られてきている 現 在 2020 年 に 向 けて 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 を 中 国 政 府 の 努 力 目 標 としているのである 筆 者 は 中 国 がこの 小 康 社 会 という 概 念 を 全 面 的 に 打 ち 出 したことは すくなくと も 20 世 紀 を 通 して 中 国 人 を 悩 ませた 西 洋 的 イデオロギーの 呪 縛 から 本 当 に 脱 却 できた 一 里 塚 であり 将 来 の 中 国 発 展 に 重 要 な 意 義 を 持 つものと 認 識 している しかし 中 国 におけ 2

る 小 康 小 康 社 会 全 面 的 小 康 社 会 はいったいどのようなものであろうか 2.1 古 代 における 小 康 と 小 康 社 会 小 康 という 概 念 は 遥 か 古 代 から 伝 えられてきた 典 型 的 な 中 国 式 の 考 え 方 である 小 康 という 言 葉 は 紀 元 前 11 世 紀 から 紀 元 前 6 世 紀 までの 中 国 最 古 の 詩 集 詩 経 に 初 めて 登 場 した 詩 経 の< 詩 大 雅 民 労 >の 中 に 民 亦 労 止 汔 可 小 康 という 一 節 があり これが 小 康 という 言 葉 の 最 初 の 記 述 である しかし 小 康 が1つの 社 会 形 態 即 ち 小 康 社 会 として 記 述 されたのは 紀 元 前 1 世 紀 の 前 漢 において 編 纂 された 儒 教 の 経 典 の 1 つである 礼 紀 礼 運 篇 であった そこに 記 述 された 小 康 社 会 は ユートピアに 近 い 大 同 思 想 に 基 づく 理 想 の 社 会 に 対 照 する やや 現 実 味 を 持 った 社 会 を 指 している 現 在 の 意 味 に 直 すと 伝 統 の 大 同 社 会 が 財 産 の 公 有 制 民 本 政 治 社 会 秩 序 の 安 定 などに 基 礎 をおく 理 想 的 な 社 会 状 態 であ るのに 対 し 小 康 社 会 はそれより 低 い 次 元 にあり 財 産 の 私 有 制 を 前 提 に 生 活 にゆと りがあり 社 会 秩 序 が 安 定 しているという 社 会 状 態 である その 後 古 代 の 思 想 家 たちは 小 康 社 会 に 対 して 様 々な 社 会 設 計 を 行 い 多 くの 思 想 的 含 意 を 与 えた しかし 当 時 の 中 国 が 自 給 自 足 の 小 作 農 社 会 であったことを 考 慮 すると 小 康 社 会 が 現 実 味 を 持 つといっても あくまで 書 斎 の 中 の 理 想 に 過 ぎず 長 期 にわたって 貧 困 状 態 におかれていた 中 国 の 一 般 民 衆 にとっては 衣 食 が 満 ち 足 りる 状 態 への 憧 れに 過 ぎなかったのである このため 小 康 小 康 の 家 小 康 生 活 等 の 概 念 あるいは 言 葉 は 今 日 までの 数 千 年 間 に 広 く 中 国 の 民 衆 に 知 られるようになったものの それは 儒 教 の 経 典 に 描 かれたよう に 厳 格 なものではなかった 長 い 歴 史 とともに 小 康 は 書 斎 から 現 実 の 社 会 に 向 けて その 意 味 が 変 わり 主 に 家 の 中 に 余 剰 の 食 糧 があり 生 活 が 比 較 的 に 豊 かだ という 状 態 を 指 すようになったのである 2.2 小 康 の 現 代 意 味 鄧 小 平 の 小 康 社 会 観 および 全 面 的 小 康 社 会 目 標 今 日 多 くの 中 国 人 が 理 解 している 小 康 は やや 資 産 があり ゆとりのある 家 衣 食 に 困 らず 経 済 的 に 比 較 的 余 裕 のある 生 活 あるいは いくらかゆとりのある 家 庭 を 指 すのである 経 世 済 民 の 抱 負 をもつ 歴 代 の 政 治 家 や 思 想 家 は 中 国 の 古 典 からその 思 想 を 吸 収 し 現 実 の 目 的 のために 使 う 場 合 が 多 い 特 に 中 国 では 1840 年 のアヘン 戦 争 以 降 日 々に 増 し ていた 存 亡 の 危 機 感 から 康 有 為 孫 文 あるいは 毛 沢 東 などが 大 同 思 想 を 中 心 に 中 国 の 将 来 における 理 想 社 会 を 描 いていた 時 代 の 変 化 もあるが 鄧 小 平 は 小 康 社 会 を 中 国 が 貧 窮 社 会 から 豊 かな 近 代 国 家 に 至 る 1 つの 発 展 段 階 として 捉 え それは 衣 食 が 満 ち 足 りる 状 態 は 超 えるが 富 裕 の 状 態 までには 至 らない 社 会 だと 提 起 した この 意 味 では 鄧 小 平 が 小 康 あるいは 小 康 3

社 会 に 斬 新 な 意 義 を 与 えたといっても 過 言 ではない 鄧 小 平 が 彼 の 小 康 観 を 初 めて 述 べたきっかけは 日 本 と 深 い 係 わりを 持 っている 2 1979 年 12 月 6 日 鄧 小 平 は 訪 中 した 大 平 正 芳 首 相 と 会 見 した 会 見 の 席 上 大 平 首 相 は 中 国 は 社 会 主 義 国 家 を 建 設 するために 独 自 の 立 場 から 四 つの 現 代 化 3 という 雄 大 な 目 標 を 打 ち 出 しましたが その 近 代 化 の 青 写 真 とはどのようなものでしょうか と 質 問 した 鄧 小 平 はこの 質 問 に 対 し 約 一 分 間 考 え 込 んでいたと 言 われているが しばらくして 彼 は ~ われわれの 四 つの 現 代 化 の 概 念 は 貴 方 たちが 抱 く 近 代 化 のイメージとは 違 い それ は 小 康 の 家 を 目 指 すものなのです~ 4 と 答 えた 恐 らくこれは 彼 の 小 康 観 の 最 初 の 表 れであろう そのとき 鄧 小 平 は 戦 後 における 日 本 経 済 の 発 展 を 念 頭 に 置 き そう 答 えたと 推 測 される 鄧 小 平 は 小 康 の 家 という 考 え 方 を 初 めて 提 示 してから 即 ち 1980 年 代 以 降 しば しば 1 人 当 り 国 民 収 入 という 指 標 を 使 い 彼 の 小 康 観 および 中 国 式 の 近 代 化 の 進 展 に ついて 説 明 した 鄧 小 平 文 選 の 第 二 巻 と 第 三 巻 には 小 康 という 言 葉 が 40 数 ヶ 所 5 で 使 われ 小 康 之 家 小 康 水 準 小 康 社 会 小 康 国 家 6 といった 表 現 が 散 見 される さらに 鄧 小 平 は 小 康 という 概 念 と 彼 の 中 国 発 展 戦 略 とを 繋 げ 次 のように 述 べたこ とがある われわれの 目 標 の 第 一 歩 は 1980 年 の 1 人 当 り 国 民 収 入 250 米 ドルのレベルを 基 準 として 80 年 代 末 までに 倍 増 し 1 人 当 り 500 ドルを 実 現 することである 第 二 歩 で は 本 世 紀 末 までにさらに 倍 増 し 1 人 当 り 800 ドルから 1000 ドルを 達 成 したい この 目 標 を 達 成 すれば われわれは 小 康 社 会 に 入 り 貧 困 の 中 国 を 小 康 の 中 国 に 変 えること ができる そのとき 国 民 総 生 産 は 1 兆 ドルを 超 え 1 人 当 りのレベルはまだ 低 いものの 国 家 全 体 の 経 済 力 ( 国 力 )が 大 きく 増 大 する そして われわれの 目 標 で 最 も 重 要 なのは 第 三 歩 であり それは 21 世 紀 に 入 り 30~50 年 にかけてさらに 4 倍 増 し 1 人 当 り 概 ね 4000 ドルというレベルを 達 成 したい そうなると 中 国 は 中 等 国 家 のレベルを 実 現 する これ こそ われわれの 雄 大 な 構 想 である 7 こうした 鄧 小 平 の 小 康 社 会 に 関 する 論 断 も 第 一 歩 と 第 二 歩 は 彼 自 身 の 先 富 論 とい う 考 え 方 に 基 づいたものであった しかし 第 三 歩 は 今 後 の 中 国 における 全 面 的 小 康 社 会 建 設 の 初 期 シナリオであったとは 捉 えられるだろう 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 の 根 底 をなすものは 先 富 論 に 基 づく 発 展 観 ではなく 格 差 の 2 文 献 をサーベイしていくうちに 筆 者 がこの 事 実 を 知 り 少 なからず 驚 いたことがある 3 四 つの 現 代 化 とは 1964 年 に 毛 沢 東 により 一 度 提 起 され 1975 年 に 周 恩 来 が 再 び 第 4 回 全 国 人 民 代 表 大 会 で 正 式 に 打 ち 出 した それは 本 世 紀 末 (2000 年 )までに 工 業 農 業 国 防 および 科 学 技 術 の 四 つの 現 代 化 を 実 現 するという 目 標 であった 4 鄧 小 平 文 選 の< 中 国 の 今 世 紀 の 目 標 は 小 康 を 実 現 する>を 参 照 されたい これは 1979 年 12 月 6 日 に 大 平 正 芳 首 相 と 会 見 した 時 の 談 話 である 5 李 忠 傑 中 国 の 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 を 解 読 する 瞭 望 新 聞 週 刊 2002 年 10 月 16 日 6 筆 者 が 小 康 という 言 葉 の 使 い 方 を 調 べたところ 小 康 小 康 状 態 小 康 之 家 小 康 生 活 小 康 水 準 小 康 社 会 小 康 国 家 全 面 的 小 康 社 会 などがあった 7 これは 1987 年 4 月 に 鄧 小 平 がスペイン 首 相 と 会 見 した 時 の 談 話 である 4

解 消 を 目 指 す 共 同 富 裕 論 という 発 展 観 であるべきであろう 中 国 で 全 面 的 小 康 社 会 の 概 念 が 本 格 的 に 提 起 されたのは 2002 年 の 半 ば 頃 であり 8 さらに 同 年 11 月 の 中 国 共 産 党 の 第 16 回 全 国 大 会 では 6 つの 側 面 から 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 に 定 性 的 な 定 義 が 加 えられた のである 9 そして 2003 年 から 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 の 目 標 設 定 および 計 測 指 標 体 系 の 構 築 に 取 り 組 み 始 めた 2.3 小 康 社 会 の 提 起 は 西 洋 的 イデオロギーからの 脱 却 中 国 での 20 世 紀 全 体 を 振 り 返 ってみると 清 王 朝 末 期 の 改 良 主 義 から 孫 文 の 旧 民 主 主 義 革 命 の 時 期 毛 沢 東 の 新 民 主 主 義 革 命 から 社 会 主 義 の 改 造 を 通 じてより 早 く 共 産 主 義 の 実 現 を 目 指 す 時 期 鄧 小 平 時 代 の 社 会 主 義 初 期 段 階 論 から 社 会 主 義 市 場 経 済 論 の 時 期 さら には 帝 国 主 義 の 打 倒 や 資 本 主 義 の 批 判 等 中 国 は 自 らが 伝 統 的 に 不 得 手 とする 様 々な 論 争 や 闘 争 から 免 れることができずに 西 洋 的 イデオロギーに 大 いに 翻 弄 された 一 世 紀 といっ ても 過 言 ではなかろう これら 多 くの 西 洋 的 イデオロギーの 影 響 により 未 だに 多 くの 人 々 は 中 国 で 全 面 的 小 康 社 会 を 建 設 することの 本 当 の 意 味 をきちんと 理 解 できていないもの と 思 われる 筆 者 は 20 世 紀 最 後 の 20 年 における 中 国 について 表 舞 台 では 市 場 メカニズムが 導 入 さ れつつあったが 依 然 として 姓 資 姓 社 10 という 西 洋 的 イデオロギーの 論 争 に 象 徴 されたように 前 半 の 10 年 に 社 会 主 義 論 から 社 会 主 義 初 期 段 階 論 に 修 正 後 半 の 10 年 には 社 会 主 義 初 期 段 階 論 から 社 会 主 義 市 場 経 済 論 に 修 正 される 有 様 で とても 小 康 社 会 と いう 中 国 式 の 概 念 を 表 に 打 ち 出 す 余 地 などなかったものと 考 えている 前 述 したように 中 国 がこの 小 康 社 会 を 2002 年 に 提 起 されてさらに 2020 年 に 向 けて 全 面 的 に 推 し 進 めることは 西 洋 のイデオロギーによる 論 争 からの 解 放 だけではなく 今 後 の 中 国 発 展 にも 重 要 な 鍵 を 握 ることになるのである 3 全 面 的 小 康 社 会 の 目 標 設 定 および 達 成 度 3.1 目 標 設 定 2002 年 11 月 の 第 16 回 党 大 会 では 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 目 標 に 定 性 的 な 定 義 が 加 えら れた 小 康 社 会 について 農 業 社 会 から 工 業 化 農 村 社 会 から 都 市 化 伝 統 社 会 から 近 代 8 2002 年 5 月 31 日 江 沢 民 は 中 国 共 産 党 中 央 党 校 の 省 部 級 ( 大 臣 クラス) 研 修 班 の 卒 業 式 で 初 めて 中 国 は 21 世 紀 に 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 に 入 る と 提 起 し 注 目 を 浴 びた この 5 31 講 話 は 同 年 11 月 に 開 催 された 中 国 共 産 党 第 16 回 全 国 代 表 大 会 の 基 本 となった 9 中 国 共 産 党 の 第 16 回 全 国 代 表 大 会 では 初 めて 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 に 以 下 6つの 定 性 的 な 定 義 が 与 え られた 経 済 を 更 に 発 展 させ 民 主 を 更 に 健 全 させ 科 学 教 育 を 更 に 進 歩 させ 文 化 を 更 に 繁 栄 させ 社 会 を 更 に 調 和 させ 人 民 生 活 を 更 に 豊 かにさせる 10 姓 資 姓 社 とは 改 革 開 放 から 1992 年 までに 中 国 における 資 本 主 義 か 社 会 主 義 かというイデオ ロギー 論 争 を 指 すのである 5

化 をそれぞれ 実 現 するために 中 国 が 必 ず 経 由 しなければならない1つの 発 展 段 階 として 捉 えている そうすると 中 国 における 小 康 社 会 というものが いったいどのような 分 類 の 中 に 成 り 立 つのか あるいはどの 段 階 が 全 面 的 小 康 社 会 であるのかという 点 について 定 量 的 に 計 測 することができると 考 えられる 中 国 では 前 述 した 小 康 社 会 の 概 念 に 基 づき 現 在 一 般 的 に 以 下 の 5 つの 経 済 発 展 段 階 に 分 類 および 定 義 している それは (1) 貧 困 社 会 : 貧 窮 状 態 世 銀 の 貧 困 ライン 以 下 ;(2) 温 飽 社 会 : 衣 食 が 満 ち 足 りた 状 態 世 銀 の 低 収 入 国 ;(3) 小 康 社 会 : 部 分 的 にいくらかゆと りのある 状 態 世 銀 の 中 低 収 入 国 ;(4) 全 面 的 小 康 社 会 : 全 面 的 にいくらかゆとりのある 状 態 世 銀 の 中 上 収 入 国 ;(5) 富 裕 社 会 : 裕 福 な 状 態 ( 最 富 裕 層 も 含 む) 世 銀 の 高 収 入 国 である 2000 年 の 経 済 発 展 状 況 を 参 考 とした 2002 年 当 初 の 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 目 標 の 具 体 的 な 内 容 には (1)2001~2020 年 経 済 総 量 の 4 倍 増 を 実 現 させる (2) 総 合 的 な 国 力 について 米 国 との 相 対 的 格 差 を 向 こう 20 年 間 に 現 在 の 3 倍 から 2 倍 以 内 に 抑 える (3) 国 民 の 生 活 レベル( 所 得 レベル)に 顕 著 な 改 善 がみられるようにし 世 界 の 中 下 レベルの 国 から 中 上 レベルの 国 への 仲 間 入 りを 果 たす (4) 国 際 競 争 力 を 高 め 世 界 上 位 にランクインする などが 含 まれる 全 面 的 小 康 社 会 への 具 体 的 計 測 指 標 体 系 の 構 築 は 2003 年 に 国 家 統 計 局 科 学 研 究 所 によ って 取 り 組 みが 始 められた 11 しかし 2007 年 の 第 17 回 党 大 会 は 科 学 的 発 展 観 の 指 導 の 下 に 和 諧 社 会 を 目 指 している 指 導 部 の 意 向 を 反 映 するため 2006 年 当 時 の 中 国 の 現 実 から 出 発 し 国 内 外 情 勢 発 展 の 新 しい 変 化 に 適 応 する 高 い 要 望 の 目 標 設 定 を 新 たに 打 ち 出 した そ して 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 目 標 については 以 下 の4つの 要 点 に 集 約 された それは (1) 全 面 小 康 社 会 を 実 現 する 前 提 条 件 は 経 済 を 大 いに 発 展 すること (2) 全 面 小 康 社 会 を 実 現 す る 内 的 要 望 は 生 活 の 質 を 高 めること (3) 全 面 小 康 社 会 を 実 現 するキーワードは 貧 富 の 格 差 を 縮 小 すること (4) 全 面 小 康 社 会 を 実 現 する 重 要 な 任 務 は 生 活 環 境 を 改 善 すること であ る そして 国 家 統 計 局 統 計 科 学 研 究 所 は2008 年 6 月 それに 基 づいた 研 究 結 果 をようやくまと めた それは6つのカテゴリと23の 計 測 指 標 によって 構 成 されている 全 面 小 康 社 会 の 建 設 の 統 計 計 測 方 案 である 2009 年 以 降 これを 持 って 中 国 の 全 面 小 康 社 会 の 建 設 の 進 展 状 況 に 対 して 具 体 的 な 計 測 を 行 うようになっている 3.2 統 計 指 標 の 体 系 構 築 表 1 の 全 面 的 小 康 社 会 の 統 計 指 標 体 系 に 示 されたように 指 標 体 系 には 経 済 発 展 社 会 調 和 生 活 の 質 民 主 法 律 文 化 教 育 資 源 環 境 の6つのカテゴリと23 個 の 具 体 的 な 計 測 指 標 が 含 まれている 11 全 面 小 康 社 会 の 計 測 指 標 は 当 初 国 連 などの 指 標 を 参 考 に 11 人 当 り 国 民 所 得 (GNI) 2 人 間 開 発 指 数 (HDI) 3エンゲル 係 数 4 貧 困 人 口 比 率 が 用 いられた 6

全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 の 達 成 度 は 総 合 指 数 であり 各 計 測 指 標 の 実 際 値 を 標 準 値 に 割 っ て 再 び 加 重 された 結 果 である 達 成 度 は 60 になると 小 康 社 会 であり 100 になると 全 面 的 小 康 社 会 である 即 ち 全 面 的 小 康 社 会 を 建 設 する 進 展 評 価 は 60 からスタートし 100 を ゴール 目 標 とする また 6つのカテゴリ 12 および23の 具 体 的 な 計 測 指 標 に 対 する 達 成 度 の 評 価 も 同 様 の 考 えである 3.3 全 面 的 小 康 社 会 の 達 成 度 (1)カテゴリの 達 成 度 以 上 の 設 定 目 標 と 統 計 指 標 体 系 に 従 い 最 新 の 2011 年 中 国 統 計 年 鑑 を 用 いて 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 の 達 成 度 を 見 てみよう 表 2 のカテゴリの 達 成 度 によると 2020 年 に 向 けて 2010 年 の 全 面 小 康 社 会 の 建 設 の 達 成 度 は 80.1%となった これは 2000 年 の 59.6%より 20.5% 高 い 6つのカテゴリの 中 では 2010 年 の 達 成 度 順 で 民 主 法 治 生 活 の 質 社 会 調 和 資 源 環 境 経 済 発 展 文 化 教 育 であった しかし 2000 年 に 比 べると 生 活 の 質 経 済 発 展 社 会 調 和 が 大 きく 変 化 し たのに 対 して 資 源 環 境 文 化 教 育 と 民 主 法 治 の 変 化 は 相 対 的 に 小 さい (2) 統 計 指 標 別 の 達 成 度 さらに 統 計 指 標 別 にみると 表 3 のようになる 2010 年 の 全 面 小 康 社 会 の 建 設 の 達 成 度 は 80.1%となったのに 対 して 23 の 統 計 指 標 別 の 達 成 度 は 80% 以 下 のものがまだ 11 あ る 主 に 文 化 関 係 収 入 分 配 関 係 エネルギー 環 境 関 係 における 全 面 小 康 社 会 の 建 設 の 達 成 度 が 低 い これらを 根 拠 にして 中 央 政 府 の 施 策 は 文 化 の 促 進 格 差 の 是 正 およ び 環 境 重 視 の 産 業 構 造 転 換 の 方 向 に 重 点 を 置 くことになっている 3.4 エンゲル 係 数 でみた 全 面 的 小 康 社 会 2001 年 に 都 市 住 民 のエンゲル 係 数 が 37.9%であったのに 対 し 農 村 住 民 のエンゲル 係 数 は 47.7%であった このようにエンゲル 係 数 からみても 都 市 と 農 村 には 大 きな 格 差 が 存 在 した ここで E 60 を 貧 困 段 階 60 50 を 温 飽 段 階 50 40 を 初 期 小 康 段 階 40 30 を 全 面 的 小 康 段 階 そして 30 20 を 富 裕 段 階 と 定 義 すると 当 時 において 中 国 では 都 市 住 民 がほぼ 小 康 段 階 に 到 達 したのに 対 して 農 村 住 民 の 殆 どは 温 飽 段 階 を 超 えたばかりに 過 ぎなかった とりわけ 当 時 のチベットと 貴 州 の 農 村 では エンゲル 係 数 が 60%を 超 え まだ 貧 困 の 状 況 下 にあった しかし 2010 年 のエンゲル 係 数 をみると かなり 変 化 してきている 表 4に 示 されたよ うに 2010 年 に 都 市 住 民 のエンゲル 係 数 が 35.7%であったのに 対 し 農 村 住 民 のエンゲ ル 係 数 は 41.1%であった 都 市 と 農 村 のエンゲル 係 数 の 格 差 は 2001 年 の 9.8%から 2010 年 の 5.4%まで 縮 小 してきた 12 6つのカテゴリのそれぞれの 総 合 比 重 は 経 済 発 展 29 社 会 調 和 15 生 活 の 質 19 民 主 法 律 11 文 化 教 育 14 資 源 環 境 12 である 7

これはさらに 各 地 域 のエンゲル 係 数 をみると 都 市 と 農 村 には 大 きな 格 差 がなくなった 40 30 を 全 面 的 小 康 段 階 と 定 義 すると 2010 年 の 中 国 では 都 市 住 民 がほぼ 全 面 的 小 康 段 階 に 到 達 した また 農 村 住 民 の 殆 ども 全 面 的 小 康 段 階 か 初 期 小 康 段 階 に 達 成 した チベッ トの 都 市 と 海 南 の 農 村 では 50%を 超 えてすこし 高 いものの もはや 貧 困 段 階 と 判 定 する 地 域 は 一 つもない このような 変 貌 ぶりは むしろ 中 国 経 済 がすでに 新 しい 発 展 段 階 に 入 っ ていると 示 唆 する つまり 中 国 では もはや 低 水 準 の 経 済 発 展 状 態 ではなく 経 済 発 展 及 び 構 造 転 換 によって 共 同 富 裕 論 に 基 づいた 2020 年 の 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 に 向 かっ ているのである 3.5 不 均 衡 発 展 の 全 面 的 小 康 社 会 しかし 1 人 当 りの 収 入 でみると 2010 年 の 都 市 農 村 の 収 入 比 はまだ 3.45 倍 であった そして 沿 海 都 市 と 内 陸 都 市 には 2.41 倍 の 格 差 があったのに 対 して 沿 海 部 農 村 と 内 陸 部 農 村 の 格 差 は 4.08 倍 に 達 した これは 2.80 倍 という 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 目 標 を 考 え ると 都 市 部 においてはかなり 収 斂 しているのに 対 して 都 市 全 体 と 農 村 全 体 沿 海 部 農 村 と 内 陸 部 農 村 の 格 差 が 依 然 として 大 きい かつて 胡 鞍 鋼 氏 は 中 国 の 基 本 的 な 国 情 を 1 つ の 中 国 が 4 つの 世 界 あるいは 1 つの 中 国 が 4 つの 社 会 13 と 表 現 しているが 現 在 にお いても 1 つの 中 国 が3つの 世 界 つまり 都 市 部 沿 海 部 農 村 と 内 陸 部 農 村 の3つとな っている 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 にはいまだに 不 均 衡 の 状 況 下 にあるといえよう 表 5 の 地 域 別 でみると 上 海 北 京 浙 江 天 津 および 江 蘇 などの 沿 海 部 および 大 都 市 には 都 市 と 農 村 の 収 入 がともに 高 く そして 都 市 農 村 間 の 収 入 格 差 も 小 さい これに 対 し 貴 州 雲 南 甘 粛 などの 内 陸 部 および 農 村 地 域 には 逆 に 都 市 と 農 村 の 収 入 がともに 低 く そして 都 市 農 村 間 の 収 入 格 差 も 大 きい 中 国 の 全 面 小 康 社 会 の 建 設 は これらの 状 況 から みると 地 域 的 に 極 めて 不 均 衡 なものだと 言 えよう その 意 味 で 2020 年 に 向 けて 中 国 にお ける 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 の 鍵 は 内 陸 部 および 農 村 部 にあろう さらに 表 6の 全 面 的 小 康 社 会 の 順 位 を 一 人 当 たり GDP と HDI と 比 較 すると より 顕 著 と なっている 全 般 的 に 上 海 北 京 広 東 天 津 江 蘇 および 浙 江 などの 沿 海 部 諸 地 域 を 中 心 に 高 い 順 位 にランクされているが 青 海 新 疆 貴 州 チベットおよび 甘 粛 などの 内 陸 西 部 地 域 を 中 心 に 低 い 順 位 にランクされている 西 部 各 地 域 の1 人 当 り GDP HDI および 全 面 的 小 康 指 数 のすべては 全 国 31 省 の 順 位 中 20 位 以 降 にランクされていることを 見 落 と してはいけない 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 は 中 国 における 経 済 発 展 や 生 活 の 質 の 高 まりによって 低 水 準 か ら 脱 却 したが 地 域 間 の 格 差 の 存 在 によって 未 だ 不 均 衡 の 段 階 にあると 言 えよう このこ とを 念 頭 に 置 きながら どのようにすれば 自 らが 目 指 している 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 を 実 現 できるのかという 点 について 検 討 してみたい 13 胡 鞍 鋼 編 地 区 と 発 展 : 西 部 開 発 の 新 戦 略 中 国 計 画 出 版 社 2001 年 8

4 全 面 的 小 康 社 会 の 基 本 思 考 と 評 価 体 系 の 問 題 点 4.1 共 同 富 裕 論 のビジョンに 帰 すこと 中 国 の 経 済 発 展 は 現 段 階 の 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 において 全 体 的 に 低 水 準 の 状 態 を 脱 出 しているものの 地 域 発 展 の 不 均 衡 の 状 態 にあるという 特 徴 を 有 する 他 方 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 という 場 合 その 重 点 は 全 面 的 という 言 葉 に 置 かれている 具 体 的 に は 都 市 だけではなく 農 村 全 体 を 含 み 東 部 沿 海 地 域 だけではなく 中 西 部 地 域 を 含 む し たがって 都 市 と 農 村 の 貧 困 層 について 重 点 的 に 考 慮 すべきである このため 地 域 発 展 の 不 均 衡 を 是 正 し 構 造 転 換 を 促 すために 発 展 の 方 針 を 調 整 する 必 要 がある 即 ち これまでの 先 富 論 から 共 に 豊 かになるという 共 同 富 裕 論 に 転 換 することを 意 味 するものである 過 去 33 年 間 を 振 り 返 ってみると 中 国 全 体 の 改 革 開 放 は まさに 貧 困 状 態 の 社 会 から 出 発 し 5 億 人 口 の 貧 困 問 題 を 解 決 した さらに 衣 食 が 満 ち 足 りた 温 飽 状 態 の 社 会 を 経 て いくらかゆとりのある 状 態 である 小 康 社 会 に 入 ったと 言 えよう しかし この 発 展 の 過 程 では 先 富 論 という 発 展 観 を 中 心 としていたことから 一 部 分 の 地 域 が 先 に 豊 かになり 一 部 分 の 人 々が 先 に 富 を 得 ることしかできなかったのである 中 国 では 2020 年 に 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 を 実 現 する と 宣 言 した 以 上 安 定 性 と 協 調 性 を 保 つために 共 に 豊 かに なるという 共 同 富 裕 論 のビジョンを 持 つことが 重 要 になってくる 言 うまでもなく 共 同 富 裕 論 の 中 核 は 共 同 である その 意 味 は 発 展 のチャンス を 十 数 億 人 すべてに 提 供 し 発 展 の 能 力 を 共 に 高 め 発 展 のレベルを 共 に 促 進 し 発 展 の 成 果 を 一 緒 に 享 受 する ということであり これが 本 当 の 意 味 での 共 同 富 裕 論 であろ う また 共 同 富 裕 論 では これまでのように 平 均 値 を 取 るのではなく 全 体 を 底 上 げ することが 重 要 となる 現 実 には 富 裕 という 概 念 を 平 均 値 で 測 ることなく 地 域 間 の 発 展 環 境 や 条 件 の 違 い あるいは 人 的 資 本 の 差 異 といった 様 々な 社 会 的 格 差 を 客 観 的 に 認 めるべきなのである さらに 共 同 富 裕 論 というビジョンは 中 国 の 長 期 安 定 性 と 協 調 性 を 脅 かす 富 の 二 極 化 を 防 止 することができる つまり 共 同 富 裕 によって 社 会 の 不 安 をある 程 度 解 消 し 新 たに 発 生 しようとする 破 壊 的 な 社 会 革 命 を 防 ぐことができるの である 例 えば 表 7に 示 されたように 2010 年 の 都 市 部 の 家 庭 1 人 当 たり 可 処 分 所 得 は 上 位 10% の 最 高 収 入 者 は 下 位 10%の 最 低 収 入 者 より 8.65 倍 があり 農 村 部 においても 高 収 入 者 は 低 収 入 者 より 7.5 倍 がある 2010 年 中 国 のジニ 係 数 は 0.481 であり 分 配 の 側 面 におい ても 世 界 的 にみて 不 公 平 な 社 会 であると 言 える こうした 不 公 平 を 解 消 するためにも これからの 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 に 向 けた 基 本 思 考 は 共 同 富 裕 論 というビジョンに 基 づいて 中 等 収 入 者 を 増 やさなければならない 中 国 では 2002 年 11 月 の 中 国 共 産 党 第 十 六 回 代 表 大 会 の 政 治 報 告 で 初 めて 中 等 収 入 者 と 9

いう 概 念 が 盛 り 込 まれ 2012 年 の 全 人 代 14 ではこれから 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 を 目 指 し 低 収 入 者 の 収 入 水 準 を 高 め 中 等 収 入 者 の 比 重 を 拡 大 するという 目 標 を 確 認 した 4.2 地 域 発 展 の 評 価 体 系 へ 2020 年 の 全 面 的 小 康 社 会 を 建 設 するためには 各 地 域 が 自 らの 現 状 とその 発 展 段 階 をき ちんと 把 握 することが 必 要 である 1 人 当 り GDP などの 経 済 指 標 を 使 い 現 地 の 具 体 的 な 状 況 に 応 じた 自 らの 長 期 発 展 目 標 を 設 定 することが 重 要 であるが 場 合 によっては 各 地 域 の 多 様 性 と 差 異 性 に 応 じ 体 系 化 された 指 標 を 使 うことも 必 要 となり 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 だけではなく さらなる 包 括 的 な 指 標 体 系 が 設 定 されなければならないという 問 題 提 起 がある 評 価 指 標 体 系 の 現 状 から 見 れば 導 入 されている 海 外 指 標 は 主 に 先 進 国 の 経 験 と 需 要 か ら 考 えられており それぞれ 独 自 の 特 色 を 持 つ 指 標 体 系 を 確 立 した 特 徴 が 見 られる それ に 対 して 国 内 ではより 理 論 面 を 重 視 しているため 指 標 の 選 択 においては ある 程 度 の 制 約 性 と 操 作 不 可 能 性 がある しかし 2011 年 3 月 の 第 十 一 回 全 人 大 第 四 次 会 議 において 通 過 された 中 華 人 民 共 和 国 国 民 経 済 と 社 会 発 展 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 要 綱 の 中 に 科 学 的 発 展 15 を 主 題 とすることは 時 代 の 要 求 であり 改 革 開 放 と 現 代 化 建 設 の 全 局 に 関 わる 科 学 的 発 展 経 済 発 展 パタ ーンの 転 換 加 速 に 資 するパフォーマンス 評 価 審 査 制 度 と 具 体 的 な 審 査 規 則 を 早 急 に 制 定 整 備 し 経 済 成 長 速 度 に 対 する 評 価 審 査 を 減 らし 構 造 の 最 適 化 国 民 生 活 の 改 善 資 源 節 約 環 境 保 護 基 本 公 共 サービス 社 会 管 理 などの 目 標 課 題 の 達 成 状 況 に 対 する 総 合 評 価 審 査 を 強 化 し 審 査 結 果 は 各 地 方 政 府 の 指 導 層 が 指 導 者 幹 部 を 選 抜 採 用 賞 罰 する 際 の 重 要 な 依 拠 とする などと 書 かれているように 政 府 指 導 部 は 地 域 発 展 の 評 価 体 系 への 強 い 要 望 がある また 多 くの 研 究 者 も 以 下 のような 問 題 意 識 を 持 っている すなわち 過 去 数 十 年 に 中 国 では 地 域 の 発 展 を 簡 単 に 地 域 の 総 生 産 の 増 加 として 捉 えてきたため 様 々な 問 題 を 起 こした 例 えば 粗 放 な 経 済 発 展 パターン 経 済 発 展 と 民 生 福 祉 の 改 善 との 相 反 経 済 発 展 と 社 会 発 展 並 びに 人 と 自 然 との 対 立 所 得 格 差 の 拡 大 などが 挙 げられる これら の 問 題 にはそれぞれ 深 刻 な 原 因 と 具 体 的 な 背 景 があるが 地 域 発 展 に 対 する 認 識 と 評 価 体 系 が 合 理 的 全 面 的 かつ 科 学 的 ではないことも 原 因 の 一 つである そして 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 のために 中 国 の 地 域 経 済 発 展 に 対 するビジョンをよりよい 方 向 に 導 き さらに 思 考 のイノベーションを 促 進 するため 科 学 的 発 展 観 の 内 容 と 要 求 に 基 づき 総 合 発 展 を 評 価 する 指 標 体 系 を 構 築 するようになっている 14 2012 年 3 月 5 日 から 14 日 まで 北 京 で 開 催 した 全 国 人 民 代 表 大 会 現 指 導 部 の 最 後 の 大 会 となる 15 2005 年 10 月 の 中 国 共 産 党 第 十 六 期 中 央 委 員 会 第 五 回 全 体 会 議 において 通 過 された 中 共 中 央 国 民 経 済 と 社 会 発 展 第 11 次 5 ヵ 年 計 画 制 定 に 関 する 建 議 の 中 に 科 学 的 発 展 観 の 内 容 と 本 質 に 対 する 認 識 を 更 に 深 め 科 学 的 発 展 観 と 一 致 する 経 済 社 会 発 展 総 合 評 価 体 系 を 確 立 させる という 提 案 が 出 された 10

中 国 統 計 学 会 総 合 発 展 指 数 研 究 チームは 2011 年 6 月 に 総 合 発 展 指 数 (CDI) 研 究 16 という 報 告 書 をまとめて 公 表 した そしてこれを 用 いて 各 地 域 の 発 展 評 価 を 試 験 的 に 行 っ ている 研 究 チームによると この 研 究 は 科 学 的 発 展 観 と 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 要 綱 の 主 要 指 標 の 重 要 性 に 基 づき 総 合 的 発 展 評 価 体 系 を 確 立 し そして 各 部 門 が 公 表 したデータを 用 いて 各 地 域 の 総 合 発 展 度 を 測 定 し 評 価 している 表 8に 示 されたように4 大 地 域 の 総 合 発 展 度 は 全 面 的 小 康 社 会 の 達 成 度 と 比 較 すると それぞれ20ポイント 以 上 低 い よって 総 合 発 展 指 数 の 指 標 体 系 設 計 は 2030-2050 年 前 後 に 中 国 で 基 本 的 現 代 化 の 実 現 に 向 けた 狙 いがあろう ここで 指 摘 しなければならないのは 統 計 学 の 視 点 から 総 合 開 発 指 数 は 中 国 の 各 地 域 及 び 各 省 自 治 区 直 轄 市 の 発 展 状 況 を 反 映 すると 言 われているが 現 段 階 では 実 験 的 かつ 段 階 的 な 結 果 しか 挙 げておらず 指 標 の 選 択 と 測 定 方 法 などにおいては 改 善 する 余 地 が 十 分 あろう 例 えば 都 市 部 登 録 失 業 率 などの 指 標 の 選 択 各 指 標 の 全 体 的 な 分 類 及 び 重 み 付 けにおいては まだ 十 分 とは 言 えない これらは 今 後 の 課 題 であろう 各 地 域 の 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 に 向 けて 中 国 国 内 のさまざまな 研 究 機 構 は 地 域 開 発 において 幸 福 指 数 体 系 や 民 生 指 数 体 系 などを 構 築 するという 多 くの 指 標 体 系 と 測 定 方 法 を 研 究 し 提 出 している 5 おわりに 中 国 過 去 三 十 数 年 の 経 済 成 果 は どの 指 標 で 計 っても 印 象 の 深 いものである GDP 年 平 均 増 加 率 が10%に 達 し 5 億 以 上 の 人 口 を 脱 貧 困 とさせた 今 日 中 国 は 世 界 最 大 の 輸 出 国 と 製 造 国 であり 第 二 大 経 済 国 でもある 17 これは 世 界 銀 行 の 最 新 報 告 書 2030 年 の 中 国 の 冒 頭 に 書 かれた 言 葉 である 本 稿 で 考 察 してきた 小 康 社 会 という 中 国 式 の 古 典 的 な 概 念 は 現 代 において 中 国 の 発 展 理 論 に 重 要 な 意 味 を 与 えた 鄧 小 平 以 降 の 小 康 社 会 についての 考 え 方 は 伝 統 の 小 康 概 念 を 借 用 しながらも その 内 容 は 大 きく 変 わり 近 代 化 に 繋 げることができた そこで は 中 国 の 小 康 社 会 を 農 業 社 会 から 工 業 化 農 村 社 会 から 都 市 化 伝 統 社 会 から 近 代 化 を 実 現 するために 必 ず 経 由 しなければならない 一 つの 発 展 段 階 として 捉 えている 即 ち 全 面 的 小 康 社 会 の 実 現 は こうした 発 展 段 階 のゴール 目 標 として 位 置 付 けられるのである このような 現 実 から 考 えると 中 国 における 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 は 人 類 史 上 かつて ない 壮 大 な 実 験 であると 言 えよう これには 19 世 紀 における 国 民 国 家 や 20 世 紀 における イデオロギーをはるかに 超 える 意 味 があると 筆 者 は 認 識 している 16 この 総 合 発 展 指 数 の 評 価 方 法 は 6 つのカテゴリ 18 の 評 価 指 標 45 の 具 体 的 な 統 計 指 標 を 含 む 17 World Bank, China 2030, Building a Modern Harmonious, and Creative High-Income Society 27-2-2012. 11

しかし 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 は これまで 分 析 してきたように 共 同 富 裕 論 という 発 展 観 に 基 づかなければならず 地 域 格 差 の 解 消 や 経 済 成 長 の 追 求 と 同 時 に 地 域 間 都 市 農 村 間 および 階 層 間 の 協 調 発 展 が 求 められる また 政 策 面 からみると 各 地 域 は 科 学 的 発 展 観 18 に 基 づく いろいろな 評 価 指 標 の 裏 付 けによって その 多 様 性 と 差 異 性 を 理 解 し 自 らの 発 展 段 階 と 特 徴 を 比 較 優 位 の 観 点 から 把 握 することにより 全 面 的 小 康 社 会 の 建 設 に 向 け 様 々な 発 展 経 路 を 選 択 することができ よう 中 国 政 府 は 21 世 紀 初 頭 の 20 年 を 逃 すべからざる 戦 略 的 な 意 味 を 持 つ 重 要 な 契 機 だと 認 識 しており その 一 挙 手 一 投 足 は 世 界 に 多 大 な 影 響 を 与 えるに 違 いない 今 後 中 国 は 国 内 外 の 政 治 資 源 の 配 分 を 合 理 的 に 調 整 するために もう 少 し 時 間 をか け 自 ら 提 唱 している 小 康 社 会 の 概 念 を 収 斂 させていく 必 要 があろう とは 言 っても 国 土 が 広 く 膨 大 な 人 口 を 抱 え かつ 各 地 域 の 環 境 条 件 に 大 きな 格 差 をもつ 中 国 では どの ような 目 標 を 実 現 しようとしても そこにはわれわれの 想 像 をはるかに 超 える 複 雑 かつ 困 難 な 問 題 が 待 ち 受 けているであろう 18 科 学 的 発 展 観 は 調 和 のとれた 社 会 を 意 味 する 和 諧 社 会 という 概 念 とともに 胡 錦 濤 の 現 政 府 指 導 部 によっ て 提 起 され 2008 年 以 降 に 定 着 された 中 国 発 展 に 関 する 新 しいビジョンである とりわけ 現 政 府 指 導 部 は 科 学 的 発 展 観 をマルクス レーニン 主 義 毛 沢 東 思 想 鄧 小 平 理 論 三 つの 代 表 に 続 く 重 大 な 戦 略 思 想 と 位 置 づけている 12

参 考 文 献 World Bank(2012), China 2030, Building a Modern Harmonious, and Creative High-Income Society 27-2-2012. 国 家 統 計 局 (2012) 2011 年 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 公 報 2012 年 2 月 22 日. 全 国 人 民 代 表 大 会 財 政 経 済 委 員 会 チーム(2012) 民 生 指 数 指 標 体 系 の 構 築 初 期 考 察 及 び 政 策 提 言 2012 年 1 月. 国 家 統 計 局 科 研 所 (2011) 中 国 全 面 建 設 小 康 社 会 進 展 統 計 観 測 報 告 2011 年 12 月 19 日. 国 家 統 計 局 (2011) 中 国 統 計 年 鑑 各 年 版 中 国 統 計 出 版 社. 中 国 統 計 学 会 総 合 発 展 指 数 研 究 チーム(2011) 総 合 発 展 指 数 (CDI) 研 究 報 告 2011 年 6 月 16 日. 中 国 統 計 学 会 総 合 発 展 指 数 研 究 チーム(2011) 総 合 発 展 指 数 (CDI) 編 成 草 案 2011 年 6 月 16 日. 国 家 統 計 局 住 民 調 査 オフィス(2011) 新 生 代 農 民 工 的 数 量 構 造 及 び 特 徴 2011 年 3 月. 国 家 統 計 局 科 研 所 チーム(2009) 2008 年 中 国 全 面 建 設 小 康 社 会 の 新 しい 進 展 国 家 統 計 局 科 研 所 2009 年 12 月. 樊 綱 (2003) 2020 年 の 中 国 経 済 -なお 改 革 途 上 であり 続 ける 宿 命 RIETI 中 国 経 済 新 論 2003 年 9 月 22 日. 胡 鞍 鋼 (2002) 全 面 建 設 小 康 社 会 的 中 国 各 地 区 の 機 会 と 課 題 2002 年 12 月 17 日. UNDP 編 著 (2002) 中 国 HDI 報 告 2002 年 ( 中 国 語 版 ) 中 国 財 政 経 済 出 版 社. 胡 鞍 鋼 (2001) 地 区 と 発 展 : 西 部 開 発 の 新 戦 略 中 国 計 画 出 版 社. 常 志 霄 (2001) 21 世 紀 初 頭 の 中 国 経 済 グローバル 化 戦 略 研 究 中 国 科 学 院 清 華 大 学 国 情 研 究 中 心 ポストドクター 研 究 報 告. 趙 躍 龍 張 玲 娟 (1998) 脆 弱 生 態 系 環 境 定 量 評 価 方 法 に 関 する 研 究 地 理 科 学 1998 年 2 月 号. 13

表 1 全 面 的 小 康 社 会 の 統 計 指 標 体 系 カテゴリ 指 標 単 位 比 重 目 標 値 (%) (2020 年 ) 経 済 発 展 1 1 人 当 たりGDP 元 (2000 年 不 変 価 格 ) 12 31400 2 GDPに 占 めるR&D 比 重 % 4 2.5 3 GDPに 占 める 第 三 次 産 業 比 重 % 4 50 4 都 市 人 口 比 率 % 5 60 5 都 市 ( 城 鎮 ) 失 業 率 % 4 6 社 会 調 和 6 ジニ 係 数 - 2 0.4 7 都 市 農 村 収 入 比 農 村 を1とする 2 2.80 8 地 域 経 済 発 展 差 異 指 数 % 2 60 9 基 本 社 会 保 険 カバー 率 % 6 90 10 高 卒 性 別 差 異 指 数 % 3 100 生 活 の 質 11 住 民 1 人 当 たり 可 処 分 所 得 元 (2000 年 不 変 価 格 ) 6 15000 12 エンゲル 係 数 % 3 40 13 1 人 当 たり 住 居 面 積 平 米 5 27 14 5 歳 以 下 児 童 死 亡 率 2 12 15 平 均 寿 命 歳 3 75 民 主 法 制 16 市 民 の 民 主 的 権 利 の 満 足 度 % 5 90 17 社 会 安 全 指 数 ( 社 会 交 通 生 活 生 産 ) % 6 100 文 化 教 育 18 GDPに 占 める 文 化 産 業 比 重 % 6 5 19 家 庭 消 費 に 占 める 文 化 サービス 比 重 % 2 16 20 平 均 教 育 年 数 年 数 6 10.5 資 源 環 境 21 単 位 GDPのエネルギー 消 費 ( 標 準 炭 換 算 ) トン/ 万 元 4 0.84 22 耕 地 面 積 指 数 % 2 94 23 環 境 品 質 指 数 % 6 100 出 所 : 国 家 統 計 局 統 計 科 学 研 究 所 14

表 2 カテゴリの 達 成 度 カテゴリ 2000 年 2010 年 10 年 間 の 変 化 経 済 発 展 50.3 76.2 25.9 社 会 調 和 57.5 82.7 25.2 生 活 の 質 58.3 86.3 28.0 民 主 法 治 84.8 93.6 8.8 文 化 教 育 58.3 67.9 9.6 資 源 環 境 65.4 78.3 12.9 全 面 小 康 社 会 59.6 80.1 20.5 出 所 : 中 国 統 計 年 鑑 により 筆 者 作 成 15

表 3 全 面 的 小 康 社 会 の 統 計 指 標 別 の 達 成 度 指 標 単 位 目 標 値 現 在 値 達 成 度 (%) (2020 年 ) (2010 年 ) (2010 年 ) GDPに 占 める 文 化 産 業 比 重 % 5 2.75 55.0 家 庭 消 費 に 占 める 文 化 サービス 比 重 % 16 10.22 63.9 1 人 当 たりGDP 元 (2000 年 不 変 価 格 ) 31400 20094 64.0 住 民 1 人 当 たり 可 処 分 所 得 元 (2000 年 不 変 価 格 ) 15000 10046 67.0 単 位 GDPのエネルギー 消 費 ( 標 準 炭 換 算 ) トン/ 万 元 0.84 1.21 69.4 都 市 農 村 収 入 比 農 村 を1とする 2.80 3.45 70.3 GDPに 占 めるR&D 比 重 % 2.5 1.76 70.4 基 本 社 会 保 険 カバー 率 % 90 65.6 72.9 5 歳 以 下 児 童 死 亡 率 12 16.4 73.2 環 境 品 質 指 数 % 100 76.7 76.7 ジニ 係 数 - 0.4 0.481 79.8 平 均 教 育 年 数 年 数 10.5 8.64 82.3 都 市 人 口 比 率 % 60 49.95 83.3 GDPに 占 める 第 三 次 産 業 比 重 % 50 43.1 86.2 市 民 の 民 主 的 権 利 の 満 足 度 % 90 82 91.1 社 会 安 全 指 数 ( 社 会 交 通 生 活 生 産 ) % 100 95.6 95.6 平 均 寿 命 歳 75 73.5 98.0 高 卒 性 別 差 異 指 数 % 100 99.25 99.3 都 市 ( 城 鎮 ) 失 業 率 % 6 4.1 100 地 域 経 済 発 展 差 異 指 数 % 60 50.95 100 エンゲル 係 数 % 40 38.4 100 1 人 当 たり 住 居 面 積 平 米 27 27 100 耕 地 面 積 指 数 % 94 94.5 100 出 所 : 中 国 統 計 年 鑑 2011 により 筆 者 作 成 16

エンゲル 係 数 (%) 貧 困 段 階 (E 60) 温 飽 段 階 (60 50) 小 康 初 期 段 階 (50 40) 全 面 小 康 段 階 (40 30) 裕 福 段 階 (30 20) 表 4 2010 年 における 各 地 域 の 都 市 農 村 別 のエンゲル 係 数 都 市 チベット 50.0 海 南 50.0 海 南 44.8 雲 南 41.5 広 東 47.7 広 西 48.5 チベット 49.7 福 建 46.1 湖 南 48.4 重 慶 48.3 天 津 41.7 江 西 46.3 四 川 48.3 湖 北 43.1 雲 南 47.2 安 徽 40.7 贵 州 46.3 甘 肃 44.7 新 疆 40.3 福 建 39.3 江 西 39.5 貴 州 39.9 遼 寧 38.2 内 蒙 古 37.5 寧 夏 38.4 江 蘇 36.5 湖 北 38.7 四 川 39.5 江 蘇 38.1 山 西 37.5 青 海 38.2 広 東 36.5 広 西 38.1 青 海 39.4 山 東 37.5 河 南 37.2 陕 西 34.2 天 津 35.9 安 徽 38.0 重 慶 37.6 上 海 37.3 吉 林 36.7 遼 寧 35.1 湖 南 36.5 甘 肃 37.4 河 北 35.1 黒 竜 江 33.8 浙 江 34.3 黒 竜 江 35.4 陕 西 37.1 浙 江 34.2 上 海 33.5 河 南 33.0 新 疆 36.2 北 京 32.4 河 北 32.3 吉 林 32.3 寧 夏 33.2 北 京 32.1 山 西 31.2 山 東 32.1 内 蒙 古 30.1 全 国 35.7 全 国 41.1 農 村 東 部 中 部 西 部 東 部 中 部 西 部 出 所 : 中 国 統 計 年 鑑 2011 により 筆 者 作 成 17

表 5 農 村 1 人 当 り 純 收 入 と 都 市 1 人 当 り 可 処 分 所 得 ( 元,2010 年 ) 地 区 農 村 1 人 当 り 純 收 入 都 市 1 人 当 り 可 処 分 所 得 都 市 と 農 村 の 収 入 格 差 北 京 13262 29073 2.19 黒 竜 江 6211 13857 2.23 上 海 13978 31838 2.28 天 津 10075 24293 2.41 浙 江 11303 27359 2.42 吉 林 6237 15411 2.47 江 蘇 9118 22944 2.52 遼 寧 6908 17713 2.56 江 西 5789 15481 2.67 河 北 5958 16263 2.73 湖 北 5832 16058 2.75 山 東 6990 19946 2.85 河 南 5524 15930 2.88 福 建 7427 21781 2.93 新 疆 4643 13644 2.94 湖 南 5622 16566 2.95 海 南 5275 15581 2.95 安 徽 5285 15788 2.99 広 東 7890 23898 3.03 四 川 5087 15461 3.04 内 蒙 古 5530 17698 3.20 全 国 5919 19109 3.23 寧 夏 4675 15344 3.28 山 西 4736 15648 3.30 重 慶 5277 17532 3.32 青 海 3863 13855 3.59 チベット 4139 14980 3.62 広 西 4543 17064 3.76 陕 西 4105 15695 3.82 甘 粛 3425 13189 3.85 雲 南 3952 16065 4.06 貴 州 3472 14143 4.07 出 所 : 中 国 統 計 年 鑑 2011 により 筆 者 作 成 18

表 6 各 地 域 の 順 位 比 較 (2010 年 ) 地 区 人 均 GDP HDI* 全 面 小 康 指 数 地 区 人 均 GDP HDI* 全 面 小 康 指 数 上 海 1 1 1 海 南 23 17 16 北 京 2 2 2 安 徽 26 26 17 広 東 7 4 3 四 川 25 24 18 天 津 3 3 4 江 西 24 25 19 江 蘇 4 6 5 河 南 21 15 20 浙 江 5 5 6 河 北 12 10 21 福 建 10 12 7 陕 西 15 22 22 遼 寧 8 7 8 山 西 18 14 23 山 東 9 8 9 広 西 27 20 24 湖 南 20 19 10 雲 南 30 28 25 吉 林 11 9 11 寧 夏 17 23 26 湖 北 13 16 12 甘 肃 29 29 27 内 蒙 古 6 13 13 チベット 28 31 28 黒 竜 江 16 11 14 貴 州 31 30 29 重 慶 14 18 15 新 疆 19 21 30 青 海 22 27 31 注 :HDI は 2008 年 の 順 位 である 出 所 :2011 年 中 国 統 計 年 鑑 により 筆 者 作 成 19

表 7 階 層 別 の1 人 当 り 年 収 入 (2010 年 ) 都 市 7 階 層 サンプル 数 可 処 分 所 得 ( 元 ) 農 村 5 階 層 純 收 入 ( 元 ) 最 高 收 入 6548 51432 高 收 入 6553 31044 高 收 入 14050 中 高 収 入 13121 23189 中 高 収 入 7441 中 等 收 入 13103 17224 中 等 收 入 5222 中 低 収 入 13144 12702 中 低 収 入 3621 低 收 入 6570 9285 低 收 入 1870 最 低 收 入 6569 5948 # 貧 困 層 3279 4739 全 国 平 均 65607 19109 注 : 都 市 部 は 65607 世 帯 のサンプル 調 査 によるものである 出 所 :2011 年 中 国 統 計 年 鑑 により 筆 者 作 成 20

表 8 総 合 開 発 指 数 と 小 康 社 会 指 数 の 比 較 (2010 年 ) 地 域 総 合 発 展 度 全 面 小 康 社 会 の 達 成 度 東 部 65.3 88.0 東 北 56.4 82.3 中 部 54.1 77.7 西 部 52.2 71.4 21