東 北 女 子 大 学 東 北 女 子 短 期 大 学 紀 要 No.52:29 ~ 38 2013 賞 味 期 限 切 れ の 食 品 は いつまで 食 べられるか 西 山 邦 隆 * * 山 田 和 歌 子 Till when can we eat the food of best-before date? Kunitaka NISHIYAMA * Wakako YAMADA * Key words : 賞 味 期 限 Best-before date 官 能 検 査 Sensuality test 微 生 物 検 査 Microb test Ⅰ.はじめに 賞 味 期 限 とは 美 味 しく 食 べられる 期 限 を 示 すものである 製 造 者 が 安 全 性 や 味 風 味 等 の 全 ての 品 質 が 維 持 される 期 限 を 表 しており 主 に 長 期 間 保 存 できる 加 工 食 品 に 用 いられている 賞 味 期 限 の 表 示 方 法 として 基 本 的 には 年 月 日 で 表 示 されるが 三 ヶ 月 以 上 の 長 期 保 存 できるものは 年 月 また 概 ね 五 日 以 内 に 急 速 な 品 質 の 低 下 が 認 められる 食 品 については 消 費 期 限 として 表 現 され 年 月 日 が 示 されている ところで 賞 味 期 限 が 過 ぎたものは 食 べること が 出 来 ず すぐに 捨 ててしまうことを 意 味 してい るものではない では どのくらいの 期 限 が 過 ぎ ても 食 べることが 出 来 るのか それに 答 えるデー タは 明 確 なものがなく 個 人 の 判 断 にまかされて いるが その 判 断 は 難 しく 無 難 に 捨 ててしまう のが 現 状 であろう まだ 食 べられるものを 無 造 作 に 捨 ててしまうことは 経 済 的 にも また 食 料 資 源 の 損 失 等 の 見 逃 せない 問 題 である そこで 賞 味 期 限 日 後 に 品 質 等 がどれほど 落 ちるのか 今 回 は 12 種 類 の 食 品 を 主 に 官 能 評 価 微 生 物 検 査 から 調 査 したので その 結 果 に 考 察 を 加 え 報 告 する Ⅱ. 調 査 方 法 1. 使 用 試 料 ( 使 用 食 品 : 全 て 賞 味 期 限 の 表 示 の あるものについて) * 東 北 女 子 大 学 1 食 パン 2フランスパン 3 豆 腐 4 納 豆 5 ヨーグルト 6 牛 乳 7プリン 8 蒸 しケーキ 9コーヒー 牛 乳 10コーヒー 11 卵 豆 腐 12ちく わ の 12 品 目 なお 上 記 使 用 食 品 の 原 材 料 は 表 1 に 示 した 2. 試 料 の 作 成 食 品 の 購 入 日 消 費 期 限 日 5 日 後 10 日 後 14 日 後 18 日 後 22 日 後 26 日 後 30 日 後 の 9 段 階 の 試 料 サンプルを 作 成 した 方 法 は 各 々の 食 品 から 極 力 微 生 物 汚 染 や 酸 化 を 防 ぐため 簡 易 グローブボックス 内 で 約 30gを 採 取 し ジッパー 付 きストックバッグに 入 れた その 際 窒 素 ガスを 封 入 し 更 に 脱 酸 素 剤 のパックを 入 れ 密 封 した 後 冷 蔵 庫 ( 庫 内 温 度 10 以 下 ) で 保 管 した また 微 生 物 測 定 用 は 測 定 日 まで 冷 凍 庫 ( 庫 内 温 度 20 30 )で 保 管 した 採 取 後 の 食 品 も 上 記 に 同 じく 保 管 し 以 後 時 期 ごとの 採 取 を 行 なった 3. 評 価 法 1 官 能 検 査 10 名 のパネラー( 官 能 検 査 する 人 )により 実 施 した 上 記 各 々のサンプルを 約 10 g ずつ 皿 等 にとり 少 量 口 に 含 み 味 見 た 目 におい 酸 味 口 当 たり 捨 てるか 捨 てないか 総 合 評 価 の 7 項 目 を 判 定 基 準 ( 購 入 時 と 比 較 して 5 段 階 評 価 ) 5 点 : 良 い( 標 準 品 と 同 等 の 品 位 が 保 たれてい る) 4 点 :やや 良 い( 標 準 品 よりやや 劣 るが 遜 色 の
30 西 山 邦 隆 山 田 和 歌 子 表 1. 使 用 食 品 とその 表 示 内 容 試 料 原 材 料 名 1 食 パン 小 麦 粉 砂 糖 マーガリン イースト 食 塩 脱 脂 粉 乳 乳 化 剤 ソルビット イース トフード 香 料 V.C カロテン 色 素 ( 原 材 料 の 一 部 に 大 豆 を 含 む) 2 フランスパン 小 麦 粉 発 酵 種 食 塩 パン 酵 母 モルトエキス 粉 末 麦 芽 乳 化 剤 ビタミンC 3 豆 腐 丸 大 豆 4 納 豆 丸 大 豆 納 豆 菌 5 ヨーグルト 生 乳 乳 製 品 6 牛 乳 生 乳 7 プリン 糖 類 ( 砂 糖 異 性 化 液 糖 ぶとう 糖 水 飴 ) 乳 製 品 植 物 油 脂 小 麦 デンプン ゲル 化 剤 ( 増 粘 多 糖 類 ) 乳 化 剤 香 料 ( 卵 を 含 む) 着 色 料 (カロチン カラメル クチナ シ) 8 蒸 しケーキ 砂 糖 卵 小 麦 粉 チーズ ショートニング 乳 製 品 水 あめ 加 工 油 脂 膨 張 剤 乳 化 剤 香 料 酢 酸 Na 酸 味 料 増 粘 多 糖 類 ph 調 整 剤 カゼインNa ソルビット カ ロテノイド 色 素 グリシン グリセリンエステル ( 原 材 料 の 一 部 に 大 豆 を 含 む) 9 コーヒー 牛 乳 砂 糖 果 糖 ぶどう 糖 液 糖 乳 製 品 乳 ココナッツオイル コーヒー デキストリン 食 塩 カラメル 色 素 香 料 乳 化 剤 10 コーヒー コーヒー 鶏 卵 みりん 食 塩 かつおだし 調 味 料 (アミノ 酸 等 ) ピロリン 酸 K 添 付 たれ{ 醤 油 ( 小 11 卵 豆 腐 麦 を 含 む) みりん 果 糖 ぶとう 糖 液 糖 かつおだし リンゴ 酢 昆 布 エキス 食 塩 調 味 料 (アミノ 酸 等 )} 魚 肉 (たら) 馬 鈴 薯 澱 粉 発 酵 調 味 液 卵 白 ハチミツ 砂 糖 植 物 性 タンパク なたね 油 12 ちくわ 食 塩 たん 白 加 水 分 解 物 ぶどう 糖 DHA 調 味 料 (アミノ 酸 等 ) 保 存 料 (ソルビン 酸 ) 甘 味 料 (ステビア) ( 原 材 料 の 一 部 に 小 麦 大 豆 を 含 む) ない 品 位 が 保 たれている) 3 点 :ふつう( 標 準 品 より 劣 るが 商 品 として 必 要 な 品 位 が 保 たれている) 2 点 :やや 悪 い( 標 準 品 よりかなり 劣 り 商 品 と して 不 向 きである) 1 点 : 悪 い( 標 準 品 より 著 しく 劣 り 商 品 として の 品 位 が 失 われている) により 上 記 9 段 階 を 時 期 毎 に 評 点 させた また 評 価 項 目 毎 に 感 想 を 毎 回 自 由 記 述 させた なお 検 査 サンプルは 9 段 階 時 期 の 終 了 後 にまとめて 時 期 をアトランダムにし パネラーに 評 価 させた こ れは 時 期 順 に 判 定 させると 当 然 時 期 別 に 変 化 するだろうという 先 入 観 をなくすための 処 置 であ る 2 微 生 物 検 査 検 査 項 目 : 一 般 細 菌 ( 標 準 寒 天 培 地 寒 天 重 層 による) 大 腸 菌 群 (デキストコレート 培 地 によ る) 真 菌 類 (カビおよび 酵 母 ポテトデキスト ロース 寒 天 培 地 にジクロラン CNAを 添 加 によ る)について 上 記 の 試 料 各 々について 10gを 秤 量 採 取 し 型 の 如 く 1) 上 記 の 培 地 にて 培 養 し コロニーを 観 察 した その 他 PH(PH 試 験 紙 に よる)なども 測 定 したが 今 回 は 一 般 細 菌 の 結 果 のみ 報 告 する Ⅲ. 結 果 1. 官 能 検 査 結 果 及 び 統 計 学 有 意 差 検 定 の 結 果 に ついて 1 食 パン; 食 パンの 結 果 について パネラー 評 価 値 の 時 期 別 の 変 化 に 個 人 評 価 値 の 平 均 値 及 び 購 入 日 とその 後 の 推 移 を 統 計 学 有 意 差 検 定 (Posthoc test)を 行 い 検 討 した( 以 下 2~12について も 同 じ) その 結 果 を 表 2-1 とした 2フランスパン; 同 様 にフランスパンの 結 果 につ いては 表 2-2 に 示 した 3 豆 腐 ; 同 様 に 豆 腐 の 結 果 については 表 2-3 に
賞 味 期 限 切 れ の 食 品 は いつまで 食 べられるか 31 示 した 4 納 豆 ; 同 様 に 納 豆 の 結 果 については 表 2-4 に 示 した 5ヨーグルト; 同 様 にヨーグルトの 結 果 について は 表 2-5 に 示 した 6 牛 乳 ; 同 様 に 牛 乳 の 結 果 については 表 2-6 に 示 した 7プリン; 同 様 にプリンの 結 果 については 表 2-7 に 示 した 8 蒸 しケーキ; 同 様 に 蒸 しケーキの 結 果 について は 表 2-8 に 示 した 9コーヒー 牛 乳 ;コーヒー 牛 乳 の 結 果 については 表 2-9 に 示 した 10コーヒー;コーヒーの 結 果 については 表 2-10 に 示 した 11 卵 豆 腐 ; 卵 豆 腐 の 結 果 については 表 2-11 に 示 した 12ちくわ;ちくわの 結 果 については 表 2-12 に 示 した これら 官 能 検 査 結 果 から 分 かることは 1 食 パンについては 賞 味 期 限 から 30 日 経 過 した 場 合 でも 激 しい 変 化 は 見 られなかった 2フランスパンについては 見 た 目 味 におい の 項 目 では 食 味 期 限 から 30 日 経 過 した 場 合 でも 激 しい 変 化 は 見 られなかった 口 当 たり 酸 味 は 5 日 後 から 徐 々に 劣 ってきていた 3 豆 腐 については 賞 味 期 限 が 切 れて 5 日 後 から 全 ての 項 目 において 著 しい 食 味 の 低 下 が 見 られ 18 日 後 では 完 全 に 食 べられない 状 態 になった 4 納 豆 については 賞 味 期 限 日 から 徐 々に 低 い 評 価 となっているものの 30 日 経 過 したときの 評 価 は 購 入 日 より 高 いという 結 果 になったため 30 日 経 過 した 場 合 でもあまり 食 味 の 変 化 は 見 られな いといえる 5ヨーグルトについてはほとんど 変 化 はみられな かった 表 2. 推 移 別 官 能 検 査 の 平 均 値 と 有 意 差 検 定 の 結 果 について 表 2-1. 食 パンについて 味 3.7 3.4 3.7 3.9 3.9 3.6 3.2 3.3 3.3 見 た 目 4.0 3.7 4.5 4.2 4.4 4.0 4.1 4.0 4.2 におい 4.0 4.0 4.0 3.7 4.1 4.2 3.8 4.3 4.1 酸 味 4.0 4.1 3.9 4.0 4.0 4.3 3.6 3.8 3.8 口 当 たり 3.8 3.4 4.0 3.7 4.0 3.4 3.2 3.5 3.0 捨 てるか 捨 てないか 2.0 1.9 2.0 1.8 1.9 1.8 1.6 1.8 1.7 総 合 評 価 3.9 3.5 3.9 3.9 3.8 3.9 3.2 3.6 3.4 表 2-2.フランスパンについて 味 3.6 3.8 4.0 3.8 3.5 3.2 3.2 3.3 2.9 見 た 目 4.2 4.5 4.5 4.3 4.2 3.9 4.0 3.9 4.1 におい 3.5 4.4 * 4.1 4.3 * 3.8 4.2 3.7 3.8 3.9 酸 味 4.1 4.6 4.3 4.4 4.3 4.2 4.2 3.8 3.9 口 当 たり 3.2 3.4 3.9 3.0 2.6 2.5 2.4 2.5 2.4 捨 てるか 捨 てないか 1.7 1.9 1.9 1.8 1.5 1.6 1.6 1.7 1.6 総 合 評 価 3.3 3.9 4.0 3.7 3.2 3.1 3.1 2.9 2.8
32 西 山 邦 隆 山 田 和 歌 子 表 2-3. 豆 腐 について 味 1.8 1.6 2.0 1.2 * 1.2 * 1.0 1.0 1.0 1.0 見 た 目 2.4 2.5 2.4 2.0 1.9 1.0 1.0 1.0 1.0 におい 3.0 2.3 2.4 2.0 1.6 * 1.0 1.1 ** 1.0 1.0 酸 味 2.7 2.8 2.7 1.7 1.5 * 1.0 1.0 1.0 1.0 口 当 たり 1.7 2.0 2.0 1.3 1.1 1.0 1.0 1.0 1.0 捨 てるか 捨 てないか 1.2 1.2 1.2 1.1 1.1 1.1 1.1 1.1 1.1 総 合 評 価 2.1 2.1 2.2 1.7 1.5 1.0 1.0 1.0 1.0 表 2-4. 納 豆 について 味 2.8 4.0 * 3.1 3.3 3.1 2.7 3.1 3.2 3.2 見 た 目 2.9 4.0 3.4 3.6 3.2 3.2 2.7 3.4 3.2 におい 3.2 4.1 3.4 3.7 3.4 3.4 3.3 3.6 3.4 酸 味 3.0 4.4 4.1 * 4.1 * 3.9 3.7 3.3 3.4 3.6 口 当 たり 3.1 4.2 3.8 4.0 4.1 3.9 3.6 3.7 3.7 捨 てるか 捨 てないか 1.6 2.0 1.7 1.7 1.7 1.6 1.5 1.7 1.5 総 合 評 価 3.0 4.0 * 3.6 3.7 3.3 3.0 3.0 3.1 3.1 表 2-5.ヨーグルトについて 味 1.6 2.0 1.6 1.8 1.9 2.0 1.8 1.9 1.7 見 た 目 2.0 1.9 2.4 2.1 2.1 2.3 2.2 2.1 1.8 におい 2.9 3.0 2.8 2.8 2.9 2.9 2.7 2.9 2.9 酸 味 1.7 2.2 2.0 1.7 1.6 1.8 1.7 1.7 1.6 口 当 たり 1.9 2.2 2.1 2.3 2.2 2.1 2.2 1.7 2.0 捨 てるか 捨 てないか 1.1 1.4 1.2 1.3 1.3 1.3 1.4 1.2 1.3 総 合 評 価 1.8 2.2 2.0 1.9 2.0 2.0 2.0 1.7 1.7 表 2-6. 牛 乳 について 味 3.6 3.2 3.2 1.2 ** 1.2 ** 1.1 ** 1.2 ** 1.0 1.1 ** 見 た 目 3.9 3.5 3.7 1.2 ** 1.0 1.0 1.2 ** 1.6 ** 1.7 ** におい 4.0 3.5 3.7 1.8 ** 1.5 ** 1.5 ** 1.6 ** 1.5 ** 1.6 ** 酸 味 4.4 3.3 * 3.3 * 1.3 ** 1.3 ** 1.2 ** 1.2 ** 1.0 ** 1.4 ** 口 当 たり 4.4 3.5 3.7 1.6 ** 1.5 ** 1.5 ** 1.5 ** 1.3 ** 1.5 ** 捨 てるか 捨 てないか 1.8 1.4 * 1.6 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 総 合 評 価 3.6 3.1 3.1 1.2 ** 1.2 ** 1.2 ** 1.1 ** 1.3 ** 1.3 **
賞 味 期 限 切 れ の 食 品 は いつまで 食 べられるか 33 表 2-7.プリンについて 味 4.3 3.9 4.0 4.1 3.4 3.5 3.7 3.7 3.5 * 見 た 目 4.2 4.0 3.9 4.1 3.9 3.5 3.6 3.6 3.6 におい 4.3 4.3 4.1 4.2 3.6 3.8 4.0 3.7 3.6 酸 味 4.3 4.3 4.3 4.2 3.9 4.2 3.6 3.9 3.9 口 当 たり 4.4 4.2 4.2 4.1 3.6 3.8 4.0 4.0 3.7 捨 てるか 捨 てないか 1.9 1.9 1.8 1.9 1.6 1.6 1.7 1.6 1.6 総 合 評 価 4.3 4.0 3.7 4.0 3.3 * 3.3 * 3.7 3.6 3.4 * 表 2-8. 蒸 しケーキについて 味 3.6 4.5 * 4.5 * 3.8 3.6 3.3 2.8 2.9 2.5 見 た 目 3.6 4.8 * 4.8 * 4.0 4.2 3.3 3.7 3.0 2.2 * におい 3.7 4.7 * 4.7 * 3.3 3.7 3.1 3.0 2.6 * 2.2 * 酸 味 3.4 4.6 * 4.6 * 4.0 3.6 3.6 3.5 3.0 2.8 口 当 たり 3.5 4.5 * 4.6 * 3.5 3.5 3.0 3.1 2.8 2.3 * 捨 てるか 捨 てないか 1.6 1.9 2.0 1.8 1.8 1.6 1.5 1.2 * 1.2 * 総 合 評 価 3.4 4.5 * 4.7 ** 3.4 3.6 3.0 2.8 2.2 * 1.9 ** 表 2-9.コーヒー 牛 乳 について 味 3.7 3.9 3.7 3.7 3.7 3.8 3.9 3.2 3.1 見 た 目 4.2 4.1 4.3 4.2 4.5 3.9 4.0 4.0 4.1 におい 3.6 3.9 4.1 3.9 3.9 3.4 3.7 3.7 3.5 酸 味 3.9 4.0 4.2 4.1 4.1 4.0 4.0 3.7 3.6 口 当 たり 4.1 4.2 4.5 4.0 4.3 4.2 4.2 4.1 3.8 捨 てるか 捨 てないか 1.8 1.9 1.9 1.6 1.8 1.7 1.7 1.7 1.5 総 合 評 価 3.3 3.8 3.9 3.8 3.8 3.6 3.8 3.2 3.1 表 2-10.コーヒーについて 味 3.4 3.1 3.4 3.4 3.3 3.5 3.1 3.4 3.2 見 た 目 4.8 4.7 4.7 4.7 4.4 4.4 4.2 4.2 4.6 におい 4.2 3.8 4.2 3.9 4.2 4.2 3.4 3.8 3.9 酸 味 3.9 3.7 4.2 3.9 3.8 4.0 3.4 3.6 3.5 口 当 たり 4.1 3.8 4.3 4.2 4.1 4.1 3.8 3.9 3.8 捨 てるか 捨 てないか 1.7 1.7 1.8 1.8 1.9 1.8 1.5 1.7 1.6 総 合 評 価 3.5 3.3 3.9 3.5 3.4 3.7 3.1 3.5 3.1
34 西 山 邦 隆 山 田 和 歌 子 表 2-11. 卵 豆 腐 について 味 2.4 2.3 2.2 1.8 2.0 2.1 1.7 1.9 1.4 見 た 目 1.3 1.9 1.3 1.6 1.6 1.7 1.5 1.8 1.1 におい 2.4 2.4 1.9 1.7 2.1 2.4 1.4 1.8 1.3 酸 味 2.5 2.0 2.3 2.3 2.5 2.3 2.2 * 2.4 1.4 * 口 当 たり 1.2 1.2 1.1 1.2 1.2 1.6 1.5 1.2 1.0 捨 てるか 捨 てないか 1.2 1.0 1.1 1.0 1.1 1.3 1.0 1.1 1.0 総 合 評 価 1.9 1.7 1.5 1.3 1.8 2.0 1.2 1.6 1.1 表 2-12.ちくわについて 味 4.5 4.2 4.2 3.7 3.2 * 3.4 * 3.1 * 2.6 ** 2.6 ** 見 た 目 4.6 4.5 4.1 3.9 3.3 * 3.4 * 3.6 * 3.0 * 3.2 * におい 4.4 4.3 3.9 3.7 3.2 * 3.4 * 2.8 ** 2.3 ** 2.5 ** 酸 味 4.3 4.2 4.1 3.8 3.4 3.6 3.2 * 2.5 ** 2.4 ** 口 当 たり 4.4 4.4 4.5 3.8 3.4 * 3.5 3.6 2.9 * 2.6 ** 捨 てるか 捨 てないか 2.0 1.8 1.8 1.8 1.5 1.6 1.7 1.2 ** 1.2 ** 総 合 評 価 4.4 4.0 3.6 * 3.2 * 2.9 ** 3.2 * 3.0 * 2.3 ** 2.4 ** *p< 0.01 ** p < 0.05 の 有 意 水 準 をあらわす (Post-hoc test) 6 牛 乳 については 賞 味 期 限 から 10 日 経 過 した 時 点 で 全 ての 項 目 で 著 しい 低 下 がみられた 7プリンについては 14 日 後 で 食 味 の 低 下 が 見 られるが 全 体 的 に 激 しい 変 化 はみられなかった 8 蒸 しケーキについては 賞 味 期 限 から 10 日 経 過 したところで 低 下 を 始 め そこから 徐 々に 低 下 を 続 けた 9 賞 味 期 限 から 30 日 経 過 した 場 合 でも 激 しい 変 化 はみられなかったが 味 の 項 目 では 26 日 後 か ら 低 下 していた 10 賞 味 期 限 から 30 日 経 過 した 場 合 でも 激 しい 変 化 はみられなかった 11 日 にちの 経 過 とは 関 連 が 見 られなかったが 賞 味 期 限 から 10 日 後 と 22 日 後 で 酸 味 以 外 の 全 ての 項 目 で 食 味 が 低 下 し 30 日 経 過 したところでは 全 ての 項 目 で 低 下 がみられた 12 5 日 後 から 全 ての 項 目 で 徐 々に 食 味 の 低 下 が 見 られた 以 上 の 官 能 検 査 の 結 果 より 食 パン 納 豆 ヨー グルト コーヒー 牛 乳 コーヒーは 賞 味 期 限 が 切 れて 30 日 後 であっても 冷 蔵 保 存 しておけば 期 限 が 切 れる 前 の 状 態 とほぼ 変 わらないおいしさ で 食 べられることがわかった その 他 の 食 品 に 関 しても 豆 腐 に 限 っては 賞 味 期 限 が 切 れて 5 日 後 までが 食 べられる 許 容 範 囲 となったが 殆 どの 食 品 が 10 日 後 まではおいしさを 保 っていたことが わかった 2. 微 生 物 検 査 結 果 について 表 3 に 各 々の 時 期 別 の 細 菌 数 ( 単 位 :CFU/g) を 示 した この 微 生 物 検 査 結 果 から 分 かることは 1パンについては 著 しい 増 加 は 見 られなかった 2フランスパンについては 増 加 が 見 られなかった 3 豆 腐 については 著 しい 増 加 は 見 られなかった 4 納 豆 については 期 限 が 切 れる 前 から 細 菌 が 多 く 見 られ 徐 々に 増 加 して 22 日 経 過 したとこ ろでは 無 数 のコロニーが 見 られた 5ヨーグルトについては 細 菌 は 徐 々に 増 加 を 続 けている 事 がわかった
賞 味 期 限 切 れ の 食 品 は いつまで 食 べられるか 35 表 3. 一 般 細 菌 の 生 菌 数 の 推 移 ( 単 位 :CFU/ g) 食 品 名 食 パン 30 10 2 50 10 2 50 10 2 20 10 2 30 10 2 20 10 2 20 10 2 3 10 2 20 10 2 フランスパン 20 10 10 10 10 10 20 10 20 10 20 10 20 10 20 10 20 10 豆 腐 20 10 2 20 10 2 20 10 2 20 10 2 5 10 3 5 10 3 5 10 3 5 10 3 5 10 3 納 豆 300 10 2 100 10 2 300 10 2 300 10 2 300 10 2 300 10 2 100 10 3 300 10 3 300 10 3 ヨーグルト 10 10 2 10 10 2 5 10 2 5 10 2 5 10 2 10 10 2 10 10 2 50 10 50 10 牛 乳 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 プリン 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 5 10 蒸 しケーキ 10 10 2 10 10 3 10 10 3 50 10 2 10 10 3 10 10 3 10 10 2 10 10 3 50 10 2 コーヒー 牛 乳 50 10 50 10 50 10 2 50 10 50 10 50 10 50 10 10 10 10 10 コーヒー 10 10 2 10 10 10 10 10 10 10 10 10 10 2 10 10 2 50 10 50 10 卵 豆 腐 50 10 3 50 10 3 50 10 3 10 10 3 10 10 3 10 10 3 10 10 3 10 10 3 10 10 3 ちくわ 30 10 2 50 10 2 50 10 2 50 10 2 10 10 2 10 10 2 10 10 2 10 10 2 10 10 2 6 牛 乳 については 5 日 後 10 日 後 で 著 しい 増 殖 が 見 られた 7プリンについて 細 菌 の 検 査 結 果 では 10 日 後 の 時 点 で 無 数 のコロニーが 見 られるようになり 18 日 後 で 一 番 増 加 している 事 がわかる 8 蒸 しケーキについて 細 菌 の 検 査 結 果 では 賞 味 期 限 が 切 れる 前 から 無 数 のコロニーが 見 られ 徐 々 に 増 加 していた 9コーヒー 牛 乳 について 細 菌 の 検 査 結 果 では 賞 味 期 限 が 切 れる 前 から 無 数 のコロニーが 見 られ 5 日 後 の 時 点 から 徐 々に 増 加 を 続 けていた 10コーヒーについて 細 菌 の 検 査 結 果 では 購 入 日 か ら 無 数 のコロニーが 見 られ 著 しい 増 加 は 見 られ なかった 11 卵 豆 腐 について 細 菌 の 検 査 結 果 では 購 入 日 から 無 数 のコロニーが 見 られるが その 後 著 しい 増 加 は 見 られなかった 12ちくわについて 細 菌 は 購 入 日 から 無 数 のコロ ニーが 見 られたが その 後 著 しい 増 加 は 見 られな かった 以 上 細 菌 の 検 査 結 果 からは 納 豆 は 購 入 日 か ら 当 然 であるが 無 数 のコロニーが 見 られた 食 パ ン フランスパン 豆 腐 では 著 しい 増 殖 が 見 られ ないが その 他 の 食 品 では 徐 々に 増 えていた 総 括 すると 1 官 能 検 査 と 細 菌 の 検 査 結 果 の 間 に 必 ずしも 関 連 は 見 られなかった 2 賞 味 期 限 が 切 れても 冷 蔵 保 存 しておけば 12 種 類 すべての 食 品 の 期 限 が 切 れて 5 日 後 までは 味 や 見 た 目 などに 変 化 がなく おいしく 食 べられると 思 われる ま た 食 パン 納 豆 ヨーグルト コーヒー 牛 乳 コーヒーは 30 日 後 までおいしく 食 べられる 3 冷 蔵 保 存 すれば 食 味 の 変 化 と 細 菌 の 増 殖 は 抑 えられることが 分 かった 微 生 物 については 食 品 の 成 分 規 格 で 細 菌 数 を 規 定 している 場 合 は 細 菌 数 10,000/g 以 下 ( 飲 料 水 や 氷 菓 を 除 く)であり 今 回 の 検 査 で 細 菌 数 は 検 出 された が 全 てこれらの 規 定 を 上 回 ることはなかった 但 し 大 腸 菌 群 腸 炎 ビブリオ 菌 などを 陰 性 と 規 定 していることがある ここでは 結 果 を 示 してい ないが 測 定 の 結 果 全 てに これらの 菌 の 検 出 は 認 められなかった Ⅳ. 考 察 かつて 加 工 食 品 は 食 品 衛 生 法 ( 労 働 厚 生 省 )やJIS 法 ( 農 林 物 資 の 規 格 及 び 品 質 表 示 の 適 正 化 に 関 する 法 律 ; 農 林 水 産 省 )で 全 ての 食 品 に 対 して 食 品 の 包 装 年 月 日 を 製 造 年 月 日 として 表 示 することが 義 務 付 けられていたが 長 期 間 保 存 出 来 る 食 品 については 省 略 可 能 であった(JIS 法 により 一 部 の 食 品 については 賞 味 期 限 の 記 載 が 義 務 付 けられていた) そのほか 法 規 制 はな いが 製 造 業 者 による 製 造 後 日 という 表 示
36 西 山 邦 隆 山 田 和 歌 子 が また 牛 乳 の 殺 菌 後 無 菌 で 充 填 し 長 期 間 常 温 保 存 可 能 なロングライフ 牛 乳 (いわゆるLL 牛 乳 )などが 食 品 衛 生 法 の 乳 等 省 令 で 品 質 保 持 期 限 表 示 を 乳 業 メーカーに 義 務 付 けていた しかし 本 来 製 造 年 月 日 をいつにすべきか 不 明 確 である 食 品 ( 納 豆 キムチ ヨーグルト 熟 成 そうめんなど)の 存 在 発 酵 食 品 の 場 合 は 容 器 への 充 填 から 店 頭 に 並 べられる 間 でも 発 酵 が 進 む ため 製 品 によっては 充 填 日 食 べ 頃 発 酵 が 進 み 過 ぎて 味 が 損 なわれる 場 合 など 幾 つもの 日 付 が 商 品 に 付 けられていた 特 に 納 豆 の 場 合 は ちょうど 店 頭 で 納 豆 菌 が 煮 豆 を 納 豆 に 変 える 場 合 になるよう 輸 送 時 間 から 逆 算 して 出 荷 していた また 食 のグローバリゼーションの 進 展 に 伴 い 賞 味 期 限 の 記 載 が 一 般 的 な 諸 外 国 から 製 造 年 月 日 の 表 示 は 自 由 貿 易 への 障 害 がある との 外 圧 があったことで 外 圧 への 反 発 意 識 があった 一 方 食 品 添 加 物 を 使 っているために 鮮 度 保 持 が 容 易 で 賞 味 期 限 が 長 く 設 定 し 易 い 商 品 と そのよう な 食 品 添 加 物 を 含 まないために 賞 味 期 限 が 短 く 設 定 されている 商 品 の 区 別 がつけがたいという 意 識 もあった 特 に 牛 乳 メーカーなど 製 造 メーカー 側 の 深 夜 操 業 の 存 在 があり (デイゼロ(DAY0 D-0) 問 題 と 呼 ばれる) 日 付 が 変 わった 午 前 0 時 に 生 産 ラインを 動 かして 当 日 製 造 出 荷 した 食 品 のみを 消 費 者 が 購 入 出 来 るよう スーパーなど 販 売 店 が 強 く 要 望 することで 製 造 メーカーに 従 事 する 従 業 員 への 負 担 が 大 きいものとなった しか し このような 消 費 者 側 あるいは 消 費 者 を 代 弁 する 形 の 生 産 者 の 反 対 を 押 し 切 る 形 で 1995 年 に 賞 味 期 限 の 表 示 に 移 行 された しかし これ ら 賞 味 期 限 品 質 保 持 期 限 などの 表 示 は 消 費 者 を 混 乱 させる 原 因 になるということで 現 在 は 品 質 保 持 期 限 を 廃 止 し 賞 味 期 限 表 記 に 統 合 すること が 決 定 (2003,2,18 7 月 実 施 )された そして 概 ね 5 日 未 満 の 生 鮮 食 品 の 類 には 消 費 期 限 それ 以 外 の 品 質 保 持 期 限 の 表 記 を 賞 味 期 限 としてい る 根 拠 法 令 は 食 品 衛 生 法 は; 品 質 保 持 期 限 の 設 定 は 当 該 食 品 等 に 関 する 知 識 を 有 する 者 が 微 生 物 試 験 や 理 化 学 試 験 及 び 官 能 検 査 の 結 果 等 に 基 づき 科 学 的 に 行 う JIS 法 は; 賞 味 期 限 は そ の 食 品 の 品 質 保 持 に 関 する 情 報 を 把 握 する 立 場 に あり 当 該 製 品 に 責 任 を 負 う 製 造 業 者 等 が 科 学 的 合 理 的 根 拠 をもって 適 正 に 設 定 すべき 現 在 日 本 における 賞 味 期 限 は 2008 年 2 月 24 日 の 農 林 水 産 省 及 び 厚 生 労 働 省 により 次 のように 解 説 され ている 賞 味 期 限 ( 英 語 :Best beforeという)とは 美 味 しく 食 べられる 期 限 です 開 封 していない 状 態 で 表 示 されている 保 存 方 法 に 従 って 保 存 したときに 美 味 しく 食 べられ る 期 限 を 示 し 賞 味 期 限 内 に 美 味 しく 食 べましょ う ただし 期 限 が 過 ぎても 食 べられなくなると は 限 りません 保 存 のきく 食 品 に 表 示 されてお り 3 ヶ 月 を 超 えるものは 年 月 または 年 月 日 で 3 ヶ 月 以 内 のものは 年 月 日 で 表 示 されている 美 味 しく 食 べられる 期 限 を 示 します 賞 味 期 限 を 表 示 した 食 品 は 傷 みにくいので 期 限 を 過 ぎても すぐに 捨 てる 必 要 はありません スナック 菓 子 即 席 めん 類 缶 詰 など 賞 味 期 限 内 に 食 べるのは 期 限 切 れを 食 べ るのは もったいない! 賞 味 期 限 が 切 れてもすぐに 傷 むわけではありません 保 存 や 調 理 法 を 上 手 に 行 い 無 駄 な 廃 棄 を 少 なくしましょう 食 品 の 期 限 表 示 は 開 封 前 の 期 限 です 一 度 開 封 したら 期 限 表 示 に 関 わらず 早 く 食 べましょ う 食 品 に 表 示 されている 保 存 方 法 を 守 りましょ う 保 存 方 法 の 表 示 がない 場 合 は 常 温 で 保 存 出 来 ます 加 工 食 品 には 消 費 期 限 または 賞 味 期 限 のどち らかの 期 限 が 表 示 されています 上 述 のように 食 品 の 日 付 表 示 に 関 しては 平 成 7 年 4 月 から 製 造 年 月 日 等 の 表 示 に 代 えて 消 費 期 限 または 賞 味 期 限 ( 品 質 保 持 期 限 )の 期 限 表 示 を 行 ってきており また 平 成 15 年 (2003 年 ) には 食 品 衛 生 法 及 び 農 林 物 資 の 規 格 化 及 び 品 質 表 示 の 適 正 化 に 関 する 法 律 に 基 づく 表 示 基 準 を 改 正 することにより 賞 味 期 限 と 品 質 保 持 期 限 の 2 つの 用 語 が 賞 味 期 限 に 統 一
賞 味 期 限 切 れ の 食 品 は いつまで 食 べられるか 37 されるとともに 賞 味 期 限 及 び 消 費 期 限 のいずれについても それらの 定 義 が 統 一 された が この 期 限 の 設 定 については 厚 生 労 働 省 ; 期 限 表 示 の 設 定 は 食 品 の 特 性 等 に 応 じて 微 生 物 試 験 や 理 化 学 試 験 及 び 官 能 検 査 の 結 果 に 基 づき 科 学 的 合 理 的 に 行 うものであること 等 及 び 農 林 水 産 省 ; 食 品 に 表 示 される 賞 味 期 限 等 の 期 限 は その 食 品 の 品 質 保 持 に 関 する 情 報 を 把 握 する 立 場 にあり 当 該 製 品 に 責 任 を 負 う 製 造 業 者 等 が 科 学 的 合 理 的 根 拠 をもって 適 正 に 設 定 すべきも の 等 において 示 されているほか 一 部 の 業 界 団 体 等 において 自 主 的 にガイドライン 等 が 作 成 され ているが( 後 述 する) 食 品 全 般 に 共 通 した 期 限 表 示 の 設 定 に 関 する 科 学 的 なガイドラインを 示 す 必 要 性 が 指 摘 され このため 平 成 16 年 2 月 厚 生 労 働 省 と 農 林 水 産 省 が 共 同 で 設 置 した 食 品 期 限 表 示 の 設 定 のためのガイドライン 策 定 検 討 会 ( 食 品 衛 生 学 化 学 微 生 物 学 の 専 門 家 期 限 表 示 の 設 定 経 験 を 有 する 者 ( 業 界 関 係 者 ) 等 から 構 成 )において 食 品 全 般 に 共 通 する 客 観 的 なガ イドラインを 作 成 し これらが 期 限 設 定 の 際 に 役 立 つことはもとより 業 界 団 体 等 が 自 主 的 に 個 別 食 品 に 係 わる 期 限 設 定 のガイドライン 等 を 作 成 する 際 の 基 礎 となることが 期 待 された この 期 限 表 示 設 定 の 基 本 的 な 考 え 方 の 概 要 は 1. 食 品 の 特 性 に 配 慮 した 客 観 的 な 項 目 ( 指 標 ) の 設 定 2. 食 品 の 特 性 に 応 じた 安 全 係 数 の 設 定 3. 特 性 が 類 似 している 食 品 に 関 する 期 限 の 設 定 4. 情 報 の 提 供 である 2) 3) 4) 今 回 の 実 験 結 果 と 他 の 文 献 を 比 較 すると (5)(6) 奥 田 は 以 下 の 9 品 目 について 官 能 検 査 し( 微 生 物 の 検 査 はしていない) 以 下 の 結 果 を 報 告 してい るが その 中 で 今 回 実 験 の 同 一 の 食 品 では 食 パ ン コーヒー 納 豆 絹 ごし 豆 腐 同 一 の 食 品 以 外 では チーズ アロエヨーグルト 甘 納 豆 チーズクッキーとなっている これを 比 較 する と 今 回 の 調 査 の 結 果 と 文 献 データとではあまり 違 いのない 結 果 となった これらのことから 今 回 実 験 した 12 品 目 ( 文 献 値 も 含 む)と 同 文 献 の 甘 納 豆 チーズクッキー チーズ アロエヨーグ ルトの 計 16 品 目 からではあるが 表 示 の 賞 味 期 限 を 過 ぎてもかなりの 時 間 は 食 べられることが 分 かった ただ 一 般 細 菌 は 冷 蔵 保 存 で 増 殖 は 抑 制 出 来 るが 真 菌 類 (カビおよび 酵 母 )は 冷 蔵 では 無 理 で 冷 凍 が 必 要 となる カビは 土 壌 水 空 気 など 自 然 環 境 に 広 く 分 布 しており 食 品 を 汚 染 し( 特 に 穀 類 や 野 菜 など) 腐 敗 や 変 敗 を 起 こ し また アスペルギルス ペニシリウム フザ リウム 属 などは 有 害 なカビ 毒 (マイコトキシ ン)を 産 生 することがしられており 注 意 が 必 要 である (7) 以 上 の 結 果 から 消 費 者 自 身 の 観 察 力 が 大 切 であ り 他 人 まかせではなく 自 分 なりの 判 断 力 を 培 う ことが 肝 要 あるといえる 8) 9) 10) 11) ただ 期 限 切 れということで 捨 てられる 食 品 の 無 駄 は 現 在 の 日 本 おける 下 記 の 事 情 食 料 自 給 率 ; 日 本 は 主 要 先 進 国 の 中 で 自 給 率 は 最 低 で ここ 数 年 40% 前 後 となっている 1 年 間 に 日 本 全 国 で 捨 てられる 食 品 廃 棄 物 の 量 は 1,900 万 トン 食 料 供 給 量 の 約 25%にもなる 金 額 では 11 兆 円 に 上 るともい われており その 量 は 年 々 増 えている 更 に 内 容 を 詳 細 に 述 べると 1 家 庭 の 生 ゴミ 年 間 の 食 品 廃 棄 物 量 1,900 万 トンのうち 1,100 万 トン( 約 6 割 )が 家 庭 から 出 る 生 ゴミ 2 食 産 業 での 食 べ 残 し 2006 年 の 調 査 では 結 婚 披 露 宴 の 食 べ 残 しが 最 も 多 く 22.5%が 無 駄 になってしまっている 次 いで 宴 会 で 15.2% 宿 泊 施 設 は 13%と なっている 一 方 で 食 堂 レストラン ( 昼 食 を 対 象 に 調 査 )では 食 べ 残 しは 3.1%と 少 なく お 酒 の 出 ない 普 段 の 食 事 では 外 食 でも 食 べ 残 し 量 が 少 なくなる 傾 向 が 分 かる 食 料 ゴミの 処 分 ; 環 境 に 対 する 意 識 の 高 い 一 部 のコンビニやスー パーでは 本 来 ゴミとして 焼 却 埋 め 立 て 処 分 さ れる 期 限 切 れの 食 品 を 堆 肥 化 するなどしてリサ イクルに 取 り 組 んでいるが コストの 面 堆 肥 の 受 け 入 れ 先 確 保 の 面 で なかなか 広 まりにくい 現 状 がある 等 を 考 えると 日 本 は 食 料 供 給 量 の 約
38 西 山 邦 隆 山 田 和 歌 子 60%を 輸 入 に 頼 っているにも 関 わらず 食 べ 残 し や 購 入 し 過 ぎから 供 給 量 の 約 25%(1/4)を 廃 棄 してしまっている 事 がわかる コンビニやスーパーから 出 る 食 料 ゴミの 廃 棄 方 法 も 一 部 では 環 境 保 全 を 考 えられたものに 変 わっているが 全 てをリサイクルなどに 回 すこと は 難 しい 現 状 にある しかしながら 食 品 廃 棄 物 量 で 考 えると 年 間 で 廃 棄 されてしまう 供 給 量 の 25%の 内 訳 の 中 で その 約 57%が 家 庭 から 出 る 生 ゴミであるため 家 庭 での 食 品 購 入 と 廃 棄 につ いて 考 え 直 すことで 食 品 廃 棄 物 の 量 はまだまだ 減 少 させる 余 地 があるということがいえる Ⅴ. 結 論 賞 味 期 限 が 過 ぎたものは 食 べることが 出 ず すぐに 捨 ててしまうことを 意 味 してるものではな いとされているが ではどれくらいの 期 限 がすぎ ても 食 べることが 出 来 るのか それに 答 えるデー タは 明 確 なものがなく 個 人 の 判 断 にまかされて いるが その 判 断 は 難 しく 無 難 に 捨 ててしまうの が 現 状 であろう まだ 食 べられるものを 無 造 作 に 捨 ててしまうこ とは 経 済 的 にも また 食 料 資 源 の 損 失 などの 見 逃 せない 問 題 である そこで 賞 味 期 限 前 後 に 品 質 などがどれほど 落 ちるのか また 捨 てられるのか 等 について 主 に 官 能 評 価, 微 生 物 検 査 から 調 査 した 結 果 1. 官 能 検 査 の 結 果 から 食 品 にも 依 るが 殆 ど の 食 品 で 賞 味 期 限 が 切 れて 5 ~ 10 日 経 過 した 物 でも 食 べられる 評 価 のものが 多 く 購 入 日 と 同 様 なおいしさが 保 たれているという 結 果 となった 2. 官 能 検 査 は どれが 期 限 切 れ 食 品 かを 知 らせ ずに 行 ったためか 購 入 日 の 評 価 よりも 期 限 が 切 れて 30 日 後 の 評 価 の 方 が 高 い 場 合 や 期 限 が 切 れて 5 日 後 に 下 がった 評 価 が 10 日 後 にはまた 高 くなっている 場 合 も 多 く 見 られた 3. 微 生 物 検 査 の 結 果 からは 購 入 日 の 時 点 で 全 ての 食 品 に 細 菌 類 と 真 菌 類 が 検 出 された しか し 細 菌 類 は 冷 蔵 庫 による 冷 蔵 保 存 のため 時 間 的 に 推 移 しても 増 殖 は 認 めれられなかったが( 冷 凍 保 存 では 増 殖 はなかった) この 程 度 の 菌 類 を 摂 取 しても 人 体 に 有 害 な 影 響 があると 考 えられ ない 以 上 の 結 論 より 賞 味 期 限 は 美 味 しく 食 べら れる 期 限 ではあるが 賞 味 期 限 の 切 れた 食 品 はおいしくない といった 先 入 観 に 因 り 廃 棄 して しまうことが 一 般 に 考 えられので 賞 味 期 限 が 過 ぎても 正 しく 保 存 することで 充 分 おいしく 食 べ られるということを 認 識 してほしい 参 考 文 献 1 ) 森 地 敏 樹 監 修 : 食 品 微 生 物 検 査 マニュアル ( 新 版 ) 栄 研 器 材 株 式 会 社 (2002) 東 京 2 ) 奥 田 和 子 : 賞 味 期 限 切 れ の 食 品 は いつま で 食 べられるか- 官 能 評 価 結 果 から-( 前 編 ) 食 の 科 学 No330 38 ~ 43 (2005) 3 ) 奥 田 和 子 : 賞 味 期 限 切 れ の 食 品 は いつま で 食 べられるか- 官 能 評 価 結 果 から-( 後 編 ) 食 の 科 学 No331 52 ~ 56 (2005) 4 ) 板 倉 ゆか 子 : 食 品 表 示 の 現 状 と 課 題 社 会 運 動 373 24 ~ 25 (2011) 5 ) 徳 江 千 代 子 : 消 費 期 限 と 賞 味 期 限 食 品 表 示 の 正 しい 知 識 を 2011/10/10 http://www.nodai. ac.jp/journal/research/tokue/071202.html 6 ) 編 集 食 品 表 示 問 題 研 究 会 :もう 間 違 えない! 賞 味 期 限 消 費 期 限 - 食 品 事 業 者 が 知 っておき たい 期 限 設 定 方 法 と 留 意 すべきポイント- 新 日 本 法 規 出 版 株 式 会 社 (2009) 名 古 屋 7 ) 吉 田 隆 : 微 生 物 コントロールによる 食 品 衛 生 管 理 - 食 の 安 全 危 機 管 理 から 予 測 微 生 物 学 の 活 用 まで- 美 研 クリエイティブセンター (2013) 8 )キューピー 株 式 会 社 広 報 室 : 消 費 期 限 賞 味 期 限 切 れ の 食 品 はいつまで 食 べられるか~ 官 能 評 価 結 果 から~ Kewpie News 第 382 号 1 ~ 14 キューピー 株 式 会 社 (2005) 9 ) 徳 江 千 代 子 : 賞 味 期 限 がわかる 本 賞 味 期 限 切 れ いつまで 食 べても 大 丈 夫? SUGO 文 庫 宝 島 社 (2009) 東 京 10) 井 上 幸 江 山 田 和 彦 池 本 真 二 倉 田 澄 子 清 水 俊 雄 藤 澤 由 美 子 由 田 克 士 和 田 政 裕 坂 本 元 子 : 栄 養 健 康 表 示 の 社 会 的 ニーズの 解 明 と 食 育 実 践 への 活 用 に 関 する 研 究 日 本 栄 養 食 糧 学 会 61(6) 285 ~ 302 (2008) 11) 吉 田 隆 : 微 生 物 コントロールによる 食 品 衛 生 管 理 - 食 の 安 全 危 機 管 理 から 予 測 微 生 物 学 の 活 用 まで- 美 研 クリエイティブセンター (2013)