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22 循 環 制 御 第 34 巻 第 1~3 号 (2013) 特 集 循 環 器 疾 患 に 対 するデバイス 治 療 - 管 理 のポイントと 今 後 の 展 望 - 3.デバイスのトラブルシューティング 須 賀 幾 * 座 長 引 き 続 きまして 次 の 演 題 にいきたいと 思 います 次 はシンポジウム 第 3 席 でありますが デバイスのトラブルシューティング というこ とで 自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 循 環 器 科 の 須 賀 先 生 よろしくお 願 いします 須 賀 よろしくお 願 いします デバイスのト ラブルシューティング ということでテーマをい ただいたんですが トラブルシューティングに 関 していろいろなことが 含 まれてしまうんですね 周 術 期 に 関 しては 最 初 に 野 呂 先 生 からお 話 があ りました 私 からは 主 に 術 後 のことに 関 して 身 体 的 なトラブルとデバイス 自 体 の 作 動 のトラブル に 関 してお 話 をしていきたいんですが 身 体 的 な トラブルは 直 接 デバイス 患 者 の 診 療 に 携 わって いる 方 の 主 にマネジメントをする 問 題 ですので さらっとご 紹 介 して なるべくこちらの 作 動 自 体 のトラブルに 時 間 をかけていきたいと 思 ってい ます 最 初 にご 紹 介 する 身 体 的 なトラブルですが( 図 1) ディスロッジという 問 題 があるんですね ペースメーカリードというのは 心 筋 に 固 定 され て 心 筋 に 対 して 電 気 刺 激 を 送 るわけですが 固 定 メカニズムに active fixation lead と 言 われる ち ょうどワインのコルク 抜 きのようなものが 出 て きて 心 筋 にねじ 込 まれる こういうタイプの 固 定 メカニズムと それからもう 一 つ 船 の 錨 のよう なタインというんですが こういうものを 心 筋 の 横 のでこぼこに 引 っ 掛 けてきて ちょうど 船 の 錨 のように 固 定 してくる passive fixation lead と 2 種 類 があるんですね 通 常 screw-in lead というア クティブに 固 定 するメカニズムのほうがリード のディスロッジ つまり 脱 落 が 起 きにくいと 考 え られるわけです 私 が 5 年 前 に 自 治 医 大 さいたま 医 療 センターと いういまの 施 設 に 移 ってから 1 年 半 から 2 年 ぐ らいの 間 の 新 規 のペースメーカ 植 込 み 患 者 さん 197 例 の 1 カ 月 以 内 の 再 手 術 症 例 を 調 べてみたん ですが( 図 2) そうすると 何 と 197 例 中 5.6% 11 例 もいたんですね かなり 多 いなと 思 ったんで すが そのうちの 10 例 はリードのディスロッジ すなわち 脱 落 によるもので 残 り1 例 が 穿 孔 によ る 再 手 術 ということでした 再 手 術 の 発 生 要 因 は 何 なのかということを 検 討 してみたんですが( 図 3) 私 の 施 設 では 全 例 Active Fixation というリードを 使 っていますが それでもディスロッジは 起 きてしまうので ディ スロッジを 起 こしていない 人 再 手 術 を 必 要 とし ていない 人 に 比 べて 再 手 術 をした 人 たちは 通 常 の 場 所 ではなくて 心 房 中 隔 や 心 室 中 隔 にリード を 留 置 している 人 がやや 多 いような 傾 向 があっ たんですが 数 が 少 ないので 統 計 学 的 に 有 意 差 は ついていない そういうことでした 図 1 図 2 * 自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 循 環 器 科

23 第 34 回総会シンポジウム 図3 図4 図7 図5 図6 ただ手術手技時間に関してみると 図 4 再 手術を必要とした人のほうが長い傾向があって それが圧倒的に違ったのは 術後の安静時間が再 手術をした人たちでは短いということだったん です そうするとリードのディスロッジ 脱落の 原因は先端の固定不良が原因であるわけですが それは十分な余裕を持って たわみをつけて入れ られていないとか あるいは未熟な術者がやって いるとか 術後の安静時間がいくら active fixation lead であっても短すぎるとやっぱり駄目なんだろ うということが分かります これの対処としては 再手術しかないんです 次に穿孔とか あるいは特殊な身体的なトラブ ルに関してお話をしていきたいんですが ペース メーカのリードの穿孔に対しては 心筋から飛び 出してリードが見えている 図 5 こういう状 態ですね これは主に手術手技による問題がある んですが たわみをつけすぎないとか 柔らかい リードを使うとか 術後に何らかのマネジメント ができる問題ではないわけです 術中に何に気を付けたらいいかというと 一番 いいのは リードの先端電極の単極電位を記録す るといいですね 図 6 単極電位を記録して ST 部分がこういうふうに上昇して 障害電位が 記録されている 図 7 こういう場合には十分 な先端の接触圧が得られているということにな りますし それから単極電位で R 波が減高してき て SR が深く Tがインバートしている こう いう波形が得られた場合には これは心外膜側に 突出している可能性があるということを考えな ければいけないわけです こういう波形が出てい

24 循環制御 第 34 巻 図8 図9 図 10 図 11 たら その場所で固定するのは駄目で 少しギブ アップしてやって きちんと障害電位が記録され るような場所でリードを固定することによって 穿孔や脱落を防ぐことになろうかと思います これは特殊なペースメーカの術後のトラブル なんですが 図 8 Twiddler syndrome といいま して ペースメーカの縦方向に回転してしまうん ですね 縦軸を軸としてぐるぐる回転してしまっ て リードのねじれが生じて断線を起こしたりし てくるというものですが これはペースメーカの ポケットが大きすぎる症例で 上肢の運動などに 伴ってこういう回転運動が起きてきて ねじれて しまうということがあります これも術後に対処 できることは再手術をして ねじれを解除するぐ らいしかないんですね 手術中にデバイスの大き さに合った適切なポケットをつくるとか きちん とデバイスを固定するとか そういうことしか予 防はないわけです あと反対に Reverse Twiddler syndrome といっ て 図 9 リードがどんどんどんどん心内腔に 送り込まれてしまって ものすごいたわみがつい てしまって 例えば穿孔の原因になったとするよ うなこういうトラブルです これはリードを固定 するスリーブがついていて リードに直接結紮す ると リードが断線などを起こしますので こう いうふうにスリーブがついていて これを大胸筋 第 1 3 号 2013 膜とか大胸筋に結紮して固定してくるわけです が この固定が不十分だとこれが起こってしまう ので適切に固定していく これも術中の対処とい うことになります それからカウンターの合併症はいろいろあっ て 図 10 これは Reel syndrome というんです が 見にくいかもしれません CRP の症例ですが 左室のリードがペースメーカがちょうどぐるぐ るぐるぐる回転する釣りのリールのようになっ て リードを巻き取ってしまって 先端がここだ ったのが術後にここまで巻き取られてしまって 心臓などから抜けてきてしまったという合併症 ですね これはデバイスの固定の結紮が不十分な 場合 ぐるぐる回転してしまうので これは横方 向に回転するわけですが これもきちんとデバイ スを術中に結紮固定してくるという方法しかな いわけです あと感染のお話が野呂先生からも出ました 通 常われわれが見るペースメーカ感染というのは ポケット感染 創部が腫れてきて 傷はまだ開い ていなくて こういう人を見ることが多いわけで すが 図 11 これが進んでくると傷が開いて しまったり あるいは皮膚の薄い方ですと 皮膚 の圧迫壊死を起こして ここから感染が生じたり 感染が進んでくると瘻孔を形成したりとか ある いは一部露出したペースメーカを 特に認知症の

25 第 34 回総会シンポジウム 図 12 図 13 図 14 図 15 ある患者さんなどでは 自分で取り出してしまう ということもまれに見るペースメーカ感染症例 です これは感染ばかりではなくて静脈トラブルの 症例を含んでいますが 図 12 やっぱりペー スメーカの手術回数が多くなると 格段に感染を はじめとする合併症発生率が増えてしまうんで すね だからペースメーカ感染 ペースメーカの 交換症例では 要するに手術回数が多い症例でし ばしば感染を経験しますが 交換だから 簡単だ からという理由で未熟な術者に任せたりするの は 感染を助長してしまうという大きな要因にな っていると思います あとは野呂先生のほうから術前の抗生剤の投 与が必要であるというお話がありましたし それ から確実な施術を心掛けるとか そういう術中の 注意が必要だということになってまいります 図 13 感染の場合 図 14 普通ですと抗生剤 を長期にわたって投与して様子を見て 保存的治 療をしたり 創部を洗浄したりということをする んですが 実際はアメリカのエキスパートコンセ ンサスというガイドラインのようなものでは リ ードを含めた全システムの抜去を行うべきだと 推奨しているんですね ところがペースメーカリ 図 16 ードが植え込まれて長年経過すると 心内膜炎や 血管炎 こういうふうな線維性の結合組織で覆わ れた強固な癒着を起こしてきます 図 15 こ れを抜去するのは実は容易ではないわけですね そのために最近ではこういうエキシマレーザー を照射するような施術ですとか 図 16 レー

26 循環制御 第 34 巻 図 17 図 18 図 19 図 20 ザーで結合組織を剥離するわけですね あるいは 動画が動きませんが 電気メスのような高周波を 使った施術などで癒着の剥離を行っていくよう なことをします 図 17 感染はできれば も しポケット感染であっても なるべくシステム抜 去 全抜去をしてしまうのがいまどんどん推奨さ れている治療ではあるわけですが 図 18 癒 着などがあって どうしてもなかなか簡単にいか ない場合がある だから感染をなるべく起こさな いような手技を心掛けていく術中の注意が一番 大事だということになっています この後でデバイス作動のトラブルのことに関 して時間をかけてご説明していきたいんですが これはどういうことかというと ペーシングを行 っているのに心臓がそれに対して反応しない あ るいはペーシング自体が抜けてしまう あるいは 不要なペーシング刺激が出てしまう それから本 来は一定である pacing interval やレートが設定と 異なるような作動をしてしまう それから特殊な ペースメーカ作動の問題 そういったお話をして いきたいと思います 一番基本的なごく簡単な VVI というペースメ ーカを例にとってご説明をしたいんですが 図 第 1 3 号 2013 19 VVI というペースメーカは心室だけにリー ドを挿入されているペースメーカです 自己の心 室波が出ているときはそれを感知してペースメ ーカの作動抑制をして 自己の心室波が出なくな った一定のレートで心室にペーシング刺激を行 うというのが VVI というペースメーカです それ が capture loss pacing failure などという言い方を しますが ここでは心室ペーシング刺激が出てい るのに QRS が出現していない そういう状態に なっています 図 20 こういう状態 ペーシング刺激が出るのに 心 筋が反応していないという状態を capture loss と か pacing failure というふうに表現しているわけで す これは何で生じてくるかというと 当然 ペ ーシング刺激自体が出ていますから この刺激の 出力が 心筋が反応する刺激閾値を下回っている 場合に生じてくるんですね これは例えば不適切 な出力設定がされているか あるいは何らかの要 因が起きて刺激閾値が出力以上に上昇してしま った こういったときに生じてきます それはこ ういう capture loss の心電図が見られたならば その原因が何であるかというのを確認すること が必要なんですね 原因が例えば可逆的なもので

27 第 34 回総会シンポジウム 図 21 図 22 図 23 図 24 ある 例えば電解質異常とかそういうものであれ ば 原因を除去することで解決可能かもしれませ んが こういう波形が見られたら まず速やかに 出力設定を刺激閾値以上に設定し直すことは必 要になってまいります それからもう一つのトラブルはアンダーセン シングですね 図 21 先ほど 電磁干渉に関 して安部先生からオーバーセンシングの話があ りましたが これはアンダーセンシングの心電図 の模式図です ペースメーカは一定レートで心室 をペーシングしている ところがここで自己の QRS 波形が見られた このように普通 VVI とい うペースメーカは自己の心室波が感知されたら 刺激を抑制しなければいけませんから 基本ペー シングインターバルのところでペーシングスパ イクを出してはいけないんですね 出してはいけ ないはずなのに なぜかこの症例には QRS が出 ているのにここでこれを無視してペーシングス パイクが出てしまう これはなぜなのかというと このペースメーカ は QRS 波形に見られていないからですね なぜ 見られていないのかというと それがアンダーセ ンシングのものだから なぜアンダーセンシング が生じてくるのかというと 例えば心電図の波形 を考えてみます 図 22 ここでP波が出てい て QRS が出ていて P波が出ている ここでペ ースメーカが例えば QRS の波高が 3.5mV しかな いにもかかわらず ペースメーカが6mV 以上の 電位しか感知しませんよという設定にしたらば ペースメーカは 3.5mV の QRS を見ることはでき ませんから それを無視して ペーシング刺激を 出してしまうわけですね だからこれを回避する には実際に得られている電位波高よりも感度を 鋭く設定する必要があるわけです 図 23 と ころが反対にあまりに鋭く設定しすぎてしまう と 今度は本来見てはいけないはずのT波までも 感知してしまうとか ほかのノイズまでも感知し てしまうとか そういったことが生じてくるわけ ですね 図 24 だから必要なものは見られる けれども 不必要なものは見ないという患者設定 にしていく必要があるわけです それからいま最も医療で使われているペース メーカは DDD ペースメーカというモードです 図 25 DDD ペースメーカの基本作動という のは 一定のレートで信号をペーシングします もちろん自己のP波が設定ペーシングレートよ りも早い場合は信号ペーシングは抑制されるわ けです それから心房刺激あるいは心房のセンシ ングから一定の時間でそのことを AV delay とい う言葉でいいますが 心室ペーシングを行います

28 循環制御 図 25 第 34 巻 第 1 3 号 2013 図 26 図 27 設定 AV delay AV delay というのは ペースメー カの設定 PQ 時間に相当しますが AV delay の中 で自己の QRS が見られる こういう場合にはペ ースメーカ作動は抑制されて 心室はペーシング 刺激が送られない そういうふうな作動をしてい くんですね このペースメーカの設定 Pacing interval 緑で 示した基本レートの interval ですとか あるいは 黄色 オレンジで示した AV delay とか この数字 が通常の場合は常に一定であるはずなんですね これが極端に延びてしまったり 短くなってしま ったりということは それは本来 行われてはい けないわけです ところがこんな心電図を呈するのはあるんで すね 図 26 これは心房センシング 心室ペ ーシング 心房センシング 心室ペーシング 心 房センシングで括弧に書かれているのは心室ペ ーシングですが それに反応して QRS が出てい ません ところがこのあとにもう一回心室ペーシ ングが行われて 今度は QRS が出ていますね ここが大事です 1 個目の心室ペーシングには心 電図が反応しない でも 2 個目になぜか心室ペー シングが行われて心電図が反応している ここも 同じです なぜこういうことが起こるか これはペースメーカの故障なのかというと 実 はそうではなくて これは自動刺激閾値の測定機 能が作動しているんですね 自動刺激閾値を測定 する そういうペースメーカがいま増えていまし て 最小限の必要な出力に設定することによって 極力 電池が長持ちするようにしよう そういう 機能があるんですが それが作動してしまうとこ ういう波形が出てきて これはペースメーカ故障 なのではないかというのにさらになってくるわ けです だからこれは機能上はというか 心電図 上はペースメーカの作動異常なんですが 実際の ペースメーカ機能としては それが異常な作動を しているわけではないわけですね 最近のペースメーカ心電図トラブルの症例は ペースメーカ自体はちゃんと分かっていて ちゃ んとした作動をしているんだけれども 医療従事 者側がトラブル心電図と思って騒ぎになってい ることが非常に多くなってきました それからこんなものもあるんですね 図 27 心室ペーシングが消えてしまう ここでは1拍目 2 拍目 このように心房ペーシングを行って 自 己の QRS が出ています 3 拍目 心房ペーシング を行っていますが その後で自己の QRS が出て きていません なぜか そのときの心室ペーシン グが行われないという状態になっていますね こ れは心房にしかリード線が入っていないペース メーカかというとそんなことはなくて ちゃんと 心室にもリード線が入っているペースメーカな

29 第 34 回総会シンポジウム んですが 4 拍目 抜けた後の 4 拍目の心房ペー シングの後の心室ペーシングがちゃんと行われ ていますが このインターバルは ここのインタ ーバルよりも極端に短いですね 本当であれば ここで QRS が出てくるまでこのペースメーカは 心室ペーシングをやっていませんから ペースメ ーカの設定 delay 設定の PQ 間隔はもっともっと 長いはずなんですね ところが抜けた後のこのタ イミングでなぜか ものすごく短いタイミングで 心室ペーシングをしている それから何よりもこ こで心室ペーシングがされているのに その前で は抜けてしまっている これはなぜなのかという ことになってくるわけですが これは実はいろい ろな大きなスタディの経過から 心室ペーシング を多く入れることによって 例えば心房細動が増 えたりとか 心不全の発症が増えたりとか いろ いろな弊害が起こってくるということが明らか になってきて 心室ペーシングをなるべく減らし てやろうというペースメーカ機能はいろいろな 機械についていることになっているんですね そ のことを Reverse Mode Switch といって DDD の ペースメーカから信号だけをペーシングする AAI のペースメーカの機能に通常の場合は戻して使 ってやるというのがこの機能ですね いろいろな会社からこういう機能が出ていま す 図 28 この機能の基本は 定期的にレー トチェックをして 自己の房室伝導があるときに は AAI にしてやるし 自己の房室伝導がないとき には そのまま心室ペーシングする DDD にして やる こういう機能ですね これは定期的に自己の房室伝導を調査するた めに心室ペーシング 抜いてやっても 房室伝導 があるかどうかを見るということをするんです ね 図 29 このときに房室伝導があって QRS がセンシングされれば その後は AAI にモードを 切り替えて 心室ペーシングをしないようになり ます このときに QRS をセンシングができない と そのままずっと心室のペーシングをする状態 を保つわけですね ところが極力 心室のペーシ ングをしないで済ませようという機能がこの機 能のみそですから 1 回やそこら心室のレートが 抜けてしまってもペーシングをしてくれないん ですね ただ 2 心拍以上連続で QRS が抜けてし まえばまずいということから 1 回目抜けると 2 回目に少し早いタイミングで心室をペーシング しようという働きが働いて 先ほどお示ししたの は実はそういう心電図だったんですね これは連続 4 心拍中 2 心拍で抜けてくると い ままで AAI だったのをまた心室をペーシングす る DDD に戻してやる 図 30 こういう作動を してくるわけです このペースメーカ心電図が非 常に多く病棟で術後 問題なんです 術後の夜中 に看護師さんが熱心に心電図モニターを見てい ますから ペースメーカ不全が起こっていますと 図 28 図 29 図 30

30 循環制御 第 34 巻 図 31 図 32 図 33 図 34 いうことで 当直医が呼ばれて 機械にあまり詳 しくない当直医だと これはペースメーカ異常だ ということになって大騒ぎになってしまうこと はしばしば経験されます 実はこれ 異常でも何でもなくて 当然このペ ースメーカは作動すべきものなんですね ただ これを全症例に入れてしまえばいいかというと そんなことはなくて これも詳細は省きますが QRS の脱落ですとか あるいは期外収縮の出現に よっては ちょうど3連期外刺激みたいなものを 入れて VF を誘発してしまう 図 31 そういう ことも実は起こったりしている こういう報告が あるんですね だからやっぱり全例に対してこの 機能を使うべきではなくて ほとんどの場合は問 題ないので これは作動異常ではない 抜けるこ とがあるペースメーカなんだということをスタ ッフに周知しておく必要がまずありますね それからもう一つは心室ペーシングが消える ことによって問題があるような症例 図 32 例えば 2 度以上の房室ブロックがある症例とか QT が延びている症例 電解質異常があるような 症例ではこの機能は使わないことが望ましいわ けです 反対に この心電図 図 33 を見ていただく と これは分かりにくい心電図なんですが これ 第 1 3 号 2013 図 35 を詳細に見ますと 1 拍目 2 拍目 これは心房 ペーシングして 心室ペーシングしている ここ は心房ペーシングして心室ペーシングをしてい る ところが なぜか 心房 この P が無視され て ここで心房ペーシングが作動をしているんで すね この赤で囲った二つの P は無視されて そ の後で心房ペーシングが行われています 図 34 なぜこんなことが起こってくるのか 図 35 それは PVARP という心房の不応期に出てしまっ ているからですね 心房の不応期に出てきている から P 波は無視されて ペーシング刺激 信号 を送ってしまっているんです 心房不応期が見ら

31 第 34 回総会シンポジウム 図 36 図 37 図 38 図 39 れないので ここでペーシングをしてしまう だ ったら この P 波が見られるように心房の動きを 短くすれば この話は簡単であるわけです こう いう心房不応期は何のためにあるのかというと まず心室電位を心房で感知してしまったり そう いうことを防ぐために不応期はあるんですね 心房不応期の設定 心房不応期を PVARP とい いますが この設定のトラブルによってちょっと 問題になるような心電図が起きることがあるん ですね これは実際に循環器専門医試験に出てい る問題ですが 図 36 ペースメーカ植込み患 者が動悸時にこんな心電図を呈して来院された 正しいのはどれかという問題なんですが これを 拡大してみてみますと 心房センシングの後に心 室ペーシングが行われて 二つ心室性期外収縮が 出て その後で急にレートが早くなって 心房レ ートが早くなって心室ペーシングが行われてい る そういう心電図ですね よく見てみますと 心室性期外収縮の 2 連を契機に突然ペーシングレ ートが上昇しているんですが QRS の前にある P 波がこのときと この頻拍のときでちょっと違っ て見えていますね 頻拍のときは陰性のP波に見 えます ペースメーカは形の違うP波に同期して AV-delay の後 心室ペーシングをするということ をやっております これは何が起こっているか 図 37 ここ心 房センシングがもう起こっていると見なして心 室ペーシングが行われているらしいということ は分かるんですが 実はこういうことが起こって いるんですね 心室性期外収縮が起きて 房室伝 導 室房伝導の不応期を出していると 室房伝導 で逆行性のP波が期外収縮の後に出ます ペース メーカは逆行性の心室性期外収縮 逆に伝わって きたP波を感知して それにトリガーして設定 delay の後 心室ペーシングになっていますね また心室ペーシングをされると 室房伝導が不応 期から脱出していると 逆向きにP波が出て ま たペースメーカはP波をセンシングして 心室ペ ーシングが行われている このことを Pacemaker Mediated Tachycardia PMT という言い方をする んですね 図 38 この PMT を回避するにはどうしたらいいかと いうと 図 39 もちろん逆行性の室房伝導が なければ これは起きませんから このトリガー になる そもそも逆行性のP波は出ませんからい いんですが これは後からコントロールすること ができないですね そうしたらどうしたらいいか というと 逆行性のP波が出てもペースメーカは 反応しなければいけません 逆行性のP波が出た ときに ペースメーカが反応しないためにはどう

32 循 環 制 御 第 34 巻 第 1~3 号 (2013) 図 40 図 41 したらいいかというと このP 波 を 感 知 しないよ うにペースメーカの 信 号 不 応 期 を 設 定 してあげ ます こういう 頻 拍 を 防 ぐためにも PVARP はあるん ですね この 後 もいろいろお 話 をしたいことがあ るんですが 時 間 がなくなりましたので 割 愛 しま す( 図 40 41) 今 日 言 いたいことは capture loss やセンシング 不 全 が 見 られた 場 合 には 原 因 を 調 べて 設 定 を 変 更 するということが まず 第 一 の 対 処 として 必 要 です ただ ペースメーカの 高 機 能 化 によって 設 定 も 非 常 に 複 雑 化 していて 見 かけ 上 は 意 図 し た 設 定 と 異 なる 先 ほどお 示 ししてきた 幾 つかの 心 電 図 のようなものを 示 すことがあるんですね ただ その 場 合 に 異 常 と 見 られるように 作 動 をし ても それが 本 当 は 異 常 でなくて 設 定 が 実 は 原 因 になっていないか ペースメーカ 自 体 は 正 しい 作 動 しているんだけれども 設 定 自 体 が 患 者 にと って 適 切 でないために 起 こっているトラブルで はないかということをまず 見 ていく 必 要 があり ます 今 日 お 示 ししてきたようなことをすべて 精 通 することは 不 整 脈 専 門 医 でなければ 不 可 能 です が ペースメーカ 患 者 の 診 療 に 携 わる 医 師 であれ ば そのときにペースメーカ 自 体 が 異 常 ではなく て 何 らかの 設 定 上 の 問 題 があるかもしれない そういう 基 本 設 定 がどんなものがあるか そうい った 知 識 を 持 っていくことが 望 ましいと 思 いま す ちょっと 長 くなりましたが ご 清 聴 どうもあ りがとうございました( 拍 手 ) 座 長 先 生 ありがとうございました 最 近 いろいろな 機 能 がついているので いろいろな 不 整 脈 が 不 整 脈 っぽく 見 えて 実 は 調 べたら 正 常 な 反 応 をしているというのがあるので 設 定 する 側 と 読 む 側 で 両 方 とも 注 意 が 必 要 だというのがあ ると 思 うんですが 何 かございますでしょうか よろしいですかね 先 生 ありがとうございまし た