腰痛と漢方鍼治療



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腰 痛 と 漢 方 鍼 治 療 天 野 靖 之 はじめに 腰 痛 は 肩 こりと 供 に 慢 性 急 性 を 問 わず 鍼 灸 治 療 の 最 適 応 症 である ところが 来 院 する 初 診 患 者 の 多 くは 整 形 外 科 接 骨 院 カイロプラクティックなどの 治 療 を 経 験 して 最 後 のよりどころとして 鍼 灸 治 療 に 来 院 する 者 が 多 いのが 現 状 である 鍼 灸 治 療 で 本 当 に 腰 痛 が 治 るのか 鍼 の 痛 みをこらえ 灸 の 熱 さを 我 慢 しなければ 効 果 ないだろう など 様 々な 疑 問 と 不 安 を 抱 えて 来 院 する 従 って まず 疑 いを 取 り 除 く ところからスタートしなければならない つまり 治 療 以 前 の 問 題 として 現 代 の 医 学 及 び 古 典 医 学 の 長 所 短 所 を 把 握 して 見 立 ての 良 い 漢 方 鍼 医 になることである そのためには 古 典 医 学 における 生 理 病 理 の 把 握 は 必 須 であるが それについてはすでに 何 回 となく 学 習 している 本 日 は まず 最 初 に 臨 床 の 現 場 から 腰 痛 診 断 のポイントを 述 べることにする 1 腰 痛 の 原 因 -- 西 洋 医 学 では-- 1 筋 肉 骨 格 系 ぎっくり 腰 ( 椎 間 関 節 捻 挫 ) 過 労 特 定 作 業 不 良 姿 勢 などによる 靭 帯 損 傷 など 椎 間 板 ヘルニア 変 形 性 腰 椎 症 脊 椎 間 狭 窄 症 脊 椎 分 利 症 骨 粗 鬆 症 仙 腸 関 節 疾 患 など 2 内 臓 系 の 疾 患 結 石 腎 臓 結 石 胆 石 3 消 化 器 系 胃 十 二 指 腸 潰 瘍 膵 炎 糖 尿 病 4 婦 人 科 系 子 宮 筋 腫 子 宮 後 屈 子 宮 内 膜 炎 悪 性 腫 瘍 など 以 上 はなしを 分 かりやすくするために 西 洋 医 学 的 病 名 を 羅 列 した -- 漢 方 医 学 では-- 1 随 証 両 方 腰 痛 の 原 因 を 四 診 法 により 病 因 病 理 病 症 から 求 め 生 体 の 構 成 成 分 である 気 血 津 液 いずれの 過 不 足 によって どこの 臓 腑 経 絡 に 変 動 を 生 じたか また 予 後 はどうかを 診 きわめて 証 立 てし 治 療 するのである 2 正 気 を 補 い 邪 気 を 瀉 す 病 は 五 臓 精 気 の 虚 より 発 生 古 典 医 学 の 治 療 は 正 気 を 補 い 邪 気 を 瀉 す( 下 す 巡 らす 写 す)ことにある 邪 気 が 虚 で 正 気 が 実 の 病 症 はない 正 気 が 充 実 していれば 邪 気 を 瀉 すのみで 病 症 は 改 善 する 3 肝 腎 要 証 決 定 のポイントとしては 肝 腎 脾 ( 風 寒 湿 の 邪 )を 考 える 肝 は 筋 を 主 る 腎 は 骨 を 主 る ( 素 問 宣 明 五 気 篇 第 二 十 三 ) 筋 は 骨 節 に 合 す 故 に 腰 節 は 筋 の 大 海 也 故 に 肝 血 虚 せば 筋 脈 を 栄 養 出 来 ずに 腰 痛 と なる ( 病 因 指 南 ) 厥 陰 の 脈 人 をして 腰 痛 せしむ 腰 中 弓 屈 の 弦 を 張 るがごとし ( 素 問 刺 腰 痛 篇 第 四 十 一 ) 肝 虚 陰 虚 証 腰 は 腎 の 腑 ( 素 問 脈 要 精 微 論 篇 第 十 七 ) 諸 々の 腰 痛 は 腎 に 属 す 腎 液 不 足 して 骨 髄 乾 燥 する 時 は 関 節 利 すること 能 わずして 腰 痛 せしむ ( 病 因 指 南 ) 腎 虚 陰 虚 証 命 門 の 陽 気 が 虚 すと 水 滞 を 起 こし 腰 節 の 痛 みをなす ( 病 因 指 南 ) 腎 虚 陽 虚 証 湿 が 腎 に 入 ると 腰 疼 し 股 ぐらがいたみ 身 は 板 に 挟 まれたようになり 足 は 砂 が 落 ちるが 如 くだらりとする 湿 が 腎 内 に 流 れると 腰 痛 する 関 節 に 入 ると 全 身 がことごとく 痛 む 啓 迪 集 中 湿

門 ) 以 上 の 古 典 書 が 著 すように 腰 痛 には 肝 腎 要 と 言 われる 肝 と 腎 が 最 も 関 連 している 当 然 の 結 果 として 邪 水 悪 血 (オケツ)により 腰 痛 をきたしているケースが 多 いのである 2 診 断 のポイント 1. 病 症 によるもの 太 陽 の 腰 痛 はうなじから 脊 背 部 より 尻 にかけて 引 きつれて 重 く 痛 む 少 陰 の 腰 痛 は 背 骨 の 内 縁 に 引 きつれる 少 陽 の 腰 痛 は 皮 膚 に 鍼 を 刺 されるようで 俯 仰 することが 出 来 ず また 振 り 向 きにくい 厥 陰 の 腰 痛 は 腰 中 が 張 りつめた 弓 の 弦 のように 強 張 する 陽 明 の 腰 痛 は 振 り 向 くことが 出 来 ず 後 ろに 何 かいるようで 憂 鬱 になる 太 陰 の 腰 痛 は 中 に 一 本 棒 があるようで 甚 だしい 場 合 は 尿 を 漏 らす また 言 う 腰 は 腎 の 府 であり 転 揺 する 事 が 出 来 ない 場 合 は 腎 気 がまさに 尽 きようとしているのである 1 筋 腱 の 異 常 ぎっくり 腰 肝 は 筋 を 主 る 腎 は 骨 を 主 る 肝 腎 系 の 変 動 肉 体 労 働 による 腰 痛 久 しく 行 えば 筋 を 破 る 肝 虚 証 久 しく 立 てば 骨 を 破 る 津 液 不 足 腎 虚 証 運 動 不 足 ( 同 一 姿 勢 )による 痛 み 安 静 時 に 痛 む あるいはくしゃみや 動 いたとた んに 痛 む 陽 虚 寒 証 久 しく 座 せば 肉 を 破 る 脾 虚 証 久 しく 立 てば 骨 を 破 る 腎 虚 証 寝 過 ぎて 痛 む 久 しく 臥 すれば 肺 を 破 る 腎 虚 証 か 肺 虚 肝 実 肺 気 の 虚 が 原 因 で はあるがここまで 進 むと 腎 虚 に 移 行 している さらに 肝 血 の 停 滞 による 肝 実 にもなる 2 交 通 事 故 などによる 腰 痛 脾 虚 寒 実 悪 血 証 3くしゃみもしくは 咳 による 腰 痛 くしゃみ 肝 虚 陽 虚 寒 証 咳 肝 虚 肺 燥 証 他 寒 熱 により 診 断 咳 による 激 痛 膝 蓋 腱 反 射 の 消 失 脊 椎 腫 瘍 など 重 大 な 疾 患 がある 専 門 医 に 紹 介 4 自 発 痛 によるもの 自 発 痛 内 臓 疾 患 の 疑 い 冷 えによる 痛 み( 疼 痛 ) 軽 按 で 気 持 ちよい 肝 虚 陽 虚 寒 証 衛 気 の 補 法 深 刺 は 禁 忌 熱 による 痛 み( 拍 動 痛 ) 軽 按 で 拒 按 脾 虚 陽 経 の 熱 衛 気 の 瀉 法 裏 の 熱 重 按 で 拒 按 肝 実 悪 血 証 営 気 の 補 法 もしくは 瀉 法 5 肥 痩 による 鑑 別 太 い 痛 風 寒 湿 の 邪 肝 腎 脾 虚 いずれもあり 細 い 痛 血 虚 肝 虚 陽 虚 6 痛 む 時 間 による 鑑 別 夜 に 痛 む 悪 血 証 陽 経 の 陽 気 が 少 ない 朝 が 痛 い 血 虚 肝 虚 陽 虚 寒 証 脾 虚 陽 虚 寒 証 夕 方 痛 む 脾 虚 陽 明 経 実 熱 証 7 姿 勢 による 痛 み 前 屈 で 痛 む 腎 虚 証 場 合 によってはSRL 検 査 など 西 洋 医 学 的 検 査 も 患 者 を 説 得 させるために 必 要 である 歩 き 始 めが 痛 い 坐 骨 神 経 痛 歩 くに 従 い 引 きつり 痛 む 間 歇 性 跛 行 症 脊 椎 間 狭 窄 あるいは 動 脈 閉 塞 があ る 脊 椎 間 狭 窄 症 腰 痛 を 伴 う 動 脈 閉 塞 腰 痛 はなく( 少 なく) 患 部 が 冷 たい

8 脚 の 屈 伸 (SRL)による 判 定 ( 私 見 ) 痛 む 部 位 により 上 から 脾 虚 肝 虚 腎 虚 となる 反 体 側 が 痛 むのは 肝 実 の 事 が 多 い 2. 病 因 によるもの 外 因 内 因 不 内 外 因 1 外 因 太 陽 少 陰 の 多 くは 寒 に 中 たる 少 陽 厥 陰 の 多 くは 風 熱 に 中 たる 太 陰 の 多 くは 湿 に 中 たる 陽 明 の 多 くは 燥 に 中 たる ( 参 考 ) 湿 熱 が 停 滞 することにより 血 が 筋 を 養 うことが 出 来 なくなり 拘 攣 する さらに 筋 は 骨 を 御 することができなくなり 萎 え 弱 るのである ( 啓 迪 集 中 湿 門 ) ( 参 考 ) 脾 は 燥 をよろこび 湿 を 憎 む 胃 は 潤 をよろこび 燥 を 憎 む 2 内 因 によるもの 志 を 失 して 腎 が 破 られる 怒 が 鬱 滞 して 肝 が 破 られる 憂 思 して 脾 が 破 られる 3 不 内 外 因 によるもの 墜 落 や 打 撲 などで 悪 血 が 留 滞 するもの 過 房 疲 労 により 精 気 が 損 耗 するもの 3. 切 診 によるもの 1 局 所 その 他 の 寒 熱 深 浅 ( 皮 毛 血 脈 肌 肉 筋 骨 ) 左 右 上 下 の 寒 熱 診 断 2 脊 椎 の 変 形 による 鑑 別 後 彎 変 形 性 脊 椎 症 脊 椎 間 狭 窄 症 ( 間 歇 性 跛 行 症 )を 伴 う) 前 彎 脊 椎 すべり 症 3 痛 む 部 位 による 診 断 督 脉 経 の 痛 み 腎 虚 症 脊 際 に 刺 鍼 場 合 により 横 臥 位 で 行 う 大 腿 内 側 悪 血 婦 人 科 系 疾 患 脾 虚 肝 実 悪 血 証 側 背 部 の 知 覚 異 常 腰 椎 椎 間 板 ヘルニア 4 按 圧 による 痛 みの 確 認 虚 熱 按 圧 で 痛 みが 楽 になる 虚 寒 按 圧 で 痛 みが 増 加 する 鈍 痛 深 い 部 分 で 水 飴 状 湿 邪 脾 虚 証 4. 脈 診 によるもの 尺 脈 が 沈 は 腰 背 の 痛 みである 腰 が 痛 み 時 々 失 精 があり 食 欲 が 減 退 して 脈 が 沈 滑 遅 の 場 合 は 治 す 事 が 出 来 る 腰 痛 の 脈 は 皆 沈 弦 である 沈 弦 で 緊 は 寒 が 原 因 である 沈 弦 で 浮 は 風 が 原 因 である 沈 弦 で 軟 細 は 湿 が 原 因 である 沈 弦 で 実 は 打 撲 や 捻 挫 などが 原 因 である -- 医 学 正 伝 に 言 う-- 腰 痛 の 脈 は 沈 弦 である 沈 滞 弦 虚 しょく 悪 血 緩 湿 滑 伏 痰 大 腎 虚 -- 脉 法 手 引 き 草 より-- 腰 痛 の 脈 は 必 ず 沈 にして 弦 なり 沈 は 滞 りとす 弦 は 腎 虚 なり 浮 にして 細 は 湿 に 破 らる 実 は 閃 挫 してしかり しょくは 悪 血 とす 滑 は 痰 火 なり 凡 そ 腰 痛 の 脉 沈 滑 にして 連 なる 者 は 癒 え 安 し 腰 痛 む 事 甚 しく 面 上 忽 ち 紅 点 を 見 わし 人 中 黒 き 者 は 死 す 熱 証 弦 脈 営 気 の 補 法 寒 証 緊 脈 ( 痛 みが 強 い) 胃 の 気 の 衰 弱 衛 気 営 気 共 に 補 う

血 虚 のために 沈 細 遅 もしくは 数 であれば 虚 老 病 丁 寧 な 補 法 が 必 要 5.その 他 の 所 見 腰 痛 に 絡 んだ 発 熱 悪 心 嘔 吐 便 秘 下 痢 などの 確 認 1 来 院 するまでの 治 療 経 過 ( 薬 整 形 外 科 接 骨 院 整 体 など) 薬 脉 状 に 影 響 する 整 体 電 気 治 療 など 治 療 ドーゼの 判 断 となる 腰 痛 が 初 めてか 再 発 かの 確 認 再 発 の 者 には 体 質 証 として 治 療 未 病 治 療 を 指 示 する 2 内 臓 疾 患 の 有 無 糖 尿 病 肝 炎 胃 潰 瘍 婦 人 科 疾 患 ( 子 宮 筋 腫 子 宮 後 屈 )など 寝 ているときに 痛 み 起 きると 楽 になるのが 特 徴 内 臓 疾 患 ヘルニア 変 形 性 脊 椎 症 など 不 適 応 と 思 われる 病 症 は 病 院 に 紹 介 する 6. 治 療 寒 は 之 を 温 めよ 風 は 之 を 散 ぜよ 湿 は 之 を 燥 せ 挫 閃 ( 打 僕 や 捻 挫 など)は 之 を 通 ぜよ およそ 腰 痛 には 腎 兪 腰 兪 に 施 灸 する 太 陽 経 の 腰 痛 には 委 中 を 刺 して 出 血 させると 速 効 がある 足 の 三 陽 経 は 頭 より 足 に 三 陰 経 は 足 より 腹 に 走 行 しその 流 注 に 従 って 痛 むものであ るから 何 の 経 が 痛 むものかをつまびらかにして 刺 鍼 する 初 診 は 控 えめに 治 療 する 陽 虚 寒 証 で 激 痛 を 訴 える 患 者 は 要 注 意 深 刺 は 禁 忌 である 膀 胱 経 胆 経 胃 経 督 脉 経 の 反 応 を 用 いて 治 療 する 脊 際 の 硬 結 に 対 しては 留 置 鍼 もしくは 横 臥 位 で 治 療 する 局 所 は 最 後 に 治 療 する 透 熱 灸 陽 虚 寒 証 の 硬 結 知 覚 異 常 痩 せている 部 位 などに 対 して 行 う 知 熱 灸 熱 証 に 対 して 行 う 水 を 裁 く 作 用 があるので 湿 熱 に 有 効 灸 頭 針 肝 虚 陰 虚 腎 虚 陰 虚 悪 血 など 慢 性 腰 痛 で 外 寒 内 熱 に 対 して 行 う 刺 絡 ( 点 状 刺 絡 手 持 ち 三 稜 鍼 ) 細 絡 井 穴 に 対 して 行 う 刺 絡 ( 吸 角 三 稜 鍼 ) 硬 く 自 発 痛 があり 表 面 は 一 見 ぶよぶよして 虚 している 感 じに 対 して 行 う 置 鍼 骨 粗 鬆 症 側 弯 症 などの 挾 脊 穴 に 行 う 3 各 証 による 腰 痛 腰 痛 は 肝 腎 要 と 言 われる 肝 腎 経 の 変 動 によるものが 多 いことを 先 に 述 べた 当 然 津 液 の 枯 渇 による 血 行 障 害 から 悪 血 をきたし 腰 痛 を 引 き 起 こしているケースが 多 い 事 は 論 をま たない そこで まず 悪 血 による 腰 痛 から 説 明 する 1. 肝 実 悪 血 証 邪 気 としての 悪 血 の 認 識 基 本 的 には 肺 虚 肝 実 証 と 脾 虚 肝 実 証 があるが これは 悪 血 を 引 き 起 こす 病 理 に 付 けられ た 称 号 である 本 日 取 り 上 げる 悪 血 は 腰 痛 を 起 こす 原 因 となりうる 悪 血 である 従 って 陰 虚 証 陽 虚 証 いずれにも 悪 血 による 腰 痛 が 発 症 しうるのである 悪 血 による 腰 痛 は 血 熱 血 悪 (ケツオ)と 血 寒 血 悪 に 大 別 できる 血 寒 血 悪 患 部 の 冷 痛 喜 温 拒 按 肺 虚 肝 実 悪 血 証 血 熱 血 悪 患 部 の 熱 痛 喜 冷 拒 按 脾 虚 肝 実 悪 血 証 1 血 寒 血 悪 ( 肺 虚 肝 実 証 ) 肺 虚 腎 の 津 液 虚 肝 血 の 停 滞 悪 血 冷 えによる 腰 痛 肺 虚 肝 実 とは 言 うが 腎 虚 で 肝 実 である 肺 虚 とはその 原 因 を 述 べたものである 寒 邪 によるものであり 経 脈 に 客 し 血 滞 により 陽 気 を 損 傷 し 四 肢 に 悪 血 が 凝 滞 し 痛 を

なす 女 性 では 月 経 や 産 後 に 寒 邪 を 感 受 して 悪 血 となり 下 腹 の 冷 痛 や 固 定 性 の 疼 痛 をお こす 生 理 は 遅 れがちとなり 経 色 は 紫 色 の 血 塊 をともなう 舌 質 暗 淡 脉 状 沈 遅 しょく 血 寒 悪 血 が 長 期 に 渡 ると 陽 虚 にも 移 行 する 素 問 論 篇 ( 風 寒 湿 邪 ) 脈 にあれば 則 ち 血 しこりて 流 れずとある つまり 悪 血 により 痛 みしびれを 起 こすことが 述 べられて いる 2 血 熱 血 悪 ( 脾 虚 肝 実 証 ) 脾 虚 熱 証 肝 経 に 波 及 肝 実 熱 証 胆 経 に 波 及 熱 による 腰 痛 月 経 時 の 発 熱 脾 虚 肝 実 悪 血 証 月 経 時 の 腰 痛 小 腹 部 の 疼 痛 喜 冷 悪 熱 肌 膚 の 灼 熱 煩 躁 血 尿 血 便 崩 漏 舌 質 暗 紅 紫 暗 お 斑 がある 脉 状 沈 数 細 2. 肝 虚 陰 虚 熱 証 腎 の 津 液 不 足 肝 経 の 血 中 の 津 液 不 足 虚 熱 発 生 肝 経 下 腹 睾 丸 の 引 きつり( 疝 ) 腰 に 回 り 腰 痛 を 起 こす 虚 熱 ( 血 分 の 熱 ) 表 に 向 かう ソウ 理 を 開 き 発 汗 風 寒 湿 外 邪 にあたる 表 の 冷 え 外 熱 できない 熱 寒 熱 錯 綜 腰 痛 を 起 こす 寒 の 虚 熱 胆 経 に 出 る 発 散 できない 熱 急 性 の 痙 攣 様 の 腰 痛 偏 頭 痛 肩 こり 不 眠 ノイローゼを 伴 う 発 散 後 冷 えて 寒 熱 往 来 ( 更 年 期 障 害 )を 引 き 起 こす つまり 虚 熱 が 波 及 した 経 絡 は 気 血 の 循 環 障 害 を 起 こし 腰 痛 神 経 痛 関 節 炎 麻 痺 などをおこす 肝 は 筋 をつかさどる 筋 は 骨 節 に 介 す 故 に 腰 節 は 筋 の 大 海 なり これをもって 肝 血 虚 して 緊 脈 を 栄 養 すること 能 わずして すなわち 筋 疲 れて 機 関 を 利 すること 能 わずして また 腰 痛 の 思 いを 生 ず ( 病 因 指 南 ) 厥 陰 の 脈 人 をして 腰 痛 せしむ 腰 中 弓 屈 の 弦 を 張 るがごとし ( 素 問 刺 腰 痛 篇 第 四 十 一 )とある これらは 熱 のために 痛 むことを 述 べている 肝 虚 熱 証 の 熱 は 陰 虚 ( 津 液 や 血 の 虚 )から 発 生 している そのために 少 し 古 い 腰 痛 になると 表 面 は 冷 えて 熱 は 内 側 に 潜 む この 表 面 の 冷 えと 内 側 の 熱 によってまた 痛 む 腰 痛 中 熱 する( 素 問 刺 腰 痛 篇 第 四 十 一 ) --その 他 の 病 症 -- 胆 経 の 虚 熱 偏 頭 痛 肩 こり( 胆 経 ) イライラ 不 眠 目 眩 寒 熱 往 来 更 年 期 障 害 など 心 の 虚 熱 心 臓 病 高 血 圧 動 脈 硬 化 動 気 胸 痛 上 焦 の 汗 のぼせ 脾 胃 の 虚 熱 便 秘 食 欲 旺 盛 膀 胱 の 虚 熱 小 便 自 利 または 不 利 膀 胱 結 石 膀 胱 炎 -- 脉 診 -- 浮 大 虚 -- 腹 診 -- 胸 の 熱 肝 積 左 臍 傍 の 動 気 鼠 径 上 部 の 抵 抗 圧 痛 腰 に 及 ぶ 曲 泉 陰 谷 に 営 気 の 補 硬 結 灸 頭 針 熱 の 部 位 知 熱 灸 足 三 焦 経 に 気 血 の 循 環 を 促 進 し 分 肉 の 寒 の 邪 気 を 取 り 除 く 置 針 後 員 鍼 で 擦 過 する 3. 肝 虚 陽 虚 寒 証 肝 虚 陰 虚 の 慢 性 化 肝 血 そのものの 不 足 命 門 の 陽 気 も 不 足 気 血 両 虚 筋 に 潤 いが なくなり 引 きつり 痛 む 虚 寒 腰 痛 腰 痛 上 寒 する ( 素 問 刺 腰 痛 篇 第 四 十 一 ) 肝 虚 陽 虚 風 寒 湿 外 邪 にあたる 冷 えて 激 痛 を 発 する 素 問 論 第 四 十 三 に 痛 まずして 痺 れ 麻 痺 を 起 こしているものは 病 久 しく 営 衛 渋

り 経 絡 ふさがる 血 虚 の 痛 みは 朝 目 覚 めると 腰 が 痛 く 動 くに 従 い 治 るのが 特 徴 である 自 発 痛 が 強 く 姿 勢 を 変 えても 痛 む 患 部 を 重 按 すると 痛 みが 増 す これは 虚 痛 だから 気 持 ち 良 いはずだが 按 圧 により 陽 気 がなくなり 痛 むのである 朝 の 痛 み 患 部 が 痩 せている --その 他 の 病 証 -- 月 経 過 多 もしくは 過 少 月 経 痛 不 妊 症 不 感 症 夏 に 無 汗 手 足 厥 冷 しもやけ 低 血 圧 貧 血 下 腹 痛 疲 労 感 胆 経 の 病 症 決 断 力 の 不 足 肩 こり 偏 頭 痛 ( 胆 経 ) イライラ 不 眠 目 眩 -- 脉 診 -- 沈 遅 しょく 細 弱 -- 腹 診 -- 右 回 盲 部 に 抵 抗 と 圧 痛 久 寒 心 下 胸 下 に 緊 張 感 心 下 巨 闕 が 痞 硬 側 腹 部 より 鼠 径 部 が 緊 張 圧 痛 恥 骨 上 部 に 圧 痛 抵 抗 下 腹 部 が 軟 弱 で 冷 えている 太 衝 太 谿 中 封 復 溜 補 法 下 腹 部 の 虚 寒 知 熱 大 灸 4. 腎 虚 陰 虚 津 液 不 足 膀 胱 経 の 熱 腰 痛 腰 は 腎 の 府 ( 素 問 脈 要 精 微 論 第 十 七 ) 諸 々の 腰 痛 は 腎 に 属 す 腎 衛 気 不 足 して 骨 髄 乾 燥 する 時 は 関 節 利 すること 能 わずして 腰 痛 せしむ( 病 因 指 南 ) つまり 肝 虚 陰 虚 証 で 述 べた 寒 熱 錯 綜 による 痛 みもあるが 津 液 の 虚 により 骨 髄 が 枯 れて 骨 の 変 形 骨 粗 鬆 症 などによる 痛 みや 脚 弱 麻 痺 などをおこすの である 要 するに 熱 が 発 生 すると 足 が 煩 熱 し 熱 が 表 に 出 ているために 汗 が 出 やすくなる 汗 が 出 るとますます 津 液 は 不 足 して 痩 せてくる ところが その 虚 熱 も 病 症 の 慢 性 化 や 加 齢 または 肺 虚 などにより 少 なくなると 表 に 衰 退 が 起 こり 肥 満 し 腎 虚 陽 虚 寒 証 や 水 の 多 い 悪 血 ( 肺 虚 肝 実 悪 血 証 )にも 移 行 する そして 腰 痛 が 起 こると 下 焦 全 体 が 弱 くなるため に 虚 弱 となる 但 し 腎 を 補 わない 限 り 津 液 不 足 はそのままである そのために 腰 椎 の 変 形 が 起 こるようになり 骨 粗 鬆 症 による 腰 痛 などが 起 こる --その 他 の 病 症 -- 虚 熱 が 多 い 病 症 足 の 煩 熱 多 汗 るい 痩 顔 面 黒 脂 精 力 旺 盛 口 渇 食 欲 旺 盛 小 便 自 利 または 不 利 動 悸 精 気 が 虚 した 病 症 奔 豚 気 病 腹 痛 のない 下 痢 食 欲 有 り 虚 熱 が 少 ない 病 症 足 の 煩 熱 または 厥 冷 小 便 自 利 または 不 利 腹 痛 のない 下 痢 下 焦 虚 動 悸 表 に 水 が 停 滞 した 病 症 下 肢 厥 冷 腰 の 冷 え 下 肢 の 浮 腫 水 気 病 肥 満 -- 脉 状 -- 浮 大 虚 沈 硬 ( 津 液 不 足 ) 弾 石 ( 死 脈 となる) -- 腹 証 -- 小 腹 不 仁 臍 下 任 脈 が 虚 し 外 側 胃 経 が 引 きつる 小 腹 急 結 恥 骨 上 部 に 抵 抗 心 下 巨 闕 に 抵 抗 脇 部 ( 上 焦 )に 熱 汗 有 り 復 溜 尺 沢 に 営 気 の 補 虚 熱 が 多 い 陰 谷 尺 沢 または 然 谷 ( 火 穴 )に 営 気 の 補 虚 熱 が 多 い 灸 頭 針 もしくは 知 熱 灸 5. 腎 虚 陽 虚 寒 証

命 門 陽 虚 脾 胃 の 寒 腰 痛 命 門 の 虚 は 太 陽 経 の 虚 から 起 こる 太 陽 経 の 虚 は 肺 虚 から 起 こるので 肺 虚 陽 虚 で 治 療 する 腎 虚 熱 証 の 熱 がきわめて 少 なくなるか 最 初 から 腎 の 津 液 と 命 門 の 陽 気 がなくなって 冷 え ていることがある これを 腎 虚 寒 証 という 腎 は 膵 臓 たりと 水 も 水 中 に 自 ら 火 ありて 蓄 える これを 命 門 の 陽 下 焦 の 元 気 とす この 陽 気 虚 するときは 膵 液 こりて 流 れず 腰 節 これが 為 に 痛 むことをいたすものあり( 病 因 指 南 )と 述 べている これは 命 門 の 陽 気 が 虚 すと 相 対 的 に 余 分 な 水 が 多 くなり 冷 えて 腰 痛 を 起 こすと 言 うこ とを 述 べたものである 腎 虚 寒 証 が 慢 性 になると 命 門 の 陽 気 が 足 りないために 脾 胃 にも 寒 が 波 及 することがある 腎 気 虚 冷 して 中 焦 湿 土 の 気 好 んでここに 乗 ずるを 持 って 腎 気 ますます 現 して 巡 ら ず ついに 体 重 く 腰 下 冷 痛 せしむる 事 をいたす 名 付 けて 腎 虚 という( 病 因 指 南 )と 述 べている この 様 な 状 態 になった 腰 痛 は 老 人 に 多 い 骨 粗 鬆 症 腰 痛 は 長 時 間 の 立 位 で 痛 くなる 目 が 覚 めたときに 腰 に 板 を 張 り 付 けられたような 痛 みがある 腰 が 重 くて 下 に 引 っ 張 ら れるような 感 じがする --その 他 の 病 症 -- 肺 虚 陽 虚 証 足 の 厥 冷 小 便 頻 数 または 不 利 夜 間 多 尿 夕 方 に 下 肢 の 浮 腫 冷 え 肺 虚 がさらに 進 行 - 無 汗 悪 寒 元 気 不 足 咽 喉 痛 脾 虚 腎 虚 証 腹 痛 のない 下 痢 手 足 厥 冷 精 力 減 退 元 気 不 足 目 眩 食 欲 はある が 食 べれず 急 性 手 足 厥 冷 し 悪 寒 清 穀 下 痢 真 寒 仮 熱 口 渇 -- 腹 証 -- 下 腹 軟 弱 太 谿 太 淵 復 溜 経 渠 足 三 里 に 衛 気 営 気 の 補 臍 に 知 熱 下 焦 虚 に 対 して 先 天 後 天 の 元 気 を 付 ける 参 考 引 用 文 献 臨 床 に 生 かす 古 典 の 学 び 方 池 田 政 一 著 医 道 の 日 本 社 臓 腑 経 絡 からみた 薬 方 と 鍼 灸 池 田 政 一 編 著 監 修 漢 方 陰 陽 会 現 代 語 訳 黄 帝 内 経 素 問 南 京 中 医 学 院 医 経 教 研 組 編 東 洋 学 術 出 版 社 現 代 語 訳 黄 帝 内 経 霊 枢 南 京 中 医 学 院 中 医 系 東 洋 学 術 出 版 社 漢 方 用 語 大 辞 典 創 医 会 学 術 部 編 燎 原 啓 迪 集 矢 数 同 盟 著 脉 法 手 引 草 山 延 年 著 医 道 の 日 本 社