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2 / 14 制 の 適 用 除 外 規 定 について 次 のような 見 直 しを 行 うものである いわゆる 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 に 基 づく 売 買 等 について より 包 括 的 な 適 用 除 外 の 規 定 を 設 ける いわゆる 対 抗 買 い に 係 る 適 用 除 外 規 定 について 解 釈 の 明 確 化 を 図 る 1. 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 (1) 改 正 府 令 の 概 要 改 正 府 令 では 会 社 関 係 者 等 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 が 認 められる いわ ゆる 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 に 基 づく 売 買 等 4 として より 包 括 的 な 規 定 を 設 けるとして いる 具 体 的 には 適 用 除 外 の 新 たな 類 型 として 次 の 場 合 が 追 加 される( 改 正 後 の 有 価 証 券 の 取 引 等 の 規 制 に 関 する 内 閣 府 令 ( 以 下 取 引 等 規 制 府 令 )59 条 1 項 14 号 なお 2015 年 6 月 18 日 に 金 融 庁 が 公 表 した 原 案 ( 有 価 証 券 の 取 引 等 の 規 制 に 関 する 内 閣 府 令 の 一 部 を 改 正 する 内 閣 府 令 ( 案 ) 及 び 金 融 商 品 取 引 法 等 に 関 する 留 意 事 項 について ( 金 融 商 品 取 引 法 等 ガイド ライン)の 一 部 改 正 ( 案 )の 公 表 について ) 5 からの 主 な 変 更 点 については 後 述 (4) 参 照 ) 次 に 掲 げる 要 件 の 全 てに 該 当 する 場 合 イ. 重 要 事 実 を 知 る 前 に 締 結 された 書 面 による 契 約 の 履 行 又 は 重 要 事 実 を 知 る 前 に 決 定 された 書 面 による 計 画 の 実 行 として 売 買 等 を 行 うこと ロ. 重 要 事 実 を 知 る 前 に 次 に 掲 げるいずれかの 措 置 が 講 じられたこと 1 当 該 契 約 又 は 計 画 の 写 しが 金 融 商 品 取 引 業 者 ( 注 1)に 対 して 提 出 され その 提 出 の 日 付 について 当 該 金 融 商 品 取 引 業 者 による 確 認 を 受 けたこと( 注 2) 2 当 該 契 約 又 は 計 画 に 確 定 日 付 が 付 されたこと( 注 3) 3 当 該 契 約 又 は 計 画 が (インサイダー 取 引 規 制 上 の) 公 表 措 置 に 準 じ 公 衆 縦 覧 に 供 され ンサイダー 取 引 規 制 の 見 直 し (2013 年 1 月 18 日 付 レポート)も 参 照 (http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/securities/20130118_006704.html) なお 同 報 告 書 は 2013 年 2 月 27 日 に 金 融 審 議 会 金 融 分 科 会 に 報 告 され 金 融 審 議 会 金 融 分 科 会 報 告 とし てとりまとめられている 4 売 買 その 他 の 有 償 の 譲 渡 若 しくは 譲 受 け 合 併 若 しくは 分 割 による 承 継 又 はデリバティブ 取 引 をいうと 定 義 さ れている( 金 融 商 品 取 引 法 166 条 1 項 ) 5 金 融 庁 のウェブサイト(http://www.fsa.go.jp/news/26/syouken/20150618-1.html)に 掲 載 されている

3 / 14 たこと ハ. 当 該 契 約 の 履 行 又 は 当 該 計 画 の 実 行 として 行 う 売 買 等 につき 売 買 等 の 別 銘 柄 期 日 当 該 期 日 における 売 買 等 の 総 額 又 は 数 ( 注 4)が 当 該 契 約 計 画 において 特 定 されているこ と 又 は 当 該 契 約 計 画 においてあらかじめ 定 められた 裁 量 の 余 地 がない 方 式 により 決 定 さ れること ( 注 1) 第 一 種 金 融 商 品 取 引 業 ( 有 価 証 券 関 連 業 に 該 当 するものに 限 り 第 一 種 少 額 電 子 募 集 取 扱 業 務 (いわ ゆる 株 式 型 クラウド ファンディング 業 務 )のみを 行 うものを 除 く)を 行 う 者 に 限 る ( 注 2) 当 該 金 融 商 品 取 引 業 者 が その 契 約 を 締 結 した 相 手 方 又 はその 計 画 を 共 同 して 決 定 した 者 である 場 合 を 除 く ( 注 3) 金 融 商 品 取 引 業 者 が その 契 約 を 締 結 した 者 又 はその 計 画 を 決 定 した 者 である 場 合 に 限 る ( 注 4)デリバティブ 取 引 においては これらに 相 当 する 事 項 イは 売 買 等 が 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 に 基 づいて 執 行 されること ロは その 契 約 計 画 が 重 要 事 実 を 知 る 前 に 締 結 決 定 されたことを 担 保 するための 措 置 を 講 じること ハは 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 に 基 づく 売 買 等 につき 裁 量 性 恣 意 性 が 排 除 されていることを 求 めるものと 考 えられる 同 様 の 見 直 しは 公 開 買 付 者 等 関 係 者 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 についても 設 けられている( 改 正 後 の 取 引 等 規 制 府 令 63 条 1 項 14 号 ) なお ここでいう 知 る 前 計 画 については 法 人 が 決 定 したもののみならず 個 人 が 決 定 したものであっても 計 画 を 当 該 計 画 を 実 行 する 意 思 のもと 書 面 により 作 成 すれば 通 常 計 画 を 決 定 したと 言 える ( 金 融 庁 コメントの 概 要 とそれに 対 する 金 融 庁 の 考 え 方 6 ( 以 下 金 融 庁 の 考 え 方 )No.2)との 見 解 が 示 されている 7 また 特 定 の 書 式 はないものの 書 面 による 契 約 書 面 による 計 画 である 必 要 があり 電 磁 的 記 録 により 作 成 されたものは 含 まれないと 解 されている( 金 融 庁 の 考 え 方 No.6 7) (2)いわゆる 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 とは 会 社 関 係 者 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 を 前 提 にすれば いわゆる 知 る 前 契 約 とは 業 務 等 に 関 する 重 要 事 実 を 知 る 前 に 締 結 された 当 該 上 場 会 社 等 の 特 定 有 価 証 券 等 に 係 る 売 買 等 に 関 する 契 約 知 る 前 計 画 とは 業 務 に 関 する 重 要 事 実 を 知 る 前 に 決 定 された 当 該 上 場 会 社 等 の 特 定 有 価 証 券 等 に 係 る 売 買 等 の 計 画 を 意 味 している( 8 金 融 商 品 取 引 法 166 条 6 項 12 号 ) 6 金 融 庁 のウェブサイト(http://www.fsa.go.jp/news/27/syouken/20150902-1/01.pdf)に 掲 載 されている 7 知 る 前 契 約 については 金 融 庁 の 考 え 方 では 特 に 触 れられていない 私 見 だが 契 約 と 計 画 を 分 けて 考 えるべき 理 由 はなく 同 様 に 考 えてもよいのではないかと 思 われる 8 公 開 買 付 者 等 関 係 者 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 の 場 合 知 る 前 契 約 は 公 開 買 付 け 等 事 実 を 知 る 前 に 締 結 された 当 該 公 開 買 付 け 等 に 係 る 株 券 等 に 係 る 買 付 け 等 若 しくは 売 付 け 等 に 関 する 契 約 知 る 前 計 画 は 公 開 買 付 け 等 事 実 を 知 る 前 に 決 定 された 当 該 公 開 買 付 け 等 に 係 る 株 券 等 に 係 る 買 付 け 等 若 しくは 売 付 け 等 の

4 / 14 こうした 知 る 前 契 約 の 履 行 や 知 る 前 計 画 の 実 行 として 行 われる 売 買 等 について イ ンサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 が 認 められる 理 由 は 重 要 事 実 を 知 ったことと 無 関 係 に 行 われ る 売 買 等 であることが 明 らかな 場 合 には 証 券 市 場 の 公 正 性 健 全 性 に 対 する 投 資 家 の 信 頼 を 損 なうことはない 9 ためと 説 明 されている 改 正 前 の 法 令 の 下 では こうした 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 に 何 が 該 当 するかについて は 個 別 列 挙 主 義 が 採 用 されていた すなわち 法 令 上 ( 取 引 等 規 制 府 令 上 ) 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 として 上 場 会 社 等 との 書 面 による 契 約 の 履 行 によるその 上 場 会 社 等 の 株 式 等 の 一 定 の 売 買 等 信 用 取 引 の 一 定 の 反 対 売 買 役 員 持 株 会 従 業 員 持 株 会 等 による 一 定 の 買 付 け 累 積 投 資 契 約 に 基 づく 一 定 の 買 付 けなどが 個 別 具 体 的 に 定 められており( 改 正 前 の 取 引 等 規 制 府 令 59 条 63 条 ) これらのいずれかに 該 当 する 場 合 にのみ 適 用 除 外 が 認 められるものと されていた (3) 見 直 しの 背 景 改 正 前 の 法 令 の 個 別 列 挙 主 義 による 規 定 の 在 り 方 は 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 に 該 当 す る 取 引 の 範 囲 を 明 確 にするメリットがあった しかし 法 令 が 定 める 類 型 に 当 てはまらない 新 たな 取 引 形 態 が 現 れた 場 合 法 令 を 改 正 して 改 めて 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 に 指 定 し ない 限 り 適 用 除 外 が 認 められないというデメリットもあった WG 報 告 書 は こうした 点 を 踏 まえて 次 のような 提 言 を 行 った 取 引 の 円 滑 を 確 保 する 観 点 から 次 の 視 点 に 基 づいた 基 本 的 考 え 方 を 明 確 化 し より 包 括 的 な 適 用 除 外 の 規 定 を 設 けるとともに 必 要 に 応 じガイドライン 等 により 法 令 の 解 釈 を 事 前 に 示 していくことが 適 当 である 未 公 表 の 重 要 事 実 を 知 る 前 に 締 結 決 定 された 契 約 計 画 であること 当 該 契 約 計 画 の 中 で それに 従 った 売 買 等 の 具 体 的 な 内 容 が 定 められているなど 裁 量 的 に 売 買 等 が 行 われるものでないこと 当 該 契 約 計 画 に 従 った 売 買 等 であること 上 述 の 見 直 しを 行 うに 当 たっては 事 後 的 に 契 約 や 計 画 が 捏 造 されるリスクに 配 意 する 必 要 がある この 点 については 反 復 継 続 して 取 引 を 行 うことを 内 容 とする 契 約 や 計 画 で 計 画 を 意 味 している( 金 融 商 品 取 引 法 167 条 5 項 14 号 ) 9 WG 報 告 書 pp.10-11

5 / 14 あれば 事 後 的 に 捏 造 されるおそれは 類 型 的 に 低 く また 単 発 の 取 引 を 行 うことを 内 容 とす る 契 約 や 計 画 であっても 未 公 表 の 重 要 事 実 を 知 る 前 に 締 結 決 定 したことが 明 確 で あるような 措 置 ( 例 えば 証 券 会 社 等 による 確 認 を 得 るなど)がとられるならば 契 約 や 計 画 が 捏 造 されるおそれは 低 いところであり これらの 観 点 を 踏 まえ 適 切 な 制 度 整 備 が 図 ら れることが 必 要 である ( 出 所 )WG 報 告 書 p.11 なお 下 線 は 筆 者 による 改 正 府 令 は 基 本 的 に 上 記 のWG 報 告 書 の 提 言 ( 特 に 下 線 部 )を 踏 まえて 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 に 関 する より 包 括 的 な 適 用 除 外 の 規 定 を 定 めるものといえるだろう (4) 原 案 からの 主 な 変 更 点 改 正 府 令 に 関 して 2015 年 6 月 18 日 に 金 融 庁 が 公 表 した 原 案 からの 主 な 変 更 点 は 次 の 通 り である なお 技 術 的 な 語 句 の 修 正 などは 割 愛 している a. 前 記 (1)ロ2の 措 置 ( 当 該 契 約 又 は 計 画 に 確 定 日 付 が 付 されたこと )について 原 案 では 特 に 制 限 がなかったものが 改 正 府 令 では 金 融 商 品 取 引 業 者 が その 契 約 を 締 結 した 者 又 は その 計 画 を 決 定 した 者 である 場 合 に 限 る との 制 限 が 設 けられた b. 前 記 (1)ロ3の 措 置 ( 契 約 計 画 の 金 融 商 品 取 引 法 166 条 4 項 167 条 4 項 の 公 表 措 置 に 準 じた 公 衆 の 縦 覧 )について 原 案 では 公 開 又 は 公 衆 の 縦 覧 とされていたものが 改 正 府 令 では 公 開 は 不 可 とされ 公 衆 の 縦 覧 のみとされた c. 前 記 (1)ハの 措 置 ( 契 約 計 画 における 売 買 等 に 関 する 事 項 の 特 定 )について 契 約 又 は 計 画 によって 特 定 すべき 売 買 等 に 関 する 事 項 から 価 格 が 除 外 された また 原 案 で 数 とされていたものが 改 正 府 令 では 当 該 期 日 における 売 買 等 の 総 額 又 は 数 と 改 められた (a) 確 定 日 付 a.の 変 更 は 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 について インサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 を 単 に 確 定 日 付 が 付 された というだけで 認 めれば 規 制 の 潜 脱 を 招 く 恐 れがあるとの 指 摘 を 受 けたものと 説 明 されている すなわち 包 括 的 な 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 による 適 用 除 外 を 認 めれば あらかじめ 複 数 の 契 約 又 は 計 画 を 準 備 した 上 で ( 筆 者 注 : 入 手 した 未 公 表 の 重 要 事 実 に 基 づいて) 有 利 な 契 約 又 は 計 画 のみを 履 行 又 は 実 行 し 不 利 な 契 約 又 は 計 画 を 履 行 又 は 実 行 しないこと ( 金 融 庁 の 考 え 方 No.19 の コメントの 概 要 )で 実 質 的 にインサ イダー 取 引 と 同 視 されるような 取 引 がなされる 危 険 性 がある 特 に 確 定 日 付 の 付 与 を 受 ける 措 置 については 実 行 しないこととした 契 約 又 は 計 画 を 隠 匿 することが 容 易 であり 事 実 上 規 制 をすり 抜 けることができる ( 同 前 )との 指 摘 が 原 案 に 対 してなされていた

6 / 14 金 融 庁 は こうした 指 摘 を 受 けて 改 正 府 令 では 単 に 契 約 又 は 計 画 に 確 定 日 付 が 付 され た だけでは 足 りず 金 融 商 品 取 引 業 者 が 当 該 契 約 を 締 結 した 者 又 は 当 該 計 画 を 決 定 した 者 で ある 場 合 に 限 る こととした これは 指 摘 された 潜 脱 行 為 を 防 止 するために 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 について 金 融 商 品 取 引 業 者 ( 証 券 会 社 )の 関 与 を 求 めることで 一 種 のゲートキ ーパーとしての 機 能 を 果 たさせようというものだと 思 われる (b) 公 表 ( 公 衆 の 縦 覧 ) b.の 変 更 は 報 道 機 関 に 対 して 公 開 する 措 置 及 びホームページ 上 に 公 開 する 措 置 は 知 る 前 契 約 計 画 の 公 表 措 置 として 認 めない という 趣 旨 だと 説 明 されている( 金 融 庁 の 考 え 方 No.21 22) また ここでいう 公 衆 の 縦 覧 手 続 も あくまで( 金 融 商 品 取 引 法 ) 第 166 条 ( 第 167 条 ) 第 4 項 に 定 める 公 表 の 措 置 に 準 じ 公 衆 の 縦 覧 に 供 されたこと ( 金 融 庁 の 考 え 方 No.23) す なわち インサイダー 取 引 規 制 上 の 公 表 ( 適 時 開 示 臨 時 報 告 書 など)に 準 じて 行 われるこ とが 求 められている その 結 果 例 えば 大 量 保 有 報 告 書 の 公 衆 の 縦 覧 は ( 筆 者 注 : 金 融 商 品 取 引 法 第 166 条 ( 第 167 条 ) 第 4 項 の 定 める) 公 表 の 措 置 に 含 まれていないことから これ に 準 ずる 知 る 前 契 約 計 画 の 公 表 措 置 としても 認 められない ( 同 前 )との 見 解 が 示 されて いる (c) 売 買 等 に 関 する 事 項 の 特 定 c.の 変 更 は 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 に 基 づく 売 買 等 についての 裁 量 性 恣 意 性 を 排 除 するために その 契 約 計 画 の 中 で 特 定 されるべき 事 項 のうち 原 案 では 数 価 格 及 び 期 日 とされていた 箇 所 が 期 日 並 びに 当 該 期 日 における 売 買 等 の 総 額 又 は 数 に 改 められた 具 体 的 には まず 原 案 で 掲 げられていた 価 格 が 改 正 府 令 では 特 定 されるべき 事 項 か ら 除 外 された( 金 融 庁 の 考 え 方 No.32) また 原 案 の 数 については 改 正 府 令 では 当 該 期 日 における 売 買 等 の 総 額 又 は 数 と 改 められた これは 契 約 又 は 計 画 により 売 買 等 の 総 額 又 は 数 が 期 日 単 位 (1 日 単 位 )で 特 定 され 又 は 裁 量 の 余 地 がない 方 式 により 決 定 されている 必 要 ( 金 融 庁 の 考 え 方 No.29)がある ことを 意 味 する 一 定 期 間 における 売 買 等 の 総 額 又 は 数 を 定 めるのみでは 当 該 期 日 におけ る 売 買 等 の 総 額 又 は 数 が 特 定 され 又 は 裁 量 の 余 地 がない 方 法 により 決 定 されているとは 言 え ない ( 同 前 )とされている 同 様 に 数 の 上 限 又 は 下 限 を 定 めるのみでは 特 定 され 又 は 裁 量 の 余 地 がない 方 式 により 決 定 されているとは 言 えない ( 金 融 庁 の 考 え 方 No.31)と 解 さ れている なお 契 約 計 画 において 当 該 期 日 における 売 買 等 の 総 額 又 は 数 を 定 めたにもか

7 / 14 かわらず 結 果 的 に 定 めた 総 額 又 は 数 に 満 たない 取 引 しかできなかった 場 合 に どのよ うに 取 り 扱 われるか という 問 題 が 考 えられる この 点 について 金 融 庁 は 計 画 のとおりに 売 買 等 を 行 わなかったことは 数 が 特 定 され 又 は 裁 量 の 余 地 がない 方 法 により 決 定 されてい るか 否 かの 問 題 ではなく 売 買 等 が 計 画 の 実 行 として 行 われたと 言 えるか 否 かの 問 題 で あって 外 部 的 な 事 情 により やむを 得 ず 計 画 に 満 たない 数 の 取 引 しか 行 えなかったことは 基 本 的 に 売 買 等 が 計 画 の 実 行 として 行 われたことを 否 定 するものではない との 見 解 を 示 している( 金 融 庁 の 考 え 方 No.30) (5) インサイダー 取 引 規 制 に 関 するQ&A 2015 年 9 月 2 日 改 正 府 令 に 合 わせて 金 融 庁 は インサイダー 取 引 規 制 に 関 するQ&A の 改 訂 を 行 った( 以 下 改 訂 Q&A ) 10 この 中 で 新 たに 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 と 重 要 事 実 の 入 手 公 表 との 関 係 の 整 理 を 行 っている 具 体 的 には 知 る 前 に 締 結 された 又 は 知 る 前 に 決 定 された とは 売 買 等 を 行 う 時 点 において 知 っている 未 公 表 の 重 要 事 実 を 知 る 前 に 締 結 又 は 決 定 されたことを 意 味 する 11 とい う 原 則 を 示 した 上 で 次 のような 事 例 を 挙 げて 説 明 している 具 体 例 として 契 約 の 締 結 又 は 計 画 の 決 定 の 時 点 において 知 っている 重 要 事 実 Aが 売 買 等 を 行 う 前 に 全 て 公 表 又 は 中 止 され また 当 該 契 約 の 締 結 又 は 当 該 計 画 の 決 定 の 後 に 知 った 重 要 事 実 Bが 当 該 売 買 等 を 行 う 時 点 において 未 公 表 となっている 場 合 を 想 定 します(なお 当 該 契 約 の 締 結 又 は 当 該 計 画 の 決 定 の 時 点 から 当 該 売 買 等 を 行 う 時 点 までの 間 において 重 要 事 実 A 及 びBのほかに 知 っている 重 要 事 実 はないものとします ) ここで 売 買 等 を 行 う 時 点 において 重 要 事 実 Bは 未 公 表 の 重 要 事 実 ではありますが 契 約 の 締 結 又 は 計 画 の 決 定 は 重 要 事 実 Bを 知 る 前 に 行 われていることから 当 該 売 買 等 が 適 用 除 外 の 要 件 を 全 て 満 たせば 知 る 前 契 約 計 画 に 係 る 適 用 除 外 の 対 象 となると 考 えられます 一 方 重 要 事 実 Aとの 関 係 では その 公 表 又 は 中 止 の 後 に 売 買 等 が 行 われているため そもそもイン サイダー 取 引 規 制 上 問 題 は 生 じません このように 例 えば 契 約 の 締 結 又 は 計 画 の 決 定 の 時 点 において 何 らかの 重 要 事 実 ( 上 記 例 では 重 要 事 実 A)を 知 っていたとしても 当 該 重 要 事 実 が 全 て 公 表 された 後 に 売 買 等 を 行 うこ とを 内 容 とする 契 約 又 は 計 画 を 締 結 又 は 決 定 することにより 売 買 等 を 行 う 時 点 において 知 っ ている 他 の 重 要 事 実 ( 上 記 例 では 重 要 事 実 B)との 関 係 で 知 る 前 契 約 計 画 として 活 用 す ることができると 考 えられます ( 出 所 ) 金 融 庁 インサイダー 取 引 規 制 に 関 するQ&A ( 平 成 27 年 9 月 2 日 改 訂 ) 問 5 10 金 融 庁 のウェブサイト(http://www.fsa.go.jp/common/law/insider_qa/01.pdf)に 掲 載 されている 11 改 訂 Q&A 問 5

8 / 14 すなわち 契 約 の 締 結 計 画 の 決 定 時 点 で 未 公 表 の 重 要 事 実 ( 上 記 事 例 の A )を 知 っている 場 合 そのままでは 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 による 適 用 除 外 は 認 められない しかし その 重 要 事 実 ( A )が 全 て 公 表 されてしまえば 事 後 的 に 新 たな 未 公 表 の 重 要 事 実 ( 上 記 事 例 の B )を 知 ることになったとしても 知 る 前 契 約 知 る 前 計 画 による 適 用 除 外 が 認 められるということであろう 2. 対 抗 買 い (1) 改 正 ガイドラインの 概 要 いわゆる 敵 対 的 買 収 などにおいて 公 開 買 付 け 等 の 対 象 となった 上 場 会 社 等 の 取 締 役 会 が 決 定 した 要 請 に 基 づいて その 要 請 を 受 けた 者 が いわゆる 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)を 行 うこと は 会 社 関 係 者 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 とされている( 金 融 商 品 取 引 法 166 条 6 項 4 号 ) 改 正 ガイドラインでは 上 場 会 社 等 の 取 締 役 会 による 対 抗 買 い 要 請 の 決 定 について 次 のような 解 釈 の 明 確 化 が 図 られている( 改 正 ガイドライン 166-1~2) なお 2015 年 6 月 18 日 に 公 表 された 原 案 から 大 きな 変 更 点 はない 1 上 場 会 社 等 の 取 締 役 会 ( 注 1)が 決 定 した 要 請 ( 注 2)が 公 開 買 付 け 等 があることについての 合 理 的 な 根 拠 に 基 づくものであり かつ 当 該 公 開 買 付 け 等 に 対 抗 する 目 的 をもって 行 われ たものである 場 合 には (インサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 が 認 められる 要 件 である) 対 抗 買 い の 要 請 に 該 当 する 2 上 記 の 要 請 を 受 けた 者 が 公 開 買 付 け 等 がないことを 知 りながら 行 う 買 付 け 等 は インサイ ダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 が 認 められる 買 付 け 等 に 該 当 しない ( 注 1) 上 場 投 資 法 人 等 については 役 員 会 ( 金 融 商 品 取 引 法 施 行 令 31 条 の2)も 含 む ( 注 2) 監 査 等 委 員 会 設 置 会 社 においては 取 締 役 会 の 決 議 による 委 任 に 基 づく 業 務 執 行 取 締 役 の 決 定 した 要 請 指 名 委 員 会 等 設 置 会 社 においては 取 締 役 会 の 決 議 による 委 任 に 基 づいて 執 行 役 の 決 定 した 要 請 を 含 む つまり 敵 対 的 買 収 などの 脅 威 にさらされている 上 場 会 社 等 の 取 締 役 会 が 合 理 的 な 根 拠 に 基 づいて( 後 述 (4)(b) 参 照 ) 自 社 に 対 する 公 開 買 付 け 等 があると 判 断 して それに 対 応 する 目 的 で 要 請 を 行 ったのであれば インサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 要 件 を 満 たす 言 い 換 えれ ば 対 抗 買 い の 要 請 に 当 たり 真 に 公 開 買 付 け 等 が 存 在 進 行 している 事 実 を 確 認 すること までは 求 められないという 趣 旨 であろう ただし 上 場 会 社 等 の 取 締 役 会 は 合 理 的 な 根 拠 に 基 づいて 自 社 に 対 する 公 開 買 付 け 等 があると 信 じて 対 抗 買 い 要 請 を 行 ったが その 要 請 を 受 けた 者 の 方 では 実 は 公 開 買 付 け

9 / 14 等 の 事 実 は 存 在 しないことを 知 っていた 場 合 には インサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 は 認 めら れないこととされている(2) なお 1と 同 様 の 見 直 しは 公 開 買 付 者 等 関 係 者 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 ( 金 融 商 品 取 引 法 167 条 )の 適 用 除 外 についても 設 けられている 12 ( 改 正 ガイドライン 167-1) (2)いわゆる 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)とは いわゆる 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)とは 上 場 会 社 等 の 株 券 等 に 係 る 公 開 買 付 け 又 はこれに 準 ずる 行 為 ( 公 開 買 付 け 等 )に 対 抗 するため 当 該 上 場 会 社 等 の 取 締 役 会 が 決 定 した 要 請 に 基 づ いて 当 該 上 場 会 社 等 の 特 定 有 価 証 券 等 の 買 付 け 等 をすることであり 会 社 関 係 者 に 対 するイ ンサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 が 認 められている( 金 融 商 品 取 引 法 166 条 6 項 4 号 ) こうした 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)の 実 行 として 行 われる 売 買 について インサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 が 認 められる 理 由 は (いわゆる 敵 対 的 買 収 において) 発 行 会 社 側 に 武 器 対 等 の 観 点 から 最 低 限 の 防 戦 買 いの 機 会 を 与 える 13 ためと 説 明 されている これは 例 えば 次 のよ うな 事 情 により 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)の 要 請 先 が 被 買 収 者 の 会 社 関 係 者 に 該 当 する 可 能 性 が 高 いことが 背 景 にあるものと 思 われる 1 被 買 収 者 が 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)を 要 請 する 相 手 は 通 常 その 会 社 の 親 密 先 例 えば 取 引 先 などであることが 想 定 される 2ところが 被 買 収 者 の 取 引 先 などは 会 社 関 係 者 に 該 当 する 可 能 性 が 高 く( 金 融 商 品 取 引 法 166 条 1 項 4 号 ) 取 引 関 係 などを 通 じて 被 買 収 者 の 未 公 表 の 重 要 事 実 を 知 っていれば イ ンサイダー 取 引 規 制 の 対 象 者 となってしまう 可 能 性 も 高 い その 結 果 インサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 が 認 められないと 上 記 のような 場 合 そもそ も 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)ができなくなり 買 収 者 に 対 して 被 買 収 者 が 著 しく 不 利 な 立 場 に 立 12 2に 相 当 するガイドラインの 見 直 しは 公 開 買 付 者 等 関 係 者 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 ( 金 融 商 品 取 引 法 167 条 )については 行 われていない その 理 由 は 上 場 会 社 等 の 取 締 役 会 が 合 理 的 な 根 拠 に 基 づいて 存 在 すると 信 じた 自 社 に 対 する 公 開 買 付 け 等 が 本 当 は 実 在 しなかったというような 場 合 公 開 買 付 者 等 関 係 者 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 の 前 提 となるべき 公 開 買 付 け 等 事 実 そのものが 存 在 しないこととなる その 結 果 そもそも 公 開 買 付 け 等 事 実 が 存 在 しない 以 上 公 開 買 付 者 等 関 係 者 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 ( 金 融 商 品 取 引 法 167 条 )の 適 用 の 前 提 を 欠 くという 考 えに 基 づくものだと 説 明 されている( 改 訂 Q&A 問 4(4)) 岩 原 紳 作 神 作 裕 之 神 田 秀 樹 武 井 一 浩 永 井 智 亮 藤 田 友 敬 藤 本 拓 資 松 尾 直 彦 三 井 秀 範 山 下 友 信 金 融 商 品 取 引 法 セミナー 開 示 制 度 不 公 正 取 引 業 規 制 編 ( 有 斐 閣 2011 年 )p.342 も 参 照 13 木 目 田 裕 上 島 正 道 監 修 西 村 あさひ 法 律 事 務 所 危 機 管 理 グループ 編 インサイダー 取 引 規 制 の 実 務 [ 第 2 版 ] ( 商 事 法 務 2014 年 )p.350

10 / 14 たされてしまうというわけである 14 また 同 様 の( 対 抗 買 い に 関 する) 適 用 除 外 規 定 は 公 開 買 付 者 等 関 係 者 に 対 するインサ イダー 取 引 規 制 についても 設 けられている( 金 融 商 品 取 引 法 167 条 5 項 5 号 ) こちらも 基 本 的 には 買 収 者 と 被 買 収 者 の 武 器 対 等 のための 措 置 と 考 えられるが 会 社 関 係 者 に 対 する インサイダー 取 引 規 制 とは 異 なり 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)の 要 請 先 が 公 開 買 付 け 等 事 実 の 第 一 次 情 報 受 領 者 に 該 当 してしまうという 次 の1~3のような 事 情 が 背 景 にあるもの と 思 われる 1 被 買 収 者 は 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)の 要 請 を 行 うに 当 たって 通 常 買 収 者 から 公 開 買 付 け 等 事 実 の 伝 達 を 受 けたことを 説 明 するものと 考 えられる 2ところが 被 買 収 者 は 法 令 上 買 収 者 の 公 開 買 付 者 等 関 係 者 に 該 当 するため( 金 融 商 品 取 引 法 167 条 1 項 ) 被 買 収 者 から 要 請 と 共 に 公 開 買 付 け 等 事 実 の 伝 達 を 受 けた 者 は 第 一 次 情 報 受 領 者 となり インサイダー 取 引 規 制 の 対 象 者 となってしまう 3さらに 公 開 買 付 者 等 関 係 者 に 対 するインサイダー 取 引 規 制 の 場 合 規 制 が 解 除 されるため の 公 表 措 置 は 原 則 として ( 被 買 収 者 などではなく) 買 収 者 ( 公 開 買 付 者 等 )が 主 体 と なって 行 わなければならない( 注 )( 金 融 商 品 取 引 法 167 条 4 項 ) ( 注 ) 例 外 としては 例 えば 買 収 者 (X)が 上 場 会 社 である 被 買 収 者 (Y)に 要 請 して Y が 取 引 所 における 適 時 開 示 を 行 って 公 表 するというケースがある( 金 融 商 品 取 引 法 施 行 令 30 条 1 項 4 号 ) また 公 表 措 置 ではないが Y から 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)の 要 請 を 受 けた 者 (Z)が 自 ら Y に 対 する 公 開 買 付 けを 実 施 し た 上 で X による Y に 対 する 公 開 買 付 け 等 事 実 を 公 開 買 付 開 始 公 告 などを 通 じて 開 示 することでも イン サイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 が 認 められる( 金 融 商 品 取 引 法 167 条 5 項 8 号 ) もっとも いずれもいわゆる 敵 対 的 買 収 とそれに 対 する 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)の 局 面 では 想 定 しにくいものだと 考 えられる その 結 果 買 収 者 が 主 体 となって 公 表 を 行 わない 限 り 買 収 者 側 は 自 由 に 買 集 め 等 を 行 える が 被 買 収 者 側 は 緊 急 の 防 戦 買 いができない 15 こととなり 買 収 者 に 対 して 被 買 収 者 が 著 しく 不 利 な 立 場 に 立 たされてしまうというわけである 14 木 目 田 裕 上 島 正 道 監 修 西 村 あさひ 法 律 事 務 所 危 機 管 理 グループ 編 インサイダー 取 引 規 制 の 実 務 [ 第 2 版 ] ( 商 事 法 務 2014 年 )p.350 岩 原 紳 作 神 作 裕 之 神 田 秀 樹 武 井 一 浩 永 井 智 亮 藤 田 友 敬 藤 本 拓 資 松 尾 直 彦 三 井 秀 範 山 下 友 信 金 融 商 品 取 引 法 セミナー 開 示 制 度 不 公 正 取 引 業 規 制 編 ( 有 斐 閣 2011 年 )pp.336-337 15 木 目 田 裕 上 島 正 道 監 修 西 村 あさひ 法 律 事 務 所 危 機 管 理 グループ 編 インサイダー 取 引 規 制 の 実 務 [ 第 2 版 ] ( 商 事 法 務 2014 年 )p.469 なお 岩 原 紳 作 神 作 裕 之 神 田 秀 樹 武 井 一 浩 永 井 智 亮 藤 田 友 敬 藤 本 拓 資 松 尾 直 彦 三 井 秀 範 山 下 友 信 金 融 商 品 取 引 法 セミナー 開 示 制 度 不 公 正 取 引 業 規 制 編 ( 有 斐 閣 2011 年 )p.340 なども 参 照

11 / 14 (3) 見 直 しの 背 景 WG 報 告 書 は 対 抗 買 い ( 防 戦 買 い)に 関 する 適 用 除 外 規 定 について 実 務 面 で 利 用 し 難 いとの 指 摘 があることを 踏 まえ 解 釈 の 明 確 化 等 を 図 っていくことが 適 当 である 16 と 提 言 して いた もっとも 使 い 勝 手 が 悪 い 理 由 については いくつかの 指 摘 がある 17 改 正 ガイドラインによ る 見 直 しは そのうち 公 開 買 付 け 等 に 該 当 する 事 実 が 存 在 するか 否 かは 被 買 付 企 業 に とって 他 者 情 報 であるため 当 該 被 買 付 企 業 がその 存 否 を 確 実 に 把 握 することは 難 しく どの ような 場 合 に 要 件 を 満 たすのか 分 かりにくい 18 という 問 題 に 対 処 するものだと 考 えられる 19 すなわち 対 抗 買 い を 根 拠 とするインサイダー 取 引 規 制 の 適 用 除 外 が 認 められるためには 公 開 買 付 け 等 に 対 抗 するため 上 場 会 社 等 の 取 締 役 会 が 行 った 要 請 に 基 づいて 行 われなけれ ばならない ところが 対 抗 するべき 公 開 買 付 け 等 の 事 実 が 真 に 存 在 しているか 否 かに ついて 確 認 することは 被 買 収 企 業 の 取 締 役 会 にとって 極 めて 困 難 である 例 えば あるファ ンドから 御 社 の 株 式 を 買 い 付 けたい との 意 向 を 伝 達 されたとしても そのファンドが 本 気 で 買 収 を 仕 掛 けてくるつもりなのか(あるいは 実 行 に 着 手 しているのか) それとも 単 なる 脅 かし に 過 ぎないのかは 対 象 となった 会 社 としては 容 易 に 判 断 がつかない 改 正 ガイドラインでは 対 抗 買 い の 要 請 が 公 開 買 付 け 等 があることについての 合 理 的 な 根 拠 に 基 づくものであればよく 真 に 公 開 買 付 け 等 の 事 実 が 実 在 していることま では 問 わないとの 解 釈 を 明 確 化 している 20 これにより ( 潜 在 的 な) 被 買 収 企 業 にとって 対 抗 買 い の 要 請 がやりやすくなることが 期 待 されているようだ もっとも 現 実 に 対 抗 買 い の 要 請 を 行 おうとする 上 場 会 社 等 にとって どの 程 度 使 い 勝 手 がよくなるのかなどについては 今 後 の 運 用 を 見 る 必 要 があるだろう 21 16 WG 報 告 書 p.10 17 岩 原 紳 作 神 作 裕 之 神 田 秀 樹 武 井 一 浩 永 井 智 亮 藤 田 友 敬 藤 本 拓 資 松 尾 直 彦 三 井 秀 範 山 下 友 信 金 融 商 品 取 引 法 セミナー 開 示 制 度 不 公 正 取 引 業 規 制 編 ( 有 斐 閣 2011 年 )pp.343-345 など 参 照 18 平 成 24 年 11 月 27 日 開 催 金 融 審 議 会 インサイダー 取 引 規 制 に 関 するワーキング グループ ( 第 5 回 ) 配 布 資 料 論 点 メモ(3) (http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/insider_h24/siryou/20121127/01.pdf)pp.6-7 19 金 融 審 議 会 インサイダー 取 引 規 制 に 関 するワーキング グループ では そのほかにも 対 抗 買 付 け の 要 請 の 決 定 が 適 時 開 示 事 項 となっていること( 東 京 証 券 取 引 所 有 価 証 券 上 場 規 程 402 条 1 号 y)も 議 論 に 取 り 上 げられたようである 平 成 24 年 11 月 27 日 開 催 金 融 審 議 会 インサイダー 取 引 規 制 に 関 するワーキング グ ループ ( 第 5 回 ) 議 事 録 (http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/insider_h24/gijiroku/20121127.html) 参 照 20 もちろん 同 様 の 解 釈 は 元 来 可 能 であったとの 指 摘 もある 岩 原 紳 作 神 作 裕 之 神 田 秀 樹 武 井 一 浩 永 井 智 亮 藤 田 友 敬 藤 本 拓 資 松 尾 直 彦 三 井 秀 範 山 下 友 信 金 融 商 品 取 引 法 セミナー 開 示 制 度 不 公 正 取 引 業 規 制 編 ( 有 斐 閣 2011 年 )p.369 21 岩 原 紳 作 神 作 裕 之 神 田 秀 樹 武 井 一 浩 永 井 智 亮 藤 田 友 敬 藤 本 拓 資 松 尾 直 彦 三 井 秀 範 山 下 友 信 金 融 商 品 取 引 法 セミナー 開 示 制 度 不 公 正 取 引 業 規 制 編 ( 有 斐 閣 2011 年 )pp.369-364

12 / 14 (4) インサイダー 取 引 規 制 に 関 するQ&A 2015 年 9 月 2 日 に 改 訂 された インサイダー 取 引 規 制 に 関 するQ&A ( 改 訂 Q&A )の 中 でも 改 正 ガイドラインを 踏 まえた 対 抗 買 い に 関 する 金 融 庁 及 び 証 券 取 引 等 監 視 委 員 会 の 解 釈 が 示 されている (a) 公 開 買 付 け 等 がある 前 述 (1)のように 改 正 ガイドラインでは 公 開 買 付 け 等 中 略 があることについての 合 理 的 な 根 拠 に 基 づくものであり かつ 当 該 公 開 買 付 け 等 に 対 抗 する 目 的 をもって 行 われたも の である 場 合 であれば 適 用 除 外 が 認 められる 対 抗 買 い の 要 請 に 該 当 するとされている ここでの 公 開 買 付 け 等 中 略 がある について 原 則 として 公 開 買 付 者 等 が 公 開 買 付 け 等 を 行 うことについての 決 定 をした 事 実 があれば 公 開 買 付 け 等 があることとなる 22 と 考 え られている ただし 決 定 されたのが( 金 融 商 品 取 引 法 上 の) 公 開 買 付 け そのものではなく 公 開 買 付 けに 準 ずる 行 為 23 であり かつ 公 開 買 付 者 等 が 被 買 付 企 業 の 株 券 等 の 買 集 め 行 為 を 開 始 す る 直 前 における(その 公 開 買 付 者 等 の) 株 券 等 所 有 割 合 が5% 未 満 であるときは 次 の1に 加 えて 2の 事 実 があれば 公 開 買 付 け 等 がある こととなると 解 されている 24 1 公 開 買 付 者 等 が 公 開 買 付 けに 準 ずる 行 為 を 行 うことについての 決 定 をした 事 実 2 買 集 め 行 為 により( 公 開 買 付 者 等 の) 株 券 等 所 有 割 合 が5%を 超 えている 事 実 以 上 を 踏 まえて 被 買 収 側 の 取 締 役 会 が 対 抗 買 い の 要 請 を 決 定 する 際 には 上 記 の 各 事 実 があることについて 合 理 的 な 根 拠 に 基 づき 判 断 する 必 要 がある 25 とされている (b) 合 理 的 な 根 拠 次 に 公 開 買 付 け 等 中 略 がある と 判 断 するに 当 たって どのような 場 合 に 合 理 的 な 根 拠 に 基 づいているといえるか が 問 題 となる 22 改 訂 Q&A 問 4(1) 23 具 体 的 には 金 融 商 品 取 引 所 に 上 場 されている 株 券 等 を 買 い 集 める 者 (その 者 と 共 同 して 買 い 集 める 者 がい る 場 合 には 当 該 共 同 して 買 い 集 める 者 を 含 む )が 自 己 又 は 他 人 ( 仮 設 人 を 含 む )の 名 義 をもつて 買 い 集 め る 当 該 株 券 等 に 係 る 議 決 権 の 数 の 合 計 が 当 該 株 券 等 の 発 行 者 の 総 株 主 等 の 議 決 権 の 数 の5% 以 上 である 場 合 に おける 当 該 株 券 等 を 買 い 集 める 行 為 ( 株 式 等 売 渡 請 求 により 当 該 株 券 等 を 買 い 集 める 行 為 を 除 く )と 定 められ ている( 金 融 商 品 取 引 法 施 行 令 31 条 ) 24 改 訂 Q&A 問 4(1) 25 改 訂 Q&A 問 4(1)

13 / 14 改 訂 Q&A は 公 開 買 付 者 等 が 公 開 買 付 け 等 を 行 うことについての 決 定 をした 事 実 が あることには 例 えば 次 のような 場 合 に 合 理 的 な 根 拠 に 基 づくと 考 えられるとしている 26 被 買 付 企 業 が 当 該 企 業 以 外 の 者 から 公 開 買 付 け 等 を 行 うことについての 具 体 的 な 提 案 を 受 け た 場 合 当 該 企 業 以 外 の 者 が 公 開 買 付 け 等 を 行 うことについての 決 定 をした 事 実 を 裏 付 ける 具 体 的 な 報 道 が 行 われた 場 合 ( 注 ) 公 開 買 付 け 等 には 定 義 上 公 開 買 付 けに 準 ずる 行 為 も 含 まれるため( 金 融 商 品 取 引 法 167 条 1 項 ) 公 開 買 付 者 等 が 公 開 買 付 けに 準 ずる 行 為 を 行 うことについての 決 定 をした 事 実 ( 前 記 (a)1)について も 同 様 に 解 するものと 思 われる また 買 集 め 行 為 により( 公 開 買 付 者 等 の) 株 券 等 所 有 割 合 が5%を 超 えている 事 実 ( 前 記 (a)2)については 例 えば 次 の 場 合 が 考 えられるとしている 27 被 買 付 企 業 が 当 該 企 業 以 外 の 者 から 大 量 保 有 報 告 書 が 提 出 されたことを 確 認 した 場 合 当 該 企 業 以 外 の 者 から 株 券 等 所 有 割 合 が5%を 超 えたことについての 具 体 的 な 通 知 を 受 けた 場 合 当 該 企 業 以 外 の 者 の 株 券 等 所 有 割 合 が5%を 超 えた 事 実 を 裏 付 ける 具 体 的 な 報 道 が 行 われた 場 合 (c) 要 請 を 受 けた 者 の 留 意 事 項 対 抗 買 い の 要 請 は インサイダー 取 引 規 制 上 の 重 要 事 実 であり( 金 融 商 品 取 引 法 施 行 令 28 条 10 号 ) 金 融 商 品 取 引 所 における 適 時 開 示 事 項 でもある( 東 京 証 券 取 引 所 有 価 証 券 上 場 規 程 402 条 1 号 yなど) これを 踏 まえて 改 訂 Q&A は 要 請 を 受 けた 者 に 対 し 被 買 収 側 の 取 締 役 会 からの 要 請 を 受 けて 対 抗 買 い を 行 う 際 次 の 点 につき 適 切 に 判 断 することを 求 めている 28 前 略 要 請 元 である 被 買 付 企 業 が 行 う 当 該 重 要 事 実 の 公 表 等 に 基 づき 当 該 要 請 が 公 開 買 付 け 等 があることについての 合 理 的 な 根 拠 に 基 づくものであり かつ 当 該 公 開 買 付 け 等 に 対 抗 する 目 的 をもって 行 われるものであるかにつき 適 切 に 判 断 する 必 要 があります 26 改 訂 Q&A 問 4(2) 27 改 訂 Q&A 問 4(2) 28 改 訂 Q&A 問 4(4)

14 / 14 3. 施 行 日 改 正 府 令 は 2015 年 9 月 16 日 から 施 行 されている( 改 正 府 令 附 則 1 項 ) 改 正 ガイドラインは 2015 年 9 月 2 日 から 適 用 されている