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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

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注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

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損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

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Q IFRSの特徴について教えてください

(2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 該 当 事 項 はありません (3) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 作 成 に 係 る 会 計 処 理 の 原 則 手 続 表 示 方 法 等 の 変 更 当

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

1. 本 市 の 保 育 所 運 営 費 と 保 育 料 の 現 状 2 (1) 前 回 (5/29 5/29) 児 童 福 祉 専 門 分 科 会 資 料 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区 分 別 軽 減 率 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区

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厚 生 年 金 基 金 制 度 の 概 要 公 的 年 金 たる 厚 生 年 金 の 一 部 を 国 に 代 わって 支 給 ( 代 行 給 付 )しており 当 該 支 給 を 行 うための 費 用 として 事 業 主 から 保 険 料 を 徴 収 している 加 えて 各 基 金 ごとに 上 乗 せ

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目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関

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レポート 資 産 運 用 会 社 を 取 り 巻 く 環 境 変 化 と 新 たな 成 長 戦 略 野 村 総 合 研 究 所 上 席 研 究 員 堀 江 貞 之 はじめに 日 本 の 資 産 運 用 ビジネスは 既 に 成 長 の 変 曲 点 を 越 えた 可 能 性 がある 2014 年 度 に 顧 客 から 預 かった 資 産 残 高 運 用 収 入 ともに 2007 年 度 のピークを 超 え 今 後 残 高 収 入 ともにさらなる 拡 大 が 予 想 されるからであ る 顧 客 からの 運 用 委 託 額 も500 兆 円 の 大 台 が 視 野 に 入 っている しかしビジネス 拡 大 を 継 続 するためには 大 きな 課 題 の 解 決 が 不 可 欠 である 投 信 ビジネ スでは 証 券 会 社 や 一 部 の 信 託 銀 行 で 始 まっ た 残 高 比 例 手 数 料 を 主 とするビジネスモデル が 銀 行 にも 拡 大 した 場 合 これまでと 異 なる 目 次 はじめに 1. 資 産 運 用 ビジネスの 現 状 と 環 境 変 化 2. 新 たな 成 長 戦 略 仲 介 形 態 への 対 応 が 必 要 になるとともに 組 み 込 まれる 商 品 に 大 きな 変 化 が 生 じ 商 品 組 成 面 での 変 革 が 不 可 欠 になるだろう 銀 行 向 け ビジネスも ファンドへの 需 要 拡 大 の 裏 で ルックスルー 対 応 による 詳 細 なデータ 提 供 等 業 務 プロセスの 負 荷 が 高 まりこれまでの 顧 客 サービス 内 容 の 改 善 を 行 う 必 要 性 に 迫 ら れることになる 公 的 年 金 ビジネスでは 特 徴 ある 投 資 商 品 への 選 好 が 強 まる 傾 向 が 見 ら れ そうした 投 資 戦 略 を 提 供 できなければ 生 き 残 りは 難 しいだろう 日 本 の 株 式 市 場 でも スチュワードシップ コードの 導 入 により 資 産 運 用 会 社 ( 以 下 運 用 会 社 と 略 )は 自 らのガバナンス 改 革 に 取 り 組 むと 共 に 投 資 先 企 業 に 対 する 責 任 が 一 段 と 重 くなってい る コーポレートガバナンス コードにより 企 業 経 営 者 の 経 営 方 針 も 変 化 することが 想 定 され 日 本 株 の 投 資 戦 略 にも 大 きな 影 響 を 及 ぼすものと 考 えられる 本 稿 ではこのような 運 用 会 社 を 取 り 巻 く 環 4

( 図 表 1) 資 産 運 用 会 社 の 運 用 残 高 の 推 移 ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 野 村 総 合 研 究 所 が 作 成 境 変 化 に 鑑 み 資 産 運 用 ビジネスの 現 状 を 説 明 するとともに 変 化 に 適 応 した 運 用 会 社 が 取 り 組 むべき 新 たな 成 長 戦 略 について 私 論 を 述 べてみたい 1. 資 産 運 用 ビジネスの 現 状 と 環 境 変 化 ⑴ 増 加 傾 向 が 持 続 する 運 用 会 社 の 預 かり 資 産 2015 年 日 本 の 資 産 運 用 ビジネスは14 年 に 引 き 続 き 大 幅 な 拡 大 を 見 せた 14 年 にスター トしたNISA( 少 額 投 資 非 課 税 制 度 )は 当 初 の 予 想 より 残 高 の 伸 びがやや 小 さいものの 順 調 に 拡 大 している NISAによる 投 信 残 高 は2015 年 6 末 で3.5 兆 円 を 超 えた 公 的 年 金 ファンドでは デフレからインフレ 経 済 へ の 移 行 を 見 据 え 2014 年 10 にGPIF( 年 金 積 立 金 管 理 運 用 独 立 行 政 法 人 )が 株 式 の 政 策 資 産 配 分 比 率 を24%から50%に 変 更 15 年 に は 実 際 の 配 分 比 率 も 徐 々にその 値 に 近 づいて いる GPIFではさらに マネジャー 選 定 方 法 の 見 直 し 分 散 投 資 の 拡 大 成 功 報 酬 制 へ の 移 行 など 資 産 運 用 ビジネスに 大 きな 影 響 を 及 ぼす 変 化 が 既 に 始 まっている まず 運 用 会 社 が 対 象 とする 主 な 顧 客 の2014 年 度 末 の 資 産 残 高 を 確 認 しておく 日 本 で 運 用 会 社 の 顧 客 となるのは 主 として 個 人 投 資 家 ( 家 計 ) 金 融 機 関 を 含 む 各 種 法 人 年 金 ファンドの3つである 金 融 機 関 の 運 用 原 資 は 基 本 的 に 個 人 の 預 金 と 考 え 調 整 すると 日 本 の 投 資 家 が 保 有 する 資 産 は 全 体 で 約 1,900 兆 円 と 推 定 される 1 年 前 に 比 べ 約 100 兆 円 の 大 幅 増 加 となった ( 注 1) 5

資 産 全 体 のうち 運 用 会 社 が 運 用 委 託 を 受 ( 注 けている 金 額 は475 兆 円 2) である 過 去 10 年 にわたり350 兆 円 前 後 を 上 下 していたが ようやく500 兆 円 台 に 近 づくレベルにまで 到 達 した( 図 表 1) 全 体 に 占 める 割 合 も20% から25%にまで 上 昇 してきている ⑵ 家 計 年 金 ファンド 金 融 機 関 の 動 向 家 計 の 金 融 資 産 は 2015 年 3 末 現 在 で 1,584 兆 円 1 年 前 と 比 べ79 兆 円 の 増 加 であ る 商 品 別 に 大 きな 変 動 はなく 預 金 と 保 険 の 合 計 で 全 体 の7 割 以 上 を 占 める 今 後 5 年 間 の 家 計 の 金 融 資 産 動 向 を 推 計 し てみると まず 金 融 資 産 の 重 要 な 原 資 である 退 職 金 は 団 塊 世 代 の 退 職 が 既 にピークを 打 っ たことから 今 後 減 少 するが それでも 年 間 17 兆 円 程 度 と 見 込 まれる これに 個 人 向 け 国 債 の 償 還 金 等 を 併 せ 年 間 23 兆 円 の 資 金 が 金 融 資 産 へと 流 入 する このうち 銀 行 の 預 金 には 半 分 以 上 の18 兆 円 が 振 り 向 けられ 株 式 投 信 を 中 心 とするリスク 性 商 品 には5 兆 円 の 流 入 が 見 込 まれる ただし 投 信 の 分 配 額 は 減 少 が 見 込 まれるものの 年 間 で2 兆 円 程 度 はあると みられるため 分 配 金 による 資 金 流 出 まで 考 慮 したネットでの 投 信 流 入 額 は 年 間 3 兆 円 程 度 と 考 えられる これとは 別 にNISAへの 流 入 額 を 野 村 総 合 研 究 所 の 調 査 をベースに 予 想 すると 今 後 5 年 間 で 年 平 均 4 兆 円 が 預 金 か ら 振 り 替 えられるとみられる NISAの 投 資 対 象 は 株 式 か 株 式 投 信 であるため この 額 の 半 分 が 投 信 に 回 るとみると 最 低 2 兆 円 が 投 信 に 流 入 するだろう 最 大 の 機 関 投 資 家 である 年 金 ファンドの 2015 年 3 末 の 資 産 額 は317 兆 円 と 推 定 され る このうち 公 的 年 金 資 産 は201 兆 円 ( 前 年 度 比 17 兆 円 増 ) その 他 の 企 業 年 金 等 は117 兆 円 ( 同 7 兆 円 増 )と 13 年 度 に 引 き 続 き 全 体 で 大 きく 増 加 している 企 業 年 金 は 厚 生 年 金 基 金 制 度 が 大 きく 変 更 され 基 本 的 に 基 金 の 解 散 や 他 の 企 業 年 金 への 転 換 が 促 進 される ことになる 厚 生 年 金 基 金 資 産 のうち 代 行 部 分 およそ20 兆 円 は 将 来 的 にその 多 くが 国 に 返 上 され GPIFで 運 用 されるとみられる 金 融 機 関 の 有 価 証 券 投 資 額 は 全 国 銀 行 が 257 兆 円 信 用 金 庫 信 用 組 合 で70 兆 円 ゆ うちょ 銀 行 156 兆 円 生 命 保 険 会 社 299 兆 円 (う ち かんぽ 生 命 66 兆 円 ) 損 害 保 険 会 社 24 兆 円 で 合 計 約 806 兆 円 となっている 巨 額 の 有 価 証 券 投 資 額 を 持 つ 金 融 機 関 だ が 運 用 会 社 からみると 金 融 機 関 向 けビジ ネスの 収 入 は 年 金 ファンドに 比 べまだ 小 さ い 銀 行 のポートフォリオは 債 券 (それも 国 債 )が 主 であり 内 部 運 用 が 中 心 だからであ る しかし ここに 来 てその 傾 向 に 大 きな 変 化 が 出 ている 第 一 に アベノミクスによっ て 金 利 上 昇 シナリオの 蓋 然 性 が 高 まり 国 債 重 視 のポートフォリオのリスクが 高 まってい る 第 二 に 日 銀 の 異 次 元 緩 和 により 残 存 5~10 年 のゾーンで 日 銀 が 発 行 額 以 上 の 大 量 購 入 を 行 っており このゾーンの 国 債 購 入 が 困 難 になっている 6

銀 行 の 投 資 行 動 は 日 本 国 債 の 金 利 リスク を 抑 制 する 一 方 で 収 益 機 会 を 求 めて 日 本 国 債 以 外 の 資 産 それも 海 外 資 産 に 幅 広 く 投 資 していく 流 れにある 地 域 金 融 機 関 を 含 めた 全 業 態 において 私 募 投 信 などのファンドを 活 用 して 外 国 証 券 投 資 を 積 極 化 している 2014 年 度 も 外 国 証 券 やファンドを 含 む その 他 の 証 券 の 残 高 が 大 きく 伸 びた 国 内 の 経 営 環 境 は 依 然 として 厳 しく 銀 行 が 収 益 面 で 有 価 証 券 運 用 に 期 待 するところは 大 きい 今 後 も しばらくの 間 は その 他 の 証 券 投 資 を 積 極 化 する 動 きは 継 続 すると 思 われる 2. 新 たな 成 長 戦 略 ⑴ 日 本 株 の 投 資 改 革 の 断 行 こうした 変 化 をビジネス 拡 大 にうまく 取 り 込 み 大 きく 発 展 するには 運 用 会 社 は 今 後 5 年 間 で 大 きな 経 営 変 革 を 実 行 することが 不 可 欠 である 第 一 に 日 本 株 の 投 資 において 長 期 視 点 に 立 った 企 業 価 値 評 価 に 基 づく 投 資 戦 略 を 確 立 することが 不 可 欠 である コーポレートガバ ナンス コードなどの 導 入 により 今 後 日 本 企 業 の 収 益 性 が 改 善 することを 大 前 提 とす れば 日 本 株 は 投 資 家 に 対 して 絶 対 リターン を 提 供 できるコアの 資 産 クラスになりうる ベンチマークに 対 して 高 い 超 過 リターンを 提 供 する 投 資 戦 略 を 実 現 できれば 投 資 家 から の 支 持 を 得 て 多 額 の 資 産 を 預 かることができ るのは 間 違 いない 日 本 株 の 投 信 は10 兆 円 に 過 ぎないが 個 人 で 個 別 株 式 に 投 資 をしてい る 投 資 家 層 にも 訴 求 できる 投 資 戦 略 の 開 発 で 30 兆 円 を 超 える 資 産 残 高 にすることも 可 能 と 考 えられる 日 本 に 拠 点 を 置 く 運 用 会 社 として 日 本 株 で 優 位 性 を 持 つ 投 資 戦 略 を 打 ち 立 てること は 外 資 系 運 用 会 社 にグローバル 運 用 の 再 委 託 を 行 うだけの 運 用 サービス 会 社 に 陥 ら ないための 不 可 欠 の 要 素 である 日 本 株 商 品 は 2012 年 まで10 年 以 上 ベンチマーク 自 身 のリターンも 高 くなく しかもベンチマーク 対 比 で 勝 ったり 負 けたりといった 投 資 家 に とって 魅 力 のない 商 品 が 多 く 顧 客 からの 資 金 を 集 めることができなかったと 思 われる 真 に 企 業 価 値 を 見 抜 く 能 力 を 付 け 投 資 家 に ベンチマークも 上 回 る 高 い 絶 対 リターンを 提 供 することが 日 本 に 拠 点 を 置 く 運 用 会 社 の 使 命 だと 考 えるべきではないか そのための 運 用 体 制 整 備 を 含 めた 経 営 方 針 を 明 確 にしな ければならない ⑵ 投 信 残 高 の 倍 増 に 向 けて 二 番 目 の 挑 戦 は 投 信 残 高 を 大 きく 伸 ばすこ とである 投 信 残 高 にどの 程 度 の 伸 びしろが 期 待 できるか 販 売 会 社 のビジネスモデルの 変 化 と 個 人 の 金 融 資 産 の 分 布 という2つの 軸 から 考 えてみたい 結 論 を 先 に 言 うと 約 100 兆 円 の 投 信 残 高 は 今 後 5 年 間 で 倍 以 上 伸 びる 可 能 性 を 秘 めている 日 本 の 個 人 投 資 家 は 自 己 判 断 ではなく 販 売 会 社 のアドバイスに 従 って 投 信 を 購 入 する 割 7

( 図 表 2) 個 の 資 性 格 から た 投 信 の 成 の 可 能 性 ( 出 所 ) 野 村 総 合 研 究 所 合 が 極 めて 高 い 従 って 販 売 会 社 の 投 信 販 売 ビジネスモデルが 個 人 投 資 家 の 投 信 購 入 に 大 きな 影 響 を 与 える これまで 投 信 は 短 期 の 利 殖 のための 商 品 だと 見 なされてきた 毎 の 高 い 分 配 金 を 謳 う 高 リスクの 商 品 が 売 れ 筋 の 中 心 を 占 め 現 在 もその 傾 向 が 続 いて いることは 事 実 である しかし 販 売 会 社 の ビジネスモデルが 残 高 ベースの 収 入 モデル に 移 行 すれば 何 が 起 こるだろうか 販 売 会 社 は 顧 客 の 残 高 を 増 やすことに 主 眼 を 置 くこと になり 投 信 は 長 期 の 資 産 形 成 のための ツール に 変 貌 する 可 能 性 がある 持 続 的 に 顧 客 の 残 高 を 積 み 上 げることが 目 標 となるた め 安 定 的 なリターンを 提 供 する 分 散 投 資 型 ポートフォリオを 推 奨 することになり 投 信 が 長 期 的 に 資 産 形 成 をサポートする 投 資 商 品 だと 見 なされるようになると 考 えられる 残 念 ながら 現 在 の 投 信 の 売 れ 筋 商 品 から 分 かるように 投 信 は 投 資 経 験 層 にとっても 資 産 を 積 極 的 に 増 やすため のものとのイ メージが 強 く 将 来 に 備 えるため のもの とは 見 なされていない 野 村 総 合 研 究 所 では 個 人 投 資 家 にアンケートを 行 い 自 身 の 金 融 資 産 を 資 金 性 格 によって いつでも 使 うお 金 将 来 に 備 えるためのお 金 積 極 的 に 増 やすためのお 金 の3つに 分 けてもらった また 投 資 経 験 の 違 いによって 投 資 家 を3 つのタイプ( 投 資 経 験 層 投 資 関 心 層 投 資 無 関 心 層 )に 分 け 各 タイプの 個 人 投 資 家 の 金 融 資 産 が それぞれのカテゴリーにどれぐ らい 分 類 されるのかを 推 計 した( 図 表 2 参 照 ) それによると 投 資 経 験 層 は 積 極 的 に 増 やすためのお 金 を 約 140 兆 円 ( 野 村 総 合 研 究 所 推 計 ) 将 来 に 備 えるためのお 金 を 約 300 兆 円 ( 同 ) 保 有 している 現 在 個 人 の 株 式 への 直 接 投 資 額 は 約 100 兆 円 投 信 への 投 資 も 約 100 兆 円 合 わせて200 兆 円 が 投 8

資 性 商 品 に 投 資 されているが これらの 投 下 資 金 の 中 心 は この 積 極 的 に 増 やすための お 金 140 兆 円 と 将 来 に 備 えるためのお 金 の 一 部 (60 兆 円 )が 原 資 になっていると 考 え られる 重 要 な 点 は 投 信 が 将 来 に 備 えるための 資 金 だと 見 なされれば 投 資 経 験 のある 人 の 資 金 の 中 で 将 来 に 備 えるためのお 金 約 300 兆 円 にアプローチできるという 点 である 販 売 会 社 が 残 高 ベースのビジネスモデルに 移 行 し 推 奨 される 投 資 商 品 が 安 定 的 なリター ンをもたらす 分 散 型 ポートフォリオの 投 信 に なった 場 合 投 信 は 将 来 に 備 えるためのお 金 を 運 用 するためのものという 認 識 が 広 ま るのではないか このようなビジネスモデルの 変 化 は まだ 金 額 は 小 さいとは 言 え ファンドラップ と 呼 ばれる 商 品 において 一 部 の 大 手 証 券 会 社 や 信 託 銀 行 で 既 に 現 れている ファンドラップ とは 販 売 会 社 が 投 資 家 から 投 資 一 任 を 受 け 投 信 を 組 み 合 わせてポートフォリオを 構 築 す るサービスである 販 売 手 数 料 はなく 残 高 に 応 じた 手 数 料 が 課 される ファンドラップ の 残 高 は 急 激 に 伸 びており 15 年 6 末 で4 兆 円 を 突 破 それまでの1 年 間 で3 倍 以 上 と なっている またファンドラップに 組 み 入 れ られている 商 品 は これまでのような 年 率 で 10% 以 上 の 高 分 配 を 行 う 高 リスクのものでは ない パッシブ 運 用 のファンドも 含 め 多 く の 資 産 に 分 散 投 資 を 行 うバランスの 取 れたミ ドルリスク ミドルリターンのポートフォリ オ 構 成 になっている 場 合 が 多 い 販 売 会 社 がこのような 残 高 ベースの 報 酬 体 系 に 移 行 することで 将 来 に 備 えるための お 金 約 300 兆 円 へのアクセスが 可 能 になる と 考 えられる そうなれば 投 信 残 高 を 今 後 5 年 間 のうちに200 兆 円 の 大 台 に 乗 せること も 不 可 能 ではない このシナリオが 実 現 した 場 合 運 用 会 社 に はどのような 機 能 が 必 要 になるだろうか 販 売 会 社 が 投 資 家 の 意 向 を 踏 まえて 資 産 残 高 の 安 定 的 な 増 加 を 目 指 して 投 資 商 品 の 推 奨 を 行 うわけで 多 様 な 資 産 クラス 投 資 戦 略 に 分 散 投 資 されたポートフォリオが 平 均 像 として 考 えられる その 時 々の 投 資 環 境 に 応 じたタ イムリーな 商 品 提 供 ではなく 安 定 的 な 資 産 蓄 積 を 目 指 すポートフォリオに 組 み 込 まれる べき 多 様 なしかも 特 徴 を 持 ったロングセラ ーの 投 資 商 品 の 開 発 が 不 可 欠 なのではない か 販 売 会 社 が 顧 客 のポートフォリオ 構 築 に 責 任 を 持 つ 将 来 像 が 予 想 される 以 上 運 用 会 社 はそこに 組 み 込 まれる 優 れた 投 資 商 品 の 提 供 が 極 めて 重 要 になると 考 えられる ⑶ 年 金 ビジネスの 変 貌 の 可 能 性 第 三 の 挑 戦 は 成 長 が 見 込 めないと 多 くの 人 が 考 えている 年 金 ビジネスの 拡 大 である 資 産 額 で 見 ると GPIFは 資 金 の 流 出 は 継 続 するものの 厚 生 年 金 基 金 の 実 質 的 廃 止 に 伴 う 代 行 返 上 部 分 の 資 金 流 入 により 現 状 維 持 あるいは 増 加 も 予 想 される GPIFではスタッフの 増 強 等 にかける 予 算 9

を 大 幅 に 増 やしたため 資 産 管 理 能 力 は 向 上 していくと 考 えられる 今 後 は 成 功 報 酬 制 の 採 用 が 一 般 化 し 超 過 リターンを 獲 得 できる 運 用 会 社 への 支 払 い 報 酬 が 増 加 する 運 用 会 社 の 運 用 成 果 次 第 で 大 きな 収 入 増 が 期 待 でき る 同 時 に 特 徴 のある 運 用 会 社 を 厳 選 する 傾 向 が 強 まるため 他 社 との 投 資 戦 略 の 差 別 化 が 極 めて 重 要 になると 考 えられる 運 用 会 社 の 投 資 戦 略 の 違 いにより 優 勝 劣 敗 がつき やすい 環 境 に 変 化 すると 予 想 される 年 金 ファンドにとって 基 本 ポートフォリ オを 上 回 るリターンを 獲 得 することは 容 易 で はない 例 えば 資 産 クラスごとに 超 過 リタ ーンを 獲 得 しようとしてバリューやグロース といったスタイルにティルトすれば 長 い 期 間 に 亘 り 超 過 リターンがマイナスになる 恐 れ がある 従 って できる 限 り 異 なる 超 過 リタ ーンを 獲 得 できる 投 資 戦 略 を 組 み 合 わせるこ とが 重 要 である 各 運 用 会 社 に 求 められる 役 割 分 担 を 今 以 上 に 明 確 にし 長 期 安 定 的 に 超 過 リターンを 獲 得 する 道 を 目 指 すことになる だろう 一 方 確 定 給 付 型 の 企 業 年 金 では 退 職 給 付 会 計 が 本 体 の 財 務 諸 表 に 遅 延 なく 直 接 影 響 を 及 ぼすようになったこともあり スポンサ ー 企 業 が 年 金 リスクを 厳 しく 管 理 する 傾 向 が 今 後 も 継 続 する 2% 台 の 期 待 リターンをベ ースに できる 限 り 安 定 したインカムゲイン の 獲 得 徹 底 した 分 散 投 資 など これまで 取 り 組 んできたリスク 分 散 の 考 え 方 を 今 後 も 続 けるだろう 分 散 投 資 の 進 展 という 共 通 項 はあるもの の 株 式 投 資 へのスタンスの 違 い 資 産 管 理 スタッフの 充 実 度 など 今 後 公 的 年 金 と 企 業 年 金 は 大 きく 異 なるニーズを 持 ち 管 理 体 制 にも 大 きく 差 が 出 る 可 能 性 が 高 く 運 用 会 社 の 対 応 も 複 線 系 で 考 える 必 要 があるのでは ないか ⑷ 銀 行 ビジネスへの 挑 戦 第 四 の 挑 戦 は 投 資 家 としての 銀 行 に 対 す るサポートの 改 革 である 銀 行 の ファンド 投 資 を 含 む その 他 の 証 券 の 投 資 残 高 は 2015 年 3 末 で 約 64 兆 円 である(ゆうちょ 銀 行 を 除 く 数 値 ) 過 去 10 年 間 (2005 年 ~14 年 度 ) の 伸 びは 年 率 7% 日 銀 の 異 次 元 緩 和 以 降 に 限 ると 年 率 14%である 今 後 5 年 間 の 伸 びを この 中 間 年 率 10%と 想 定 すると 5 年 後 の その 他 の 証 券 の 残 高 は 約 100 兆 円 に 達 する そのうちファンド 投 資 に 向 かう 額 を 予 測 する ことは 困 難 だが 現 在 2 割 弱 のファンド 比 率 が 高 まる 可 能 性 は 高 い さらにゆうちょ 銀 行 は11 の 上 場 後 有 価 証 券 運 用 を 高 度 化 させ るべくプロフェッショナル 人 材 の 獲 得 に 乗 り 出 しており リターン 向 上 を 求 めてファンド 投 資 が 大 きく 拡 大 する 可 能 性 がある これら を 合 わせて 考 えると ファンド 投 資 額 が 現 在 の 水 準 から 大 きく 上 振 れする 可 能 性 もあるの ではないか 銀 行 は 資 産 クラス 毎 に 商 品 選 択 が 行 われる 傾 向 が 強 く 有 価 証 券 全 体 のポートフォリオ から 見 た 提 案 が 必 要 な 年 金 ファンドとは 異 な 10

るという 特 徴 がある 金 融 機 関 の 顧 客 特 性 に 応 じたスピーディな 対 応 を 愚 直 に 行 い 顧 客 満 足 度 を 上 げていくことが 有 望 な 資 金 獲 得 の 手 段 であると 思 われる また 銀 行 の 有 価 証 券 運 用 は 業 務 純 益 への 貢 献 という 会 計 上 の 観 点 もあり 毎 年 利 益 額 の 大 きいファンドを 売 却 して 利 益 確 定 することが 多 い 年 金 ファ ンドとは 逆 に 運 用 成 績 の 良 いファンドほど 先 に 解 約 される 足 の 短 い 資 金 という 性 格 を 持 っているわけである しかし これまでの 延 長 線 上 での 有 価 証 券 運 用 はもはや 通 用 しないとの 見 方 もある 単 年 度 の 収 益 調 整 型 の 余 資 運 用 から 年 金 ファ ンドと 同 じような 中 長 期 のトータルリターン 獲 得 を 目 指 した 本 格 的 なポートフォリオ 運 用 への 転 換 が 求 められるという 見 解 である 現 在 金 融 庁 は 銀 行 に 対 して 収 益 向 上 策 の 提 示 を 強 く 要 求 しており 貸 出 があまり 大 きく 伸 びない 中 有 価 証 券 運 用 に 対 する 期 待 は 大 きい しかし 地 銀 では 運 用 体 制 は 十 分 ではな く ポートフォリオ 運 用 に 対 して 十 分 な 知 見 を 持 つ 運 用 会 社 のサポートが 必 要 になる 可 能 性 がある この 場 合 銀 行 に 対 して 提 供 される 機 能 は ファンド 運 用 だけではない 銀 行 が 日 々の 有 価 証 券 運 用 を 行 うに 当 たっての 戦 術 的 なアド バイス ポートフォリオのリスク 管 理 ポー トフォリオのモニタリングやレポーティング など 多 岐 に 亘 る 場 合 により 銀 行 本 体 のバ ランスシート 全 体 を 踏 まえたALMの 視 点 か らのポートフォリオ 構 築 のアドバイスなども 含 まれるだろう このようなサービスを 提 供 できる 運 用 会 社 の 数 はさほど 多 くなく 海 外 の 大 手 年 金 ファンドやSWFに 対 して 行 われ ている 戦 略 的 パートナーシップのようなサー ビスに 近 いものになる 可 能 性 もある 一 方 銀 行 がバランスシートを 含 めた 詳 細 なデータをどこまで 運 用 会 社 に 開 示 してくれ るのか という 点 に 関 し 懐 疑 的 な 見 方 も 強 い 当 初 は 運 用 会 社 に 運 用 委 託 をしても 最 終 的 に はインハウス 化 してしまい ビジネスを 失 う という 見 方 である どちらの 見 方 が 正 しいに しろ 今 後 銀 行 に 対 する 運 用 会 社 の 対 応 を 大 きく 変 化 させる 可 能 性 を 示 唆 している 銀 行 ニーズの 変 化 への 運 用 会 社 の 対 応 如 何 で は 銀 行 ビジネスの 勢 力 図 が 大 きく 変 わるこ とも 考 えておかねばならないだろう 本 稿 は 日 本 の 資 産 運 用 ビジネス2015/16 ( 野 村 総 合 研 究 所 2015 年 11 発 行 )をベースに 加 筆 修 正 して 作 成 したものである ( 注 1) 正 確 には103 兆 円 の 増 加 うち 家 計 の 増 加 が79 兆 円 年 金 ファンドは24 兆 円 である ( 注 2) この 金 額 は 信 託 生 保 については 年 金 顧 客 等 のために 資 産 運 用 を 行 っている 部 分 のみを 含 んでいる 生 保 では 定 額 保 険 定 額 年 金 など 予 定 利 率 の 決 まっている 一 般 勘 定 は 含 まない 特 別 勘 定 のみの 残 高 1 11