要 旨 結 膜 には 外 界 からの 刺 激 や 微 生 物 の 侵 入 などに 対 応 できるよう 免 疫 関 連 装 置 や 豊 富 な 血 管 が 存 在 しているため 様 々な 炎 症 の 舞 台 となりやすい 本 論 文 では 結 膜 疾 患 の 中 でも 臨 床 的 に 頻 度 が 高



Similar documents
第 1 章 実 は, 鼻 炎 は 様 々 5 ハンノキとその 花 粉 図 6 6 アレルギー 性 鼻 炎 患 者 の 右 鼻 腔 内 の 写 真 11


10w.xdw

17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

HIV感染防止マニュアル(出力用).indd

診療行為コード

ず 一 見 蕁 麻 疹 様 の 浮 腫 性 紅 斑 が 初 発 疹 で ある 点 です この 蕁 麻 疹 様 の 紅 斑 は 赤 みが 強 く 境 界 が 鮮 明 であることが 特 徴 です こ のような 特 異 疹 の 病 型 で 発 症 するのは 若 い 女 性 に 多 いと 考 えられています

光 輪 はさみこども 園 学 校 保 健 安 全 法 ( 第 19 条 )に 準 ずる(H24.4 改 定 ) 病 名 感 染 しやすい 期 間 登 園 のめやす 症 状 ( 発 熱 全 身 症 状 呼 吸 器 症 状 )がある 期 間 インフルエンザ ( 発 症 前 24 時 間 ~ 発 病 後

監 修 北 辰 会 有 澤 総 合 病 院 内 科 大 八 木 秀 和 1 時 間 目 子 宮 内 膜 症 名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 産 婦 人 科 中 原 辰 夫 NAKAHARA Tatsuo 月 経 困 腎 難 不 を 全 訴 とはどのような えて 来 院 される

想 像 思 行 ず 消 毒 擦 む 薄 血 混 じ 滲 み ぶ 痂 ぶ 取 下 薄 来 経 験 沢 山 お 思 健 常 人 間 元 々 備 能 力 中 具 的 何 起 ょ 簡 単 説 明 ず 人 間 負 部 リ ン パ 球 血 小 板 マ ク ロ フ ァ ジ 悪 食 べ 集 死 溶 食 べ 清 浄

PowerPoint プレゼンテーション

各論_1章〜7章.indd

原 因 菌 とリスク 因 子 内 因 性 真 菌 性 眼 病 変 の 原 因 となる 真 菌 で 最 も 多 いものはカンジダ 属 で 90%を 占 める とされています カンジダ 属 の 他 にはアスペルギルス 属 クリプトコックス 属 などが 続 きます カンジダ 属 のなかでは Candida

< F2D874491E682528FCD2091E DF C A2E>

5 月 27 日 4 子 宮 頸 癌 1 GIO: 子 宮 頸 癌 の 病 態 診 断 治 療 について 理 解 する SBO: 1. 子 宮 頸 癌 の 発 癌 のメカニズムや 発 癌 過 程 について 説 明 できる 2. 子 宮 頸 癌 および 前 癌 病 変 の 分 類 ついて 説 明 でき

2 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (26 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 静 岡 県 国 類 似 団 体 2 技 能 労 務 職 区 41.8 歳 42.6 歳 43.5

<4D F736F F F696E74202D208D4C94A C BB38EBA814089FC95CF2E B8CDD8AB B83685D>

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

スライド 1

_si00421

感 染 対 策 がマニュアルに 従 って 実 施 されるように 指 導 することや 病 棟 での 意 見 を 聞 き 入 れることが 重 要 です そして ICT 検 討 会 で 改 善 策 な どについて 話 し 合 います 巡 回 は 医 療 施 設 の 規 模 によって 異 なりますが 通 常

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

<4D F736F F F696E74202D2096F28DDC8E7489EF82C682CC98418C F8AE18E7793B182CC8D B8CDD8AB B83685D>

Taro-iryouhoken

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

仙台市のエイズ・性感染症の現状       資料4

Microsoft Word - H27報告書

Microsoft PowerPoint _GP向けGL_final

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

1章A_責了.indd

本 校 の 沿 革 昭 和 21 年 昭 和 49 年 昭 和 54 年 昭 和 60 年 平 成 9 年 平 成 11 年 平 成 18 年 北 海 道 庁 立 農 業 講 習 所 として 発 足 北 海 道 立 農 業 大 学 校 に 改 組 修 業 年 限 を1 年 制 から2 年 制 に 改

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

( 新 ) 医 療 提 供 の 機 能 分 化 に 向 けたICT 医 療 連 携 導 入 支 援 事 業 費 事 業 の 目 的 医 療 政 策 課 予 算 額 58,011 千 円 医 療 分 野 において あじさいネットを 活 用 したICT したICT 導 入 により により 医 療 機 能

1

母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

(Microsoft Word - \213\213\227^\201E\222\350\210\365\212\307\227\235\214\366\225\\\201iH \)\201iHP\227p\201j.doc)

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

tokutei2-7.xls

目次

公表表紙

資 料 -6 平 成 20 年 度 第 2 回 北 陸 地 方 整 備 局 事 業 評 価 監 視 委 員 会 特 定 構 造 物 改 築 事 業 事 後 評 価 説 明 資 料 平 成 20 年 11 月 北 陸 地 方 整 備 局 -0-

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

スライド 1

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

○医療用医薬品の使用上の注意記載要領について

川越市幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

<96DA8E9F81698D8791CC A2E786C73>

Taro-条文.jtd

性 行 為 とは 性 交 及 び 性 交 類 似 行 為 と 同 義 であり( 昭 和 40 年 7 月 12 日 新 潟 家 裁 長 岡 支 部 決 定 ) わいせつな 行 為 とは いたずらに 性 欲 を 刺 激 興 奮 せしめたり その 露 骨 な 表 現 によって 健 全 な 常 識 のある

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について


(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

2. 居 住 用 財 産 を 売 却 し た 場 合 の 特 例 譲 渡 資 産 は 居 住 用 財 産 で す か? 住 宅 取 得 特 別 控 除 の 適 用 を 受 け て い ま せ ん か? 所 有 期 間 が 1 0 年 を 超 え て い ま す か? 居 住 期 間 は 3 0 年

空 き 家 を 売 却 した 場 合 の,000 万 円 控 除 特 例 の 創 設 被 相 続 人 が 住 んでいた 家 屋 及 びその 敷 地 を 相 続 があった 日 から 年 を 経 過 する 年 の 月 日 までに 耐 震 工 事 をしてから あるいは 家 を 除 却 し てから 売 却

デュアック 配 合 ゲル に 係 る 医 薬 品 リスク 管 理 計 画 書 (RMP)の 概 要 販 売 名 デュアック 配 合 ゲル 有 効 成 分 クリンダマイシンリン 酸 エステ ル 水 和 物 / 過 酸 化 ベンゾイル 製 造 販 売 業 者 株 式 会 社 ポーラファルマ 薬 効 分

製 造 業 者 は 製 造 販 売 業 者 の 管 理 監 督 の 下 適 切 な 品 質 管 理 を 行 い 製 品 を 製 造 します なお 製 造 業 は 製 造 に 特 化 した 許 可 となっており 製 造 業 の 許 可 のみでは 製 品 を 市 場 に 出 荷 することはできま せん

Microsoft Word - 全国エリアマネジメントネットワーク規約.docx

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

Microsoft Word - 通知 _2_.doc

m07 北見工業大学 様式①

<947A957A8E9197BF C E786C73>

スライド 1

 

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

Microsoft Word - 3大疾病保障特約付団体信用生命保険の概要_村上.docx

< F2D F97CC8EFB8F BE8DD78F9192CA926D>

グラナテック点眼液_使用上の注意の解説_4


<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

Microsoft Word - 02第3期計画(元データ).doc

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

3 薬 局 サービス 等 (1) 健 康 サポート 薬 局 である 旨 の 表 示 健 康 サポート 薬 局 である 旨 を 表 示 している 場 合 健 康 サポート 薬 局 とは かかりつけ 薬 剤 師 薬 局 としての 基 本 的 な 機 能 に 加 えて 積 極 的 な 健 康 サポート 機

①表紙

5 月 25 日 2 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 2 GIO: 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 を 理 解 する SBO: 1. 急 性 慢 性 炎 症 性 疾 患 を 説 明 できる 2. 扁 桃 の 疾 患 を 説 明 できる 3. 病 巣 感 染 症 を 説 明 できる 4

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

公 営 企 業 職 員 の 状 況 1 水 道 事 業 1 職 員 給 与 費 の 状 況 ア 決 算 区 分 総 費 用 純 利 益 職 員 給 与 費 総 費 用 に 占 める ( 参 考 ) 職 員 給 与 費 比 率 22 年 度 の 総 費 用 に 占 A B B/A める 職 員 給 与

子 育 てをサポート サポートする 休 暇 等 制 度 1 出 産 前 後 の 休 暇 休 暇 等 名 称 妊 娠 出 産 後 通 院 休 暇 ( 特 別 休 暇 ) 妊 娠 中 の 職 員 及 び 出 産 後 1 年 以 内 の 職 員 が 保 健 指 導 又 は 健 康 審 査 を 受 ける 場

(\202g22\214\366\225\\.xls)

EST_  H.8.6.

(Microsoft Word - \220V\227v\215j\221S\225\266.DOC)

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,6 243,7 185,8 222,9 261,9

図 表 1 1,000 万 円 以 上 高 額 レセプト ( 平 成 25 年 度 ) 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷

< F2D819B92CA926D E9693E A2E6A7464>

別紙3

2-1膠原病.doc

我孫子市小規模水道条例

    平成11年度余市町私立幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 135,6 243,7 2 級 185,8 37,8 3 級 4 級 222,9 354,7 ( 注 )

質 を 向 上 させることが 医 療 経 済 の 効 率 化 につながると 思 われます( 図 1) 感 染 症 の 場 合 を 考 えてみます 早 期 に 診 断 し 適 正 な 治 療 をし 合 併 症 なく 早 期 に 治 癒 させることができれば 入 院 費 治 療 費 などを 減 少 させ

S7-2)わが国におけるHIV感染妊娠の動向と近年の特徴

障害福祉制度あらまし目次

Transcription:

平 成 24 年 度 新 潟 薬 科 大 学 薬 学 部 卒 業 研 究 Ⅰ 論 文 題 目 眼 科 疾 患 の 病 態 生 理 と 薬 物 治 療 に 関 する 研 究 結 膜 炎 Studies on Pathological Physiology and Pharmacotherapy in Ophthalmic Disease Conjunctivitis 臨 床 薬 剤 学 研 究 室 4 年 09P025 河 内 恵 里 香 ( 指 導 教 員 : 河 野 健 治 )

要 旨 結 膜 には 外 界 からの 刺 激 や 微 生 物 の 侵 入 などに 対 応 できるよう 免 疫 関 連 装 置 や 豊 富 な 血 管 が 存 在 しているため 様 々な 炎 症 の 舞 台 となりやすい 本 論 文 では 結 膜 疾 患 の 中 でも 臨 床 的 に 頻 度 が 高 い 結 膜 炎 について 述 べる 感 染 性 ではウイルス 性 が 最 も 多 く 非 感 染 性 ではアレルギー 性 結 膜 疾 患 がほとんどで 症 状 は 結 膜 充 血 浮 腫 眼 脂 流 涙 眼 瞼 腫 脹 異 物 感 瘙 痒 感 など 多 彩 である 臨 床 所 見 のみでは 鑑 別 が 困 難 な 場 合 も 少 なくないため 塗 抹 検 査 や 迅 速 診 断 法 などの 検 査 所 見 を 用 いて 総 合 的 に 判 断 する 炎 症 の 原 因 などによって 治 療 法 は 異 なるが ステロイド 点 眼 薬 の 使 用 がポイ ントとなる 疾 患 が 多 い 感 染 性 結 膜 炎 の 中 でもウイルス 性 結 膜 炎 は 特 に 伝 染 力 が 強 く 学 校 や 職 場 などで 流 行 が 拡 大 しやすいため 治 療 もさることながら 二 次 感 染 の 予 防 や 流 行 時 の 対 策 が 重 要 である 一 方 非 感 染 性 結 膜 炎 ではアレルギー 性 結 膜 疾 患 患 者 の 日 常 生 活 における QOL の 低 下 が 問 題 となっているため 患 者 自 身 がセルフケアによ って 抗 原 の 種 類 により 回 避 や 除 去 の 方 法 を 工 夫 する 必 要 がある キーワード 1. 結 膜 2.アデノウイルス 結 膜 炎 3.エンテロウイルス 結 膜 炎 4.クラミジア 結 膜 炎 5. 細 菌 性 結 膜 炎 6.アレルギー 性 結 膜 炎 7. 春 季 カタル 8.アトピー 性 角 結 膜 炎 9. 巨 大 乳 頭 結 膜 炎 10. 結 膜 充 血 11. 結 膜 濾 胞 12. 眼 脂 13. 耳 前 リンパ 節 腫 脹 14. 乳 頭 増 殖 15. 眼 瘙 痒 感 16. 塗 抹 標 本 17. 迅 速 診 断 キット 18.ステロイド 薬 点 眼

目 次 1.はじめに 1 2. 成 因 症 状 1 3. 検 査 診 断 4 4. 治 療 7 5. 予 防 12 6.おわりに 13 謝 辞 14 引 用 文 献 15

論 文 1.はじめに 1 ) 結 膜 は 角 膜 縁 から 後 方 の 眼 球 表 面 と 眼 瞼 の 裏 面 を 覆 う 粘 膜 であり 角 膜 縁 から 眼 球 表 面 を 覆 う 眼 球 結 膜 眼 瞼 の 裏 面 を 覆 う 眼 瞼 結 膜 および 両 者 をつなぐ 円 蓋 部 結 膜 とに 分 けられて いる( 図 1 参 照 ) 眼 球 表 面 は 直 接 外 界 と 接 しているため 外 からの 刺 激 や 微 生 物 の 侵 入 などを 受 けやすい 環 境 にある 結 膜 にはこれらの 侵 入 に 対 応 できるよう 免 疫 関 連 装 置 が 備 わってお り また 血 管 が 豊 富 に 存 在 しているため 結 膜 炎 翼 状 片 や 瞼 裂 斑 などの 結 膜 変 性 症 結 膜 腫 瘍 といった 様 々な 炎 症 が 起 こりうる 本 論 文 では これらの 結 膜 疾 患 の 中 でも 臨 床 的 に 頻 度 が 高 い 結 膜 炎 について 述 べる 図 1: 結 膜 の 構 造 11) 2. 成 因 症 状 Ⅰ. 感 染 性 結 膜 炎 ウイルス 性 結 膜 炎 ウイルス 性 結 膜 炎 を 生 じる 代 表 的 なウイルスには アデノウイルス(AdV)とエンテロウイル ス(EV)がある 1 ) ⅰ)アデノウイルス 結 膜 炎 AdV の 血 清 型 の 中 で 結 膜 炎 を 生 じるのは 3 4 7 8 11 19 37 型 などであるこの うち 3 7 および 11 型 は B 亜 属 8 19 および 37 型 は D 亜 属 4 型 は E 亜 属 に 属 し それ ぞれの 臨 床 症 状 は 異 なっている 流 行 性 角 結 膜 炎 (EKC)は 最 も 代 表 的 かつ 伝 染 力 の 強 いウイルス 性 結 膜 炎 であり 8 19 お よび 37 型 など D 亜 属 によって 生 じる 1 ) 潜 伏 期 間 は 1~2 週 間 で 急 性 濾 胞 性 結 膜 炎 として 発 症 し 充 血 異 物 感 流 涙 漿 液 性 眼 脂 眼 瞼 腫 脹 耳 前 リンパ 節 の 腫 脹 圧 痛 などの 症 1

状 が 両 眼 に 出 現 する 時 期 をやや 遅 くして 角 膜 上 部 に 斑 状 の 角 膜 上 皮 下 混 濁 を 生 じる 2 ) 全 身 症 状 は 比 較 的 少 なく 眼 症 状 の 強 い 病 型 である 小 児 例 やアトピー 性 皮 膚 炎 合 併 などで 結 膜 偽 膜 形 成 や 結 膜 下 出 血 や 眼 球 癒 着 の 見 られる 症 例 もある 咽 頭 結 膜 熱 (PCF)は 3 型 などの B 亜 属 によるものである 感 染 から 5~6 日 の 潜 伏 期 の 後 に 下 眼 瞼 結 膜 に 充 血 と 混 濁 濾 胞 がみられるが 上 眼 瞼 結 膜 や 角 膜 に 所 見 が 及 ぶことは 少 なく 上 気 道 炎 や 発 熱 血 尿 腹 痛 下 痢 などの 全 身 症 状 がより 強 く 出 る 特 に 小 児 例 でしばしば みられるウイルスは 腸 管 泌 尿 器 などでも 増 殖 するため プールなどで 感 染 が 増 幅 され 流 行 が 拡 大 するAdV3 型 感 染 症 は 夏 風 邪 としてほとんどの 成 人 が 感 染 し 抗 体 を 保 有 していた が 最 近 は 保 有 していない 成 人 の 増 加 傾 向 があるため 通 常 の PCF よりも 強 い EKC 様 の 結 膜 炎 所 見 を 呈 することがある 3 ) ⅱ)エンテロウイルス 結 膜 炎 1) 3) EV は 急 性 出 血 性 結 膜 炎 (AHC)の 病 原 ウイルスであるEV の 中 で エンテロウイルス 70(EV70)とコックサッキーウイルス A24 変 異 株 (CA24v)が 結 膜 炎 を 起 こす 潜 伏 期 は 約 1 日 で ほぼ 両 眼 同 時 に 急 激 に 発 症 し 典 型 的 な 臨 床 像 は 球 結 膜 に 発 現 する 数 珠 状 に 連 なった 球 結 膜 出 血 である 眼 瞼 結 膜 は 充 血 と 濾 胞 を 強 く 認 め 耳 前 リンパ 節 は 腫 脹 することもある 発 症 初 期 に 点 状 表 層 角 膜 症 が 見 られることもあるが EKC のように 角 膜 上 皮 下 混 濁 を 残 すこ とはまれである クラミジア 結 膜 炎 クラミジアの 眼 感 染 の 臨 床 像 は 新 生 児 と 成 人 で 異 なる 3 ) 新 生 児 型 はクラミジアに 感 染 中 の 母 親 から 産 道 感 染 によって 発 症 する 眼 瞼 腫 脹 結 膜 充 血 眼 脂 を 主 徴 とし ビロード 状 になる 偽 膜 形 成 が 高 頻 度 にみられるが 新 生 児 はリンパ 組 織 が 未 発 達 なため 結 膜 の 濾 胞 形 成 はない30~50%に 呼 吸 器 感 染 を 併 発 するとされている 成 人 型 は STD として 性 的 活 動 期 の 人 に 多 く 粘 液 膿 性 の 眼 脂 とともに 片 眼 性 の 急 性 濾 胞 性 結 膜 炎 の 臨 床 像 がみられる 下 眼 瞼 結 膜 から 円 蓋 部 結 膜 に 大 きな 濾 胞 が 融 合 して 堤 防 状 の 形 状 を 示 すのが 特 徴 的 である 性 器 だけでなく 上 咽 頭 感 染 を 合 併 していることも 少 なくない 4 ) 細 菌 性 結 膜 炎 ほぼ 全 例 片 眼 性 1) で 結 膜 の 充 血 浮 腫 や 黄 色 い 粘 液 膿 性 眼 脂 がみられるが 耳 前 リンパ 節 腫 脹 や 濾 胞 形 成 は 生 じない 淋 菌 ではビロード 状 の 充 血 混 濁 浮 腫 が 強 く 大 量 のクリ ーム 状 膿 性 眼 脂 が 特 徴 的 で 角 膜 炎 も 合 併 し 角 膜 が 穿 孔 することもあり 重 症 化 しやすい 起 炎 菌 には 年 齢 による 特 徴 があり 乳 幼 児 ではインフルエンザ 菌 幼 小 児 ~ 学 童 期 の 子 どもでは 肺 炎 球 菌 が 多 く 感 冒 に 伴 って 急 性 カタル 性 結 膜 炎 を 引 き 起 こす 高 齢 者 では 慢 性 カタル 性 結 膜 炎 を 呈 することが 多 く ブドウ 球 菌 による 眼 瞼 結 膜 炎 が 代 表 的 である 淋 菌 感 染 は STD のひとつで 青 壮 年 期 の 成 人 と 新 生 児 に 発 症 する 細 菌 性 結 膜 炎 は 基 本 的 にはカタル 性 結 膜 炎 を 示 すが 淋 菌 は 化 膿 性 結 膜 炎 を 呈 する 5 ) 2

Ⅱ. 非 感 染 性 結 膜 炎 アレルギー 性 結 膜 疾 患 外 来 性 の 抗 原 に 対 するⅠ 型 アレルギー 反 応 によって 惹 き 起 こされる 結 膜 の 炎 症 性 病 変 であ り Ⅰ 型 アレルギーが 関 与 する 結 膜 の 炎 症 性 疾 患 で 何 らかの 自 他 覚 所 見 を 伴 うもの と 定 義 されているアレルギー 性 結 膜 疾 患 は 増 殖 性 変 化 アトピー 性 皮 膚 炎 の 合 併 異 物 な どによる 機 械 的 刺 激 の 有 無 により 複 数 の 病 型 に 分 類 される 6 ) ( 図 1 参 照 ) ⅰ)アレルギー 性 結 膜 炎 (AC) 結 膜 に 増 殖 性 変 化 がみられないアレルギー 性 結 膜 疾 患 で 発 症 時 期 によってさらに 季 節 性 アレルギー 性 結 膜 炎 (SAC)および 通 年 性 アレルギー 性 結 膜 炎 (PAC)に 分 類 される 6 ) SAC のほ とんどは 樹 木 イネ 科 の 草 または 雑 草 の 花 粉 によるもので 原 因 となる 植 物 のライフサイ クルに 一 致 して 春 晩 夏 または 初 秋 にピークを 迎 え 冬 に 消 失 する 傾 向 がある 7 ) 一 方 PAC の 原 因 抗 原 はハウスダスト ダニなどの 家 屋 内 の 吸 入 性 抗 原 によるものが 多 い 1 ) 瘙 痒 感 が 強 いことが 最 も 重 要 な 症 状 であり 他 に 粘 液 性 眼 脂 流 涙 羞 明 結 膜 充 血 結 膜 浮 腫 結 膜 濾 胞 などがみられる ⅱ) 春 季 カタル(VKC) 1 )6) 結 膜 に 眼 瞼 結 膜 の 石 垣 状 巨 大 乳 頭 結 膜 肥 厚 輪 部 結 膜 の 腫 脹 や 堤 防 状 隆 起 などの 増 殖 性 病 変 が 見 られる 重 症 アレルギー 性 結 膜 疾 患 で アトピー 性 皮 膚 炎 合 併 例 が 多 くを 占 めている 角 膜 輪 部 とそれに 接 した 眼 球 結 膜 には 浸 潤 性 の 病 変 がみられることもある 角 膜 病 変 は 重 症 例 ではプラークや 潰 瘍 がみられ 血 管 新 生 や 実 質 混 濁 を 合 併 する ⅲ)アトピー 性 角 結 膜 炎 (AKC) 顔 面 にアトピー 性 皮 膚 炎 を 伴 う 患 者 に 起 こる 慢 性 角 結 膜 炎 であり 増 殖 性 病 変 を 伴 うこと がある 6 ) 結 膜 病 変 は 軽 度 の 増 殖 性 変 化 や 点 状 表 層 角 膜 症 など 軽 度 の 角 膜 病 変 が 多 いが 眼 瞼 結 膜 に 巨 大 乳 頭 を 生 じることもある 1 ) ⅳ) 巨 大 乳 頭 性 結 膜 炎 (GPC) 主 にコンタクトレンズの 装 用 により 発 症 するもので 上 眼 瞼 結 膜 に 増 殖 性 変 化 を 伴 う 結 膜 炎 を 指 すVKCと 類 似 しているが 1 乳 頭 の 形 状 が 異 なる(GPCではドーム 状 の 巨 大 乳 頭 で 1 個 ずつ 独 立 している 1 ) ) 2 GPCではほとんどの 場 合 角 膜 病 変 は 伴 わない などの 点 でVKC とGPCの 臨 床 像 は 異 なる 6 ) 3

図 2:アレルギー 性 結 膜 疾 患 の 分 類 6) アレルギー 性 結 膜 疾 患 結 膜 増 殖 なし 結 膜 増 殖 あり 季 節 性 あり 季 節 性 なし コンタクトレンズ コンタクトレンズ なし あり アトピー 性 アトピー 性 アトピー 性 皮 膚 炎 皮 膚 炎 皮 膚 炎 なし あり なし 季 節 性 通 年 性 アトピー 性 春 季 カタル 巨 大 乳 頭 アレルギー 性 アレルギー 性 角 結 膜 炎 (VKC) 結 膜 炎 結 膜 炎 結 膜 炎 (AKC) (GPC) (SAC) (PAC) 3. 検 査 診 断 Ⅰ. 検 査 眼 脂 の 塗 抹 検 査 は 鑑 別 診 断 としてその 後 の 検 査 の 方 向 性 を 決 定 するための 重 要 な 検 査 で ある 鏡 検 上 のポイントは 1 主 な 炎 症 細 胞 は 何 か 2 上 皮 細 胞 に 異 常 はないか 3 細 菌 な どの 病 原 体 はいないか の 3 点 である( 図 2 参 照 )リンパ 球 が 優 位 であれば まずウイルス 性 結 膜 炎 を 疑 うただし AHC の 初 期 や アデノウイルス 結 膜 炎 で 偽 膜 を 生 じた 場 合 には 好 中 球 が 多 くなる 細 菌 性 結 膜 炎 では 好 中 球 優 位 の 白 血 球 浸 潤 と 細 菌 がみられるクラミジア 結 膜 炎 でも 好 中 球 優 位 で 20~30% 程 度 はリンパ 球 が 混 じる 好 酸 球 は 即 時 型 アレルギーによ る 炎 症 の 際 にみられる 3 ) 4

図 3: 眼 脂 塗 抹 標 本 による 結 膜 炎 の 鑑 別 3) 眼 脂 塗 抹 標 本 好 中 球 優 位 リンパ 球 優 位 好 酸 球 細 菌 (-) リンパ 球 (+) 細 菌 (+) 封 入 体 Leber 細 胞 形 質 細 胞 アデノウイルス 結 膜 炎 ( 偽 膜 形 成 例 ) エンテロウイルス 結 膜 炎 微 生 物 検 査 ( 発 病 初 期 ) クラミジア 結 膜 炎 細 菌 性 結 膜 炎 ウイルス 性 結 膜 炎 アデノウイルス エンテロウイルス アレルギー 性 結 膜 炎 微 生 物 検 査 ウイルス 性 結 膜 炎 が 疑 われた 場 合 は 抗 原 検 出 遺 伝 子 検 出 などのウイルス 特 異 的 検 査 を 行 う AdV 抗 原 の 検 出 には 蛍 光 抗 体 法 酵 素 免 疫 法 など 様 々な 方 法 があり 迅 速 診 断 キットが 利 用 できる 現 在 最 も 簡 単 に 短 時 間 で 行 えるのは イムノクロマトグラフィーを 原 理 としたアデ ノチェック であり 角 結 膜 上 皮 細 胞 中 のAdV 抗 原 の 検 出 が 可 能 である( 表 1 参 照 ) 特 異 度 は 100% 感 度 は 約 70%であるため 陽 性 の 場 合 にはアデノウイルス 結 膜 炎 と 確 定 診 断 できるが 陰 性 であってもAdVの 関 与 を 全 く 否 定 はできないPCR 法 などの 遺 伝 子 検 出 は 感 度 特 異 度 ともに 優 れた 方 法 であり ウイルスDNAの 同 定 と 血 清 型 の 決 定 に 用 いられる 分 離 培 養 法 は AdVの 病 因 診 断 の 標 準 的 な 方 法 であり 生 きたウイルスを 分 離 できるため 病 原 体 の 確 実 な 証 明 となるしかし AdV8 型 のように 増 殖 が 悪 く 分 離 しにくい 血 清 型 があり 分 離 同 定 に 数 週 間 から1カ 月 程 度 かかるため 臨 床 の 場 に 結 果 を 還 元 できない 3 )8) エンテロウイルス 結 膜 炎 もアデノウイルス 結 膜 炎 の 場 合 と 同 様 に ウイルス 抗 原 検 出 による 迅 速 病 因 診 断 が 可 能 であるが 現 在 一 般 に 利 用 できる 迅 速 診 断 キットは 開 発 されていない 結 膜 擦 過 物 を 材 料 に 免 疫 血 清 を 用 いて 蛍 光 抗 体 法 でEV70 抗 原 CA24v 抗 原 を 検 出 するま た 病 初 期 と2 週 間 後 のペア 血 清 で EV70あるいはCA24vに 対 する 抗 体 価 の 上 昇 から 判 定 す る 血 清 学 的 検 査 も 診 断 に 用 いられる 3 ) 5

クラミジア 結 膜 炎 には 抗 原 検 出 法 が 最 も 普 及 して 利 用 しやすく 蛍 光 抗 体 法 酵 素 免 疫 法 などのキットが 利 用 できる 遺 伝 子 検 出 にはキットとして DNAプローブ 法 PCR 法 LCR 法 などがあり 感 度 は 抗 原 検 出 よりも 高 い 3 ) ( 表 1 参 照 )その 他 結 膜 擦 過 物 の 塗 抹 標 本 検 査 も 確 定 診 断 として 有 用 な 方 法 であり 1Leber 細 胞 形 質 細 胞 の 存 在 2 結 膜 上 皮 細 胞 の 細 胞 質 内 の 封 入 体 が 観 察 される 4 ) 細 菌 性 結 膜 炎 の 確 定 診 断 には 眼 脂 や 結 膜 擦 過 物 に 対 して 細 菌 培 養 を 行 い 起 炎 菌 の 検 索 と 薬 剤 感 受 性 試 験 を 行 う 2 )5) 表 1: 代 表 的 な 迅 速 診 断 キット 3 ) ウイルス キット 名 測 定 原 理 所 要 時 間 感 度 特 異 性 アデノチェック イムノクロマト 法 10 分 中 高 アデノウイルス IMAGEN TM Adenovirus 蛍 光 抗 体 法 25 分 中 高 アデノクロン 酵 素 免 疫 法 70 分 中 高 クラミジア FA 蛍 光 抗 体 法 15 分 高 高 クラミジア IDEIA TM PCE Chlamydia 酵 素 免 疫 法 120 分 高 高 クリアビュークラミジア イムノクロマト 法 15 分 高 高 AMPLICOR PCR 法 4 時 間 高 高 アレルギー 検 査 6) アレルギー 性 結 膜 疾 患 の 確 定 診 断 には Ⅰ 型 アレルギー 反 応 が 実 際 に 眼 局 所 ( 結 膜 )において 起 こっていることを 示 す 必 要 があり 1 結 膜 における 好 酸 球 の 同 定 2 点 眼 誘 発 試 験 の 陽 性 3 涙 液 中 総 IgE 抗 体 の 増 加 によって 証 明 される 好 酸 球 陽 性 を 証 明 するには 結 膜 擦 過 物 の スメアやブラッシュサイトロジーなどの 結 膜 細 胞 診 を 行 う 点 眼 誘 発 試 験 は 皮 膚 テストや 血 清 抗 原 特 異 的 IgE 抗 体 測 定 検 査 で 抗 原 が 推 測 できる 場 合 既 知 の 抗 原 液 を 点 眼 することに より 結 膜 炎 の 発 症 を 確 認 する 方 法 で 瘙 痒 感 や 充 血 があれば 陽 性 と 判 定 する 涙 液 中 総 IgE 抗 体 については 涙 液 を 試 料 としてイムノクロマト 法 により 高 感 度 かつ 迅 速 簡 易 に 測 定 す るキットがあるただし 半 定 量 的 検 査 である 点 抗 原 特 異 的 IgE 抗 体 ではなく 総 IgE 抗 体 を 検 出 している 点 に 留 意 する Ⅱ. 診 断 ( 図 3 参 照 ) いずれの 結 膜 炎 も 診 断 は 自 覚 症 状 と 臨 床 所 見 から 総 合 的 に 判 断 して 行 われることが 多 い 2 ) まずアレルギー 性 結 膜 疾 患 か 感 染 性 結 膜 炎 かを 瘙 痒 感 と 結 膜 乳 頭 増 殖 の 有 無 などから 鑑 別 し その 後 眼 脂 の 性 状 濾 胞 の 有 無 リンパ 節 腫 脹 の 有 無 などから 細 菌 性 結 膜 炎 とクラミジア およびウイルス 性 結 膜 炎 を 鑑 別 する 1 )3) 6

図 4: 症 候 による 結 膜 炎 の 鑑 別 1)3) 瘙 痒 感 の 有 無 乳 頭 増 殖 の 有 無 眼 脂 の 性 状 痒 み(+) 痒 み(-) 乳 頭 増 殖 (+) 乳 頭 増 殖 (-) 粘 液 性 眼 脂 膿 性 または 線 維 素 性 眼 脂 アレルギー 性 結 膜 疾 患 感 染 性 結 膜 炎 眼 脂 の 性 状 濾 胞 の 有 無 リンパ 節 腫 脹 の 有 無 膿 性 眼 脂 線 維 素 性 眼 脂 濾 胞 (-) 濾 胞 (+) リンパ 節 腫 脹 (-) リンパ 節 腫 張 (+) 細 菌 性 結 膜 炎 ウイルス 性 結 膜 炎 クラミジア 結 膜 炎 円 蓋 部 巨 大 濾 胞 クラミジア 結 膜 炎 瞼 結 膜 のび 慢 性 で 小 型 の 濾 胞 アデノウイルス 結 膜 炎 エンテロウイルス 結 膜 炎 4. 治 療 ウイルス 性 結 膜 炎 現 時 点 で 安 全 で 有 効 な 抗 ウイルス 点 眼 薬 がないため 対 症 療 法 として 抗 菌 薬 と 低 力 価 のス テロイド 点 眼 薬 を 投 与 する 2 ) しかし ウイルス 性 結 膜 炎 は 自 然 経 過 で 軽 快 する 疾 患 である ため 過 剰 な 投 薬 は 慎 まなければならない 8 ) 偽 膜 形 成 が 強 い 症 例 には 外 科 的 治 療 も 検 討 する 抗 菌 点 眼 薬 ( 表 2 参 照 ) ウイルス 性 結 膜 炎 に 対 して 抗 菌 薬 点 眼 は 無 効 であるため 診 断 がはっきりしておればその 使 用 は 必 須 ではないただし 新 生 児 乳 幼 児 では 細 菌 の 混 合 感 染 による 重 篤 な 角 膜 炎 の 例 があるので 投 与 を 考 えた 方 が 良 いまた 成 人 でも 重 症 のアデノウイルス 結 膜 炎 では 糸 状 角 膜 炎 や 角 膜 上 皮 欠 損 を 合 併 してくることがあり そのため 二 次 的 に 角 膜 感 染 を 生 じる 可 能 性 が 存 在 すること 後 述 のステロイド 薬 の 使 用 にあたって 感 染 予 防 を 考 慮 する 必 要 のあるこ 7

とにも 留 意 して 使 用 するかどうかを 考 える 8 ) 選 択 する 抗 菌 薬 としては 初 期 のクラミジア とウイルス 性 結 膜 炎 の 鑑 別 が 困 難 であることや アデノウイルス 結 膜 炎 症 例 の3%からクラミ ジアがPCR 法 によって 検 出 された 報 告 があることなどから クラミジアに 対 する 効 果 も 期 待 できるマクロライド 系 ニューキノロン 系 点 眼 が 候 補 となる 3 ) ステロイド 点 眼 薬 ( 表 4 参 照 ) アデノウイルス 結 膜 炎 において 強 い 炎 症 に 伴 って 偽 膜 形 成 や 糸 状 角 膜 炎 角 膜 上 皮 欠 損 を 生 じている 場 合 は 症 状 を 早 期 に 緩 和 することが 患 者 のQOL 改 善 につながるので ステロ イド 薬 点 眼 が 役 立 つまた 後 に 生 じてくる 角 膜 上 皮 下 混 濁 を 抑 制 するのにも 有 効 である ただし 過 剰 に 使 用 するとウイルスの 増 殖 を 助 長 する 可 能 性 があることが 指 摘 されているた め 発 症 早 期 からステロイド 薬 を 頻 回 点 眼 したり 内 服 させることは 厳 に 慎 むべきであり 軽 症 例 ( 下 眼 瞼 結 膜 に 限 局 している 症 例 )では 使 用 する 必 要 はない 8 ) また エンテロウイルス 結 膜 炎 の 場 合 は 一 週 間 ほどで 治 癒 し 病 期 も 短 く 上 皮 下 混 濁 も 伴 わないため この 場 合 もス テロイド 薬 点 眼 はあえて 必 要 としない 3 ) 偽 膜 処 理 8) 小 児 などで 偽 膜 形 成 が 強 い 場 合 瞼 結 膜 の 強 い 瘢 痕 を 残 す 可 能 性 もあることから これを 除 去 する 治 療 を 考 慮 すべきであるただし 処 理 にあたって 無 理 に 引 き 剥 がすと 出 血 を 起 こしてより 強 い 偽 膜 形 成 に 移 行 する 可 能 性 もあるので 癒 着 の 強 い 部 分 は 残 して 周 囲 を 切 除 する 等 の 配 慮 が 必 要 であるまた 処 置 にあたっては 事 後 の 手 洗 いや 器 具 の 消 毒 に 十 分 留 意 し 感 染 予 防 に 努 めるべきである クラミジア 結 膜 炎 マクロライド 系 ニューキノロン 系 の 抗 菌 薬 が 有 効 であるクラミジアは 病 変 内 で 感 染 性 はあるが 増 殖 力 のない 基 本 小 体 と 増 殖 力 はあるが 感 染 性 のない 網 様 体 の 二 つの 形 態 を 持 つ 抗 菌 薬 はこのうち 網 様 体 にしか 効 果 を 発 揮 できないため 長 期 投 与 が 必 要 とされている 3 ) 具 体 的 には オフロキサシン 眼 軟 膏 またはエコリシン 眼 軟 膏 1 日 5 回 6~8 週 間 の 投 与 を 要 す る 点 眼 を 選 択 する 場 合 は 1 時 間 1 回 の 頻 回 点 眼 でより 長 期 の 投 与 が 必 要 となるまた 泌 尿 生 殖 器 や 呼 吸 器 への 感 染 を 合 併 している 場 合 は ミノサイクリンやクラリスロマイシン などの 抗 菌 薬 の 経 口 投 与 が 通 常 1~2 週 間 必 要 となる 小 児 新 生 児 妊 産 婦 では 副 作 用 を 考 慮 して 長 期 投 与 は 控 えるまた アジスロマイシンは 半 減 期 が 長 く マクロファージに 取 り 込 まれて 感 染 巣 へ 集 中 的 に 移 行 し 持 続 性 に 効 果 を 発 揮 するので 500mg1 回 投 与 3 日 間 で 効 果 を 発 揮 する 4 ) 8

細 菌 性 結 膜 炎 発 病 初 期 原 因 不 明 時 には 抗 菌 スペクトルの 広 いニューキノロン 系 抗 菌 点 眼 薬 が 第 1 選 択 薬 とされることが 多 い 2 ) 1 週 間 投 与 しても 改 善 しない 場 合 は 培 養 検 査 ならびに 薬 剤 感 受 性 試 験 の 結 果 をもとに 薬 剤 を 変 更 する 5 ) 淋 菌 性 結 膜 炎 は 角 膜 炎 を 生 じて 重 症 化 しやすいため 治 療 には 全 身 投 与 の 併 用 が 必 要 となる 近 年 の 淋 菌 は 多 剤 耐 性 化 が 進 んでおり ニューキノロ ン 系 点 眼 薬 は80% 以 上 が 耐 性 株 であるため 用 いるべきではなく セフェム 系 抗 菌 薬 の 頻 回 点 眼 を 行 うその 他 アミノグリコシド 系 抗 菌 点 眼 薬 が 有 効 な 場 合 があるが 角 膜 上 皮 障 害 を 生 じやすいとされており 漫 然 とした 頻 回 点 眼 は 避 けるべきである 全 身 投 与 の 際 に 有 効 とさ れている 薬 剤 は セフトリアキソン セフォジジムとスペクチノマイシンの3 剤 のみとなって おり この 中 から 選 んで 点 滴 静 注 または 筋 注 する 4 ) MRSA MRSEにはクロラムフェニコ ールをまず 点 眼 して 無 効 であればアルベカシン バンコマイシンの 注 射 薬 を0.5%に 希 釈 し て 点 眼 薬 として 使 用 する 5 ) 表 2: 抗 菌 薬 点 眼 薬 と 眼 軟 膏 9) 一 般 名 商 品 名 セフェム 系 セフメノキシム 塩 酸 塩 ベストロン ゲンタマイシン 硫 酸 塩 リフタシン ジベカシン 硫 酸 塩 パニマイシン アミノグリコシド 系 トブラマイシン トブラシン ミクロノマイシン 硫 酸 塩 サンテマイシン フラジオマイシン 硫 酸 塩 リンデロン A およびネオメドロールEE に 含 有 マクロライド 系 ラクトビオン 酸 エリスロマイシン エコリシン * クロラムフェニコール 系 クロラムフェニコール クロラムフェニコール 点 眼 液 コリマイ C * オフサロン * コリナコール * グリコペプチド 系 バンコマイシン 塩 酸 塩 バンコマイシン オフロキサシン タリビット レボフロキサシン クラビット ノルフロキサシン ノフロ バクシダール ニューキノロン 系 ロメフロキサシン 塩 酸 塩 ロメフロン ガチフロキサシン ガチフロ トスフロキサシントシル 酸 塩 オゼックス トスフロ モキシフロキサシン 塩 酸 塩 ベガモックス *:コリスチンとの 合 剤 9

アレルギー 性 結 膜 疾 患 第 一 選 択 は 抗 アレルギー 点 眼 薬 であるが 重 症 度 によりステロイド 点 眼 薬 の 使 い 分 けが 必 要 となるAKC や VKC などの 難 治 性 重 症 アレルギー 性 結 膜 疾 患 に 対 しては さらに 免 疫 抑 制 点 眼 薬 の 使 用 ステロイド 薬 の 局 所 注 射 ステロイド 薬 の 内 服 乳 頭 切 除 などの 外 科 的 治 療 も 検 討 する 6 ) 抗 アレルギー 点 眼 薬 6) ( 表 3 参 照 ) メディエーター 遊 離 抑 制 薬 とヒスタミン H1 受 容 体 拮 抗 薬 があるメディエーター 遊 離 抑 制 薬 はⅠ 型 アレルギーの 即 時 相 反 応 を 軽 減 し また 炎 症 細 胞 の 結 膜 局 所 浸 潤 を 抑 制 することで 遅 発 相 の 反 応 も 軽 減 する 一 方 ヒスタミン H1 受 容 体 拮 抗 薬 は 充 血 や 眼 掻 痒 感 を 抑 制 する ステロイド 薬 ( 表 4 5 参 照 ) 抗 アレルギー 点 眼 薬 だけでは 効 果 不 十 分 な 場 合 炎 症 の 重 症 度 に 応 じた 力 価 のステロイド 点 眼 薬 を 併 用 する 副 作 用 として 眼 圧 上 昇 を 伴 う 場 合 があり 投 与 中 は 定 期 的 な 眼 圧 測 定 を 含 め た 眼 科 での 経 過 観 察 が 必 要 である 抗 アレルギー 点 眼 薬 だけでは 効 果 不 十 分 で ステロイド 点 眼 薬 を 使 用 できない 場 合 には 眼 軟 膏 を 用 いる 就 寝 前 に 使 用 し 就 寝 中 の 効 果 を 期 待 する 方 法 もある 使 用 にあたっては ス テロイド 点 眼 薬 と 同 様 の 注 意 が 必 要 である 重 症 な 角 膜 合 併 症 のある 症 例 では 眼 瞼 型 にはトリアムシノロンアセトニドまたはベタメタ ゾン 懸 濁 液 を 上 眼 瞼 の 瞼 結 膜 下 に 投 与 する 角 膜 輪 部 に 増 殖 性 変 化 のある 眼 球 型 では デキ サメタゾンやベタメタゾンの 球 結 膜 下 注 射 を 行 う 眼 圧 上 昇 に 注 意 し 繰 り 返 しの 使 用 や 10 歳 未 満 の 小 児 への 使 用 は 避 けることが 望 ましい 6 ) 小 児 や 局 所 注 射 が 困 難 な 症 例 では 血 中 半 減 期 の 短 いプレドニゾロンまたはメチルプレドニゾ ロンを 症 状 に 応 じて 内 服 させる 1 ) 免 疫 抑 制 点 眼 薬 6) ( 表 6 参 照 ) 現 在 2 種 類 の 免 疫 抑 制 点 眼 薬 (シクロスポリンとタクロリムス)が VKC の 治 療 薬 として 認 可 されており ステロイド 点 眼 薬 と 同 等 またはそれ 以 上 の 効 果 が 期 待 されるシクロスポリン は 抗 アレルギー 点 眼 薬 とステロイド 点 眼 薬 の 併 用 により ステロイド 点 眼 薬 の 漸 減 が 可 能 であるまた タクロリムスはステロイド 抵 抗 性 の 重 症 例 に 対 して 単 剤 でも 効 果 がみられる 外 科 的 切 除 6) 薬 物 治 療 では 症 状 が 軽 快 せず 結 膜 乳 頭 増 殖 が 進 行 し 角 膜 上 皮 障 害 が 悪 化 する 症 例 に 対 し ては 乳 頭 切 除 術 を 行 う 治 療 効 果 に 即 効 性 があるが 症 例 によっては 再 発 する 場 合 もある 角 膜 プラークにより 視 力 障 害 となる 場 合 は 病 勢 が 沈 静 化 しているときに 角 膜 プラークの 外 科 的 掻 爬 を 行 う 10

表 3: 抗 アレルギー 点 眼 薬 6)9) 一 般 名 クロモグリク 酸 ナトリウム トラニラスト メディエーター 遊 離 抑 制 薬 ペミロラストカリウム アンレキサノクス イブジラスト アシタザノラスト 水 和 物 ケトチフェンフマル 酸 塩 ヒスタミン H1 受 容 体 拮 抗 薬 レボカバスチン 塩 酸 塩 オロパタジン 水 和 物 商 品 名 インタール 点 眼 液 UD インタール 点 眼 液 リザベン 点 眼 液 トラメラス 点 眼 液 トラメラス PF 点 眼 液 アレギサール 点 眼 液 ペミラストン 点 眼 液 エリックス 点 眼 液 アイビナール 点 眼 液 ケタス 点 眼 液 ゼペリン 点 眼 液 ザジテン 点 眼 液 UD ザジテン 点 眼 液 リボスチン 点 眼 液 パタノール 点 眼 液 表 4:ステロイド 点 眼 薬 6)9) 一 般 名 濃 度 (%) 0.01 0.02 0.05 0.1 0.25 0.5 ベタメタゾンリン 酸 エステルナトリウム デキサメタゾンリン 酸 エステルナトリウム デキサメタゾンメタスルホ 安 息 香 酸 エステルナトリウム フルオロメトロン ヒドロコルチゾン 酢 酸 エステル プレドニゾロン 酢 酸 エステル 表 5:ステロイド 眼 軟 膏 6)9) 一 般 名 リン 酸 ベタメタゾン 硫 酸 フラジオマイシン 配 合 剤 メタスルホ 安 息 香 酸 デキサメタゾンナトリウム メチルプレドニゾロン 硫 酸 フラジオマイシン 配 合 剤 プレドニゾロン 酢 酸 エステル デキサメタゾン 濃 度 (%) 0.01 0.02 0.05 0.1 0.25 11

表 6: 免 疫 抑 制 点 眼 液 6) 一 般 名 シクロスポリン タクロリムス 水 和 物 商 品 名 パピロック ミニ 点 眼 液 タリムス 懸 濁 点 眼 液 5. 予 防 Ⅰ. 感 染 性 結 膜 炎 の 予 防 ( 飛 沫 接 触 感 染 の 防 止 ) 3 )8) 目 を 擦 った 手 や 目 を 拭 いたハンカチなどから 感 染 することがほとんどであるため 石 鹸 と 流 水 下 で 手 指 を 良 く 洗 った 後 に 消 毒 用 アルコールで 拭 き 乾 燥 させるまた 他 の 家 族 に 感 染 させないよう 患 者 の 身 の 回 りのものは 煮 沸 消 毒 や 塩 素 系 の 漂 白 剤 などで 殺 菌 する 入 浴 は 医 師 の 許 可 が 出 るまで 控 えた 方 が 望 ましく たとえ 入 浴 が 可 能 であっても 最 後 に 入 るように し 残 り 湯 は 捨 てる 特 にウイルス 性 結 膜 炎 は 伝 染 力 が 強 く 学 校 や 職 場 などにおける 集 団 感 染 が 問 題 となること がある 他 人 へ 感 染 させる 恐 れのある 期 間 は アデノウイルス 結 膜 炎 では 約 1~2 週 間 エン テロウイルス 結 膜 炎 では 3~4 日 であるウイルス 性 結 膜 炎 は 学 校 伝 染 病 に 指 定 されており EKC と AHC は 医 師 が 周 囲 への 感 染 力 がなくなったと 判 断 するまで PCF は 主 要 症 状 がなく なった 後 2 日 を 経 過 するまで 登 校 を 禁 止 することになっている 社 会 人 でもできるだけ 仕 事 を 休 むのが 望 ましい Ⅱ. 非 感 染 性 結 膜 疾 患 の 予 防 6) アレルギー 性 結 膜 疾 患 の 場 合 には 抗 原 の 種 類 により 回 避 や 除 去 の 方 法 を 工 夫 する 必 要 が ある 花 粉 症 であれば 屋 外 花 粉 対 策 として 花 粉 飛 散 時 期 に 花 粉 の 曝 露 から 結 膜 や 鼻 粘 膜 を 保 護 するためのメガネやマスクの 着 用 が 薦 められるまた 屋 内 花 粉 対 策 として 花 粉 を 室 内 に 持 ち 込 まないことも 大 切 である 花 粉 飛 散 量 の 多 い 日 には 外 出 や 洗 濯 物 などを 外 に 干 す ことを 避 け 外 出 から 帰 宅 した 際 には 服 についた 花 粉 を 十 分 に 落 とす 通 年 性 抗 原 の 回 避 や 除 去 には 部 屋 の 清 潔 を 心 掛 けたり 寝 具 類 を 干 したりするなど 患 者 の 毎 日 の 生 活 環 境 主 に 室 内 の 環 境 を 年 間 を 通 して 整 えることによって 達 成 されるコンタクトレンズ 装 用 者 は 正 しい 装 用 と3カ 月 に 一 度 の 定 期 健 診 が 大 切 であり 目 に 異 常 を 感 じた 際 にはすぐにコンタクト レンズを 中 止 して 受 診 すべきである 6.おわりに 結 膜 炎 とは 結 膜 がウイルス 細 菌 クラミジアなど 微 生 物 の 感 染 やアレルゲンなどによ り 炎 症 を 起 こした 状 態 である 治 療 法 は 炎 症 の 原 因 などよって 異 なるが 基 本 は 点 眼 治 療 で あるステロイド 薬 の 過 剰 投 与 は 重 大 な 合 併 症 を 招 く 恐 れがあり また 抗 菌 薬 は 耐 性 菌 の 出 現 や 菌 交 代 現 象 の 要 因 となることがあるため 点 眼 薬 の 適 正 な 使 用 が 望 まれる 現 在 公 衆 衛 生 の 点 から 最 も 重 要 視 されているのはウイルス 性 結 膜 炎 である 伝 染 力 が 強 く 学 校 や 職 場 などにおける 集 団 感 染 が 問 題 となることがあるため 治 療 もさることながら 二 12

次 感 染 の 予 防 や 流 行 時 の 対 策 が 重 要 である アレルギー 性 結 膜 疾 患 は 細 菌 クラミジア 感 染 の 減 少 に 呼 応 するように 近 年 増 加 傾 向 にあり 患 者 の 日 常 生 活 における QOL の 低 下 が 問 題 となっている 患 者 自 身 がセルフケアによって 抗 原 の 回 避 除 去 を 行 うためには どのようなことができるのか 患 者 個 人 の 状 況 を 考 え 医 療 情 報 を 提 供 することが 大 切 なのではないかと 考 えられる 13

謝 辞 本 研 究 に 関 して 終 始 ご 指 導 ご 鞭 撻 を 頂 きました 本 学 河 野 健 治 教 授 笹 木 睦 子 助 手 に 心 より 感 謝 致 しますまた 本 論 文 をご 精 読 頂 きました 本 学 河 田 登 美 枝 教 授 に 深 謝 致 します 14

引 用 文 献 1. 坪 田 一 男 :Text 眼 科 学 南 山 堂 6 91-93 105-107 134-139(2007) 2. 横 田 千 津 子 池 田 宇 一 大 越 教 夫 : 病 気 と 薬 パーフェクト BOOK 南 山 堂 1150-1152(2012) 3. 大 野 重 昭 青 木 功 喜 :ウイルス 性 結 膜 炎 ガイドライン 日 本 眼 科 学 会 雑 誌 107 巻 1 号 (2003) 4. 日 本 性 感 染 症 学 会 : 性 感 染 症 診 断 治 療 ガイドライン 39-40(2008) 5. 抗 菌 薬 適 正 使 用 マニュアル (2012) http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~ict/koukinyaku/koukinyakumanual.htm 6.アレルギー 性 結 膜 疾 患 診 療 ガイドライン 作 成 委 員 会 :アレルギー 性 結 膜 疾 患 診 療 ガイド ライン( 第 2 版 ) 日 本 眼 科 学 会 雑 誌 114 巻 10 号 (2010) 7.Mark H. Beers( 著 ) 福 島 雅 典 ( 監 修 ):メルクマニュアル 第 18 版 日 本 語 版 日 経 BP 社 924-934(2006) 8.アデノウイルス 結 膜 炎 院 内 感 染 対 策 委 員 会 :アデノウイルス 結 膜 炎 院 内 感 染 対 策 ガイドライ ン 日 本 眼 科 学 会 雑 誌 113 巻 1 号 (2009) 9. 高 久 史 麿 矢 崎 義 雄 : 治 療 薬 マニュアル 2011 医 学 書 院 1715-1726(2011) 10. 斎 藤 康 :わかりやすい 疾 患 と 処 方 薬 の 解 説 アークメディア 378-380(2011) 11. 新 宿 東 口 眼 科 医 院 (2012) http://www.shec.jp/syozyo4.html 15