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人 間 ドックコース( 脳 検 査 がん 検 査 含 む) 298,000 円 / 税 込 その 他 肥 満 症 やせ 症 高 / 低 血 圧 近 視 乱 視 白 内 障 緑 内 障 網 膜 疾 患 外 部 の 音 を 遮 断 したブースで 音 を 聞 き 取 って 調 難 聴 腹 部 超 音 波

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2 条 ) ア 育 児 休 業 の 対 象 とならない 職 員 ( 法 第 2 条 及 び 条 例 第 2 条 関 係 ) (ア) 臨 時 的 に 任 用 される 職 員 (イ) 育 児 休 業 に 係 る 期 間 を 任 期 と 定 めて 採 用 された 職 員 (ウ) 勤 務 延 長 職 員 (

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(3) 育 児 休 業 (この 号 の 規 定 に 該 当 したことにより 当 該 育 児 休 業 に 係 る 子 について 既 にし たものを 除 く )の 終 了 後 3 月 以 上 の 期 間 を 経 過 した 場 合 ( 当 該 育 児 休 業 をした 教 職 員 が 当 該 育 児 休 業

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製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省

社 内 資 料 ムルキナ 点 眼 液 0.1%の 生 物 学 的 同 等 性 について Ⅰ. 要 旨 プラノプロフェン 0.1% 含 有 点 眼 液 ムルキナ 点 眼 液 0.1%について 他 社 市 販 品 (ニフラン 点 眼 液 千 寿 製 薬 株 式 会 社 )を 対 照 製 剤 とし 薬 理

Transcription:

処 方 鑑 査 における 検 査 値 利 用 に 関 する 勉 強 会 第 3 回 ( 血 液 ) 2014.9.18 千 葉 大 学 病 院 薬 剤 部 松 本 和 彦 1

処 方 せんに 表 示 される 血 液 検 査 項 目 項 目 略 語 単 位 正 常 範 囲 白 血 球 数 WBC x10 3 /μ L 4.0~9.0 * 好 中 球 数 SEG 割 合 表 示 (%) - ヘモグロビン 濃 度 HGB g/dl M:14.0~17.0 F:12.0~16.0 血 小 板 数 PLT x10 3 /μ L 150~350 赤 血 球 RBC x10 6 /μ L M:4.10~5.30 F:3.80~4.80 ST. 杵 状 核 球 (3~6%) M. Male ( 男 性 ) F. Female ( 女 性 )

各 検 査 項 目 の 低 下 によって 予 測 される 病 態 当 院 薬 剤 部 では 以 下 の 病 態 と 検 査 値 を 重 篤 副 作 用 疾 患 別 対 応 マニュアル 等 を 参 考 にして 定 義 した 貧 血 骨 髄 抑 制 骨 髄 機 能 低 下 汎 血 球 減 少 HGB WBC 好 中 球 HGB PLT WBC 好 中 球 HGB PLT WBC 好 中 球 HGB PLT 貧 血 の 定 義 厳 密 には 循 環 血 液 量 を 測 定 するが 臨 床 的 にはHGB 濃 度 男 男 14 女 12g/dL 以 下 を 貧 血 とする 骨 髄 抑 制 とは 好 中 球 減 少 貧 血 血 小 板 減 少 骨 髄 抑 制 と 同 義 として 扱 う 骨 髄 抑 制 と 同 義 として 扱 う 再 生 不 良 性 貧 血 WBC 好 中 球 HGB PLT 再 生 不 良 性 貧 血 は 末 梢 血 での 汎 血 球 減 少 と 骨 髄 の 低 形 成 を 特 徴 とす する 症 候 群 である 汎 血 球 減 少 ( 上 記 参 照 ) 無 顆 粒 球 症 好 中 球 無 顆 粒 球 症 とは 白 血 球 のうち 好 中 球 が 著 しく 減 少 する 状 態

好 中 球 とは? 体 内 に 侵 入 した 細 菌 を 貪 食 し 分 解 を 行 う 細 胞 白 血 球 好 中 球 (30-70%) 顆 粒 球 好 酸 球 (0-5%) 好 塩 基 球 (0-2%) 単 球 (3-10%) リンパ 球 (20-50%)

骨 髄 抑 制 とは; 血 液 は 白 血 球 赤 血 球 血 小 板 で 構 成 されています が そのうち 白 血 球 は 細 菌 真 菌 ウイルスなどの 病 原 菌 と 戦 い 体 を 守 る 働 きをして います 白 血 球 のうちもっとも 多 いのは 好 中 球 です 抗 がん 剤 などの 影 響 で 好 中 球 が 減 少 すると 病 原 体 と 戦 う 身 体 の 抵 抗 力 が 低 下 して 細 菌 やウイルスが 繁 殖 し やすくなり 感 染 症 が 発 症 します Ex. 抗 がん 剤 etc.

骨 髄 抑 制 によって 変 化 する 検 査 値 WBC(SEG,ST) 減 少 感 染 を 起 こしやすくなる 最 低 値 は1~2 週 目 PLT 減 少 出 血 しやすく 止 血 しにくい 状 態 になる 最 低 値 は2~3 週 後 HGB 減 少 貧 血 が 出 現 する 数 週 ~ 数 ヶ 月 後 に 出 現 がん 化 学 療 法 とケアQ&A~ナーシングケアQ&A42 号 ~ より 改 変

発 熱 性 好 中 球 減 少 症 発 熱 性 好 中 球 減 少 症 (Febrile Neutropenia : FN) 1. 発 熱 腋 下 温 度 で37.5 以 上 ( 口 腔 温 度 が38.0 以 上 ) 2. 好 中 球 減 少 好 中 球 数 <500/µL もしくは 好 中 球 数 <1000/µLで 今 後 48 時 間 以 内 に 好 中 球 数 <500µLの 減 少 が 予 想 される

Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) Version 4.0 有 害 事 象 共 通 用 語 規 準 v4.0 日 本 語 訳 JCOG 版 ( 略 称 :CTCAE v4.0-jcog) CTCAE v4.0 日 本 語 Grade1 Grade2 Grade3 Grade4 Grade5 白 血 球 減 少 <LLN-3.0 <3.0-2.0 <2.0-1.0 <1.0 - 好 中 球 数 減 少 <LLN-1500 <1500-1000 <1000-500 <500 - 貧 血 <LLN-10.0 10.0-8.0 <8.0 生 命 を 脅 かす 死 亡 血 小 板 数 減 少 <LLN-75 <75-50 <50-25 <25 - LLN. ( 施 設 ) 基 準 値 下 限 Lower Limit of Normal

好 中 球 数 を 計 算 してみよう 表 示 方 法 (イメージ) 2014/09/18 服 用 開 始 消 化 器 内 科 36 歳 男 性 シシド 錠 20mg 分 2 朝 夕 ( 食 後 30 分 ) 4T 14 日 分 egfr:79.0, CRE:0.7, Cys-C:****, GOT:20, GPT:13, ALP:175, T-BIL:1.1, WBC:5.0, SEG:45.5, ST:3.2, HGB:11.6, PLT:288, K:4.1, CPK:25L, TSH:****,A1C-NGSP:4.9 [2014.9.18]

好 中 球 数 を 計 算 してみよう egfr:79.0, CRE:0.7, Cys-C:****, GOT:20, GPT:13, ALP:175, T-BIL:1.1, WBC:5.0, SEG:45.5, ST:4.5, HGB:11.6, PLT:288, K:4.1, CPK:25L, TSH:****,A1C-NGSP:4.9 [2014.9.18] 好 中 球 数 =5.0X10 3 X (45.5+4.5)/100 =2500

薬 剤 に 表 示 される 血 液 検 査 項 目 1. メルカゾール 錠 : 好 中 球 (WBC, SEG, ST) 2. ティーエスワン: 骨 髄 抑 制 (WBC, SEG, ST, HGB, PLT)

1. 重 篤 な 無 顆 粒 球 症 が 主 に 投 与 開 始 後 2ヶ 月 以 内 に 発 現 し 死 亡 に 至 った 症 例 も 報 告 されている メルカゾール 錠 添 付 文 書 より 2. 少 なくとも 投 与 開 始 後 2ヶ 月 間 は 原 則 として 2 週 に1 回 定 期 的 な 血 液 検 査 を 行 う 必 要 があるの で 通 院 すること

1. 医 薬 品 が 好 中 球 の 細 胞 膜 に 結 合 して ハフ テンとして 働 き 抗 好 中 球 抗 体 の 産 生 を 引 き 起 こす 免 疫 学 的 機 序 と 2. 医 薬 品 あるいはその 代 謝 物 が 顆 粒 球 系 前 駆 細 胞 を 直 接 的 に 傷 害 する 結 果 として 好 中 球 が 減 少 するために 感 染 症 が 発 症 しやすくなる Ex. チクロピジン, メルカゾール, サラゾスルファピリジン etc.

29 歳 女 性 既 往 歴 :バセドウ 病 診 断 : 橋 本 病 甲 状 腺 機 能 低 下 症 併 用 薬 :セファランチン グリチロン 配 合 錠 2013 年 11 月 より チラーヂンS(50) 服 用 開 始 2014 年 5 月 末 よりチラーヂンの 服 用 を 中 止 2014 年 6 月 よりメルカゾール 錠 (5)3T/ 分 1 朝 食 後 を 開 始 2014 年 7 月 3 日 メルカゾール 錠 (5)3T/ 分 1 90 日 分 継 続 処 方 2014 年 7 月 13 日 39.4 の 発 熱 咽 頭 痛 あり その 他 自 覚 症 状 なし 2014 年 7 月 14 日 解 熱 しないため 受 診 メルカゾールによる 無 顆 粒 球 症 を 認 めており 感 染 症 カバーとして レボフロキサシン 無 顆 粒 球 症 に 対 してG-CSF 皮 下 注 を 投 与 し 入 院

07 月 02 日 07 月 03 日 07 月 04 日 07 月 05 日 07 月 06 日 07 月 07 日 07 月 08 日 07 月 09 日 07 月 10 日 07 月 11 日 07 月 12 日 07 月 13 日 07 月 14 日 07 月 15 日 07 月 16 日 07 月 17 日 07 月 18 日 07 月 19 日 07 月 20 日 07 月 21 日 07 月 22 日 07 月 23 日 07 月 24 日 07 月 25 日 07 月 26 日 07 月 27 日 07 月 28 日 07 月 29 日 07 月 30 日 07 月 31 日 SEG WBC(*10 3 ) メルカゾール 錠 3T/ 分 1 3000 2500 LVFX G-CSF VCM MEPM 5.5 5 4.5 2000 4 3.5 1500 3 2.5 1000 500 緊 急 入 院 SEG WBC 2 1.5 1 0 0.5 CTCAE v4.0 Grade1 Grade2 Grade3 Grade4 Grade5 好 中 球 減 少 <LLN-1500 <1500-1000 <1000-500 <500 -

表 示 方 法 (イメージ) 2014/09/18 服 用 開 始 40 歳 男 性 メルカゾール 錠 5mg 分 1 朝 ( 食 後 30 分 ) 2T 56 日 分 egfr:84.3, CRE:0.77, Cys-C:****, GOT:20, GPT:13, ALP:175, T-BIL:1.1, WBC:5.0, SEG:45.0, ST:5.0, HGB:11.6, PLT:288, K:4.1, CPK:25L, TSH:****, A1C-NGSP:4.9 [2014.6.18] ( 検 査 情 報 ) メルカゾール : 好 中 球 (WBC,SEG,ST)

egfr:84.3, CRE:0.77, Cys-C:****, GOT:20, GPT:13, ALP:175, T-BIL:1.1, WBC:5.0, SEG:45.0, ST:5.0, HGB:11.6, PLT:288, K:4.1, CPK:25L, TSH:****, A1C-NGSP:4.9 ( 検 査 情 報 ) メルカゾール : 好 中 球 (WBC,SEG,ST) [2014.6.18] 好 中 球 数 =5.0X10 3 X (45.0+5.0)/100 =2500

ポイント 1. 初 回 投 与 か 2. 継 続 投 与 か 3. 検 査 値 に 問 題 はないか 4. 最 終 検 査 日 はいつか 5. 次 回 の 検 査 日 はいつか 6. 自 覚 症 状 で 注 意 すべき 事 は

PMDAのHPより

PMDAのHPより

PMDAの 報 告 症 例

薬 剤 に 表 示 される 血 液 検 査 項 目 1. メルカゾール 錠 : 好 中 球 (WBC, SEG, ST) 2. ティーエスワン: 骨 髄 抑 制 (WBC, SEG, ST, HGB, PLT)

WBC 減 少 を 起 こす 主 な 注 射 薬 剤 抗 がん 剤 WBC 減 少 期 間 ( 日 ) 正 常 への 回 復 ( 日 ) フルオロウラシル 7~14 7~10 メソトレキセート 7~14 7~10 ドキソルビシン 10~14 7~10 シスフ ラチン 10~14 10 ~14 カルボフ ラチン 10~14 10~14 イリノテカン 10~14 10~14 パクリタキセル 10~14 7~10 ドセタキセル(DTX) 7~14 5~10 ゲムシタビン 14~21 10~14 上 記 の 数 値 はあくまで 一 例 であり 投 与 法 投 与 量 によって 異 なる がん 化 学 療 法 とケアQ&A より 引 用

PLT 減 少 を 起 こす 主 な 注 射 薬 剤 抗 がん 剤 PLT 減 少 期 間 ( 日 ) 正 常 への 回 復 ( 日 ) ビンブラスチン 5~10 7~10 シタラビン 7~10 7~10 シクロホスファミド 10~14 7~10 ドキソルビシン 10~14 7~10 シスフ ラチン 14~21 7~21 カルボフ ラチン 14~21 7~21 マイトマイシンC 21~28 14~21 ゲムシタビン 14~21 7~21 上 記 の 数 値 はあくまで 一 例 であり 投 与 法 投 与 量 によって 異 る がん 化 学 療 法 とケアQ&A より 引 用

SEG (WBC,PLT *1000) 6000 5000 症 例 55 歳 男 性 胃 がん TS-1 / DTX 7.5 5580 7.3 5037 8 7 6 4000 3000 5.1 4.9 3534.3 3488.8 5 4 2000 1000 3.2 2112 SEG PLT WBC 3 2 1 0 190 187 147 189 159 2014.07.01 2014.07.08 2014.07.15 2014.07.22 2014.07.29 2014.08.05 2014.08.12 2014.08.19 2014.08.26 0 DTX(タキソテール) DTX DTX

表 示 方 法 (イメージ) 2014/09/18 服 用 開 始 食 道 胃 腸 外 科 67 歳 男 性 ティーエスワン 配 合 OD 錠 20mg 分 2 朝 夕 ( 食 後 30 分 ) 4T 14 日 分 egfr:43.2, CRE:1.4, Cys-C:****, GOT:20, GPT:13, ALP:175, T- BIL:1.1, WBC:7.5, SEG:45.5, ST:4.5, HGB:11.6, PLT:288, K:4.1, CPK:25L, [2014.9.18] ( 検 査 情 報 ) ティーエスワン 骨 髄 抑 制 (WBC,SEG,ST,HGB,PLT) 腎 機 能 (egfr,cre,cys-c)

ティーエスワンとは?( 配 合 成 分 ) 構 造 式 F N O O O NH CI N OH OH KO2C N H N O O NH 成 分 名 テガフール ギメラシル オテラシルカリウム 主 薬 主 にP-450によって 5-FUに 変 換 される 分 解 阻 害 薬 5-FUの 分 解 を 阻 害 (ウラシルの200 倍 強 力 ) リン 酸 化 阻 害 腸 管 に 局 在 し 5-FUのリン 酸 化 を 阻 害 抗 腫 瘍 効 果 抗 腫 瘍 効 果 を 高 める 消 化 管 障 害 を 軽 減 配 合 比 (モル 比 ) 1 : 0.4 : 1 大 鵬 薬 品 ティーエスワン 資 料 より

作 用 機 序 FT Oxo CDHP 1 :0.4 :1 神 経 毒 性 F-β-Ala 腎 排 泄 肝 臓 CDHP 分 解 FT 肝 ミクロゾームP450 腫 瘍 5-FU 消 化 管 骨 髄 Oxo リン 酸 化 FUMP FUMP FUMP TS-FdUMP F-RNA 抗 腫 瘍 作 用 消 化 管 障 害 骨 髄 抑 制 モジュレーターの 作 用 部 位 ティーエスワンカフ セルは5-FUのフ ロドラッグであるテガフール(FT)に,5-FUの 分 解 阻 害 剤 ギメラ シル(CDHP)とリン 酸 化 阻 害 剤 オテラシルカリウム(Oxo)をモル 比 でFT:CDHP:Oxo=1:0.4:1にて 配 合 した 経 口 抗 悪 性 腫 瘍 剤 である 5-FUの 血 中 濃 度 を 上 げて 抗 腫 瘍 効 果 を 高 め,かつ 付 随 して 増 大 する 消 化 器 毒 性 を 軽 減 するという 目 的 を 達 成 するために, 二 つのモジュレーター(CDHP, Oxo)を 用 いた 大 鵬 薬 品 ティーエスワン 資 料 より

ティーエスワン 添 付 文 書 より

ポイント 1. 初 回 投 与 か 2. 継 続 投 与 か 3. 検 査 値 に 問 題 はないか 4. 最 終 検 査 日 はいつか 5. 次 回 の 検 査 日 はいつか 6. 自 覚 症 状 で 注 意 すべき 事 は

まとめ 1. 処 方 せんに 表 示 される 血 液 検 査 値 2. 血 液 検 査 値 と 病 態 3. 好 中 球 数 の 計 算 方 法 4. 血 液 検 査 値 は 常 に 変 動 している