あきた がん ささえ 愛 の 日 (2011.6.18 ALVE) がん 何 でも 説 明 会 臓 がん くらみつ 内 科 クリニック 倉 光 智 之 http ://www.kuramitsu-clinic.com/ 臓 は 右 の 上 腹 部 にあり 肋 骨 で 守 られています 重 さが1.0kgから 1.5Kgあり 体 重 の 約 50 分 の1をしめる 大 きな 臓 器 です 病 気 になっても 自 覚 症 状 が 出 にくく 沈 黙 の 臓 器 と 呼 ばれます 臓 の 位 置 と 大 きさ 右 臓 左 臓 の 働 き 臓 は 体 内 の 巨 大 な 化 学 工 場 1. 代 謝 機 能 ( 栄 養 の 生 成 と 貯 蔵 ) 糖 質 たんぱく 質 脂 質 臓 2. 解 毒 機 能 胆 嚢 薬 物 アルコール 3. 排 泄 機 能 十 二 指 腸 胆 汁 の 分 泌 胆 管 膵 臓 ( 臓 )がんの 種 類 1) 原 発 性 がん: 臓 から 発 生 したがん a) 細 胞 がん: 細 胞 から 発 生 したがん( 約 95%) 一 般 的 に がんといえば 細 胞 がんのことを 示 しています がん 細 胞 がん b) 胆 管 細 胞 がん: 内 の 胆 管 細 胞 から 発 生 したが ん ( 約 5%) 治 療 法 は 胆 道 がんに 準 じて 行 います 2) 転 移 性 がん: 他 の 臓 器 の がんが 臓 に 転 移 したも の 治 療 はもともとのがん ができた 臓 器 ( 原 発 臓 器 ) によって 異 なります 腹 腔 鏡 検 査 による 表 面 像 慢 性 の 臓 病 の 経 過 正 常 慢 性 炎 治 癒 がん 不 全 硬 変 がん 慢 性 炎 硬 変 非 代 償 期 代 償 期 腹 水 黄 疸 性 脳 症 食 道 静 脈 瘤 1
B 型 炎 10% その 他 (アル コール 脂 肪 など) 10% 日 本 の がんの 原 因 日 本 の がんの9 割 はC 型 B 型 炎 ウイルスの 持 続 感 染 が 原 因 です C 型 炎 80% 日 本 の がんの9 割 は 炎 ウイルスの 持 続 感 染 が 原 因 です C 型 炎 ウイルス が8 割 B 型 炎 ウイルスが1 割 を 占 めて います! 残 りの1 割 は 脂 肪 炎 やアルコール 性 硬 変 といった 生 活 習 慣 病 が 原 因 です つまり 日 本 の がんは ハイリスク の 方 をうまく 囲 い 込 みができれば 根 絶 す ることが 可 能 です! C 型 炎 採 血 検 査 でC 型 炎 ウイルス(HCV) に 現 在 感 染 しているかわかります 日 本 のHCV 感 染 者 数 は 推 定 150-190 万 人 (100 人 に1 人 強 ) 現 在 通 院 中 のHCV 感 染 者 は 約 37 万 人 感 染 急 性 炎 3 割 7 割 自 然 治 癒 ( 既 感 染 ) C 型 炎 感 染 後 の 自 然 経 過 約 5-15 年 慢 性 炎 3-4 割 約 20 年 硬 変 7 割 7%/ 年 約 25 年 ~ 0.2%/ 年 C 型 炎 ウイルスに 感 染 する と7 割 が 持 続 感 染 します 硬 変 まで 進 行 すると7 割 に がんが 発 症 します がん 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 がんの 主 な 部 位 別 にみた 死 亡 数 の 年 次 推 移 1992 年 よりインターフェロン 治 療 が 開 始 されC 型 炎 が 治 療 された 結 果 がん 死 亡 者 が 減 少 してきている 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2009 肺 胃 大 腸 膵 胆 道 乳 食 道 平 成 21 年 人 口 動 態 統 計 ( 厚 生 労 働 省 ) B 型 炎 採 血 検 査 でB 型 炎 ウイルス(HBV) に 現 在 感 染 しているかわかります 日 本 のHBV 感 染 者 数 は 推 定 100-130 万 人 (100 人 に1 人 ) 現 在 通 院 中 のHBV 感 染 者 は 約 7 万 人 2
母 子 感 染 乳 幼 児 期 (3 歳 まで)の 感 染 無 症 候 性 キャリア (HBe 抗 原 陽 性 ) B 型 炎 ウイルス 感 染 者 の 自 然 経 過 セロコン バージョン 15-30 歳 頃 90% 一 過 性 炎 10% 慢 性 炎 2%/ 年 B 型 炎 ウイルス 自 体 に 発 がん 性 があるためすべての 感 染 者 に 発 がんの 危 険 性 がある! 無 症 候 性 キャリア (HBe 抗 原 陰 性 HBe 抗 体 陽 性 ) 0.1-0.4%/ 年 0.8%/ 年 がん 4%/ 年 硬 変 日 本 の 死 因 順 位 別 割 合 (2009 年 ) 腎 不 全 2.0% 自 殺 2.7% 不 慮 の 事 故 3.3% その 他 疾 患 20.7% 1.4% 老 衰 3.4% 糖 尿 病 患 者 の 死 因 多 い 肺 炎 脳 血 管 疾 患 9.8% 10.7% がん 30.1% 心 疾 患 15.8% 多 い % 日 本 のがん 部 位 別 死 亡 割 合 (2009 年 ) 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 肺 胃 大 5.9 腸 4.4 3.7 膵 胆 道 2.9 2.3 1.5 乳 食 道 1.1 1.0 その 他 7.3 脂 肪 ( 臓 がメタボな 状 態 ) 糖 尿 病 の 患 者 さんの 死 因 は 一 般 の 人 に 比 べ 硬 変 などの 疾 患 が 多 いこと がわかりました 更 にがんの 部 位 別 死 因 のトップは がんです これは 糖 尿 病 患 者 には 脂 肪 炎 (ナッ シュ)が 多 く それによる 硬 変 や が んが 多 いことを 示 しています 細 胞 内 に 中 性 脂 肪 が 異 常 にたまった 状 態 3 大 原 因 : 肥 満 糖 尿 病 ア ルコール 多 飲 < 腹 部 超 音 波 検 査 > 腎 正 常 脂 肪 脂 肪 滴 本 来 は 腎 は 同 じ 色 に 見 えますが 脂 肪 が ついた 臓 は 白 っぽく 見 えます 非 アルコール 性 脂 肪 炎 (ナッシュ) (nonalcoholic steatohepatitis :NASH) 飲 酒 歴 がないにもかかわらず 組 織 所 見 がアルコール 性 炎 に 似 た 所 見 を 示 す 病 気 で 進 行 すると 硬 変 や がんを 発 症 しま す 肥 満 糖 尿 病 高 脂 血 症 に 合 併 することが 多 く 女 性 に 多 い 特 徴 があります 日 本 ではナッシュの 罹 患 率 は 成 人 の1% 超 約 150 万 人 がナッシュと 推 定 されている がんの 早 期 診 断 のための 定 期 検 査 1. 画 像 診 断 a) 超 音 波 検 査 (ソナゾイド 造 影 ) b)ct 検 査 c)eob-mri 検 査 2. 採 血 : 腫 瘍 マーカー a)afp b)afp L3 分 画 c)pivka ll 3
腹 部 超 音 波 検 査 超 音 波 を 使 って 臓 の 中 を 見 る 検 査 臓 の 他 に 胆 のう 腎 臓 膵 臓 脾 臓 などを 見 ること ができます 検 査 に 痛 みなどがなく 簡 単 に 繰 り 返 し 行 うことができる がんを 見 つけるために 簡 便 で 大 変 有 用 な 検 査 です 造 影 剤 を 用 いると 1cm 以 下 のかなり 小 さながんも 見 つける ことが 可 能 です 進 行 した 慢 性 炎 や 硬 変 では3-4ヶ 月 毎 に 検 査 すること が 勧 められている マルチスライスCT 腹 部 CT 検 査 横 断 面 エックス 線 と 造 影 剤 を 使 って 臓 の 中 を 見 る 検 査 超 音 波 で 検 査 し にくいところも 見 ること ができます 横 断 面 縦 断 面 MRI( 磁 気 共 鳴 ) 検 査 磁 場 を 使 って 撮 影 する 検 査 エック ス 線 の 被 爆 がなく いろいろな 方 向 か ら 撮 影 ができる 臓 にできる 良 性 の 腫 瘍 である 血 管 腫 は 超 音 波 検 査 で は がんと 区 別 が 付 きにくい 事 がある が 腹 部 MRIで 明 らかに 診 断 が 付 くこ ともある 現 在 では 造 影 剤 を 使 ったMRI 検 査 が 一 番 がんの 発 見 にすぐれた 検 査 である 体 内 に 金 属 が 埋 め 込 んであったり 心 臓 ペースメーカーの 方 は 検 査 でき ない 場 合 がある Point! がん 撲 滅 のために 予 防 (ハイリスク 群 の 数 を 減 らす) B 型 炎 C 型 炎 の 薬 物 治 療 ナッシュ アルコール 性 硬 変 の 生 活 習 慣 改 善 早 期 発 見 (ハイリスク 群 を 重 点 的 に) B 型 C 型 炎 感 染 者 の 定 期 検 査 ナッシュ アルコール 性 硬 変 の 定 期 検 査 がんの 治 療 1. 経 カテーテル 的 動 脈 化 学 塞 栓 療 法 (TACE) 2. 内 科 的 局 所 療 法 a) 経 皮 的 エタノール 注 入 療 法 (PEIT) b)ラジオ 波 焼 灼 療 法 (RFA) 3. 外 科 的 治 療 法 a) 切 除 b) 移 植 4. 抗 がん 剤 : 分 子 標 的 薬 (ソラフェニブ) 経 カテーテル 的 動 脈 ( 化 学 ) 塞 栓 療 法 (transcatheter arterial (chemo)embolization:ta(c)e) 足 の 付 け 根 の 動 脈 からカテーテルを 挿 入 して 腫 瘍 のすぐ 近 くから 抗 癌 剤 や 塞 栓 物 質 を 注 入 し 腫 瘍 を 兵 糧 責 め に してしまう 治 療 法 正 常 な 細 胞 は 動 脈 から25% 門 脈 から75%の 栄 養 を 受 けています それに 対 し がん 細 胞 は 動 脈 からほぼ 100%の 栄 養 を 受 けています がんの 栄 養 動 脈 を 塞 ぐと 細 胞 がんは 死 んでしまい 臓 の 正 常 な 細 胞 は 門 脈 に 75% 栄 養 されているため 生 き 残 る 治 療 は がんの 個 数 大 きさ 場 所 臓 の 余 力 年 齢 全 身 状 態 などを 考 慮 して 決 定 します 4
ラジオ 波 焼 灼 ( 凝 固 ) 療 法 (radiofrequency ablation:rfa) ラジオ 波 焼 灼 治 療 腹 を 切 らずに 外 科 手 術 に 匹 敵 < 治 療 前 > < 治 療 後 > 腫 瘍 に 針 を 刺 入 し 針 に ラジオ 波 (460-480kHz) を 通 電 し 加 熱 することに よって 腫 瘍 を 凝 固 壊 死 させる 治 療 法 1 回 の 治 療 ( 凝 固 時 間 8-20 分 程 度 )で 径 3cm 程 度 の 範 囲 を 確 実 に 焼 きつ ぶすことができる がん がん 焼 灼 後 焼 灼 後 B 型 炎 の 治 療 C 型 炎 の 治 療 B 型 炎 はウイルスを 排 除 すること は 困 難 ですが インターフェロン 治 療 あるいは 拡 散 アナログ 製 剤 の 内 服 治 療 で 病 気 の 進 行 を 止 めることが 可 能 です がんの 原 因 の8 割 を 占 めるC 型 炎 は 治 る 病 気 になってきました 最 近 のインターフェロンを 中 心 とする 治 療 で 治 りやすいウイルスタイプの 方 で 約 90% 治 りにくいタイプの 方 でも 約 60%でウイルスを 排 除 できます ウイルス 性 炎 を 治 せば 将 来 の がんは 防 げます! B 型 C 型 炎 の 新 たな 感 染 に 関 して B 型 C 型 炎 ウイルスは 感 染 している 人 の 血 液 が 感 染 していない 人 の 血 液 に 入 るこ とによって 感 染 します( 血 液 感 染 ) 現 在 では 衛 生 状 態 が 良 くなり 日 常 生 活 の 中 で 感 染 する 危 険 はありません 炎 ウイルス 感 染 がすでにわかっている 人 は ひげそり カミソリなどは 共 有 しない 献 血 はしない 出 血 した 場 合 には 他 人 に 血 液 に 触 れさせない などの 注 意 が 必 要 です がん 撲 滅 のための 最 大 の 問 題 点 日 本 には B 型 C 型 炎 ウイルス 感 染 者 が300 万 人 以 上 いると 推 定 されて おり まだ 自 分 がウイルス 性 炎 に 感 染 していると 知 らずに 日 常 生 活 を 送 っ ている 人 が 相 当 数 いること! 臓 は 沈 黙 の 臓 器 と 呼 ばれ 自 覚 症 状 が 出 たときは 病 気 がかなり 進 行 している 可 能 性 があります 5
常 習 飲 酒 家 大 酒 家 の 医 学 的 定 義 常 習 飲 酒 家 : 日 本 酒 に 換 算 して1 日 3 合 以 上 (ビールなら 大 ビン3 本 ウイス キーならダブル3 杯 )を5 年 以 上 飲 酒 する 者 大 酒 家 : 日 本 酒 に 換 算 して1 日 5 合 以 上 10 年 以 上 の 飲 酒 家 大 酒 家 高 率 に 硬 変 女 性 は 男 性 に 比 べて 少 ない 量 (2/3 量 )で 障 害 を 起 こします お 酒 に 含 まれているアルコールの 量? 飲 酒 量 (ml) 度 数 (%) 100 0.8 = 純 アルコール 量 (g) 0.8はアルコールの 比 重 ( 正 確 には0.799) 計 算 例 1:ビール350ml(アルコール 度 数 4.6%) 350ml 4.6% 100 0.8=12.9g 計 算 例 2: 焼 酎 50ml(25%)を150mlのお 湯 で 割 って3 杯 50ml 3( 杯 ) 25% 100 0.8=30g 1 日 の 適 量 はアルコールの 量 に 換 算 して20g <アルコール20gはどのくらい?> ビール 5% 500ml 日 本 酒 15% 1 合 180ml ワイン 12% グラス2 杯 200ml ウィスキー 43% ダブル1 杯 60ml 焼 酎 25% コップ 半 分 100ml チューハイ 7% 350ml 体 によい 飲 酒 量 は 男 性 では1 日 アルコール 10-20g 女 性 の 場 合 には0-10g アルコール 摂 取 量 が1 日 40g 前 後 から 死 亡 率 が 上 昇 することが 知 られている 6