共 済 年 金 職 域 部 分 と 退 職 給 付 に 関 する 有 識 者 会 議 報 告 書 概 要 1. 民 間 の 企 業 年 金 及 び 退 職 金 に 関 する 人 事 院 調 査 結 果 結 果 民 間 :2547.7 万 円 公 務 2950.3 万 円 ( 差 額 402.6 万 円 ) 人 事 院 の 見 解 官 民 均 衡 の 観 点 から 民 間 との 較 差 を 埋 める 措 置 が 必 要 人 事 院 調 査 結 果 に 基 づき 官 民 較 差 を 是 正 すべきとの 結 論 に 至 った 2. 退 職 給 付 総 額 における 402.6 万 円 の 官 民 較 差 の 是 正 前 提 被 用 者 年 金 一 元 化 法 案 で 職 域 部 分 の 廃 止 が 平 成 27 年 10 月 とされていることか ら 当 面 の 退 職 者 ( 勤 続 20 年 以 上 定 年 勧 奨 退 職 者 )については 職 域 部 分 の 支 給 水 準 ( 現 価 額 243.3 万 円 )に 大 きな 変 更 は 生 じない 官 民 較 差 402.6 万 円 の 調 整 は その 全 額 を 一 時 金 である 退 職 手 当 の 支 給 水 準 引 下 げ により 行 うことが 適 当 (2707.1 万 円 から 2304.5 万 円 に 約 14.9% 引 下 げ) 退 職 手 当 引 下 げにおける 段 階 的 引 下 げ 措 置 民 間 では 大 きな 引 下 げの 場 合 には 段 階 的 に 引 下 げを 行 うのが 一 般 的 であること 就 業 規 則 の 不 利 益 変 更 に 係 る 判 例 法 理 等 を 踏 まえると 引 下 げを 一 時 に 行 うこと は 訴 訟 リスクの 可 能 性 が 高 いレベルであると 考 えられること 退 職 手 当 が 退 職 後 の 生 活 保 障 の 性 格 を 有 すること 等 を 考 えると 引 下 げを 一 時 に 行 うことは 生 活 設 計 に 大 きな 影 響 を 及 ぼし 得 ること 国 家 公 務 員 の 労 働 基 本 権 が 制 約 されている 中 で 一 方 的 に 不 利 益 を 課 すには 手 続 的 にも 慎 重 であるべきこと 段 階 的 引 下 げ 措 置 を 講 ずることが 適 切 との 意 見 が 多 数 早 期 退 職 に 対 するインセンティブを 付 与 する 措 置 再 就 職 のあっせんの 禁 止 等 に 伴 い 在 職 期 間 が 長 期 化 していること 民 間 の 早 期 退 職 優 遇 制 度 希 望 退 職 制 度 の 一 時 金 割 増 の 状 況 民 間 において 早 期 退 職 者 に 対 する 再 就 職 支 援 ( 民 間 再 就 職 支 援 会 社 の 利 用 )を 実 施 することが 相 当 程 度 普 及 していること 退 職 手 当 に 係 る 現 行 の 早 期 退 職 特 例 制 度 ( 定 年 前 1 年 につき2% 割 増 定 年 前 10 年 以 内 )の 内 容 を 拡 充 し 早 期 退 職 に 対 するインセンティブを 付 与 する 措 置 を 講 ずる ことが 適 当 また 早 期 退 職 者 に 対 する 民 間 再 就 職 支 援 会 社 を 活 用 した 再 就 職 支 援 を 講 ずることが 重 要 3. 官 民 較 差 調 整 後 の 退 職 給 付 における 配 分 の 在 り 方 等 前 提 被 用 者 年 金 一 元 化 により 職 域 部 分 が 廃 止 され 平 成 27 年 10 月 以 降 は 職 域 部 分 の 給 付 が 経 過 的 に 減 少 することにより 官 民 バランスが 乖 離 する
共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考 慮 した 制 度 とすること 3 公 務 員 制 度 の 一 環 として より 良 い 公 務 サービス 提 供 のための 退 職 給 付 制 度 を 検 討 すること 官 民 較 差 調 整 後 の 公 務 員 の 退 職 給 付 の 在 り 方 1 退 職 給 付 の 全 額 を 退 職 手 当 として 支 給 2 退 職 給 付 の 一 部 に 民 間 の 実 態 を 考 慮 して 企 業 年 金 に 相 当 する 年 金 を 導 入 (2について 年 金 と 一 時 金 の 選 択 を 可 能 にする 選 択 肢 ) いずれの 場 合 も 退 職 給 付 水 準 は 民 間 と 同 じ 水 準 となり 公 務 員 の 退 職 給 付 への 税 投 入 は 同 じと 考 えられること この 問 題 は 官 民 均 衡 によって 他 律 的 に 決 定 される 一 定 の 水 準 の 退 職 給 付 を 民 間 と 同 様 一 時 金 と 年 金 にどう 配 分 するかという 問 題 であること 上 記 の 年 金 は 現 行 の 職 域 部 分 のような 賦 課 方 式 の 公 的 年 金 と 連 続 性 のないこと 現 在 の 職 域 部 分 が 保 有 する 積 立 金 を 活 用 せず ゼロから 積 立 を 行 い 企 業 年 金 と 同 様 の 仕 組 みとすることを 検 討 の 前 提 とすること <1を 支 持 する 意 見 もあったが 様 々な 観 点 から 検 討 を 進 めた 結 果 以 下 の 結 論 と なった> どのような 退 職 給 付 の 形 であれば モラルの 高 い 公 務 員 によって 提 供 される 安 定 的 かつ 能 率 的 で 質 の 高 い 公 務 サービスを 国 民 納 税 者 が 享 受 できるかとい う 観 点 から 検 討 すべきこと 民 間 企 業 では 退 職 給 付 制 度 として 企 業 年 金 を 有 する 企 業 が 過 半 を 占 めており 民 間 の 退 職 給 付 総 額 において 企 業 年 金 の 占 める 割 合 も 過 半 となっていること 民 間 の 企 業 年 金 に 相 当 する 年 金 の 導 入 により 公 務 員 の 服 務 規 律 の 維 持 や 公 務 員 の 相 互 救 済 のための 仕 組 みが 可 能 となること 現 行 の 職 域 部 分 の 水 準 よりも 年 金 額 を 抑 制 すること 年 金 か 一 時 金 かという 二 者 択 一 だけの 議 論 ではなく 民 間 で 導 入 例 の 多 い 年 金 と 一 時 金 の 選 択 を 可 能 にする 選 択 肢 もあること 一 時 金 選 択 方 式 の 導 入 により 加 入 者 の 多 様 なニーズに 対 応 できること 退 職 給 付 水 準 だけでなく 給 付 方 法 についても 官 民 バランスを 図 る 観 点 や 公 務 の 能 率 的 運 営 に 資 するという 観 点 から 公 務 員 にも 退 職 給 付 としての 年 金 ( 年 金 払 い 退 職 給 付 )を 導 入 すべきとの 意 見 が 多 数 年 金 払 い 退 職 給 付 の 一 部 については 一 時 金 による 支 給 を 選 択 可 能 な 仕 組 みを 導 入 することが 適 当
民 間 の 企 業 年 金 に 相 当 する 年 金 の 型 式 1 確 定 給 付 型 ( 従 来 方 式 ) 2 確 定 拠 出 型 3キャッシュ バランス 方 式 確 定 給 付 型 の 年 金 でも 確 定 拠 出 型 の 年 金 でも 一 定 の 仮 定 の 下 で 退 職 給 付 総 額 の 官 民 均 衡 が 維 持 されれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらないとの 評 価 もし 得 ること < 従 来 方 式 の 確 定 給 付 型 や 確 定 拠 出 型 を 支 持 する 意 見 もあったが 様 々な 観 点 から 検 討 を 進 めた 結 果 以 下 の 結 論 となった> 退 職 手 当 と 併 せ 退 職 給 付 全 体 での 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらないと 考 え 得 るとし ても 年 金 財 政 の 健 全 性 を 堅 持 する 観 点 から 年 金 単 体 としても 追 加 拠 出 のリス クは 極 力 抑 制 すべきこと 公 務 員 が 接 し 得 る 経 済 政 策 外 交 安 全 保 障 政 策 に 関 する 情 報 など 市 場 全 般 に 影 響 を 与 える 情 報 を 利 用 して 運 用 を 行 うのではないかといった 公 務 員 の 運 用 への 疑 念 を 招 きかねない 年 金 に 対 する 支 給 制 限 を 現 役 時 も 退 職 後 も 残 せる 点 で 服 務 規 律 維 持 等 のツー ルとして 確 定 給 付 型 の 年 金 が 優 れていると 評 価 し 得 ること 相 互 扶 助 によりリスクプールができる 確 定 給 付 型 の 終 身 年 金 を 組 み 込 むことに より 労 使 折 半 の 年 金 の 中 で 公 務 上 障 害 遺 族 年 金 への 対 応 が 可 能 となること 民 間 企 業 において 終 身 年 金 と 有 期 年 金 それぞれが 相 当 程 度 普 及 していること 年 金 財 政 の 健 全 性 を 堅 持 しつつ 公 務 員 が 投 資 教 育 を 受 けたり 年 金 の 資 産 運 用 に 配 意 したりすることなく 服 務 規 律 を 維 持 し 高 いモラルをもって 公 務 に 専 念 できる といった 様 々な 要 請 に 対 応 し 得 る 柔 軟 な 制 度 設 計 が 必 要 であることから 退 職 給 付 の 一 部 に 民 間 におけるキャッシュ バランス 方 式 を 参 考 とした 年 金 の 導 入 が 適 当 まとめと 具 体 的 イメージ 退 職 手 当 引 下 げによる 官 民 較 差 調 整 後 の 退 職 給 付 について 1その 全 額 を 退 職 手 当 と して 支 給 するか 2その 一 部 に 年 金 を 導 入 するかは 官 民 均 衡 後 の 退 職 給 付 総 額 を 退 職 手 当 と 年 金 でどのように 配 分 するかの 問 題 であり 一 定 の 仮 定 の 下 では 公 務 員 の 退 職 給 付 への 最 終 的 な 税 投 入 は 変 わらないことを 前 提 として 民 間 の 企 業 年 金 に 相 当 する 労 使 折 半 の 年 金 ( 年 金 払 い 退 職 給 付 )を 導 入 し 退 職 手 当 との 二 本 建 てで 支 給 すること 年 金 の 一 部 を 一 時 金 として 支 給 することが 選 択 可 能 な 仕 組 みとすること 確 定 給 付 型 と 確 定 拠 出 型 双 方 の 特 長 を 併 せ 持 つキャッシュ バランス 方 式 を 採 用 服 務 規 律 維 持 のための 支 給 制 限 措 置 を 導 入 したり 適 切 な 水 準 の 公 務 上 障 害 遺 族 年 金 を 設 けたりするために 終 身 年 金 を 設 定 するなど 公 務 の 特 殊 性 に 配 慮 した 公 務 員 制 度 の 一 環 としての 年 金 とすること が 適 当 であり 国 民 の 理 解 が 得 られるよう 退 職 給 付 総 額 の 官 民 均 衡 が 維 持 されれば 最 終 的 な 税 負 担 が 変 わらないと 考 え 得 ること 年 金 財 政 の 健 全 性 堅 持 のため 独 自 の 工 夫 を 検 討 していること 能 率 的 で 質 の 高 い 公 務 サービスの 提 供 を 促 す 側 面 があること
といった 点 について 分 かりやすい 説 明 を 尽 くしていくことが 求 められる 年 金 払 い 退 職 給 付 の 具 体 的 イメージは 以 下 のとおり 1 公 務 員 の 相 互 救 済 という 要 請 に 応 える 観 点 から 公 務 員 本 人 にも 事 業 主 と 同 程 度 の 負 担 を 求 め 掛 金 について 労 使 折 半 とする 2 年 金 のうち2 分 の1 程 度 は 一 時 金 有 期 年 金 選 択 可 とし 残 りは 終 身 年 金 とする 3 年 金 財 政 の 健 全 性 を 堅 持 する 観 点 から 財 政 運 営 や 指 標 の 設 定 等 において 現 行 法 令 上 民 間 企 業 年 金 に 認 められたキャッシュ バランス 方 式 を 基 にさらに 保 守 的 な 制 度 設 計 運 営 を 行 う 4 公 務 員 制 度 の 一 環 として 現 役 時 から 退 職 後 までを 通 じた 信 用 失 墜 行 為 等 に 対 す る 支 給 制 限 措 置 を 導 入 する 5 全 額 公 費 負 担 であった 公 務 上 障 害 遺 族 年 金 制 度 を 労 使 折 半 の 枠 内 で 導 入 する 6 退 職 手 当 のみの 支 給 とする 場 合 と 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらないと 考 え 得 るが 現 行 職 域 部 分 と 異 なるものであることを 明 確 にする このため 賦 課 方 式 に 基 づく 現 行 の 職 域 部 分 が 保 有 する 積 立 金 は 一 切 活 用 することなく また 年 金 額 を 現 行 水 準 より 抑 制 し 現 行 法 令 上 民 間 企 業 年 金 に 認 められた 仕 組 みより 保 守 的 な 制 度 設 計 運 営 を 行 い 5 等 を 除 いて 障 害 遺 族 年 金 制 度 を 廃 止 する 地 方 公 務 員 私 立 学 校 教 職 員 の 年 金 について 地 方 公 務 員 の 年 金 制 度 も 公 務 員 制 度 の 一 環 であり 国 と 地 方 で 年 金 財 政 を 一 元 化 し 同 一 保 険 料 同 一 給 付 の 制 度 とされてきた 経 緯 があること 私 立 学 校 教 職 員 の 年 金 制 度 は ともに 学 校 教 育 を 担 う 国 公 立 学 校 の 教 職 員 との 待 遇 均 衡 を 図 ってきた 経 緯 があること 被 用 者 年 金 一 元 化 後 においても 地 方 公 務 員 私 立 学 校 教 職 員 の 年 金 として 国 家 公 務 員 の 年 金 制 度 と 同 様 の 制 度 を 導 入 することが 適 当 4. 退 職 給 付 に 係 る 今 後 の 検 討 課 題 国 家 公 務 員 の 退 職 給 付 全 体 の 水 準 については 今 後 も 定 期 的 に 官 民 比 較 を 行 い 一 時 金 である 退 職 手 当 で 調 整 を 行 うことを 基 本 に 支 給 水 準 の 均 衡 を 図 っていくことが 必 要 官 民 比 較 の 調 査 頻 度 や 調 査 方 法 ( 調 査 対 象 集 計 方 法 等 )などについては 当 有 識 者 会 議 での 議 論 も 参 考 に 国 民 の 理 解 を 得 ながら 職 員 の 処 遇 を 全 体 として 適 切 なも のとする 観 点 から 更 なる 改 善 の 必 要 性 についても 検 討 し 納 得 性 透 明 性 をより 高 める 見 地 から 出 来 る 限 りルールを 明 確 に 定 めておくことが 重 要
おわりに 当 有 識 者 会 議 での 検 討 における 主 なポイントは 以 下 のとおり 当 面 の 官 民 較 差 (402.6 万 円 )を 全 額 退 職 手 当 の 引 下 げで 調 整 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 として 官 民 均 衡 水 準 であれば 最 終 的 な 税 負 担 が 変 わらず 退 職 給 付 総 額 を 退 職 手 当 と 年 金 でどのように 配 分 するかという 問 題 民 間 の 実 態 を 考 慮 した 退 職 給 付 制 度 を 検 討 公 務 員 制 度 の 一 環 として より 良 い 公 務 サービス 提 供 のための 仕 組 みを 検 討 年 金 を 導 入 する 場 合 現 行 の 職 域 部 分 とは 異 なるものであることを 明 確 化 政 府 が 制 度 設 計 を 行 い 具 体 案 を 国 民 に 示 す 際 にも こうした 考 え 方 について 丁 寧 に 説 明 することを 強 く 期 待