トルコ における 観 光 業 の 現 状 と 今 後 の 展 望 に 関 する 研 究 2006 年 度 卒 業 論 文 東 京 外 国 語 大 学 外 国 語 学 部 南 西 アジア 課 程 トルコ 語 専 攻 住 永 千 裕 1
< 目 次 > はじめに...3 第 一 章 トルコにおける 観 光 業 について...3 1) 観 光 業 の 概 観 トルコにおける 観 光 業 の 発 足 から 1990 年 代 まで...3 2) 観 光 業 の 現 状...4 第 二 章 日 本 人 観 光 客 とトルコの 観 光 業 について...5 1) 日 本 に 向 けたマーケティングとその 効 果...5 2) アンケートから 見 る 日 本 人 観 光 客 の 満 足 度...5 第 三 章 文 化 観 光 省 の 観 光 政 策...7 1) 観 光 業 者 への 査 察 監 督 制 度...8 2) 観 光 地 選 定 と 観 光 投 資 に 関 して...9 3) 旅 行 代 理 店 に 関 する 制 度 について...10 第 四 章 広 範 な 観 光 政 策 と 今 後 の 展 望... 11 おわりに...14 参 考 文 献...15 2
はじめに 現 在 トルコにおける 観 光 業 は 主 要 な 産 業 の 一 つである 観 光 で 得 られる 収 入 は 2005 年 に 1,393 億 ドル 1 にのぼり 貴 重 な 外 貨 収 入 となっている またト ルコの 文 化 観 光 省 は 2010 年 までに 年 間 の 旅 行 者 数 3,000 万 人 を 達 成 しようと している 2 今 後 トルコは 観 光 業 においてどのような 道 を 進 んでいくのだろうか この 論 文 ではそれを 探 っていきたい そのためにまず 第 一 章 では 観 光 業 の 概 観 と 現 状 について 見 ていく 第 二 章 では 観 光 客 の 生 の 意 見 を 知 るために 日 本 人 観 光 客 に 対 して 行 ったアンケート を 紹 介 し そこからトルコの 観 光 業 に 必 要 なことを 探 っていく またトルコの 観 光 業 は 民 間 主 体 でなく 文 化 観 光 省 の 管 理 の 下 に 行 われているため 文 化 観 光 省 の 政 策 と 知 ることはトルコの 観 光 業 を 理 解 するに 当 たり 不 可 欠 であると 考 えられる そのため 第 三 章 では 文 化 観 光 省 の 政 策 について 見 ていく そして 第 四 章 では 第 三 章 までを 踏 まえ トルコの 観 光 業 が 今 後 どのような 政 策 を 取 って いくべきなのかを 検 討 する 第 一 章 トルコにおける 観 光 業 について 1) 観 光 業 の 概 観 トルコにおける 観 光 業 の 発 足 から 1990 年 代 まで 3 トルコにおける 観 光 業 は レシット サフェット アタビネン(Reşit Saffet Atabinen)によって 設 立 された 旅 行 会 (Seyyahin Cemiyeti)の 活 動 から 本 格 的 に 開 始 されたと 言 われている 1930 年 に 観 光 業 に 関 わる 諸 業 務 を 行 い 観 光 業 の 政 府 組 織 的 役 割 を 担 った 旅 行 会 は 観 光 事 業 についての 案 内 書 等 の 作 成 や 通 訳 ガイド 試 験 を 行 った またイスタンブルやブルサ(Bursa)など 重 要 都 市 の 観 光 地 化 に 向 けて 整 備 を 進 めた 更 に 観 光 業 の 私 企 業 の 設 立 を 促 す 為 土 地 の 購 入 を 保 証 する 税 制 度 を 発 議 した 観 光 事 業 は 1934 年 経 済 省 外 国 貿 易 部 局 に 属 す るトルコ 事 務 所 に 置 かれ 1939 年 には 商 業 省 に 移 された 1950 年 までの 観 光 政 策 については 世 界 各 国 において 観 光 事 業 の 未 発 達 第 1 トルコ 旅 行 業 協 会 (Türkiye Seyahat Acentaları Birliği TÜRSAB )のホームページ (http://www.tursab.org.tr) 2 文 化 観 光 省 のホームページ 英 語 版 (http://www.turizm.gov.tr/en/) 3 森 かおり 現 代 トルコにおける 観 光 事 業 の 整 備 に 関 する 研 究 卒 業 論 文 2003 年 3
二 次 世 界 大 戦 とその 後 の 混 乱 の 中 で 国 を 発 展 させる 為 の 事 業 として 十 分 な 関 心 が 払 われていたとは 言 えない しかしその 状 況 下 でもイスタンブル イズミル (Đzmir) ブルサといった 都 市 地 中 海 エーゲ 海 などの 整 備 され 良 く 知 られた 場 所 には 多 くの 観 光 客 が 訪 れたようである また 歴 史 的 考 古 学 的 に 重 要 な 地 域 は 外 国 人 観 光 客 が 訪 問 したい 場 所 として 人 気 を 保 っていた トルコ 政 府 は 1948 年 から 経 済 の 基 礎 構 築 への 投 資 を 重 視 し 始 め 私 的 企 業 家 の 観 光 分 野 への 投 資 活 動 を 様 々な 面 から 振 興 した 観 光 事 業 は 1957 年 から 報 道 出 版 観 光 局 で 行 われた これは 1963 年 観 光 文 化 省 と 名 付 けられ 後 に 観 光 省 となった こうして 1963 年 までに 観 光 整 備 を 行 う 為 の 規 則 や 法 の 実 施 投 資 活 動 への 振 興 などがなされた 1960 年 代 1980 年 代 にかけて 行 われた 観 光 業 の 開 発 5 カ 年 計 画 では 国 の 重 要 な 文 化 自 然 遺 産 に 対 する 保 障 や 国 の 外 貨 収 入 の 増 加 についての 政 策 が 組 み 込 まれていた 1990 年 代 以 降 のトルコにおける 観 光 政 策 は 観 光 省 と 各 観 光 教 育 機 関 が 主 導 している 4 2) 観 光 業 の 現 状 トルコでは 現 在 観 光 業 は 主 要 な 産 業 の 一 つになっている 観 光 収 入 は 2001 年 の 10,067,155,230 ドルから 2003 年 には 13,203,144,094 ドルに 増 加 した トルコを 訪 れる 観 光 客 数 も 年 々 増 加 しており 1999 年 に 7,487,365 人 だった 外 国 人 観 光 客 は 2003 年 には 13,956,405 人 にまで 増 加 した 外 国 人 観 光 客 の 国 籍 を 見 てみるとドイツが 圧 倒 的 に 多 く 1999 年 には 外 国 人 観 光 客 の 18.5%を 占 めている 2002 年 には 26.3%を 占 めており 外 国 人 観 光 客 の 4 人 に1 人 はドイツ 人 ということになる 1999 年 から 2002 年 まではイギ リスが 第 2 位 だったが 2003 年 にはロシアがイギリスを 抜 いている その 他 観 光 客 数 で 上 位 に 来 るのはルーマニア イラン フランス ブルガリ ア イスラエル ギリシャなどEU 諸 国 や 近 隣 諸 国 である 入 国 者 数 が 多 い 空 港 や 国 境 は 1999 年 ~2003 年 まですべて 1 位 がアンタ ルヤ(Antalya) 空 港 2 位 がイスタンブルのアタチュルク 国 際 空 港 3 位 がエデ ィルネ(Edirne) 国 境 である EU 各 国 からはアンタルヤ 空 港 に 直 接 入 る 便 があ り 夏 に 地 中 海 リゾートを 求 めてトルコを 訪 れる 観 光 客 がこの 空 港 を 利 用 して いると 考 えられる またエディルネも EU 各 国 から 陸 路 で 入 国 する 際 の 国 境 と なるため 入 国 者 数 が 多 いと 考 えられる 4 文 化 観 光 省 のホームページ(http://www.kultur.gov.tr) 4
第 二 章 日 本 人 観 光 客 とトルコの 観 光 業 について 第 一 章 ではトルコ 観 光 業 の 概 観 と 現 状 について 見 てきた しかしこの 状 況 の 中 トルコを 訪 れた 観 光 客 は 実 際 どのように 感 じ どのような 意 見 を 持 ってい るのだろうか 第 二 章 ではそれを 検 討 していく ここでは 一 例 として 日 本 人 観 光 客 に 対 して 行 ったアンケートを 参 照 する 1) 日 本 に 向 けたマーケティングとその 効 果 前 章 でトルコの 観 光 業 の 現 状 について 述 べたが 観 光 客 数 の 増 加 や 観 光 収 入 の 増 加 から トルコの 観 光 業 が 発 展 していることが 読 み 取 れた 観 光 客 数 については EU や 北 米 からが 多 数 を 占 めているが 日 本 からの 観 光 客 も 近 年 増 加 している しかし 2002 年 に 海 外 に 行 った 日 本 人 は 16,522,804 人 5に 上 るにも 関 わらず その 内 トルコに 行 ったのは 91,153 人 6 わずか 0.5%に 過 ぎない 2003 年 には 日 本 におけるトルコ 年 7 と 題 し トルコを 紹 介 する 企 画 が 日 本 各 地 で 開 催 された しかし 2002 年 末 から 始 まった SARS 8 の 影 響 により 海 外 に 出 た 日 本 人 は 2003 年 には 13,296,330 人 と 前 年 に 比 べ 19.5%の 減 少 2004 年 も 16,831,112 人 にとどまったため 必 然 的 にトルコを 訪 れた 日 本 人 も 減 少 し たと 考 えられる 文 化 観 光 省 の 日 本 語 版 ホームページの 充 実 ぶり トルコ 共 和 国 大 使 館 文 化 広 報 参 事 官 室 が 発 行 する 日 本 語 の 観 光 ガイドブックなどから 日 本 向 けのマーケテ ィングに 力 をいれていることも 読 み 取 れるが まだそれが 十 分 に 生 かされてい ないのが 現 実 である 9 2) アンケートから 見 る 日 本 人 観 光 客 の 満 足 度 前 節 を 踏 まえ ここでは 観 光 客 の 意 見 に 耳 を 傾 けてみる 実 際 にトルコを 旅 行 した 人 の 意 見 を 聞 くことは トルコの 観 光 業 に 役 立 つだろう 本 節 ではトル 5 法 務 省 のホームページ(http://www.moj.go.jp) 6 日 本 旅 行 業 協 会 のホームページ(http://www.jata-net.or.jp) 7 2000 年 4 月 トルコと 日 本 との 緊 密 な 関 係 を 一 層 強 化 することを 目 的 に 当 時 のトルコ 共 和 国 イスマイル ジェム(Đsmail Cem) 外 務 大 臣 の 来 日 中 に 提 案 された 日 本 政 府 の 快 諾 を 受 け 2003 年 の 開 催 に 向 けて 日 本 トルコ 両 国 で 準 備 が 進 められた 8 重 症 急 性 呼 吸 器 症 候 群 9 Meral Korzay,Maria D.Alvarez Satisfaction and Dissatisfaction of Japanese Tourists in Turkey, Anatolia:An International Journal of Tourism and Hospitality Research Vol.16,No.2,2005,pp176-193 5
コを 旅 行 した 日 本 人 観 光 客 に 対 して 行 ったアンケート 結 果 から 旅 行 客 がトル コの 何 に 満 足 し 何 を 不 満 に 思 ったのかを 見 ていこう アンケートは 2002 年 10 月 から 2003 年 9 月 までにトルコを 旅 行 した 日 本 人 観 光 客 を 対 象 に 行 われ 673 人 から 回 答 を 得 たものである 10 満 足 した 点 に 関 しては 次 の 11 点 にまとめられている 1 トルコの 食 事 飲 み 物 2 トルコの 文 化 3 文 化 的 光 景 自 然 目 的 地 4 自 然 とのふれあい 5 日 本 人 に 親 切 なトルコ 人 6 価 格 が 安 い 7 サービスと 設 備 8 アクティビティーやイベント 9 トルコ 人 とのコミュニケーション 触 れ 合 い 10 環 境 雰 囲 気 11 トルコ 製 品 手 作 り 品 一 方 日 本 人 観 光 客 が 不 満 に 思 った 点 は 以 下 の 通 りである 1 衛 生 面 2 トルコ 人 とのコミュニケーション 触 れ 合 い 3 日 本 人 だと 気 付 くトルコ 人 4 値 段 のあいまいさ 支 払 いの 難 しさ 5 値 段 が 高 い 6 客 引 き ショッピングエリア 7 遺 産 アクティビティー( 質 サービス インフラ) 8 ごまかし チップ 9 交 通 事 情 10 アンケート 回 答 者 に 関 する 補 足 性 別 男 47.3% 女 52.7% 年 齢 25 歳 以 下 15% 26~35 歳 22% 36~45 歳 12.9% 46~55 歳 19.7% 56~65 歳 20% 65 歳 以 上 10.3% 既 婚 62.3% 未 婚 37.7% 教 育 レベル 高 卒 以 下 26.7% 大 卒 57.3% 修 士 博 士 8.2% その 他 7.9% 収 入 200 万 以 下 5.9% 200~500 万 26% 500~800 万 22.9% 800 万 ~1200 万 24% 1200 万 ~1600 万 10.9% 1600 万 以 上 10.4% 6
10 飛 行 機 及 び 空 港 のサービス 11 ホスピタリティーサービス ホテルのインフラ 12 料 理 の 味 13 都 市 環 境 14 行 動 の 限 界 難 しさ この 結 果 を 受 け Meral Korzay Maria D.Alvarez 両 氏 は トルコを 日 本 市 場 で 優 位 に 立 たせるには トルコの 文 化 や 遺 跡 自 然 の 美 しさ トルコの 人 々 の 親 しみやすさを 生 かす 必 要 があると 述 べ さらに 以 下 の 3 点 を 提 言 している 1 インフラ 整 備 2 観 光 の 多 様 性 3 公 衆 衛 生 不 正 の 改 善 2に 関 しては イスタンブル カッパドキアなどに 偏 っている 目 的 地 を ブ ルサ シャンルウルファ(Şanlıurfa) イズミル パムッカレ(Pamukkale) ネ ムルト 山 (Nemrut Dağı) ペルガモン(Pergamum)などにも 広 げること アクテ ィビティーの 種 類 を 増 やすことを 提 言 している 3に 関 しては 観 光 業 従 事 者 の 定 期 的 な 教 育 として 飲 食 業 での HACCP 11 の 特 定 と 対 策 の 実 施 公 衆 衛 生 に 関 する 試 験 の 実 施 タクシードライバーや 物 売 りへの 外 国 語 倫 理 教 育 の 実 施 等 を 挙 げている 両 者 の 提 言 には 筆 者 も 同 意 できる ではこれらの 提 言 に 関 する 政 策 を 文 化 観 光 省 は 実 施 しているのだろうか 文 化 観 光 省 が 打 ち 出 す 観 光 政 策 について 次 章 で 見 ていく 12 第 三 章 文 化 観 光 省 の 観 光 政 策 文 化 観 光 省 の 観 光 政 策 は 次 の 3 点 が 中 心 となっている 1 観 光 業 者 への 査 察 監 督 制 度 2 観 光 地 選 定 と 観 光 投 資 11 Hazard Analysis and Critical Control Point 日 本 語 では 危 害 分 析 重 要 管 理 点 と 訳 され る 12 文 化 観 光 省 のホームページ(http://www.kultur.gov.tr) 7
3 旅 行 代 理 店 に 関 する 制 度 以 上 3 点 を 順 に 見 ていくことにしよう 1) 観 光 業 者 への 査 察 監 督 制 度 この 件 に 関 し 文 化 観 光 省 は 1982 年 3 月 16 日 第 2634 号 観 光 振 興 法 (TURĐZM TEŞVĐK KANUNU)を 制 定 した この 法 律 は 観 光 分 野 を 監 督 し 発 展 させ 大 規 模 な 構 造 と 運 営 の 成 功 を 整 備 し 手 段 を 講 じることを 保 障 すること を 目 的 としており 更 にこの 法 律 が 及 ぶ 範 囲 を 観 光 サービスと このサービスを 必 要 とする 文 化 観 光 保 護 発 展 地 域 及 び 観 光 拠 点 選 定 の 発 展 観 光 分 野 に 対 す る 投 資 と 事 業 展 開 の 奨 励 整 備 査 察 に 関 する 決 定 と 定 めている この 法 律 では 厳 しい 監 督 制 度 を 定 めており その 中 でも 特 色 として 挙 げられる のは 認 可 の 取 得 義 務 13 査 察 罰 則 制 度 に 関 する 規 定 が 多 いことである 警 告 は 観 光 投 資 事 業 展 開 管 理 において 不 備 障 害 不 足 が 見 られた 場 合 に 行 われるが 警 告 の 後 も 改 善 が 見 られない 場 合 罰 金 14を 科 していることが 興 味 深 い さらに 罰 則 が 強 化 されると 認 可 の 取 り 消 し 15 が 行 われることも 特 13 第 2634 号 観 光 振 興 法 第 5 条 認 可 の 取 得 観 光 分 野 において この 法 律 と 他 の 法 律 で 述 べられている 奨 励 行 為 と 除 外 免 除 権 利 を 得 るために 文 化 観 光 省 から 観 光 投 資 認 可 あるいは 観 光 事 業 展 開 認 可 を 受 ける 必 要 が ある 認 可 を 受 けた 投 資 は 文 化 観 光 省 により 決 定 された 期 間 に 投 資 を 開 始 し また 投 資 を 完 了 させて 運 営 を 開 始 する 必 要 がある 文 化 観 光 省 が 認 めた 場 合 は 期 間 の 延 長 が 認 めら れる 14 同 法 第 33 条 罰 金 下 記 に 定 められた 状 況 で 科 される a 警 告 を 受 けたにもかかわらず 必 要 な 措 置 を 取 らなかった 新 たな 警 告 を 受 ける 行 為 あるいは 行 為 の 計 画 をした この 法 律 で 規 定 されている あるいは 文 化 観 光 省 が 必 要 とす る 書 類 を 期 間 内 に 提 出 しなかった 虚 偽 の 情 報 あるいは 書 類 を 提 出 した 場 合 は 5,000 万 リ ラの 罰 金 b 文 化 観 光 省 に 情 報 を 提 出 後 1 年 間 で 30 日 以 上 継 続 して 運 営 の 一 部 あるいはすべてを 停 止 した 場 合 5,000 リラの 罰 金 c 表 示 CM ポスター パンフレット 及 び 同 様 の 手 段 で 文 化 観 光 省 や 顧 客 に 誤 解 を 与 えた 虚 偽 のタイトルを 用 いた 顧 客 に 約 束 したサービスを 提 供 しなかった あるいは 不 足 していた このサービスと 同 等 の 代 替 サービスを 実 施 しなかった 場 合 特 別 法 に 基 づき 10 億 リラの 罰 金 d 顧 客 の 生 命 や 財 産 の 保 証 に 関 し 認 可 書 類 保 持 者 関 係 者 職 員 の 参 加 あるいは 過 失 または 不 注 意 で 事 業 展 開 中 に 罪 を 起 こしたと 認 められる 場 合 特 別 法 に 基 づき 1,000 リ ラの 罰 金 e 文 化 観 光 省 が 制 定 した 投 資 と 事 業 展 開 の 選 定 条 件 に 基 づき 無 許 可 で 投 資 や 事 業 のすべ てあるいは 一 部 を 行 った 他 者 への 譲 渡 共 同 の 地 位 や 権 利 種 類 を 変 更 した 場 合 10 億 リラの 罰 金 f 認 可 された 料 金 以 上 の 金 額 を 請 求 した 場 合 請 求 額 の 20 倍 の 罰 金 ここで 提 示 されている 罰 金 の 額 は 2005 年 1 月 1 日 にデノミネーションが 行 われる 前 の 金 額 である 15 同 法 第 34 条 観 光 投 資 あるいは 観 光 事 業 認 可 の 取 り 消 し 以 下 の 場 合 文 化 観 光 省 は 認 可 の 取 り 消 しを 行 う a 1 年 で 4 度 の 罰 金 を 科 される 行 為 8
徴 である このような 厳 しい 制 度 を 設 けることで 文 化 観 光 省 主 導 の 観 光 政 策 の 実 施 が 可 能 になるのだと 考 えられる 2) 観 光 地 選 定 と 観 光 投 資 に 関 して 観 光 分 野 に 対 する 投 資 は 私 有 地 に 対 する 投 資 売 地 を 探 しての 投 資 Kültür ve Turizm Koruma ve Gelişim Bölgeleri 16 ( 以 下 KTKGB)あるいは Turizm Merkezi 17 ( 以 下 TM) 内 の 公 有 地 を 取 得 する 投 資 KTKGB 及 び TM 以 外 の 私 有 地 を 取 得 する 投 資 KTKGB 及 び TM 以 外 の 山 間 部 を 取 得 する 投 資 以 上 の 5 種 類 がある 文 化 観 光 省 はこのうち KTKGB あるいは TM 内 に 対 する 投 資 に 力 を 入 れて おり KTKGB と TM を 選 定 し その 地 域 での 開 発 や 計 画 制 定 開 発 の 進 捗 状 況 の 管 理 を 行 っている KTKGB あるいは TM の 選 定 に 関 して 文 化 観 光 省 は 第 2634 号 観 光 振 興 法 を 受 け 文 化 観 光 における 保 護 開 発 地 域 および 観 光 拠 点 宣 言 を 発 表 してい る この 中 で 投 資 運 営 総 局 は 複 数 回 調 査 と 評 価 を 行 い その 結 果 を 受 けて KTKGB 及 びTMに 選 定 される 可 能 性 のある 地 域 を 決 定 する KTKGB 及 びTM 選 定 に 際 し 組 織 的 観 光 活 動 の 発 展 を 幅 広 い 分 野 で 行 うか 今 後 生 まれ うる 観 光 的 価 値 民 間 サービス インフラ 整 備 や 周 囲 に 対 する 影 響 力 を 重 視 す る と 選 定 の 基 準 を 明 らかにしている 選 定 は 計 画 の 概 略 決 定 当 局 組 織 と 委 員 会 による 地 域 情 報 の 収 集 総 合 的 な 計 画 の 要 旨 作 成 計 画 と 計 画 調 書 の 整 備 文 化 観 光 省 による 計 画 の 認 可 認 可 された 計 画 の 発 表 に 向 けた 準 備 という 流 れで 行 われる 計 画 は 概 略 を 考 え 調 整 し 実 際 の 実 施 計 画 を 作 成 するという 流 れで 行 われ る まず 文 化 観 光 保 護 発 展 計 画 (Kültür ve Turizm Koruma ve Gelişim Planlar) として 観 光 要 素 を 含 む 文 化 教 育 娯 楽 貿 易 住 居 技 術 的 社 会 的 イン b 認 可 された 事 業 内 容 以 外 での 活 動 施 設 の 観 光 事 業 活 動 の 停 止 当 事 者 の 申 請 c 施 設 の 運 営 がトルコの 観 光 業 および 生 命 の 安 全 を 脅 かす 場 合 d 観 光 事 業 あるいは 公 衆 衛 生 の 立 場 から 施 設 の 質 に 重 大 な 欠 陥 が 見 られた 場 合 e 投 資 や 事 業 展 開 中 に 認 可 を 受 けた 施 設 の 質 が 低 下 した 場 合 16 Kültür ve Turizm Koruma ve Gelişim Bölgeleri( 文 化 観 光 における 保 護 開 発 地 域 ) 歴 史 的 文 化 的 価 値 の 高 い あるいは 観 光 地 としての 発 展 が 期 待 出 来 る 地 域 を 保 護 利 用 発 展 させ 計 画 に 沿 った 開 発 を 行 うため 文 化 観 光 省 が 提 案 し 閣 議 決 定 により 選 定 発 表 された 地 域 第 2634 号 観 光 促 進 法 第 一 章 第 3 条 b 17 Turizm Merkezi( 観 光 拠 点 ) KTKGB の 中 あるいは 外 にあり 特 に 発 展 を 予 想 される 場 所 用 地 地 区 文 化 観 光 省 が 提 案 閣 議 決 定 により 選 定 発 表 された 観 光 運 動 や 活 動 を 重 視 した 場 所 地 域 第 2634 号 観 光 促 進 法 第 一 章 第 3 条 d 9
フラのうちどの 分 野 の 開 発 を 行 うかを 決 定 し 観 光 資 源 の 保 護 と 利 用 の 均 整 と 発 展 を 保 障 し 土 地 の 主 要 な 利 用 法 を 報 告 書 にまとめる さらに 計 画 地 点 を 1/25000 サイズの 地 図 に 示 す 次 に 調 整 発 展 計 画 (Nazım Đmar Planı)として 地 籍 情 報 文 化 観 光 保 護 発 展 計 画 に 見 合 う 土 地 の 利 用 法 建 造 物 や 人 口 密 度 発 展 の 方 向 性 と 重 要 性 主 要 交 通 システムなどを 次 に 述 べる 計 画 に 向 け 検 討 し 詳 細 な 報 告 書 を 作 るととも に 1/2000 か 1/5000 サイズの 地 図 を 作 成 する 最 後 に 実 施 発 展 計 画 (Uygulama Đmar Planı)として 詳 細 な 地 図 上 に 地 籍 情 報 を 記 載 し 文 化 観 光 保 護 発 展 計 画 と 調 整 計 画 に 見 合 う 土 地 利 用 建 造 物 こ れらの 密 度 および 整 備 状 況 歩 行 者 用 道 路 自 動 車 用 道 路 を 決 定 する さらに 美 術 品 や 遺 跡 に 関 する 情 報 も 含 め 詳 細 な 報 告 書 と 1/1000 サイズの 地 図 を 作 成 する 以 上 の 過 程 を 経 て KTKGB あるいは TM の 選 定 が 行 われる KTKGB ある いは TM に 選 定 され 2006 年 に 観 光 投 資 が 行 われた 計 画 には 以 下 のものがあ る アンタルヤにおけるマフムットラル(Mahmutlar) ケステ ル(Kestel) カ ルグジャク(Kargıcak) 各 都 市 の 廃 水 処 理 のための 1 日 20,000 m3の 処 理 容 量 を 持 つ 廃 水 処 理 施 設 と 放 水 路 の 計 画 2007 年 に 完 成 する 見 込 み 2005 年 11 月 にマフムットラル 当 局 は 下 水 道 と 雨 水 処 理 計 画 を 提 案 アンタルヤのオクルジャラル(Okulcalar)の 廃 水 処 理 施 設 下 水 道 海 水 放 出 を 含 んだ 実 施 計 画 ムーラにあるボドルム ギュベルジンリッキ 廃 水 処 理 施 設 計 画 アンタルヤのトルコ 廃 水 処 理 施 設 ( 処 理 量 1 日 30,000 m3) 計 画 現 在 進 行 中 アンタルヤのトスムル 海 洋 放 水 処 理 促 進 路 計 画 2006 年 12 月 完 成 これを 見 ると 文 化 観 光 省 は 直 接 観 光 に 関 わる 開 発 を 行 っているのではなく インフラ 整 備 のうち 下 水 道 排 水 施 設 を 中 心 にした 開 発 をしていることが 分 かる これはまず 環 境 面 を 整 備 することで 観 光 業 者 の 進 出 基 盤 を 整 え 投 資 開 発 を 効 率 的 に 行 えるようにしているのだと 考 えられる 3) 旅 行 代 理 店 に 関 する 制 度 について これに 関 しては 第 1618 号 旅 行 代 理 店 及 び 旅 行 代 理 店 協 会 法 (1618 sayılı Seyahat Acentaları ve Seyahat Acentaları Birliği Kanunu 18 )が 定 められてい る それによると 旅 行 代 理 店 とは 利 益 追 求 のため 観 光 客 に 対 する 移 動 手 段 18 1972 年 9 月 28 日 発 行 10
宿 泊 施 設 ツアー スポーツ 娯 楽 の 提 供 観 光 情 報 の 提 供 観 光 に 関 するサ ービスの 提 供 観 光 経 済 と 通 常 支 出 の 安 定 に 寄 与 する 営 利 団 体 である と 定 義 されている 旅 行 代 理 店 の 業 務 としては 情 報 の 提 供 文 書 の 提 出 広 告 宣 伝 活 動 文 書 管 理 情 報 の 保 護 の 5 点 が 挙 げられる 文 化 観 光 省 に 認 可 されることで 旅 行 代 理 店 は 優 遇 措 置 を 受 けることが 出 来 る 例 えば 施 設 及 び 運 営 融 資 を 受 けることが 出 来 る 19 電 気 通 信 輸 入 関 税 に 関 する 優 遇 措 置 20が 受 けられるなどである しかし 業 務 態 度 によっては 罰 則 21 更 には 認 可 取 り 消 し 22 という 厳 しい 規 定 も 設 けられている これら 中 心 となる 観 光 政 策 のほかに 文 化 観 光 省 は 2004 年 1 月 11 日 に 2010 Tourism Vision of Turkey を 発 表 しており 23 2010 年 には 観 光 客 数 を 2003 年 の 1,400 万 人 から 3,000 万 人 に 観 光 収 入 を 110.9 億 ドルから 300 億 ドルに 宿 泊 可 能 ベッド 数 を 60 万 台 から 100 万 台 に 観 光 に 関 わる 雇 用 者 を 150 万 人 から 300 万 人 に それぞれ 増 加 させることを 目 標 としている 以 上 を 踏 まえ 次 章 ではトルコの 観 光 省 について 考 察 していく 第 四 章 広 範 な 観 光 政 策 と 今 後 の 展 望 本 章 では 前 章 までを 踏 まえ 今 後 のトルコの 観 光 業 が 取 るべき 政 策 を 探 っ ていく 第 三 章 で 文 化 観 光 省 の 政 策 について 見 てきた それによると1 観 光 業 者 への 査 察 監 督 制 度 2 観 光 地 選 定 と 観 光 投 資 3 旅 行 代 理 店 に 関 する 制 度 以 上 19 第 1618 号 旅 行 代 理 店 及 び 旅 行 代 理 店 協 会 法 第 22 条 融 資 20 同 法 第 23 条 優 遇 措 置 21 同 法 第 30 条 第 31 条 罰 則 22 同 法 第 27 条 取 り 消 し 理 由 以 下 の 場 合 15~30 日 間 の 警 告 期 間 があり その 間 に 改 善 が 見 られないと 認 可 取 り 消 しと なる a 保 証 金 の 不 足 が 30 日 以 内 に 補 填 されない 第 7 条 に 反 する 活 動 を 行 った 場 合 b 第 10 条 17 条 18 条 20 条 21 条 が 定 める 決 議 を 実 行 しなかった 場 合 c 事 実 に 反 する あるいは 虚 偽 の 宣 伝 をした 場 合 ç 仮 業 務 認 可 あるいは 業 務 認 可 を 受 けていないサービスを 実 施 した 場 合 d 顧 客 に 対 しての 詐 欺 公 的 秩 序 の 妨 害 トルコの 観 光 業 に 対 する 妨 害 行 為 を 行 った 場 合 e 定 められたツアー 代 金 を 守 らない 場 合 f 第 4 条 第 2 項 で 定 められた 外 貨 収 入 を 得 られなかった 場 合 g 1 年 間 に 3 回 の 警 告 を 受 けた 場 合 h ハンティング 観 光 規 則 に 反 した 場 合 23 トルコ 文 化 観 光 省 ホームページ 英 語 版 より(http://www.turizm.gov.tr/EN/) 11
3 つの 中 心 的 な 政 策 があることが 分 かった このことから 文 化 観 光 省 は 観 光 業 の 基 盤 を 整 えるための 政 策 に 力 を 入 れていることが 分 かる 投 資 や 事 業 展 開 を 認 可 制 にして 厳 しい 罰 則 も 設 けるなど 基 盤 を 作 る 上 で 観 光 業 者 に 対 する 政 策 は 整 備 されていると 考 えられる また 旅 行 代 理 店 に 対 しても 規 則 を 設 け 管 理 体 制 が 整 備 されている 点 に 関 しても 評 価 できる 以 上 のような 政 策 を 第 二 章 で 述 べたアンケート 結 果 と 照 らし 合 わせてみよ う アンケートでは 交 通 事 情 や 都 市 環 境 遺 産 の 質 やインフラに 不 満 を 持 つ 観 光 客 が 目 立 った 文 化 観 光 省 が 打 ち 出 す 政 策 は 都 市 環 境 問 題 の 解 決 には 役 立 つと 考 えられる しかし 交 通 事 情 や 遺 産 の 質 の 改 善 に 直 接 関 わるものではない ため この 点 に 関 しては 私 企 業 や 自 治 体 による 整 備 が 望 まれる 観 光 客 に 向 けた 整 備 ではないが イスタンブル 市 ではトラムヴァイやメトロ の 開 通 延 長 で 観 光 客 にとっても 便 利 な 移 動 手 段 となっている 24 遺 産 の 質 については 修 復 費 用 の 問 題 観 光 客 一 人 ひとりのモラルの 問 題 も 重 要 になってくると 考 えられる 一 個 人 の 見 解 であるが 観 光 客 の 落 書 きが 原 因 で 世 界 遺 産 に 選 ばれない 遺 跡 もあると 言 う 25 これら 政 策 は すべて 人 によって 支 えられているものである そのため 文 化 観 光 省 は 観 光 業 に 従 事 する 人 の 育 成 にも 力 を 注 いでいる その 主 たるものが 観 光 ガイド 制 度 26である これは 国 家 資 格 であり 合 格 者 には 文 化 観 光 省 から 身 分 証 明 証 が 発 行 される トルコでツアーを 主 催 する 場 合 必 ずこの 観 光 ガイドがガイドを 行 わなくて はならず 証 明 書 を 持 たない 人 間 がガイドを 行 った 場 合 罰 則 が 課 される ま たトルコの 旅 行 代 理 店 では 必 ずこの 観 光 ガイドを 雇 わなくてはならない 27 24 イスタンブル 市 のホームページ(http://www.ibb.gov.tr) 25 トラブゾン(Trabzon)にあるシュメラ 僧 院 (Sümera Monastırı)で 働 く 文 化 観 光 局 職 員 シュメラ 僧 院 は UNESCO の 暫 定 世 界 遺 産 リストに 掲 載 されている UNESCO World Heritage のホームページ(http://whc.unesco.org/) 26 Profesyonel Turist Rehberliği 18 歳 以 上 のトルコ 国 民 で 2 年 以 上 の 高 等 教 育 を 受 け た 人 のみ 志 願 できる 7 ヶ 月 間 の 講 義 への 参 加 36 日 間 の 研 修 文 化 言 語 に 関 する 試 験 が 課 され 合 格 すると 文 化 観 光 省 から 身 分 証 明 書 が 交 付 される 証 明 取 得 得 後 も 毎 年 11 月 ~12 月 に 行 われる 勤 務 養 成 セミナー(Hizmet içi Eğitğm Seminer)のうち 3 コース 以 上 を 受 講 しなくてはならない 27 第 1618 号 旅 行 代 理 店 及 び 旅 行 代 理 店 協 会 法 第 10 条 旅 行 代 理 店 の 職 員 の 資 質 Aグループ 及 びBグループの 旅 行 代 理 店 の 本 店 と 支 店 は 常 に 2 人 以 上 の 案 内 係 と ツア ーを 主 催 する 場 合 観 光 紹 介 局 が 認 めた 通 訳 観 光 ガイド 資 格 を 持 つ 1 人 以 上 の 通 訳 観 光 ガイドを 雇 う 必 要 がある 案 内 係 は 英 語 フランス 語 ドイツ 語 イタリア 語 アラビア 語 のうち 1 言 語 の 取 得 文 化 紹 介 局 付 属 の 委 員 会 が 行 う 外 国 語 試 験 への 合 格 が 必 要 Cグ ループの 旅 行 代 理 店 は 本 店 と 支 店 に 1 人 以 上 の 案 内 係 を 雇 う 必 要 がある 外 国 語 の 習 得 は 必 須 ではない A グループは 観 光 サービスに 関 わるすべての 活 動 B グループは 輸 送 チケット 及 び A グル 12
更 にTUREM 28 が 行 う 講 座 やセミナー 大 学 での 教 育 などでも 観 光 業 に 従 事 する 人 の 教 育 に 力 を 入 れている しかし 第 二 章 のアンケート 結 果 を 見 ると 教 育 が 十 分 に 生 かされていないの が 現 状 であると 言 えよう 観 光 客 が 直 接 関 わることの 多 い 観 光 地 のレストランやみやげ 物 店 で 働 く 従 業 員 への 教 育 に 更 に 力 を 入 れるべきであろう 外 国 語 や 接 客 マナーなどを 定 期 的 に 教 育 すると 共 に 観 光 業 に 従 事 する 個 人 の 意 識 を 高 めることも 必 要 だと 考 えられる 観 光 業 従 事 者 とはやや 異 なるが トルコ 航 空 ではフライトアテンダントとグ ランドスタッフに 対 し お 客 様 第 一 主 義 と ヒューマニスト 主 義 に 関 する 教 育 プログラムを 実 施 していると 言 う 29 このプログラムは 1 ヶ 月 間 で 乗 客 に 高 品 質 なサービスを 提 供 し 満 足 度 を 高 めることを 目 的 としている このような 教 育 の 取 り 組 みを 自 治 体 などでも 積 極 的 に 行 っていくべきであ る このように 文 化 観 光 省 は 様 々な 政 策 を 行 っているが このような 観 光 政 策 は どこの 地 域 あるいは 何 を 求 める 観 光 客 をターゲットにしたものなのだろうか それについて 見 てみる 例 えば 文 化 観 光 省 のホームページでは 広 報 用 のプロモーションビデオ(P V)の 視 聴 が 出 来 る このPVは 一 般 広 報 用 と 行 き 先 や 目 的 を 限 定 したものが ある 行 き 先 を 限 定 したものは イスタンブル カッパドキア 地 中 海 エー ゲ 海 イスタンブルとマルマラ 海 パムッカレ 東 部 南 東 部 アナトリア 黒 海 ブルーボヤージュ(クルーズ) ゴルフ ラフティング 会 議 と 観 光 ウィ ンタースポーツがある また 一 般 広 報 用 では 海 エキゾティズム 遺 跡 自 然 宗 教 現 代 といっ たものが 描 かれている これらPVからも 文 化 観 光 省 がどのような 地 域 及 び 分 野 に 力 を 入 れていき たいのかが 読 み 取 れる これら 文 化 観 光 省 が 力 を 入 れている 地 域 分 野 は 第 二 章 で 述 べた 日 本 人 観 光 客 の 満 足 した 点 とも 重 なっているため 観 光 省 の 取 り 組 みは 効 果 を 挙 げてい ープが 主 催 するツアーの 販 売 C グループはトルコ 人 向 けの 国 内 ツアーの 主 催 が 可 能 28 観 光 業 に 従 事 する 専 門 家 を 育 てる 為 文 化 観 光 省 によって 作 られた 教 育 機 関 Turizm Eğitim Merkezleri 観 光 業 での 就 職 を 希 望 する 若 者 に 対 し 就 職 を 保 障 し 無 料 で 観 光 業 に 関 わる 教 育 を 行 っている 29 運 輸 省 のホームページ(http://www.ubak.gov.tr/) 13
ると 考 えられる しかしゴルフ ラフティング ウィンタースポーツ 等 は 日 本 人 観 光 客 にはまだ 馴 染 みがなく アクティビティーの 少 なさを 不 満 に 思 う 観 光 客 が 多 い そこで 日 本 市 場 に 向 けてこれらアクティビティーの 多 様 性 を 更 に 宣 伝 していく 必 要 性 が 考 えられる 文 化 観 光 省 が 運 営 するホームページでは トルコ 語 以 外 にも 英 語 ドイツ 語 フランス 語 日 本 語 ロシア 語 スペイン 語 アラビア 語 イタリア 語 中 国 語 韓 国 語 30 スウェーデン 語 というという 11 言 語 で 閲 覧 することが 出 来 る これも 文 化 観 光 省 がどの 地 域 に 向 けたマーケティングに 力 を 入 れているのかを 考 える 資 料 と 言 えよう 日 本 語 のホームページは 中 国 語 韓 国 語 と 比 べ 充 実 しており アジアの 中 で も 日 本 市 場 に 向 けたマーケティングに 力 を 入 れていると 考 えられる 以 上 を 踏 まえ 今 後 トルコの 観 光 業 における 課 題 となるのは1 観 光 地 におけ るインフラ 整 備 と 事 業 展 開 2 観 光 業 従 事 者 に 対 する 教 育 3 各 国 に 向 けたより 有 効 なマーケティング 以 上 の 3 点 であると 考 えられる おわりに 今 回 トルコの 観 光 業 について 見 てきたが トルコは 観 光 業 の 分 野 において 更 なる 発 展 が 出 来 ると 感 じられた インフラ 整 備 観 光 業 従 事 者 の 教 育 など 改 善 部 分 は 多 々 見 られたが それらを 改 善 することで 観 光 地 としての 人 気 と 外 貨 収 入 につながる 発 展 が 期 待 出 来 るのではないだろうか 2010 年 にはイスタンブルが 欧 州 文 化 首 都 31に 選 ばれているため 文 化 観 光 省 が 実 施 してきた 政 策 の 是 非 が 問 われる 機 会 になるだろう 今 回 この 論 文 を 書 くにあたっては 他 国 との 比 較 が 出 来 なかったことが 反 省 点 として 挙 げられる 特 に 現 在 トルコはEU 加 盟 を 目 指 しており EU 加 盟 国 30 トルコ 語 版 ホームページから 直 接 のリンクはなく トルコ 大 使 館 が 運 営 する 日 本 語 版 ホ ームページからのリンク 31 真 の ヨ ー ロ ッ パ 統 合 に は お 互 い の ア イ デ ン テ ィ テ ィ ー と も 言 う べ き 文 化 の 相 互 理 解 が 不 可 欠 で あ る と い う ギ リ シ ャ の 文 化 大 臣 メ リ ナ メ ル ク ー リ( 当 時 )の 提 唱 に よ り 1985 年 よ り 欧 州 文 化 首 都 制 度 が 発 足 以 来 EU 加 盟 国 ( 当 時 EC)の 文 化 閣 僚 会 議 で EU 加 盟 国 の 中 か ら 1 都 市 を 選 び 欧 州 文 化 首 都 と し て 定 め 一 年 間 を 通 し て 様 々 な 芸 術 文 化 に 関 す る 行 事 を 開 催 し 相 互 理 解 を 深 め る 事 と な っ た こ の 制 度 に は 政 治 的 経 済 的 な 条 約 や 協 定 締 結 だ け で は 一 つ の ヨ ー ロ ッ パ の 実 現 は 難 し く 統 合 実 現 に は 文 化 が 重 要 な 役 割 を 果 た す と い う 各 国 文 化 大 臣 の 考 え 方 も 込 め ら れ て い る EU 市 場 統 合 完 成 の 1993 年 か ら は EU 域 内 と 共 に 世 界 各 国 と の 共 同 作 業 が 開 始 さ れ 現 在 に 至 っ て い る 14
の 観 光 政 策 と 比 較 をすることで トルコが 今 後 取 るべき 政 策 なども 明 らかにな ったのではないかと 考 えられる 今 後 もトルコにおける 観 光 政 策 に 注 目 していきたい 参 考 文 献 Meral Korzay,Maria D.Alvarez Satisfaction and Dissatisfaction of Japanese Tourists in Turkey, Anatolia:An International Journal of Tourism and Hospitality Research Vol.16,No.2,2005,pp176-193 森 かおり 現 代 トルコにおける 観 光 事 業 の 整 備 に 関 する 研 究 2003 年 卒 業 論 文 文 化 観 光 省 のホームページ(http://www.kultur.gov.tr) 文 化 観 光 省 の 英 語 版 ホームページ(http://www.turizm.gov.tr/EN) 運 輸 省 のホームページ(http://www.ubak.gov.tr/) イスタンブル 市 のホームページ(http://www.ibb.gov.tr) トルコ 旅 行 業 協 会 のホームページ(http://www.tursab.org.tr) UNESCO World Heritage のホームページ(http://whc.unesco.org/) 法 務 省 ( 日 本 )のホームページ(http://www.moj.go.jp) 日 本 旅 行 業 協 会 のホームページ(http://www.jata-net.or.jp) 15