議論の前提

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事 業 税 の 外 形 標 準 課 税 事 業 税 は 都 道 府 県 が 所 得 ( 利 益 )に 対 して 課 税 します 1. 個 人 事 業 税 業 種 区 分 税 率 ( 標 準 税 率 ) 第 1 種 事 業 ( 物 品 販 売 業 製 造 業 金 銭 貸 付 業 飲 食 店 業 不 動

プラス 0.9%の 年 金 額 改 定 が 行 われることで 何 円 になりますか また どのような 計 算 が 行 われているのですか A これまでの 年 金 額 は 過 去 に 物 価 が 下 落 したにもかかわらず 年 金 額 は 据 え 置 く 措 置 をと った 時 の 計 算 式 に 基


は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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住宅購入に関する消費者意識調査

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[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

弁護士報酬規定(抜粋)

Microsoft Word - 4 家計基準

目 次 1 報 酬 給 与 額 事 例 1 報 酬 給 与 額 に 含 める 賞 与 の 金 額 が 誤 っていた 事 例 1 事 例 2 役 員 退 職 金 ( 役 員 退 職 慰 労 金 )を 報 酬 給 与 額 として 申 告 して いなかった 事 例 1 事 例 3 持 株 奨 励 金 を

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

 

空 き 家 を 売 却 した 場 合 の,000 万 円 控 除 特 例 の 創 設 被 相 続 人 が 住 んでいた 家 屋 及 びその 敷 地 を 相 続 があった 日 から 年 を 経 過 する 年 の 月 日 までに 耐 震 工 事 をしてから あるいは 家 を 除 却 し てから 売 却

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セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

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Microsoft Word - H25年度の概要

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消 費 ~ 軽 減 率 消 費 の 軽 減 率 制 度 が 消 費 率 10% 時 に 導 入 することとされています 平 成 26 年 4 月 1 日 平 成 27 年 10 月 1 日 ( 予 定 ) 消 費 率 5% 消 費 率 8% 消 費 率 10% 軽 減 率 の 導 入 平 成 26

ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

No.7 アメリカ 合 衆 国 小 規 模 事 例 (そ4) 助 金 も 財 源 になっている しかし 小 規 模 事 業 体 では 連 邦 政 府 から 基 金 はもちろん 市 から 補 助 金 もまったくない が 実 状 である すなわち 給 人 口 が25 人 から100 人 規 模 小 規

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Microsoft Word - 文書 3

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スライド 1

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑


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1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支


ニュースリリース

給 与 所 得 控 除 控 除 額 の 計 算 については 次 のとおりです 給 与 等 の 収 入 金 額 給 与 所 得 控 除 額 180 万 円 以 下 の 場 合 180 万 円 を 超 え 360 万 円 以 下 の 場 合 360 万 円 を 超 え 660 万 円 以 下 の 場 合

個 人 所 得 課 税 ~ 住 宅 ローン 控 除 等 の 適 用 期 限 の 延 長 2 4. 既 存 住 宅 に 係 る 特 定 の 改 修 工 事 をした 場 合 の 所 得 税 額 の 特 別 控 除 居 住 年 省 エネ 改 修 工 事 控 除 限 度 額 バリアフリー 改 修 工 事 平

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技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

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平成16年度

厚 生 年 金 は 退 職 後 の 所 得 保 障 を 行 う 制 度 であり 制 度 発 足 時 は 在 職 中 は 年 金 を 支 給 しないこととされていた しかしながら 高 齢 者 は 低 賃 金 の 場 合 が 多 いと いう 実 態 に 鑑 み 在 職 者 にも 支 給 される 特 別

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

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1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

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要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

32 農事組合法人法人用パンフ_24.2一部改正)

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16 日本学生支援機構

給 与 所 得 控 除 所 得 税 の 簡 易 給 与 所 得 表 により 給 与 所 得 の 金 額 を 求 めますが 控 除 額 の 計 算 については 次 のとおりです 給 与 等 の 収 入 金 額 給 与 所 得 控 除 額 180 万 円 以 下 の 場 合 180 万 円 を 超 え

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申 請 免 除 申 請 免 除 ( 学 生 以 外 ) 学 生 納 付 特 例 制 度 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 法 定 免 除 世 帯 構 成 図 表 1 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 の 種 類 と 所 得 基 準 本 人 世 帯 主 配 偶 者 の 所 得 に 応 じて 免

市 の 人 口 密 度 は 5,000 人 を 超 え 図 4 人 口 密 度 ( 単 位 : 人 /k m2) に 次 いで 高 くなっている 0 5,000 10,000 15,000 首 都 圏 に 立 地 する 政 令 指 定 都 市 では 都 内 に 通 勤 通 学 する 人 口 が 多

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

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< 目 次 > 1 軽 四 輪 車 等 に 係 る 税 率 引 上 げ Q1 1 軽 四 輪 車 等 についてなぜ 標 準 税 率 を 引 き 上 げることにしたのですか? 3 Q1 2 自 家 用 乗 用 車 については 税 率 を 1.5 倍 に 引 き 上 げ それ 以 外 ( 貨 物 用 営

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 23 年 4 月 1 日 至 平 成 24 年 3 月 31 日 ) 金 額 ( 単 位 : 百 万 円 ) 売 上 高 99,163 売 上 原 価 90,815 売 上 総 利 益 8,347 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 4,661 営 業 利 益

住 宅 融 資 の 仕 組 み 住 宅 融 資 は 独 政 法 住 宅 融 援 機 構 ( 以 下 機 構 といいます )が う 融 機 関 の 住 宅 ローン 貸 出 に 対 する 公 的 な 信 用 です 住 宅 融 資 は 融 機 関 の う 住 宅 ローン 貸 出 の 損 害 を 填 補 す

目 次 第 1 部 個 人 所 得 税 の 概 要 居 住 者 非 居 住 者 の 定 義 4 個 人 所 得 税 の 納 付 のしかた( 給 不 所 得 者 ) 5 居 住 者 の 個 人 所 得 税 額 の 計 算 のしくみ( 給 不 所 得 者 ) 6 非 居 住 者 の 個 人 所 得 税

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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

公 的 年 金 等 控 除 額 とは 年 金 収 入 から 差 し 引 くことのできる 金 額 で 差 引 後 の 金 額 が 雑 となります 公 的 年 金 等 収 入 金 額 - 公 的 年 金 等 控 除 額 = 雑 これまでは この 公 的 年 金 等 控 除 額 は 65 歳 以 上 の

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

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Q7 従 業 員 に 対 する 現 物 給 付 は 報 酬 給 与 額 に 含 まれます A7 法 人 が 役 員 又 は 使 用 人 のために 給 付 する 金 銭 以 外 の 物 又 は 権 利 その 他 経 済 的 利 益 (いわ ゆる 現 物 給 与 )については 所 得 税 において 給

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業 種 別 業 況 は 製 造 業 が 46.2 で 前 期 より 12.3 ポイント 低 下 ( 前 期 33.9) し 建 設 業 が 48.1 で 13.1 ポイントの 低 下 商 業 サービス 業 が 65.1 で 3.4 ポイントの 低 下 となりました 製 造 業 のポイントの 低 下


Transcription:

第 1 章 の 補 足 資 料 ( 消 費 税 はだれが 負 担 するのか) 消 費 税 のしくみ 日 本 の 消 費 税 は 付 加 価 値 税 (value added tax VAT)と 呼 ばれる 税 の 一 種 であり 卸 売 り 小 売 りの 各 段 階 で 生 み 出 された 付 加 価 値 に 対 して 課 税 する 売 り 手 が 納 税 の 義 務 を 負 っているので 消 費 税 を 上 乗 せした 価 格 で 販 売 する 現 行 の 消 費 税 率 が 8%で あるため 税 抜 き 価 格 が 100 円 の 商 品 の 販 売 価 格 は 100+8=108 円 となる しかし 販 売 者 が 8 円 すべてを 税 務 署 に 納 付 するとは 限 らない 図 表 1 消 費 税 の 負 担 農 家 製 粉 会 社 パン 屋 税 抜 価 格 消 費 税 税 抜 価 格 消 費 税 100 円 8 円 税 抜 価 格 100 円 消 費 税 8 円 100 円 8 円 100 円 8 円 200 円 16 円 販 売 額 :108 円 納 税 額 : 8 円 販 売 額 :216 円 納 税 額 : 8 円 販 売 額 :324 円 納 税 額 : 8 円 図 表 1 は 第 0 章 の 補 足 資 料 の 図 表 1 の 取 引 に 消 費 税 を 課 す 場 合 どのように 税 金 が 納 付 されるかを 示 したものである 農 家 は 原 価 100 円 の 小 麦 に 8 円 の 消 費 税 を 上 乗 せして 販 売 し その 8 円 を 税 務 署 に 納 付 する 製 粉 会 社 はもともと 200 円 で 小 麦 粉 を 販 売 していたので 税 抜 きの 販 売 価 格 が 変 化 しない 場 合 1 それに 200 0.08=16 円 を 上 乗 せした 216 円 で 販 売 する しかし 製 粉 会 社 は 小 麦 の 仕 入 れ 価 格 の 上 昇 によってす でに 8 円 分 の 消 費 税 を 負 担 しているので 16 円 から 8 円 を 引 いた 8 円 だけ 税 務 署 に 納 付 する 同 様 に パン 屋 は 300 円 のパンに 300 0.08=24 円 の 消 費 税 を 上 乗 せして 販 売 するが 小 麦 粉 の 仕 入 れ 価 格 の 上 昇 によって 16 円 分 の 税 を 負 担 しているため 24-16=8 円 を 税 務 署 に 納 付 することになる 図 表 1 では 太 線 で 囲 まれた 値 が 付 加 価 値 網 掛 けした 値 が 自 ら 納 税 する 消 費 税 額 1 ただしすぐ 後 に 説 明 するように 現 実 には 税 金 が 課 されると 税 抜 き 価 格 も 変 化 する 1

破 線 で 囲 まれた 値 が 仕 入 れ 価 格 の 上 昇 によって 間 接 的 に 負 担 した 税 額 を 表 している これを 見 ると 消 費 税 が 付 加 価 値 に 対 して 課 税 する 付 加 価 値 税 であることがよく 分 か るだろう 誰 が 消 費 税 を 負 担 するのか 消 費 税 は 企 業 優 遇 消 費 者 いじめの 悪 税 だ と 言 われることが 多 い 確 かに 図 表 1 では 最 終 財 であるパンの 税 込 価 格 が 300 円 から 324 円 に 上 昇 し 直 接 的 な 納 税 者 が 誰 かは 別 として けっきょくのところ 消 費 者 がすべての 税 金 を 負 担 しているように 見 える しかし 企 業 が 消 費 税 をまったく 負 担 せず 消 費 者 だけが 負 担 すると 考 えるこ とは 誤 りである なぜなら 消 費 税 が 課 されると 税 込 みの 販 売 価 格 だけでなく 税 抜 きの 販 売 価 格 も 変 化 するからである 図 表 2 消 費 税 の 取 引 価 格 への 影 響 (a) 需 要 の 価 格 弾 力 性 小 供 給 の 価 格 弾 力 性 大 (b) 需 要 の 価 格 弾 力 性 大 供 給 の 価 格 弾 力 性 小 価 格 a 円 G S 価 格 S 1,000 円 b 円 E S a 円 1,000 円 G E S D D b 円 需 給 量 需 給 量 上 の 図 はテキスト 34 ページとほぼ 同 じものである 左 パネルでは 需 要 の 価 格 弾 力 性 が 小 さく 供 給 の 価 格 弾 力 性 が 大 きい 右 パネルでは 需 要 の 価 格 弾 力 性 が 大 きく 供 給 の 価 格 弾 力 性 が 小 さい 2 消 費 税 導 入 前 の 取 引 価 格 はどちらも 1,000 円 である 2 テキスト 26 ページで 解 説 されているように 価 格 弾 力 性 とは 価 格 が 変 化 したときに 需 要 や 供 給 がどれだけ 柔 軟 に 変 化 するかを 表 している 第 2 章 でより 厳 密 に 定 義 する 2

租 負 担 を 正 確 に 分 析 するためには 第 4 章 で 学 ぶ 余 剰 という 概 念 を 知 る 必 要 があ るが ここでは 課 税 後 に 売 り 手 と 買 い 手 が 直 面 する 価 格 がどれだけ 変 化 するか を 基 準 として 負 担 の 大 小 を 考 えてみよう パネル(a)と(b)のどちらにおいても 購 入 者 が 支 払 う 税 込 価 格 は a 円 販 売 者 が 受 け 取 る 税 引 き 後 の 価 格 ( 税 抜 価 格 )は b 円 で ある 消 費 者 ( 購 入 者 )はもともと 1,000 円 で 購 入 していた 財 を a 円 で 購 入 するよう になるので ( a 1,000) 円 が 税 負 担 である 生 産 者 ( 販 売 者 )はもともと 1,000 円 で 販 売 していた 財 を 実 質 的 に b 円 で 販 売 するようになるため (1,000 b) 円 が 税 負 担 と なる パネル(a)では( a 1,000) 円 >(1,000 b) 円 なので 主 として 買 い 手 ( 消 費 者 )が 消 費 税 を 負 担 している 一 方 パネル(b)では ( a 1,000) 円 <(1,000 b) 円 であり 主 として 売 り 手 ( 生 産 者 )が 消 費 税 を 負 担 している このことから 1 消 費 税 は 原 則 的 に 売 り 手 と 買 い 手 の 両 方 が 負 担 する 2 売 り 手 と 買 い 手 のうち 価 格 弾 力 性 が 低 い(= 価 格 変 化 に 対 して 柔 軟 に 行 動 を 変 えることが 難 しい) 経 済 主 体 がより 多 くの 税 を 負 担 する ことが 分 かる 価 格 弾 力 性 が 低 い = 価 格 の 変 化 に 対 して 柔 軟 に 行 動 を 変 えるこ とが 難 しい = 価 格 の 変 化 という 環 境 変 化 に 弱 い と 考 えれば 納 得 できるだろう 消 費 税 は 金 持 ち 優 遇 政 策 か 消 費 税 は 金 持 ち 優 遇 庶 民 いじめの 税 金 と 言 われることも 多 い この 言 葉 には 二 つの 意 味 合 いがある 第 一 に 所 得 税 と 異 なり 消 費 税 は 商 品 やサービスの 取 引 に 対 する 課 税 であるため いくら 所 得 が 多 い 人 でもお 金 を 使 わずに 貯 蓄 してしまえば 課 税 されない 一 般 に 低 所 得 者 は 高 所 得 者 より 生 活 が 苦 しく 貯 蓄 率 が 低 いので 所 得 に 対 する 比 率 で 見 ると 消 費 税 の 負 担 が 重 くなる 図 表 3 はそうした 例 を 示 したものである A さんは 年 収 が 200 万 円 しかなく その すべてを 生 活 費 として 支 出 している 消 費 税 率 が 8%なら 税 額 は 200 0.08=16 万 円 となり 収 入 に 対 する 納 税 額 の 比 率 も 8%である 一 方 B さんは 年 収 が 600 万 円 あ り そのうち 300 万 円 だけ 支 出 している 税 額 は 300 0.08=24 万 円 であり 税 額 そ のものは A さんより 多 い しかし 所 得 に 対 する 納 税 額 の 比 率 は 24 600=0.04=4%で あり A さんの 半 分 になる このように 所 得 が 増 えるほど 所 得 に 対 する 税 額 の 比 率 が 下 落 する 税 を 逆 進 的 な 税 と 呼 ぶ ただし 消 費 税 の 逆 進 性 を 問 題 とすべきかどうかはよく 考 える 必 要 がある 第 一 に B さんは 300 万 円 の 貯 蓄 をいずれ 取 り 崩 して 支 出 すると 思 われ 長 い 期 間 で 均 して 見 れば 所 得 に 対 する 税 負 担 は A さんと 同 じである 第 二 に 仮 に A さんがすでにリ 3

タイアした 高 齢 者 で 200 万 円 は 年 金 収 入 だとしよう A さんは 現 役 時 代 に 自 宅 を 購 入 し 住 宅 ローンも 完 済 しているので それほど 生 活 費 はかからない 一 方 B さん は 若 いサラリーマンで 将 来 の 住 宅 購 入 に 備 えてコツコツと 貯 蓄 している それでも A さんの 税 負 担 が B さんの 税 負 担 に 比 べて 不 当 に 重 いと 言 えるだろうか 第 三 に 税 金 は 消 費 税 だけではないので 負 担 の 公 平 性 はすべての 税 金 を 綜 合 して 考 えるべき である 日 本 の 所 得 税 は 収 入 の 増 加 とともに 税 率 が 上 昇 する 累 進 税 方 式 を 採 用 してい るので B さんは A さんより 所 得 税 の 金 額 が 多 いだけでなく 所 得 に 対 する 納 税 額 の 比 率 も 高 くなっているはずである また 日 本 では 年 金 所 得 に 対 する 所 得 税 率 が 非 常 に 低 く 抑 えられているので A さんが 年 金 生 活 者 の 場 合 税 負 担 はいっそう 軽 くなっ ているはずである 集 められた 消 費 税 が 低 所 得 者 の 支 援 に 使 われている 場 合 B さん の 支 払 った 税 金 は A さんが 受 け 取 っているかも 知 れない 図 表 3 所 得 と 貯 蓄 消 費 税 の 関 係 A さん 所 得 =200 万 円 B さん 所 得 =600 万 円 貯 蓄 300 万 円 消 費 200 万 円 消 費 300 万 円 消 費 税 =16 万 円 消 費 税 = 24 万 円 消 費 税 が 庶 民 に 冷 たい 税 だと 言 われることにはもう 一 つ 理 由 がある 先 に 見 たよう に 消 費 税 では 価 格 弾 力 性 の 低 い 経 済 主 体 の 負 担 が 大 きくなるため 需 要 の 価 格 弾 力 性 が 低 い 財 では 売 り 手 より 買 い 手 の 負 担 が 大 きくなる 私 たちが 購 入 する 商 品 やサー ビスの 中 には 生 活 必 需 品 と 奢 侈 品 (ぜいたく 品 )が 含 まれるが 必 需 品 の 性 質 が 強 い 財 ほど 需 要 の 価 格 弾 力 性 は 低 い 低 所 得 世 帯 と 高 所 得 世 帯 を 比 較 すると 低 所 得 層 で は 奢 侈 品 への 支 出 が 少 なく 支 出 総 額 に 占 める 必 需 品 の 比 率 が 高 い したがって 低 所 4

得 者 と 高 所 得 者 の 支 出 総 額 が 同 一 でも 消 費 税 が 課 されて 税 込 価 格 が 上 昇 した 場 合 低 所 得 者 の 方 が 商 品 やサービスの 購 入 量 を 減 らして 対 応 することが 難 しく 税 負 担 が 多 くなる 可 能 性 がある 図 表 4 は 主 要 国 における 付 加 価 値 税 ( 消 費 税 率 )の 基 本 税 率 と 食 料 品 に 対 する 適 用 税 率 を 示 したものである 諸 外 国 の 中 では 基 本 税 率 が 20% 前 後 の 国 が 多 く 国 際 的 に 見 て 日 本 の 税 率 は 低 い これは 付 加 価 値 税 には 他 の 税 に 比 べて 景 気 の 影 響 を 受 けにく い 節 税 や 脱 税 が 難 しく 徴 税 コストが 小 さいなどの 利 点 があり 諸 外 国 がそのことを よく 理 解 しているからである 第 二 に 基 本 税 率 が 20 %を 上 回 る 国 のほとんどは 食 料 品 に 軽 減 税 率 を 適 用 してい る これは 一 面 では 上 記 の 逆 進 性 や 低 所 得 層 負 担 の 緩 和 を 意 図 したものだが 実 際 は 国 民 に 高 率 の 基 本 税 率 を 受 け 入 れさせるための 政 治 的 妥 協 の 産 物 という 性 質 が 強 い すなわち 政 府 の 本 音 ではこうした 例 外 措 置 は 行 いたくなかったが 国 民 の 反 発 を 避 けるためにやむを 得 ず 導 入 したということである なぜ 当 局 は 必 需 品 の 税 率 軽 減 を 好 まないのだろうか 一 つの 理 由 は 税 収 が 減 少 する ことだが それだけが 理 由 ではなない 第 二 の 理 由 は 品 目 によってバラバラの 税 率 を 設 定 すると 納 税 や 徴 税 が 複 雑 になり 脱 税 や 節 税 の 余 地 が 生 まれるなど 付 加 価 値 税 のメリットが 減 少 してしまうことである 第 三 に 現 代 の 社 会 では 何 が 必 需 品 で 何 が 奢 侈 品 かがはっきりせず 政 治 的 な 駆 け 引 きによって 恣 意 的 な 線 引 きが 行 われや すくなる たとえばコメなどの 主 食 は 必 需 品 外 食 は 奢 侈 品 だと 考 えられることが 多 いが コメの 中 にも 高 価 格 のブランド 品 があり 外 食 の 中 でもファーストフードなど は 学 生 や 低 所 得 層 の 利 用 度 が 高 い 日 本 政 府 はもともと 2015 年 10 月 に 消 費 税 率 を 10%に 引 き 上 げる 予 定 だったが 景 気 不 振 を 理 由 に 2017 年 4 月 まで 延 期 した この 資 料 の 執 筆 時 点 では 再 延 期 が 議 論 さ れているが 次 の 税 率 引 き 上 げ 時 に 飲 食 料 品 ( 酒 と 外 食 をのぞく)と 宅 配 の 新 聞 に 軽 減 税 率 を 導 入 することが 決 まっている 現 在 は 自 民 党 と 公 明 党 が 与 党 であり 庶 民 政 党 を 自 任 する 公 明 党 が 軽 減 税 率 を 強 く 主 張 し 自 民 党 が 安 全 保 障 関 連 法 案 などに 抵 抗 する 公 明 党 を 懐 柔 するためにそれを 受 け 入 れた 経 済 学 者 や 税 務 の 専 門 家 の 大 半 は 軽 減 税 率 に 反 対 したが こうした 意 見 はほとんど 顧 みられなかった また 客 観 的 な 立 場 から 評 価 すべき 新 聞 各 社 も 新 聞 への 軽 減 税 率 適 用 という 餌 につられて 批 判 的 な 報 道 を 自 粛 してしまった この 件 は 一 国 の 政 策 形 成 が 本 質 的 に 政 治 的 なものであり 必 ずしも 合 理 的 な 考 えにもとづいていないことをよく 表 している 3 3 現 在 も 土 地 の 売 買 や 家 賃 医 療 サービス 一 部 の 教 育 費 は 非 課 税 品 目 とされている 大 学 の 入 学 金 や 授 業 料 も 非 課 税 なので 皆 さんもその 受 益 者 である これらを 非 課 税 にするこ とが( 皆 さんにとってでなく) 社 会 的 に 望 ましいかを 考 えてみてもらいたい 5

図 表 4 世 界 各 国 の 付 加 価 値 税 率 (2015 年 1 月 現 在 ) 国 名 (A) 基 本 税 率 (B) 食 料 品 適 用 税 率 (A)-(B) ハンガリー 27 18 9 デンマーク 25 25 0 スウェーデン 25 12 13 ノルウェー 25 15 10 クロアチア 25 5 20 アイスランド 24 11 13 ルーマニア 24 24 0 フィンランド 24 14 10 ギリシャ 23 13 10 アイルランド 23 0 23 ポーランド 23 5 18 ポルトガル 23 6 17 イタリア 22 10 12 スロベニア 22 9.5 12.5 ラトビア 21 21 0 ベルギー 21 6 15 リトアニア 21 21 0 チェコ 21 15 6 オランダ 21 6 15 スペイン 21 10 11 オーストリア 20 10 10 エストニア 20 20 0 スロバキア 20 20 0 イギリス 20 0 20 ブルガリア 20 20 0 フランス 20 5.5 14.5 ドイツ 19 7 12 キプロス 19 5 14 チリ 19 19 0 マルタ 18 0 18 トルコ 18 8 10 イスラエル 18 18 0 中 国 17 13 4 ルクセンブルグ 17 3 14 メキシコ 16 0 16 キプロス 15 5 10 ニュージーランド 15 15 0 フィリピン 12 0 12 オーストラリア 10 0 10 韓 国 10 10 0 インドネシア 10 0 10 スイス 8 2.5 5.5 日 本 8 8 0 シンガポール 7 7 0 タイ 7 0 7 カナダ 5 0 5 台 湾 5 0 5 ( 資 料 ) 財 務 省 ホームページ 6