第I部

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m07 北見工業大学 様式①

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

18 国立高等専門学校機構

 

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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公表表紙

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

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社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

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退職手当とは

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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●幼児教育振興法案

目 次 1. 社 会 保 障 分 野 でできること 1 1 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 制 度 の 改 善 2 保 険 証 機 能 の 一 元 化 3 自 己 診 療 情 報 の 活 用 4 給 付 可 能 サービスの 行 政 側 からの 通 知 2. 年 金 分 野 でできること 5

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 現 況 ( 平 成 22 1 号 給 の 給 料 月 額 137,9 188,9 226,7 266,4 294,3 最 高 号 給 の 給 料 月 額 247,9 314,9 362,8 399,9 415,1 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制

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- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

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根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,600 円 185,800 円 222,900 円 261,900 円

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

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(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 135,6 243,7 2 級 185,8 37,8 3 級 4 級 222,9 354,7 ( 注 )

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 135,6 2 級 185,8 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものである 3 級

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : 円 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135, , , , , ,600 最

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

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別紙3

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (26 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 分 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 最 高 号 給 の 給 料 月 額 243,7 37,8 35

目 次 市 民 税 の 減 免 に つ い て 1 減 免 の 一 般 的 な 留 意 事 項 2 減 免 の 範 囲 お よ び 減 免 割 合 3 1 生 活 保 護 法 の 規 定 に よ る 保 護 を 受 け る 者 3 2 当 該 年 に お い て 所 得 が 皆 無 と な っ た

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Transcription:

医 療 保 障 総 合 政 策 調 査 研 究 基 金 事 業 医 療 医 薬 品 等 の 医 学 的 経 済 的 評 価 に 関 する 調 査 研 究 -フランスにおける 取 組 を 中 心 として- 報 告 書 平 成 26 年 6 月 健 康 保 険 組 合 連 合 会

目 次 I. 調 査 研 究 の 概 要... 1 1. 背 景 と 目 的... 1 2. 調 査 研 究 の 実 施 体 制... 2 3. 調 査 研 究 の 方 法... 2 II. フランスにおける 医 療 医 薬 品 等 の 評 価 に 関 する 取 組 状 況... 3 1. フランスの 医 療 保 障 制 度 の 概 要... 3 (1) 医 療 保 障 制 度 体 系... 3 (2) 医 療 費 の 動 向 と 医 療 費 抑 制 策... 7 (3) 財 源 構 成...11 (4) 保 険 給 付...12 (5) 医 療 提 供 体 制...16 (6) 保 険 者 と 医 療 提 供 者 との 関 係 : 全 国 協 約...18 (7) 診 療 報 酬 制 度 等...19 2. フランスにおける 医 療 医 薬 品 等 の 評 価 に 関 する 関 係 機 関...22 (1) HAS...22 (2) CEPS...39 (3) ANSM...41 3. 医 薬 品 医 療 材 料 に 関 する 評 価...42 (1) 医 薬 品...42 (2) 医 療 材 料...53 (3) 最 近 の 動 向...67 III. わが 国 の 制 度 と 最 近 の 動 向...69 1. わが 国 の 制 度...69 (1) 医 薬 品...69 (2) 医 療 材 料...82 (3) 医 療 技 術...95 2. わが 国 における 医 療 医 薬 品 等 の 評 価 に 関 する 取 組 状 況... 102 (1) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 における 費 用 対 効 果 評 価 専 門 部 会 の 設 置... 102 (2) 費 用 対 効 果 評 価 専 門 部 会 の 委 員 構 成... 104 (3) 費 用 対 効 果 評 価 専 門 部 会 での 審 議 状 況... 105 (4) 費 用 対 効 果 評 価 専 門 部 会 における 議 論 の 中 間 的 な 整 理... 106 (5) 今 後 の 動 向... 116

IV. わが 国 への 示 唆... 117 (1) 医 療 技 術 評 価 に 関 わる 体 制... 117 (2) 保 険 収 載 の 仕 組 み... 118 (3) 保 険 収 載 に 関 わる 保 険 者 の 役 割... 118 (4) 医 療 技 術 評 価 において 保 険 者 が 強 化 すべき 機 能... 119 医 療 経 済 評 価 の 応 用 について -フランスでの 取 組 から 得 られる 示 唆 を 含 めて- 国 立 保 健 医 療 科 学 院 統 括 研 究 官 福 田 敬

I. 調 査 研 究 の 概 要 1. 背 景 と 目 的 近 年 わが 国 では 医 療 費 の 適 正 化 や 医 療 資 源 の 有 効 活 用 医 療 の 質 の 向 上 などの 観 点 から 医 療 における 費 用 対 効 果 の 視 点 が 注 目 されるようになってきている 2011 年 5 月 12 日 に 厚 生 労 働 省 は 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 における 議 論 のた たき 台 として 社 会 保 障 改 革 の 方 向 性 と 具 体 策 を 公 表 したが この 中 で 保 険 償 還 価 格 の 設 定 における 医 療 経 済 的 な 観 点 を 踏 まえたイノベーションの 評 価 等 のさらなる 検 討 を 行 うことが 課 題 として 盛 り 込 まれた 診 療 報 酬 等 を 審 議 する 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 ( 以 下 中 医 協 ) では これ 以 前 からも 医 療 経 済 的 な 評 価 や 費 用 対 効 果 の 観 点 を 導 入 する 意 見 がしばしば 出 されていたが 平 成 24 年 度 診 療 報 酬 改 定 に 係 る 答 申 書 附 帯 意 見 ( 2012 年 2 月 10 日 )で 革 新 的 な 新 規 医 療 材 料 やその 材 料 を 用 いる 新 規 技 術 革 新 的 な 医 薬 品 の 保 険 適 用 の 評 価 に 際 し 費 用 対 効 果 の 観 点 を 可 能 な 範 囲 で 導 入 することについて 検 討 を 行 うこと とされた これを 受 けて 中 医 協 に 費 用 対 効 果 評 価 専 門 部 会 が 設 置 され 2012 年 5 月 23 日 に 初 回 の 部 会 が 開 催 された 現 在 費 用 対 効 果 評 価 専 門 部 会 では 医 療 保 険 制 度 における 費 用 対 効 果 評 価 導 入 のあり 方 に 係 る 論 点 課 題 及 び 評 価 の 手 法 における 技 術 的 な 論 点 課 題 等 について 検 討 が 行 われている 諸 外 国 に 目 を 転 じると 医 療 技 術 1 に 関 する 医 学 的 経 済 的 評 価 ( 医 療 技 術 評 価 )の 取 組 は 1990 年 代 初 頭 より 始 まっており 導 入 国 も 増 えている 特 に 1999 年 に 設 立 さ れたイギリスの NICE 2 (National Institute for Health and Care Excellence 国 立 保 健 医 療 研 究 所 )での 取 組 は 他 国 における 医 療 技 術 評 価 の 取 組 に 大 きな 影 響 を 与 えたといえる ド イツでは 2004 年 に IQWiG(Instituts für Qualität und Wirtschaftlichkeit im Gesundheitswesen 医 療 技 術 評 価 機 構 )が 設 立 され その 役 割 を 拡 大 している また フランスでも 2005 年 1 月 に HAS(Haute Autorité de Santé 高 等 保 健 機 構 )が 創 設 され 医 療 技 術 評 価 を 実 施 している 今 後 のわが 国 の 医 療 財 政 を 取 り 巻 く 環 境 を 踏 まえると わが 国 においても 医 療 技 術 評 価 特 に 費 用 対 効 果 の 観 点 からの 評 価 に 関 する 取 組 の 必 要 性 や 重 要 性 が 増 すことは 十 分 に 予 想 されるため 他 国 の 取 組 実 態 等 を 調 査 し 示 唆 を 得 ることは 有 意 義 である そこ で 本 調 査 研 究 では わが 国 と 同 じ 社 会 保 険 方 式 を 採 用 し 医 療 技 術 評 価 の 結 果 に 基 づ 1 医 薬 品 医 療 材 料 等 も 含 めて ここでは 医 療 技 術 としている 2 NICE は 1999 年 に 設 立 されて 以 降 NICE という 略 称 は 変 わらないものの 正 式 名 称 は 今 までに 2 度 変 更 され その 役 割 も 変 わっている 1999 年 に 設 立 した 当 時 の 正 式 名 称 は National Institute for Clinical Excellence であり NHS で 提 供 される 医 療 の 内 容 と 質 のばらつきを 解 消 することを 目 的 とした 機 関 であっ た 2005 年 に 健 康 推 進 機 構 (Health Development Agency)と 統 合 してからは 疾 病 予 防 や 健 康 増 進 に 寄 与 する 公 衆 衛 生 ガイドラインを 開 発 するようになり 名 称 は National Institute for Health and Clinical Excellence となった さらに Health and Social Care Act 2012 により 2013 年 4 月 からは Non Departmental Public Body (NDPB) 政 府 外 公 共 機 関 という 法 的 位 置 づけとなり ソーシャルケアのガイドラインの 作 成 や 品 質 基 準 の 開 発 についても 役 割 を 担 うようになった この 時 に 現 在 の 名 称 となった 1

き 保 険 償 還 価 格 を 決 定 する 際 に 保 険 者 も 参 加 しているフランスの 取 組 状 況 について 文 献 調 査 を 実 施 することとした 2. 調 査 研 究 の 実 施 体 制 本 調 査 研 究 は 以 下 のメンバーにより 実 施 した 委 員 棟 重 卓 三 脇 山 哲 郎 長 井 輝 臣 和 田 勝 日 立 健 康 保 険 組 合 常 務 理 事 九 州 電 力 健 康 保 険 組 合 副 理 事 長 健 康 保 険 組 合 連 合 会 参 与 健 康 保 険 組 合 連 合 会 参 与 事 務 局 健 康 保 険 組 合 連 合 会 企 画 部 社 会 保 障 研 究 グループ 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 株 式 会 社 また 本 調 査 研 究 では 福 田 敬 国 立 保 健 医 療 科 学 院 研 究 情 報 支 援 研 究 センター 上 席 主 任 研 究 官 に 調 査 研 究 全 般 のアドバイザーを 依 頼 した 3. 調 査 研 究 の 方 法 本 調 査 研 究 は フランスの 医 療 保 障 制 度 の 概 要 や 保 険 償 還 決 定 の 仕 組 み 費 用 対 効 果 評 価 の 取 組 状 況 体 制 わが 国 の 費 用 対 効 果 評 価 の 検 討 状 況 等 を 把 握 するために 広 く 文 献 等 を 収 集 し 分 析 を 行 った また 福 田 敬 国 立 保 健 医 療 科 学 院 研 究 情 報 支 援 研 究 センター 上 席 主 任 研 究 官 に フランスにおける 医 療 技 術 評 価 の 取 組 についての 講 師 を 依 頼 し 研 究 会 を 開 催 した なお 本 調 査 研 究 で 引 用 参 考 にした 文 献 は 巻 末 に 掲 載 した 2

II. フランスにおける 医 療 医 薬 品 等 の 評 価 に 関 する 取 組 状 況 1. フランスの 医 療 保 障 制 度 の 概 要 (1) 医 療 保 障 制 度 体 系 フランスの 医 療 保 障 制 度 は 社 会 保 険 方 式 をベースにした 医 療 保 障 制 度 である わが 国 との 違 いは 1 公 的 医 療 保 険 制 度 ( 基 礎 制 度 一 階 部 分 強 制 加 入 )とこれで 償 還 さ れない 部 分 をカバーする 補 足 的 医 療 保 険 ( 補 足 制 度 二 階 部 分 任 意 加 入 )の 二 階 建 て 構 造 となっていること 2 職 域 をベースにしており わが 国 の 国 民 健 康 保 険 のような 地 域 保 険 が 存 在 しないこと( 職 域 保 険 の 集 まりであること) 3 高 齢 者 に 限 定 した 医 療 保 険 制 度 が 存 在 しないこと 4 公 的 扶 助 対 象 者 も 普 遍 的 医 療 給 付 により 医 療 保 険 制 度 の 枠 組 みに 組 み 入 れたこと などが 挙 げられる 3 図 表 1 フランスにおける 医 療 保 障 制 度 の 概 要 二 階 部 分 補 足 的 医 療 保 険 公 的 医 療 保 険 制 度 一 階 部 分 一 般 制 度 特 別 制 度 自 営 業 者 制 度 農 業 制 度 基 礎 的 疾 病 給 付 ( 資 料 ) 医 療 経 済 研 究 機 構 フランス 医 療 保 障 制 度 に 関 する 研 究 会 フランス 医 療 関 連 データ 集 2011 年 版 p90 などをもとに 改 編 1 公 的 医 療 保 険 制 度 とその 管 理 運 営 組 織 フランス 医 療 保 障 制 度 の 一 階 部 分 に 相 当 する 公 的 医 療 保 険 制 度 は 被 用 者 制 度 と 非 被 用 者 制 度 に 大 別 できる このうち 被 用 者 制 度 としては 民 間 の 商 工 業 被 用 者 を 対 象 とする 一 般 制 度 (régime général) と 公 務 員 等 を 対 象 とする 特 別 制 度 (régimes spéciaux) が 存 在 する なお 特 別 制 度 というのは 公 務 員 や 船 員 鉱 山 労 働 者 など 特 定 の 企 業 や 業 種 ごとに 組 織 される 個 別 制 度 の 総 称 である 3 加 藤 智 章 フランスにおける 医 療 保 険 者 の 役 割 健 保 連 海 外 医 療 保 障 No.85 (2010 年 3 月 ) 3

また 非 被 用 者 制 度 としては 農 業 以 外 の 自 営 業 者 のための 自 営 業 者 制 度 (régime social des indépendants:rsi) 4 と 農 業 従 事 者 を 対 象 とする 農 業 制 度 (régime agricole) 5 が 存 在 する フランスでは わが 国 と 異 なり 民 間 企 業 等 の 被 用 者 であれば 所 得 額 に 関 係 なく 一 般 制 度 に 加 入 することが 義 務 付 けられており 8 割 近 い 国 民 がこの 一 般 制 度 の 加 入 者 となっている 被 保 険 者 の 扶 養 家 族 も 被 扶 養 者 として 当 該 制 度 の 加 入 者 とな る また 年 齢 によって 加 入 する 制 度 が 変 わることはなく 退 職 者 も 現 役 時 代 の 制 度 に そのまま 継 続 して 加 入 する 形 となっている( 高 齢 者 を 対 象 とした 医 療 保 険 制 度 は 存 在 し ない) 公 的 医 療 保 険 制 度 は 複 数 の 分 立 した 制 度 からなり その 管 理 運 営 組 織 である 保 険 者 も 制 度 ごとに 存 在 するため 複 数 制 度 複 数 保 険 者 による 多 元 的 な 構 造 となっている こ のうち 国 民 の 大 半 を 占 める 一 般 制 度 の 保 険 者 は 全 国 被 用 者 医 療 保 険 金 庫 (caisse nationale d assurance maladie des travailleurs salariés:cnamts) である 以 前 は この CNAMTS の 下 部 組 織 として 地 域 圏 金 庫 (caisses régionales d assurance maladie:cram) と 県 単 位 で 組 織 される 医 療 保 険 初 級 金 庫 (caisses primaires d assurance maladie:cpam) が 存 在 していた CNAMTS は 公 法 人 であるが CRAM と CPAM は 私 法 人 である CRAM は 主 に 予 防 及 び 労 災 関 係 の 業 務 を 行 ってきたが 2009 年 改 革 により 医 療 保 険 関 係 の 業 務 は 地 域 圏 保 健 庁 (agence régionale de la santé:ars)へと 移 行 した 6 CNAMTS が 医 療 保 険 制 度 の 運 営 全 般 に 関 わる 業 務 を 担 当 し CPAM が 被 保 険 者 の 資 格 管 理 や 給 付 等 の 実 務 面 を 担 当 している なお 保 険 料 の 徴 収 は 社 会 保 障 家 族 手 当 保 険 料 徴 収 機 構 (unions de recouvrement des cotisations de sécurité sociale et d allocations familiales:urssaf) が 行 っているが この 中 央 組 織 として 社 会 保 障 組 織 中 央 機 構 (agence centrale des organismes de sécurité sociale:acoss) がある 以 前 は CNAMTS の 同 数 の 労 使 代 表 による 理 事 会 が 意 思 決 定 機 関 として 診 療 報 酬 に 関 する 全 国 協 約 ( 以 下 協 約 )の 締 結 をはじめとする 医 療 政 策 の 決 定 に 携 わって いたが 2004 年 8 月 13 日 の 法 律 ( 2004 年 改 革 ) によりこの 理 事 会 は 廃 止 され 替 わりに 諮 問 機 関 として 評 議 会 が 創 設 された また 事 務 局 長 から 事 務 総 長 に 変 わり この 事 務 総 長 が 評 議 会 の 定 める 政 策 方 針 の 原 案 を 作 成 し 評 議 会 の 定 めた 方 針 を 具 体 的 に 実 施 するなど 管 理 運 営 の 責 任 を 負 うこととなった なお 事 務 総 長 は 社 会 保 障 担 当 大 臣 が 任 命 し 5 年 任 期 となっている 特 別 制 度 の 保 険 者 は 例 えば 公 務 員 を 対 象 にした 公 務 員 共 済 鉱 業 従 事 者 を 対 象 にした 鉱 業 社 会 保 障 全 国 自 治 金 庫 (CANSSM) 国 鉄 職 員 (フランス 国 有 鉄 道 公 社 : SNCF)を 対 象 にした 特 別 制 度 の 保 険 者 など 職 域 ごとの 保 険 者 がそれぞれの 制 度 の 管 4 独 立 労 働 者 社 会 制 度 ( 稲 森 公 嘉 第 3 章 フランス 加 藤 智 章 西 田 和 弘 編 世 界 の 医 療 保 障 法 律 文 化 社 (2013 年 6 月 )) 自 営 業 者 社 会 制 度 ( 江 口 隆 裕 フランス 医 療 保 障 の 制 度 体 系 と 給 付 の 実 態 - 基 礎 制 度 と 補 足 制 度 の 関 係 を 中 心 に- 筑 波 ロー ジャーナル 10 号 (2011:10) )と 訳 す 場 合 があるが 本 報 告 書 では 自 営 業 者 制 度 とした 5 農 業 制 度 の 保 険 者 は mutualité sociale agricole:msa である 6 稲 森 公 嘉 第 3 章 フランス 加 藤 智 章 西 田 和 弘 編 世 界 の 医 療 保 障 法 律 文 化 社 (2013 年 6 月 ) 4

理 運 営 を 行 っている 2004 年 改 革 では 保 険 者 間 の 連 携 を 促 すための 組 織 として 全 国 医 療 保 険 金 庫 連 合 (union nationale de la caisse d assurance maladie:uncam) が 創 設 された そして こ の UNCAM が 保 険 者 を 代 表 して 医 師 組 合 等 の 各 医 療 従 事 者 を 代 表 する 全 国 組 合 との 協 約 を 締 結 する 権 限 を 有 している UNCAM は 国 から 保 険 償 還 ( 給 付 ) 対 象 となる 医 療 行 為 や 給 付 率 ( 償 還 率 )の 決 定 権 限 を 移 譲 されている なお UNCAM の 事 務 総 長 は CNAMTS の 事 務 総 長 が 兼 ねることとなっている 2 補 足 的 医 療 保 険 とその 管 理 運 営 組 織 先 にも 述 べたように フランス 医 療 保 障 制 度 の 特 徴 として 補 足 的 医 療 保 険 ( 補 足 制 度 )の 存 在 が 挙 げられる この 補 足 的 医 療 保 険 は 公 的 医 療 保 険 制 度 における 自 己 負 担 部 分 等 をカバーする 保 険 であり 文 字 通 り 公 的 医 療 保 険 制 度 の 補 完 的 役 割 を 果 たして いる( 代 替 関 係 ではない) 補 足 的 医 療 保 険 は 以 前 から 存 在 する 任 意 加 入 の 私 的 保 険 であるが 後 述 するように 近 年 はわが 国 での 医 療 扶 助 対 象 者 や 低 所 得 者 に 相 当 する 人 たちも 加 入 しやすいよう 支 援 制 度 が 創 設 拡 充 されており 現 在 は 国 民 のおよそ 9 割 が 加 入 している 補 足 的 医 療 保 険 にすべての 国 民 が 加 入 しやすい 仕 組 みが 整 い 実 際 に 国 民 の 加 入 率 が 高 まるのに 伴 い フランス 医 療 保 障 制 度 における 補 足 的 医 療 保 険 の 役 割 は 重 要 性 を 増 している 補 足 的 医 療 保 険 の 保 険 者 は 共 済 法 典 に 基 づく 共 済 組 合 (mutuelles) 社 会 保 障 法 典 の 適 用 を 受 ける 労 使 共 済 組 織 (institutions de prévoyance) 保 険 法 典 に 基 づく 保 険 会 社 (sociétés d assurance) である 7 3 普 遍 的 医 療 給 付 フランスは 職 域 をベースにした 医 療 保 障 制 度 であることから いずれの 制 度 にも 該 当 しない 失 業 者 無 職 者 などの 存 在 が 問 題 となっていた そこで 1999 年 に 普 遍 的 医 療 給 付 (couverture maladie universelle:cmu) が 創 設 され 公 的 医 療 保 険 に 加 入 できな い 者 あるいは 公 的 医 療 保 険 に 加 入 しているものの 補 足 的 医 療 保 険 には 加 入 していない 者 などを 医 療 保 険 制 度 の 枠 組 みに 包 含 する 制 度 ができた これにより 社 会 的 排 除 問 題 を 解 決 するとともに 国 民 皆 保 険 制 度 を 実 現 した 基 礎 的 CMU は いずれの 公 的 医 療 保 険 制 度 にも 加 入 していない 者 8 が 一 般 制 度 に 加 入 するための 制 度 である また 基 礎 的 CMU の 居 住 要 件 を 満 たしており かつ 所 7 共 済 組 合 と 労 使 共 済 組 織 は 根 拠 法 が 異 なるもののどちらも 非 営 利 の 私 法 上 の 法 人 であるが 保 険 会 社 は 営 利 を 目 的 とする 法 人 である 詳 細 は 江 口 隆 裕 フランス 医 療 保 障 の 制 度 体 系 と 給 付 の 実 態 - 基 礎 制 度 と 補 足 制 度 の 関 係 を 中 心 に- 筑 波 ロー ジャーナル 10 号 (2011:10) 8 ただし フランスに 6 か 月 以 上 安 定 的 かつ 合 法 的 に 居 住 していることとする 居 住 要 件 がある 制 度 創 設 当 初 は 3 か 月 以 上 であったのが 2007 年 改 正 で 6 か 月 以 上 となった 5

得 が 限 度 額 未 満 の 者 を 対 象 にした 補 足 的 CMU がある この 補 足 的 CMU では 所 得 が 限 度 額 未 満 の 低 所 得 者 が 補 足 的 医 療 保 険 に 加 入 しやすいよう 補 足 的 医 療 保 険 の 保 険 料 負 担 を 支 援 するものである この 他 補 足 医 療 扶 助 (aide pour une complémentaire santé) が 存 在 する 補 足 医 療 扶 助 は 所 得 が 補 足 的 CMU の 所 得 限 度 額 を 超 えている ものの 一 定 額 未 満 である 低 所 得 者 に 対 して 年 齢 別 の 定 額 扶 助 を 行 うことで 補 足 的 医 療 保 険 の 保 険 料 軽 減 を 図 るための 仕 組 みである このように フランスでは 基 礎 的 CMU 補 足 的 CMU 補 足 医 療 扶 助 により すべ ての 国 民 が 公 的 医 療 保 険 だけではなく 補 足 的 医 療 保 険 にも 加 入 しやすい 仕 組 みとなっ ている 9 9 江 口 隆 裕 フランス 医 療 保 障 の 制 度 体 系 と 給 付 の 実 態 - 基 礎 制 度 と 補 足 制 度 の 関 係 を 中 心 に- 筑 波 ロ ー ジャーナル 10 号 (2011:10) 6

(2) 医 療 費 の 動 向 と 医 療 費 抑 制 策 1 医 療 費 の 動 向 フランスの 国 民 1 人 当 たり 総 医 療 費 は 4,016 ドルで OECD 加 盟 国 中 最 も 高 いアメリ カ 合 衆 国 のおよそ 2 分 の 1 の 水 準 となっている ただし OECD 加 盟 国 34 か 国 中 10 位 であり 比 較 的 高 い 水 準 といえる 順 位 図 表 2 国 民 1 人 当 たり 総 医 療 費 (2010 年 PPP 換 算 US$) 国 名 1 人 当 たり 総 医 療 費 順 位 国 名 1 人 当 たり 総 医 療 費 1 アメリカ 合 衆 国 8,247 18 日 本 3,213 2 ノルウェー 5,413 19 ニュージーランド 3,042 3 スイス 5,299 20 スペイン 3,034 4 オランダ 5,028 21 イタリア 3,019 5 デンマーク 4,495 22 ポルトガル 2,767 6 オーストリア 4,457 23 ギリシャ 2,624 7 カナダ 4,445 24 スロベニア 2,364 8 ルクセンブルク 4,403 25 スロヴァキア 2,094 9 ドイツ 4,349 26 韓 国 2,086 10 フランス 4,016 27 イスラエル 2,081 11 ベルギー 3,965 28 チェコ 1,884 12 オーストラリア 3,800 29 ハンガリー 1,656 13 アイルランド 3,780 30 ポーランド 1,395 14 スウェーデン 3,717 31 チリ 1,368 15 イギリス 3,422 32 エストニア 1,274 16 アイスランド 3,299 33 メキシコ 977 17 フィンランド 3,239 34 トルコ 906 ( 注 )メキシコは 推 計 値 ニュージーランドは 算 出 方 法 が 異 なる トルコは 2009 年 の 数 値 ( 資 料 )OECD, OECD Health Data 2013: Health status: OECD Health Statistics (database) より 作 成 7

総 医 療 費 の 対 GDP 比 は 1980 年 には 7.0%であったが 1990 年 には 8.4% 2000 年 に は 10.1% 2010 年 には 11.6%と 次 第 に 高 くなっている 図 表 3 総 医 療 費 の 対 GDP 比 (%) 1980 年 1990 年 2000 年 2010 年 公 的 支 出 5.6 6.4 8.0 9.0 民 間 支 出 1.4 2.0 2.1 2.7 総 支 出 7.0 8.4 10.1 11.6 ( 資 料 )OECD, OECD Health Data 2013: Health status: OECD Health Statistics (database) より 作 成 医 療 サービス 薬 剤 医 療 材 料 等 の 医 療 費 は 2000 年 には 1,259 億 ユーロであったが 毎 年 増 加 し 2012 年 には 約 1,825 億 ユーロと 1.45 倍 の 規 模 に 達 している 内 訳 について みると 2012 年 の 病 院 医 療 費 は 2000 年 時 の 1.29 倍 通 院 診 療 費 は 1.37 倍 患 者 移 送 費 は 1.72 倍 薬 剤 費 は 1.85 倍 その 他 の 医 療 財 費 は 1.89 倍 となっている 特 に 物 に 対 する 医 療 費 支 出 が 大 きくなっている 図 表 4 医 療 費 ( 百 万 ユーロ) 2000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 1. 病 院 医 療 ( 短 期 中 期 入 院 精 神 科 ) 63,195 68,487 70,005 71,170 73,281 75,550 77,680 79,586 81,725 公 的 病 院 49,212 52,774 53,657 54,336 55,764 57,436 59,132 60,888 62,584 民 間 病 院 13,983 15,714 16,348 16,834 17,517 18,114 18,548 18,698 19,141 2. 通 院 診 療 31,441 37,372 38,039 39,211 39,908 40,758 41,272 41,990 42,946 医 師 15,429 16,485 16,456 16,692 16,810 17,130 16,935 16,978 17,298 パラメディカル 6,274 8,071 8,553 9,198 9,610 9,996 10,503 11,019 11,604 歯 科 医 師 6,735 8,740 8,860 9,036 9,107 9,169 9,297 9,365 9,484 検 査 2,678 3,769 3,869 3,993 4,100 4,190 4,260 4,362 4,285 温 泉 治 療 ( 規 定 治 療 費 ) 325 307 301 292 281 273 277 266 275 3. 患 者 移 送 2,086 2,816 2,956 3,081 3,172 3,268 3,416 3,464 3,591 4. 薬 剤 22,792 30,688 32,694 34,807 36,370 38,087 39,395 41,204 42,180 5.その 他 の 医 療 財 6,378 8,753 9,277 9,933 10,387 10,560 11,088 11,555 12,073 眼 鏡 3,532 4,242 4,435 4,592 4,665 4,790 4,938 5,156 5,318 補 綴 補 装 具 車 椅 子 1,178 1,556 1,678 1,796 1,917 1,976 2,084 2,200 2,357 医 療 材 料 1,668 2,954 3,164 3,545 3,805 3,794 4,066 4,199 4,398 医 療 費 合 計 (1+2+3+4+5) 125,892 148,116 152,971 158,202 163,118 168,223 172,851 177,799 182,515 ( 注 ) 数 値 は 2005 年 をベースにした 百 万 ユーロ 単 位 ( 資 料 )DREES, Comptes nationaux de la santé 2012 8

2 医 療 費 抑 制 策 と ONDAM フランスでは 医 療 費 増 大 を 背 景 に 当 時 のアラン ジュペ 首 相 が 1995 年 11 月 に 国 民 議 会 で 社 会 保 障 制 度 改 革 である ジュペプラン を 公 表 した その 後 憲 法 が 改 正 され 社 会 保 障 の 財 政 均 衡 の 一 般 的 な 条 件 を 決 定 し 収 入 の 見 込 みを 考 慮 して 支 出 目 標 を 設 定 する 社 会 保 障 財 政 法 (Loi de financement de la sécurité sociale:lfss) が 創 設 された 1996 年 12 月 27 日 に 1997 年 社 会 保 障 財 政 法 が 成 立 し これ 以 降 毎 年 12 月 に 翌 年 度 の 社 会 保 障 財 政 法 (LFSS)が 制 定 されることとなった 10 社 会 保 障 財 政 法 では 翌 年 度 の 医 療 保 険 支 出 額 に 関 する 全 国 目 標 である ONDAM (objectif national d évolution des dépenses de l assurance maladie 全 国 医 療 保 険 支 出 目 標 ) の 他 それに 関 連 した 諸 施 策 が 制 定 される ONDAM は 1) 開 業 医 療 費 11 2)T2A 12 医 療 施 設 関 連 費 ( 病 院 医 療 費 ) 3)その 他 の 医 療 施 設 関 連 費 (リハビリ 病 院 精 神 科 病 院 長 期 医 療 施 設 ) 4) 医 療 保 険 の 高 齢 者 向 け 施 設 サービス 費 拠 出 金 5) 医 療 保 険 の 障 害 者 向 け 施 設 サービス 費 拠 出 金 6)その 他 の 費 用 の 6 つの 区 分 に 細 分 化 され それぞれ に 支 出 目 標 が 設 定 されている 13 ONDAM については 導 入 当 初 である 1997 年 は 実 績 額 が 目 標 額 の 範 囲 内 に 収 まった ものの 98 年 以 降 は 毎 年 目 標 額 を 上 回 る 実 績 となった このため 2005 年 8 月 22 日 の 社 会 保 障 財 政 法 に 関 する 組 織 法 により ONDAM を 達 成 するために 警 告 委 員 会 (comité de l alerte) を 設 置 し 支 出 額 の 動 向 を 監 視 することとなった 近 年 ONDAM の 目 標 額 に 収 まるようになってきている 10 笠 木 映 里 医 療 制 度 - 近 年 の 動 向 現 状 課 題 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 海 外 社 会 保 障 研 究 No.161 ( 2007) 11 開 業 医 の 費 用 以 外 に 公 的 病 院 でプライベートとして 実 施 された 医 師 の 行 為 や 処 方 された 医 薬 品 等 に 対 する 費 用 も 含 まれている プライベートの 診 療 で 処 方 された 医 薬 品 等 は ONDAM によって 直 接 規 制 される わけではないが 社 会 保 障 財 政 法 では その 医 薬 品 を 提 供 している 会 社 によって 製 造 された 保 険 償 還 対 象 医 薬 品 の 全 売 上 高 の 増 加 率 の 最 大 値 (K 率 )が 設 定 される 12 T2A ベースの 報 酬 を 受 ける 病 院 によって 提 供 される 医 療 費 で 公 的 部 門 における 外 来 も 含 む T2A につ いては 後 述 する 13 稲 森 公 嘉 第 3 章 フランス 加 藤 智 章 西 田 和 弘 編 世 界 の 医 療 保 障 法 律 文 化 社 (2013 年 6 月 ) 9

病 院 医 療 費 については 各 費 目 に 応 じて ONDAM が 細 分 化 されている T2A 分 野 の 施 設 のうち 医 薬 品 埋 込 型 医 療 材 料 は 約 40 億 ユーロとなっている 図 表 5 2011 年 の 病 院 医 療 費 に 関 する ONDAM の 内 訳 ONDAM 病 院 72 014 M T2A 分 野 (MCO- 全 セクター) 53 894 M T2A 分 野 以 外 18 120 M ODMCO 45 774 M MIGAC 8 120M AC MERRI その 他 の MIG 公 立 非 営 利 目 的 の 私 立 病 院 (ODAM) 15 658M 営 利 目 的 の 私 立 病 院 年 間 医 療 費 ( 救 急 サービ ス 臓 器 の 摘 出 ) 1 106M Part tarifs 40 577M 医 薬 品 埋 込 型 医 療 材 料 4 071M USLD 1 014M DAF 14 644M OQN PSY/SSR 2 462M ( 原 典 )ATIH, Observatoire économique de l hospitalisation publique et privée ( 注 ) 図 中 の 略 称 は 以 下 の 通 り ONDAM(objectif national des dépenses d assurance maladie): 全 国 医 療 保 険 支 出 目 標 FMESPP(fonds de modernisation des établissements de santé publics et privés): 公 立 私 立 医 療 機 関 の 近 代 化 のための 資 金 ODMCO(objectif national des dépenses de médecine, chirurgie et obstétrique): 全 国 の 内 科 外 科 産 科 支 出 目 標 MIGAC(missions d intérêt général et d aide à la contractualisation): 公 益 と 契 約 化 援 助 のミッション( 総 医 療 費 抑 制 のため 公 立 民 間 医 療 機 関 の 内 科 外 科 産 科 業 務 の 一 部 を 支 出 管 理 する 基 金 Jpn Pharmacol Ther( 薬 理 と 治 療 )vol. 38 no. 2 2010 より) MERRI(missions d enseignement, recherche, référence et innovation): 教 育 研 究 リファレンス 改 革 ミッション MIG(missions d intérêt général): 公 益 ミッション AC(aide a la contractualisation): 契 約 化 援 助 ODAM(objectif des depenses d assurance maladie): 医 療 保 険 支 出 目 標 USLD(unite de soins de longue duree): 長 期 滞 在 型 入 院 施 設 DAF(dotation annuelle de financement): 年 間 予 算 配 分 OQN PSY/SSR(objectif national quantifie, psychiatrie et soins de suite et de readaptation): 精 神 科 と 継 続 的 治 療 とリハビリテーションの 医 療 保 険 支 出 に 関 する 全 国 量 的 目 標 (OQN の 訳 は< 財 務 省 財 務 総 合 政 策 研 究 所 フィナンシャル レビュー September 2006>より) HAD: 在 宅 入 院 医 療 ( 資 料 )DREES, Le Panorama des établisssement de santé 2013 10

14 (3) 財 源 構 成 公 的 医 療 保 険 制 度 の 財 源 は 1946 年 から 1991 年 までの 間 賃 金 給 与 所 得 を 賦 課 対 象 とする 保 険 料 で 賄 われてきた 保 険 料 は 応 能 負 担 により 算 出 された 保 険 料 を 事 業 主 と 被 用 者 で 拠 出 するものであった 当 初 は 保 険 料 算 定 基 礎 上 限 額 が 設 けられていたが その 後 廃 止 された フランス 医 療 保 障 制 度 では 保 険 料 中 心 の 財 源 であったが 1990 年 代 に 入 ると CSG (contribution sociale généralisée 一 般 社 会 拠 出 金 ) と 呼 ばれる 税 財 源 が 医 療 保 険 に 投 入 されるようになった CSG は 当 初 は 家 族 手 当 や 老 齢 年 金 に 充 当 されていたが その 後 医 療 保 険 にも 投 入 されることになった 1997 年 社 会 保 障 財 政 法 により CSG 率 を 1 ポイント 引 き 上 げ 被 用 者 負 担 の 保 険 料 率 を 1.3 ポイント(6.80% 5.50%) 引 き 下 げ た 続 いて 1998 年 社 会 保 障 財 政 法 では CMU の 導 入 に 向 けて CSG を 大 幅 に 引 き 上 げて 15 代 わりに 被 用 者 の 負 担 する 保 険 料 (5.50% 0.75%)を 大 幅 に 引 き 下 げた こう した 経 緯 もあり 現 在 の 保 険 料 率 は 被 用 者 が 0.75%であるのに 対 し 事 業 主 は 13.10% と 大 きな 差 がある 形 となっており 労 使 折 半 を 原 則 とするわが 国 とは 大 きく 異 なる 状 況 となっている 毎 年 制 定 される 社 会 保 障 財 政 法 により 様 々な 租 税 等 が 医 療 保 険 にも 充 当 されており 現 在 は 財 源 の 半 分 は 租 税 で 賄 われる 状 況 となっており 租 税 代 替 化 が 進 んでいる 14 財 源 政 策 の 変 遷 については 柴 田 洋 二 郎 4 章 フランス 医 療 保 険 制 度 における 事 業 主 の 役 割 健 康 保 険 組 合 連 合 会 健 康 保 険 制 度 における 事 業 主 の 役 割 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 ( 平 成 23 年 3 月 )に 詳 しい 15 具 体 的 には 稼 働 所 得 資 産 所 得 投 資 益 については 4.1 ポイント 代 替 所 得 については 2.8 ポイント 引 き 上 げられた 11

(4) 保 険 給 付 フランス 医 療 保 険 では 患 者 が 医 療 サービスを 受 けた 際 に 負 担 した 医 療 費 の 全 部 また は 一 部 を 償 還 する 償 還 払 い 方 式 が 採 用 されてきた しかし これは 患 者 にとって 経 済 的 負 担 が 大 きく 手 続 き 面 でも 負 担 があることから 近 年 は 受 診 時 に 患 者 が 患 者 自 己 負 担 分 のみを 支 払 う 第 三 者 支 払 方 式 が 増 え 現 物 給 付 化 している 1 給 付 の 範 囲 公 的 医 療 保 険 制 度 では 公 立 病 院 及 び 民 間 病 院 における 病 院 医 療 リハビリテーショ ン 一 般 医 専 門 医 歯 科 医 師 助 産 師 による 外 来 医 療 診 断 臨 床 検 査 規 定 の 医 薬 品 医 療 器 具 医 療 材 料 規 定 の 医 療 関 連 移 送 サービスが 保 険 給 付 対 象 となっている また 省 令 で 定 められているワクチン 接 種 などの 予 防 も 給 付 対 象 となっており その 範 囲 は 拡 大 している 2007 年 からは 禁 煙 治 療 のための 製 品 をカバーするため 喫 煙 者 に 対 して 1 年 間 に 50 ユーロの 定 額 予 算 が 充 てられるようになった フランスでは 公 的 医 療 保 険 制 度 の 給 付 対 象 として 外 来 医 療 と 入 院 医 療 を 厳 格 に 区 別 している このうち 外 来 医 療 の 給 付 対 象 については 明 確 なポジティブ リスト(3 種 類 の 医 療 従 事 者 による 行 為 別 公 定 リスト(NGAP NABM CCAM) 償 還 医 薬 品 リ スト(LSPR) 償 還 医 療 材 料 等 リスト(LPP 16 )) が 存 在 する また 病 院 の 入 院 医 療 に ついては フランス 版 DRG/PPS である T2A(GHS 毎 の 報 酬 ) と 呼 ばれる 診 療 報 酬 制 度 の 他 この 診 療 報 酬 表 に 上 乗 せして 報 酬 が 支 払 われる 高 額 な 革 新 的 医 薬 品 医 療 材 料 の 特 別 リストが 存 在 する 病 院 の 医 師 は 例 えば 法 令 やガイドラインなどに 明 記 され ていない 限 り 患 者 に 対 してどのような 治 療 を 行 うか あるいはどのような 医 薬 品 を 処 方 するか( 医 薬 品 が 販 売 承 認 を 受 けている 限 り)を 決 めることができる このため 革 新 的 な 技 術 や 医 薬 品 医 療 材 料 はまず 病 院 において 導 入 されるが この 場 合 病 院 では GHS の 上 乗 せとしての 報 酬 の 支 払 いを 受 けることはない(いわゆる 病 院 の 持 ち 出 し になる) その 後 上 述 の 革 新 的 な 医 療 に 対 する 特 別 リストあるいはその 他 の 保 険 給 付 リストに 収 載 されるようになれば GHS 価 格 に 上 乗 せした 価 格 で 報 酬 を 受 け 取 ること ができる なお わが 国 と 同 様 で 美 容 外 科 は 保 険 給 付 対 象 ではない また 効 果 が 不 確 実 なサー ビスも 対 象 外 である さらに 例 えばスクリーニング 目 的 のマンモグラフィーなどは 制 限 回 数 内 であれば 給 付 対 象 であるが それを 超 えると 給 付 対 象 外 となるものもある 17 従 来 フランスでは 幅 広 く 保 険 給 付 対 象 としてきたため ポジティブ リストの 収 載 項 目 も 増 加 していく 傾 向 があった しかし 近 年 医 療 費 抑 制 の 観 点 から 保 険 給 付 に ついて 慎 重 な 姿 勢 となっている 特 に 医 薬 品 や 医 療 材 料 でその 傾 向 がみられる 具 体 的 16 LPPR と 略 すこともある 17 European Observatory on Health Systems and Policies, France Health system review, Health Systems in Transiotion Vol.12 No.6 2010 12

には 1990 年 代 に 効 能 に 十 分 なエビデンスが 認 められない 医 薬 品 をポジティブ リス トから 外 すことが 提 案 された 結 果 的 に 政 治 的 に 困 難 な 面 もあり 実 行 までに 時 間 を 要 したものの 2003 年 にこれらの 医 薬 品 をポジティブ リストから 外 すことが 決 まっ た 2003 年 から 2005 年 にかけて 数 百 の 医 薬 品 がリストから 除 外 されている これを 契 機 に 保 険 給 付 のポジティブ リストから 除 外 するという 施 策 への 推 進 力 となり その 後 も 同 様 の 決 定 が 行 われている 図 表 6 公 的 医 療 保 険 給 付 対 象 のポジティブ リスト リスト 対 象 Nomenclature générale des actes professionnels(ngap) 医 療 従 事 者 による 医 療 行 為 Nomenclature des actes de biologie médicale(nabm) Classification commune des actes médicaux(ccam) Liste des spécialités pharmaceutiques remboursables (LSPR) Liste des spécialités agréées aux collectivités(lsac) Liste de produits et prestations remboursables(lpp) 検 査 医 師 による 技 術 行 為 薬 剤 薬 剤 医 療 材 料 及 び 関 連 サービス ( 資 料 )European Observatory on Health Systems and Policies, France Health system review, Health Systems in Transiotion Vol.12 No.6 2010 2 償 還 率 ( 給 付 率 ) フランスの 公 的 医 療 保 険 制 度 では わが 国 とは 異 なり 償 還 率 ( 給 付 率 )はサービス の 内 容 や 医 療 提 供 者 等 によって 異 なっており 複 雑 な 体 系 となっている 例 えば 入 院 費 用 の 償 還 率 は 80% 医 師 歯 科 医 師 による 診 療 費 用 は 70% 生 物 学 的 検 査 費 用 は 60% 病 理 検 査 費 用 は 70% 移 送 費 は 65%となっている 医 師 による 診 療 費 は 70%の 償 還 率 であるが これはかかりつけ 医 を 利 用 した 場 合 であり かかりつけ 医 を 利 用 しない 場 合 の 償 還 率 は 30%となっている ただし 16 歳 未 満 の 場 合 はかかりつけ 医 を 利 用 しない 受 診 であっても 償 還 率 は 70%となる この 他 高 齢 者 連 帯 手 当 または 老 齢 連 帯 基 金 の 補 足 手 当 の 受 給 者 である 場 合 例 えば 医 師 による 診 療 費 の 償 還 率 は 80%になるなど 償 還 率 が 一 般 の 患 者 と 異 なる 場 合 もある なお 医 薬 品 については 薬 剤 の 種 類 によって 償 還 率 が 100% 65% 30% 15%と 4 つに 分 かれている 18 18 後 述 する 13

診 療 報 酬 図 表 7 公 的 医 療 保 険 制 度 における 償 還 率 ( 給 付 率 )(2011 年 5 月 2 日 改 訂 ) 一 般 アルザス モーゼ ル 地 方 *1 高 齢 者 連 帯 手 当 または 老 齢 連 帯 基 金 の 補 足 手 当 の 受 給 者 医 師 歯 科 医 師 助 産 師 の 報 酬 70% 90% 80% 医 療 補 助 者 ( 看 護 師 等 )の 報 酬 *2 60% 90% 80% 検 査 費 用 薬 剤 B 分 類 の 行 為 ( 生 物 学 的 行 為 ) 60% 90% 80% P 分 類 の 行 為 ( 病 理 細 胞 解 剖 検 査 ) 70% 90% 80% 医 師 歯 科 医 師 助 産 師 による 検 体 採 取 70% 90% 80% 医 療 補 助 者 等 による 検 体 採 取 60% 90% 80% HIV 及 び C 型 肝 炎 の 抗 体 検 査 100% 100% 100% 白 ラベルの 薬 剤 65% 90% 65% 青 ラベルの 薬 剤 30% 80% 30% オレンジラベルの 薬 剤 15% 15% 15% 代 替 性 のない 特 に 高 価 な 薬 剤 100% 100% 100% PMR 65% 90% 65% PM4 30% 80% 30% PMH 30% 80% 30% その 他 の 医 療 費 眼 科 コンタクトレンズ 補 聴 器 小 型 機 器 60% 90% 80% 大 型 機 器 ( 補 装 具 義 歯 車 椅 子 ) 100% 100% 100% 人 体 からの 生 産 物 ( 血 液 母 乳 精 液 ) 100% 100% 100% 移 送 費 65% 100% 100% 温 泉 療 法 入 院 診 療 報 酬 ( 包 括 的 医 療 指 導 補 足 的 医 療 行 為 ) 70% 90% 80% 水 治 療 法 65% 90% 80% 宿 泊 費 用 移 送 費 用 65% 65% 80% 入 院 による 温 泉 療 法 80% 100% 100% 入 院 費 用 *3 80% 100% 80% 他 の 病 院 への 転 院 100% 100% 100% *1 アルザス モーゼル 地 方 に 居 住 する 人 に 適 用 される 制 度 *2 看 護 師 マッサージ 物 理 療 法 士 言 語 療 法 士 視 能 矯 正 士 (orthoptistes) 足 治 療 専 門 医 *3 入 院 費 用 には 滞 在 費 手 術 室 費 医 師 医 療 補 助 者 への 報 酬 及 び 検 査 費 用 が 含 まれる ( 資 料 )ameli.fr- Relevé et taux de remboursement(2014 年 2 月 アクセス) 14

3 患 者 負 担 外 来 医 療 については かかりつけ 医 による 診 療 費 用 の 償 還 率 は 70%であることから 30% 分 の 患 者 負 担 が 発 生 する これに 加 え 受 診 1 回 につき 1 ユーロの 受 診 時 定 額 負 担 金 (participation forfaitaire)が 発 生 する この 受 診 時 定 額 負 担 金 は 2004 年 8 月 13 日 法 により 2005 年 1 月 1 日 から 開 始 された 制 度 で 外 来 受 診 ( 生 体 検 査 レントゲン 検 査 含 む)ごとに 1 ユーロの 患 者 負 担 が 発 生 するが 1 日 につき 4 ユーロ 年 間 につき 50 ユーロの 上 限 が 設 けられている また 免 責 負 担 金 (franchises medicales)があり 薬 剤 (1 パッケージにつき) 及 び 医 療 補 助 者 の 行 為 (1 行 為 につき)については 0.5 ユー ロ 移 送 費 (1 回 につき)については 2 ユーロが 患 者 負 担 となる ただし 年 間 の 負 担 は 50 ユーロまでとなっている 19 この 他 セクター2 と 呼 ばれる 医 師 20 を 受 診 した 場 合 協 約 で 定 められた 診 療 報 酬 を 超 えた 部 分 は 患 者 の 負 担 となる 入 院 医 療 については 入 院 費 用 の 80%が 第 三 者 支 払 方 式 で 医 療 機 関 に 支 払 われるこ とから 残 りの 20%が 患 者 負 担 となる 21 また わが 国 と 同 様 で 個 室 料 やテレビ 代 な どのアメニティ 部 分 の 費 用 は 患 者 負 担 となる 協 約 外 の 病 院 に 入 院 した 場 合 協 約 料 金 を 超 えた 部 分 は 患 者 負 担 となる この 他 1 日 18 ユーロ( 精 神 科 病 院 の 場 合 は 13.5 ユ ーロ)の 入 院 時 定 額 負 担 金 が 患 者 負 担 となっている 4 補 足 的 医 療 保 険 制 度 によるカバー 前 述 のように フランスでは 公 的 医 療 保 険 制 度 と 補 足 的 医 療 保 険 の 二 階 構 造 となって いる 補 足 的 医 療 保 険 は 任 意 加 入 であるが 公 的 医 療 保 険 制 度 における 患 者 負 担 をカバ ーするという 補 完 的 役 割 を 担 っており 多 くの 国 民 が 加 入 している 逆 をいえば 国 民 は 補 足 的 医 療 保 険 に 加 入 することで 外 来 医 療 や 入 院 医 療 検 査 薬 剤 移 送 などの 医 療 サービスを 自 己 負 担 なしで 受 けることができることを 意 味 する ただし かかりつけ 医 を 利 用 しない 場 合 に 適 用 される 70%の 患 者 負 担 分 や 受 診 時 定 額 負 担 金 免 責 負 担 金 については 補 足 的 医 療 保 険 における 医 療 給 付 対 象 として 補 填 することが 禁 止 されてい る 22 なお 入 院 時 定 額 負 担 金 については 補 足 的 医 療 保 険 からの 保 険 給 付 は 認 められて いる 19 妊 婦 18 歳 未 満 の 者 CMU 受 給 者 は 受 診 時 定 額 負 担 金 及 び 免 責 負 担 金 は 免 除 されている 20 後 述 する 21 特 定 慢 性 疾 患 (ALD)の 患 者 などの 場 合 は 20%の 患 者 負 担 は 発 生 しない また 継 続 して 30 日 以 上 入 院 する 場 合 の 31 日 目 以 降 の 費 用 については 全 額 保 険 給 付 対 象 となり 20%の 患 者 負 担 は 発 生 しない 22 加 藤 智 章 フランスにおける 患 者 負 担 の 動 向 健 康 保 険 組 合 連 合 会 健 保 連 海 外 医 療 保 障 No.96 (2012 年 12 月 ) 15

(5) 医 療 提 供 体 制 1 医 師 フランスでは 医 師 の 権 限 が 強 く 医 師 には 1) 患 者 による 医 師 選 択 の 自 由 2) 医 師 の 開 業 の 自 由 3) 医 師 の 処 方 の 自 由 4) 医 師 の 診 療 報 酬 決 定 の 自 由 といった 4 つの 自 由 が 認 められてきた 23 近 年 これらの 自 由 について 一 部 制 限 がかかるといったことは あるものの 医 師 の 権 限 は 依 然 として 強 く 保 険 医 という 概 念 が 存 在 しない 公 的 医 療 保 険 における 保 険 給 付 との 関 係 に 限 定 した 場 合 一 般 医 と 専 門 医 セクター 1 とセクター2 かかりつけ 医 (médecin traitant)か 否 かといった 3 つの 類 型 がある 24 まず 一 般 医 と 専 門 医 の 区 分 についてであるが 現 在 フランスでは 2005 年 の 医 師 養 成 課 程 の 改 革 により 一 般 医 も 専 門 医 の 一 つとして 位 置 付 けられるようになった ただ し 一 般 医 と 一 般 医 以 外 の 専 門 医 とでは 業 務 が 明 確 に 分 けられており 血 液 検 査 などは 一 般 医 では 実 施 できないため 患 者 に 紹 介 状 を 書 き 専 門 医 に 実 施 してもらうことにな っている 次 にセクター1 とセクター2 の 区 分 であるが これは 診 療 報 酬 上 の 扱 いの 違 いである セクター1 の 医 師 は 公 的 医 療 保 険 の 保 険 者 と 医 師 組 合 25 との 間 で 締 結 される 全 国 協 約 に 拘 束 されるが セクター2 の 医 師 は 全 国 協 約 にかかわらず 自 由 に 価 格 を 設 定 できる 医 師 である なお セクター2 については 1990 年 の 協 約 以 降 新 規 採 択 は 原 則 として 凍 結 されている 26 最 後 にかかりつけ 医 か 否 かという 区 分 であるが フランスでは 2005 年 より かか りつけ 医 制 度 が 導 入 されている かかりつけ 医 は 一 般 医 でも 専 門 医 でもなることがで きる 患 者 はかかりつけ 医 の 紹 介 状 なしに 他 の 医 師 にかかることもできるため イギリ スの GP のようなゲートキーパーとしての 拘 束 力 はないが 患 者 がかかりつけ 医 の 紹 介 状 なしに 他 の 医 師 に 受 診 した 場 合 患 者 は 診 察 費 用 の 基 本 料 部 分 しか 保 険 者 から 償 還 さ れない 仕 組 みとなっている 2 医 療 機 関 フランスでは 開 業 医 療 と 病 院 医 療 があり 両 者 は 制 度 上 も 実 態 上 も 明 確 に 区 別 され ている 一 方 で わが 国 のような 病 院 と 診 療 所 を 分 ける 定 義 は 存 在 しない 27 開 業 医 療 23 医 療 経 済 研 究 機 構 フランス 医 療 保 障 制 度 に 関 する 研 究 会 フランス 医 療 関 連 データ 集 2011 年 版 24 加 藤 智 章 フランスにおける 医 療 保 険 者 の 役 割 健 康 保 険 組 合 連 合 会 健 保 連 海 外 医 療 保 障 No.85 ( 2010 年 3 月 ) 25 医 師 組 合 の 代 表 的 な 組 織 として フランス 医 師 組 合 同 盟 (CSMF) 自 由 医 師 組 合 (SML) フランス 一 般 医 組 合 (MG France)などがある 医 師 の 組 織 としてはこの 医 師 組 合 の 他 強 制 加 入 の 公 的 団 体 であ る 医 師 会 ( 医 師 界 の 自 律 を 担 う 組 織 として 医 師 の 懲 戒 権 限 等 も 与 えられている 専 門 職 同 業 団 体 )があ る 26 稲 森 公 嘉 第 3 章 フランス 加 藤 智 章 西 田 和 弘 編 世 界 の 医 療 保 障 法 律 文 化 社 (2013 年 6 月 ) 27 フランスで 病 院 は 公 立 の 総 合 入 院 施 設 を クリニック は 民 間 病 院 や 個 人 病 院 に 当 たる 入 院 施 設 を 16

が 行 われる 施 設 は 最 低 限 の 施 設 設 備 があればよく 看 護 師 や 受 付 係 も 置 かずに 医 師 が 1 人 で 外 来 診 療 に 従 事 している 場 合 が 多 い ただし 近 年 は 複 数 の 開 業 医 でグループ 医 療 を 行 うケースも 増 えている 一 方 病 院 医 療 は 基 本 的 に 公 立 また 民 間 の 医 療 施 設 によって 提 供 される フランスの 病 院 は 公 法 上 の 法 人 である 公 立 病 院 と 私 法 上 の 法 人 である 民 間 病 院 に 分 けられる 民 間 病 院 はさらに 営 利 病 院 と 非 営 利 病 院 に 分 けられる 民 間 病 院 では さらに 公 的 病 院 サービスの 参 加 の 有 無 により 公 的 病 院 サービスに 参 加 する 民 間 病 院 とその 他 の 民 間 病 院 に 分 けられていた しかし 現 在 は 2009 年 法 により 公 的 病 院 サービス の 概 念 自 体 が 廃 止 されたため この 区 分 はなくなっている 28 フランスの 公 立 病 院 は その 診 療 能 力 と 規 模 により 地 方 病 院 センター( 大 学 病 院 セン ター) 病 院 センター 地 域 病 院 等 に 区 分 される 図 表 8 医 療 機 関 数 及 び 病 床 数 医 療 機 関 事 業 体 数 病 床 及 び 療 養 スペース 総 数 完 全 入 院 の 病 床 数 自 宅 入 院 (HAD) 以 外 の 療 養 スペース 公 立 病 院 地 方 病 院 センター 33 84,308 75,374 8,934 病 院 センター 556 157,934 142,759 15,175 精 神 病 センター 88 40,451 26,208 14,243 地 域 病 院 246 10,332 10,294 38 その 他 15 1,298 1,123 175 公 立 病 院 計 938 294,323 255,758 38,565 民 間 病 院 急 性 疾 患 治 療 施 設 712 94,346 80,479 13,867 がん 対 策 センター(CLCC) 19 3,679 2,884 795 私 立 精 神 病 院 237 23,854 18,127 5,727 中 長 期 入 院 施 設 730 58,289 52,664 5,625 アフタケア リハビリ 施 設 672 55,540 49,916 5,624 長 期 入 院 施 設 58 2,749 2,748 1 その 他 49 2,361 2,085 276 民 間 病 院 計 1,747 182,529 156,239 26,290 総 計 2,685 476,852 411,997 64,855 ( 注 ) 2011 年 12 月 31 日 現 在 ( 海 外 県 を 除 く) 訳 語 は 医 療 経 済 研 究 機 構 フランス 医 療 関 連 データ 集 2011 年 版 p53 に 基 づく ( 原 典 )DREES, Statistique annuelle des établissements de santé ( 資 料 )http://www.insee.fr/fr/themes/tableau.asp?.reg_id=0&ref_id=nattef06116 より 作 成 指 しているが これらを 本 報 告 書 では 一 括 して 病 院 として 取 り 扱 う 28 稲 森 公 嘉 第 3 章 フランス 加 藤 智 章 西 田 和 弘 編 世 界 の 医 療 保 障 法 律 文 化 社 (2013 年 6 月 ) 17

(6) 保 険 者 と 医 療 提 供 者 との 関 係 : 全 国 協 約 公 的 医 療 保 険 制 度 では 公 立 病 院 の 他 公 的 医 療 保 険 制 度 における 全 国 協 約 (convention médicale) と 呼 ばれる 契 約 に 基 づき 民 間 医 療 提 供 者 ( 民 間 病 院 開 業 医 等 )の 医 療 サービスに 対 する 保 険 給 付 が 行 われる 公 的 医 療 保 険 制 度 において 民 間 医 療 提 供 者 は 保 険 者 の 代 表 組 織 である UNCAM と 各 医 療 従 事 者 組 合 の 代 表 的 な 全 国 的 組 合 との 間 で 締 結 された 協 約 に 全 国 レベルで 拘 束 される この 協 約 は 医 師 歯 科 医 師 助 産 師 看 護 師 薬 剤 師 理 学 療 法 士 言 語 療 法 士 等 の 各 医 療 従 事 者 組 合 の 代 表 的 な 全 国 的 組 合 臨 床 検 査 所 移 送 サービス 提 供 者 医 療 材 料 製 造 販 売 業 者 などの 各 代 表 組 織 との 間 で 結 ばれる この 協 約 では 診 療 報 酬 ( 全 国 一 本 の 協 約 料 金 )の 他 保 険 者 医 療 提 供 者 双 方 の 義 務 について 詳 細 を 取 り 決 めている 協 約 はあくまでも 当 事 者 間 の 交 渉 によって 内 容 を 決 定 し 締 結 するものである が 大 臣 の 認 可 を 受 けて 効 力 を 生 じるものとなっている このように フランスでは 当 事 者 自 治 を 尊 重 した 仕 組 みとなっているが 交 渉 が 難 航 し 協 約 が 締 結 できない 場 合 は 行 政 機 関 が 定 める 責 任 料 金 表 が 費 用 償 還 の 基 礎 となる 18

(7) 診 療 報 酬 制 度 等 フランスでは 開 業 医 療 では 出 来 高 払 い 制 病 院 医 療 では 予 算 制 による 診 療 報 酬 支 払 方 式 を 長 らく 採 用 してきたが 2000 年 代 の 中 頃 からは 実 績 ベースの 診 療 報 酬 に 変 わっ ている 開 業 医 療 では 出 来 高 払 い 方 式 の 原 則 を 損 なうことなく 業 績 に 応 じた 支 払 い 方 式 (pay for perfomance)の 要 素 を 取 り 入 れた 診 療 報 酬 制 度 となっている また 病 院 医 療 では T2A と 呼 ばれる 診 療 報 酬 制 度 の 下 GHS 価 格 表 が 導 入 されている 1 病 院 に 対 する 報 酬 等 従 来 公 立 病 院 と 非 営 利 目 的 の 民 間 病 院 ( 全 病 床 のおよそ 8 割 を 占 める)については 総 枠 予 算 方 式 による 診 療 報 酬 支 払 い 方 式 が 採 用 されていた この 総 枠 予 算 方 式 では 過 去 の 予 算 をベースに 予 算 が 配 分 されるため 医 療 ニーズや 公 平 性 を 反 映 した 資 源 配 分 とな っていないという 問 題 があった 一 方 営 利 目 的 の 民 間 病 院 ( 全 病 床 のおよそ 2 割 を 占 める)では 入 院 費 用 ( 室 料 看 護 費 用 薬 剤 などを 含 む)については 1 日 当 たりの 定 額 払 いと 医 師 の 診 療 行 為 等 に 対 する 追 加 的 報 酬 ( 技 術 定 額 費 例 えば 手 術 室 定 額 費 (forfait de salle d opération))による 支 払 い 方 式 が 採 用 されていた このように フランスでは 公 立 病 院 非 営 利 目 的 の 民 間 病 院 に 対 する 支 払 い 方 式 と 営 利 目 的 の 民 間 病 院 に 対 する 支 払 い 方 式 とで 異 なる 体 系 となっていた しかし 財 政 面 で の 効 率 性 と 公 平 性 を 改 善 すること 公 立 病 院 と 民 間 病 院 の 支 払 い 方 法 を 統 合 することに より 公 立 病 院 と 民 間 病 院 との 競 争 性 を 高 めることを 目 的 に 急 性 期 医 療 ( 特 に 薬 剤 手 術 産 科 領 域 )で 公 立 病 院 及 び 民 間 病 院 にフランス 版 DRG/PPS 方 式 の T2A(tarification à l activité) が 導 入 された 公 立 病 院 では 2004 年 に 公 立 病 院 予 算 の 10% 相 当 分 から 始 まり 2005 年 には 病 院 予 算 の 50% 2008 年 に 病 院 予 算 の 100%といった 具 合 に 徐 々に T2A の 適 用 範 囲 が 拡 大 された 一 方 民 間 病 院 では 2005 年 3 月 に 一 斉 に T2A が 導 入 さ れた 慢 性 期 医 療 と 精 神 医 療 を 除 くが すべての 病 院 では 活 動 に 応 じた あるいは 同 一 入 院 群 (groupes homogènes de séjours:ghs)をベースにした 支 払 いが 行 われる PMSI (Programme de médicalisation des systems d information) と 呼 ばれる 医 療 情 報 システム 事 業 が 病 院 医 療 償 還 額 を 計 算 するための 基 準 として 活 用 されている 入 院 患 者 はおよそ 2,200 の 診 断 群 (groupes homogènes de malades:ghm DRG に 相 当 )の 1 つに 分 類 され これに 年 齢 なども 加 味 されて GHS が 決 定 する 仕 組 みとなっている 現 在 公 立 病 院 と 民 間 病 院 に 対 する 支 払 い 方 法 は 異 なったままであり GHS 価 格 表 は 別 々に 計 算 されて いる しかし 2018 年 からは 両 者 の 支 払 い 方 法 と 価 格 表 を 統 合 することが 目 標 として 掲 げられている T2A の 仕 組 みでは 病 院 医 療 への 財 政 配 分 として 実 績 ベースの 支 払 い と 実 績 ベ ースではない 支 払 い の 2 通 りがある まず 実 績 ベースの 支 払 いとしては 1)GHS 価 格 表 と 2) 入 院 医 療 以 外 の 病 院 の 活 動 に 対 する 追 加 費 用 3) 高 額 な 技 術 診 療 に 対 19

する 追 加 支 払 いがある このうち 高 額 な 技 術 診 療 に 対 する 追 加 費 用 に 関 しては 高 額 な 医 薬 品 医 療 材 料 を 明 確 にしたリストがある 高 額 で 革 新 的 な 技 術 が 敬 遠 されるこ とを 避 けるため こうした 技 術 については まずは GHS 価 格 表 に 上 乗 せした 追 加 費 用 が 支 払 われる T2A の 仕 組 みでは こうした 技 術 は 徐 々に GHS に 統 合 されてその 中 で 費 用 も 賄 われていくものとされている 実 績 ベースではない 支 払 いとしては 1) 包 括 予 算 2) 公 益 事 業 に 対 する 財 政 配 分 3) 革 新 的 な 技 術 診 療 に 対 する 財 政 配 分 が ある 包 括 予 算 として 救 急 や 臓 器 移 植 のような 活 動 に 対 して 毎 年 予 算 がまとめて 配 分 される 公 益 事 業 に 対 する 財 政 配 分 は 調 査 教 育 疫 学 的 サーベイランス 助 言 等 の 取 組 に 対 する 財 政 配 分 である 革 新 的 な 技 術 診 療 に 対 する 財 政 配 分 としては 高 額 な 革 新 技 術 に 対 する 財 政 支 援 である STIC(soutien aux technologies innovantes et coûteuses) と 呼 ばれる 補 助 金 が 配 分 される これにより 革 新 的 技 術 の 導 入 を 促 進 している 2 医 師 等 に 対 する 報 酬 等 開 業 医 については 出 来 高 払 い 方 式 により 診 療 報 酬 が 支 払 われる 償 還 払 い 制 度 の 下 で 通 常 開 業 医 はサービス 提 供 時 点 で 患 者 から 直 接 報 酬 を 受 け 取 る 患 者 は 後 日 保 険 者 からの 償 還 払 いにより 患 者 負 担 を 除 く 保 険 給 付 分 相 当 額 を 受 け 取 る 仕 組 みとなってい る 医 師 に 対 する 報 酬 については NGAP(nomenclature générale des actes professionnels 医 療 行 為 一 般 分 類 表 ) と CCAM(classification commune des actes médicaux 医 療 行 為 共 通 分 類 表 ) の 2 つの 公 定 価 格 が 存 在 する NGAP はわが 国 の 診 療 報 酬 点 数 表 に 相 当 するもので 1973 年 に 導 入 された NGAP では 各 医 療 行 為 別 の 点 数 と 点 数 あたりの 単 価 が 収 載 されている このうち 点 数 は 難 易 度 に 応 じて 行 政 が 決 定 し 単 価 は 保 険 者 と 医 師 組 合 等 との 間 の 交 渉 で 決 められてきた NGAP については 単 価 の 交 渉 等 において 政 治 的 な 思 惑 が 働 き 透 明 性 に 欠 ける 診 療 科 間 における 点 数 の 格 差 がある 領 収 書 の 内 訳 に 診 断 名 や 具 体 的 な 診 療 行 為 が 記 載 されな いため 保 険 者 などが 医 療 費 の 妥 当 性 を 判 断 することができないなどの 問 題 が 指 摘 され ていた 29,30 一 方 病 院 医 療 では 医 師 の 診 療 行 為 に 対 して 従 来 は CdAM と 呼 ばれ る 医 療 行 為 カタログ( 診 療 報 酬 支 払 いを 目 的 としたコード 表 ではない)があった 民 間 営 利 病 院 の 場 合 医 師 の 医 療 行 為 は NGAP に 基 づき 報 酬 を 受 け 公 立 病 院 及 び 民 間 非 営 利 病 院 では CdAM が 用 いられていたが 2004 年 からの GHS 導 入 に 伴 い NGAP と CdAM の 不 整 合 性 の 解 決 が 問 題 となった このため 2004 年 改 革 で NGAP と CdAM に 代 わり 共 通 の 医 療 行 為 分 類 表 を 作 成 することになった これが CCAM である 29 松 田 晋 哉 フランスの 医 療 制 度 の 概 要 医 療 経 済 研 究 機 構 フランス 医 療 関 連 データ 集 2011 年 版 p97-p98 参 照 30 NGAP の 詳 細 問 題 点 については 笠 木 映 里 公 的 医 療 保 険 の 給 付 範 囲 ~ 比 較 法 を 手 がかりとした 基 礎 的 考 察 ~ ( 有 斐 閣 2008 年 )に 詳 述 されている 20

CCAM は 医 療 行 為 の 記 述 をするためのコード と 支 払 い 関 連 のコード を 組 み 合 わせたコード 体 系 となっており NGAP と 比 較 すると 診 療 内 容 の 詳 細 がわかるものとな っている NGAP は 2005 年 から 部 分 的 に CCAM に 置 き 換 えられている 長 い 時 間 をか けて いずれ 完 全 に CCAM に 置 き 換 えることとなっているが CCAM がまだ 開 発 中 であることや 医 療 提 供 者 と 保 険 者 との 間 で 検 討 及 び 交 渉 が 行 われている 段 階 というこ ともあり NGAP と CCAM が 併 存 している なお 先 に 述 べたように セクター1 の 医 師 は 協 約 料 金 に 基 づき 患 者 に 請 求 するが かかりつけ 医 の 紹 介 がない 受 診 の 場 合 には 協 約 で 定 める 上 限 の 範 囲 内 であれば 協 約 料 金 を 超 えて 請 求 することができる セクター2 の 医 師 は 協 約 料 金 を 超 えた 金 額 を 請 求 で きる 21

2. フランスにおける 医 療 医 薬 品 等 の 評 価 に 関 する 関 係 機 関 た ここでは フランスにおける 医 療 医 薬 品 等 の 評 価 に 関 する 関 係 機 関 の 概 要 を 整 理 し (1) HAS 1 HAS の 位 置 づけと 基 本 的 役 割 HAS(haute autorité de santé: 高 等 保 健 機 構 ) は 2004 年 8 月 13 日 の 法 律 により 2005 年 1 月 1 日 に 設 立 された 機 関 である HAS の 法 的 位 置 づけや 役 割 等 は 社 会 保 障 法 典 (Code de la sécurité sociale)の 第 6 部 ( 給 付 及 び 治 療 に 関 する 規 定 - 医 学 的 統 制 - 社 会 的 給 付 に 対 する 監 視 )の 第 1 章 の 2(HAS: 高 等 保 健 機 構 )に 規 定 されている(L161-37 条 ~L161-46 条 ) HAS は 法 人 格 を 与 えられた 科 学 的 な 性 格 を 有 する 独 立 の 公 的 機 関 であり 医 療 の 質 と 効 率 性 を 確 保 するための 中 心 的 な 役 割 を 担 っている HAS はジュペプランのもとで 設 立 された ANAES(agence nationale d accréditation et d evaluation en santé: 全 国 医 療 評 価 認 証 機 構 ) の 役 割 を 継 承 し その 役 割 を 拡 大 した 組 織 ともいえる HAS は すべての 患 者 利 用 者 が 可 能 な 限 り 効 果 的 で 安 全 かつ 効 率 的 な 医 療 に 公 平 かつ 持 続 的 にアクセスできるよう 医 療 製 品 ( 医 薬 品 医 療 材 料 等 )や 診 療 行 為 医 療 公 衆 衛 生 の 組 織 を 評 価 する 役 割 を 担 っている 2005 年 に 業 務 を 開 始 して 以 降 HAS の 役 割 は 徐 々に 拡 大 している HAS の 業 務 内 容 は 大 きくは 評 価 勧 告 と 認 証 の 2 つになるが 具 体 的 には 1) 医 薬 品 医 療 材 料 診 療 行 為 の 有 効 性 の 評 価 2) 保 険 給 付 の 償 還 率 などに 関 する 勧 告 3) 診 療 ガイ ドラインの 作 成 4) 慢 性 疾 患 のディジーズ マネジメントのための 指 針 の 作 成 5) 医 療 機 関 の 適 格 性 認 証 6) 医 師 の 認 証 7) 医 療 情 報 の 質 の 改 善 に 向 けた 各 種 取 組 (e-health のウェブサイトの 認 証 オーダリングシステムのソフトウェアの 認 証 など)など 多 岐 に わたる 31 図 表 9 社 会 保 障 法 典 における HAS の 位 置 づけと 基 本 的 役 割 仮 訳 L.161-37 条 2013 年 12 月 23 日 付 けの 法 律 第 2013-1203 号 第 35(V) 条 により 修 正 法 人 格 を 有 する 科 学 的 性 格 の 独 立 行 政 機 関 である 高 等 保 健 機 構 (HAS)は 以 下 の 任 を 負 う 31 HAS の 役 割 は 社 会 保 障 法 典 L161-37 条 L161-38 条 L161-39 条 L161-40 条 に 規 定 がある 22

1 o 医 療 製 品 医 療 行 為 医 療 給 付 (produits, actes ou prestations de santé)の 期 待 される 効 用 (service attendu)とそれらが 実 際 にもたらす 効 用 (service qu ils rendent)について 定 期 的 に 評 価 を 行 うこと 医 療 製 品 医 療 行 為 医 療 給 付 の 登 録 償 還 医 療 保 険 によ る 引 受 け( 負 担 )に 関 する 決 定 及 び 長 期 疾 患 の 患 者 に 対 する 治 療 の 引 受 けに 関 する 特 別 の 要 件 に 関 する 決 定 の 作 成 (élaboration)に 貢 献 すること このため HAS は 医 療 製 品 医 療 行 為 医 療 給 付 の 処 方 実 施 使 用 の 条 件 とそれらの 有 効 性 に 関 して 意 見 を 表 明 する HAS は とりわけ 医 療 製 品 技 術 の 評 価 に 必 要 な 医 療 経 済 的 な 調 査 を 実 施 認 定 する 医 療 製 品 技 術 により 実 現 される 医 療 サービスの 改 善 医 療 製 品 技 術 の 利 用 処 方 に 伴 う 予 測 可 能 なコストの 改 善 及 び 評 価 が 実 施 される 際 の 評 価 基 準 や 適 用 期 間 についての 条 件 などを 理 由 として 医 療 経 済 的 評 価 が 求 められるケースが コンセ イユ デタの 政 令 (デクレ)により 特 定 される 2 o 医 療 安 全 に 関 する 任 務 の 範 囲 内 で 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 (ANSM)による 諸 措 置 に 反 しないという 条 件 の 下 で 治 療 の 適 正 利 用 指 針 あるいはグッドプラクティスに 関 する 勧 告 を 作 成 し その 普 及 に 努 め この 領 域 における 医 療 従 事 者 及 び 一 般 の 人 々へ の 情 報 提 供 に 貢 献 すること 3 o 公 衆 衛 生 法 典 L.1414-3-3 条 に 規 定 さ れ る 医 療 専 門 職 及 び 医 療 チ ー ム の 認 証 (accréditation) 手 続 の 制 定 と 実 施 4 o 公 衆 衛 生 法 典 L.6113-3 条 及 び L.6113-4 条 に 定 める 医 療 施 設 の 認 証 (certification) 手 続 の 制 定 と 実 施 5 o 医 療 制 度 において 国 民 が 受 ける 医 療 の 質 の 評 価 の 発 展 に 寄 与 すること 6 o 治 療 や 予 防 治 療 薬 に 関 する 特 定 の 方 法 を 定 めるあらゆる 法 案 と 政 令 (デクレ)に 関 して 意 見 を 表 明 すること 7 o 生 医 学 研 究 所 (laboratoires de biologie médicale)の 認 証 のために 定 められた 統 一 規 格 への 準 拠 (références)に 関 し 公 衆 衛 生 法 典 第 L.1414-5 条 に 定 められた 意 見 を 表 明 す ること 8 o 利 用 者 及 びその 代 理 人 (représentants) 向 けに 医 療 施 設 における 医 療 行 為 負 担 (charge) の 質 に 関 する 適 切 な 情 報 の 作 成 の 調 整 役 を 務 め その 普 及 を 保 証 すること 9 o 公 衆 衛 生 法 典 第 L.4011-2 条 の 最 終 項 と 第 L.4011-2-3 条 の I 第 2 項 にそれぞれ 定 められ る 意 見 を 表 明 すること これらの 任 務 の 遂 行 のために HAS は とりわけ 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 23

(ANSM) フランスサーベイランス 研 究 所 (InVS) フランス 食 品 環 境 労 働 衛 生 安 全 庁 (ANSES)と 協 力 する HAS は 医 療 分 野 における 研 究 機 能 を 有 する 諸 組 織 と あらゆる 共 同 活 動 を 行 うことができるものとする HAS は 公 衆 衛 生 法 典 第 L.5123-3 条 に 定 められるように HAS の 内 部 に 設 置 され 本 社 会 保 障 法 典 の 第 L.162-17 条 と 公 衆 衛 生 法 典 第 L.5126-4 条 に 記 載 されたリストへの 医 薬 品 の 登 録 に 関 して 諮 問 を 受 ける 委 員 会 による その 会 合 の 議 題 と 少 数 意 見 を 含 む 投 票 結 果 の 詳 細 と 説 明 を 添 えた 会 議 報 告 を 委 員 会 の 内 規 と 共 に 公 開 するものとする た だし 販 売 上 の 戦 略 の 秘 密 に 関 する 情 報 はこの 限 りではない この 任 務 の 遂 行 において HAS は 公 衆 衛 生 法 典 L.1411-2 条 に 言 及 された 公 衆 衛 生 政 策 の 複 数 年 度 目 標 を 考 慮 に 入 れる HAS に 与 えられた 任 務 の 一 環 として 公 衆 衛 生 法 典 第 L.5123-3 条 と 本 社 会 保 障 法 典 第 L.165-1 条 に 定 められた 委 員 会 とは 別 の HAS の 専 門 委 員 会 が 最 も 有 効 な 治 療 処 方 医 療 行 為 負 担 (charge)に 関 する 医 療 経 済 的 勧 告 及 び 意 見 の 作 成 配 布 を 担 当 する HAS は とりわけ 本 社 会 保 障 法 典 第 L.161-41 条 に 定 められた 委 員 会 の 作 業 と 本 条 の 2 の 適 用 により 実 施 される 情 報 提 供 活 動 などに 関 する 年 次 活 動 報 告 書 を 7 月 1 日 ま でに 作 成 し 国 会 と 政 府 に 提 出 するものとする HAS により 設 置 された 委 員 会 以 外 の L.161-41 条 より 同 じく 定 められた 専 門 委 員 会 は 活 動 報 告 書 を 毎 年 国 会 に 提 出 するもの とする この 活 動 報 告 書 には 医 療 保 険 による 医 療 費 負 担 のための 医 療 製 品 の 評 価 基 準 を 導 入 する 際 に そのよりどころとなった 方 法 (modalités) 原 則 (principes)などが 記 載 される 本 条 の 1 と 2 に 基 づき 行 われた 決 定 と 報 告 は 公 共 衛 生 法 典 第 L.1411-3 条 に 定 めら れた 全 国 医 療 会 議 (conférence nationale de santé)に 速 やかに 提 出 される 注 :2011 年 12 月 29 日 の 法 律 第 2011-2012 号 第 41 条 の III:ここに 定 められた 措 置 は それらの 適 用 のために 発 布 される 政 令 (デクレ)により 決 められる 日 付 に 発 効 する た だし 遅 くとも 2012 年 8 月 1 日 には 発 効 するものとする それらが 発 効 し 次 第 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 (ANSM)は 国 立 公 衆 衛 生 医 療 製 品 安 全 庁 (AFSSAPS)の 権 利 全 体 を 行 使 する 一 方 で 国 立 公 衆 衛 生 医 療 製 品 安 全 庁 (AFSSAPS)に 課 せられ る 義 務 全 体 を 負 うものとする この 2011 年 12 月 29 日 の 法 律 第 2011-2012 号 第 41 条 の III 第 1 項 に 定 められた 措 置 が 発 効 するまでは この 法 律 が 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 (ANSM)に 与 える 権 限 は 国 立 公 衆 衛 生 医 療 製 品 安 全 庁 (AFSSAPS)が 行 使 する 2012 年 4 月 27 日 付 けの 政 令 (デクレ) 第 n 2012-597 号 は 2012 年 5 月 1 日 に 発 効 す 24

る L.161-38 条 2011 年 12 月 29 日 付 けの 法 律 第 2011-2012 号 第 32 条 により 修 正 Ⅰ.HAS は 医 療 関 連 サイトの 認 証 手 続 きを 実 施 する Ⅱ.HAS はまた グッドプラクティス(bonne pratique) ルール 全 体 を 遵 守 した 処 方 支 援 ソフトの 認 証 手 続 きも 実 施 する HAS は これらのソフトが グッドプラクティス ルールに 従 い HAS の 医 療 経 済 的 勧 告 と 意 見 を 取 り 入 れて 国 際 的 な 共 通 名 称 で 直 接 処 方 ができ 処 方 の 際 に 製 品 の 価 格 と 処 方 の 総 額 を 表 示 することができ ある 製 品 の 後 発 医 薬 品 リストへの 帰 属 を 表 示 することを 可 能 とし かつ それらのソフトの 考 案 者 及 びそれらのソフト 開 発 費 に 関 する 情 報 を 含 んでいるかという 点 に 留 意 する この 認 証 手 続 きは 医 薬 品 処 方 の 慣 行 の 改 善 を 推 進 するものとする この 手 続 きは 処 方 の 安 全 性 適 合 性 有 効 性 の 点 で 最 低 限 の 要 請 にソフトが 適 合 していることを 保 証 す るものである Ⅲ.HAS は 医 薬 品 供 給 管 理 ソフトの 認 証 手 続 きを 実 施 する 当 局 は これらのソフ トが 世 界 保 健 機 関 (WHO)が 勧 告 した 国 際 的 な 単 一 の 名 称 により または 欧 州 あ るいはフランスの 薬 局 方 における 名 称 により 医 薬 品 の 有 効 成 分 の 解 釈 を 行 うことを 保 証 するものとする この 認 証 手 続 きは 医 薬 品 供 給 管 理 の 慣 行 改 善 を 推 進 するものとする この 手 続 きは 医 薬 品 供 給 の 安 全 性 適 合 性 有 効 性 の 点 で 最 低 限 の 要 請 に ソフトが 適 合 しているこ とを 保 証 するものである Ⅳ.ⅠからⅢに 定 められている 認 証 は フランス 認 証 委 員 会 から 認 定 された 認 証 機 関 に より あるいは HAS により 策 定 されたグッドプラクティス ルールの 遵 守 を 保 証 す る EU 加 盟 国 が 管 轄 する 機 関 により 実 施 され 付 与 されるものとする これらの 認 証 は 少 なくとも 1 つの 機 能 が 医 薬 品 の 処 方 せんの 作 成 支 援 あるいは 医 薬 品 供 給 管 理 支 援 を 提 案 するあらゆるソフトに 対 して コンセイユ デタ 32 の 政 令 (デク レ)によって 規 定 される 条 件 において 遅 くとも 2015 年 1 月 15 日 までに 義 務 付 けられ る 32 フランスの 政 府 機 関 の 1 つであり 国 務 院 と 訳 される フランス 政 府 の 諮 問 機 関 また 行 政 訴 訟 における 最 高 裁 判 所 としての 役 割 を 担 う 25

L.161-39 条 2011 年 12 月 29 日 付 けの 法 律 第 2011-2012 号 第 5 条 により 修 正 HAS は 医 療 製 品 医 療 行 為 医 療 給 付 に 期 待 される 効 用 とそれらが 実 際 にもたら す 効 用 の 評 価 を 随 時 行 うことができる また HAS は 特 に 全 国 医 療 保 険 金 庫 連 合 (UNCAM)から ある 治 療 の 全 体 あるいは 医 療 製 品 医 療 給 付 のカテゴリー 場 合 によっては それらに 伴 う 治 療 のプロトコルの 償 還 の 正 当 性 及 び 条 件 について 諮 問 を 受 けることがある その 際 関 係 する 企 業 施 設 組 織 及 び 業 界 関 係 者 は HAS が 求 め る 情 報 を それらを 匿 名 化 した 上 で HAS に 提 出 する 義 務 を 負 う 全 国 医 療 保 険 金 庫 連 合 (UNCAM) 及 び 公 的 医 療 保 険 制 度 (régime obligatoire d assurance maladie)の 管 理 運 営 を 担 当 している 全 国 金 庫 は これら 機 関 のリスク 管 理 任 務 の 一 環 で 作 成 される 医 療 慣 行 の 基 準 作 成 について また 特 殊 なタイプの 治 療 に 対 する 医 療 保 険 負 担 を 規 制 することを 目 的 とした 基 準 作 成 について HAS に 見 解 を 求 めることがで きる HAS は 要 請 を 受 け 取 ってから 2 か 月 以 内 に 見 解 を 明 らかにするものとする この 期 限 を 超 過 した 場 合 賛 意 を 表 明 したとみなされることとする 医 療 安 全 の 確 保 という 任 務 の 一 環 として 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 (ANSM)が 取 った 措 置 に 反 しない 限 り 特 に 公 衆 衛 生 法 典 L.5311-2 条 に 則 って 取 られた 措 置 に 反 しない 限 り HAS は 公 衆 衛 生 法 典 L.5311-1 条 に 定 められた 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 (ANSM)のグッドプラクティスに 関 する 勧 告 の 作 成 普 及 のための 指 針 を 決 定 し それらの 普 及 を 行 う HAS は 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 (ANSM)に 医 療 関 係 者 向 けに 提 供 される 医 療 製 品 の 広 告 の 審 査 を 付 託 することができる 個 人 情 報 の 伝 達 及 び 処 理 に 関 するルールを 遵 守 しつつ 医 療 保 険 金 庫 (caisses d'assurance maladie)と 医 療 データ 研 究 所 (Institut des données de santé)は HAS の 任 務 に 必 要 な 情 報 を 匿 名 化 した 上 で HAS に 伝 達 する 注 :2011 年 12 月 29 日 付 けの 法 律 第 2011-2012 号 第 41 条 の III:ここに 定 められた 措 置 は それらの 適 用 のために 発 布 される 政 令 (デクレ)により 決 められる 日 付 に 発 効 する ただし 遅 くとも 2012 年 8 月 1 日 には 発 効 するものとする それらが 発 効 し 次 第 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 (ANSM)は 国 立 公 衆 衛 生 医 療 製 品 安 全 庁 (AFSSAPS) の 権 利 全 体 を 行 使 する 一 方 で 国 立 公 衆 衛 生 医 療 製 品 安 全 庁 (AFSSAPS)に 課 せら れる 義 務 全 体 を 負 うものとする この 2011 年 12 月 29 日 付 けの 法 律 第 2011-2012 号 第 41 条 の III 第 1 項 に 定 められた 措 置 が 発 効 するまでは この 法 律 が 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 (ANSM)に 与 える 権 限 は 国 立 公 衆 衛 生 医 療 製 品 安 全 庁 (AFSSAPS)が 行 26

使 する 2012 年 4 月 27 日 付 けの 政 令 (デクレ) 第 n 2012-597 号 は 2012 年 5 月 1 日 に 発 効 す る L.161-40 条 2010 年 2 月 23 日 付 けの 行 政 命 令 (オルドナンス) 第 2010-177 号 により 修 正 国 民 への 医 療 行 為 負 担 の 質 の 評 価 というその 任 務 に 従 い HAS は 以 下 のことを 担 当 する 1 継 続 的 な 医 療 の 発 展 を 支 援 する 活 動 の 質 の 向 上 に 貢 献 し それらの 評 価 に 寄 与 する こと 2 HAS の 管 轄 範 囲 に 属 するもので 公 衆 衛 生 法 典 L.1413-14 条 に 記 載 された 事 象 につ いて その 原 因 となる 組 織 体 制 及 び 医 療 慣 行 を 分 析 し 医 療 関 連 当 局 に 対 し それらの 事 象 の 改 善 に 有 効 なあらゆる 対 策 を 進 言 すること 2 bis 公 衆 衛 生 法 典 L.1411-6 条 において 定 められた 医 療 計 画 の 枠 内 で 実 施 される 定 期 予 防 健 康 診 断 と 検 診 の 一 覧 に 関 する 見 解 を 明 らかにすること 3 保 健 教 育 などに 代 表 される 予 防 行 為 あるいは 予 防 プログラム 診 断 行 為 あるいは 診 断 プログラム 治 療 行 為 あるいは 治 療 プログラムの 質 と 有 効 性 を 評 価 すること L.161-40-1 条 2011 年 12 月 29 日 付 けの 第 2011-2012 号 法 第 8 条 により 制 定 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 (ANSM)は HAS 及 び 全 国 医 療 保 険 金 庫 連 合 (UNCAM) と 協 力 して 保 健 省 の 管 轄 の 下 治 療 法 および 医 療 製 品 の 適 正 利 用 について 行 政 的 科 学 的 データベースを 構 築 する このデータベースは 保 健 省 のサイト 上 で 無 料 閲 覧 ダウンロード 可 能 にし 医 療 関 係 者 や 利 用 者 及 び 医 療 製 品 を 管 轄 する 省 庁 にとってのエ ビデンスとなるものとする このデータベースは 本 社 会 保 障 法 典 L.161-38 条 に 定 め られた 認 証 手 続 きを 申 請 した 処 方 支 援 ソフトの 発 行 者 (éditeurs) 向 けの 医 薬 品 データ ベースの 品 質 憲 章 に 定 められた 基 準 に 適 合 するものとする 政 令 (デクレ)により 本 条 の 適 用 条 件 とりわけデータベースを 一 般 に 無 料 で 公 開 する 際 の 条 件 が 定 められる 27

2 HAS の 組 織 構 造 HAS は 8 人 のメンバーで 構 成 される 統 括 委 員 会 (collège) による 合 議 制 で 運 営 されている この 8 人 のメンバーのうち 1 名 が 委 員 長 である 委 員 については 大 統 領 国 民 議 会 ( 下 院 ) 議 長 元 老 院 ( 上 院 ) 議 長 経 済 社 会 環 境 評 議 会 議 長 (président du conseil économique, social et environnemental)が 各 領 域 の 学 識 経 験 者 の 中 からそれぞれ 2 名 を 指 名 する 委 員 は 最 終 的 に 大 統 領 のデクレ(décret)によって 任 命 される 委 員 の 任 期 は 6 年 で 3 年 ごとに 半 数 が 改 選 され 委 員 長 は 委 員 の 互 選 により 選 任 される なお 委 員 は 1 回 に 限 り 更 新 可 能 となっている 33 ( 最 長 12 年 の 任 期 となる) HAS には 統 括 委 員 会 とは 別 に 専 門 委 員 会 (commissions spécialisées) が 設 置 されて いる この 専 門 委 員 会 には 外 部 の 有 識 者 が 委 員 として 参 画 するが 統 括 委 員 会 の 委 員 が 議 長 を 務 めることとなっている 34 図 表 10 社 会 保 障 法 典 における 統 括 委 員 会 と 専 門 委 員 会 仮 訳 L.161-41 条 2011 年 12 月 21 日 付 けの 第 2011-1906 号 法 により 修 正 HAS には 統 括 委 員 会 (collège) 及 び 統 括 委 員 会 のメンバーが 議 長 を 務 める 専 門 委 員 会 が 設 置 される HAS は その 権 限 の 一 部 を 専 門 委 員 会 に 委 任 することができる 公 衆 衛 生 法 典 L.5123-3 条 本 社 会 保 障 法 典 L.165-1 条 及 び L.161-37 条 において 定 めた 委 員 会 は HAS の 専 門 委 員 会 を 構 成 する それら 専 門 委 員 会 の 権 限 は 統 括 委 員 会 に より 行 使 されうる HAS はその 他 の 専 門 委 員 会 を 設 置 することがある この 場 合 HAS がその 構 成 と 運 営 規 則 を 定 めるものとする L.161-37 条 第 13 項 に 定 められた 専 門 委 員 会 の 名 称 構 成 運 営 規 則 は 統 括 委 員 会 が 定 めるものとする 注 :2004 年 8 月 13 日 付 けの 法 律 第 2004-810 号 第 35 条 の II:HAS の 最 初 の 組 織 の 際 に 委 員 長 を 除 いて 3 年 後 に 任 期 切 れとなる 4 人 のメンバーがくじ 引 きで 任 命 されるもの とする 33 HAS の 統 括 委 員 会 については 社 会 保 障 法 典 L161-42 条 に 規 定 がある 34 社 会 保 障 法 典 L161-41 条 による 28

L.161-42 条 2010 年 6 月 28 日 付 けの 組 織 法 第 2010-704 号 により 修 正 統 括 委 員 会 は HAS が 権 限 を 有 する 領 域 における 資 格 及 び 経 験 に 応 じて 選 ばれた 次 の 8 名 の 構 成 員 から 成 る 1 o 2 o 3 o 4 o 共 和 国 大 統 領 が 指 名 する 2 名 下 院 ( 国 民 議 会 ) 議 長 が 指 名 する 2 名 上 院 議 長 が 指 名 する 2 名 経 済 社 会 環 境 評 議 会 議 長 が 指 名 する 2 名 統 括 委 員 会 の 構 成 員 は 共 和 国 大 統 領 の 政 令 (デクレ)によって 任 命 される 統 括 委 員 会 の 委 員 長 は その 構 成 員 の 中 から 同 じ 条 件 で 任 命 される 統 括 委 員 会 の 構 成 員 の 任 期 は 6 年 で 1 回 の 再 任 が 可 能 である 任 期 満 了 前 の 6 か 月 以 上 にわたり 構 成 員 が 欠 席 となる 場 合 本 条 で 定 められた 条 件 の 下 新 たな 構 成 員 が 任 命 される 新 任 者 の 任 期 は 前 任 者 の 任 期 が 終 了 する 日 までとす る 新 任 者 が 職 務 についた 期 間 が 2 年 未 満 の 場 合 は 再 任 が 可 能 となる 統 括 委 員 会 は 3 年 ごとに 半 数 ずつが 改 選 される 注 :2004 年 8 月 13 日 付 けの 法 律 第 2004-810 号 第 35 条 の II:HAS の 最 初 の 組 織 の 際 に 委 員 長 を 除 いて 3 年 後 に 任 期 切 れとなる 4 人 のメンバーがくじ 引 きで 任 命 されるもの とする 29

現 在 は 次 のとおり 7 つの 専 門 委 員 会 が 設 置 されている このうち 本 調 査 研 究 テ ーマと 関 係 がある CT CNEDiMTS CEESP の 概 要 は 後 述 する 図 表 11 HAS に 設 置 されている 専 門 委 員 会 専 門 委 員 会 の 名 称 Commission de la Transparence (CT) 透 明 性 委 員 会 医 薬 品 の 評 価 基 本 的 な 役 割 Commission nationale d évaluation de dispositifs médicaux et des technologies de santé (CNEDiMTS) 医 療 材 料 医 療 技 術 評 価 委 員 会 Commission Evaluation Economique et de Santé Publique (CEESP) 医 療 経 済 評 価 委 員 会 Commission Parcours de soins et maladies chroniques (CPSMC) 疾 病 管 理 慢 性 疾 患 委 員 会 Commission amélioration des pratiques professionnelles et de la sécurité des patients (CAPPSP) 医 療 従 事 者 による 医 療 行 為 の 改 善 及 び 患 者 の 安 全 に 係 る 委 員 会 Commission de Certification des Établissements de Santé (CCES) 医 療 機 関 認 証 委 員 会 Commission Recommandations de Bonne Pratique (CRBP) 診 療 ガイドライン 委 員 会 医 療 機 器 医 療 材 料 医 療 技 術 ( 診 療 行 為 ) 診 断 方 法 の 評 価 医 療 経 済 学 的 な 評 価 公 衆 衛 生 の 評 価 慢 性 疾 患 に 関 わる 助 言 疾 病 管 理 プログラムの 作 成 医 療 従 事 者 と 患 者 のための 医 療 安 全 医 療 機 関 の 適 格 性 の 認 証 診 療 ガイドラインの 作 成 ( 資 料 )HAS, Les Commissions より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 30

HAS の 内 部 組 織 には 事 務 総 長 (directeur) が 置 かれる この 事 務 総 長 は 統 括 委 員 会 での 審 議 の 後 統 括 委 員 会 の 委 員 長 によって 任 命 される 35 この 事 務 総 長 の 下 に 1) 医 療 経 済 及 び 公 衆 衛 生 評 価 部 門 (direction de l evaluation médicale, economique et de santé publique) 2) 医 療 の 質 と 安 全 性 向 上 部 門 (direction de l amélioration de la qualité et de la sécurité des soins) 3)コミュニケーション 情 報 部 門 (direction de la communication et de l information des publics) 4) 業 務 管 理 部 門 (secrétariat général)の 4 つの 部 門 が 設 置 さ れており 各 部 門 の 中 には 複 数 の 部 が 設 置 されている HAS には 415 名 の 正 規 職 員 がいる この 正 規 職 員 は 一 般 医 専 門 医 精 神 科 医 歯 科 医 師 薬 剤 師 看 護 師 等 の 医 療 専 門 家 や 医 療 経 済 学 の 専 門 家 等 である また 職 員 以 外 に 2 つの 外 部 ネットワークを 活 用 して 業 務 を 遂 行 している 1 つは 地 域 の 臨 床 専 門 家 のネットワークであり もう 1 つは 医 療 機 関 の 認 証 を 行 うための 調 査 員 のネットワーク である 約 700 人 の 調 査 員 を 含 む 2,800 人 の 外 部 有 識 者 等 により HAS の 活 動 は 支 援 さ れている 36 図 表 12 社 会 保 障 法 典 における 組 織 構 造 仮 訳 L.161-43 条 2004 年 8 月 13 日 付 けの 法 律 第 2004-810 号 第 35 条 の V(2004 年 8 月 17 日 付 けフラン ス 共 和 国 官 報 )により 制 定 HAS は 統 括 委 員 会 の 意 見 を 聴 取 した 後 統 括 委 員 会 の 長 により 任 命 される 一 人 の 事 務 総 長 (directeur)の 権 限 の 下 に 置 かれる 複 数 の 部 局 (services)を 有 する 事 務 総 長 の 提 案 に 基 づいて 統 括 委 員 会 は 部 局 の 内 部 規 定 を 定 める 統 括 委 員 会 の 委 員 長 は 司 法 の 場 及 び 民 事 におけるすべての 裁 判 上 の 行 為 において HAS を 代 表 する このため 統 括 委 員 会 の 長 は 事 務 総 長 に 代 理 権 限 ( 委 任 状 )を 与 えることができる HAS の 職 員 は 社 会 保 障 機 関 の 職 員 に 適 用 される 団 体 協 約 あるいは 政 令 (デクレ) の 定 める 身 分 規 程 によって 規 律 される 公 法 上 の 契 約 職 員 私 法 上 の 被 用 者 私 法 上 の 職 員 で 構 成 される コンセイユ デタの 政 令 (デクレ)の 定 める 条 件 により 公 法 上 の 職 員 が このような 公 務 員 に 適 用 される 身 分 規 程 に 従 い 割 り 当 てられた HAS のポス トに 配 属 されることがある 35 社 会 保 障 法 典 L161-43 条 36 HAS, Annual Report 2012 31

労 働 法 典 L.412-1 条 L.421-1 条 L.431-1 条 及 び L.236-1 条 の 規 定 は HAS の 部 局 の 職 員 にも 適 用 される しかしながら これらの 規 定 は コンセイユ デタの 政 令 (デ クレ)により HAS に 固 有 の 労 働 条 件 と HAS が 雇 用 する 様 々なカテゴリーの 職 員 に 応 じて 必 要 と 判 断 された 調 整 の 対 象 となりうる 注 :2004 年 8 月 13 日 付 けの 法 律 第 2004-810 号 第 35 条 の II:HAS の 最 初 の 組 織 の 際 に 委 員 長 を 除 いて 3 年 後 に 任 期 切 れとなる 4 人 のメンバーがくじ 引 きで 任 命 されるもの とする 32

図 表 13 HAS の 組 織 図 (2013 年 10 月 現 在 ) 統 括 委 員 会 議 長 国 際 関 連 担 当 プログラム 担 当 患 者 利 用 者 団 体 担 当 事 務 総 長 広 報 担 当 国 際 関 連 事 項 に 関 する 統 括 委 員 会 議 長 及 び 事 務 総 長 担 当 顧 問 統 括 委 員 会 議 長 及 び 事 務 総 長 担 当 顧 問 医 療 経 済 及 び 公 衆 衛 生 評 価 部 門 医 療 の 質 と 安 全 性 向 上 部 門 コミュニケーション 情 報 部 門 業 務 管 理 部 門 方 法 論 及 び 収 載 後 研 究 患 者 の 安 全 マーケティング 研 究 法 律 上 の 内 部 統 制 医 薬 品 評 価 部 医 療 材 料 評 価 部 医 療 従 事 者 による 診 療 行 為 評 価 部 経 済 及 び 公 衆 衛 生 評 価 部 医 療 の 質 に 関 する 情 報 ベストプラ クティス 部 慢 性 疾 患 及 び 患 者 使 用 の 装 置 に 関 する 部 診 療 の 評 価 改 善 部 医 療 施 設 認 証 部 認 証 開 発 部 治 療 の 質 と 安 全 性 向 上 指 標 部 機 関 向 け 情 報 部 公 開 情 報 文 書 部 数 字 に 関 する 助 言 機 能 人 事 部 財 務 部 予 算 管 理 部 物 流 広 報 部 情 報 システ ム 部 パイロット 事 業 部 医 療 情 報 の 質 担 当 部 ( 資 料 )HAS 資 料 より 作 成 33

3 HAS の 財 源 HAS は 社 会 保 障 法 典 L161-45 条 により 財 政 上 の 独 立 を 有 する とされている 予 算 は 事 務 総 長 の 提 案 により 統 括 委 員 会 での 審 議 を 経 て 決 定 される HAS の 2012 年 の 予 算 は 5,680 万 ユーロであった 財 源 は 国 からの 補 助 金 公 的 医 療 保 険 からの 拠 出 金 製 薬 会 社 の 広 告 宣 伝 費 に 対 する 税 医 療 機 関 認 証 手 数 料 製 造 業 者 からの 保 険 収 載 手 数 料 等 である 37 図 表 14 社 会 保 障 法 典 における HAS の 財 源 仮 訳 L.161-45 条 2013 年 12 月 23 日 付 けの 法 律 第 2013-1203 号 により 修 正 HAS は 財 政 上 の 独 立 性 を 有 する その 予 算 は 事 務 総 長 の 提 案 に 基 づき 統 括 委 員 会 によって 決 定 される HAS の 財 源 は とりわけ 以 下 のもので 構 成 される 1 o 国 からの 補 助 金 2 o 政 令 (デクレ)により 定 められた 条 件 の 下 で 支 払 われ 分 配 される 公 的 医 療 保 険 から の 基 金 その 額 は 毎 年 保 健 担 当 省 庁 及 び 社 会 保 障 担 当 省 庁 のアレテにより 定 め られる この 基 金 は 以 下 の 2 つの 部 分 からなる 1 つは 公 共 衛 生 法 典 L.611-3 条 L.6113-4 条 L.6322-1 条 に 定 められた 手 続 きによるもの もう 1 つは 医 療 保 険 金 庫 からの HAS の 運 営 費 への 拠 出 金 3 o 事 務 総 長 の 提 案 に 基 づき 統 括 委 員 会 によって 総 額 が 決 定 される サービスに 対 す る 収 入 4 o その 他 の 収 入 寄 付 金 や 遺 贈 金 L.161-45-1 条 2006 年 4 月 21 日 付 けの 行 政 命 令 (オルドナンス) 第 2006-460 号 (2006 年 4 月 22 日 付 け 共 和 国 官 報 第 3 条 )により 制 定 HAS に 属 する 不 動 産 資 産 は 国 の 公 施 設 法 人 に 適 用 される 公 的 法 人 の 所 有 物 に 関 す る 一 般 法 典 の 規 定 に 従 う 37 社 会 保 障 法 典 L161-45 条 に 規 定 されている 34

図 表 15 HAS の 予 算 推 移 ( 百 万 ユーロ) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 69.7 66.2 62.0 63.8 58.8 56.8 ( 資 料 )HAS, Annual Report, 2007-2012 より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 4 CT( 透 明 性 委 員 会 ) CT(commission de la transparence 透 明 性 委 員 会 以 下 CT とする)は 医 薬 品 の 保 険 償 還 を 認 可 する 上 で 必 要 な 科 学 的 な 評 価 を 行 う 専 門 委 員 会 である 1981 年 に 保 健 省 の 内 部 局 として 設 置 されたが 2005 年 の HAS の 創 設 に 伴 い HAS に 移 管 された 組 織 である 38 CT は 1)メーカーから 提 出 された 販 売 承 認 を 受 けている 医 薬 品 の 保 険 収 載 のため の 申 請 書 について 評 価 を 行 うこと 2) 医 薬 品 の 臨 床 上 の 便 益 (actual benefit) を 評 価 することにより 当 該 医 薬 品 の 公 的 医 療 保 険 での 償 還 や 病 院 での 使 用 に 関 する 意 見 を 表 明 すること 3) 医 薬 品 やその 使 用 方 法 に 関 する 適 切 で 中 立 的 科 学 的 な 情 報 を 発 信 していくことにより 医 薬 品 の 正 しい 使 用 を 促 進 し 臨 床 上 の 便 益 を 改 善 していくこ とを 基 本 的 な 使 命 としている CT の 委 員 の 構 成 については 2003 年 9 月 26 日 のデクレによって 修 正 されている 19 人 の 委 員 は 議 決 権 を 有 する 正 式 な 委 員 であり 任 期 が 3 年 で 2 回 まで 再 任 が 可 能 となっ ている この 他 助 言 を 行 う 4 人 の 臨 時 委 員 がいる また HAS の 統 括 委 員 会 の 委 員 の 1 人 が 議 長 として CT に 参 画 している 委 員 は 医 師 や 薬 剤 師 疫 学 分 野 の 専 門 家 等 で あり 科 学 的 な 知 見 を 有 する 有 識 者 で 構 成 されている 5 CNEDiMTS( 医 療 材 料 医 療 技 術 評 価 委 員 会 ) CNEDiMTS(commission nationale d évaluation de dispositifs médicaux et des technologies de santé 医 療 材 料 医 療 技 術 評 価 委 員 会 )は 医 療 材 料 及 び 医 療 技 術 の 保 険 償 還 を 認 可 する 上 で 必 要 な 科 学 的 な 評 価 を 行 う 専 門 委 員 会 である CNEDiMTS は 2009 年 9 月 2 日 に CEPP(commission d évaluation des produits et prestations 医 療 製 品 医 療 給 付 評 価 委 員 会 ) が 改 称 した 組 織 である CNEDiMTS では CEPP 時 代 とは 異 なり 2010 年 7 月 21 日 からは CEAP(commission d évaluation des actes professionnels 診 療 行 為 評 価 委 員 会 )を 吸 収 し 個 別 の 医 療 製 品 の 評 価 だけではなく 新 規 の 医 療 技 術 診 療 行 為 の 評 価 も 行 うようになった 39 CNEDiMTS は 1) 医 療 材 料 や 人 体 組 織 細 胞 その 由 来 品 医 薬 品 を 除 くその 他 医 38 医 療 経 済 研 究 機 構 薬 剤 使 用 状 況 等 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 平 成 25 年 3 月 39 http://www.has-sante.fr/portail/jcms/c_419486/fr/commission-nationale-devaluation-des-dispositifs-medicauxet-des-technologies-de-sante-vises-a-l-article-l165-1-du-code-de-la-securite-sociale?portal=r_1482172 35

療 関 連 製 品 それに 関 連 したサービスに 関 する 保 険 収 載 適 用 について 助 言 を 行 うこと 2)HAS 統 括 委 員 会 からの 要 請 を 受 けて あるいは 自 らの 発 議 により 医 療 関 連 技 術 に 関 する 助 言 を 行 うことを 使 命 としている 具 体 的 には 保 険 償 還 の 対 象 となる 医 療 材 料 価 格 表 40 LPP(liste de produits et prestations remboursables) や 医 師 の 診 療 報 酬 表 である CCAM(classification commune des actes médicaux 医 療 行 為 共 通 分 類 表 ) について 科 学 的 な 評 価 を 行 うことが CNEDiMTS の 中 心 的 な 役 割 といえる CNEDiMTS: 医 療 材 料 医 療 技 術 評 価 委 員 会 の 使 命 フランス HAS の 専 門 委 員 会 であり 以 下 の 使 命 を 持 つ 1. 保 険 償 還 の 決 定 に 関 する 公 的 な 公 権 力 を 明 確 にし 医 療 従 事 者 の 診 療 行 為 及 び 患 者 の 治 療 の 質 の 向 上 に 貢 献 すること 個 人 向 けの 医 療 材 料 の 他 医 薬 品 を 除 く 診 断 治 療 目 的 の 医 療 製 品 障 害 者 向 けの 補 助 用 具 に 対 する 保 険 償 還 について 科 学 的 な 立 場 から 勧 告 や 答 申 を 行 うこと 2. 入 院 費 用 の 保 険 給 付 対 象 となる(GHS 内 に 含 まれる) 医 療 材 料 のいくつかの 分 野 (カテゴリ)について 評 価 を 行 うこと 3. 入 院 費 用 に 含 まれる 医 療 材 料 と 医 療 技 術 の 評 価 や 使 用 方 法 に 関 する 課 題 について 検 討 を 行 うこと 4.CCAM(classification commune des actes médicaux)リストの 収 載 削 除 の 要 件 につ いて 意 見 を 表 明 すること 5. 医 療 従 事 者 に 情 報 提 供 を 行 うこと CNEDiMTS の 評 価 委 員 会 では 通 常 15 人 で 議 決 が 行 われる 41 議 決 を 行 う 際 の 最 低 人 数 は 9 名 であり 9 名 以 上 の 出 席 がない 場 合 は 議 決 が 行 われない 委 員 については CNEDiMTS の 設 置 に 関 する 法 令 で 科 学 分 野 の 経 験 が 豊 富 な 科 学 分 野 の 有 識 者 であ ることとされており 各 医 療 分 野 の 専 門 家 や 病 院 の 院 長 などがメンバーとなっている 具 体 的 には 循 環 器 外 科 整 形 外 科 消 化 器 外 科 眼 科 皮 膚 科 麻 酔 科 等 の 医 師 が 多 いが 医 師 に 限 定 するという 規 定 もなく 薬 剤 師 や 技 師 等 のコメディカルも 含 まれてい る なお 医 師 についても 特 に 診 療 科 ごとに 定 数 が 定 められているわけではない 議 決 権 を 有 する CNEDiMTS の 委 員 が 臨 床 専 門 家 に 限 定 されている 背 景 として あく までも 科 学 的 中 立 的 な 立 場 での 評 価 を 望 むメーカー 側 からの 要 請 があった メーカー では 政 府 の 財 政 的 観 点 からの 意 見 が 強 まることに 対 して 警 戒 が 高 まっていた こうし たことへの 配 慮 もあり HAS 創 設 時 から 医 療 材 料 を 評 価 する 委 員 会 の 委 員 の 構 成 は 40 医 療 材 料 だけではなく 車 椅 子 なども 含 まれ 広 範 な 製 品 が 含 まれているが 本 報 告 では LPP を 医 療 材 料 価 格 表 と 訳 している 41 社 会 保 障 法 典 Code de la Sécurité Sociale, article R165-18 36

科 学 上 の 専 門 家 に 限 定 された なお CNEDiMTS の 評 価 委 員 会 の 委 員 の 任 期 は 3 年 で 2 回 までの 再 任 が 可 能 となっ ている( 最 長 9 年 ) HAS の 統 括 委 員 会 のメンバーの 1 人 が 議 長 となっており 別 に 2 人 の 副 議 長 が 配 置 されている この 他 ANSM などの 関 係 機 関 や 保 険 者 (CNAMTS 自 営 業 者 農 業 者 制 度 の 保 険 者 ) 医 療 機 器 業 界 団 体 患 者 団 体 等 の 代 表 者 が 議 決 権 のない 諮 問 委 員 となっている 6 CEESP( 医 療 経 済 評 価 委 員 会 ) CEESP(commission evaluation economique et de santé publique 医 療 経 済 評 価 委 員 会 42 ) は 医 療 経 済 評 価 (évaluations médico-économiques)を 行 う 専 門 委 員 会 である CEESP のメンバーは 委 員 長 ( 統 括 委 員 会 のメンバーの 中 から 指 名 される) 医 療 関 係 者 経 済 評 価 公 衆 衛 生 分 野 における 専 門 家 患 者 団 体 代 表 者 など 33 人 の 委 員 で 構 成 されて いる 43 統 括 委 員 会 がこの 委 員 会 のメンバーの 中 から 2 人 の 副 委 員 長 を 指 名 することと なっている 任 期 は 3 年 間 で 2 回 の 更 新 が 可 能 である なお CEESP の 会 議 には CEESP の 委 員 以 外 に HAS の 統 括 委 員 会 のメンバー HAS の 事 務 総 長 保 健 社 会 保 障 関 連 省 庁 の 代 表 公 的 医 療 保 険 制 度 の 保 険 者 代 表 が 出 席 できる また 委 員 長 の 承 諾 がある 場 合 には HAS の 職 員 や 外 部 者 も 出 席 することができる 44 CEESP は 2008 年 社 会 保 障 財 政 法 によって HAS が 医 療 経 済 評 価 を 行 う 役 割 を 規 定 さ れたことを 受 けて 2008 年 7 月 1 日 に 設 置 された 専 門 委 員 会 であり 主 に 医 薬 品 や 医 療 材 料 医 療 行 為 の 価 格 改 定 を 伴 うような 再 評 価 の 際 に 経 済 評 価 を 行 う CEESP の 目 的 は 公 衆 衛 生 上 の あるいは 医 療 従 事 者 の 意 思 決 定 に 資 する 効 率 性 や 機 会 損 失 に 関 する 資 料 を 積 極 的 に 作 成 していくことである 45 CEESP が 実 施 する 評 価 について 方 法 論 は 確 立 されておらず 対 象 技 術 に 合 わせて 効 果 と 費 用 の 指 標 が 都 度 選 択 される 例 えば 安 全 性 と 有 効 性 が 同 等 である 製 品 の 比 較 に おいては 費 用 のみが 評 価 の 基 準 となるが 長 期 観 察 を 必 要 とする 製 品 の 場 合 は 疾 病 経 過 全 体 の 費 用 を 勘 案 して 評 価 される 一 方 安 全 性 と 有 効 性 に 差 がある 複 数 技 術 を 評 価 す る 際 には 費 用 対 効 果 分 析 を 行 うが 他 国 での 研 究 を 参 照 する 場 合 もある 46 医 療 経 済 評 価 に 関 する HAS の 役 割 は 2011 年 に 法 的 に 裏 付 けられ 47 同 年 に 25 件 の 医 療 経 済 評 価 を 実 施 している また 経 済 評 価 の 基 本 原 則 と 手 法 を 詳 細 に 示 したガイドラ インを 作 成 した さらに CEESP は 公 衆 衛 生 分 野 での 活 動 として 50 歳 以 上 75 歳 未 42 santé publique は 公 衆 衛 生 と 訳 すが 本 報 告 書 では 医 療 経 済 評 価 委 員 会 とした 43 CEESP 内 規 第 2 条 -1(HAS 統 括 委 員 会 の 第 2014.0040/DC/MJ 号 決 定 により 採 択 )による 44 CEESP 内 規 第 2 条 -2 45 http://www.has-sante.fr/portail/jcms/c_419565/commission-evaluation-des-strategies-de-sante(2014 年 2 月 5 日 アクセス) 46 西 村 智 子 5.フランスにおける 医 療 技 術 評 価 の 政 策 利 用 と HAS 鎌 江 伊 三 夫 林 良 造 城 山 英 明 監 修 医 療 技 術 の 経 済 評 価 と 公 共 政 策 ( 平 成 25 年 3 月 ) じほう 47 医 薬 品 医 療 用 品 の 安 全 性 強 化 に 関 する 2011 年 12 月 29 日 法 37

満 の 女 性 に 対 する 全 国 乳 がん 検 診 などに 関 する 6 件 のガイドラインを 作 成 している 48 2012 年 には CEESP は 腎 臓 移 植 などについて 医 療 経 済 評 価 を 実 施 した また 医 療 製 品 に 対 する 経 済 的 な 観 点 からの 意 見 書 を 6 件 提 出 し 公 衆 衛 生 に 関 する 勧 告 を 3 件 行 った 49 なお 公 衆 衛 生 及 び 医 療 安 全 における 利 益 相 反 公 開 申 告 と 透 明 性 確 保 に 関 する 2012 年 5 月 9 日 付 けの 政 令 (デクレ)n o 2012-745 号 の 適 用 により 医 療 経 済 評 価 委 員 会 は 会 合 の 議 事 録 をアップロードして 公 表 することとなった 48 HAS, Annual Report 2011 49 HAS, Annual Report 2012 38

(2) CEPS CEPS(comité économique des produits de santé 医 療 製 品 経 済 委 員 会 ) は HAS の 行 った 科 学 的 な 評 価 結 果 をもとに 医 薬 品 や 医 療 材 料 に 関 する 経 済 面 の 評 価 製 造 業 者 と の 価 格 交 渉 を 実 施 している 組 織 である CEPS は 医 薬 品 医 療 材 料 の 革 新 性 と 治 療 上 の 必 要 性 公 共 の 福 祉 への 影 響 ONDAM 市 場 等 を 総 合 的 に 考 慮 し 製 造 業 者 やその 団 体 との 交 渉 を 通 じて 医 療 保 険 財 政 にとっても 適 切 な 価 格 と 条 件 を 引 き 出 すことを 使 命 としている 50 51 また CEPS は 社 会 保 障 法 典 L165-1 条 により 医 療 材 料 の 保 険 償 還 価 格 表 に 関 する 提 案 を 行 うこととなっている 製 造 業 者 販 売 業 者 との 交 渉 により 販 売 目 標 量 と 合 わせて 価 格 案 を 作 成 する さらに 価 格 について 定 期 的 に 事 後 点 検 を 行 うこととなっている CEPS の 委 員 は 保 険 者 の 代 表 者 4 名 行 政 機 関 の 代 表 者 4 名 の 計 8 名 で 構 成 される 保 険 者 の 代 表 として 公 的 医 療 保 険 制 度 の 代 表 が 3 名 補 足 的 医 療 保 険 ( 民 間 の 共 済 保 険 や 保 険 会 社 が 提 供 する 保 険 )の 代 表 が 1 名 就 任 している 具 体 的 には 公 的 医 療 保 険 制 度 の 代 表 の 3 名 のうち 一 般 制 度 の 代 表 が 2 名 自 営 業 者 や 農 業 従 事 者 のための 制 度 の 代 表 が 1 名 となっている また 行 政 機 関 の 代 表 者 として 社 会 保 障 総 局 医 療 総 局 競 争 消 費 不 正 防 止 総 局 競 争 力 産 業 サービス 総 局 から 代 表 がそれぞれ 1 名 ずつ 委 員 となっている 52 製 薬 企 業 や 医 療 材 料 製 造 業 者 医 療 関 係 団 体 の 代 表 者 は CEPS のメン バーとはなっていない この CEPS の 委 員 会 には 上 記 のメンバー 以 外 に 3 名 の 有 識 者 が 参 画 しており その うちの 1 名 が 委 員 長 に 残 り 2 人 が 副 委 員 長 となっている CEPS の 委 員 長 副 委 員 長 は 保 健 大 臣 社 会 保 障 担 当 大 臣 経 済 財 務 大 臣 の 3 閣 僚 による 任 命 である 副 委 員 長 は 医 薬 品 担 当 が 1 人 医 療 材 料 担 当 が 各 1 人 となっており この 2 人 が 同 時 に 委 員 会 すべてに 出 るのではなく 医 薬 品 の 審 議 を 行 う 場 合 は 医 薬 品 担 当 が 医 療 材 料 の 審 議 を 行 う 場 合 は 医 療 材 料 担 当 の 副 委 員 長 が 出 席 するといったように 入 れ 替 わりのハー フタイム( 非 常 勤 ) 勤 務 となっている つまり CEPS の 委 員 会 は 委 員 長 1 名 副 委 員 長 1 名 8 名 の 委 員 の 計 10 人 で 行 われる CEPS ではこの 10 名 のメンバー 間 で 合 意 を 成 立 させることに 重 きを 置 いた 運 営 を 行 っており 合 意 が 成 立 しない 場 合 には 評 決 を 行 うといった 解 決 手 段 が 採 られる 評 決 が 行 われた 結 果 5 対 5 と 同 数 になった 場 合 には 委 員 長 の 判 断 を 優 先 した 決 定 が 行 われる 50 医 療 経 済 研 究 機 構 薬 剤 使 用 状 況 等 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 平 成 25 年 3 月 51 http://www.sante.gouv.fr/les-missions-du-ceps.html 52 社 会 保 障 法 典 D162-2-1 条 39

図 表 16 CEPS 委 員 会 の 構 成 委 員 長 副 委 員 長 ( 医 薬 品 担 当 ) 副 委 員 長 ( 医 療 材 料 担 当 ) 有 識 者 の 中 から 大 臣 が 任 命 委 員 ( 保 険 者 代 表 4 名 ) ( 行 政 機 関 代 表 4 名 ) 公 的 医 療 保 険 制 度 一 般 制 度 の 代 表 者 2 名 自 営 業 者 農 業 制 度 の 代 表 者 1 名 補 足 的 医 療 保 険 補 足 的 医 療 保 険 の 全 国 組 織 の 代 表 者 1 名 社 会 保 障 総 局 1 名 医 療 総 局 1 名 競 争 消 費 不 正 防 止 総 局 1 名 競 争 力 産 業 サービス 総 局 1 名 ( 資 料 ) 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 40

(3) ANSM フランスでは ANSM(Agence Nationale de sécurité du Médicament et des produits de santé 国 立 医 薬 品 医 療 製 品 安 全 庁 ) が 医 薬 品 医 療 機 器 等 の 販 売 承 認 (autorisation de mise sur le marché:amm)を 行 っている ANSM は 2012 年 5 月 1 日 に 発 足 した 保 健 省 所 管 の 公 的 機 関 である 53 それ 以 前 は AFSSAPS(Agence française de sécurité sanitaire des produits de santé 国 立 公 衆 衛 生 医 療 製 品 安 全 庁 ) と 呼 ばれる 組 織 が 医 薬 品 医 療 機 器 の 販 売 承 認 を 行 っていた しかし 医 薬 品 メディアトール(Mediator)の 副 作 用 に よる 薬 害 事 件 が 大 スキャンダルに 発 展 し 医 薬 品 に 対 する 信 用 とともに AFSSAPS が 行 ってきた 販 売 承 認 制 度 そのものについても 信 用 が 失 墜 した こうした 背 景 の 下 薬 事 行 政 に 対 する 国 民 の 信 頼 を 回 復 し 医 薬 品 と 医 療 製 品 に 関 する 患 者 の 安 全 性 を 高 めるこ とを 目 的 として 2011 年 12 月 29 日 の 医 薬 品 医 療 製 品 の 衛 生 上 の 安 全 強 化 に 関 する 法 律 (LOI n 2011-2012 du 29 décembre 2011 relative au renforcement de la sécurité sanitaire du médicament et des produits de santé) 2011 年 12 月 29 日 の 法 律 が 制 定 され AFSSAPS から ANSM に 改 編 された 54 ANSM では 医 薬 品 生 物 学 的 製 剤 医 療 材 料 体 外 診 断 機 器 美 容 製 品 入 れ 墨 (tattooing products) 殺 生 物 性 製 品 など 人 が 使 用 する 医 療 製 品 の 安 全 性 を 保 証 するこ とを 基 本 的 な 役 割 としている ANSM では これらの 医 療 製 品 について サーベイラン スや 検 査 を 実 施 し 製 造 業 者 に 対 する 立 入 検 査 を 行 うことによって 使 用 上 の 安 全 性 や 有 効 性 質 を 評 価 している こうした 医 薬 品 を 含 む 医 療 製 品 の 評 価 は AFSSAPS 時 代 に も 行 われていた 業 務 であるが 新 薬 の 評 価 報 告 の 公 表 や 販 売 承 認 の 交 付 停 止 取 消 医 薬 品 等 の 広 告 に 関 する 監 視 などの 薬 事 行 政 を AFSSAPS から 継 承 している ANSM で は AFSSAPS の 業 務 を 引 き 継 ぐだけではなく 主 要 な 業 務 として 医 薬 品 等 のリスク 監 視 や 医 薬 品 のリスクと 便 益 の 割 合 に 関 するメーカー 申 告 書 のチェック 市 場 における 監 視 等 の 役 割 も 担 っている ANSM は 例 えば 医 薬 品 メーカーに 対 して 必 要 な 情 報 を 提 出 するよう 求 めたり リスクと 便 益 の 割 合 が 望 ましくない 場 合 などについて 販 売 承 認 の 取 消 等 を 行 うこともできる ANSM は 国 内 では HAS や 地 域 圏 保 健 庁 (ARS) CNAMTS 等 の 多 くの 関 係 機 関 と 密 接 に 連 携 をとりながらこうした 業 務 を 遂 行 している ANSM では 医 薬 品 の 安 全 性 に 関 する 学 術 的 な 研 究 を 推 進 していくことが 求 められているが 例 えばサーベイランスや 疫 学 研 究 を 実 施 する 際 に 必 要 に 応 じて 公 共 の 利 益 に 関 わる 集 団 (groupment d intéret publique:gip) という 位 置 づけで CNAMTS のデータベースにアクセスすることもで きる 55 また EU や 国 際 機 関 とも 連 携 している 53 2012 年 4 月 27 日 のデクレ n 2012-597 54 ANSM リーフレット 55 ANSM リーフレット 41

3. 医 薬 品 医 療 材 料 に 関 する 評 価 (1) 医 薬 品 1 販 売 承 認 医 薬 品 の 販 売 承 認 (autorisation de mise sur la marché:amm)は EMA(European medicines agency 欧 州 医 薬 品 庁 ) または ANSM によって 行 われている この 販 売 承 認 手 続 きについては 先 発 医 薬 品 後 発 医 薬 品 ともに 同 じであるが 後 発 医 薬 品 の 場 合 は 先 発 医 薬 品 の 販 売 承 認 登 録 書 類 上 の 情 報 に 生 物 学 的 同 等 性 試 験 結 果 を 加 えて 書 類 提 出 す ることとなっており ANSM に 認 可 されると 後 発 医 薬 品 グループリスト(répertoire des groupes génériques) に 登 録 される ANSM では 医 薬 品 の 効 果 とリスクの 割 合 (バランス)について 評 価 を 行 う 義 務 を 負 っている これは 販 売 承 認 を 交 付 した 後 でも 実 施 できる 製 薬 企 業 から 提 出 された 効 果 とリスクに 関 するデータが 不 十 分 である 場 合 には 追 加 資 料 を 要 求 することができる ま た 結 果 が 好 ましくない 場 合 には ANSM はフランスにおける 医 薬 品 の 販 売 承 認 を 取 り 消 すことができる 2 保 険 収 載 フランスでは 患 者 は 医 師 が 発 行 した 処 方 せんを 自 らが 選 択 する 調 剤 薬 局 に 提 出 し 調 剤 薬 局 で 調 剤 された 医 薬 品 を 受 け 取 る( 購 入 する) 仕 組 みとなっている( 完 全 医 薬 分 業 ) 患 者 は 調 剤 された 医 薬 品 に 係 る 薬 剤 費 と 調 剤 費 を 薬 局 で 支 払 い 医 薬 品 を 受 け 取 る 患 者 は 医 師 の 診 療 費 と 薬 局 の 調 剤 費 薬 剤 費 に 係 る 領 収 証 を 保 険 者 に 提 出 する ことで 規 定 の 償 還 を 受 けることができる 仕 組 みである( 償 還 払 い) ただし 近 年 フ ランスでも 医 療 費 抑 制 策 の 一 環 として 後 発 医 薬 品 使 用 促 進 策 が 進 められており 患 者 が 後 発 医 薬 品 を 受 け 入 れた 場 合 には 第 三 者 支 払 い 方 式 56 が 採 用 されている 57 このように 患 者 が 医 薬 品 について 保 険 償 還 を 受 けるためには 当 該 医 薬 品 が 保 険 償 還 対 象 の 医 薬 品 となっていることが 必 要 である 具 体 的 には 保 険 償 還 対 象 医 薬 品 リス ト(liste des spécialités pharmaceutiques remboursables) に 収 載 されていることが 求 めら れる(ポジティブ リスト) 製 薬 会 社 は ANSM または EMA によって 販 売 承 認 を 取 得 しただけでは 当 該 医 薬 品 を 販 売 することはできても 当 該 医 薬 品 を 保 険 償 還 対 象 医 薬 品 とすることができない そこで 製 薬 会 社 は 通 常 販 売 承 認 を 取 得 すると 保 険 収 載 の 手 続 きを 行 う 56 償 還 払 い 方 式 では 全 額 を 患 者 が 診 療 を 受 けた 時 点 で 支 払 い 領 収 証 を 保 険 者 に 提 出 し 請 求 することで 保 険 給 付 部 分 について 費 用 を 受 け 取 ることができる 第 三 者 支 払 い 方 式 では 償 還 払 い 方 式 と 比 較 して 受 診 時 の 患 者 の 経 済 的 負 担 が 軽 減 される 保 険 者 への 請 求 行 為 の 手 間 が 省 略 できる(ただし 後 者 については 近 年 IT 化 により 簡 便 となっている)といったメリットがある 57 健 康 保 険 組 合 連 合 会 後 発 医 薬 品 による 医 療 費 適 正 化 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 ( 平 成 25 年 6 月 ) 42

保 険 収 載 手 続 きにより 1) 医 薬 品 の 価 格 と 2) 保 険 償 還 率 ( 医 薬 品 によって 異 なる) が 決 定 される 3 HAS における 評 価 製 薬 会 社 は 販 売 承 認 を 得 た 医 薬 品 を 保 険 償 還 対 象 医 薬 品 リストに 収 載 するためには HAS の 評 価 を 受 けることが 必 要 である HAS では 科 学 的 な 専 門 家 で 構 成 される 専 門 委 員 会 の 1 つである CT( 透 明 性 委 員 会 ) が 医 学 的 評 価 を 行 う CT では 申 請 された 医 薬 品 について SMR(service médical rendu 医 療 上 の 利 益 ) と ASMR(amelioration du service médical rendu 追 加 的 な 医 療 上 の 利 益 ) の 評 価 を 行 う SMR 評 価 では 医 療 上 の 利 益 を 重 要 (important) 中 等 度 (modéré) 軽 度 (faible) 不 十 分 (insuffisant) の 4 段 階 で 評 価 を 行 う SMR 評 価 の 際 に 考 慮 される 要 素 としては 1) 有 効 性 と 安 全 性 2) 治 療 戦 略 内 での 当 該 介 入 の 位 置 づけ 3) 疾 患 の 重 篤 度 4) 治 療 の 特 性 ( 予 防 的 治 療 的 対 症 的 ) 5) 公 衆 衛 生 への 影 響 である 58 図 表 17 CT における SMR 評 価 区 分 SMR 評 価 区 分 SMR important 重 要 SMR modéré 中 等 度 SMR faible 軽 度 SMR insuffisant 不 十 分 評 価 高 ( 資 料 ) 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 58 福 田 敬 フランスにおける 医 療 医 薬 品 等 の 評 価 プロセス (2013.9.26) 資 料 43

一 方 ASMR 評 価 では 追 加 的 な 医 療 上 の 利 益 を Ⅰ( 顕 著 な 改 善 majeur) Ⅱ ( 重 要 な 改 善 important) Ⅲ( 中 等 度 の 改 善 modéré) Ⅳ( 軽 度 の 改 善 mineur) Ⅴ( 改 善 なし absence de progress) の 5 段 階 で 評 価 を 行 う 図 表 18 CT における ASMR 評 価 区 分 区 分 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ ASMR 評 価 の 意 味 majeur 顕 著 な 改 善 Important 重 要 な 改 善 modéré 中 等 度 の 改 善 mineur 軽 度 の 改 善 absence de progress 改 善 なし 評 価 高 ( 資 料 ) 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 ASMR 評 価 は 同 一 の 適 応 症 に 関 して 既 に 存 在 している 全 医 薬 品 と 比 較 した 場 合 の SMR の 改 善 度 を 評 価 するものであり SMR が 絶 対 評 価 であるのに 対 し ASMR は 相 対 評 価 とも 位 置 づけられる ASMR 評 価 で 考 慮 される 要 素 としては 1) 価 格 基 準 2) 医 療 上 の 改 善 度 3) 同 効 薬 の 価 格 4) 販 売 量 である 59 CT では SMR と ASMR の 評 価 結 果 を 製 薬 会 社 に 通 知 する 製 薬 会 社 では 意 見 を 述 べ る 機 会 が 与 えられている CT は 製 薬 会 社 からの 異 議 申 立 てを 受 けた 場 合 など 必 要 に 応 じて 部 局 内 のワーキンググループに 意 見 を 求 めて 最 終 評 価 を 出 す 60 この SMR 評 価 と ASMR 評 価 は 保 険 収 載 時 だけではなく 適 応 症 の 追 加 の 場 合 にも 行 われる また 保 険 償 還 対 象 医 薬 品 リストの 収 載 有 効 期 限 が 5 年 であることから 最 長 でも 5 年 後 には 再 評 価 が 行 われる 収 載 から 5 年 を 経 過 していない 場 合 であっても 再 評 価 が 行 われることもある 59 60 福 田 敬 フランスにおける 医 療 医 薬 品 等 の 評 価 プロセス (2013.9.26) 資 料 医 療 経 済 研 究 機 構 薬 剤 使 用 状 況 等 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 ( 平 成 25 年 3 月 ) 44

4 SMR と ASMR の 評 価 実 績 2012 年 に CT が 実 施 した 収 載 に 係 る SMR 評 価 は 247 件 であり このうち 重 要 と なった 医 薬 品 が 177 件 (71.7%)であり 中 等 度 が 21 件 (8.5%) 軽 度 が 21 件 (8.5%) 不 十 分 が 27 件 (10.9%)であった また 適 応 拡 大 に 係 る SMR 評 価 は 37 件 であり このうち 重 要 となった 医 薬 品 が 30 件 (81.1%)であり 中 等 度 が 3 件 (8.1%) 軽 度 が 0 件 (0.0%) 不 十 分 が 4 件 (10.8%)であった SMR 評 価 では 高 い 評 価 が 多 い 図 表 19 SMR 評 価 結 果 (2012 年 収 載 ) 件 200 177 150 100 50 0 21 21 27 1 重 要 中 等 度 軽 度 不 十 分 その 他 ( 資 料 )HAS, Rapport d activité 2012 より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 図 表 20 SMR 評 価 結 果 (2012 年 適 応 拡 大 ) 件 40 30 30 20 10 0 3 4 0 0 重 要 中 等 度 軽 度 不 十 分 その 他 ( 資 料 )HAS, Rapport d activité 2012 より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 45

2012 年 に CT が 実 施 した 収 載 に 係 る ASMR 評 価 は 208 件 であり このうち Ⅰ( 顕 著 な 改 善 ) が 0 件 (0.0%) Ⅱ( 重 要 な 改 善 ) が 3 件 (1.4%) Ⅲ( 中 等 度 の 改 善 ) が 5 件 ( 2.4%) Ⅳ( 軽 度 の 改 善 ) が 16 件 ( 7.7%) Ⅴ( 改 善 なし) が 183 件 ( 88.0%) であった また 適 応 拡 大 に 係 る ASMR 評 価 は 33 件 であり このうち Ⅰ( 顕 著 な 改 善 ) が 0 件 (0.0%) Ⅱ( 重 要 な 改 善 ) が 3 件 (9.1%) Ⅲ( 中 等 度 の 改 善 ) が 5 件 (15.2%) Ⅳ( 軽 度 の 改 善 ) が 6 件 (18.2%) Ⅴ( 改 善 なし) が 18 件 (54.5%) であった ASMR 評 価 で Ⅰ Ⅱ Ⅲ と 高 く 評 価 されるものは 少 ない 図 表 21 ASMR 評 価 結 果 (2012 年 収 載 ) 件 200 183 150 100 50 0 16 0 3 5 1 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ その 他 ( 資 料 )HAS, Rapport d activité 2012 より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 図 表 22 ASMR 評 価 結 果 (2012 年 適 応 拡 大 ) 件 20 18 15 10 5 0 5 6 3 0 1 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ その 他 ( 資 料 )HAS, Rapport d activité 2012 より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 46

⑤ HAS の評価結果を活用した保険収載までの流れ HAS の CT が評価して通知する SMR と ASMR の評価結果が 医薬品の価格及び保険 償還率を決定する上での基礎データとなる CT が SMR 評価と ASMR 評価についての 結論を CEPS 医療製品経済委員会 と UNCAM 全国医療保険金庫連合 に通知 した後 CEPS が当該医薬品の価格 税抜き製造業者価格 prix fabricant hors taxes PFHT を決定し UNCAM が保険償還率を決定し 保健省が保険償還対象医薬品リストの収載 を決定することとなっている 図表 23 HAS の評価と保険償還率と価格決定の関係 HAS 高等保健機構 CT 透明性委員会 評価結果の通知 評価結果の通知 UNCAM 全国医療保険金庫連合 CEPS 医療製品経済委員会 ASMR評価結果をもとに 製薬企業と交渉 価格 を決定 SMR評価結果をもとに 保険償還率 を決定 保健省 保険償還対象医薬品リストに収載 官報告示 資料 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成 47

1) 保 険 償 還 率 の 決 定 保 険 者 の 団 体 である UNCAM が 保 険 償 還 率 を 決 定 するが HAS の CT が 行 った SMR 評 価 の 結 果 が 基 礎 となる 基 本 的 に SMR 評 価 で 重 要 と 評 価 された 医 薬 品 は 白 ラベルの 薬 剤 となり 保 険 償 還 率 は 65%となる 同 様 に 中 等 度 と 評 価 された 医 薬 品 は 青 ラベルの 薬 剤 となり 保 険 償 還 率 は 30% 軽 度 と 評 価 された 医 薬 品 は オ レンジラベルの 薬 剤 となり 保 険 償 還 率 は 15%となる 保 険 償 還 率 15%は 2010 年 4 月 17 日 に 新 設 された 区 分 であるが この 区 分 に 分 類 された 医 薬 品 については 補 足 的 医 療 保 険 の 給 付 対 象 外 となっている 不 十 分 と 評 価 された 医 薬 品 は 公 的 医 療 保 険 の 保 険 償 還 対 象 とする 理 由 が 正 当 化 さ れていないこととなり 保 険 償 還 の 対 象 外 という 扱 いになる 一 方 で SMR 評 価 により 他 の 医 薬 品 では 代 替 不 可 能 であると 認 められ 極 めて 高 額 である 特 定 の 医 薬 品 とされた 医 薬 品 については 100%の 保 険 償 還 率 となる 例 えば 抗 がん 剤 や 抗 HIV 薬 などの 医 薬 品 がこれに 該 当 する 図 表 24 SMR 評 価 結 果 と 保 険 償 還 率 との 関 係 SMR 評 価 結 果 償 還 率 SMR important 重 要 65% SMR modéré 中 等 度 30%* SMR faible 軽 度 15%** SMR insuffisant 不 十 分 0%( 非 償 還 ) *2011 年 5 月 2 日 より 30%となったが それ 以 前 は 35%であった ** 以 前 は 100% 65% 35%の 3 段 階 であったが 2010 年 4 月 17 日 以 降 15%の 区 分 が 新 設 された ( 資 料 ) 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 48

2009 年 における 承 認 医 薬 品 10,732 品 目 の 保 険 償 還 率 による 分 類 をみると 金 額 ベー スでは 償 還 率 100%の 医 薬 品 が 約 1 割 で 償 還 率 65%の 医 薬 品 が 約 7 割 償 還 率 35% の 医 薬 品 が 約 1 割 非 償 還 の 医 薬 品 が 9.0%となっている また 品 目 ベースでは 償 還 率 100%の 医 薬 品 は 3%に 過 ぎず 償 還 率 65%の 医 薬 品 が 約 6 割 償 還 率 35%の 医 薬 品 が 1 割 強 非 償 還 の 医 薬 品 が 全 体 の 4 分 の 1 となっている 図 表 25 承 認 医 薬 品 10,732 品 目 の 保 険 償 還 率 による 分 類 (2009 年 ) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 金 額 10.9% 68.8% 11.3% 9.0% 100% 償 還 65% 償 還 35% 償 還 非 償 還 品 目 335 6,416 1,308 2,673 ( 資 料 ) 福 田 敬 フランスにおける 医 療 医 薬 品 等 の 評 価 プロセス (2013.9.26) 資 料 49

2) 価 格 の 決 定 次 に 医 薬 品 の 価 格 の 決 定 であるが この 役 割 を 担 っているのが CEPS である CEPS は 公 衆 衛 生 法 典 L5123-1 条 により 製 薬 産 業 に 対 する 合 理 的 な 収 益 の 保 障 と 公 的 医 療 保 険 の 薬 剤 費 の 抑 制 を 基 本 目 標 に 保 健 省 の 基 本 方 針 に 沿 って 企 業 との 交 渉 をもとに 小 売 価 格 ( 販 売 上 限 価 格 )を 決 定 することとされている つまり CEPS は 製 薬 業 界 の 保 護 と 薬 剤 費 の 削 減 という ともすると 矛 盾 しやすい 二 つの 使 命 を 果 たすことが 求 めら れている CEPS では HAS の CT が 行 った ASMR 評 価 の 結 果 を 基 礎 データとして 製 薬 会 社 と 交 渉 を 行 い 販 売 量 見 込 み 等 の 要 素 を 勘 案 して 価 格 を 決 定 している つまり ASMR 評 価 は CEPS が 製 薬 会 社 と 価 格 交 渉 をする 際 の 基 本 的 なスタンスを 定 める 基 礎 となって いるが 価 格 を 自 動 的 に 決 めるものとはなっていない 社 会 保 障 法 典 L162-16-4 条 では 医 薬 品 の 価 格 は 主 として 当 該 医 薬 品 によってもたらされる 医 療 上 の 有 用 性 の 向 上 同 種 同 効 品 の 価 格 販 売 数 量 ( 予 測 または 実 績 ) 使 用 状 況 ( 予 測 または 実 績 )を 勘 案 し て 決 定 する と 規 定 されている つまり ASMR による 評 価 は 医 療 上 の 利 益 の 改 善 度 を 示 すものであり 価 格 決 定 基 準 の 一 つの 要 素 となっている なお ASMR 評 価 で Ⅰ Ⅱ Ⅲ と 評 価 された 医 薬 品 については 基 本 的 には 5 年 間 にわたり イギリス ドイツ イタリア スペインの 4 か 国 における 最 低 価 格 を 割 り 込 まない 価 格 とすることが 保 証 される 4 か 国 の 平 均 価 格 となる 場 合 もあるが 製 薬 会 社 が 価 格 を 決 定 して 届 け 出 る 方 式 も 一 定 条 件 付 きで 認 める 場 合 もある しかし こ うした 高 い 評 価 である Ⅰ Ⅱ Ⅲ に 分 類 される 医 薬 品 は 非 常 に 少 ない( 前 述 2012 年 の ASMR 評 価 208 件 中 8 件 4%に 過 ぎない) Ⅴ と 評 価 された 医 薬 品 については 治 療 コスト( 薬 剤 費 など)の 節 減 につながる 場 合 のみ 保 険 償 還 の 対 象 とするというスタ ンスであり 結 果 的 に 既 存 の 医 薬 品 よりも 低 い 価 格 か 製 薬 会 社 がその 価 格 に 妥 協 でき ない 場 合 は 非 償 還 という 決 定 になる 50

図 表 26 ASMR 評 価 結 果 と 価 格 決 定 の 方 針 ASMR ASMR 評 価 結 果 価 格 決 定 の 方 針 Ⅰ Majeur 顕 著 な 改 善 5 年 間 にわたり 英 独 伊 西 における 最 低 価 格 を 割 り 込 まない 価 格 とすることを 保 証 製 薬 会 社 が 価 格 を 決 定 して 届 け 出 る 方 式 も 一 定 条 件 付 きで 認 められる Ⅱ important 重 要 な 改 善 同 上 Ⅲ modéré 中 等 度 の 改 善 同 上 Ⅳ mineur 軽 度 の 改 善 一 部 の 医 薬 品 についてのみ 同 上 の 条 件 が 適 用 さ れる ( 既 存 と 同 等 or 少 し 高 い) Ⅴ absence de progress 改 善 なし 治 療 コストの 節 減 につながる 場 合 のみ 保 険 償 還 対 象 となりうる ( 既 存 より 安 い or 非 償 還 ) ( 資 料 ) 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 CEPS では 製 薬 産 業 の 保 護 という 基 本 使 命 を 抱 えつつ 医 薬 品 の 革 新 性 と 治 療 上 の 必 要 性 公 共 の 福 祉 への 影 響 ONDAM 医 薬 品 市 場 等 を 総 合 的 に 勘 案 して 価 格 を 決 定 し ている 61 革 新 性 のある 医 薬 品 がフランス 国 内 で 販 売 されるよう 適 切 な 価 格 で 評 価 す る 一 方 革 新 性 が 低 い 医 薬 品 などについてはできる 限 り 低 い 価 格 で 流 通 させ 薬 剤 費 削 減 を 果 たせるよう 製 薬 産 業 との 粘 り 強 い 交 渉 を 行 っている CEPS では 薬 剤 費 は 価 格 と 販 売 量 との 積 で 算 出 されるものであることから 発 売 開 始 から 3 年 間 の 国 内 販 売 量 見 込 みと 合 わせて 価 格 (PFHT)を 決 定 することを 重 視 している なお 後 発 医 薬 品 についても 先 発 医 薬 品 と 同 様 に SMR 評 価 と ASMR 評 価 が 行 われる が 後 発 医 薬 品 の 価 格 62 については レファレンスとなる 先 発 医 薬 品 の 価 格 (PFHT)に 対 する 割 引 率 設 定 方 式 で 決 定 される この 割 引 率 は 毎 年 保 健 省 が 決 定 する 医 療 費 削 減 の 要 請 による 強 い 圧 力 を 受 けて 割 引 率 は 2002 年 の 30%から 段 階 的 に 引 き 上 げら れ 2012 年 は 60%に 設 定 された つまり 後 発 医 薬 品 の 薬 価 は 先 発 医 薬 品 の 薬 価 の 40% の 水 準 に 設 定 されるということである ただし 後 発 医 薬 品 の 販 売 開 始 と 同 時 に 先 発 医 薬 品 の 価 格 も 変 更 される その 後 も CEPS では 後 発 医 薬 品 の 普 及 度 を 見 ながら 1) 後 発 医 薬 品 の 販 売 開 始 と 同 時 に 先 発 医 薬 品 の 価 格 を 20% 引 き 下 げる 2) 後 発 医 薬 品 販 売 開 始 後 18 か 月 間 の 観 察 期 間 を 経 て 後 発 医 薬 品 の 普 及 状 況 が 十 分 でない 場 合 は TFR ( 責 任 包 括 価 格 ) を 適 用 する そうでない 場 合 は 後 発 医 薬 品 価 格 を 7% 引 き 下 げると 同 時 に 先 発 医 薬 品 の 価 格 も 12.5% 引 き 下 げる といったような 調 整 を 行 う 63 61 医 療 経 済 研 究 機 構 薬 剤 使 用 状 況 等 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 ( 平 成 25 年 3 月 ) 62 後 発 医 薬 品 の 保 険 償 還 の 可 否 と 償 還 率 は レファレンスとなる 先 発 医 薬 品 と 同 じ 基 準 に 則 って 自 動 的 に 決 定 される 63 健 康 保 険 組 合 連 合 会 後 発 医 薬 品 による 医 療 費 適 正 化 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 ( 平 成 25 年 6 月 ) 51

この 保 険 収 載 までの 流 れは 医 薬 分 業 下 の 調 剤 薬 局 で 交 付 される 医 薬 品 の 保 険 償 還 対 象 とするための 保 険 償 還 対 象 医 薬 品 リスト への 収 載 手 続 きについて 整 理 した 病 院 医 療 ( 入 院 )で 使 用 される 医 薬 品 の 販 売 価 格 は 病 院 と 製 薬 会 社 との 交 渉 により 決 定 され るものであるが 特 別 リストに 収 載 されている 医 薬 品 ( 保 健 省 が 指 定 した 高 価 で 革 新 性 の 高 い 新 薬 )と 病 院 でも 一 部 外 来 診 療 を 実 施 することが 認 められているが この 場 合 の 外 来 患 者 に 対 して 交 付 する 医 薬 品 は 別 途 保 険 償 還 の 対 象 となるため CEPS によ って 決 められた 価 格 が 適 用 されることとなる 52

(2) 医 療 材 料 医 療 材 料 に 関 する 販 売 承 認 から 保 険 収 載 までの 流 れは 基 本 的 には 医 薬 品 とよく 似 て いるが HAS の 中 での 担 当 ( 専 門 委 員 会 事 務 局 )と 評 価 の 区 分 等 に 違 いがある 1 医 療 材 料 に 関 する 保 険 上 の 制 度 ペースメーカーや 人 工 股 関 節 ディスポーザブル 注 入 器 等 の 医 療 材 料 については GHS に 含 まれるものと GHS に 含 まれないものとがある GHS に 含 まれない 医 療 材 料 については LPP 64 (liste des produits et prestations remboursables 保 険 償 還 対 象 医 療 製 品 リスト) と 呼 ばれる 公 定 価 格 制 度 が 存 在 する この LPP には 埋 込 型 医 療 材 料 の 他 身 体 障 害 者 用 の 車 椅 子 や 慢 性 疾 患 患 者 向 けの 栄 養 剤 なども 含 まれており わが 国 での 特 定 保 険 医 療 材 料 とカバーする 範 囲 が 異 なるが 高 額 な 特 定 保 険 医 療 材 料 は LPP の 対 象 品 となっているものが 多 い GHS に 含 まれない 医 療 材 料 について 公 的 医 療 保 険 からの 保 険 償 還 を 受 けるためには LPP に 収 載 されている 必 要 がある 従 来 フランスでは 民 間 病 院 (cliniques privés)については LPP に 基 づき 医 療 材 料 について 100%の 保 険 償 還 が 行 われてきたが 公 立 病 院 を 含 めて 公 的 医 療 活 動 に 従 事 す る 公 的 病 院 (hôpitaux)については ARH( 地 方 病 院 庁 )が 病 院 ごとに 総 枠 予 算 を 決 め る 方 法 を 採 用 してきた こうした 設 置 主 体 による 診 療 報 酬 の 相 違 を 是 正 するために 2004 年 の 改 革 により 公 的 民 間 病 院 に 対 する 保 険 償 還 制 度 の 統 一 化 の 方 向 が 示 され 2004 年 以 降 フランス 版 DRG/PPS 方 式 である T2A(tarification à l activité) が 段 階 的 に 導 入 されることとなった 65 この T2A の 下 では GHS と 呼 ばれる 傷 病 群 ごとの 医 療 コスト 予 測 に 基 づき 医 療 材 料 を 含 めた 形 で 医 療 サービス 費 用 が 公 的 民 間 病 院 に 対 し て 支 払 われることになる このため T2A に 完 全 移 行 後 は 民 間 病 院 に 対 する LPP も 大 幅 に 縮 小 される 予 定 であったが 従 来 から 医 療 材 料 コストの 100% 償 還 を 受 けてきた 民 間 病 院 医 師 の T2A 制 度 導 入 に 対 する 政 治 的 反 発 を 緩 和 する 手 段 として GHS の 例 外 措 置 として LPP の 継 続 が 認 められることとなった したがって T2A 完 全 移 行 後 の 現 在 も LPP は 継 続 されており むしろ 公 立 病 院 にも 適 用 されるなど 重 要 性 が 高 まって いる ただし LPP への 新 規 収 載 がある 一 方 で GHS に 取 り 込 まれていく 医 療 材 料 も 存 在 している LPP は 社 会 保 障 法 典 L165-1 条 に 規 定 されており その 対 象 とする 分 野 は 次 のとお りである このうち わが 国 の 特 定 保 険 医 療 材 料 に 相 当 する 高 額 の 医 療 材 料 の 多 くは 第 3 編 に 含 まれている 64 LPPR と 略 すこともある 65 2008 年 1 月 から T2A の 完 全 移 行 がなされている 53

図 表 27 LPP の 対 象 製 品 第 1 編 治 療 器 具 生 活 療 養 のための 製 品 栄 養 剤 包 帯 類 第 2 編 整 形 器 具 外 部 の 補 綴 材 第 3 編 埋 込 型 医 療 材 料 人 体 組 織 第 4 編 身 体 障 害 者 用 の 乗 り 物 ( 車 椅 子 バギー 三 輪 車 等 ) T2A の 一 環 として MCO(médecine, chirurgie, obstétrique: 内 科 外 科 産 科 )にお ける 入 院 給 付 (prestations d hospitalisation)に 上 乗 せされる 医 療 材 料 リスト Liste en Sus ( 入 院 給 付 に 係 る 上 乗 せリスト) 66 が 定 義 されている この Liste en Sus は 2005 年 3 月 の 省 令 ( 社 会 保 障 法 典 L.162-22-7 に 適 用 され 入 院 給 付 以 外 に 負 担 する 社 会 保 障 法 典 L.165-1 に 記 載 されている 製 品 と 給 付 のリストを 定 めた 2005 年 3 月 2 日 の 省 令 ) の 付 帯 条 項 I と II として 公 告 されたものである その 後 このリストは 省 令 によって 随 時 更 新 されている Liste en Sus は GHS に 上 乗 せした 保 険 償 還 を 受 けられる 医 療 材 料 のリストであり LPP に 収 載 されていることが 必 要 となっている なお Liste en Sus は 品 目 リストであり 償 還 価 格 に 関 する 規 定 はないため LPP に 記 載 の 価 格 がそのまま 使 用 されることになる メーカーとしては Liste en Sus に 収 載 されることで 病 院 が 当 該 医 療 材 料 を 使 用 する 障 壁 がなくなること 保 険 償 還 上 比 較 的 高 額 の 価 格 が 認 められることから Liste en Sus に 収 載 されることを 望 む なお Liste en Sus は 保 健 省 所 管 の 病 院 入 院 委 員 会 での 審 議 を 受 けて 保 健 大 臣 が 決 定 するものである Liste en Sus の 対 象 品 として LPP で 公 定 価 格 が 設 定 される 医 療 材 料 はあくまでも T2A 制 度 における 例 外 品 目 として 位 置 づけられている CNEDiMTS が ある 医 療 材 料 を LPP 掲 載 品 目 とし 追 加 的 な 償 還 を 行 う 理 由 があるか 否 かを 判 断 する 際 には 1) 技 術 革 新 のスピードが 速 いもの 2) 価 格 が 包 括 払 いに 馴 染 まないほど 高 額 であるもの 3) 対 象 患 者 の 数 が 少 なく 包 括 払 いに 必 要 な 費 用 を 算 定 できないもの のいずれかに 該 当 するか どうかを 審 査 し 当 該 基 準 に 該 当 しない 製 品 は LPP 収 載 品 目 とは 認 められないことに なる つまり LPP 対 象 品 は 1)~3)のいずれかに 該 当 するものということになる 制 度 上 CNEDiMTS は 政 府 から 独 立 した 機 関 であるが この 第 1 の 評 価 においては 保 健 省 の T2A 担 当 部 局 が 深 く 関 与 し CNEDiMTS と 連 携 しながら 同 時 並 行 的 に 評 価 を 行 っている 66 正 式 には LPP en sus des prestations d'hospitalisation 54

2 販 売 承 認 フランスの 医 療 材 料 に 関 する 販 売 承 認 の 規 制 は EU 医 療 機 器 指 令 67 に 基 づき 行 われ る EU 医 療 機 器 指 令 の 中 で 医 療 機 器 は 以 下 のように 定 義 されており 医 療 材 料 も 含 まれる 図 表 28 EU 医 療 機 器 指 令 における 医 療 機 器 の 定 義 医 療 機 器 とはあらゆる 計 器 器 械 用 具 ソフトウェア 材 料 またはその 他 の 品 目 であり 単 独 使 用 か 組 合 せ 使 用 かを 問 わず 製 造 業 者 が 特 に 診 断 治 療 の 目 的 のため に 使 用 することを 意 図 し その 適 切 な 適 用 のために 必 要 なソフトウェアを 含 み 次 の 目 的 のために 製 造 業 者 がヒトへの 使 用 を 意 図 したものを 意 味 する - 疾 病 の 診 断 予 防 監 視 治 療 または 緩 和 - 負 傷 または 身 体 障 害 の 診 断 監 視 治 療 緩 和 または 補 償 - 解 剖 学 的 または 生 理 学 的 プロセスの 検 査 代 替 または 修 復 - 受 胎 調 節 であり 薬 学 免 疫 学 または 新 陳 代 謝 の 手 段 によって 体 内 または 体 表 において 意 図 す る 主 機 能 を 達 成 することはないが それらの 手 段 によってその 機 能 を 補 助 するもので ある 付 属 品 とは それ 自 体 は 機 器 ではないが 機 器 の 製 造 業 者 が 意 図 した 機 器 の 使 用 法 にしたがって 使 用 できるようにするために 機 器 とともに 使 用 するように 製 造 業 者 が 特 に 意 図 するものを 意 味 する フランスで 流 通 する 医 療 機 器 については EU 医 療 機 器 指 令 に 則 り EU 域 内 の 他 国 と 同 様 に CE(Conformité Européenne)マーク を 取 得 し 当 該 機 器 に CE マーク を 表 示 していることが 必 要 となっている 逆 に CE マークを 表 示 した 製 品 であれば 国 別 の 規 制 を 受 けることなく EU 域 内 で 自 由 に 流 通 販 売 することができる 68 医 療 機 器 の 製 造 販 売 業 者 がこの CE マークを 取 得 するためには クラス 分 類 に 応 じた 手 続 きを 行 うことが 求 められるが このクラス 分 類 については 侵 襲 性 の 有 無 などのリス ク 区 分 に 応 じて ClassⅠ ClassⅡa ClassⅡb ClassⅢ の 4 区 分 に 分 けられる 67 新 アプローチ とも 呼 ばれるが 具 体 的 には 90/385/EEC for AIMD(active implantable medical devices 能 動 的 埋 込 型 医 療 機 器 指 令 ) 98/79/EC for IVDMD(in vitro diagnostic medical devices 体 外 診 断 用 医 療 機 器 指 令 ) 93/42/EEC for the others( 医 療 機 器 指 令 )といった 3 つの 規 制 が 存 在 する 医 療 機 器 指 令 は 2007 年 10 月 11 日 に 改 正 されている 2011 年 12 月 フランスのポリ アンプラン プロテーズ 社 (PIP 社 )の 豊 胸 バッグが 体 内 で 破 裂 する 可 能 性 が 指 摘 された 事 件 を 受 け 医 療 機 器 の 法 規 制 を 見 直 す 動 きが 活 発 となっ た 2012 年 9 月 26 日 欧 州 委 員 会 は 3 つの 規 制 に 代 わる 新 たな 規 則 案 を 提 出 し 改 正 に 向 けた 議 論 を 進 め ているところであり 医 療 機 器 の 規 制 を 強 化 する 方 向 である 68 EU 医 療 機 器 指 令 第 4 条 で 加 盟 国 は 第 11 条 の 条 項 による 適 合 性 評 価 に 従 ったことを 示 す 第 17 条 に 提 示 されている CE マークが 付 けられている 機 器 の 自 国 内 の 市 場 における 出 荷 又 は 使 用 に 対 して いかな る 障 壁 も 設 けてはならない と 定 められている 55

数 値 が 高 いほどリスクが 高 い 製 品 ということになり より 厳 格 な 適 合 性 審 査 が 行 われる ことになる 例 えば CE マーク 取 得 に 際 して ClassⅠに 分 類 される 製 品 は 第 三 者 によ る 審 査 を 受 けなくてもよいが それ 以 外 の 製 品 については 認 証 機 関 (notified body)の 審 査 を 受 ける 必 要 がある また ClassⅢや 能 動 的 埋 込 型 医 療 材 料 については 原 則 と して 臨 床 試 験 のデータを 提 出 することが 求 められる 図 表 29 クラス 分 類 ClassⅠ ClassⅡa ClassⅡb ClassⅢ リスクは 低 い( 聴 診 器 車 椅 子 など) リスクは 中 程 度 (カテーテル 輸 血 用 機 器 補 聴 器 電 子 式 体 温 計 など) リスクの 可 能 性 が 高 い(モニター 機 器 体 外 型 除 細 動 器 レン トゲン コンタクトレンズ 人 工 呼 吸 器 など) リスクが 極 めて 高 い( 人 工 血 管 人 工 心 臓 弁 など) 医 療 機 器 の 適 合 性 審 査 を 行 う 認 証 機 関 は EU 域 内 に 約 80 機 関 存 在 するが 製 造 業 者 は 欧 州 委 員 会 に 登 録 されている 認 証 機 関 であれば どの 国 の 認 証 機 関 の 審 査 を 受 けても よい 仕 組 みとなっている 近 年 フランスにおける PIP 社 の 豊 胸 バッグの 問 題 を 受 け 医 療 機 器 に 関 する 規 制 が 強 化 されようとしている 2013 年 9 月 24 日 に 欧 州 委 員 会 は 認 証 機 関 の 指 定 監 督 に 関 する 実 施 規 則 を 採 択 し 認 証 機 関 に 対 する 各 国 による 指 定 や 監 督 の 強 化 を 図 ること となった また 同 時 に 認 証 機 関 が 医 療 機 器 の 監 査 や 審 査 の 際 に 実 施 しなければなら ない 任 務 を 明 確 化 する 勧 告 を 行 っている 69 フランス 国 内 では ANSM が 医 療 機 器 についての 国 内 におけるヒトへの 臨 床 試 験 の 許 可 を 行 っている また ANSM は CE マークの 認 証 機 関 のフランス 国 内 における 開 設 許 可 や 医 療 材 料 による 事 故 等 が 発 生 した 場 合 の 対 応 メーカーの 申 告 書 に 記 載 され ているリスクと 便 益 のバランスのチェック 市 場 の 監 視 といった 役 割 を 果 たしている 69 武 田 美 智 代 EU 医 療 機 器 の 安 全 性 強 化 に 向 けた 実 施 規 則 等 の 成 立 国 立 国 会 図 書 館 調 査 及 び 立 法 考 査 局 外 国 の 立 法 (2013.11) 56

③ 保険収載までの流れ CE マークを取得した医療材料について メーカーが LPP への収載を希望する場合に は 1 商標または製品名で収載する場合 銘柄別収載 2 ジェネリックラインとし て収載する場合の 2 通りの方法がある メーカーが銘柄別収載 brand name を希望する場合 HAS の CNEDiMTS commission nationale d évaluation de dispositifs médicaux et des technologies de santé 医療材料 医療技 術評価委員会 と CEPS に申請書を提出する LPP に収載を希望するメーカーは 申請 書に必要事項を記載した上で CNEDiMTS と CEPS の両方に同時に書類を提出する 従 来は CNEDiMTS に先に提出していたが 現在は同時に CEPS にも提出するようになっ ている この書類は医療的側面に関する項目と経済的側面に関する項目の 大きくは 2 分野で構成されている このうち CNEDiMTS に提出されるのは医療的側面に関する 項目のみであり CEPS には医療的側面と経済的側面に関する項目の両方が提出される また CNEDiMTS の見解が出た段階でこの見解が追加的に CEPS に提出される仕組み となっている 銘柄別収載は 革新的な製品 または医療保険財政への影響が大きい製品 例 埋込 型除細動器 公衆衛生上の必要性が高い製品 例 金属 金属の全置換型人工股関節 最低限の技術的仕様の管理あるいは定義が難しい製品 例 褥瘡予防のためのエアーモ ーター付のサポート用品 であるため 個別のモニタリングが必要な製品などに適用さ れる 銘柄別収載の製品はジェネリックライン収載と比較すると価格が高いが 審査自 体も厳しい 以下は 銘柄別収載の流れになる 図表 30 LPP 収載までの大きな流れ 保険収載申請書 メーカー 医療的記載事項 経済的記載事項 CEPS 医療製品経済委員会 医療的記載事項 評価結果 参考意見 CNEDiMTS 医療材料 医療技術評価委員会 却下 承認 保健省 大臣 LPPに収載 官報告示 資料 CNEDiMTS, Service évaluation des dispositifs médicaux より三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成 57

ジェネリックラインとして 収 載 する 場 合 については 個 別 の 製 品 のブランド 名 やメー カー 名 は LPP に 収 載 されない LPP におけるジェネリックラインの 扱 いについては 技 術 的 仕 様 や 適 応 症 の 指 定 が 明 記 されている 申 請 を 出 すメーカーは 当 該 製 品 が LPP に 既 に 収 載 されている 特 定 分 野 のジェネリックラインに 該 当 すると 判 断 した 場 合 LPP の 項 目 に 従 いその 製 品 を 当 該 分 野 に 分 類 して 申 請 書 を 提 出 する つまり LPP のジェネ リックラインの 定 義 と 技 術 的 仕 様 に 該 当 するのであれば それらの 医 療 材 料 はすべて LPP の 対 象 となる これらの 製 品 は 最 初 の 登 録 の 際 は CNEDiMTS による 評 価 の 対 象 にはならないが ANSM に 申 告 する 義 務 がある なお 2004 年 まではジェネリックラ イン 製 品 の 登 録 有 効 期 間 は 無 期 限 であったが 2004 年 12 月 23 日 のデクレで 最 大 有 効 期 限 は 5 年 間 とされた 58

4 HAS における 評 価 CNEDiMTS では メーカーからの 提 出 書 類 をもとに 技 術 的 な 側 面 からの 評 価 を 行 う ここでは 1) 医 療 上 の 便 益 (service attendu:sa) 70 についての 評 価 と 2) 改 善 度 付 加 価 値 度 (amélioration du service attendu:asa) 71 についての 評 価 の 2 つの 側 面 に ついて 評 価 を 行 っている この 点 で 医 薬 品 における CT の 評 価 の 流 れと 似 ている CNEDiMTS では メーカーの 申 請 書 に 基 づき SA についての 評 価 を 行 う この SA 評 価 では 当 該 製 品 そのものや 当 該 製 品 を 使 用 した 医 療 行 為 の 重 要 性 治 療 診 断 上 の 効 果 障 害 に 対 する 補 償 の 度 合 い 副 作 用 などのリスク 治 療 診 断 上 の 戦 略 や 障 害 に 対 する 補 償 における 当 該 製 品 医 療 行 為 の 位 置 づけ 役 割 その 他 治 療 診 断 方 法 等 について 検 討 評 価 が 行 われる 例 えば 治 療 上 の 効 果 としてどのような 利 益 があるの か 公 衆 衛 生 上 の 利 益 としてどのような 利 益 があるのか( 例 : 合 併 症 がどのくらい 減 る のか 入 院 日 数 がどのくらい 短 縮 できるのか ICU での 滞 在 期 間 がどのくらい 短 縮 でき るのか)といったことが 評 価 される 図 表 31 CNEDiMTS における SA 評 価 HAS: CNEDiMTS 提 出 された 書 類 実 際 の 便 益 の 評 価 実 際 の 便 益 (AB) の 主 要 な 基 準 危 険 / 便 益 の 率 治 療 法 における 当 該 医 療 材 料 のポジション 公 衆 衛 生 における 便 益 ( 資 料 )HAS, Medical device assessment in France Guidebook(December 2009)より 三 菱 UFJ リサーチ&コン サルティング 作 成 70 英 語 では actual benefit(ab) 実 際 上 の 便 益 と 訳 している(HAS, Medical device assessment in France Guidebook(December 2009)) 71 英 語 では added clinical value(acv) 追 加 的 な 臨 床 上 の 便 益 と 訳 している(HAS, Medical device assessment in France Guidebook(December 2009)) 59

SA 評 価 は 医 療 材 料 に 関 する 臨 床 上 の 効 果 について 評 価 するものであり 医 薬 品 の SMR 評 価 に 該 当 する SMR 評 価 では 医 薬 品 について 重 要 中 等 度 軽 度 不 十 分 の 4 段 階 評 価 が 行 われたが 医 療 材 料 に 関 する SA 評 価 では 十 分 (suffisant) か 不 十 分 (insuffisant) の 2 段 階 評 価 となる つまり SA 評 価 は SMR 評 価 と 同 様 に 絶 対 評 価 であるが その 結 果 は YES か NO の 決 定 となる これは 医 薬 品 が SMR 評 価 の 区 分 に 応 じて 償 還 率 が 65% 30% 15% 0%と 4 段 階 であったのに 対 し 医 療 材 料 に ついては 十 分 (suffisant) と 評 価 されたものは LPP に 収 載 され 保 険 償 還 率 は 100%と なるが 不 十 分 (insuffisant) と 評 価 されたものは LPP に 収 載 されない( 非 償 還 )と いう 2 つの 選 択 肢 しかないことと 関 係 している CNEDiMTS では SA 評 価 により LPP に 収 載 するに 足 る 医 療 上 の 便 益 が 十 分 である と 判 断 した 場 合 には 続 いて ASA 評 価 を 行 う この ASA 評 価 では CNEDiMTS は 比 較 可 能 な 製 品 や 治 療 法 との 関 係 で 臨 床 上 の 付 加 価 値 があるかどうか 入 手 可 能 な 科 学 データに 基 づいて 評 価 を 行 う ASA 評 価 では 患 者 への 医 療 上 の 便 益 に 関 連 して QOL や 使 用 上 の 利 便 性 臨 床 上 の 基 準 ( 死 亡 率 り 患 率 障 害 の 補 償 好 ましくない 効 果 の 削 減 )といった 指 標 が 用 いられる SA が 絶 対 評 価 であるのに 対 し ASA 評 価 は 当 該 製 品 が 既 存 の 製 品 や 治 療 法 と 比 較 してどの 程 度 治 療 上 の 進 歩 をもたらすのかを 相 対 評 価 する 医 薬 品 での ASMR 評 価 と 位 置 づけは 同 じである ASA 評 価 での 評 価 区 分 は 医 薬 品 の ASMR 評 価 と 同 じで Ⅰ( 顕 著 な 改 善 ) Ⅱ ( 重 要 な 改 善 ) Ⅲ( 中 等 度 の 改 善 ) Ⅳ( 軽 度 の 改 善 ) Ⅴ( 改 善 なし) の 5 段 階 評 価 である 図 表 32 CNEDiMTS における ASA 評 価 区 分 区 分 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ ASA 評 価 の 意 味 majeur 顕 著 な 改 善 Important 重 要 な 改 善 modéré 中 等 度 の 改 善 mineur 軽 度 の 改 善 absence de progress 改 善 なし 評 価 高 ( 資 料 ) 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 60

Ⅰ は 非 常 に 革 新 的 な 成 果 が 期 待 される 医 療 材 料 である また Ⅱ は Ⅰ の 評 価 はつけられないものの 例 えば 合 併 症 等 の 発 生 率 が 大 きく 低 下 することなどがデー タで 示 された 医 療 材 料 である こうした Ⅰ と Ⅱ に 評 価 されるためには 臨 床 試 験 によるデータが 基 本 的 に 必 要 とされているが 臨 床 上 のデータが 得 られない 場 合 で か つ 有 効 な 論 文 を 参 照 することで 支 持 できる 場 合 には 例 外 的 に 論 文 を 代 用 できることと なっている ASA 評 価 については 既 存 製 品 との 比 較 において LPP に 収 載 しようとする 当 該 製 品 がどの 程 度 の 臨 床 上 の 価 値 をもたらすのかという 相 対 評 価 であることから ASA 評 価 を 行 う 上 で どの 製 品 技 術 治 療 法 と 比 較 するのかという 比 較 対 象 の 設 定 が 重 要 に なる 実 際 CNEDiMTS では 同 一 とされるカテゴリーに 複 数 の 製 品 があるような 場 合 には この 中 でも 最 も 優 れている 製 品 と 比 較 して 評 価 を 行 っている 一 方 類 似 機 能 の 製 品 が 存 在 しない 場 合 などは 現 在 行 われている 治 療 法 との 比 較 を 行 っている 医 療 材 料 の ASA 評 価 では 比 較 対 象 の 設 定 方 法 次 第 で 評 価 が 大 きく 異 なるため 比 較 対 象 の 設 定 方 法 についてしばしば 申 請 メーカーからの 異 議 申 立 てを 受 ける 場 合 がある このた め 最 近 CNEDiMTS では 臨 床 試 験 の 方 法 論 について 評 価 を 行 う 専 門 家 の 意 見 を 積 極 的 に 取 り 入 れるようになってきている この 成 果 として 臨 床 試 験 の 方 法 論 に 不 備 があ るという 理 由 で メーカーからの 異 議 申 立 てを 却 下 することが 増 えている また CNEDiMTS では 償 還 対 象 と 決 定 したものの 医 学 的 な 観 点 から 補 足 調 査 を 行 うことが 必 要 であると 判 断 した 場 合 には そのような 見 解 を 追 加 する 場 合 もある CNEDiMTS の 審 議 内 容 は 非 公 開 であり 結 果 のみが 公 開 される LPP の 収 載 有 効 期 間 は 5 年 間 であり 少 なくとも 5 年 後 には 見 直 しが 行 われる この 時 にも CNEDiMTS による 評 価 を 受 けることになる ASA 評 価 は 評 価 時 点 における 最 良 品 との 比 較 相 対 評 価 であるため 例 えば 2008 年 に Ⅰ と 評 価 された 製 品 であって も 5 年 後 の 更 新 に 向 けて 2012 年 に 再 審 査 を 行 った 結 果 Ⅴ となるケースもある この 他 CNEDiMTS では LPP への 収 載 を 認 めた 製 品 について 1)どのような 患 者 や 症 例 に 使 用 するのか 2)どのような 医 師 がこれを 使 用 すべきか 3)どのような 病 院 で 使 用 すべきかといったような 詳 細 な 条 件 を 付 けた 勧 告 を 行 うことも 重 要 な 役 割 の 1 つ となっている 61

5 SA と ASA の 評 価 実 績 2012 年 に CNEDiMTS が 実 施 した 新 規 収 載 に 係 る SA 評 価 は 122 件 であり このう ち 十 分 となった 医 療 材 料 は 94 件 (77.0%)であり 不 十 分 が 28 件 (23.0%)で あった また 前 述 の 通 り LPP の 収 載 有 効 期 間 は 5 年 間 であるため 少 なくとも 5 年 後 には 再 評 価 が 行 われる 更 新 に 際 しての SA 評 価 は service rendu:sr といわれる CNEDiMTS が 実 施 した 2012 年 の 評 価 実 績 は 32 件 であり このうち 十 分 と 評 価 さ れた 医 療 材 料 は 25 件 (78.1%)であり 不 十 分 が 7 件 (21.9%)であった 図 表 33 SA 評 価 結 果 (2012 年 新 規 収 載 ) 件 120 100 94 80 60 40 28 20 0 十 分 不 十 分 ( 資 料 )HAS, Rapport d activité 2012 より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 図 表 34 更 新 評 価 における SA(SR) 評 価 結 果 (2012 年 更 新 ) 件 30 25 20 10 7 0 十 分 不 十 分 ( 資 料 )HAS, Rapport d activité 2012 より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 62

2012 年 に CNEDiMTS が 実 施 した 収 載 に 係 る ASA 評 価 は 100 件 であり このうち Ⅰ ( 顕 著 な 改 善 ) と Ⅱ( 重 要 な 改 善 ) がともに 0 件 (0.0%) Ⅲ( 中 等 度 の 改 善 ) が 3 件 ( 3.0%) Ⅳ( 軽 度 の 改 善 ) が 15 件 ( 15.0%) Ⅴ( 改 善 なし) が 82 件 ( 82.0%) であった また 更 新 に 係 る ASA 評 価 は ASR(amélioration du service rendu) といわれるが 2012 年 に CNEDiMTS が 実 施 した 評 価 実 績 は 27 件 であり このうち Ⅰ( 顕 著 な 改 善 ) が 0 件 ( 0.0%) Ⅱ( 重 要 な 改 善 ) が 1 件 ( 3.7%) Ⅲ( 中 等 度 の 改 善 ) が 2 件 ( 7.4%) Ⅳ( 軽 度 の 改 善 ) が 5 件 (18.5%) Ⅴ( 改 善 なし) が 19 件 (70.4%)であった 医 薬 品 とも 共 通 するが ASA 評 価 で Ⅰ Ⅱ Ⅲ と 評 価 されるものは 少 ない 図 表 35 ASA 評 価 結 果 (2012 年 新 規 収 載 ) 件 100 82 50 0 15 0 0 3 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ ( 資 料 )HAS, Rapport d activité 2012 より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 図 表 36 ASA 評 価 結 果 (2012 年 更 新 ) 件 20 19 15 10 5 0 5 2 1 0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ ( 資 料 )HAS, Rapport d activité 2012 より 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 63

6 CEPS における 保 険 償 還 価 格 案 の 決 定 CNEDiMTS による SA 評 価 ASA 評 価 の 結 果 である 意 見 書 を 受 けて CEPS ではメー カーに 提 示 する 保 険 償 還 価 格 案 を 決 めるプロセスに 入 る なお SA 評 価 で 不 十 分 と 評 価 された 医 療 材 料 については LPP に 収 載 されない( 保 険 償 還 上 非 償 還 という 扱 いになる) CEPS では 申 請 書 提 出 メーカーに 提 示 する 価 格 案 を 決 定 する 際 に 10 人 の CEPS 委 員 間 で 合 意 を 成 立 させることを 優 先 しているものの 合 意 が 成 立 しない 場 合 は 評 決 を 行 うことになる 評 決 で 5 対 5 の 同 点 となった 場 合 には 委 員 長 の 意 見 が 優 先 される 仕 組 み となっている CEPS の 審 議 の 結 果 価 格 案 が 決 まると CEPS は 申 請 書 提 出 メーカーとの 交 渉 プロ セスに 入 る CNEDiMTS の ASA 評 価 で Ⅰ Ⅱ と 評 価 された 製 品 については メ ーカーの 希 望 価 格 が 比 較 的 尊 重 される CEPS では 製 品 の 技 術 的 差 異 を 考 慮 した 上 で 原 則 他 の 欧 州 諸 国 ( 特 にイギリス ドイツ イタリア スペイン)における 実 勢 価 格 と 同 等 になるように 交 渉 する Ⅲ Ⅳ の 製 品 については メーカーの 希 望 価 格 か ら 価 格 を 少 しでも 安 くできるよう CEPS は 時 間 をかけてメーカーと 交 渉 を 行 うスタンス である CEPS の 交 渉 方 法 としては 海 外 での 価 格 を 比 較 する 他 例 えば 代 替 方 法 とし て 外 科 手 術 を 行 った 場 合 ではどのくらいのコストになるのかなど 想 定 できる 根 拠 をで きる 限 り 集 めて 交 渉 する さらに 当 該 製 品 が 市 場 で 販 売 されないといったことが 起 き ないよう CEPS ではメーカーと 合 意 することを 目 的 とした 交 渉 を 行 っている しかし 交 渉 の 結 果 合 意 に 至 らない 場 合 は CEPS がメーカーに 対 して 保 険 償 還 価 格 を 通 告 す る 形 となる Ⅴ の 評 価 がついた 製 品 の 場 合 は LPP に 収 載 されない あるいはジェ ネリックラインに 登 録 された 上 で 銘 柄 別 収 載 品 と 比 較 して 慣 行 的 に 5~10% 程 安 い 価 格 が 設 定 される CNEDiMTS での 見 解 に 基 づき CEPS が LPP の 収 載 内 容 を 大 臣 に 答 申 し 同 時 に CEPS では 価 格 に 関 する 見 解 を 準 備 発 表 する 形 となる CEPS では 一 旦 償 還 価 格 を 決 め た 後 メーカーが 病 院 との 間 でどういう 価 格 契 約 を 締 結 したか 追 跡 調 査 を 行 い 再 度 値 下 げ 交 渉 を 進 める 場 合 もある 銘 柄 別 収 載 でも 特 に 改 善 点 がない 同 等 品 とみなされ た 場 合 で 既 存 製 品 が 2 年 以 内 に LPP に 収 載 された 製 品 である 場 合 は 既 存 製 品 と 同 じ 価 格 に 既 存 製 品 が 3 年 程 前 に 収 載 された 製 品 である 場 合 は 既 存 製 品 よりも 5~20% 程 度 低 い 価 格 に 設 定 される 既 存 製 品 が 収 載 されて 5~6 年 も 経 過 するとその 製 品 の 価 格 は 半 額 くらいに 設 定 される CEPS では 償 還 価 格 を 設 定 する 際 に 条 件 を 盛 り 込 むことが 可 能 となっている 例 えば 対 象 となる 患 者 数 以 上 の 販 売 実 績 があった 場 合 には メーカー 側 が 目 標 を 上 回 った 分 に ついて 保 険 者 に 還 元 することが 義 務 づけられている これは 医 薬 品 と 同 様 で 当 該 製 品 に より 単 価 と 販 売 量 で 当 該 製 品 に 関 する 販 売 総 量 が 決 まる そこで CEPS ではメーカーと の 価 格 交 渉 では 販 売 量 見 込 みとセットで 検 討 がなされる 64

⑦ 保険収載 CEPS では CNEDiMTS の評価結果をもとに LPP 収載申請書を提出したメーカーと 交渉を行い 価格案を決定する メーカーとの価格交渉後 CEPS は保健省及び社会保 障担当省に案を提出し大臣の決定を求める 官報では CEPS の出す償還価格の決定通 知と LPP 収載の省令を同じ日に発布することになる LPP への申請に対しては CNEDiMTS での審査が 90 日以内 CEPS の審査が 90 日以 内となっており 合計で 180 日以内に処理することになっている しかし 実際にはこ の制限を大きく上回っている CEPS の 2010 年の年次報告書によると 第 1 回目の申請 の場合 申請書類提出日から結果の公示に至るまでの平均日数は 346 日であった 図表 37 審査の流れと審査期間 CNEDiMTS 医療材料 医療技術評価委員会 医療技術 記載文書 医療技術に関する見解 CEマーク 90日 保健省 90日 医療技術 記載文書 コピー 経済面 記載文書 CEPS 医療製品経済委員会 経済面の見解 CNEDiMTSに90日 CEPSに90日 資料 IPSOR ウェブサイト http://www.ispor.org/htaroadmaps/francemd.asp#4 より作成 65 決定 官報 告示

8 保 険 収 載 後 の 状 況 LPP の 収 載 については 先 に 述 べたとおり 有 効 期 限 が 存 在 する 製 品 の 収 載 有 効 期 限 は 5 年 であるが その 間 に 大 臣 や 閣 僚 からの 要 請 があれば 例 えば 3 年 という 期 間 で 見 直 しが 行 われる 場 合 もある 通 常 5 年 が 経 過 する 6 か 月 前 から( 収 載 から 4 年 6 か 月 経 過 後 から) 更 新 の 手 続 きが 開 始 される このため 同 じカテゴリーの 製 品 であって も LPP 収 載 時 期 によって 更 新 時 期 が 異 なる メーカーはこの 5 年 間 の 有 効 期 限 が 切 れ る 前 に 新 しい 改 善 点 があれば 引 上 げの 申 請 を 行 うことも 可 能 となっている この 更 新 時 においても 新 規 収 載 の 場 合 と 同 じプロセスが 踏 まれる ジェネリックラインの 製 品 については 今 までは 対 象 の 症 例 と 使 用 条 件 技 術 的 仕 様 を 記 載 する 必 要 があったものの CNEDiMTS に 書 類 を 提 出 する 必 要 はなく メーカー が 自 らの 責 任 においてどの 分 野 に 属 するかがわかるコードを 明 記 するだけでよかった しかし この 方 法 では 当 該 製 品 がその 分 野 に 属 する 妥 当 性 についての 確 認 ができない ということが 以 前 から 問 題 になっていた そこで 改 善 策 の 一 環 として 2010 年 以 降 は AFSSAPS( 後 に ANSM)への 申 告 が 義 務 づけられた また 2005 年 に 成 立 した 法 律 により CNEDiMTS が 10 年 間 かけて 現 在 ある 4,000~4,500 のジェネリックラインの 見 直 し 作 業 を 行 うこととなった 1 つのジェネリックラインに 対 して 約 1 年 半 から 2 年 程 の 審 査 時 間 が 必 要 になると 見 込 まれている 見 直 しの 中 では メーカーと 業 界 とが 合 わせて 1 つの 新 しい 関 連 書 類 を 提 出 すること になる それと 同 時 に CNEDiMTS も 独 自 に 資 料 やデータを 集 め その 2 つを 対 比 さ せて 検 討 するための 作 業 部 会 を 設 けて 内 容 を 検 討 し 新 しい 機 能 に 関 する 記 述 記 載 を 提 案 することになる 作 業 部 会 には 通 常 ANSM の 代 表 が 参 加 するため 事 故 の 有 無 等 の 情 報 を 集 め どういった 注 意 点 が 必 要 か という 観 点 から 検 討 が 行 われる この 見 直 しについては 保 健 大 臣 社 会 保 障 担 当 大 臣 が 対 象 分 野 を 決 定 することになっており 年 間 にどれくらいの 分 野 を 調 査 するかは 定 まっていない 66

(3) 最 近 の 動 向 フランスでは 販 売 承 認 を 取 得 した 医 薬 品 や 医 療 機 器 の 再 評 価 の 際 には 従 前 より 医 療 経 済 評 価 が 行 われていた しかし 2013 年 10 月 からは 医 薬 品 の 保 険 償 還 対 象 医 薬 品 の 初 回 収 載 時 においても 医 療 経 済 評 価 を 援 用 することが 決 まっている これは 2012 年 のデクレにも 明 記 されており 初 回 収 載 時 に 医 療 経 済 評 価 を 行 うこと 対 象 は ASMR 評 価 で Ⅰ Ⅱ Ⅲ の 評 価 を 期 待 する 医 薬 品 であり かつ 医 療 財 政 への 影 響 が 大 きい 医 薬 品 とすることとされている この 医 療 経 済 評 価 は 製 薬 会 社 が 提 出 したデータに 基 づいて 既 存 の 医 薬 品 との 相 対 的 な 効 率 性 を 評 価 しようとするものである 初 回 収 載 時 は 製 薬 会 社 が 提 出 したデータをもとに 評 価 が 行 われるが 収 載 から 数 年 後 には より 正 確 に 経 済 性 臨 床 上 の 有 用 性 を 判 断 するための 追 加 的 な 補 足 調 査 が 行 われることにな っている CEPS では HAS によって 実 施 された 医 療 経 済 評 価 の 結 果 も 踏 まえて 製 薬 会 社 と 価 格 交 渉 を 行 うことになる CEPS は HAS による ASMR 評 価 で 高 い 評 価 を 得 た 医 薬 品 についての 価 格 交 渉 を 製 薬 会 社 と 行 っているが どの 程 度 まで 評 価 できるのか (どのくらいの 価 格 設 定 が 妥 当 なのか)という 点 が 必 ずしも 明 確 ではなかった 医 療 経 済 評 価 を 行 うことで 今 までよりもこの 基 準 がクリアになることが 期 待 されている 医 療 材 料 及 び 医 療 技 術 については CNEDiMTS が 臨 床 上 の 有 効 性 に 関 する 評 価 を 精 緻 化 することを 目 的 として 臨 床 試 験 に 関 する 評 価 に 重 点 を 置 いた 活 動 を 行 っている HAS では 医 薬 品 医 療 製 品 の 安 全 性 強 化 に 関 する 2011 年 12 月 29 日 の 法 律 により GHS の 枠 内 で 償 還 されている 医 療 材 料 についても 評 価 を 行 うことになった これは GHS の 枠 内 で 病 院 が 使 用 している 医 療 材 料 の 質 があまり 良 くないのではないかといっ た 不 信 感 が 背 景 としてある 前 述 のとおり フランスを 含 む EU 圏 内 では CE マークを 取 得 する 上 で EU 圏 内 のどの 認 証 機 関 でも 審 査 は 良 いことになっている 認 証 機 関 のな かには 審 査 の 精 度 に 疑 問 が 生 じるものもあった 国 としての 販 売 認 可 制 度 がなく CE マ ークの 取 得 のみを 要 件 としているため 例 えば フランス 政 府 が 認 証 機 関 の 妥 当 性 を 厳 格 にしていても 認 証 機 関 に 対 して 厳 しい 監 視 を 行 っていない 国 がある 場 合 も 想 定 され るため 医 療 材 料 の 質 が 担 保 できないという 問 題 が 認 識 されていた こうしたことから 人 体 への 影 響 が 大 きい 医 療 材 料 を 中 心 に 特 定 のカテゴリーに 属 する 医 療 材 料 を CNEDiMTS が 再 評 価 することになった 一 方 CEPS では 2011 年 12 月 16 日 に ほぼすべての 医 療 機 器 関 係 の 団 体 と LPP の 決 定 プロセスに 関 する 枠 組 み 合 意 を 結 んだ この 枠 組 み 合 意 の 中 では CEPS とメーカ ーとの 間 で LPP に 関 する 協 約 を 締 結 する 際 の 基 本 的 なルールがすべて 記 載 されている 具 体 的 には 情 報 公 開 や LPP 収 載 後 の 追 加 調 査 の 方 法 その 他 必 要 な 調 査 償 還 価 格 決 定 時 の 原 則 イノベーションの 考 慮 の 方 法 販 売 上 限 価 格 の 設 定 LPP よりもさらに いくらか 上 乗 せして 薬 局 や 中 間 業 者 のマージンを 保 証 するための 価 格 ( 譲 渡 価 格 ) 設 定 の 方 法 目 標 販 売 数 を 超 えた 場 合 の 返 金 枠 組 み 合 意 の 維 持 の 方 法 等 多 岐 にわたる 内 容 となっている こうした 枠 組 み 合 意 が 作 られた 背 景 としては 医 薬 品 には 20 年 近 く 前 67

から 同 様 の 合 意 があったことが 挙 げられる 2011 年 社 会 保 障 財 政 法 (LFSS2011)によ り この 枠 組 み 合 意 の 導 入 が 認 められ 枠 組 み 合 意 が 締 結 された この 結 果 LPP 収 載 後 に 医 療 的 側 面 から LPP 収 載 の 継 続 性 の 意 義 が 問 われた 際 に 補 足 調 査 を 行 うことが 認 められ HAS の 役 割 がますます 重 要 となっている また 枠 組 み 合 意 の 中 には 医 療 材 料 に 関 する 市 場 動 向 データベースの 構 築 が 盛 り 込 まれている この 医 療 材 料 の 市 場 動 向 データベースは 製 品 の 価 格 情 報 よりもむしろ 販 売 量 に 関 する 情 報 を 収 集 しようとす るものである 2012 年 度 以 降 市 場 動 向 データベースの 構 築 が 進 められている HAS では 医 療 経 済 評 価 を 担 当 する CEESP の 内 規 を 策 定 し 医 療 経 済 評 価 の 体 制 整 備 を 進 めている この 内 規 では 医 療 保 険 財 政 に 重 大 な 影 響 をもたらすと 統 括 委 員 会 が 判 断 した 場 合 に CEESP が 企 業 から 提 出 されたデータについて 検 証 評 価 を 実 施 する 手 続 き 等 が 記 載 されている 68

III. わが 国 の 制 度 と 最 近 の 動 向 これまで フランスにおける 医 薬 品 医 療 材 料 医 療 技 術 に 関 する 保 険 償 還 率 及 び 保 険 償 還 価 格 の 決 定 の 仕 組 みとその 関 係 機 関 医 療 技 術 評 価 の 活 用 状 況 等 について 整 理 し てきた ここでは 1.わが 国 の 制 度 として わが 国 における 医 薬 品 医 療 材 料 医 療 技 術 に 関 する 保 険 給 付 の 仕 組 みと 保 険 償 還 価 格 の 決 定 プロセスについて 2. 最 近 の 動 向 として わが 国 での 費 用 対 効 果 評 価 を 取 り 入 れた 保 険 償 還 価 格 決 定 に 関 する 議 論 動 向 等 を 整 理 する 1. わが 国 の 制 度 (1) 医 薬 品 1 薬 価 基 準 制 度 わが 国 では 薬 事 法 に 基 づく 製 造 販 売 承 認 ( 薬 事 承 認 )と 保 険 収 載 ( 薬 価 基 準 収 載 ) のプロセスを 経 た 医 薬 品 が 保 険 給 付 の 対 象 となり それらの 医 薬 品 の 品 目 リストが 使 用 薬 剤 の 薬 価 ( 薬 価 基 準 ) であり 保 険 償 還 価 格 である 薬 価 とともに 収 載 されて いる つまり 薬 価 基 準 は 保 険 診 療 で 使 用 することが 認 められている 医 薬 品 の 品 目 リス トであり 同 時 に 医 療 機 関 等 が 使 用 医 薬 品 について 保 険 請 求 する 際 の 保 険 請 求 価 格 表 でもある この 薬 価 基 準 は 使 用 薬 剤 の 薬 価 ( 薬 価 基 準 )に 収 載 されている 医 薬 品 について という 厚 生 労 働 大 臣 による 告 示 として 示 される 医 療 機 関 等 で 保 険 診 療 に 用 いられる 医 療 用 医 薬 品 はすべてこの 薬 価 基 準 に 収 載 されていることが 必 要 であり 72 現 在 収 載 さ れている 医 薬 品 は 約 1 万 8 千 程 度 となっている 73 このうち 新 しい 効 能 や 効 果 を 有 し 臨 床 試 験 (いわゆる 治 験 ) 等 により その 有 効 性 や 安 全 性 が 確 認 され 承 認 された 医 薬 品 を 先 発 医 薬 品 先 発 医 薬 品 の 特 許 が 切 れた 後 に 先 発 医 薬 品 と 成 分 や 規 格 等 が 同 一 で 治 療 学 的 に 同 等 であるとして 承 認 される 医 薬 品 を 後 発 医 薬 品 (いわゆる ジェ ネリック 医 薬 品 )という 後 述 する 特 定 保 険 医 療 材 料 が 機 能 区 分 別 収 載 である( 機 能 区 分 ごとに 保 険 償 還 価 格 が 決 められているため 同 じ 機 能 区 分 に 収 載 されている 製 品 はどの 製 品 も 同 じ 保 険 償 還 価 格 となる)のに 対 し 医 薬 品 は 銘 柄 別 収 載 となっている( 製 品 ごとに 薬 価 が 決 められて いる) 72 保 険 医 療 機 関 及 び 保 険 医 療 担 当 規 則 の 第 19 条 で 保 険 医 は 厚 生 労 働 大 臣 の 定 める 医 薬 品 以 外 の 薬 物 を 患 者 に 施 用 し 又 は 処 方 してはならない とされている 同 様 に 保 険 薬 局 及 び 保 険 薬 剤 師 担 当 規 則 でも 第 9 条 で 保 険 薬 剤 師 は 厚 生 労 働 大 臣 の 定 める 医 薬 品 以 外 の 医 薬 品 を 使 用 して 調 剤 してはならない と されている 73 平 成 26 年 2 月 現 在 ( 厚 生 労 働 省 ホームページより) 69

薬 価 基 準 収 載 リストについては 次 ページにその 一 部 を 掲 載 したが 内 用 薬 注 射 薬 外 用 薬 歯 科 用 薬 剤 といった 種 類 ごとに 薬 効 分 類 番 号 別 に 医 薬 品 が 収 載 されている リストには 成 分 名 規 格 品 名 メーカー 名 薬 価 の 他 先 発 医 薬 品 後 発 医 薬 品 の 区 分 が 掲 載 されている なお 薬 価 については 円 で 表 示 されている 例 えば 薬 価 が 16.8 円 で 1 日 3 回 服 用 する A 医 薬 品 を 28 日 分 (84 錠 ) 処 方 した 場 合 16.8 円 に 84 を 乗 じ て 1,411.2 円 となる これを 10 円 =1 点 で 換 算 すると 141.12 点 となるが 小 数 点 以 下 に ついては 五 捨 五 超 入 とすることとなっているため 141 点 という 計 算 になる A 医 薬 品 に 関 する 薬 剤 料 は 141 点 で 患 者 負 担 を 計 算 する 際 には 再 度 円 換 算 するが 1 点 =10 円 と いうわが 国 の 診 療 報 酬 上 のルールに 従 い 1,410 円 となり 3 割 負 担 の 患 者 であれば 1,410 円 0.3 で 423 円 という 計 算 になる 70

区 分 薬 価 基 準 収 載 医 薬 品 コード 図 表 38 使 用 薬 剤 の 薬 価 ( 薬 価 基 準 )( 一 部 抜 粋 ) 成 分 名 規 格 品 名 メーカー 名 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 ウェブサイト(http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/tp120305-01.html)より 一 部 抜 粋 診 療 報 酬 におい て 加 算 等 の 算 定 対 象 となる 後 発 医 薬 品 先 発 医 薬 品 同 一 剤 形 規 格 の 後 発 医 薬 品 が ある 先 発 医 薬 品 内 用 薬 1121001X1018 ブロモバレリル 尿 素 1g 局 ブロモバレリル 尿 素 8.70 内 用 薬 1121001X1085 ブロモバレリル 尿 素 1g 局 ブロムワレリル 尿 素 メタル 中 北 薬 品 9.50 内 用 薬 1121001X1131 ブロモバレリル 尿 素 1g 局 ブロムワレリル 尿 素 ( 山 善 ) 山 善 製 薬 9.50 内 用 薬 1121001X1204 ブロモバレリル 尿 素 1g 局 ブロバリン 原 末 日 本 新 薬 9.50 内 用 薬 1121001X1212 ブロモバレリル 尿 素 1g 局 ブロモバレリル 尿 素 ヨシダ 吉 田 製 薬 10.00 内 用 薬 1121001X1220 ブロモバレリル 尿 素 1g 局 ブロムワレリル 尿 素 JG 日 本 ジェネリック 9.50 内 用 薬 1123001X1012 抱 水 クロラール 1g 局 抱 水 クロラール 36.20 内 用 薬 1124001B1039 エスタゾラム 1%1g ユーロジン 散 1% 武 田 薬 品 工 業 先 発 品 61.20 内 用 薬 1124001F1022 エスタゾラム 1mg1 錠 ユーロジン1mg 錠 武 田 薬 品 工 業 先 発 品 10.30 薬 価 経 過 措 置 に よる 使 用 期 限 内 用 薬 1124001F1030 エスタゾラム 1mg1 錠 エスタゾラム 錠 1mg アメ 共 和 薬 品 工 業 後 発 品 7.80 内 用 薬 1124001F2029 エスタゾラム 2mg1 錠 ル ユーロジン2mg 錠 武 田 薬 品 工 業 先 発 品 16.20 内 用 薬 1124001F2037 エスタゾラム 2mg1 錠 エスタゾラム 錠 2mg アメ 共 和 薬 品 工 業 後 発 品 12.80 内 用 薬 1124002M1042 フルラゼパム 塩 酸 塩 10mg1カプセ ル ベノジールカプセル10 協 和 発 酵 キリン 先 発 品 9.10 内 用 薬 1124002M2022 フルラゼパム 塩 酸 塩 ル15mg1カプセ ダルメートカプセル15 共 和 薬 品 工 業 先 発 品 11.00 内 用 薬 1124002M2049 フルラゼパム 塩 酸 塩 ル15mg1カプセ ベノジールカプセル15 協 和 発 酵 キリン 先 発 品 11.00 内 用 薬 1124003B1070 ニトラゼパム ル1%1g ネルボン 散 1% 第 一 三 共 17.50 内 用 薬 1124003C1092 ニトラゼパム 1%1g ベンザリン 細 粒 1% 塩 野 義 製 薬 準 先 発 品 18.10 内 用 薬 1124003C1106 ニトラゼパム 1%1g ネルロレン 細 粒 1% 辰 巳 化 学 後 発 品 6.20 内 用 薬 1124003F1021 ニトラゼパム 2mg1 錠 ベンザリン 錠 2 塩 野 義 製 薬 5.80 内 用 薬 1124003F2044 ニトラゼパム 5mg1 錠 チスボン 錠 5 鶴 原 製 薬 後 発 品 5.40 H26.3.31ま 内 用 薬 1124003F2176 ニトラゼパム 5mg1 錠 ネルロレン 錠 5 辰 巳 化 学 後 発 品 5.40 で 内 用 薬 1124003F2184 ニトラゼパム 5mg1 錠 ノイクロニック 錠 5 テバ 製 薬 後 発 品 5.40 H26.3.31ま 内 用 薬 1124003F2222 ニトラゼパム 5mg1 錠 ベンザリン 錠 5 塩 野 義 製 薬 準 先 発 品 11.20 内 用 薬 1124003F2230 ニトラゼパム 5mg1 錠 ネルボン 錠 5mg 第 一 三 共 準 先 発 品 11.20 内 用 薬 1124003F2249 ニトラゼパム 5mg1 錠 ニトラゼパム 錠 5mg トー 東 和 薬 品 後 発 品 5.40 内 用 薬 1124003F2257 ニトラゼパム 5mg1 錠 ワ ヒルスカミン 錠 5mg イセイ 後 発 品 5.40 H26.3.31ま 内 用 薬 1124003F2265 ニトラゼパム 5mg1 錠 ニトラゼパム 錠 5mg JG 日 本 ジェネリック 後 発 品 5.40 で 内 用 薬 1124003F2273 ニトラゼパム 5mg1 錠 ニトラゼパム 錠 5mg ツルハ 鶴 原 製 薬 後 発 品 5.40 内 用 薬 1124003F2281 ニトラゼパム 5mg1 錠 ラ ニトラゼパム 錠 5mg イセ イセイ 後 発 品 5.40 内 用 薬 1124003F2290 ニトラゼパム 5mg1 錠 イ ニトラゼパム 錠 5mg テバ テバ 製 薬 後 発 品 5.40 内 用 薬 1124003F3040 ニトラゼパム 10mg1 錠 チスボン 錠 10 鶴 原 製 薬 後 発 品 5.60 H26.3.31ま 内 用 薬 1124003F3083 ニトラゼパム 10mg1 錠 ネルボン 錠 10mg 第 一 三 共 準 先 発 品 17.40 で 内 用 薬 1124003F3091 ニトラゼパム 10mg1 錠 ネルロレン 錠 10 辰 巳 化 学 後 発 品 5.60 内 用 薬 1124003F3121 ニトラゼパム 10mg1 錠 ベンザリン 錠 10 塩 野 義 製 薬 準 先 発 品 17.40 内 用 薬 1124003F3156 ニトラゼパム 10mg1 錠 ニトラゼパム 錠 10mg J 日 本 ジェネリック 後 発 品 5.60 内 用 薬 1124003F3164 ニトラゼパム 10mg1 錠 G ニトラゼパム 錠 10mg ツル 鶴 原 製 薬 後 発 品 5.60 内 用 薬 1124004F1042 ニメタゼパム 3mg1 錠 ハラ エリミン 錠 3mg 大 日 本 住 友 製 薬 先 発 品 14.70 内 用 薬 1124004F2030 ニメタゼパム 5mg1 錠 エリミン 錠 5mg 大 日 本 住 友 製 薬 先 発 品 19.10 71

2 薬 価 基 準 収 載 までのプロセス る 薬 価 基 準 収 載 ( 薬 価 算 定 )までのプロセス 74 は 新 医 薬 品 75 と 後 発 医 薬 品 とでは 異 な 薬 価 基 準 収 載 手 続 き 新 医 薬 品 報 告 品 目 新 キット 製 品 後 発 医 薬 品 図 表 39 薬 価 基 準 収 載 手 続 きと 薬 価 算 定 の 基 準 新 薬 薬 価 算 定 の 基 準 薬 事 法 第 14 条 の 4 第 1 項 ( 同 法 第 19 条 の 4 において 準 用 する 場 合 を 含 む)の 規 定 に 基 づき 再 審 査 を 受 けなければならないとされた 医 薬 品 薬 事 法 第 14 条 の 4 第 1 項 ( 同 法 第 19 条 の 4 において 準 用 する 場 合 を 含 む)の 規 定 に 基 づき 再 審 査 を 受 けなければならないとされた 医 薬 品 組 成 投 与 形 態 及 び 製 造 販 売 業 者 が 同 一 の 既 収 載 品 ( 新 医 薬 品 として 薬 価 収 載 されたものに 限 る) がある 医 薬 品 組 成 投 与 形 態 及 び 製 造 販 売 業 者 が 同 一 の 既 収 載 品 ( 新 医 薬 品 として 薬 価 収 載 されたものに 限 る) がある 医 薬 品 組 成 投 与 形 態 及 び 製 造 販 売 業 者 が 同 一 の 既 収 載 品 ( 新 医 薬 品 として 薬 価 収 載 されたものに 限 る) がある 医 薬 品 該 当 なし 新 規 後 発 品 左 に 掲 げるもの 以 外 左 に 掲 げるもの 以 外 左 に 掲 げるもの 以 外 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 医 療 用 医 薬 品 の 薬 価 基 準 収 載 希 望 書 の 提 出 方 法 等 について ( 医 政 経 発 0212 第 2 号 保 医 発 0212 第 17 号 平 成 26 年 2 月 12 日 ) 74 薬 価 基 準 収 載 までのプロセスは 厚 生 労 働 省 医 政 局 長 厚 生 労 働 省 保 険 局 長 医 療 用 医 薬 品 の 薬 価 基 準 収 載 等 に 係 る 取 扱 いについて ( 医 政 発 0212 第 6 号 保 発 0212 第 9 号 平 成 26 年 2 月 12 日 )をもとに 薬 価 基 準 収 載 の 具 体 的 な 手 続 きについては 遠 藤 久 夫 池 上 直 己 編 著 医 療 保 険 診 療 報 酬 制 度 ( 勁 草 書 房 2005 年 )を 参 照 75 薬 事 法 第 14 条 の 4 第 1 項 に 記 載 の 医 薬 品 で 既 に 製 造 販 売 の 承 認 を 与 えられている 医 薬 品 と 有 効 成 分 分 量 用 法 用 量 効 能 効 果 等 が 明 らかに 異 なる 医 薬 品 と 定 義 されている 72

新 医 薬 品 の 保 険 収 載 を 希 望 する 製 造 販 売 業 者 は 当 該 医 薬 品 に 関 する 薬 事 承 認 を 得 る と 薬 価 基 準 収 載 希 望 書 76 を 厚 生 労 働 大 臣 宛 に 提 出 する 具 体 的 には 製 造 販 売 業 者 は まず 薬 価 基 準 収 載 希 望 書 を 厚 生 労 働 省 医 政 局 経 済 課 77 に 提 出 し 経 済 課 担 当 者 による ヒアリングを 受 ける その 後 医 政 局 経 済 課 より 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 の 事 務 局 であ る 保 険 局 医 療 課 にヒアリング 提 出 資 料 が 提 示 される 保 険 局 医 療 課 ( 事 務 局 )ではヒア リング 提 出 資 料 を 検 討 し 算 定 原 案 を 作 成 した 後 薬 価 算 定 組 織 に 対 し 算 定 原 案 を 提 示 する この 薬 価 算 定 組 織 は 薬 価 算 定 過 程 の 透 明 化 を 図 り 特 に 新 医 薬 品 の 薬 価 基 準 算 定 及 び 再 算 定 に 関 して 比 較 薬 の 選 定 や 補 正 加 算 適 否 の 検 討 を 科 学 的 に 審 査 することを 目 的 に 2000 年 に 厚 生 労 働 省 に 設 置 された 組 織 である メンバーは 医 学 薬 学 等 の 専 門 家 で ある 薬 価 算 定 組 織 は 事 務 局 より 提 示 された 算 定 原 案 をもとに 1) 類 似 薬 の 有 無 ( 算 定 方 式 の 妥 当 性 ) 2) 類 似 薬 最 類 似 薬 選 定 の 妥 当 性 3) 補 正 加 算 適 用 の 妥 当 性 ( 加 算 要 件 への 適 否 加 算 適 用 が 妥 当 とする 場 合 の 加 算 率 ) 4) 製 品 製 造 原 価 及 び 計 数 の 妥 当 性 5) 薬 価 算 定 案 に 対 する 新 薬 収 載 希 望 製 造 販 売 業 者 の 不 服 の 妥 当 性 について 検 討 を 行 い 算 定 案 をまとめる 薬 価 算 定 組 織 の 会 議 は 非 公 開 であるが 薬 価 基 準 収 載 希 望 書 を 提 出 した 製 造 販 売 業 者 は 薬 価 算 定 組 織 で 意 見 表 明 をすることができる また 薬 価 算 定 組 織 が 算 定 案 を 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 総 会 ( 中 医 協 総 会 )に 提 出 する 前 に 製 造 販 売 業 者 に 通 知 することとなっており 製 造 販 売 業 者 がこの 算 定 案 に 不 服 がある 場 合 は 1 回 に 限 り 不 服 意 見 書 を 提 出 し 薬 価 算 定 組 織 での 再 検 討 を 求 めることができる つまり 製 造 販 売 業 者 には 薬 価 算 定 組 織 での 2 回 の 検 討 が 保 証 されている 薬 価 算 定 組 織 では 再 検 討 の 結 果 の 通 知 を 製 造 販 売 業 者 に 行 い 算 定 案 を 中 医 協 総 会 に 報 告 する 中 医 協 総 会 で 了 承 されると 薬 価 収 載 となる 薬 価 基 準 への 収 載 は 年 4 回 (3 月 6 月 9 月 12 月 )と なっている なお 新 医 薬 品 の 薬 価 基 準 収 載 が 施 行 されるまでの 標 準 的 な 事 務 処 理 期 間 は 当 該 新 医 薬 品 の 承 認 から 原 則 として 60 日 以 内 遅 くとも 90 日 以 内 とする とされている このように わが 国 では 医 薬 品 の 保 険 償 還 価 格 を 決 定 する 過 程 で 保 険 者 が 関 与 する 76 薬 価 基 準 収 載 希 望 書 には 収 載 区 分 薬 効 分 類 成 分 名 販 売 名 規 格 単 位 効 能 効 果 用 法 用 量 算 定 希 望 内 容 ( 算 定 方 式 比 較 薬 または 原 価 算 定 原 価 ) 外 国 価 格 市 場 規 模 予 測 包 装 単 位 等 を 記 載 す る 欄 が 設 けられている 77 医 政 局 経 済 課 の 所 掌 事 務 は 1) 医 薬 品 医 薬 部 外 品 医 療 機 器 その 他 衛 生 用 品 の 生 産 流 通 及 び 消 費 の 増 進 改 善 及 び 調 整 に 関 すること( 健 康 局 医 薬 食 品 局 及 び 研 究 開 発 振 興 課 の 所 掌 に 属 するものを 除 く) 2) 医 薬 品 医 薬 部 外 品 医 療 機 器 その 他 衛 生 用 品 の 製 造 業 製 造 販 売 業 販 売 業 賃 貸 業 及 び 修 理 業 の 発 達 改 善 及 び 調 整 に 関 すること( 研 究 開 発 振 興 課 の 所 掌 に 属 するものを 除 く) 3) 医 薬 品 医 薬 部 外 品 医 療 機 器 その 他 衛 生 用 品 の 輸 出 入 に 関 すること 4) 医 療 機 器 ( 医 療 用 品 歯 科 材 料 及 び 衛 生 用 品 を 除 く ) の 配 置 及 び 使 用 に 関 すること( 指 導 課 の 所 掌 に 属 するものを 除 く)とされている( 厚 生 労 働 省 ウェブサイ トより) なお 希 望 書 を 医 政 局 経 済 課 宛 に 提 出 することは 厚 生 労 働 省 医 政 局 経 済 課 長 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 長 医 療 用 医 薬 品 の 薬 価 基 準 収 載 希 望 書 の 提 出 方 法 等 について ( 医 政 経 発 0212 第 2 号 保 医 発 0212 第 17 号 平 成 26 年 2 月 12 日 )に 規 定 されている 73

のは 中 医 協 総 会 での 審 議 のみとなっている 78 また フランスと 異 なり わが 国 では 保 険 収 載 に 関 する 手 数 料 を 製 造 販 売 業 者 は 徴 収 されない 図 表 40 新 医 薬 品 の 薬 価 算 定 プロセス ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 総 会 資 料 ( 中 医 協 総 -2-1( 参 考 1) 平 成 26 年 4 月 9 日 ) 後 発 医 薬 品 の 場 合 薬 価 基 準 への 収 載 を 希 望 する 製 造 販 売 業 者 は 新 医 薬 品 と 同 様 に 薬 価 基 準 収 載 希 望 書 を 提 出 する 薬 価 基 準 収 載 希 望 書 は 原 則 として 2 月 15 日 及 び 8 月 15 日 までに 薬 事 法 に 基 づく 承 認 を 受 けた 当 該 後 発 医 薬 品 について それぞれ 当 該 年 の 3 月 10 日 及 び 9 月 10 日 までの 指 定 する 日 までに 提 出 すること とされている 厚 生 労 働 省 では 必 要 に 応 じて 製 造 販 売 業 者 から 意 見 聴 取 する 機 会 を 設 けることができ る 厚 生 労 働 省 で 希 望 書 の 内 容 を 審 査 し その 結 果 を 通 知 し 薬 価 基 準 収 載 となる 後 発 医 薬 品 の 薬 価 基 準 の 収 載 時 期 は 6 月 及 び 12 月 を 標 準 とする とされており 年 2 回 となっている 78 医 薬 品 の 薬 価 算 定 方 法 等 を 議 論 する 中 医 協 薬 価 専 門 部 会 には 保 険 者 も 参 加 している 74

3 新 医 薬 品 の 薬 価 算 定 方 式 薬 価 を 決 定 する 方 法 ( 薬 価 算 定 方 式 )については 中 医 協 薬 価 専 門 部 会 で 審 議 が 行 わ れ 平 成 26 年 度 薬 価 制 度 改 革 により 一 部 改 正 されている 新 医 薬 品 の 薬 価 算 定 方 式 では まず 類 似 薬 のあるもの と 類 似 薬 のないもの とで 大 きく 分 かれる 類 似 薬 のある 場 合 類 似 薬 効 比 較 方 式 により 薬 価 が 算 定 され る この 類 似 薬 効 比 較 方 式 には 類 似 薬 効 比 較 方 式 (Ⅰ) と 新 規 性 に 乏 しい 新 薬 に 用 いられる 類 似 薬 効 比 較 方 式 (Ⅱ) の 2 種 類 がある 類 似 薬 のない 場 合 は 原 価 計 算 方 式 が 用 いられる 図 表 41 新 医 薬 品 の 薬 価 算 定 方 式 ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 総 会 資 料 ( 中 医 協 総 -2-1( 参 考 1) 平 成 26 年 4 月 9 日 ) 類 似 薬 効 比 較 方 式 (Ⅰ)では 同 じ 効 果 を 持 つ 類 似 薬 がある 場 合 に 市 場 での 公 正 な 競 争 を 確 保 する 観 点 から 新 薬 の 1 日 薬 価 を 既 存 類 似 薬 の 1 日 薬 価 に 合 わせることとし ている なお 類 似 薬 とは 1) 効 能 及 び 効 果 2) 薬 理 作 用 3) 組 成 及 び 化 学 構 造 式 4) 投 与 形 態 剤 形 区 分 剤 形 及 び 用 法 の 各 事 項 において 類 似 性 があるものとされてい る 類 似 薬 効 比 較 方 式 で 用 いられる 比 較 薬 は 原 則 として 薬 価 収 載 後 10 年 以 内 の 新 薬 であって 後 発 医 薬 品 が 薬 価 収 載 されていないものを 用 いることとなっている 75

図 表 42 類 似 薬 効 比 較 方 式 (Ⅰ)で 用 いられる 1 日 薬 価 合 わせのイメージ ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 総 会 資 料 ( 中 医 協 総 -2-1( 参 考 1) 平 成 26 年 4 月 9 日 ) 新 医 薬 品 が 類 似 薬 と 比 較 して 高 い 有 用 性 が 認 められる 場 合 には 1 日 薬 価 合 わせによ り 算 出 した 価 格 に 補 正 加 算 が 行 われる 補 正 加 算 は 画 期 性 加 算 有 用 性 加 算 市 場 性 加 算 小 児 加 算 の 4 種 類 であったが 平 成 26 年 度 より 先 駆 導 入 加 算 が 新 設 された 図 表 43 補 正 加 算 の 種 類 画 期 性 加 算 70~120% (Ⅰ) 35~60% 有 用 性 加 算 (Ⅱ) 5~30% 市 場 性 加 算 (Ⅰ) 10~20% 次 の 要 件 を 全 て 満 たす 新 規 収 載 品 イ 臨 床 上 有 用 な 新 規 の 作 用 機 序 を 有 すること ロ 類 似 薬 に 比 して 高 い 有 効 性 又 は 安 全 性 を 有 する ことが 客 観 的 に 示 されていること ハ 当 該 新 規 収 載 品 により 当 該 新 規 収 載 品 の 対 象 と なる 疾 病 または 負 傷 の 治 療 方 法 の 改 善 が 客 観 的 に 示 されていること 画 期 性 加 算 の 3 要 件 のうち 2 つの 要 件 を 満 たす 新 規 収 載 品 次 のいずれかの 要 件 を 満 たす 新 規 収 載 品 イ 臨 床 上 有 用 な 新 規 の 作 用 機 序 を 有 すること ロ 類 似 薬 に 比 して 高 い 有 効 性 又 は 安 全 性 を 有 する ことが 客 観 的 に 示 されていること ハ 当 該 新 規 収 載 品 により 当 該 新 規 収 載 品 の 対 象 と なる 疾 病 または 負 傷 の 治 療 方 法 の 改 善 が 客 観 的 に 示 されていること ニ 製 剤 における 工 夫 により 類 似 薬 に 比 して 高 い 医 療 上 の 有 用 性 を 有 することが 客 観 的 に 示 され ていること 次 の 要 件 を 全 て 満 たす 新 規 収 載 品 イ 薬 事 法 の 規 定 に 基 づく 希 少 疾 病 用 医 薬 品 であっ て 対 象 となる 疾 病 又 は 負 傷 に 係 る 効 能 及 び 効 果 が 当 該 新 規 収 載 品 の 主 たる 効 能 及 び 効 果 である こと ロ 当 該 新 規 収 載 品 の 比 較 薬 が 市 場 性 加 算 (Ⅰ)の 適 用 を 受 けていないこと 76

市 場 性 加 算 (Ⅱ) 5% 小 児 加 算 5~20% 先 駆 導 入 加 算 10% 次 の 要 件 を 全 て 満 たす 新 規 収 載 品 イ 当 該 新 規 収 載 品 の 主 たる 効 能 及 び 効 果 が 市 場 規 模 が 小 さいものとして 別 に 定 める 薬 効 に 該 当 す ること ロ 当 該 新 規 収 載 品 の 比 較 薬 が 市 場 性 加 算 (Ⅰ) 又 は 市 場 性 加 算 の 適 用 を 受 けていないこと 次 の 要 件 を 全 て 満 たす 新 規 収 載 品 ただし 国 内 で 小 児 効 能 に 係 る 臨 床 試 験 を 実 施 していない 場 合 等 は 除 く イ 当 該 新 規 収 載 品 の 主 たる 効 能 及 び 効 果 又 は 当 該 効 能 及 び 効 果 に 係 る 用 法 及 び 用 量 に 小 児 ( 幼 児 乳 児 新 生 児 及 び 低 出 生 体 重 児 を 含 む)に 係 るも のが 明 示 的 に 含 まれていること ロ 当 該 新 規 収 載 品 の 比 較 薬 が 小 児 加 算 の 適 用 を 受 けていないこと ( 注 ) 市 場 性 加 算 (Ⅱ)にも 該 当 する 場 合 は 小 児 加 算 を 優 先 次 の 要 件 を 全 て 満 たす 新 規 収 載 品 イ 外 国 (アメリカ 合 衆 国 連 合 王 国 ドイツ 及 びフ ランスに 限 る) 及 びわが 国 のいずれかの 国 におい て 承 認 されている 既 存 の 薬 剤 とは 異 なる 新 規 の 作 用 機 序 を 有 すること ロ 外 国 に 先 駆 けてわが 国 で 最 初 に 薬 事 承 認 を 取 得 したもの ハ わが 国 だけで 流 通 する 見 込 みの 医 薬 品 でないこ とが 外 国 での 開 発 状 況 ( 開 発 計 画 を 含 む)や 治 験 届 等 により 確 認 されているもの 二 画 期 性 加 算 又 は 有 用 性 加 算 (Ⅰ)の 適 用 を 受 ける もの ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 総 会 資 料 ( 中 医 協 総 -2-1( 参 考 1) 平 成 26 年 4 月 9 日 )をもとに 作 成 類 似 薬 効 比 較 方 式 (Ⅱ)は 新 規 性 に 乏 しい 新 薬 について 過 去 数 年 間 の 類 似 薬 の 薬 価 と 比 較 して 最 も 低 い 価 格 とする 薬 価 算 定 方 式 である 新 規 性 に 乏 しい 新 薬 とは 1) 補 正 加 算 の 対 象 外 である 2) 薬 理 作 用 類 似 薬 が 3 つ 以 上 存 在 する 3) 最 も 古 い 薬 理 作 用 類 似 薬 の 薬 価 収 載 から 3 年 以 上 経 過 している といった 3 つの 要 件 を 全 て 満 たす 医 薬 品 である 新 規 性 に 乏 しい 新 薬 については 原 則 として 1) 過 去 6 年 間 に 収 載 された 類 似 薬 の 最 も 安 い 1 日 薬 価 あるいは 2) 過 去 10 年 間 に 収 載 された 類 似 薬 の 1 日 薬 価 の 平 均 価 格 のいずれか 低 い 価 格 とすることとされている ただし この 算 定 額 が 類 似 薬 効 比 較 方 式 (Ⅰ)による 算 定 額 ( 最 類 似 薬 の 薬 価 )を 超 える 場 合 は 1)この 額 か 2) 過 去 10 年 間 に 収 載 された 類 似 薬 の 最 も 安 い 1 日 薬 価 か 3) 過 去 15 年 間 に 収 載 された 類 似 薬 の 1 日 薬 価 の 平 均 価 格 の 3 つの 中 で 最 も 低 い 額 とすることとされている なお 類 似 薬 効 比 較 方 式 (Ⅱ)では 類 似 薬 効 比 較 方 式 (Ⅰ)にはある 補 正 加 算 は 行 われない 77

原 価 計 算 方 式 は 類 似 薬 がない 場 合 に 用 いられる 算 定 方 式 であり 原 材 料 費 や 製 造 経 費 等 を 積 み 上 げて 薬 価 が 算 定 される 原 価 計 算 方 式 で 用 いられる 営 業 利 益 率 は 既 存 治 療 と 比 較 した 場 合 の 革 新 性 や 有 効 性 安 全 性 の 程 度 に 応 じて 平 均 的 な 利 益 率 ( 現 在 16.9%)のマイナス 50%~プラス 100%の 範 囲 内 ( 平 成 26 年 度 改 定 で 上 限 が 50%から 100%に 拡 大 した)でメリハリをつけることとなっている 図 表 44 原 価 計 算 方 式 ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 総 会 資 料 ( 中 医 協 総 -2-1( 参 考 1) 平 成 26 年 4 月 9 日 ) 類 似 薬 効 比 較 方 式 原 価 計 算 方 式 のいずれの 場 合 も 各 方 式 により 算 定 した 後 に 外 国 価 格 との 乖 離 が 大 きい 場 合 は 外 国 平 均 価 格 調 整 が 行 われる 外 国 平 均 価 格 調 整 で は 原 則 外 国 平 均 価 格 ( 米 英 独 仏 の 価 格 の 平 均 額 )の 1.25 倍 を 上 回 る 場 合 は 引 下 げ 調 整 が 0.75 倍 を 下 回 る 場 合 は 引 上 げ 調 整 が 行 われる ただし 外 国 平 均 価 格 が 1 か 国 のみの 価 格 である 場 合 などについては 引 上 げ 調 整 は 行 われない 78

図 表 45 外 国 平 均 価 格 調 整 ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 総 会 資 料 ( 中 医 協 総 -2-1( 参 考 1) 平 成 26 年 4 月 9 日 ) 類 似 薬 効 比 較 方 式 では さらに 規 格 間 調 整 が 行 われる これは 非 汎 用 規 格 の 薬 価 を 算 定 する 場 合 に 類 似 薬 の 規 格 間 比 を 求 め 規 格 間 比 と 汎 用 規 格 の 算 定 額 を 用 いるも ので 概 ね 次 の 図 表 のとおりとなる 平 成 26 年 度 改 正 により 製 剤 上 の 工 夫 をする ことなく 投 与 期 間 の 延 長 のみを 目 的 として 含 有 量 が 増 加 した 製 剤 の 薬 価 を 算 定 する 場 合 は 規 格 間 比 は 0.5850 を 上 限 とする 旨 が 追 加 された 79

図 表 46 規 格 間 調 整 の 例 ( 注 ) 平 成 26 年 度 改 正 により 製 剤 上 の 工 夫 をすることなく 投 与 期 間 の 延 長 のみを 目 的 として 含 有 量 が 増 加 した 製 剤 に 対 し 規 格 間 調 整 が 適 用 される 場 合 は 規 格 間 比 の 上 限 を 0.5850 とする となっ た ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 総 会 資 料 ( 中 医 協 総 -2-1( 参 考 1) 平 成 26 年 4 月 9 日 ) 4 後 発 医 薬 品 の 薬 価 算 定 後 発 医 薬 品 の 薬 価 については 後 発 医 薬 品 が 初 めて 収 載 される 場 合 ( 新 規 収 載 時 )は 先 発 医 薬 品 の 薬 価 の 0.6 掛 けの 価 格 となっている 79 ただし 内 用 薬 の 場 合 で 同 時 期 に 収 載 予 定 の 後 発 医 薬 品 が 10 品 目 を 超 える 場 合 は 0.5 掛 けの 価 格 となっている 後 発 医 薬 品 が 既 に 収 載 されている 場 合 は 最 低 価 格 の 後 発 医 薬 品 と 同 価 格 とすること となっている ただし 既 収 載 品 と 合 わせて 初 めてジェネリック 医 薬 品 の 合 計 が 20 品 目 ( 内 用 薬 の 場 合 は 10 品 目 )を 超 えた 場 合 は 既 収 載 品 の 最 も 低 い 薬 価 の 0.9 掛 けの 価 格 を 薬 価 とすることとなっている 5 薬 価 改 定 薬 価 基 準 に 収 載 された 医 薬 品 の 薬 価 については 診 療 報 酬 改 定 と 同 様 に 2 年 ごとに 改 定 される 薬 価 改 定 を 行 うため 厚 生 労 働 省 医 政 局 経 済 課 では 医 薬 品 価 格 調 査 (い わゆる 薬 価 調 査 )を 実 施 する この 調 査 では 1) 保 険 医 療 機 関 及 び 保 険 薬 局 に 対 し て 医 療 用 医 薬 品 を 販 売 する 医 薬 品 販 売 業 者 ( 卸 ) 2) 一 定 率 で 抽 出 された 医 療 機 関 等 を 対 象 に 薬 価 基 準 に 収 載 されている 医 薬 品 の 品 目 ごとの 販 売 ( 購 入 ) 価 格 及 び 販 売 ( 購 入 ) 数 量 を 調 査 している 薬 価 調 査 で 把 握 した 市 場 実 勢 価 格 をもとに 薬 価 が 改 定 される ( 市 場 実 勢 価 格 加 重 平 均 値 調 整 方 式 ) 具 体 的 には 卸 の 医 療 機 関 薬 局 に 対 する 販 売 価 格 の 加 重 平 均 値 ( 税 抜 きの 市 場 実 勢 価 格 )に 消 費 税 を 加 え 更 に 薬 剤 流 通 の 安 定 のた めの 調 整 幅 ( 改 定 前 薬 価 の 2%)を 加 えた 額 を 新 薬 価 とする とされており 以 下 のよ 79 平 成 26 年 度 薬 価 改 定 前 は 0.7 掛 けであった 80

うに 計 算 式 が 明 示 されている 80 図 表 47 既 収 載 医 薬 品 の 薬 価 算 定 方 式 ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 薬 価 専 門 部 会 資 料 ( 中 医 協 薬 -1( 参 考 資 料 ) 平 成 24 年 6 月 6 日 ) 80 原 則 であり 後 発 医 薬 品 への 置 換 えが 進 まない 既 収 載 品 の 薬 価 の 改 定 の 特 例 低 薬 価 品 の 特 例 新 薬 創 出 適 応 外 薬 解 消 等 促 進 加 算 の 施 行 の 継 続 など 特 例 的 なルールも 存 在 する 81

81 (2) 医 療 材 料 1 保 険 医 療 材 料 制 度 わが 国 では ペースメーカーや 人 工 関 節 手 術 で 用 いられる 縫 合 糸 などの 医 療 材 料 に ついては 以 下 のような 保 険 上 の 評 価 区 分 があり それに 応 じて 手 術 や 処 置 検 査 な どの 診 療 報 酬 点 数 ( 手 技 料 )に 含 まれるものとして 扱 われる 包 括 材 料 ( 医 療 材 料 の 価 格 を 個 別 に 保 険 請 求 できない 医 療 材 料 下 表 の A1 A2)と 手 技 料 とは 別 に 保 険 請 求 で きる 特 定 保 険 医 療 材 料 ( 下 表 の B)とがある ペースメーカーなどの 高 額 医 療 材 料 は 特 定 保 険 医 療 材 料 として 分 類 される 本 報 告 書 ではこの 特 定 保 険 医 療 材 料 を 中 心 に 制 度 の 概 要 保 険 償 還 価 格 の 決 定 方 法 等 を 整 理 している なお 特 定 保 険 医 療 材 料 の 保 険 償 還 価 格 は 基 準 材 料 価 格 として 厚 生 労 働 大 臣 によ る 告 示 の 形 で 示 されている 特 定 保 険 医 療 材 料 については 1) 薬 事 承 認 と 保 険 収 載 の プロセスがあること 2) 保 険 償 還 価 格 を 告 示 で 定 めていること 3) 中 医 協 に 専 門 部 会 を 設 置 し 制 度 のあり 方 についての 議 論 を 行 うこと 4) 算 定 組 織 を 設 け 中 医 協 総 会 に 報 告 するなどの 枠 組 みを 設 けていること 5) 既 収 載 品 については 価 格 調 査 を 実 施 し 原 則 市 場 実 勢 価 格 加 重 平 均 値 一 定 幅 方 式 による 改 定 を 行 うこと 等 医 薬 品 の 薬 価 基 準 制 度 と 大 きな 枠 組 みで 共 通 点 も 多 いが 薬 価 基 準 制 度 が 銘 柄 別 収 載 であるのに 対 し 特 定 保 険 医 療 材 料 は 機 能 区 分 別 収 載 となっているなど 細 部 については 異 なる 図 表 48 保 険 医 療 材 料 の 評 価 区 分 評 価 区 分 内 容 A1( 包 括 ) いずれかの 診 療 報 酬 項 目 において 包 括 的 に 評 価 されているもの ( 例 : 縫 合 糸 静 脈 採 血 の 注 射 針 ) A2( 特 定 包 括 ) 特 定 の 診 療 報 酬 項 目 において 包 括 的 に 評 価 されているもの ( 例 : 眼 内 レンズと 水 晶 体 再 建 術 超 音 波 検 査 装 置 と 超 音 波 検 査 ) B( 個 別 評 価 ) 材 料 価 格 が 機 能 別 分 類 に 従 って 設 定 され 技 術 料 とは 別 に 評 価 されてい るもの ( 例 :PTCA カテーテル 冠 動 脈 ステント ペースメーカー) C1( 新 機 能 ) 新 たな 機 能 区 分 が 必 要 で それを 用 いる 技 術 は 既 に 評 価 ( 医 科 点 数 表 に ある)されているもの C2( 新 機 能 新 技 術 ) 新 たな 機 能 区 分 が 必 要 で それを 用 いる 技 術 が 評 価 されていないもの ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 保 険 医 療 材 料 専 門 部 会 資 料 ( 中 医 協 材 参 -1 平 成 23 年 12 月 7 日 )より 作 成 81 ディスポーザブルの 医 療 材 料 だけではなく 医 療 機 器 も 含 む 82

保 険 医 療 材 料 については 従 来 医 療 機 関 における 購 入 価 格 で 保 険 償 還 される 形 ( 都 道 府 県 購 入 価 格 制 度 実 購 入 価 格 制 )が 採 られていた しかし この 方 式 では 医 療 機 関 側 にコスト 意 識 が 生 じにくいことから 市 場 価 格 の 形 成 に 競 争 原 理 が 働 きにくく 適 正 な 価 格 の 形 成 が 困 難 な 状 況 にある 同 一 の 治 療 材 料 82 でも 医 療 機 関 によって 償 還 価 格 が 異 なるという 問 題 を 生 じる といった 問 題 点 が 指 摘 されていた また 一 部 の 医 療 材 料 については 告 示 によって 保 険 償 還 価 格 が 定 められていたが 新 規 に 承 認 された 際 の 価 格 設 定 及 び 既 存 の 医 療 材 料 の 価 格 改 定 に 関 する 統 一 的 なルールがないなどの 問 題 点 も 指 摘 されていた こうした 状 況 を 受 けて 平 成 5 年 には 中 医 協 において 医 療 材 料 の 価 格 設 定 のための 一 般 的 なルールについての 検 討 が 行 われ 同 年 9 月 24 日 に 特 定 保 険 医 療 材 料 等 に 関 する 中 医 協 建 議 書 がとりまとめられた その 後 この 建 議 書 に 基 づいて 中 医 協 にお いて 関 係 業 界 からの 意 見 などを 踏 まえ 価 格 算 定 ルールが 定 められた 図 表 49 特 定 保 険 医 療 材 料 の 範 囲 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 平 成 26 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 82 当 時 は 治 療 材 料 と 表 現 されており ここでは 原 文 のまま 使 用 している 83

中 医 協 建 議 に 基 づき 都 道 府 県 購 入 価 格 制 度 から 機 能 区 分 別 保 険 償 還 価 格 制 度 への 移 行 は 徐 々に 行 われた 平 成 6 年 4 月 は 人 工 関 節 など 7 分 野 の 機 能 別 区 分 が 設 置 され そ の 償 還 価 格 が 告 示 された これ 以 降 診 療 報 酬 改 定 とほぼ 同 時 期 に 機 能 区 分 ごとの 保 険 償 還 価 格 が 設 定 され 平 成 12 年 10 月 に 都 道 府 県 購 入 価 格 制 は 廃 止 となった 時 期 図 表 50 保 険 医 療 材 料 制 度 の 変 遷 主 な 対 応 平 成 5 年 9 月 中 医 協 建 議 ( 以 後 本 建 議 に 基 づき 価 格 設 定 ) 購 入 価 格 で 償 還 される 治 療 材 料 は 医 療 機 関 側 にコスト 意 識 が 生 じに くく 市 場 価 格 の 形 成 に 競 争 原 理 が 働 きにくいこと 同 一 の 治 療 材 料 で も 医 療 機 関 によって 償 還 価 格 が 異 なること 等 の 問 題 を 指 摘 平 成 6 年 4 月 人 工 関 節 など 7 品 目 について 償 還 価 格 を 告 示 ( 機 能 別 分 類 ) 人 工 関 節 ( 膝 関 節 股 関 節 ) 人 工 心 臓 弁 ( 機 械 弁 生 体 弁 ) ディス ポーザブル 人 工 心 肺 バルーンパンピング 用 バルーンカテーテル 経 皮 的 冠 動 脈 形 成 術 用 カテーテル 平 成 8 年 4 月 血 管 造 影 用 ガイドワイヤーなど 16 品 目 について 償 還 価 格 を 告 示 ( 機 能 別 分 類 ) 血 管 造 影 用 ガイドワイヤー 血 管 造 影 用 シースイントロデュ サーセ ット ダイレーター 脈 管 造 影 用 カテーテル 経 皮 的 冠 動 脈 形 成 術 用 カテーテル 用 ガイドワイヤー 膀 胱 留 置 用 ディスポーザブルカテーテ ル 人 工 股 関 節 人 工 膝 関 節 用 オプション 部 品 固 定 用 内 副 子 食 道 脈 瘤 硬 化 療 法 用 セット 内 視 鏡 的 食 道 静 脈 瘤 結 紮 セット 体 外 循 環 用 カニューレ 経 皮 的 冠 動 脈 形 成 術 用 カテーテル 用 ガイディングカテー テル ダイアライザーのグルーピングの 見 直 し 特 殊 縫 合 糸 腰 部 固 定 帯 を 手 技 料 に 包 括 化 平 成 10 年 4 月 基 準 材 料 価 格 改 定 における 一 定 幅 の 見 直 し ペースメーカー PTCA 等 の 施 設 基 準 の 追 加 平 成 12 年 4 月 一 定 幅 縮 小 に 伴 う 平 成 12 年 度 限 りの 特 例 ( 調 整 幅 の 設 定 ) 歯 科 用 貴 金 属 材 料 の 国 際 的 価 格 変 動 への 対 応 ( 補 正 幅 の 設 定 ) 10 月 ペースメーカー PTCA カテーテル 人 工 関 節 の 機 能 区 分 の 見 直 し 都 道 府 県 購 入 価 格 制 ( 実 購 入 価 格 制 )の 廃 止 新 規 に 係 る 区 分 (C1の 暫 定 価 格 を 含 む)の 決 定 手 続 きの 骨 子 材 料 価 格 改 定 時 等 における 新 規 の 機 能 区 分 の 設 定 手 続 きの 骨 子 保 険 医 療 材 料 専 門 組 織 の 設 置 平 成 14 年 4 月 新 規 の 機 能 区 分 (C1 C2)の 特 定 保 険 医 療 材 料 の 保 険 償 還 価 格 の 算 定 方 式 を 既 存 の 機 能 区 分 の 定 義 を 見 直 す 場 合 と 新 たに 機 能 区 分 を 設 定 する 場 合 で 策 定 新 たに 機 能 区 分 を 設 定 する 場 合 類 似 機 能 区 分 比 較 方 式 を 原 則 とし 類 似 の 機 能 区 分 がない 場 合 は 原 価 計 算 方 式 として 算 定 算 定 した 価 格 が 諸 外 国 における 市 場 実 勢 価 格 等 と 大 幅 なかい 離 があ る 場 合 に 一 定 の 価 格 調 整 を 実 施 既 存 の 保 険 医 療 材 料 価 格 の 適 正 化 を 図 る 観 点 から 一 定 の 要 件 を 満 た す 分 野 について 再 算 定 を 実 施 84

既 存 の 機 能 区 分 について 材 料 価 格 改 定 時 に 見 直 しを 実 施 平 成 16 年 4 月 新 規 の 機 能 区 分 (C1 C2)の 設 定 が 必 要 な 特 定 保 険 医 療 材 料 の 材 料 価 格 算 定 における 価 格 調 整 の 基 準 を 見 直 し 決 定 区 分 C1 とされた 特 定 保 険 医 療 材 料 を 1 年 に 4 回 保 険 適 用 ( 注 )C2( 新 機 能 新 技 術 )は 新 医 療 技 術 の 保 険 導 入 時 期 に 合 わせて 保 険 適 用 再 算 定 における 価 格 調 整 ルールの 見 直 し 基 準 材 料 価 格 改 定 における 一 定 幅 の 見 直 し 平 成 18 年 4 月 決 定 区 分 C2 新 機 能 新 技 術 について 1 年 に 4 回 保 険 適 用 基 準 材 料 価 格 改 定 における 一 定 幅 の 見 直 し 再 算 定 の 条 件 への 該 当 性 を 検 討 する 特 定 保 険 医 療 材 料 の 対 象 範 囲 を 拡 大 再 算 定 時 の 激 変 緩 和 措 置 を 見 直 し 平 成 20 年 4 月 補 正 加 算 の 見 直 し 新 規 医 療 材 料 及 び 再 算 定 における 価 格 調 整 ルールの 見 直 し 基 準 材 料 価 格 改 定 における 一 定 幅 の 見 直 し 不 服 意 見 の 表 明 平 成 22 年 4 月 新 規 医 療 材 料 及 び 再 算 定 における 価 格 調 整 ルールの 見 直 し 原 価 計 算 方 式 における 製 品 原 価 の 取 扱 改 良 加 算 要 件 の 表 現 の 見 直 し 基 準 材 料 価 格 改 定 における 一 定 幅 の 見 直 し 保 険 適 用 の 取 り 下 げに 係 るルールの 明 確 化 供 給 が 著 しく 困 難 で 十 分 償 還 されていない 材 料 の 手 続 きの 明 確 化 歯 科 用 貴 金 属 価 格 の 随 時 改 定 ルールの 見 直 し 平 成 24 年 4 月 新 規 医 療 材 料 及 び 再 算 定 における 価 格 調 整 ルールの 見 直 し 外 国 価 格 参 照 制 度 にオーストラリアを 追 加 原 価 計 算 方 式 における 市 販 後 調 査 (PMS)に 係 る 費 用 の 取 扱 補 正 加 算 要 件 の 見 直 し( 加 算 対 象 の 明 確 化 等 ) 迅 速 な 保 険 導 入 に 対 する 評 価 の 新 設 急 激 な 為 替 変 動 への 対 応 ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 保 険 医 療 材 料 専 門 部 会 資 料 ( 中 医 協 材 参 - 参 考 資 料 平 成 25 年 9 月 4 日 ) 85

前 述 のように 特 定 保 険 医 療 材 料 については 機 能 区 分 別 の 保 険 償 還 価 格 となっている 医 薬 品 との 違 いはこの 点 にある つまり 医 薬 品 については 銘 柄 別 収 載 となっており 個 々の 医 薬 品 名 と 医 薬 品 ごと( 製 品 ごと)の 保 険 償 還 価 格 が 薬 価 基 準 に 収 載 されている 一 方 医 療 材 料 については 機 能 区 分 の 名 称 と 機 能 区 分 に 係 る 保 険 償 還 価 格 が 材 料 価 格 基 準 に 収 載 されている 医 療 材 料 の 個 別 製 品 名 は 材 料 価 格 基 準 には 収 載 されていない また 同 じ 機 能 区 分 に 分 類 された 製 品 は 同 じ 保 険 償 還 価 格 となる 材 料 価 格 基 準 の 具 体 例 として 平 成 26 年 度 の 材 料 価 格 基 準 のうち 112 ペースメーカ ー の 部 分 を 抜 粋 したものが 下 表 である ペースメーカーの 機 能 区 分 は 統 廃 合 や 追 加 等 を 経 て 現 在 は シングルチャンバ (2 区 分 ) デュアルチャンバ(Ⅰ 型 Ⅱ 型 ) (1 区 分 ) デュアルチャンバ(Ⅲ 型 ) (1 区 分 ) デュアルチャンバ(Ⅳ 型 ) (2 区 分 ) トリプルチャンバ(Ⅰ 型 ) (2 区 分 ) トリプルチャンバ(Ⅱ 型 ) (2 区 分 ) トリ プルチャンバ(Ⅲ 型 ) (1 区 分 )の 11 区 分 が 存 在 する この 区 分 ごとに 保 険 償 還 価 格 である 材 料 価 格 が 収 載 されている 図 表 51 材 料 価 格 基 準 ( 平 成 26 年 4 月 112 ペースメーカー のみ 抜 粋 ) 機 能 区 分 材 料 価 格 112 ペースメーカー (1) シングルチャンバ 1 標 準 型 646,000 円 2 MRI 対 応 型 803,000 円 (2) 削 除 (3) デュアルチャンバ(Ⅰ 型 Ⅱ 型 ) 733,000 円 (4) 削 除 (5) デュアルチャンバ(Ⅲ 型 ) 567,000 円 (6) デュアルチャンバ(Ⅳ 型 ) 1 標 準 型 827,000 円 2 MRI 対 応 型 1,040,000 円 (7) トリプルチャンバ(Ⅰ 型 ) 1 標 準 型 1,390,000 円 2 極 性 可 変 型 1,610,000 円 (8) トリプルチャンバ(Ⅱ 型 ) 1 標 準 型 1,630,000 円 2 MRI 対 応 型 1,710,000 円 (9) トリプルチャンバ(Ⅲ 型 ) 1,620,000 円 86

この 機 能 区 分 については 臨 床 上 の 利 用 実 態 を 踏 まえる 等 の 観 点 から 必 要 に 応 じ 見 直 しを 行 うこと とされている 同 一 の 機 能 区 分 に 属 しているが 臨 床 的 意 義 実 勢 価 格 等 が 大 きく 異 なると 認 められたものについて 機 能 区 分 が 細 分 化 されたケースがある 例 としては 人 工 喉 頭 の 音 声 回 復 用 人 工 補 装 具 という 医 療 材 料 があるが これは 喉 頭 摘 出 術 後 の 患 者 の 気 管 食 道 瘻 に 挿 入 し 音 声 を 回 復 する 目 的 で 使 用 するものである 患 者 自 身 が 毎 日 洗 浄 入 れ 替 えを 行 うもの( 一 般 型 )と 医 師 が 挿 入 し 数 か 月 間 交 換 不 要 なも の( 長 期 留 置 型 )があり 構 造 や 使 用 目 的 が 大 きく 異 なるため この 2 つのタイプにつ いて 機 能 区 分 を 分 けた 事 例 がある 医 療 材 料 の 製 造 販 売 業 者 としては 自 社 の 新 製 品 に ついて 保 険 収 載 を 希 望 する 際 には 既 存 の 機 能 区 分 との 違 いを 認 めてもらい 新 機 能 区 分 の 形 で より 高 額 な 保 険 償 還 価 格 を 設 定 してもらうことを 希 望 する 機 能 や 価 格 に 差 がなくなっている 複 数 の 機 能 区 分 を 統 合 するなど 合 理 化 も 進 められているが 機 能 区 分 は 増 加 傾 向 である 図 表 52 材 料 価 格 基 準 機 能 区 分 数 の 推 移 ( 重 複 を 除 く) H22.4.1 H24.4.1 H26.4.1 医 科 材 料 642 706 791 歯 科 材 料 83 100 105 調 剤 7 7 7 合 計 732 813 903 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 平 成 24 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 平 成 26 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 等 をもとに 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 作 成 特 定 保 険 医 療 材 料 は 種 類 が 多 岐 にわたり 品 目 数 も 多 いが ペースメーカーや 冠 動 脈 ステントなどの 循 環 器 系 医 療 材 料 人 工 股 関 節 や 人 工 膝 関 節 などの 整 形 外 科 系 医 療 材 料 といった 医 療 材 料 は 高 額 である 上 外 資 系 企 業 の 製 品 が 多 いのが 特 徴 である 従 来 から わが 国 での 医 療 材 料 の 価 格 が 諸 外 国 と 比 べて 高 いという 内 外 価 格 差 の 問 題 が 指 摘 さ れており これまでにも 内 外 価 格 差 の 是 正 に 向 けた 様 々な 取 組 が 行 われている 一 方 革 新 的 な 新 規 の 医 療 材 料 に 対 するイノベーションの 評 価 が 十 分 でないという 指 摘 もあ り この 点 についても 見 直 しが 行 われている 87

2 材 料 価 格 基 準 収 載 のプロセス 保 険 医 療 材 料 の 材 料 価 格 基 準 収 載 のプロセスは 医 薬 品 の 薬 価 基 準 収 載 までのプロセ スに 準 じている 新 規 の 医 療 材 料 について 製 造 販 売 業 者 は 薬 事 承 認 を 得 ると 保 険 適 用 希 望 書 を 提 出 する 評 価 区 分 の A1( 包 括 ) A2( 特 定 包 括 ) B( 個 別 評 価 ) に 該 当 する 保 険 医 療 材 料 の 場 合 それぞれの 診 療 報 酬 点 数 ( 手 技 料 )や 機 能 区 分 の 定 義 に 該 当 するか 確 認 が 行 われ 中 医 協 に 報 告 され 保 険 適 用 となる 一 方 C1( 新 機 能 ) C2( 新 機 能 新 技 術 ) といった 新 機 能 の 医 療 材 料 については 新 医 薬 品 の 薬 価 基 準 収 載 と 類 似 したプ ロセスを 経 る ただし 医 療 材 料 の 場 合 は その 医 療 材 料 がどのような 医 療 技 術 で 使 用 されるかという 点 が 重 要 になる 既 に 保 険 適 用 となっている 医 療 技 術 で 使 用 される 場 合 は C1 として 新 機 能 に 関 する 検 討 が 行 われるが 医 療 技 術 自 体 が 保 険 適 用 されていな い 場 合 は C2 として 医 療 技 術 の 保 険 収 載 に 係 るプロセスも 必 要 となるため 保 険 収 載 ま でに 時 間 を 要 する 図 表 53 新 規 医 療 材 料 の 区 分 決 定 の 流 れ ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 平 成 26 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 88

3 新 機 能 区 分 の 基 準 材 料 価 格 の 算 定 方 法 新 機 能 区 分 の 基 準 材 料 価 格 の 算 定 方 法 については 類 似 機 能 区 分 がある 場 合 と 類 似 機 能 区 分 がない 場 合 とで 異 なる 類 似 機 能 区 分 がある 場 合 は 原 則 として 類 似 機 能 区 分 比 較 方 式 が 類 似 機 能 区 分 がない 場 合 は 特 例 として 原 価 計 算 方 式 が 認 められている 図 表 54 新 規 機 能 区 分 の 基 準 材 料 価 格 の 算 定 方 法 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 平 成 26 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 類 似 機 能 区 分 比 較 方 式 では 画 期 性 加 算 有 用 性 加 算 改 良 加 算 市 場 性 加 算 Ⅰ 市 場 性 加 算 Ⅱ といった 補 正 加 算 がある 補 正 加 算 の 詳 細 な 内 容 は 次 の 図 表 に 示 した 通 りである 一 方 特 例 として 位 置 づけられている 原 価 計 算 方 式 では 製 造 ( 輸 入 ) 原 価 や 販 売 費 一 般 管 理 費 営 業 利 益 流 通 経 費 消 費 税 等 の 原 価 を 積 み 上 げて 算 出 される こ の 時 営 業 利 益 については 業 界 の 実 情 を 踏 まえつつ 新 規 収 載 品 の 革 新 性 の 度 合 い に 応 じてマイナス 50%~プラス 100%の 範 囲 内 で 営 業 利 益 率 の 調 整 を 行 う こととなっ ている 平 成 26 年 度 改 定 前 は 上 限 は 50%であったが 平 成 26 年 度 改 定 により 100%に 引 き 上 げられた 89

図 表 55 補 正 加 算 の 要 件 について ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 平 成 26 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 類 似 機 能 区 分 比 較 方 式 あるいは 原 価 計 算 方 式 のいずれの 場 合 も 外 国 価 格 による 価 格 調 整 が 行 われる これは 外 国 平 均 価 格 の 1.5 倍 を 超 える 場 合 は 1.5 倍 に 相 当 する 額 と する というものである( 外 国 価 格 参 照 制 度 ) 外 国 平 均 価 格 の 参 照 国 は アメリカ イギリス ドイツ フランス オーストラリアの 5 か 国 である 83 外 国 平 均 価 格 の 参 照 国 間 で 価 格 の 開 きの 大 きいケースが 存 在 しており 内 外 価 格 差 の 是 正 という 観 点 から 問 題 として 認 識 されていた このため 平 成 26 年 度 からは 価 格 調 整 で 使 用 する 外 国 平 均 価 格 には 1) 最 高 価 格 が 最 低 価 格 の 3 倍 を 超 える 場 合 は 当 該 最 高 価 格 を 除 外 した 相 加 平 均 とすること 2) 価 格 が 3 か 国 以 上 あり そのうち 最 高 価 格 がそれ 以 外 の 価 格 の 相 加 平 均 値 の 2 倍 を 上 回 る 場 合 は 当 該 最 高 価 格 をそれ 以 外 の 価 格 の 相 加 平 均 値 の 2 倍 相 当 とみなして 算 定 した 相 加 平 均 とすること といったルールが 追 加 された このルールの 具 体 例 が 次 の 図 表 である 83 外 国 価 格 参 照 制 度 の 対 象 国 は 従 来 アメリカ イギリス ドイツ フランスの 4 か 国 であったが 平 成 24 年 4 月 よりオーストラリアが 追 加 された 90

図 表 56 外 国 平 均 価 格 の 算 出 方 法 ( 具 体 例 ) ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 平 成 26 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 一 方 類 似 機 能 区 分 比 較 方 式 により 新 たな 機 能 区 分 を 設 ける 際 に 一 部 の 製 品 で 外 国 平 均 価 格 より 著 しく 低 い 価 格 となる 製 品 がある 当 該 製 品 の 国 内 導 入 の 推 進 と 安 定 供 給 の 確 保 を 図 る 観 点 から 新 規 収 載 品 の 基 準 材 料 価 格 が 外 国 平 均 価 格 の 0.5 倍 以 下 であ った 場 合 は 製 造 販 売 業 者 は 原 価 計 算 方 式 でも 申 請 できることとなった ただし 設 定 される 価 格 は 外 国 平 均 価 格 が 上 限 となる 平 成 24 年 度 から デバイス ラグ の 改 善 を 推 進 する 観 点 から 加 算 要 件 を 満 たす ような 有 用 性 が 高 い 新 規 医 療 材 料 については 新 規 機 能 区 分 に 追 加 して 価 格 改 定 にかか わらずその 有 用 性 を 評 価 する 制 度 ( 迅 速 導 入 加 算 )が 試 行 的 に 導 入 された 平 成 26 年 度 改 定 までに 9 製 品 12 区 分 に 迅 速 導 入 加 算 が 適 用 されている この 迅 速 導 入 加 算 は 平 成 26 年 度 も 引 き 続 き 暫 定 的 試 行 的 に 継 続 されることとなった 91

図 表 57 迅 速 導 入 加 算 の 概 要 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 平 成 24 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 92

4 材 料 価 格 改 定 特 定 保 険 医 療 材 料 に 関 する 既 存 の 機 能 区 分 の 基 準 材 料 価 格 は 基 本 的 に 市 場 実 勢 価 格 加 重 平 均 値 一 定 幅 方 式 に 基 づき 改 定 が 行 われる 医 薬 品 と 同 様 に 基 準 材 料 価 格 改 定 を 行 うため 厚 生 労 働 省 医 政 局 経 済 課 では 特 定 保 険 医 療 材 料 価 格 調 査 (いわゆる 材 料 価 格 調 査 )を 実 施 する この 材 料 価 格 調 査 で 得 た 各 機 能 区 分 に 属 する 全 ての 既 収 載 品 の 市 場 実 勢 価 格 の 加 重 平 均 値 に 消 費 税 を 加 え さらに 一 定 幅 ( 平 成 26 年 度 は 24 年 度 に 引 き 続 き 4%)を 加 算 した 額 が 算 出 される この 一 定 幅 は 医 療 材 料 の 安 定 供 給 を 確 保 するために 設 けられたものである 図 表 58 市 場 実 勢 価 格 加 重 平 均 値 一 定 幅 方 式 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 平 成 26 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 93

前 述 のようにして 新 たな 材 料 価 格 が 算 出 されるが 国 内 価 格 と 外 国 平 均 価 格 を 比 較 し 市 場 実 勢 価 格 が 外 国 平 均 価 格 の 一 定 倍 以 上 となる 場 合 は 以 下 の 算 式 が 適 用 される 倍 率 に 応 じて 改 定 前 の 価 格 に 108/105 を 乗 じた 額 から 最 大 で 25%まで 価 格 を 引 き 下 げるという 再 算 定 のルールが 存 在 する 図 表 59 既 収 載 品 における 再 算 定 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 平 成 26 年 度 保 険 医 療 材 料 制 度 改 革 の 概 要 94

(3) 医 療 技 術 医 薬 品 医 療 材 料 といった モノ に 関 する 保 険 償 還 価 格 制 度 については 先 に 述 べた とおりである 医 療 技 術 については 診 療 報 酬 点 数 表 が 存 在 する この 診 療 報 酬 点 数 表 は 保 険 適 用 範 囲 のリストであり 保 険 償 還 の 価 格 表 でもある ただし 薬 価 基 準 や 材 料 価 格 基 準 とは 異 なり 保 険 償 還 価 格 の 単 位 は 円 ではなく 点 となっている 1 点 は 10 円 である 診 療 報 数 点 数 表 84 は 大 きくは 基 本 診 療 料 と 特 掲 診 療 料 に 分 かれ さらに そ れぞれ 内 訳 が 示 されている 基 本 診 療 料 は 初 再 診 料 と 入 院 料 等 についての 診 療 報 酬 点 数 が 示 されている 一 方 特 掲 診 療 料 は 第 1 部 医 学 管 理 等 から 第 13 部 病 理 診 断 まで 13 の 部 によって 構 成 されている 各 診 療 報 酬 点 数 についてはコードが 付 されてい るが いずれもアルファベット 1 文 字 で 始 まり 後 に 数 字 が 続 くコード 体 系 となってい る 例 えば 画 像 診 断 については E で 手 術 については K で 始 まるコードとな っている( 例 :コンピュータ 断 層 撮 影 (CT 撮 影 )の 場 合 は E200 ペースメーカー 移 植 術 は K597 など) 図 表 60 診 療 報 酬 点 数 表 の 構 成 第 1 章 基 本 診 療 料 A 第 2 章 特 掲 診 療 料 第 1 部 医 学 管 理 等 B 第 2 部 在 宅 医 療 C 第 3 部 検 査 D 第 4 部 画 像 診 断 E 第 5 部 投 薬 F 第 6 部 注 射 G 第 7 部 リハビリテーション H 第 8 部 精 神 科 専 門 療 法 I 第 9 部 処 置 J 第 10 部 手 術 K 第 11 部 麻 酔 L 第 12 部 放 射 線 治 療 M 第 13 部 病 理 診 断 N 84 診 療 報 酬 点 数 表 は 大 きくは 医 科 歯 科 調 剤 と 分 かれているが ここでは 主 に 医 科 の 診 療 報 酬 点 数 表 を 中 心 に 記 載 している 95

中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 の 診 療 報 酬 調 査 専 門 組 織 に 医 療 技 術 評 価 分 科 会 が 設 置 さ れており この 分 科 会 で 各 医 療 技 術 についての 評 価 再 評 価 を 行 っている メンバーは 次 の 図 表 のとおりであるが 医 学 歯 学 看 護 学 薬 学 等 各 分 野 の 学 者 臨 床 の 専 門 家 等 である 医 療 技 術 評 価 分 科 会 における 評 価 対 象 技 術 は 原 則 上 記 の 診 療 報 酬 点 数 表 特 掲 診 療 料 の 第 2 部 在 宅 医 療 から 第 13 部 病 理 診 断 に 該 当 する 技 術 として 評 価 されてい る または 評 価 されることが 適 当 な 医 療 技 術 となっている( 歯 科 も 同 様 ) 平 成 26 年 度 診 療 報 酬 改 定 に 向 けた 医 療 技 術 評 価 分 科 会 からは 第 1 部 医 学 管 理 等 の 中 で 評 価 及 び 再 評 価 するべきであることが エビデンス( 医 療 技 術 としてアウトカムが 改 善 する 等 の 有 効 性 をデータで 示 すことができるものに 限 る)をもって( 学 会 が) 提 案 できる 技 術 も 対 象 に 加 えられることとなった 一 方 薬 事 承 認 を 得 られていない 医 療 機 器 等 を 使 用 する 場 合 は 医 療 技 術 評 価 分 科 会 での 評 価 対 象 外 となる また 先 進 医 療 については 厚 生 労 働 省 に 設 けられている 先 進 医 療 会 議 において 実 績 報 告 等 に 基 づき 別 途 保 険 導 入 についての 評 価 が 行 われる ため 医 療 技 術 評 価 分 科 会 の 評 価 対 象 外 となっている 医 療 技 術 評 価 分 科 会 で 各 医 療 技 術 について 評 価 を 行 うが この 評 価 は 新 規 保 険 収 載 ( 評 価 )だけではなく 既 収 載 技 術 の 増 点 減 点 廃 止 要 件 の 見 直 し 適 応 疾 患 の 拡 大 等 ( 再 評 価 )も 含 まれてい る 96

図 表 61 医 療 技 術 評 価 分 科 会 のメンバー 本 委 員 渥 美 義 仁 氏 名 所 属 及 び 役 職 公 益 財 団 法 人 ライフ エクステンション 研 究 所 付 属 永 寿 総 合 病 院 糖 尿 病 臨 床 研 究 センター 長 和 泉 雄 一 井 原 裕 宣 岩 中 督 大 滝 純 司 北 川 雄 光 小 山 信 彌 東 京 医 科 歯 科 大 学 歯 学 部 附 属 病 院 病 院 長 補 佐 医 歯 学 総 合 研 究 科 歯 周 病 学 分 野 教 授 杏 林 大 学 医 学 部 総 合 医 療 学 非 常 勤 講 師 東 京 都 支 払 基 金 副 審 査 委 員 長 東 京 大 学 医 学 部 附 属 病 院 小 児 外 科 教 授 北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 医 学 教 育 推 進 センター 教 授 慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 外 科 学 教 授 東 邦 大 学 医 学 部 医 療 政 策 渉 外 部 門 特 任 教 授 斎 藤 忠 則 日 本 私 立 学 校 振 興 共 済 事 業 団 東 京 臨 海 病 院 副 院 長 ( 経 営 担 当 ) 佐 々 木 均 真 田 弘 美 重 藤 えり 子 長 崎 大 学 病 院 教 授 薬 剤 部 長 東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 健 康 科 学 看 護 学 専 攻 老 年 看 護 学 / 創 傷 看 護 学 分 野 教 授 国 立 病 院 機 構 東 広 島 医 療 センター 感 染 症 診 療 部 長 鈴 木 則 宏 田 中 憲 一 長 瀬 隆 英 福 井 次 矢 福 田 敬 本 田 浩 松 野 彰 松 村 英 雄 米 山 彰 子 五 十 音 順 慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 神 経 内 科 教 授 新 潟 県 厚 生 農 業 協 同 組 合 連 合 会 新 潟 医 療 センター 病 院 長 東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 呼 吸 器 内 科 学 教 授 聖 路 加 国 際 病 院 長 国 立 保 健 医 療 科 学 院 研 究 情 報 支 援 研 究 センター 上 席 主 任 研 究 官 九 州 大 学 大 学 院 医 学 研 究 院 放 射 線 科 学 分 野 教 授 帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター 副 院 長 脳 神 経 外 科 教 授 日 本 大 学 歯 学 部 歯 科 補 綴 学 第 Ⅲ 講 座 教 授 国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 虎 の 門 病 院 臨 床 感 染 症 科 中 央 検 査 部 長 専 門 委 員 氏 名 天 野 史 郎 飯 島 正 文 稲 山 嘉 明 尾 崎 紀 夫 金 子 剛 田 倉 智 之 竹 中 洋 土 谷 一 晃 堀 江 重 郎 山 口 芳 裕 山 田 芳 嗣 横 谷 進 五 十 音 順 東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 外 科 学 専 攻 感 覚 運 動 機 能 医 学 講 座 眼 科 学 教 授 昭 和 大 学 医 学 部 名 誉 教 授 所 属 及 び 役 職 横 浜 市 立 大 学 附 属 市 民 総 合 医 療 センター 病 理 診 断 科 病 理 部 教 授 部 長 名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 精 神 医 学 親 と 子 どもの 心 療 学 分 野 教 授 国 立 成 育 医 療 研 究 センター 外 科 系 専 門 診 療 部 形 成 外 科 医 長 大 阪 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 医 療 経 済 産 業 政 策 学 教 授 大 阪 医 科 大 学 学 長 東 邦 大 学 医 学 部 整 形 外 科 学 教 室 教 授 順 天 堂 大 学 医 学 部 泌 尿 器 科 学 講 座 泌 尿 器 外 科 学 教 授 杏 林 大 学 教 授 ( 救 急 医 学 ) 杏 林 大 学 医 学 部 付 属 病 院 高 度 救 命 救 急 センター 長 東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 外 科 学 専 攻 生 体 管 理 医 学 講 座 麻 酔 学 教 授 国 立 成 育 医 療 センター 生 体 防 御 系 内 科 部 長 ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 医 療 技 術 評 価 分 科 会 資 料 ( 平 成 25 年 11 月 12 日 )より( 振 り 仮 名 を 省 略 ) 97

医 療 技 術 評 価 分 科 会 では 2 年 ごとに 対 象 医 療 技 術 の 評 価 再 評 価 を 行 っているが そ のプロセスは 次 の 図 のとおりである 図 表 62 医 療 技 術 評 価 分 科 会 における 評 価 の 進 め 方 ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 医 療 技 術 評 価 分 科 会 資 料 ( 平 成 25 年 11 月 12 日 ) まず 学 会 等 85 から 新 たな 医 療 技 術 や 再 評 価 が 必 要 と 考 える 医 療 技 術 について 医 療 技 術 評 価 提 案 書 が 提 出 される この 提 案 書 は 新 規 医 療 技 術 ( 保 険 未 収 載 技 術 )と 既 存 医 療 技 術 ( 保 険 既 収 載 技 術 )の 2 種 類 がある 未 収 載 技 術 と 既 収 載 技 術 とで 提 案 書 の 記 載 事 項 が 異 なる なお 記 載 項 目 にある エビデンスレベル については 質 の 高 いものから Ⅰシステマティックレビュー/メタアナリシス Ⅱ1 つ 以 上 のランダム 化 比 較 試 験 による Ⅲ 非 ランダム 化 比 較 試 験 による Ⅳ 分 析 疫 学 的 研 究 (コホート 研 究 や 症 例 対 照 研 究 )による Ⅴ 記 述 研 究 ( 症 例 報 告 やケース シリーズ)による Ⅵ 患 者 データに 基 づかない 専 門 委 員 会 や 専 門 家 個 人 の 意 見 という 6 段 階 のうち 何 れに 該 当 するか 示 すこととなっている 86 85 医 療 技 術 評 価 分 科 会 の 資 料 である 平 成 26 年 度 診 療 報 酬 改 定 に 向 けた 医 療 技 術 の 評 価 再 評 価 に 係 る 評 価 方 法 等 について ( 中 医 協 診 調 組 技 -2 平 成 25 年 2 月 25 日 )には 医 療 技 術 評 価 分 科 会 が 医 療 技 術 評 価 提 案 書 の 提 出 を 求 める 学 会 等 に 関 して 学 会 等 とは 日 本 医 学 会 分 科 会 内 科 系 学 会 社 会 保 険 連 合 外 科 系 学 会 社 会 保 険 委 員 会 連 合 又 は 日 本 歯 科 医 学 会 分 科 会 ( 認 定 分 科 会 含 む)の 何 れかに 属 する 学 会 日 本 薬 学 会 並 びに 看 護 系 学 会 等 社 会 保 険 連 合 とする と 記 載 されている 86 医 療 技 術 評 価 提 案 書 記 載 要 領 ( 中 医 協 診 調 組 技 -3-2 平 成 25 年 2 月 25 日 )による 98

図 表 63 医 療 技 術 評 価 提 案 書 の 記 載 項 目 保 険 未 収 載 技 術 申 請 団 体 名 ( 学 会 名 ) 技 術 名 技 術 の 概 要 対 象 疾 患 名 保 険 収 載 が 必 要 な 理 由 評 価 項 目 - 有 効 性 ( 治 癒 率 死 亡 率 QOL の 改 善 等 学 会 のガイドライン 等 エビデンスレベル) - 安 全 性 ( 副 作 用 等 のリスクの 内 容 と 頻 度 ) - 技 術 の 成 熟 度 ( 学 会 等 における 位 置 づけ 難 易 度 ( 専 門 性 等 ) 施 設 基 準 ( 施 設 の 要 件 人 的 配 置 の 要 件 遵 守 すべきガイドライン 等 その 他 の 要 件 )) - 倫 理 性 社 会 的 妥 当 性 - 普 及 性 ( 年 間 対 象 患 者 数 年 間 実 施 回 数 等 ) - 効 率 性 ( 新 規 性 等 について 既 存 の 治 療 法 検 査 法 等 と 比 較 効 果 の 比 較 対 象 疾 患 に 対 して 現 在 行 われている 技 術 費 用 の 比 較 予 想 される 当 該 技 術 に 係 る 医 療 費 当 該 技 術 の 保 険 収 載 に 伴 い 減 少 又 は 増 加 が 予 想 される 医 療 費 ) - 診 療 報 酬 上 の 取 扱 ( 妥 当 と 思 われる 診 療 報 酬 の 区 分 妥 当 と 思 われる 点 数 及 びその 根 拠 関 連 して 減 点 や 削 除 が 可 能 と 考 えられる 医 療 技 術 ) ー 当 該 被 術 に 使 用 する 医 薬 品 又 は 医 療 機 器 体 外 診 断 薬 - 当 該 技 術 の 海 外 における 公 的 医 療 保 険 ( 医 療 保 障 )への 収 載 状 況 ー 当 該 技 術 の 先 進 医 療 としての 取 扱 - 当 該 申 請 団 体 以 外 の 関 係 学 会 代 表 的 研 究 者 等 / 等 保 険 既 収 載 技 術 申 請 団 体 名 ( 学 会 名 ) 技 術 名 診 療 報 酬 区 分 診 療 報 酬 番 号 再 評 価 区 分 ( 算 定 要 件 の 見 直 し( 適 応 疾 患 の 拡 大 施 設 基 準 回 数 制 限 等 ) 点 数 の 見 直 し( 増 点 減 点 ) 項 目 設 定 の 見 直 し( 別 の 技 術 料 として 評 価 ) 保 険 収 載 の 廃 止 その 他 ) 提 案 の 具 体 的 な 内 容 評 価 項 目 - 再 評 価 の 理 由 ( 再 評 価 の 根 拠 有 効 性 ( 治 癒 率 死 亡 率 QOL の 改 善 等 学 会 のガイ ドライン 等 エビデンスレベル)) - 安 全 性 ( 副 作 用 等 のリスクの 内 容 と 頻 度 ) - 技 術 の 成 熟 度 ( 学 会 等 における 位 置 づけ 難 易 度 ( 専 門 性 等 ) 施 設 基 準 ( 施 設 の 要 件 人 的 配 置 の 要 件 遵 守 すべきガイドライン 等 その 他 の 要 件 )) - 倫 理 性 社 会 的 妥 当 性 - 普 及 性 ( 年 間 対 象 患 者 数 の 変 化 年 間 実 施 回 数 の 変 化 等 ) - 予 想 される 医 療 費 への 影 響 ( 年 間 )( 予 想 される 当 該 技 術 に 係 る 医 療 費 当 該 技 術 の 保 険 収 載 に 伴 い 減 少 又 は 増 加 すると 予 想 される 医 療 費 ) - 関 連 して 減 点 や 削 除 が 可 能 と 考 えられる 医 療 技 術 ー 算 定 要 件 の 見 直 し 等 によって 新 たに 使 用 される 医 薬 品 又 は 医 療 機 器 体 外 診 断 薬 - 当 該 技 術 の 海 外 における 公 的 医 療 保 険 ( 医 療 保 障 )への 収 載 状 況 - 当 該 申 請 団 体 以 外 の 関 係 学 会 代 表 的 研 究 者 等 / 等 ( 資 料 ) 医 療 技 術 評 価 提 案 書 ( 平 成 25 年 度 )をもとに 作 成 99

医 療 技 術 評 価 分 科 会 の 事 務 局 である 厚 生 労 働 省 保 険 局 医 療 課 では 学 会 等 から 提 出 さ れた 医 療 技 術 評 価 提 案 書 をもとに 学 会 等 に 対 するヒアリングや 外 部 有 識 者 の 意 見 を 踏 まえ 評 価 案 を 作 成 する 評 価 案 では 提 案 された 医 療 技 術 を 幅 広 い 観 点 から 評 価 が 必 要 な 技 術 エビデンスが 不 十 分 と 考 えられる 技 術 評 価 対 象 外 と 分 類 する 評 価 すべき 有 用 性 が 十 分 に 示 されていないものや 評 価 すべき 技 術 の 具 体 的 な 内 容 が 十 分 に 記 載 されていないもの 等 は エビデンスが 不 十 分 と 考 えられる 技 術 に 分 類 される 医 療 技 術 評 価 分 科 会 では 事 務 局 から 提 出 された 評 価 案 をもとに 検 討 を 開 始 する( 第 1 回 分 科 会 平 成 25 年 度 は 11 月 12 日 に 開 催 ) 分 科 会 の 委 員 は 第 2 回 の 分 科 会 ( 平 成 25 年 度 は 平 成 26 年 1 月 14 日 に 開 催 )の 開 催 前 に 保 険 適 用 の 優 先 度 や 評 価 案 の 妥 当 性 等 について 評 価 を 行 う( 委 員 による 事 前 評 価 ) 第 2 回 の 医 療 技 術 評 価 分 科 会 では 委 員 による 評 価 結 果 をとりまとめ 新 規 保 険 収 載 の 評 価 等 を 行 う 優 先 度 が 高 いと 考 えら れる 技 術 医 療 技 術 評 価 分 科 会 としては 今 回 改 定 では 対 応 を 行 わない 技 術 評 価 対 象 外 と 整 理 分 類 し 中 医 協 総 会 に 報 告 する 医 療 技 術 評 価 分 科 会 の 委 員 は 保 険 未 収 載 技 術 の 場 合 1) 当 該 技 術 の 保 険 収 載 に 係 る 必 要 性 妥 当 性 (5 段 階 評 価 ) 2) 倫 理 性 社 会 的 妥 当 性 ( 問 題 あり 問 題 なしの 2 区 分 ) 3) 実 施 施 設 の 限 定 の 有 無 ( 施 設 基 準 を 設 けるべき 必 要 なしの 2 区 分 )の 他 4) 有 効 性 5) 安 全 性 6) 技 術 的 成 熟 度 7) 普 及 性 8) 効 率 性 について 評 価 する また 保 険 既 収 載 技 術 については 1) 再 評 価 の 必 要 性 妥 当 性 (5 段 階 評 価 ) 2) 有 効 性 等 3) 普 及 性 の 変 化 4) 予 想 される 医 療 費 の 影 響 5)その 他 ( 安 全 性 技 術 の 成 熟 度 倫 理 性 社 会 的 妥 当 性 について 特 記 すべき 事 項 )について 評 価 する 平 成 25 年 度 の 医 療 技 術 評 価 再 評 価 では 次 の 図 表 のとおり 798 件 の 医 療 技 術 評 価 が 各 学 会 等 から 提 出 された このうち 医 療 技 術 評 価 分 科 会 の 評 価 のとりまとめ 案 の 段 階 で 新 規 保 険 収 載 の 評 価 等 を 行 う 優 先 度 が 高 いと 考 えられる 技 術 と 位 置 づけられ た 技 術 が 135 件 ( 新 規 技 術 57 件 既 存 技 術 78 件 ) 医 療 技 術 評 価 分 科 会 としては 今 回 改 定 では 対 応 を 行 わない 技 術 と 位 置 づけられた 技 術 が 486 件 ( 新 規 技 術 217 件 既 存 技 術 269 件 ) 評 価 対 象 外 が 177 件 であった つまり 優 先 度 が 高 いと 考 えられる 技 術 に 分 類 された( 評 価 された)のは 提 案 された 技 術 のうち およそ 6 分 の 1 程 度 となった 医 療 技 術 評 価 分 科 会 の 報 告 を 受 け 中 医 協 総 会 で 了 承 されると 診 療 報 酬 点 数 表 への 追 加 削 除 変 更 等 といった 形 で 平 成 26 年 度 診 療 報 酬 点 数 表 に 反 映 される このプロセスは 2 年 に 1 度 実 施 される 100

図 表 64 平 成 25 年 度 医 療 技 術 評 価 分 科 会 における 評 価 のとりまとめ( 案 ) ( 資 料 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 医 療 技 術 評 価 分 科 会 資 料 ( 診 調 組 技 -2 平 成 26 年 1 月 14 日 ) 101