Microsoft Word - 20120524_ 体裁微修正 中国セミナー第7回講演録ウェブ掲載用(0420).doc

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災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について


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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情


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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

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ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

Microsoft Word - H25年度の概要

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経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

Microsoft Word - 07②-2 補足説明資料1.docx

M

市況トレンド

片岡氏提出資料

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

スライド 1

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

スライド 1

1_2013BS(0414)

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16 日本学生支援機構

第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20

Microsoft Word 運営方針(本編)

所令要綱

●電力自由化推進法案

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

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(Microsoft Word - \220\305\220\247\211\374\220\263.doc)

給 与 所 得 控 除 控 除 額 の 計 算 については 次 のとおりです 給 与 等 の 収 入 金 額 給 与 所 得 控 除 額 180 万 円 以 下 の 場 合 180 万 円 を 超 え 360 万 円 以 下 の 場 合 360 万 円 を 超 え 660 万 円 以 下 の 場 合

1 はじめに 計 画 の 目 的 国 は 平 成 18 年 度 に 住 生 活 基 本 法 を 制 定 し 住 まいに 関 する 基 本 的 な 計 画 となる 住 生 活 基 本 計 画 ( 全 国 計 画 )を 策 定 し 住 宅 セーフティネットの 確 保 や 住 生 活 の 質 の 向 上

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 23 年 4 月 1 日 至 平 成 24 年 3 月 31 日 ) 金 額 ( 単 位 : 百 万 円 ) 売 上 高 99,163 売 上 原 価 90,815 売 上 総 利 益 8,347 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 4,661 営 業 利 益

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,


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別紙3

疑わしい取引の参考事例

 

( 注 )1 ラスパイレス 指 数 とは 全 地 方 公 共 団 体 の 一 般 行 政 職 の 給 料 月 額 を 一 の 基 準 で 比 較 するため の 職 員 数 ( 構 成 )を 用 いて 学 歴 や 経 験 年 数 の 差 による 影 響 を 補 正 し の 行 政 職 俸 給 表 (

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

Microsoft Word - H25普通会計決算状況 .docx

住宅購入に関する消費者意識調査

空 き 家 を 売 却 した 場 合 の,000 万 円 控 除 特 例 の 創 設 被 相 続 人 が 住 んでいた 家 屋 及 びその 敷 地 を 相 続 があった 日 から 年 を 経 過 する 年 の 月 日 までに 耐 震 工 事 をしてから あるいは 家 を 除 却 し てから 売 却

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 ( 単 位 : 円 ) 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 413,

07_住宅バウチャー(家賃補助)制度の表紙.doc

タイトル

18 国立高等専門学校機構

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財政再計算結果_色変更.indd

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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

工 事 名 能 代 南 中 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 5 月 24 日 ( 火

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ニュースリリース

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用

No.7 アメリカ 合 衆 国 小 規 模 事 例 (そ4) 助 金 も 財 源 になっている しかし 小 規 模 事 業 体 では 連 邦 政 府 から 基 金 はもちろん 市 から 補 助 金 もまったくない が 実 状 である すなわち 給 人 口 が25 人 から100 人 規 模 小 規

資料2-2 定時制課程・通信制課程高等学校の現状

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

調査結果の概要

平成24年度 業務概況書

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

(3) 善 通 寺 市 の 状 況 善 通 寺 市 においては 固 定 資 産 税 の 納 期 前 前 納 に 対 する 報 奨 金 について 善 通 寺 市 税 条 例 の 規 定 ( 交 付 率 :0.1% 限 度 額 :2 万 円 )に 基 づき 交 付 を 行 っています 参 考 善 通 寺

貸 借 対 照 表 内 訳 表 212 年 3 月 31 日 現 在 公 益 財 団 法 人 神 奈 川 県 公 園 協 会 科 目 公 益 目 的 事 業 会 計 収 益 事 業 等 会 計 法 人 会 計 内 部 取 引 消 去 合 計 Ⅰ 資 産 の 部 1. 流 動 資 産 現 金 預 金

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

Microsoft Word - Łsfi®”YŠ¬™Ê‰Æ.doc

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個人住民税徴収対策会議

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経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

JA 岩 手 県 信 連 現 況 014 会 員 地 域 住 民 事 主 貯 金 預 普 通 貯 金 当 座 貯 金 定 期 貯 金 定 期 積 金 総 合 口 座 各 種 貯 金 目 的 期 間 金 額 利 用 岩 手 県 収 納 代 理 金 融 機 関 県 市 町 村 指 定 代 理 収 納 代

年 金 払 い 退 職 給 付 制 度 における 年 金 財 政 のイメージ 積 立 時 給 付 時 給 付 定 基 (1/2) で 年 金 を 基 準 利 率 で 付 利 給 付 定 基 ( 付 与 利 の ) 有 期 年 金 終 身 年 金 退 職 1 年 2 年 1 月 2 月 ( 終 了 )

4. 長 期 優 良 住 宅 に 係 る 特 例 の 延 長 長 期 優 良 住 宅 に 係 る 以 下 の 特 例 措 置 の 適 用 期 限 ( 平 成 28 年 3 月 31 日 )を 延 長 する 1 登 録 免 許 税 の 特 例 ( 所 有 権 の 保 存 登 記 : 本 則 0.4%

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

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第2章 施設の実態(用途別)

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

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(2) 単 身 者 向 け 以 外 の 賃 貸 共 同 住 宅 等 当 該 建 物 に 対 して 新 たに 固 定 資 産 税 等 が 課 税 される 年 から 起 算 して5 年 間 とする ( 交 付 申 請 及 び 決 定 ) 第 5 条 補 助 金 の 交 付 を 受 けようとする 者 は

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

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Transcription:

フォーラム 中 国 ビジネスを 理 解 する シリーズ 第 7 回 (4 月 20 日 ) 講 演 録 第 7 回 中 国 経 済 の 実 情 日 時 :2012 年 4 月 20 日 ( 金 ) 場 所 : 早 稲 田 大 学 日 本 橋 キャンパス ホール 報 告 急 成 長 を 遂 げてきた 中 国 経 済 が 失 速 しつつある 中 国 政 府 は 悪 化 する 財 政 を 立 て 直 すため 日 本 の 国 家 予 算 にも 相 当 するワイロが 動 く 地 下 経 済 に 目 を 付 けた 地 下 経 済 とは 何 な のか また 中 国 経 済 は 再 び 成 長 軌 道 に 乗 ることができるのか ジャーナリストの 富 坂 聰 氏 が 講 義 した 灰 色 収 入 を 原 資 にして 不 動 産 を 購 入 中 国 の 今 後 について 私 の 見 通 しはあまり 明 るくない しかし 多 くの 人 が 懸 念 している バブル 崩 壊 が 理 由 ではない 日 本 のバブルと 中 国 のバブルは 構 造 が 少 々 違 うからだ 日 本 の 場 合 は 不 動 産 価 格 の 上 昇 を 見 込 んで 銀 行 が 積 極 的 に お 金 を 貸 し 付 けたものの バブル 崩 壊 によって 融 資 したお 金 が 回 収 できなくなった それが 不 良 債 権 となって 銀 行 経 営 を 圧 迫 失 われた 10 年 と 言 われた 日 本 経 済 の 長 期 低 迷 を 招 いた 一 方 の 中 国 の 銀 行 は 個 人 をターゲットにはしていない 民 間 企 業 でもほとんど 相 手 にされず マンションや 土 地 の 使 用 権 は 現 金 で 買 うのが 当 たり 前 だ 2 億 3 億 円 もするような 物 件 でも キャッシュで 支 払 う 居 住 用 以 外 に 投 資 目 的 で 購 入 するケースが 多 いのも 中 国 の 特 徴 だ 例 えば 中 国 では 高 級 マンションの 1 階 にコンビニやレ ストランなどのテナントが 入 居 するのが 一 般 的 だが すぐに 撤 1

退 してしまう すべての 部 屋 が 完 売 されたはずなのに マンシ ョンに 人 が 住 んでいないからだ 夜 になってもほとんどの 部 屋 の 明 かりが 消 えている このような 高 級 マンションの 購 入 者 は 主 に 官 僚 や 国 有 企 業 幹 部 成 り 金 などだ 中 国 では 数 億 円 もする 物 件 を 官 僚 などの 役 人 が 簡 単 に 購 入 している もちろん 実 際 の 給 料 だけではとて も 足 りない どうやってお 金 を 工 面 しているのか 灰 色 収 入 と 呼 ばれる 収 入 が 資 金 源 になっているのだ 灰 色 収 入 とは 何 か 中 国 には 白 色 収 入 黒 色 収 入 灰 色 収 入 という 3 つの 収 入 形 態 が 存 在 する 白 色 収 入 とは 給 与 などの 正 当 な 収 入 黒 色 収 入 とは 詐 欺 や 窃 盗 などの 非 合 法 手 段 で 得 た 収 入 そして 灰 色 収 入 とは 賄 賂 など 非 合 法 ギ リギリの 収 入 のことだ 灰 色 収 入 が 給 料 の 2 3 倍 という 官 僚 はざらで 国 営 企 業 や 有 名 企 業 の 課 長 クラスであれば 3 千 万 円 ぐらい 受 け 取 っているのではないだろうか 中 国 の 共 産 党 員 は 7,000 万 人 国 営 企 業 や 有 名 企 業 の 幹 部 クラスも 含 めると 日 本 の 人 口 ほどの 人 が 法 律 に 抵 触 するかもしれない グレーな お 金 を 受 け 取 っている 官 僚 などの 権 力 者 に 贈 られる 賄 賂 の 総 額 は ある 新 聞 の 試 算 によると 6 兆 元 ほど 日 本 円 に 換 算 すると 約 78 兆 円 もの 規 模 がある 日 本 の 国 家 予 算 にほぼ 匹 敵 する 金 額 が 裏 の 世 界 で 動 い ているわけだ こうした 裏 の 経 済 活 動 を 地 下 経 済 と 言 う マンション 価 格 が 前 年 比 で 3 割 ほど 下 落 し 中 国 経 済 が 混 乱 に 陥 っているという 日 本 の 報 道 もあるが 実 際 はそれほど 動 揺 していない 原 資 が 灰 色 収 入 だからだ 賄 賂 として 受 け 取 った お 金 を 投 資 に 回 しているため 心 理 的 にはそれほどの 痛 みはな い 地 下 経 済 が 緩 衝 地 帯 として 機 能 しているので 日 本 のバブ ル 崩 壊 のような 深 刻 な 問 題 にはならないのだ セーフティーネットとして 機 能 する 地 下 経 済 2

中 国 では 年 収 300 万 円 ぐらいの 家 庭 にも 使 用 人 がいる なぜ なら 中 国 では 使 用 人 を 1 カ 月 雇 ってもコストは 3 万 円 程 度 だか ら 送 迎 と 家 事 担 当 の 使 用 人 を 雇 っても 月 6 万 円 しかかからな い なぜこれほどの 金 額 で 使 用 人 が 雇 えるのか 月 3 万 円 の 収 入 で 生 活 できる 世 界 があるからだ その 世 界 こそが 地 下 経 済 で ある 中 国 の 出 稼 ぎ 労 働 者 の 間 には 出 身 地 別 にコミュニティが 形 成 されている 例 えば 私 の 友 人 がかつてお 世 話 になった 山 東 省 のコミュニティは 北 京 の 円 明 園 の 近 くにある 住 まいはレン ガを 積 み 上 げただけで 窓 もない 耐 震 性 も 期 待 できない 3 階 建 ての 建 物 極 寒 の 時 期 になると まるで 冷 蔵 庫 のような 部 屋 に 身 を 寄 せ 合 って 暮 らしている 家 賃 は 大 体 2 3 千 円 Sany Panasenic といった 地 下 経 済 で 流 通 しているまがい 物 だが 携 帯 電 話 も 一 応 持 っている 非 常 に 安 い 生 活 費 で 暮 らすことが できるのだ 山 東 省 のコミュニティでは 逃 げ 場 所 もないことを 知 っての うえだが 一 文 無 しの 私 の 友 人 にお 金 まで 貸 してくれた その お 金 で 車 を 買 って 白 タクの 運 転 手 をやっていた 白 タクとは 営 業 許 可 のないタクシーのことで 正 規 のタクシーより 運 賃 が 安 いのが 特 徴 だ それなりの 需 要 があり ある 程 度 のお 金 を 稼 ぐ ことができる 白 タクの 運 転 手 や 高 級 煙 草 の 運 び 屋 など 高 望 みしなければ 地 下 経 済 にはいくつも 仕 事 があるのだ 中 国 は 輸 出 依 存 度 が 高 く 海 外 経 済 に 頼 ってきた 国 だったた め 2008 年 のリーマン ショックの 時 は 日 本 以 上 の 被 害 を 受 け た ところが 日 本 人 よりも 中 国 人 の 方 が 表 情 は 明 るい その 理 由 は 中 国 には 地 下 経 済 というセーフティネットが 働 いている から 日 本 よりも 国 家 との 信 頼 関 係 は 希 薄 だが 民 間 に 相 互 扶 助 の 意 識 が 強 く もしも 表 の 仕 事 を 失 っても 地 下 経 済 に 行 けば 何 らかの 生 きる 糧 が 得 られるのだ 3

地 下 経 済 から 税 金 を 徴 収 し 財 政 再 建 を 図 る この 地 下 経 済 を 中 国 政 府 は 潰 そうとしている なぜ 地 下 経 済 に 目 を 付 けたのか 国 家 財 政 が 窮 乏 しているからだ とくに 厳 しさを 増 しているのが 地 方 財 政 かつて 世 界 の 工 場 として 注 目 を 浴 びた 中 国 には 数 々の 企 業 が 進 出 し 工 場 などを 建 てた それによって 過 熱 したのが 不 動 産 ビジネス 中 国 は 基 本 的 に 国 家 か 集 団 しか 土 地 の 所 有 を 認 めていない 工 場 用 地 を 確 保 する には 期 限 付 きの 土 地 所 有 権 を 政 府 などから 買 うことになる こうした 売 買 代 金 の 30~40%が 税 収 として 地 方 財 政 に 入 って くるのだ 中 国 の 税 金 はほとんど 国 が 受 け 取 るので 不 動 産 関 連 の 税 収 は 地 方 にとって 貴 重 な 財 源 といえるだろう ところが 不 動 産 価 格 の 急 落 で 不 動 産 関 連 の 税 収 が 落 ち 込 み 道 路 や 橋 などの 公 共 事 業 の 投 資 が 抑 制 された かつて 中 国 経 済 は 投 資 と 貿 易 を 両 輪 に 急 成 長 を 遂 げたが リーマン ショッ クによって 米 国 経 済 が 低 迷 中 国 は 経 済 構 造 の 見 直 しを 迫 られ 投 資 を 大 黒 柱 に 据 えることにした 投 資 が 経 済 成 長 の 柱 になっ た 中 国 では 公 共 事 業 投 資 の 受 け 皿 となっている 企 業 が 潤 う 当 然 ながら 公 共 事 業 投 資 に 関 わる 人 と 関 わらない 人 との 間 に は 大 きな 収 入 の 格 差 が 生 まれ 社 会 的 な 不 満 が 広 がっていった 2012 年 3 月 に 開 催 された 全 国 人 民 代 表 大 会 ( 全 人 代 ) 閉 幕 後 の 記 者 会 見 で 温 家 宝 首 相 が 述 べた 政 治 改 革 を 実 行 しなけれ ば これまで 積 み 重 ねてきたものをすべて 失 うだろう という コメントは この 格 差 の 拡 大 を 懸 念 した 言 葉 だ とはいえ 収 入 格 差 を 改 めるのは 簡 単 ではない 経 済 を 発 展 させるには 当 面 公 共 事 業 投 資 に 力 を 入 れていくしかなく 実 施 すれば 実 施 する ほど 格 差 が 広 がっていくという 矛 盾 をはらんでいる 八 方 ふさがりの 状 態 を 打 開 するために 中 国 政 府 が 選 んだ 方 法 が 取 れるところからお 金 を 取 る だ そのターゲットが 新 税 4

の 導 入 と 地 下 経 済 だった まず 増 値 税 によってこれまで 納 税 と 無 縁 だった 地 下 経 済 からも 徴 収 しようともくろんだわけだ 増 値 税 とは 日 本 の 消 費 税 のような 仕 組 みで 中 国 国 内 で 商 品 ( 製 品 )の 販 売 などの 労 務 に 課 せられる 税 金 中 国 国 内 の 税 収 の 大 半 が 増 値 税 に 占 められている 中 国 政 府 は 税 収 を 増 やすため 増 値 税 の 課 税 範 囲 を 広 げている そしてもう 一 つの 動 きが 地 下 経 済 の 地 上 化 である その 象 徴 がレア アースや 炭 鉱 の 管 理 強 化 であり それを 裏 で 支 え る 地 下 金 融 に 対 する 締 め 付 けである こうした 地 下 マネーを 取 り 込 む 動 きは 財 政 を 再 建 するためには 有 効 かもしれないが 一 方 で 大 きな 問 題 の 種 となりつつある それは 政 府 が 地 下 経 済 を 潰 すことで これまで 地 下 経 済 が 代 行 してきた 民 間 のセーフ ティネットが 崩 れてしまうという 問 題 があるからだ もちろん 中 国 政 府 は 国 が 主 導 したセーフティーネットの 構 築 を 目 指 して いるが 私 はこの 試 みの 未 来 には 懐 疑 的 だ なぜなら 中 国 には 13 億 人 もの 人 々が 暮 らしているから 社 会 保 障 として 一 人 1 万 円 ずつ 配 ると 13 兆 円 10 万 円 ずつ 配 ると 130 兆 円 にもなる 13 億 人 もの 人 口 を 抱 える 中 国 で これまで 地 下 経 済 が 担 ってき たセーフティネットの 役 割 を 国 が 代 行 するのは 難 しいだろう 現 政 権 が 国 を 支 配 する 前 から 地 下 経 済 は 存 在 している とこ ろが いまに 至 るまで 政 府 は 一 度 も 地 下 経 済 を 完 全 に 支 配 する ことはできなかった 中 華 人 民 共 和 国 で 暮 らす 国 民 ではあるが 地 下 経 済 の 住 民 は 税 金 を 支 払 わない その 代 わり 国 家 からの 支 援 も 受 けなかった そんな 地 下 経 済 に 政 府 が 対 峙 できるのか 甚 だ 疑 問 だ むしろ 今 後 の 中 国 経 済 を 考 えると 逆 に 地 下 経 済 の 支 配 力 の 方 が 強 まる 傾 向 を 示 していくのではないだろうか ( 質 疑 応 答 ) Q. 中 国 で 賄 賂 が 一 般 化 していることは 理 解 できたが 実 際 に 5

中 国 政 府 の 中 枢 にいる 人 はどうなのか A. 中 国 共 産 党 のトップに 立 つ 人 には 主 に 2 つのタイプがい る 叩 いても 叩 いても 埃 が 出 ない 清 廉 潔 白 な 人 と 叩 けば 埃 が 出 てしまう 人 だ 中 国 の 政 局 を 動 かす 中 央 政 治 局 常 務 委 員 にはいろいろなタイプの 人 がいるが 大 体 の 人 は 叩 け ば 埃 が 出 てくるだろう でも 賄 賂 を 受 け 取 っているから こそ 中 国 共 産 党 にとっては 都 合 がよいという 面 もある ある 人 物 を 取 り 除 きたいと 思 った 時 には 捕 まえる 口 実 に なるからだ Q. テレビで 以 前 村 長 の 努 力 によって 平 均 年 収 が 非 常 に 高 くなった 村 のことを 紹 介 していた なぜこの 村 のようなこ とができたのか A. 中 国 は 社 会 主 義 の 計 画 経 済 に 市 場 経 済 を 取 り 入 れること で 発 展 を 遂 げた その 村 は 村 民 から 選 ばれた 村 長 が 村 の 資 産 を 一 元 管 理 し 富 を 公 平 に 分 配 している 地 方 自 治 体 と いうより 企 業 に 近 いシステムだ 一 企 業 が 究 極 の 社 会 主 義 を 実 践 したといえるだろう 中 国 の 発 展 の 象 徴 として その 村 は 度 々 取 り 上 げられている 実 際 に 私 も 訪 問 したこ とがあるが いまの 中 国 とは 逆 行 したシステムだと 思 う 中 国 経 済 の 成 功 例 として 取 り 上 げるのには 違 和 感 を 感 じる 6