地 方 公 務 員 の 新 たな 労 使 関 係 制 度 に 係 る 主 な 論 点 に 対 する 意 見 平 成 24 年 1 月 27 日 全 国 市 長 会 地 方 公 務 員 制 度 改 革 検 討 委 員 会 委 員 長 新 見 市 長 石 垣 正 夫 地 方 公 務 員 の 労 働 基 本 権 の 検 討 のあり 方 については 本 会 として 現 在 の 労 使 関 係 は これまでの 様 々な 努 力 により ようやく 安 定 してきているところで あり このような 中 なぜ 今 地 方 公 務 員 の 労 働 基 本 権 を 拡 充 する 必 要 がある のかについて その 必 要 性 を 明 らかにするとともに 検 討 するに 当 たっては 単 に 国 家 公 務 員 の 措 置 との 整 合 性 だけでなく 住 民 サービスに 与 える 影 響 等 を 含 めた 費 用 と 便 益 を 具 体 的 に 示 しつつ 住 民 の 理 解 のもとに 課 題 問 題 点 等 を 整 理 しながら 慎 重 かつ 丁 寧 に 国 と 地 方 の 協 議 の 場 等 で 地 方 と 十 分 協 議 しつ つ 検 討 するよう 求 めているところであるが 政 府 においては 平 成 23 年 12 月 26 日 にいくつかの 主 な 論 点 を 示 したのみで 本 会 の 懸 念 意 見 等 について 十 分 な 回 答 や 協 議 もないまま 今 通 常 国 会 に 法 案 を 提 出 するとの 方 針 を 示 したことは 誠 に 遺 憾 である 地 方 公 務 員 の 協 約 締 結 権 付 与 のあり 方 については 公 務 員 は 国 民 全 体 の 奉 仕 者 であることも 踏 まえつつ 地 方 と 丁 寧 に 協 議 のうえ 住 民 の 理 解 と 納 得 をい ただきながら 検 討 を 進 めていくよう 改 めて 申 し 上 げる 以 上 の 検 討 を 前 提 として 地 方 公 務 員 の 新 たな 労 使 関 係 制 度 に 係 る 主 な 論 点 を 踏 まえ 次 のとおり 疑 問 点 及 び 意 見 を 提 出 するので 適 切 に 対 処 されたい Ⅰ 総 括 現 在 の 労 使 関 係 制 度 は 安 定 してきているところであるにもかかわらず な ぜ 今 地 方 公 務 員 の 労 働 基 本 権 を 拡 充 する 必 要 があるのか とする 本 会 の 疑 問 に 対 する 回 答 が 明 確 でなく 現 状 における 問 題 点 等 を 具 体 的 に 示 していただき たい また 地 方 公 務 員 の 労 使 関 係 制 度 の 在 り 方 については 地 方 公 務 員 制 度 とい う 地 方 自 治 行 政 に 関 する 極 めて 重 要 な 事 柄 であるので 単 に 国 家 公 務 員 の 措 置 を 踏 まえるだけでなく 地 方 公 務 員 の 実 情 や 特 性 さらには 住 民 サービスへの 影 響 等 を 十 分 踏 まえつつ 課 題 問 題 点 等 を 整 理 しながら 慎 重 かつ 丁 寧 に 国 と 地 方 の 協 議 の 場 等 で 地 方 と 十 分 協 議 しつつ 検 討 することを 求 めるものであ
る Ⅱ 地 方 公 務 員 の 新 たな 労 使 関 係 制 度 に 係 る 主 な 論 点 の 個 別 具 体 的 事 項 論 点 1 理 念 目 的 について 1 協 約 締 結 権 付 与 の 措 置 を 講 ずることにより 新 たな 政 策 課 題 に 迅 速 かつ 果 断 に 対 応 し 効 率 的 で 質 の 高 い 行 政 サービスの 実 現 を 図 る とし 協 約 締 結 権 を 付 与 することにより こうした 交 渉 が 制 度 的 に 担 保 されることに なれば より 安 定 した 労 使 関 係 の 形 成 に 資 する としたうえで 住 民 サー ビスに 影 響 を 及 ぼす 恐 れがあるとの 懸 念 意 見 に 対 しては 現 行 制 度 の 下 で も 広 く 労 使 間 で 交 渉 が 行 われており 新 たな 制 度 の 下 における 真 摯 な 交 渉 を 通 じて 労 使 が 対 抗 緊 張 の 関 係 となるのではなく 両 者 間 の 意 思 疎 通 の 円 滑 化 が 図 られ 相 互 理 解 が 深 まることによって 職 員 の 士 気 が 高 まり 一 層 効 率 的 で 質 の 高 い 行 政 サービスの 提 供 に 資 するものと 考 えられる と しているが 協 約 締 結 権 の 付 与 は 労 使 が 対 抗 緊 張 の 関 係 となる 可 能 性 が 高 くなるものとともに このことにより 住 民 サービスの 維 持 充 実 に 影 響 を 及 ぼすとの 懸 念 は 払 拭 できない 何 故 効 率 的 で 質 の 高 い 行 政 サー ビスの 提 供 が 図 られると 考 えるのか 理 念 でなく 地 方 の 実 態 を 踏 まえた 考 えを 示 していただきたい 2 現 在 労 働 基 本 権 の 制 約 の 代 償 措 置 として 法 律 による 身 分 保 障 等 が 講 じられているが 協 約 締 結 権 の 付 与 により これに 見 合 うとされる 代 償 措 置 はどのようにするのか 考 え 方 を 示 していただきたい 論 点 2 費 用 便 益 について 1 費 用 便 益 については 国 家 公 務 員 におけるものとほぼ 同 様 としている だけであり 地 方 公 務 員 の 特 性 特 に 地 方 公 共 団 体 が 担 っている 行 政 サー ビスに 対 し どのような 影 響 を 及 ぼすかが 示 されていない 費 用 便 益 に ついては 単 なる 労 使 関 係 のみならず 広 い 意 味 の 使 用 者 である 住 民 との 関 係 における 費 用 便 益 をしっかりと 住 民 に 示 し その 理 解 のもとに 検 討 すべきである 2 地 方 公 務 員 に 係 る 職 員 団 体 等 は 全 ての 地 方 公 共 団 体 に 設 置 されておら ず また その 加 入 率 も 年 々 低 下 しているが 職 員 団 体 等 が 設 置 されてい ない 地 方 公 共 団 体 における 勤 務 条 件 の 決 定 の 仕 組 みや 労 働 組 合 に 加 入 し ない 職 員 の 意 見 反 映 の 方 法 を 示 していただきたい
論 点 4 労 働 組 合 の 認 証 要 件 について 労 働 組 合 の 認 証 要 件 について 現 行 法 の 職 員 団 体 の 登 録 要 件 は 同 一 の 地 方 公 共 団 体 の 職 員 のみで 組 織 されるものとされているが 協 約 締 結 権 付 与 に 伴 い なぜ これを 変 更 する 必 要 があるのか その 理 由 を 明 確 に 示 していただきたい 協 約 締 結 権 を 付 与 する 場 合 においても 職 員 の 勤 務 条 件 は 行 財 政 権 に 対 す る 民 主 的 統 制 に 基 づいて 住 民 の 代 表 者 である 議 会 の 議 決 で 決 めるとすること については 変 更 を 加 えないものである 以 上 当 該 団 体 の 職 員 のみが 当 局 と 交 渉 し その 結 果 を 議 会 に 諮 るとすべきではないか 論 点 5 当 局 の 考 え 方 について 1 地 方 公 共 団 体 の 任 命 権 者 は 分 立 しており 市 町 村 長 も いわゆる 首 長 部 局 における 長 として 当 局 の 立 場 に 立 つものであるが 一 方 において 地 方 公 共 団 体 の 長 として 予 算 の 調 製 権 を 有 している 論 点 においては 労 使 関 係 における 当 局 の 考 え 方 はある 程 度 示 されているが 予 算 編 成 権 を 有 する 地 方 公 共 団 体 の 長 と 当 局 及 び 組 合 との 関 係 は どのように 整 理 される のか 明 らかにしていただきたい 2 県 費 負 担 教 職 員 についての 当 局 の 考 え 方 及 び 市 町 村 長 との 関 係 を 明 らか にしていただきたい 論 点 6 紛 争 調 整 機 関 の 在 り 方 について 不 当 労 働 行 為 事 件 の 審 査 及 び 紛 争 調 整 を 行 う 機 関 については 民 間 企 業 職 員 の 不 当 労 働 行 為 事 件 の 審 査 や 労 使 紛 争 の 調 整 ノウハウを 有 すること 中 央 労 働 委 員 会 との 連 携 による 救 済 命 令 等 の 全 国 的 統 一 性 や 公 正 性 妥 当 性 も 可 能 と なること 人 事 委 員 会 や 公 平 委 員 会 が 担 う 場 合 には ノウハウの 習 得 都 道 府 県 労 働 委 員 会 との 連 携 体 制 の 構 築 各 地 方 公 共 団 体 における 組 織 体 制 の 整 備 等 が 必 要 になる 等 の 理 由 から 都 道 府 県 労 働 委 員 会 が 行 うとされているところ である 本 会 では 都 道 府 県 の 労 働 委 員 会 において 管 内 のすべての 市 町 村 の 不 当 労 働 行 為 の 救 済 や 交 渉 不 調 の 場 合 のあっせん 調 停 等 を 行 うことは 付 議 案 件 等 の 増 大 等 による 調 整 コストの 増 大 が 懸 念 されること 短 期 間 に 集 中 することが 予 想 される 案 件 の 迅 速 な 処 理 が 出 来 るのか また 使 用 者 委 員 の 構 成 において 都 道 府 県 市 町 村 任 命 権 者 の 分 立 という 実 態 の 中 適 正 な 体 制 整 備 が 出 来 る か について 懸 念 を 指 摘 し 基 本 的 な 考 え 方 を 明 らかにするよう 求 めたところ であるが 論 点 においてこれらの 考 え 方 が 示 されていないので 明 確 に 示 して いただきたい
論 点 7 民 間 の 給 与 等 の 実 態 を 調 査 把 握 する 主 体 等 について 1 民 間 の 給 与 等 の 実 態 を 調 査 把 握 する 主 体 等 については 新 制 度 への 円 滑 な 移 行 という 観 点 等 に 留 意 しつつ 調 査 主 体 等 について 更 に 検 討 する とされているが 本 会 では 職 員 団 体 との 交 渉 について 住 民 の 理 解 を 得 る ためには 全 国 都 道 府 県 レベル 地 域 レベルでの 民 間 の 状 況 と 比 較 する 指 標 が 引 き 続 き 必 要 であり その 指 標 については 現 在 の 人 事 院 人 事 委 員 会 勧 告 の 指 標 と 遜 色 のない 客 観 的 統 一 的 な 指 標 とすることが 極 めて 重 要 であること また その 調 査 把 握 する 主 体 等 の 検 討 においては 国 や 都 道 府 県 等 の 調 査 把 握 の 仕 方 を 具 体 的 に 明 らかにするとともに 現 在 人 事 委 員 会 が 設 置 されていない 市 町 村 における 民 間 等 の 調 査 結 果 の 活 用 の 在 り 方 についても 示 す よう 求 めたところであるが これらについての 具 体 的 な 考 え 方 が 示 されていないので これらについての 考 え 方 を 示 してい ただきたい 2 論 点 において 自 律 的 労 使 関 係 制 度 においても 給 与 決 定 のために 引 き 続 き 地 域 の 民 間 事 業 の 従 事 者 の 給 与 の 実 態 について 把 握 する 必 要 がある とされているが 新 たな 労 使 関 係 制 度 においても いわゆる 国 の 給 与 等 と の 均 衡 の 原 則 は 引 き 続 き 法 定 するとしている 民 間 給 与 の 実 態 把 握 結 果 と この 均 衡 の 原 則 との 関 係 はどのような 関 係 になるのか 明 らかにしてい ただきたい 論 点 9 消 防 職 員 の 団 結 権 の 扱 いについて 本 会 は 消 防 職 員 に 団 結 権 を 付 与 することによって 上 司 と 部 下 との 対 抗 関 係 をもたらし 信 頼 関 係 に 支 障 が 生 じる 指 揮 命 令 系 統 が 乱 れ 消 防 活 動 に 支 障 をきたす 消 防 団 員 との 信 頼 関 係 や 協 力 関 係 に 支 障 が 生 じる 住 民 の 生 命 財 産 を 守 るという 同 じような 使 命 を 持 つ 警 察 となぜ 切 り 離 すの か 等 の 懸 念 意 見 を 申 し 上 げてきた 今 般 示 された 論 点 においても これらの 懸 念 は 払 拭 出 来 ていない 消 防 職 員 は その 職 責 上 国 民 の 生 命 財 産 を 守 るため 一 身 の 危 険 を 顧 みず 職 務 を 遂 行 する 義 務 を 負 っているものであり これら 職 員 の 組 織 が 一 糸 乱 れず 任 務 を 達 成 するためには とりわけ 厳 しい 服 務 規 律 上 命 下 服 の 規 律 を 維 持 す ることが 必 要 である ところが 労 使 関 係 における 団 結 権 は 勤 務 条 件 をめぐ って 労 使 の 対 抗 関 係 をもたらすものであり 労 使 の 対 抗 関 係 は 実 態 的 には 上 司 と 部 下 の 対 抗 関 係 にほかならないものであること また 先 の 東 日 本 大 震 災 に
おいて 消 防 職 員 はもちろん 自 衛 隊 員 や 警 察 職 員 と 連 携 して 救 助 活 動 等 を 行 った 消 防 団 関 係 者 から 自 衛 隊 や 警 察 の 職 員 機 関 と 切 り 離 して 消 防 職 員 だけが 議 論 されるのは 理 解 し 難 い とする 意 見 があること 等 から 消 防 職 員 の 団 結 権 の 付 与 については 極 めて 慎 重 な 検 討 を 求 めるものである なお 国 家 公 務 員 制 度 改 革 においては これまで 通 り 警 察 職 員 は 警 察 官 のみ ならず 警 察 事 務 職 員 も 含 めて 団 結 権 を 付 与 しないこととされており これらの 職 員 との 関 係 からしても 消 防 職 員 について 団 結 権 を 付 与 するとする 考 えが 理 解 できないところである その 他 の 点 について 本 会 としては 地 方 公 務 員 の 新 たな 労 使 関 係 制 度 について 次 のような 点 に ついても 明 らかにするよう 求 めてきたが 論 点 において 何 も 示 されていないの で 明 らかにしていただきたい 1 国 の 場 合 は 国 家 公 務 員 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 附 則 第 31 条 におい て 政 府 は この 法 律 及 び 国 家 公 務 員 の 労 働 関 係 に 関 する 法 律 の 施 行 の 状 況 を 勘 案 し 国 家 公 務 員 法 第 二 条 に 規 定 する 一 般 職 に 属 する 職 員 の 給 与 に 関 し 法 律 の 委 任 に 基 づき 政 令 で 定 める 事 項 の 在 り 方 について 検 討 を 加 え その 結 果 に 基 づいて 必 要 な 措 置 を 講 ずるものとする とされているが こ の 点 について 地 方 公 務 員 はどのように 考 えているのか 示 していただきたい 2 一 般 職 について 条 例 主 義 とした 場 合 地 方 公 営 企 業 職 員 の 給 与 における 基 準 条 例 との 関 係 をどのように 整 理 するのか その 考 え 方 を 示 していただ きたい