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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

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3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

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している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の


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2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

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数 学 活 用 型 学 力 を 育 む 指 導 と 評 価 に 関 する 研 究 - 数 学 のよさを 実 感 することができる 数 学 的 活 動 を 通 して- - 中 数 学 - 研 究 の 概 要 本 研 究 は, 数 学 活 用 型 学 力 を 育 むための 授 業 づくりを 目 標 としている それは, 新 学 習 指 導 要 領 で 具 体 的 に 位 置 付 けられた 数 学 的 活 動 に 生 徒 が 主 体 的 に 取 り 組 むことによって, 数 学 のよさを 実 感 し, 思 考 力 判 断 力 表 現 力 を 高 め, 既 習 の 知 識 や 技 能 を 活 用 して 問 題 を 解 決 する 力 を 向 上 させようとするも のである 具 体 的 には, 生 徒 が 日 常 生 活 での 事 象 を 数 学 的 に 解 釈 し, 数 学 的 活 動 を 通 して 問 題 解 決 を 図 る 場 面 で, 数 学 を 活 用 する 様 子 や 思 考 過 程 を 見 取 る 指 導 モデルを 作 成 し, 実 践 を 通 して, 指 導 モデルの 有 効 性 を 検 証 した キーワード 数 学 的 活 動 数 学 活 用 型 学 力 数 学 化 サイクル パフォーマンス 課 題 Ⅰ 主 題 設 定 の 理 由 1 新 学 習 指 導 要 領 と 数 学 的 活 動 今 回 の 改 訂 により, 現 行 の 目 標 では 数 学 的 活 動 の 楽 しさを 知 る となっていた 部 分 が, 実 感 する に 変 わった( 注 1) その 楽 しさを 実 感 して, 従 来 よりもさらに 意 欲 的 に 数 学 を 学 ぶことができるように することがねらいである これまでも, 数 学 的 活 動 という 言 葉 は 現 行 の 学 習 指 導 要 領 の 中 に 出 てきてお り,もちろん 授 業 の 中 でも 行 われてきた 活 動 であるが,これからは 数 学 的 活 動 を 生 かした 指 導 を 一 層 充 実 し,また, 言 語 活 動 や 体 験 活 動 を 重 視 した 指 導 が 行 われるように, 各 学 年 の 内 容 に 数 学 的 活 動 が 具 体 的 に 位 置 付 けられた 中 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 数 学 編 ( 平 成 20 年 )によれば, 数 学 的 活 動 とは 生 徒 が 目 的 意 識 をもって 主 体 的 に 取 り 組 む 数 学 に 関 わりのある 様 々な 営 み とされており( 注 2),それは 指 導 者 の 説 明 を 一 方 的 に 聞 くことやドリル 形 式 の 計 算 練 習 をするなどの 学 習 を 指 すものではなく, 操 作 的 活 動, 観 察 や 実 験 などを 通 して, 事 象 を 観 察 したり 試 行 錯 誤 したりすることなどである 見 いだす, 発 展 させる, 利 用 する, 説 明 し 伝 え 合 う といった 数 学 的 活 動 の4つの 形 態 が, 数 と 式, 図 形, 関 数, 資 料 の 活 用 の4つ 領 域 すべてにおいて, 横 断 的 に 行 われるような 授 業 づくりをしていかなければならな い( 図 1) ( 図 1)4つの 領 域 と 数 学 的 活 動 A 数 と 式 B 図 形 数 学 的 活 動 C 関 数 D 資 料 の 活 用 見 い だ す 発 展 さ せ る 利 用 す る 説 明 し 伝 え 合 う -1 -

- 中 数 学 - 数 学 的 活 動 ( 中 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 数 学 編 より) 第 1 学 年 第 2,3 学 年 ア 数 や 図 形 の 性 質 など を 見 いだす 活 動 既 習 の 数 学 を 基 にして, 数 や 図 形 の 性 質 などを 見 いだす 活 動 既 習 の 数 学 を 基 にして, 数 や 図 形 の 性 質 などを 見 いだし, 発 展 させ る 活 動 イ 数 学 を 利 用 する 活 動 日 常 生 活 で, 数 学 を 利 用 する 活 動 日 常 生 活 や 社 会 で, 数 学 を 利 用 す る 活 動 ウ 数 学 的 に 説 明 し 伝 え 合 う 活 動 数 学 的 な 表 現 を 用 いて, 自 分 なり に 説 明 し 伝 え 合 う 活 動 数 学 的 な 表 現 を 用 いて, 根 拠 を 明 らかにし 筋 道 立 てて 説 明 し 伝 え 合 う 活 動 また, 数 学 的 活 動 の 指 導 に 当 たっては, 次 の(1)~(3)の 事 項 に 配 慮 するものとされている (1) 数 学 的 活 動 を 楽 しめるようにするとともに, 数 学 を 学 習 することの 意 義 や 数 学 の 必 要 性 などを 実 感 する 機 会 を 設 けること (2) 自 ら 課 題 を 見 いだし, 解 決 するための 構 想 を 立 て, 実 践 し,その 結 果 を 評 価 改 善 する 機 会 を 設 けること (3) 数 学 的 活 動 の 過 程 を 振 り 返 り,レポートにまとめ 発 表 することなど を 通 して,その 成 果 を 共 有 する 機 会 を 設 けることである 2 学 習 指 導 の 現 状 中 学 校 の 現 場 で 数 学 を 教 えていて, 数 学 が 嫌 いである, 何 のために 数 学 を 勉 強 するのか 分 からな い といった 生 徒 の 声 を 聞 くことが 少 なくない また, 文 章 題 に 取 り 組 むときなどによく 見 られること であるが, 基 本 的 な 計 算 ができ, 言 葉 や 公 式 を 知 っている 生 徒 でも,その 知 識 や 技 能 を 問 題 と 結 び 付 け, それらを 活 用 して 問 題 解 決 を 図 ることができない 場 合 が 多 い そして, 文 章 題 を 解 くことができる 生 徒 でも,パターン 学 習 的 に 練 習 された 問 題 には 対 応 できるが, 初 めて 見 るような 文 脈 で 構 成 された 問 題 に は 対 応 できないことが 多 い さらに, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 を 記 述 式 で 問 われると, 思 考 したのかどう かさえも 見 取 ることができない 無 解 答 が 多 くなる 近 年 の 各 調 査 からは,このことを 裏 付 ける 結 果 が 報 告 されている (1) 平 成 22 年 度 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 平 成 22 年 7 月, 国 立 教 育 政 策 研 究 所 より 平 成 22 年 度 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 報 告 書 が 公 表 された( 注 3) 以 下 は,[ 数 学 B: 主 として 活 用 ]の 中 でも, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 を 記 述 式 で 答 えさせた 設 問 の 無 解 答 率 を 表 したものである ほとんどの 設 問 で, 約 2 割 から 多 いものでは4 割 以 上 の 生 徒 が 無 解 答 で ある 活 用 すること,とりわけ 記 述 で 自 分 の 考 えを 説 明 することについて 課 題 が 見 られる [ 数 学 B: 主 として 活 用 ]の 無 解 答 率 設 問 番 号 設 問 の 概 要 出 題 の 趣 旨 無 解 答 率 (%) 卓 球 をした 場 合 と 同 じ 身 体 活 動 問 題 解 決 のための 構 想 を 立 て 実 践 し, 量 で, 運 動 の 実 施 時 間 を 半 分 に その 結 果 を 数 学 的 な 表 現 を 用 いて 説 1(3) 4.1 できる 別 の 運 動 を 選 び,その 理 明 することができる 由 を 説 明 する 連 続 する3つの 奇 数 の 和 が3の 筋 道 立 てて 考 え, 事 柄 が 一 般 的 に 成 り 2(2) 27.3 倍 数 になることを 説 明 する 立 つ 理 由 を 説 明 することができる 連 続 する4つの 奇 数 の 和 につい 発 展 的 に 考 え, 見 いだした 事 柄 を 説 明 2(3) 18.7 て 成 り 立 つ 事 柄 を 表 現 する することができる 3(2) 4(2) T シャツ 35 枚 のプリント 料 金 が 最 も 安 い 店 をグラフから 判 断 す る 方 法 を 説 明 する 2つの 線 分 の 長 さが 等 しいこと を, 三 角 形 の 合 同 を 利 用 して 証 明 する 事 象 を 数 学 的 に 解 釈 し, 問 題 解 決 の 方 法 を 数 学 的 に 説 明 することができる 27.2 発 展 的 に 考 えて 証 明 することができ る -2-21.9

5(2) 6(1) 平 行 四 辺 形 になることを 証 明 す るための 根 拠 となる 事 柄 を 書 く L 字 型 の 厚 紙 を 引 き 出 すとき,そ の 長 さと 面 積 の 関 係 を 表 すグラ フの 特 徴 を 説 明 する - 中 数 学 - 事 象 を 数 学 的 に 解 釈 し, 成 り 立 つ 事 柄 の 特 徴 を 数 学 的 な 表 現 を 用 いて 説 明 42.9 することができる グラフに 表 れた 変 化 する 数 量 の 特 徴 を 数 学 的 に 表 現 することができる 45.8 また, 質 問 紙 調 査 は, 当 てはまる, どちらかといえば 当 てはまる, どちらかといえば 当 てはま らない, 当 てはまらない の4 択 で 回 答 させている 当 てはまる と 答 えた 生 徒 の 割 合 は 以 下 のとお りである 当 てはまる と 答 えた 生 徒 の 割 合 (%) H22 H21 H20 H19 質 問 63 27.3 26.3 26.1 25.3 数 学 の 勉 強 は 好 きですか 質 問 65 28.3 27.2 27.5 26.5 数 学 の 授 業 の 内 容 はよくわかりますか 質 問 69 数 学 の 授 業 で 学 習 したことは, 将 来, 社 会 に 出 たときに 役 に 33.4 30.6 30.9 36.0 立 つと 思 いますか いずれの 質 問 に 対 しても, 当 てはまる と 答 えた 生 徒 は3 割 程 度 という 結 果 から, 多 くの 生 徒 が 数 学 の 有 用 性 を 実 感 できておらず, 学 習 内 容 の 定 着 が 曖 昧 なまま 学 習 が 進 んでいるため, 数 学 嫌 いな 生 徒 が 多 いということが 分 かる しかしその 一 方 で, 以 下 のような 結 果 も 出 ている 当 てはまる と 答 えた 生 徒 の 割 合 (%) H22 H21 H20 H19 質 問 66 75.8 74.1 69.3 71.5 数 学 ができるようになりたいと 思 いますか この 結 果 を 見 ると 約 7 割 の 生 徒 が 当 てはまる と 答 えており, 数 学 ができるようになりたいと 強 く 感 じている 生 徒 が 非 常 に 多 く, 増 加 傾 向 にあることが 分 かる (2) PISA2009 また, 平 成 22 年 12 月, 文 部 科 学 省 より OECD 生 徒 の 学 習 到 達 度 調 査 (PISA2009)の 調 査 結 果 が 発 表 された( 注 4) この 調 査 は, 義 務 教 育 修 了 段 階 の 15 歳 児 がもっている 知 識 や 技 能 を, 実 生 活 の 様 々な 場 面 でどれだけ 活 用 することができるかを 見 るもので, 読 解 力, 数 学 的 リテラシー, 科 学 的 リテ ラシー の 3 分 野 で 調 査 された PISA 型 学 力 の 特 徴 は, 既 習 の 知 識 や 技 能 を 実 生 活 の 様 々な 場 面 で 活 用 し, 問 題 解 決 する 力 であると 表 現 できるだろう PISA による 定 義 ( 注 5, 注 6) 問 題 解 決 能 力 問 題 解 決 の 道 筋 が 瞬 時 には 明 白 でなく, 応 用 可 能 と 思 われるリテラシー 領 域 あるいはカリキュラム 領 域 が 数 学, 科 学,または 読 解 のうちの 単 一 の 領 域 だけには 存 在 していない, 現 実 の 領 域 横 断 的 な 状 況 に 直 面 した 場 合 に, 認 知 プロセスを 用 いて, 問 題 に 対 処 し, 解 決 することができる 能 力 -3 -

- 中 数 学 - 数 学 的 リテラシー 数 学 が 世 界 で 果 たす 役 割 を 見 つけ, 理 解 し, 現 在 及 び 将 来 の 個 人 の 生 活, 職 業 生 活, 友 人 や 家 族 や 親 族 の 社 会 生 活, 建 設 的 で 関 心 をもった 思 慮 深 い 市 民 としての 生 活 において 確 実 な 数 学 的 根 拠 にも とづき 判 断 を 行 い, 数 学 に 携 わる 能 力 数 学 的 リテラシーについて, 過 去 に 遡 って 見 た 日 本 の 得 点 と 順 位 の 結 果 は 以 下 のとおりである 数 学 的 リテラシー の 調 査 結 果 2009 年 度 2006 年 度 2003 年 度 2000 年 度 日 本 の 得 点 529 点 523 点 534 点 557 点 OECD 平 均 496 点 498 点 500 点 500 点 OECD 加 盟 国 中 の 順 位 4 位 /34 か 国 6 位 /30 か 国 4 位 /30 か 国 1 位 /28 か 国 全 参 加 国 中 の 順 位 9 位 /65 か 国 10 位 /57 か 国 6 位 /41 か 国 1 位 /32 か 国 この 結 果 より, 前 回 の 平 均 点 との 比 較 では 上 昇 はしているものの 統 計 的 な 有 意 差 はなく, 逆 に PISA2000 と 比 較 すると 28 点 下 がっていて,PISA2003 のころから 横 ばい 状 態 が 続 いていることが 分 かる 読 解 力 の 平 均 正 答 率 については, 情 報 へのアクセス 取 り 出 し が 74%, 統 合 解 釈 が 62%, 熟 考 評 価 が 59%で, 必 要 な 情 報 を 見 付 け 出 し 取 り 出 すことは 得 意 だが,それらの 関 係 性 を 理 解 して 解 釈 したり, 自 らの 知 識 や 経 験 と 結 び 付 けたりすることがやや 苦 手 であるとされている そして,PISA2009の 課 題 を 受 けた 今 後 の 取 組 では, 新 学 習 指 導 要 領 の 着 実 な 実 施 を 行 うことが 挙 げら れており, 理 数 教 育 の 充 実 ( 算 数 数 学 )として, 数 量 や 図 形 の 知 識 技 能 を 実 際 の 場 面 で 活 用 する 活 動 の 充 実 を 図 ること, 言 語 活 動 の 充 実 ( 各 教 科 )では,レポートの 作 成 や 論 述 などを 重 視 し, 言 語 活 動 を 充 実 させることが 求 められている (3)TIMSS2007 一 方, 平 成 20 年 12 月 に 文 部 科 学 省 より,IEA( 国 際 教 育 到 達 度 評 価 学 会 )による 国 際 数 学 理 科 教 育 動 向 調 査 (TIMSS2007)の 結 果 も 発 表 されている( 注 7) この 調 査 は, 小 学 校 4 年 生 と 中 学 校 2 年 生 を 対 象 に, 算 数 数 学, 理 科 の 教 育 到 達 度 を 国 際 的 な 尺 度 によって 測 定 するものである その 中 の, 中 学 校 2 年 生 の 結 果 については 下 表 のとおりで,TIMSS2007の 結 果 は570 点 で49か 国 中 5 位 だった この 結 果 について TIMSS2003と 同 じであるが,TIMSS1999よりも9 点, TIMSS1995よりも11 点,いずれも 有 意 に 低 くなっている と 報 告 されており, 学 力 は 低 下 傾 向 のまま 向 上 していないことが 分 かる また, 小 学 校 4 年 生 の 調 査 に 参 加 した 学 年 を4 年 後 の 中 学 校 2 年 生 で 調 査 したことについても 触 れら れているが,どちらの 学 年 でも TIMSS 平 均 値 より 有 意 に 高 い という 分 析 結 果 にとどめられている TIMSS2007 TIMSS2003 TIMSS1999 TIMSS1995 日 本 の 中 学 2 年 生 の 得 点 570 570 579 581 日 本 の 小 学 4 年 生 の 得 点 568 565-567 TIMSS1995より 前 に 行 われた 国 際 的 な 数 学 教 育 に 関 する 調 査 は,1981 年 に 実 施 されたSIMSSで あり, 同 学 年 の 小 学 校 4 年 時 から 中 学 校 2 年 時 への 推 移 を 見 ることができない TIMSS1999は, 中 学 2 年 生 のみ 実 施 中 でも, 数 学 の 勉 強 は 楽 しい の 質 問 に4つの 選 択 肢 (1 強 くそう 思 う,2そう 思 う,3そう 思 わ ない,4まったくそう 思 わない)で 答 えさせた 結 果 は 以 下 のとおりである -4 -

- 中 数 学 - 1 強 くそう 思 う 2そう 思 う 1+2( 肯 定 ) 日 本 の 生 徒 の 割 合 (%) 9 30 39 国 際 平 均 (%) 35 32 67 肯 定 の1,2と 答 えた 数 を 合 わせると39%になるが,この 数 値 は49か 国 中 45 位 ( 韓 国 と 同 率 )である また, 数 学 の 勉 強 に 対 する 自 信 を 問 う 質 問 では,(1) 数 学 の 成 績 はいつもよい,(2) 私 は,クラス の 友 達 よりも 数 学 を 難 しいと 感 じる,(3) 数 学 は 私 の 得 意 教 科 ではない,(4) 数 学 で 習 うことはすぐ に 分 かる,の4つの 質 問 に 対 し, 同 様 に1~4の 選 択 肢 で 答 えさせた その 結 果,すべての 質 問 に1, 2( 否 定 的 な 質 問 では3,4)と 回 答 した 生 徒 の 割 合 は 以 下 のとおりである 数 学 の 自 信 に 対 して 肯 定 的 な 意 見 日 本 の 生 徒 の 割 合 (%) 17 国 際 平 均 (%) 43 この 数 値 は,49か 国 中 最 下 位 の49 位 だった このことについては 色 々な 原 因 があると 思 われるが,そ のひとつとして, 授 業 の 中 で, 最 後 の 答 えまでは 行 き 着 かなかったけれども,ここまでは 考 えること ができた というような 評 価,つまり, 学 習 活 動 の 様 子 や 思 考 の 過 程 などを 見 取 るような 学 習 評 価 がで きていないのではないかと 考 えた また 学 習 評 価 については, 今 回 の 学 習 指 導 要 領 改 訂 を 受 け, 平 成 22 年 3 月 に 文 部 科 学 省 から, 児 童 生 徒 の 学 習 評 価 の 在 り 方 について( 報 告 )が 出 ている( 注 8) その 中 でも, 基 礎 的 基 本 的 な 知 識 技 能,それらを 活 用 して 課 題 を 解 決 するために 必 要 な 思 考 力 判 断 力 表 現 力,そして 主 体 的 に 学 習 に 取 り 組 む 態 度 の 育 成 が 確 実 に 図 られるよう, 学 習 評 価 を 通 じて, 学 習 指 導 の 在 り 方 を 見 直 すことの 重 要 性 が 示 されている これらの 調 査 結 果 などから, 次 の4つのことを 授 業 の 中 で 行 っていかなければならないと 考 えた 数 学 の 有 用 性 や 楽 しさを 実 感 させる 事 象 の 中 から 必 要 な 情 報 を 見 付 け 出 し,それらの 関 係 性 を 理 解 解 釈 する 力 を 育 てる 習 得 した 知 識 や 技 能 を 活 用 しながら 問 題 解 決 する 力 を 育 てる 既 習 の 知 識 や 技 能 を 活 用 する 様 子 や 思 考 の 過 程 を 適 切 に 評 価 する 3 日 本 の 将 来 を 支 える 人 材 の 育 成 前 述 までの, 日 本 の 中 学 生 の 数 学 における 学 力 分 析 については 様 々な 考 え 方 があり, 日 本 の 子 どもた ちは 高 い 学 力 水 準 を 保 っているという 議 論 もある しかし, 単 に 学 力 調 査 における 日 本 の 順 位 だけでは なく, 第 2 次 世 界 大 戦 後 の 復 興 に 始 まり, 我 が 国 が GDP 世 界 第 2 位 になるまでに 遂 げてきた 高 度 経 済 成 長 の 背 景 や, 私 たちが 現 在 置 かれている 状 況 などに 考 えを 巡 らせるとどうだろう 平 成 23 年 3 月 に, 産 業 競 争 力 懇 談 会 COCN(Council on Competitiveness-Nippon) による 平 成 22 年 度 研 究 会 最 終 報 告 が 行 われた COCN とは, 日 本 の 民 間 企 業 の 役 員 や 大 学 の 学 長 などにより, 国 の 持 続 的 発 展 基 盤 となる 産 業 の 競 争 力 を 高 めるために, 民 間 企 業, 政 府 自 治 体, 教 育 機 関 の 協 力 を 得 ながら, 政 策 提 言 をとりまとめて 関 連 機 関 への 働 きかけを 行 い,その 実 現 を 図 ろうとする 団 体 である COCN は,その 報 告 書 の 冒 頭 で, 今 後 の 少 子 化 の 現 象 は 明 らかであり, 絶 対 的 な 母 数 が 減 少 する 中 で, 日 本 を 支 える 産 業 界 にとって 従 来 通 りの 人 材 が 確 保 できるかどうかについて 懸 念 が 大 きい 中 でも, これまでの 日 本 の 成 長 を 支 えてきた 製 造 業 にとって, 優 秀 な 技 術 系 人 材 の 確 保 については, 質 と 量 の 両 -5 -

- 中 数 学 - 面 から 次 第 に 難 しさを 増 すと 考 えられる としている( 注 9) 先 ず, 質 的 な 面 について 考 えてみたい 物 がなかった 時 代, Made in Japan という 言 葉 があったよう に, 世 界 でもトップレベルの 高 品 質 な 製 品 の 製 造 や 高 い 技 術 開 発 により 我 が 国 は 高 度 経 済 成 長 を 遂 げて きた しかし, 今 日 では 新 興 国 のメーカーにより, 日 本 製 の 製 品 と 同 品 質 でしかも 安 価 な 製 品 が 世 界 中 に 出 回 っている 時 代 だ これまで 日 本 のメーカーが 造 ってきた 水 準 の 製 品 が 世 の 中 にあふれているので ある このように, 物 質 的 に 飽 和 している 時 代 では,たとえ 安 価 でなくても 付 加 価 値 の 高 い 製 品 を 生 産 したり 新 たな 技 術 を 開 発 したりすること,そして,その 開 発 や 生 産 に 携 わることのできる 人 材 を 確 保 す ることが, 我 が 国 にとって 必 要 なのではないか それができなければ, 海 外 の 安 価 な 製 品 や 労 働 力 と 渡 り 合 うことができず, 我 が 国 の 製 品 や 技 術 は 淘 汰 されていくことが 想 像 される また,PISA 2006 年 調 査 結 果 発 表 では,OECDのアンヘル グリア 事 務 総 長 のスピーチがあった その 中 で, 日 本 の 生 徒 について もし 生 徒 が 単 に 科 学 的 知 識 を 記 憶 し,その 知 識 とスキルを 再 現 することだ けを 学 習 しているとのだとすれば, 彼 らは 将 来 の 労 働 市 場 に 出 たときに 必 要 とされるスキルを 身 に 付 け ていない と 述 べている( 注 10) 習 得 型 学 習 中 心 の 教 育 によって 育 った 日 本 人 の 技 術 力 は, 高 度 経 済 成 長 期 の 世 の 中 が 求 めるものに 応 えることができた しかし,これからは 子 どもたちに 身 に 付 けさせな ければならない 学 力 について, 質 的 な 面 から 見 直 さなければならない 時 期 がきている 次 に, 量 的 な 面 について 考 えてみたい 少 子 化 により 子 どもたちの 人 口 が 減 った 上 に, 理 数 嫌 いの 子 どもが 増 える そして,すべての 人 が 理 数 に 携 わるわけではないから,その 子 どもたちが 年 齢 を 重 ねる ごとに, 理 数 に 携 わる 人 の 数 が 減 っていく その 底 辺 である 義 務 教 育 の 段 階 で, 理 数 嫌 いの 子 どもたち が 増 えれば 増 えるほど, 当 然 だが,その 先 にある 技 術 系 人 材 は 少 なくなると 考 えられる( 図 2) 言 い 方 を 換 えれば, 義 務 教 育 の 段 階 で 底 辺 の 拡 大 を 行 うことによって, 将 来 の 技 術 系 人 材 を 少 しでも 多 く 確 保 できるのである ( 図 2) 理 数 に 携 わる 人 の 数 子 どもたちは, 義 務 教 育 を 終 えると 早 け れば3 年 以 内 に, 遅 くとも 10 年 もすれば 社 会 に 出 て 働 くことになる だが,そもそ も 我 が 国 の 近 い 将 来 を 担 う 子 どもたちの 絶 対 数 が 少 ないのに 加 えて,その 多 くが 理 数 嫌 い, 理 工 系 進 学 離 れ の 傾 向 が 強 いとすれば, 大 きな 資 源 や 豊 かな 国 土 も なく, 造 る( 作 る 創 る) ことで 発 展 し てきた 我 が 国 の 経 済 が 危 機 的 状 況 に 追 い 込 まれることは, 火 を 見 るよりも 明 らかで はなかろうか 技 術 系 人 材 大 学 専 門 学 校 高 等 学 校 小 中 学 校 理 数 に 携 わる 人 の 数 理 数 嫌 い 少 子 化 による 人 数 減 一 方 で, 濱 中 ( 平 成 21 年 )が 産 学 官 連 携 ジャーナル の 中 の 連 載 工 学 部 離 れ という 錯 覚 で 述 べているように,あたかも 理 数 離 れや 理 工 系 進 学 離 れが 深 刻 な 問 題 であるように 取 り 上 げられている ことを 疑 問 視 する 声 もある( 注 11) 現 に, 株 式 会 社 野 村 総 合 研 究 所 によれば, 近 年 の 工 学 部 志 願 者 数 の 推 移 の 観 点 からは 工 学 離 れは 進 んでいると 言 えるが, 工 学 部 志 願 者 比 率 の 視 点 からは, 志 願 者 比 率 は 長 期 的 に 増 減 を 繰 返 しており, 近 年 の 工 学 離 れは 一 時 的 なものであるかもしれないことが 示 された また, 学 生 ( 高 校 生 工 学 部 の 大 学 生 )に 対 して, 工 学 部 の 魅 力 についての 調 査 では, 高 校 生 アンケー トや 大 学 生 アンケートからは, 現 在 の 学 生 が 工 学 に 魅 力 を 感 じなくなったといえるだけの 結 果 は 得 られ なかった とした 上 で, 工 学 離 れ は 進 んでいるとは 必 ずしもいえないのが 現 状 である と 結 論 付 -6 -

- 中 数 学 - けながらも, 志 願 者 の 減 少 が 起 こっていることは 事 実 であり,それぞれの 大 学 が 対 応 するべき 状 況 と なっていることには 間 違 いない と 分 析 している( 注 12) 図 3は, 文 部 科 学 省 学 校 基 本 調 査 報 告 ( 図 3) 工 学 系 学 部 志 願 者 の 推 移 書 を 基 に, 工 学 部 と 理 工 学 部 への 志 願 者 数 について,1990 年 から2006 年 までの 推 移 を 表 したものである ちなみに,2010 年 は 461,020 人 である 様 々な 議 論 があるが, 工 学 系 学 部 へ 進 んで 理 数 に 携 わろうとする 人 間 の 数 が 減 少 していることに 間 違 いはない そして, 平 成 22 年 3 月 には, 国 会 議 員 有 志 による 人 づくり モノづくり 日 本 の 教 育 を 支 える 会 の 設 立 総 会 が, 東 京 大 学 の 濱 田 総 長, 京 都 大 学 の 松 本 総 長 らも 出 席 し, 国 会 内 で 行 われた その 設 立 趣 意 書 の ( 産 学 官 連 携 ジャーナル より) 中 で, このままでは, 日 本 の 国 力 の 源 であった 高 品 質 な 物 づくりを 支 えてきた 人 材 も,また 新 興 国 の 追 従 を 許 さない 高 い 技 術 開 発 を 発 揮 した 研 究 者 層 も 維 持 できないと 危 惧 される 我 が 国 の 知 的 基 盤 を 支 える 土 台 が 根 底 から 崩 壊 しかねない 危 機 である とした 上 で, 我 が 国 の 生 命 線 が 人 材 育 成 であること を 忘 れてはならない と 述 べている 一 方, 広 い 意 味 の 人 材 育 成 について 考 えれば,それは 理 工 系 の 技 術 者 や 研 究 者 のことだけに 限 らない 数 学 を 学 ぶことによって, 計 算 能 力 やグラフの 扱 いなどの 知 識 技 能 だけではなく, 論 理 的 な 思 考 力 が 身 に 付 いたり, 数 学 的 なものの 見 方 や 考 え 方 を 応 用 して 問 題 を 解 決 する 力 が 身 に 付 いたりするからであ る そういった 力 は, 技 術 系 の 職 種 でなくとも 経 済 の 分 野 から 事 務 的 な 職 種 に 至 るまで, 時 には 仕 事 の 中 で 無 意 識 のうちに 役 立 てている 力 である さらには, 職 業 的 な 側 面 だけではなく, 人 が 日 常 生 活 を 営 む 上 で 必 要 な 知 恵 と 呼 ばれるようなものに 結 び 付 くことも 多 い 従 って, 義 務 教 育 の 数 学 教 育 では, 広 い 意 味 での 人 材 育 成 を 念 頭 におき, 教 科 や 領 域 を 越 えた 論 理 的 な 思 考 力 や 知 識 技 能 の 活 用 力 を 育 てるための 指 導 に,これまで 以 上 に 力 を 注 いでいく 必 要 があると 考 える 生 徒 に 粘 り 強 く 考 えさせ, 結 果 的 に 成 就 感 や 達 成 感 を 味 わうことができるような 指 導 の 工 夫 を 行 い,これ 程 までに 多 くの 子 どもたちを 数 学 嫌 い にさせないよう 努 めなくてはならない Ⅱ 研 究 のねらい 数 学 活 用 型 学 力 を 育 成 するための 指 導 方 法 の 工 夫 として, 数 学 を 活 用 する 場 面 での 思 考 過 程 を 見 取 る 課 題 やその 評 価 方 法 のモデルを 作 成 し, 授 業 研 究 を 通 してその 有 効 性 を 検 証 するとともにモデルの 改 善 を 図 る Ⅲ 研 究 の 基 本 的 な 考 え 方 1 活 用 型 学 力 の 向 上 数 学 活 用 型 学 力 の 定 義 についてはこの 後 詳 しく 述 べることにして, 本 研 究 の 基 本 的 なスタンスについ て 触 れておきたい -7 -

- 中 数 学 - 知 識 や 技 能 の 習 熟 度 を 見 取 る 場 合 は, 従 来 の 筆 記 試 験 によるドメイン 準 拠 評 価 が 最 も 適 しており, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 についても, 筆 記 試 験 の 発 問 を 工 夫 することや 生 徒 の 記 述 内 容 を 精 査 することで, その 力 を 見 取 ることが 可 能 だと 考 える 一 般 に, 活 用 型 学 力 は 筆 記 試 験 でその 力 を 計 ることが 難 しいと されているが, 現 に PISA 調 査 や 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 (B 問 題 )は 筆 記 試 験 で 行 われており 難 し い 場 合 もある のであって, 内 容 によって,または 発 問 次 第 で 可 能 であると 考 える しかし, 西 村 ( 平 成 23 年 )は PISA 調 査 について, 調 査 問 題 では 数 学 化 のサイクル 全 体 を 問 うので はなく, 部 分 に 焦 点 を 当 てている これは PISA 調 査 の 限 界 でもある としている( 注 13) つまり, 活 用 型 学 力 を 育 むためには, 普 段 の 授 業 において 数 学 化 サイクル( 後 述 )を 実 現 させる 場 面 が 必 要 で, 現 実 世 界 の 問 題 からスタートし 現 実 世 界 の 問 題 に 戻 る 活 動 を, 授 業 の 中 で 必 要 に 応 じて 仕 組 む 必 要 があるということである 本 研 究 では,この 部 分 に 焦 点 を 当 て, 活 用 型 学 力 を 向 上 させるとともに, 数 学 は 現 実 の 世 界 ( 実 生 活 ) でほとんど 役 に 立 たないのではないかといった, 生 徒 の 不 満 や 疑 問 の 解 消 を 図 る 一 助 としたい これらのことから, 単 元 の 中 での 一 連 の 学 習 評 価 は, 適 宜 手 段 方 法 を 変 える 必 要 があり,また, 活 用 型 学 力 を 向 上 させるためには, 必 要 に 応 じて 授 業 の 中 で 数 学 化 サイクルの 実 現 を 図 ることが 重 要 だと 考 えた 従 って, 思 考 過 程 を 見 取 りながら 数 学 化 サイクルを 実 現 する 方 法 として,パフォーマンス 課 題 の 実 施 を 試 みることにした 2 数 学 活 用 型 学 力 の 定 義 (1) 学 力 の 3 つの 要 素 と 4 観 点 平 成 19 年 に 改 正 された 学 校 教 育 法 の 第 三 十 条 2には, 基 礎 的 な 知 識 及 び 技 能 を 習 得 させるとともに, これらを 活 用 して 課 題 を 解 決 するために 必 要 な 思 考 力, 判 断 力, 表 現 力 その 他 の 能 力 をはぐくみ, 主 体 的 に 学 習 に 取 り 組 む 態 度 を 養 うこと と 記 されている 要 するに, 知 識 技 能, 思 考 力 判 断 力 表 現 力, 主 体 的 に 取 り 組 む 態 度 の3つの 力 を 子 どもたちに 付 けさせようということであり, 学 力 の3つの 要 素 と 言 われる これを, 実 際 に 現 場 で 使 われている 評 価 の4 観 点 と 照 らし 合 わせて, 以 下 のように 整 理 することができよう 学 力 の3つの 要 素 評 価 の4 観 点 趣 旨 基 礎 的 基 本 的 な 知 識 技 能 数 量 や 図 形 などに ついての 知 識 理 解 数 学 的 な 技 能 数 学 的 な 事 象 に 関 心 をもつとともに, 数 学 的 活 動 の 楽 しさや 数 学 のよさを 実 感 し, 数 学 を 活 用 して 考 えたり 判 断 したりしようとする 事 象 を 数 量 や 図 形 などで 数 学 的 に 表 現 し 処 理 する 技 能 を 身 に 付 けている 知 識 技 能 を 活 用 して 課 題 数 学 的 な 事 象 を 数 学 的 にとらえて 論 理 的 に 考 察 し 表 を 解 決 するために 必 要 な 見 方 や 考 え 方 現 したり,その 過 程 を 振 り 返 って 考 えを 深 め たりするなど, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 を 身 に 思 考 力 判 断 力 表 現 力 等 付 けている 主 体 的 に 学 習 に 取 り 組 む 数 学 への 数 学 的 な 事 象 に 関 心 をもつとともに, 数 学 的 態 度 関 心 意 欲 態 度 活 動 の 楽 しさや 数 学 のよさを 実 感 し, 数 学 を 活 用 して 考 えたり 判 断 したりしようとする 思 考 力 判 断 力 表 現 力 の 表 現 と, 従 来 の 数 学 的 な 表 現 処 理 の 観 点 の 表 現 との 混 同 を 避 けるため, 数 学 的 な 技 能 と 改 められた -8 -

- 中 数 学 - (2) 習 得 活 用 探 究 習 得, 活 用, 探 究 については, 文 部 科 学 省 により 定 義 されている( 注 14) それによると, 習 得 型 の 学 習 とは, 基 礎 的 基 本 的 な 知 識 技 能 の 育 ( 図 4) 習 得 活 用 探 究 の 関 係 成 を 指 しており, 探 究 型 の 学 習 とは, 自 ら 学 び 自 ら 考 え る 力 の 育 成 を 指 している そして, 習 得 と 探 究 の 間 に, 知 識 技 能 を 活 用 するという 過 程 を 重 視 する 活 用 型 の 学 習 を 位 置 付 けている 中 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 数 学 編 では, 習 得, 活 用 及 び 探 究 はこの 順 番 に 進 むだけではなく, 相 互 に 関 連 しあって 展 開 していくと 考 えられることである 知 識 及 び 技 能 を 活 用 することでその 習 得 がより 一 層 深 まっ たり, 探 究 の 過 程 で 知 識 及 び 技 能 の 習 得 やそれを 活 用 することについて 見 直 したりすることにも 留 意 しなけ ればならない としている このことを 踏 まえ, 筆 者 はこ の 関 係 を 図 4のように 捉 えた (3)PISA 調 査 における 評 価 の 枠 組 み( 注 5, 注 6) ア 数 学 的 リテラシーについて (ア) 数 学 的 な 内 容 ( 包 括 的 アイディア) 実 生 活 でみられるような 数 学 的 概 念 のまとまりのことで, a 量,b 空 間 と 形,c 変 化 と 関 係,d 不 確 実 性 の4つに 分 類 されている (イ) 数 学 的 プロセス( 能 力 クラスター) 生 徒 が 数 学 的 な 内 容 に 取 り 組 むのに 必 要 な 技 能 のまとまりのことで, 以 下 の3つに 分 類 されている a 再 現 クラスター 比 較 的 よく 見 慣 れた, 練 習 された 知 識 の 再 現 を 主 に 要 する 問 題 を 解 く 能 力 それらは, 数 学 的 事 実 についての 知 識,ありふれた 問 題 の 表 現 の 知 識, 等 しいものの 認 識, 身 近 な 数 学 的 対 象 や 性 質 を 思 い 出 すこと, 決 まりきった 手 順 を 行 うこと,アルゴリズムや 技 術 的 な 技 能 をそのまま 適 用 すること, 見 慣 れた 標 準 形 式 の 記 号 や 公 式 を 使 うこと, 簡 単 な 計 算 を 行 うことである b 関 連 付 けクラスター 再 現 クラスターの 上 に 位 置 付 くもので,やや 見 慣 れた 場 面,または, 見 慣 れた 場 面 から 拡 張 され 発 展 された 場 面 において, 手 順 がそれほど 決 まりきってはいない 問 題 を 解 く 能 力 この 能 力 を 評 価 する 典 型 的 な 問 題 は, 解 釈 を 大 いに 要 求 し, 異 なる 表 現 を 結 びつけ, 解 を 求 めるために 問 題 場 面 の 異 なる 面 を 結 びつけるものである c 熟 考 クラスター 関 連 付 けクラスターのさらに 上 に 位 置 付 くもので, 洞 察, 反 省 的 思 考, 関 連 する 数 学 を 見 つけ 出 す 創 造 性, 解 を 生 み 出 すために 関 連 する 知 識 を 結 びつける 能 力 この 能 力 を 評 価 する 典 型 的 な 問 題 は, より 多 くの 要 素 を 含 んでおり, 結 果 の 一 般 化 や 説 明 や 正 当 化 を 要 求 する そして, 上 記 a~c の 数 学 的 プロセス に 関 わるとされる8つの 能 力 が 以 下 の8つである 1 思 考 と 推 論 2 論 証 3コミュニケーション 4モデル 化 5 問 題 設 定 と 問 題 解 決 6 表 現 7 記 号 言 語, 公 式 言 語, 技 術 的 言 語, 演 算 を 使 用 すること 8 支 援 手 段 と 道 具 の 使 用 -9 -

- 中 数 学 - (ウ) 数 学 が 用 いられる 状 況 実 生 活 で 生 徒 が 遭 遇 するような 状 況 で,a 私 的,b 教 育 的,c 職 業 的,d 公 共 的,e 科 学 的 の5つに 分 類 されている イ 読 解 力 の3つの 側 面 ( 問 題 の 分 類 の 方 法 のひとつ) PISA2009 の 読 解 力 の 問 題 では,(ア) 情 報 へのアクセス 取 り 出 し,(イ) 統 合 解 釈,(ウ) 熟 考 評 価 の3つの 側 面 について 測 定 されている (4) 数 学 活 用 型 学 力 の 構 造 中 原 ( 平 成 20 年 )は, 前 A 包 括 的 な 能 力 B 数 学 的 な 方 法 に 関 わる 能 力 述 の 数 学 的 プロセス に 関 A1モデル 化 力 B1 思 考 力, 推 論 力, 論 証 力 わる8つの 能 力 の 表 現 を 改 め, A2 問 題 設 定 力 B2 表 現 力,コミュニケーション 力 A 包 括 的 な 能 力, B 数 学 A3 問 題 解 決 力 B3 式 や 公 式 の 活 用, 道 具 の 活 用 的 な 方 法 に 関 わる 能 力 に 分 類 し,その 上 で B2へ 読 解 P1: 思 考 力, 推 論 力, 論 証 力 ( 推 論 力 ) 力,B3へ 数 学 的 内 容 を P2: 読 解 力, 表 現 力,コミュニケーション 力 ( 読 解 表 現 力 ) 加 え, 右 のように 整 理 してい P3: 式 公 式 等 の 数 学 的 内 容 の 活 用, 道 具 の 活 用 ( 活 用 力 ) る P1をまとめて 推 論 力, P2を 読 解 表 現 力,P3を 活 用 力 と 呼 び,この3 者 が 相 互 に 作 用 し 合 う 関 係 になっており, 推 論 力 や 読 解 表 現 力 は 活 用 力 を 支 える 役 割 を 果 たす 関 係 にあるとしている そして,こうした 構 造 をも つ 学 力 を, 算 数 型 PISA 型 学 力 あるいは 算 数 活 用 型 学 力 と 呼 んでいる( 注 15) また, 中 原 が 読 解 力 を 加 ( 表 1) 中 教 審 版 の 活 用 型 探 究 型 学 習 と PISA の 枠 組 みの 対 応 えた 理 由 は, 算 数 の 文 章 題 に 学 習 対 象 状 況 能 力 クラスター おいて, 文 と 段 落 から 構 成 され 算 数 科 の 学 習 場 面 再 現 た 連 続 型 テキスト に 対 する 活 用 型 授 業 日 常 生 活 の 場 面 関 連 付 け 読 解 力 が 問 われることはこれ 他 教 科 の 学 習 場 面 関 連 付 け までも 指 摘 されてきたが,デー 探 究 型 授 業 日 常 生 活 の 場 面 熟 考 タを 視 覚 的 に 表 現 した 図 グラ フ, 表 マトリクスによる 非 連 続 型 テキスト の 読 解 も 重 視 されており,これは 算 数 数 学 と 大 きく 関 わるものであるから としており, 筆 者 も 同 じ 立 場 をとることとする なお, 中 央 教 育 審 議 会 版 の 活 用 型 授 業 と 探 究 型 授 業 の 特 徴 や,PISA の 能 力 クラスターについて, 磯 部 ( 平 成 20 年 )は, 表 1のように 対 応 させている( 注 15) これらのことを 参 考 に,ここでは B 数 学 的 な 方 法 に 関 わる 能 力 の 部 分 に, 同 様 に 読 解 力 を 加 え, G 数 学 の 問 題 解 決 に 関 わる 能 力 とした G 数 学 の 問 題 解 決 に 関 わる 能 力 G1: 思 考 力, 推 論 力, 論 証 力, 表 現 力, コミュニケーション 力, 読 解 力 ( 思 考 力 判 断 力 表 現 力 ) G2: 記 号 言 語 公 式 言 語 技 術 的 言 語 演 算 の 使 用, 支 援 手 段 と 道 具 の 使 用 ( 知 識 技 能 の 活 用 力 ) - 10 -

- 中 数 学 - そして, 学 校 教 育 法 の 中 に 示 された 学 力 の3つの 要 素 と 関 連 付 けて, 上 のように G1を 思 考 力 判 断 力 表 現 力,G2を 知 識 技 能 の 活 用 力 と 分 類 した 読 解 力 は, 思 考 力 判 断 力 表 現 力 と 大 きく 関 わるため,G1に 入 れた 数 学 的 な 概 念 に 関 わる 理 解 や 処 理 の 能 力 は, 思 考 力 や 推 論 力 の 中 に 含 まれている これら G1と G2の 能 力 が, 相 互 に 作 用 し 合 いながら, 数 学 を 活 用 して 問 題 解 決 を 図 る 力 を 数 学 活 用 型 学 力 と 定 義 する( 図 5) ( 図 6) 数 学 活 用 型 学 力 の 高 まり そして, 生 徒 が 習 得 型 学 習, 活 用 型 学 習, 探 究 型 学 習 の 場 面 を, 相 互 に 繰 り 返 して 経 験 していくことによって, 数 学 活 用 型 学 力 や 関 心 意 欲 などが 高 められていくと 考 える( 図 6) ( 図 5) 数 学 活 用 型 学 力 の 構 造 思 考 力 推 論 力 論 証 力 表 現 力 コミュニケーション 力 読 解 力 相 互 作 用 記 号 言 語 公 式 言 語 技 術 的 言 語 演 算 の 使 用 支 援 手 段 と 道 具 の 使 用 3 数 学 的 活 動 の 楽 しさ 数 学 的 活 動 の 楽 しさ については, 人 によ ってその 捉 えに 大 きな 幅 があると 思 う 例 えば, 計 算 ドリルを 解 くことが 楽 しい と 感 じる 生 徒 がいることも 事 実 であり,それが 楽 しいと 感 じることはよいことである しかし,ことの 善 し 悪 しは 別 として, 前 述 のとおり 数 学 的 活 動 自 体 がドリル 形 式 の 計 算 練 習 を 行 う 学 習 を 指 さないことから,この 類 の 楽 しさは, 数 学 的 活 動 の 楽 しさに 当 てはまらないということを 押 さえておきたい 今 回 の 学 習 指 導 要 領 改 訂 では, 数 や 図 形 の 性 質 などを 見 いだすことや, 既 習 の 数 学 を 利 用 すること, またその 過 程 で 数 学 的 な 表 現 を 用 いて 説 明 し 伝 え 合 うことを, 各 学 年 の 内 容 の 数 学 的 活 動 に 位 置 付 けた 中 学 校 指 導 要 領 解 説 数 学 編 によると, 数 学 的 活 動 は, 基 本 的 に 問 題 解 決 の 形 で 行 われる とさ れており( 注 2),その 場 面 を 通 して, 数 学 の 必 要 性 や 有 用 性 を 実 感 する 機 会 をもたらしてくれるとし ている そして,それは 数 学 を 学 ぶことの 面 白 さや 考 えることの 楽 しさを 実 感 することにつながるだろ うということである 例 えば, 日 常 生 活 で 起 きている 事 象 についてグラフを 使 って 問 題 解 決 するような 事 例 がこれに 当 たる 特 に 中 学 生 の 発 達 の 段 階 では, 論 理 的 抽 象 的 な 思 考 が 次 第 にできるようになるので, 具 体 物 を 操 作 する 活 動 だけでなく, 考 えたり 説 明 したりする 活 動 を 大 切 にしたい つまり, 単 に 具 体 物 を 操 作 する ことが 楽 しい という 段 階 の 楽 しさではなく, 考 えることが 楽 しい とか 習 ったことを 活 用 して 解 決 できることが 楽 しい など, 知 的 成 長 がもたらされるような 質 的 側 面 の 楽 しさを 実 感 させることが 必 要 なのである -11 -

- 中 数 学 - また, 活 動 の 場 面 では 生 徒 に 粘 り 強 く 考 え 抜 くことをさせ,そこで 出 した 結 論 やそれに 至 るまでの 自 分 の 思 考 過 程 を 説 明 し 伝 え 合 うことにより, 異 なる 考 え 方 を 相 互 に 取 り 入 れ 深 めていくことができるよ うにさせることが 大 切 である そういったことが, 自 分 または 自 分 たちで 問 題 解 決 を 行 ったという 成 就 感 や 達 成 感 を 高 めることにつながる また, 活 動 の 様 子 を 適 切 に 評 価 することにより, 個 々の 数 学 に 対 する 自 信 を 高 めることも 期 待 できる 4 数 学 のよさ 数 学 のよさ についても, 数 学 的 活 動 の 楽 しさと 同 様, 人 によって 捉 え 方 に 大 きな 幅 がある しか し, 中 学 校 指 導 要 領 解 説 数 学 編 では, 数 学 のよさ とは, 例 えば 数 量 の 関 係 を 方 程 式 で 表 すことが できれば, 形 式 的 に 変 形 して 解 を 求 めることができる といった 数 学 的 な 表 現 や 処 理 のよさや, 数 量 や 図 形 などに 関 する 基 礎 的 な 概 念 や 原 理 法 則 のよさ, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 のよさなどを 意 味 する ま た, 数 学 が 生 活 に 役 立 つことや 数 学 が 科 学 技 術 を 支 え 相 互 にかかわって 発 展 してきていることなどにか かわる 知 識 も 含 まれる と, 数 学 のよさについて 定 義 されているので( 注 2),この 捉 え 方 をしていか なければならないだろう 例 えば, 既 習 の 知 識 や 技 能 を 活 用 して,ものごとを 効 率 よく 処 理 することができるようになるといっ た 体 験 は, 生 徒 が 数 学 のよさを 実 感 できる 場 面 であろう また, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 で 事 柄 を 捉 える ことにより,より 適 切 に 課 題 を 解 決 することができたり, 情 報 を 的 確 に 分 析 したりすることができたと きに, 生 徒 は 数 学 のよさを 実 感 するだろう ただし, 解 説 の 中 では, その 過 程 を 振 り 返 るなどして 明 確 に 意 識 できるようにすることが 大 切 である とされている 5 数 学 化 サイクル 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 数 学 編 ( 平 成 20 年 )では, 数 学 的 活 動 の 配 慮 事 項 として, 以 下 の(1)~ (3)を 挙 げ, 図 式 化 している( 注 16)( 図 7) 高 等 学 校 における 数 学 的 活 動 (1) 自 ら 課 題 を 見 いだし, 解 決 するための 構 想 を 立 て, 考 察 処 理 し,その 過 程 を 振 り 返 って 得 られた 結 果 の 意 義 を 考 えたり,それを 発 展 させたりすること (2) 学 習 した 内 容 を 生 活 と 関 連 付 け, 具 体 的 な 事 象 の 考 察 に 活 用 すること (3) 自 らの 考 えを 数 学 的 に 表 現 し 根 拠 を 明 らかにして 説 明 したり, 議 論 したりすること 特 に,(2)については, 日 常 生 活 や 社 会 生 活 などにおける 事 象 の 数 学 的 な 側 面 に 着 目 し, 数 学 的 に 表 現 ( 数 学 化 )することが 必 要 である ま ( 図 7) 高 等 学 校 における 数 学 的 活 動 た, 数 学 的 な 結 果 が 得 られたら, 結 果 を 元 の 事 象 に 戻 し,その 意 味 を 考 えることも 必 要 である このような 活 動 が, 数 学 的 な 表 現 を 見 直 し,そのよさを 認 識 することにつ ながる とされており, 重 要 視 すべき 事 項 だと 考 える 一 方,PISA では, 生 徒 が 現 実 生 活 の 問 題 を 解 決 するために 使 用 する 基 本 的 なプ ロセスを 数 学 化 と 呼 んでいる 国 立 教 育 政 策 研 究 所 監 訳 PISA2003 年 調 査 評 価 の 枠 組 み ( 平 成 16 年 )の 中 で, 数 学 化 サイクル が 次 のように 示 されている( 注 5)( 図 8) - 12 -

そして,(1)~(5)の5 段 階 のステッ プを 踏 むとされている ( 図 8)PISA による 数 学 科 サイクル - 中 数 学 - 活 用 型 の 学 力 が 育 まれない 原 因 のひとつ (5) 現 実 的 解 答 として, 図 8の(4)のステップに 焦 点 を 数 学 的 解 答 当 てた 指 導 に 偏 っていることが 挙 げられる のではないか 習 得 型 の 学 習 の 場 面 では, (5) (4) 指 導 者 の 説 明 を 一 方 的 に 聞 くことやドリル 現 実 世 界 の (1),(2),(3) 形 式 の 計 算 練 習 をするなどの 学 習 が 必 要 だ 問 題 数 学 的 問 題 が, 活 用 型 の 学 力 は, 図 8のようなサイク 現 実 の 世 界 数 学 的 世 界 ルの 過 程 で 育 まれると 考 える 以 上 2つの 事 柄 に 共 通 することは, 実 生 活 の 事 象 を 数 学 の 問 題 に 変 換 し( 数 学 化 ), 数 学 の 問 題 とし て 処 理 し,その 解 答 を 実 生 活 の 事 象 と 照 らし 合 わせ, 何 らかの 解 釈 や 意 味 付 けをするということである 従 って, 本 研 究 では, 図 8の 数 学 化 サイクルの 考 えのもとに 指 導 モデルを 作 成 した PISA による 数 学 化 サイクル (1) 現 実 に 根 差 した 問 題 から 開 始 すること (2) 数 学 的 概 念 に 即 してその 問 題 を 構 成 し, 関 連 する 数 学 を 特 定 すること (3) 仮 説 の 設 定, 一 般 化, 定 式 化 などのプロセスと 通 じて, 次 第 に 現 実 を 整 理 すること それによ り, 状 況 の 数 学 的 特 徴 を 高 め, 現 実 世 界 の 問 題 をその 状 況 を 忠 実 に 表 現 する 数 学 の 問 題 へと 変 化 することができる (4) 数 学 の 問 題 を 解 く (5) 数 学 的 な 解 答 を 現 実 の 状 況 に 照 らして 解 釈 すること これには 解 答 に 含 まれる 限 界 を 明 らかに することも 含 む 6 思 考 過 程 を 見 取 る 課 題 指 導 と 評 価 の 一 体 化 という 言 葉 があるが,その 言 葉 があること 自 体,これまで 指 導 と 評 価 は 別 物 であるという 認 識 のもとに 学 習 指 導 が 行 われてきたということの 現 れではないか 評 価 につ いては, 生 徒 の 学 習 を 深 めることや 学 習 意 欲 の 向 上 を 図 ること,そして 授 業 改 善 を 目 的 としていること から,そもそも 指 導 という 言 葉 の 中 には, 評 価 すること も 含 まれている そういった 意 味 で, パフォーマンス 課 題 は, 本 指 導 モデルの 教 材 として 適 していると 考 える (1)パフォーマンス 課 題 パフォーマンス 課 題 とは, 思 考 力 判 断 力 表 現 力 などの 学 力 を 評 価 するために, 筆 記 試 験 では 評 価 しにくい 種 類 の 学 力 を, 課 題 に 取 り 組 んでいる 生 徒 の 様 子 や, 課 題 に 取 り 組 むことによって 得 られた 作 品,レポートやワークシート,プレゼンテーションや 実 技 実 演 などによって 様 々な 観 点 から 評 価 しよ うというものである 今 までも, 保 健 体 育 科 や 芸 術 系 各 教 科 などにおいて, 取 り 入 れられてきたもので, 近 年 ではほとんどすべての 教 科 で 研 究, 実 践 が 行 われている パフォーマンス 課 題 では,そのパフォーマンスがどの 程 度 まで 達 しているかを 評 価 するための 指 針 と なる 評 価 項 目 がどうしても 必 要 になってくる そこで,このパフォーマンス 課 題 や 評 価 項 目,そして, それらを 用 いた 一 連 の 指 導 モデルを 作 成 するに 当 たっては,いくつかの 文 献 や 先 行 研 究 を 参 考 にした - 13 -

- 中 数 学 - 西 岡 ( 平 成 20 年 )は, 求 められている 結 果 ( 目 標 ), 評 価 方 法, 授 業 の 進 め 方 の 順 で 指 導 方 法 を 設 計 することを 提 唱 している( 注 17) 本 研 究 では, 題 材 や 課 題 ありきで 発 問 や 評 価 項 目 を 考 える のではなく, 学 習 者 に 何 を 身 に 付 けさせればよいのか という 成 果 の 部 分 を 出 発 点 に, 指 導 モデルを 作 成 した 先 ず, 教 科 書 や 学 習 指 導 要 領, 国 立 教 育 政 策 研 究 所 が 提 示 している 評 価 規 準 ( 注 18)などを 参 照 し, 単 元 を 全 体 として 捉 えた 時 に 把 握 させたい 内 容 や, 単 元 を 超 えて 繰 り 返 し 発 揮 されるべき 能 力 などに 注 目 する 具 体 的 には,4つの 観 点 の 中 でも3つの 観 点 に 重 複 して 出 てくる 文 言 に 着 目 することにより, 単 元 の 中 核 部 分 ( 注 17)を 見 極 めるという 作 業 を 行 った ここで, 表 2により, 中 学 校 第 2 学 年 の 1 次 関 数 で 例 えてみることにする( 注 18) ただし, 重 複 する 文 言 が 少 ないため,3つの 観 点 に 重 複 していなくても 単 元 の 中 核 になると 思 われる 文 言 であれば 着 目 することにした ここでは4 種 類 の 下 線 を 引 いてある すると, 様 々な 事 象 を1 次 関 数 として 捉 え, 表, 式,グラフを 用 いて 表 したり,2 元 1 次 方 程 式 を 関 数 関 係 を 表 す 式 とみてグラフに 表 したりするなど, 基 礎 的 な 知 識 や 技 能 を 活 用 して, 論 理 的 に 考 察 し 表 現 して 問 題 解 決 を 図 る ということが, 単 元 の 中 核 部 分 に 相 当 する 内 容 になることが 分 かる こ の 単 元 の 中 核 部 分 見 極 めることによって,パフォーマンス 課 題 として 何 を 求 めればよいのかが 見 え てくる ( 表 2) C 関 数 の 評 価 規 準 に 盛 り 込 むべき 事 項 数 学 への 数 学 的 な 数 量 や 図 形 など 数 学 的 な 技 能 関 心 意 欲 態 度 見 方 や 考 え 方 についての 知 識 理 解 様 々な 事 象 を 一 次 関 数 としてとらえたり, 表, 式,グラフなどで 表 し たりするなど, 数 学 的 に 考 え 表 現 することに 関 心 をもち, 意 欲 的 に 一 次 関 数 についての 基 礎 的 基 本 的 な 知 識 及 び 技 能 を 活 用 しなが ら, 事 象 を 数 学 的 な 推 論 の 方 法 を 用 いて 論 理 的 に 考 察 し 表 現 した 一 次 関 数 の 関 係 を, 表, 式,グラフを 用 いて 的 確 に 表 現 したり, 数 学 的 に 処 理 したり, 二 元 一 次 方 程 式 を 関 数 関 係 を 表 す 式 とみてグラフ 事 象 の 中 には 一 次 関 数 としてとらえられるも のがあることや 一 次 関 数 の 表, 式,グラフの 関 連 などを 理 解 し, 知 識 を 身 に 付 けている 数 学 を 問 題 の 解 決 に 活 用 して 考 えたり 判 断 し たりしようとしてい る り,その 過 程 を 振 り 返 って 考 えを 深 めたりす るなど, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 を 身 に 付 けて いる に 表 したりするなど, 技 能 を 身 に 付 けてい る ( 国 立 教 育 政 策 研 究 所 評 価 規 準 の 作 成, 評 価 方 法 等 の 工 夫 改 善 のための 参 考 資 料 ( 平 成 23 年 )より 下 線 は 筆 者 による ) また, 学 習 者 が 思 考 を 十 分 に 巡 らせることができるような 課 題 を 作 成 しなくてはならない ここで, 本 質 的 な 問 い ( 注 17)の 概 念 が 大 いに 参 考 になる 以 下 に, 本 質 的 な 問 い と 本 質 的 ではない 問 い の 例 を 一 部 示 す( 表 3) ( 表 3) 本 質 的 な 問 い と 本 質 的 ではない 問 い の 例 本 質 的 ではない 問 い の 例 本 質 的 な 問 い の 例 ( 重 要 ではない 問 い ではない) 1) 立 場 や 境 遇 を 超 えて, 友 情 は 成 立 するか? 1) 閏 土 は,なぜ だんな 様! と 言 ったのか? 2)その 国 の 特 徴 は,どのように 捉 えられるのか? 2) 中 国 の 人 口 は 何 人 か? 3) 自 然 や 社 会 の 中 にある,ともなって 変 わる2 3) 品 物 の 値 段 と 消 費 税 の 関 係 は 比 例 か? つの 数 量 の 関 係 はどのように 捉 えられるか? ( 逆 向 き 設 計 で 確 かな 学 力 を 保 障 する より 一 部 抜 粋 ) - 14 -

- 中 数 学 - この 例 から 分 かる 本 質 的 な 問 い の 特 徴 は, 一 問 一 答 では 答 えられないような 問 いであるという 点 である これらのことから, 本 質 的 な 問 い とは, 単 に 授 業 中 の 発 問 を 指 すだけではなく, 教 科 全 体 や 単 元 全 体 を 通 して 探 究 していく,テーマのようなものだということが 分 かる (2) 思 考 過 程 を 見 取 る 評 価 項 目 これまでに,パフォーマンス 課 題 や 学 習 評 価 に 関 する 先 行 研 究 により, 評 価 項 目 ついて 数 多 くの 研 究 事 例 がある しかし,その 中 には 中 学 校 現 場 の 実 態 にそぐわないものもある 教 職 員 が, 毎 時 間 の 授 業 の 準 備 で 評 価 項 目 を 吟 味 し,それに 従 って 授 業 の 中 で1クラス 40 人 一 人 一 人 を 評 価 し,さらには, 毎 時 間 の 評 価 の 蓄 積 をすべて 総 括 的 評 価 ( 評 定 など)に 結 び 付 けることは, 現 実 には 難 しい ましてや, 部 活 動 など 生 徒 会 活 動 がある 放 課 後 に 何 人 もの 教 職 員 が 集 まって, 日 常 的 に 評 価 項 目 について 検 討 会 を 開 くことも 考 えにくい 現 場 に 浸 透 しない 実 践 例 があるのは,このような 理 由 ではないだろうか しかしながら,パフォーマンス 課 題 に 取 り 組 んで 評 価 するのであれば, 何 らかの 評 価 項 目 は 必 要 であ る そして,その 評 価 項 目 は 研 究 のためのアイテムではなく, 日 常 的 に 現 場 で 利 用 される 現 実 的 なもの でなくてはならない パフォーマンス 課 題 に 取 り 組 もうと 思 っても, 評 価 することが 目 的 になってしま ったり, 評 価 項 目 の 作 成 が 壁 になって 実 施 そのものをやめてしまったりすることがあってはならない ところで 本 研 究 では, 数 学 活 用 型 学 力 を 高 めることが 目 標 である 数 学 活 用 型 学 力 を 構 成 する2つの 力 は,G1( 思 考 力 判 断 力 表 現 力 ),G2( 知 識 技 能 の 活 用 力 )であると 定 義 した その 中 でも,G1( 思 考 力 判 断 力 表 現 力 )は,G2( 知 識 技 能 の 活 用 力 )が 身 に 付 いていなけ れば 発 揮 できないものであり, 本 研 究 のパフォーマンス 課 題 は, 生 徒 の 思 考 過 程 を 見 取 ることが 目 的 で ある 従 って, 評 価 では, 学 力 の3つの 要 素 のひとつである G1( 思 考 力 判 断 力 表 現 力 )に 当 たる 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 の 観 ( 図 9) 本 研 究 における 評 価 項 目 作 成 の 流 れ 点 に 的 を 絞 って 評 価 を 行 うこと にした 単 元 ごとの パフォーマンス 課 題 に 合 わせた そこで, 国 立 教 育 政 策 研 究 所 見 方 考 え 方 の 評 価 項 目 評 価 項 目 が 提 示 している 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 の 評 価 規 準 を 参 考 に, 単 元 ごとの 見 方 考 え 方 の 評 価 項 目 を,あらかじめ 作 成 し ておく そして,その 評 価 項 目 指 導 者 による の 中 から 必 要 なものを 選 び 出 し, 具 体 的 な 言 葉 への 書 き 換 え 指 導 者 がパフォーマンス 課 題 に 合 わせた 言 葉 に 置 き 換 える このように,1ステップの 置 き 換 えで 評 価 項 目 ができるようにした( 図 9) また, 評 価 の 段 階 については, 複 雑 化 や 混 乱 を 避 けるため, 現 場 で 使 用 されている 指 導 要 録 に 合 わせて A,B,C(C は B に 達 しないものとして, 表 記 しない)の3 段 階 で 作 成 するものとした( 表 4) また,パフォーマンス 課 題 は, 総 括 的 評 価 として 単 元 の 最 後 に 実 施 するという 考 え 方 もあるが, 筆 者 は, 必 要 に 応 じて, 単 元 の 途 中 にも 形 成 的 評 価 としてのパフォーマンス 課 題 を 実 施 することがあっても よいと 考 えている また,そこで 行 われた 形 成 的 評 価 については, 必 ずしも 評 定 に 結 び 付 ける 必 要 はな く, 生 徒 の 学 習 がさらに 深 まることや 次 の 学 習 への 意 欲 が 高 まることにつなげたり, 授 業 改 善 につなげ たりするにとどめるものであってもよいと 考 える - 15 -

- 中 数 学 - ( 表 4)パフォーマンス 課 題 における 評 価 項 目 単 元 ごとの 評 価 項 目 ( 第 2 学 年 1 次 関 数 ) 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 項 目 A B 具 体 的 な 事 象 の 中 具 体 的 な 事 象 の 中 にある2つの 数 量 の 関 にある2つの 数 量 の 関 係 を, 変 化 や 対 応 の 係 を, 変 化 や 対 応 の 1 次 関 数 の 関 係 様 子 に 着 目 して 調 べ, 様 子 に 着 目 して 調 べ, 1 次 関 数 として 捉 えら 1 次 関 数 として 捉 えら れる2つの 数 量 を 見 い れる2つの 数 量 を 見 い だし, 対 応 の 特 徴 を 捉 だすことができる えることができる 1 次 関 数 の 特 徴 2 元 1 次 方 程 式 と1 次 関 数 1 次 関 数 を 用 いて 事 象 を 捉 え 説 明 すること 1 次 関 数 の 特 徴 を, 1 次 関 数 の 特 徴 を, 表, 式,グラフを 相 互 表, 式,グラフを 相 互 に 関 連 付 けながら, 比 に 関 連 付 けるなどして 例 や 反 比 例 とも 関 連 見 いだすことができ 付 けて 考 察 することが る できる 2 元 1 次 方 程 式 を 関 2 元 1 次 方 程 式 を 関 数 関 係 を 表 す 式 とみる 数 関 係 を 表 す 式 とみる ことで,2 元 1 次 方 程 ことで,2 元 1 次 方 程 式 の 解 と1 次 関 数 のグ 式 の 解 と1 次 関 数 のグ ラフの 関 係 を 見 いだ ラフの 関 係 を 見 いだす し, 連 立 方 程 式 の 解 ことができる の 意 味 や 存 在 など, 事 象 を 広 く 考 察 するこ とができる 具 体 的 な 事 象 から 取 具 体 的 な 事 象 から 取 り 出 した2つの 数 量 の り 出 した2つの 数 量 の 関 係 が1 次 関 数 であ 関 係 が1 次 関 数 であ るかどうかを 判 断 し, るかどうかを 判 断 し, その 変 化 や 対 応 の 特 その 変 化 や 対 応 の 特 徴 を 捉 え, 簡 潔 に 分 か 徴 を 捉 え, 説 明 するこ りやすく 説 明 すること とができる ができる 具 体 的 な 事 象 から 取 り 出 した2つの 数 量 の 関 係 を, 理 想 化 したり 単 純 化 したりして1 次 関 数 とみなし, 変 化 や 対 応 の 様 子 を 調 べた り, 明 確 な 根 拠 をもと に 予 測 したりすること ができる 具 体 的 な 事 象 から 取 り 出 した2つの 数 量 の 関 係 を, 理 想 化 したり 単 純 化 したりして1 次 関 数 とみなし, 変 化 や 対 応 の 様 子 を 調 べた り, 予 測 したりすること ができる 1 次 関 数 を 用 いて 調 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり, 予 測 したりし べたり, 予 測 したりし た 結 果 や 思 考 過 程 が た 結 果 が 適 切 である 適 切 であるかどうか 振 かどうか 振 り 返 って 考 り 返 って 考 えることが えることができる できる パフォーマンス 課 題 に 合 わせた 評 価 項 目 1 ソメイヨシノの 開 花 予 測 課 題 評 価 A B 3 月 の 平 均 気 温 と 桜 の 開 花 日 の 関 係 を 表 す 点 3 月 の 平 均 気 温 と 桜 の 開 花 日 の 関 係 を 表 す 点 をグラフ 用 紙 にかき 入 れ,1 次 関 数 とみなしてグ をグラフ 用 紙 にかき 入 れ,1 次 関 数 とみなしてグ ラフをかくことにより 開 花 日 を 予 測 し,グラフを ラフをかくことにより 開 花 日 を 予 測 し,グラフを パフォーマンス 課 題 1-1 使 って,3 月 の 平 均 気 温 と 開 花 日 の 関 係 の 特 徴 使 って 自 分 の 考 えを 説 明 することができる に 触 れながら, 簡 潔 に 分 かりやすく 自 分 の 考 え を 説 明 することができる 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり, 予 測 したりした 内 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり, 予 測 したりした 内 容 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って, 自 分 の 考 容 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って, 自 分 の 考 パフォーマンス 課 題 1-2 えを 修 正 または 発 展 させ,グループの 仲 間 に 適 えを 修 正 または 発 展 させることができる 切 なアドバイスをすることができる 2 電 球 の 販 売 課 題 評 価 A B 電 球 の 使 用 時 間 と 総 費 用 の 関 係 を 表 す 点 を 電 球 の 使 用 時 間 と 総 費 用 の 関 係 を 表 す 点 を グラフ 用 紙 にかき 入 れ,1 次 関 数 とみなしてグラ グラフ 用 紙 にかき 入 れ,1 次 関 数 とみなしてグラ フをかくことにより, 白 熱 電 球 とLED 電 球 のどち フをかくことにより, 白 熱 電 球 とLED 電 球 のどち パフォーマンス 課 題 2-1 らが 経 済 的 かを 調 べ,グラフを 使 って,グラフの らが 経 済 的 かを 調 べ,グラフを 使 って 自 分 の 考 交 点 やグラフの 上 下 関 係 と 関 連 させて, 簡 潔 に えを 説 明 することができる 分 かりやすく 自 分 の 考 えを 説 明 することができ る 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり, 予 測 したりした 内 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり, 予 測 したりした 内 容 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って, 自 分 の 考 容 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って, 自 分 の 考 パフォーマンス 課 題 2-2 えを 修 正 または 発 展 させ,グループの 仲 間 に 適 えを 修 正 または 発 展 させることができる 切 なアドバイスをすることができる 3 オリジナルTシャツの 販 売 課 題 評 価 A B Tシャツの 枚 数 とプリント 代 金 の 関 係 を 表 す 点 Tシャツの 枚 数 とプリント 代 金 の 関 係 を 表 す 点 をグラフ 用 紙 にかき 入 れ,1 次 関 数 とみなしてグ をグラフ 用 紙 にかき 入 れ,1 次 関 数 とみなしてグ パフォーマンス 課 題 3-1 ラフをかくことにより,プリント 代 金 の 変 化 の 様 子 を 調 べ,グラフを 使 って,グラフの 交 点 や 変 域,グラフの 上 下 関 係 と 関 連 させて, 簡 潔 に 分 かりやすく 自 分 の 考 えを 説 明 することができる ラフをかくことにより,プリント 代 金 の 変 化 の 様 子 を 調 べ,グラフを 使 って 自 分 の 考 えを 説 明 す ることができる 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり, 予 測 したりした 内 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり, 予 測 したりした 内 容 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って, 自 分 の 考 容 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って, 自 分 の 考 パフォーマンス 課 題 3-2 えを 修 正 または 発 展 させ,グループの 仲 間 に 適 えを 修 正 または 発 展 させることができる 切 なアドバイスをすることができる 指 導 者 が,それぞれのパフォーマンス 課 題 に 合 うような 具 体 的 な 記 述 に 書 き 換 える 国 立 教 育 政 策 研 究 所 評 価 規 準 の 作 成, 評 価 方 法 等 の 工 夫 改 善 のための 参 考 資 料 ( 平 成 23 年 )を 参 考 に 作 成 Ⅳ 研 究 の 仮 説 数 学 の 授 業 において, 数 学 を 活 用 する 場 面 での 思 考 過 程 を 見 取 るパフォーマンス 課 題 を 取 り 入 れた 指 導 を 行 うことにより, 数 学 活 用 型 学 力 の 向 上 を 図 ることができるだろう - 16 -

- 中 数 学 - Ⅴ 研 究 の 方 法 と 内 容 1 研 究 の 方 法 (1) 指 導 モデルの 作 成 手 順 ア 国 立 教 育 政 策 研 究 所 の 評 価 規 準 をもとに, 何 を 身 に 付 けさせればよいのかを 検 討 した イ その 内 容 をもとに,パフォーマンス 課 題 とその 評 価 項 目 について 検 討 した ウ パフォーマンス 課 題 とその 評 価 項 目 の 検 討 内 容 をもとに, 指 導 案 を 作 成 した (2) 数 学 の 授 業 実 践 ア 研 究 の 対 象 中 学 校 第 2 学 年 71 名 (A 校 64 名,B 校 7 名 の2 校 3 学 級 ) そのうち, 前 後 調 査 と 授 業 の 全 ての 時 間 に 出 席 した 生 徒 58 名 を 検 証 の 対 象 とした イ 研 究 の 単 元 1 次 関 数 ( 第 2 節 3 項 1 次 関 数 の 利 用 ) ウ 研 究 授 業 の 期 間 及 び 時 間 数 A 校 : 平 成 23 年 9 月 下 旬 ~10 月 中 旬 ( 授 業 :9 時 間, 前 後 調 査 :2 時 間 ) B 校 : 平 成 23 年 10 月 下 旬 ~11 月 中 旬 ( 授 業 :9 時 間, 前 後 調 査 :2 時 間 ) (3) 検 証 授 業 前 後 の 実 態 調 査, 学 習 活 動 時 の 生 徒 の 様 子 やワークシートの 内 容, 研 究 協 力 員 による 授 業 観 察 か ら, 数 学 活 用 型 学 力 を 育 成 するために 指 導 モデルが 有 効 であったかどうかを 確 かめた 2 研 究 の 内 容 (1) 単 元 名 1 次 関 数 ( 第 2 節 3 項 1 次 関 数 の 利 用 ) (2) 単 元 について 小 学 校 6 年 生 では 2つの 伴 って 変 わる 数 量 の 関 係 を 表 やグラフに 表 し, 変 化 の 特 徴 を 調 べることを 通 して, 比 例 の 関 係 を 理 解 する という 学 習 を 進 めてきている 中 学 校 1 年 では, 関 数 の 意 味 を 理 解 し, 具 体 的 な 事 象 の 中 にある2つの 数 量 の 変 化 や 対 応 を 調 べ, 比 例 反 比 例 の 関 係 を 見 いだしたり, 表 式 グラフを 用 いて 比 例 反 比 例 を 表 したりしてきた また, 具 体 的 な 事 象 の 考 察 に 比 例 反 比 例 の 見 方 や 考 え 方 を 活 用 することも 学 習 している 中 学 校 2 年 では, 既 習 内 容 をもとに1 次 関 数 について 考 察 して いく 1 次 関 数 は 比 例 に 続 く 内 容 であり, 中 学 校 で 扱 う 関 数 の 中 心 となる 教 材 である 最 初 に, 伴 って 変 わる2つの 量 の 対 応 関 係 を 調 べることにより 関 数 の 意 味 を 理 解 し,1 次 関 数 につい て 学 習 していく その 後,1 次 関 数 の 一 番 の 特 徴 である 変 化 の 割 合 が 一 定 であることを, 表 や 式 を 用 いて 具 体 的 に 把 握 し, 変 化 の 割 合 がグラフの 傾 きになることを 理 解 する 変 化 の 割 合 の 指 導 やグラフ のかき 方 の 指 導 は,1 次 関 数 の 本 質 に 関 わる 部 分 であり, 特 に 丁 寧 に 指 導 していく 必 要 がある さらに,グラフを 使 って 増 減 や 変 域 の 対 応 関 係 を 調 べることや, 与 えられた 条 件 をみたす1 次 関 数 の 式 を 求 めることができるようにする また,2 元 1 次 方 程 式 のグラフや, 連 立 方 程 式 の 解 と2 直 線 の 交 点 の 座 標 の 関 係 について 理 解 し, 交 点 の 座 標 を 計 算 で 求 めることができるようにする ここでは,その 求 め 方 など 知 識 技 能 の 面 ばかりが 生 徒 の 印 象 に 強 く 残 ってしまい, 具 体 的 な 事 象 の 中 での 式 の 意 味 や, 表 と 式 とグラフの 関 連 性,そして1 次 関 数 を 活 用 することの 有 用 性 などが 見 失 われてしまう 可 能 性 もある 従 って, 第 2 節 1 次 関 数 と 方 程 式 の 中 でも 特 に 1 次 関 数 の 利 用 は, 既 習 内 容 をも とに1 次 関 数 を 活 用 させる 絶 好 の 機 会 であることから,グラフや 式 表 を 活 用 して 具 体 的 な 事 象 を 考 察 することにより, 未 知 の 事 柄 について 予 測 したり,より 考 えやすいものに 置 き 換 えて 解 決 したりするこ との 有 用 性 や 便 利 さを 実 感 させながら, 課 題 に 取 り 組 ませたい 学 習 内 容 である - 17 -

- 中 数 学 - (3) 単 元 の 目 標 と 節 の 観 点 別 目 標 ア 単 元 の 目 標 具 体 的 な 事 象 の 中 から2つの 数 量 を 取 り 出 し,それらの 変 化 や 対 応 を 調 べることを 通 して,1 次 関 数 について 理 解 することができるようにするとともに, 関 数 関 係 を 見 いだし, 表 現 し, 考 察 することがで きるようにする 事 象 の 中 にある1 次 関 数 を 見 いだし, 表 現 することができるようにする 表, 式,グラフを 用 いて,1 次 関 数 の 特 徴 を 調 べることができるようにする 具 体 的 な 事 象 の 考 察 に,1 次 関 数 を 活 用 することができるようにする 2 元 1 次 方 程 式 を, 関 数 を 表 す 式 と 見 ることができるようにする イ 節 の 観 点 別 目 標 ( 第 2 節 1 次 関 数 と 方 程 式 ) ( 関 : 関 心 意 欲 態 度, 考 : 見 方 考 え 方, 技 : 技 能, 知 : 知 識 理 解 を 表 す ) 関 2 元 1 次 方 程 式 を2つの 変 数 の 関 数 関 係 と 捉 えられることに 気 付 く 身 のまわりに1 次 関 数 とみなせる 事 象 が 多 くあることに 気 付 き,その 事 象 を 考 察 するのに, 関 数 の 見 方 考 え 方 を 活 用 しようとする 考 問 題 解 決 にグラフを 活 用 することができる 2 元 1 次 方 程 式 のグラフを,その2 元 1 次 方 程 式 の 解 の 集 合 であると 捉 えることができる 技 2 元 1 次 方 程 式 のグラフをかくことができる 連 立 方 程 式 の 解 とグラフの 交 点 の 座 標 との 関 係 を 利 用 して, 連 立 方 程 式 の 解 やグラフの 交 点 の 座 標 を 求 めることができる 知 2 元 1 次 方 程 式 のグラフの 意 味 を 理 解 する (4) 指 導 計 画 ア 時 間 数 や 学 習 内 容 とその 位 置 付 け (ア) 単 元 1 次 関 数 ( 全 23 時 間 )について 研 究 協 力 校 の 年 間 指 導 計 画 では 19 時 間 であるが, 検 証 の 関 係 上, 生 徒 の 変 容 を 見 るために3つの パフォーマンス 課 題 (6 時 間 )を 実 施 したため, 今 回 は4 時 間 多 くなっている 節 項 時 数 1 1 次 関 数 (10 時 間 ) 導 入 1 1 関 数 1 発 展 : 階 段 の 形 をしたグラフ (0.5) 2 1 次 関 数 1 3 1 次 関 数 の 値 の 変 化 1 4 1 次 関 数 のグラフ 4 5 1 次 関 数 を 求 めること 2 2 1 次 関 数 と 方 程 式 (12 時 間 ) 1 2 元 1 次 方 程 式 のグラフ 2 2 連 立 方 程 式 とグラフ 1 3 1 次 関 数 の 利 用 9 問 題 演 習 1 発 展 : x=h のグラフ (1) - 18 -

(イ) 第 2 節 1 次 関 数 と 方 程 式 について 項 時 学 習 事 項 1 2 元 1 次 方 程 式 のグラフ 2 2 連 立 方 程 式 とグラフ 1 3 1 次 関 数 の 利 用 9 (ウ) 第 2 節 3 項 1 次 関 数 の 利 用 について 次 - 中 数 学 - 2 元 1 次 方 程 式 のグラフを, 点 を 多 くとってかくこと 2 元 1 次 方 程 式 と1 次 関 数 のグラフの 関 係 2 元 1 次 方 程 式 のグラフをかくこと y=k のグラフの 意 味 とグラフをかくこと 連 立 方 程 式 の 解 を,グラフを 利 用 して 求 めること グラフの 交 点 の 座 標 を, 連 立 方 程 式 を 解 いて 求 めること 実 験 の 結 果 を1 次 関 数 とみなして, 結 果 を 考 察 すること 図 形 の 辺 上 を 点 が 動 いてできる 図 形 の 面 積 の 変 化 の 様 子 を 式 やグラフで 表 すこと 列 車 や 人 の 動 きをグラフに 表 し,グラフを 利 用 して 問 題 を 考 えること グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 くこと パフォーマンス 課 題 学 習 事 項 1 実 験 の 結 果 を1 次 関 数 とみなして, 結 果 を 考 察 すること 2 グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 くこと パフォーマンス 課 題 1-1 3 グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 くこと パフォーマンス 課 題 1-2 4 図 形 の 辺 上 を 点 が 動 いてできる 図 形 の 面 積 の 変 化 の 様 子 を 式 やグラフで 表 すこと 5 列 車 や 人 の 動 きをグラフに 表 し,グラフを 利 用 して 問 題 を 考 えること 6 グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 くこと パフォーマンス 課 題 2-1 7 グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 くこと パフォーマンス 課 題 2-2 8 グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 くこと パフォーマンス 課 題 3-1 9 グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 くこと パフォーマンス 課 題 3-2 イ 評 価 について 国 立 教 育 政 策 研 究 所 の 評 価 規 準 作 成 のための 参 考 資 料 ( 平 成 23 年 )によれば, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 に 関 わる 評 価 規 準 例 は 以 下 のとおりである これに 基 づいて 評 価 項 目 を 作 成 し,パフォーマン ス 課 題 に 対 する 生 徒 の 学 習 活 動 を 評 価 した (ア) 第 2 学 年 の 評 価 の 観 点 の 趣 旨 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 数 量 や 図 形 などについての 基 礎 的 基 本 的 な 知 識 及 び 技 能 を 活 用 しながら, 事 象 を 数 学 的 な 推 論 の 方 法 を 用 いて 論 理 的 に 考 察 し 表 現 したり,その 過 程 を 振 り 返 って 考 えを 深 めたりするなど, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 を 身 に 付 けている (イ) 領 域 C 関 数 の 評 価 規 準 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 に 盛 り 込 むべき 事 項 1 次 関 数 についての 基 礎 的 基 本 的 な 知 識 及 び 技 能 を 活 用 しながら, 事 象 を 数 学 的 な 推 論 の 方 法 を 用 いて 論 理 的 に 考 察 し 表 現 したり,その 過 程 を 振 り 返 って 考 えを 深 めたりするなど, 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 を 身 に 付 けている (ウ) 領 域 C 関 数 の 評 価 規 準 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 の 設 定 例 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 1 次 関 数 の 関 係 具 体 的 な 事 象 の 中 にある2つの 数 量 の 関 係 を, 変 化 や 対 応 の 様 子 に 着 目 して 調 べ,1 次 関 数 として とらえられる2つの 数 量 を 見 いだすことができる - 19 -

- 中 数 学 - 1 次 関 数 の 特 徴 1 次 関 数 の 特 徴 を, 表, 式,グラフを 相 互 に 関 連 付 けるなどして 見 いだすことができる 2 元 1 次 方 程 式 と1 次 関 数 2 元 1 次 方 程 式 を 関 数 関 係 を 表 す 式 とみることで,2 元 1 次 方 程 式 の 解 と1 次 関 数 のグラフの 関 係 を 見 いだすことができる 1 次 関 数 を 用 いて 事 象 をとらえ 説 明 すること 具 体 的 な 事 象 から 取 り 出 した2つの 数 量 の 関 係 が1 次 関 数 であるかどうかを 判 断 し,その 変 化 や 対 応 の 特 徴 をとらえ, 説 明 することができる 具 体 的 な 事 象 の 中 から 取 り 出 した2つの 数 量 の 関 係 を, 理 想 化 したり 単 純 化 したりして1 次 関 数 と みなし, 変 化 や 対 応 の 様 子 を 調 べたり, 予 測 したりすることができる 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり, 予 測 したりした 結 果 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って 考 えることがで きる (5) 評 価 計 画 ここでは,パフォーマンス 課 題 1に 関 わる 部 分 のみを 載 せた 全 体 計 画 は, 補 助 資 料 を 参 照 ア 指 導 計 画 及 び 評 価 計 画 ( 第 2 節 3 項 1 次 関 数 の 利 用 ) 次 学 習 活 動 評 価 規 準 評 価 の 方 法 2 グラフを 利 用 し て 現 実 問 題 を 解 くこと パフォーマンス 課 題 1-1 グラフを 利 用 し て 現 実 問 題 を 解 くこと 3 パフォーマンス 課 題 1-2 b-1 具 体 的 な 事 象 から 取 り 出 した2つの 数 量 の 関 係 が1 次 関 数 であるかどうかを 判 断 し,その 変 化 や 対 応 の 特 徴 を 捉 え, 説 明 することができる b-2 具 体 的 な 事 象 から 取 り 出 した2つの 数 量 の 関 係 を, 理 想 化 したり 単 純 化 したりして1 次 関 数 とみなし, 変 化 や 対 応 の 様 子 を 調 べたり, 予 測 したりすることができる b-3 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり, 予 測 したりした 結 果 が 適 切 で あるかどうか 振 り 返 って 考 えることができる 授 業 観 察 ワークシート 授 業 観 察 ワークシート イ パフォーマンス 課 題 の 評 価 計 画 ( B に 達 していないものは C ) 学 習 事 項 と 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 評 価 項 目 A B グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 く こと パフォーマンス 課 題 1-1 評 価 :b-1 b-2 3 月 の 平 均 気 温 と 桜 の 開 花 日 の 関 係 を 表 す 点 をグ ラフ 用 紙 にかき 入 れ,1 次 関 数 とみなしてグラフを かくことにより 開 花 日 を 予 測 し,グラフを 使 って, 3 月 の 平 均 気 温 と 開 花 日 の 関 係 の 特 徴 に 触 れながら, 簡 潔 に 分 かりやすく 自 分 の 考 えを 説 明 することが できる 3 月 の 平 均 気 温 と 桜 の 開 花 日 の 関 係 を 表 す 点 をグラ フ 用 紙 にかき 入 れ,1 次 関 数 とみなしてグラフをか くことにより 開 花 日 を 予 測 し,グラフを 使 って 自 分 の 考 えを 説 明 することが できる 評 価 の 方 法 授 業 観 察 ワークシート - 20 -

グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 く こと パフォーマンス 課 題 1-2 評 価 :b-3 1 次 関 数 を 用 いて 調 べた り, 予 測 したりした 内 容 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って, 自 分 の 考 えを 修 正 または 発 展 させ,グループ の 仲 間 に 適 切 なアドバイ スをすることができる 1 次 関 数 を 用 いて 調 べた り, 予 測 したりした 内 容 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って, 自 分 の 考 えを 修 正 または 発 展 させることが できる ウ パフォーマンス 課 題 において C と 判 断 される 生 徒 への 支 援 学 習 事 項 と 評 価 項 目 グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 くこと 第 1 次 パフォーマンス 課 題 1-1 第 4 次 パフォーマンス 課 題 2-1 第 6 次 パフォーマンス 課 題 3-1 評 価 :b-1 b-2 グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 くこと 第 2 次 パフォーマンス 課 題 1-2 第 5 次 パフォーマンス 課 題 2-2 第 7 次 パフォーマンス 課 題 3-2 評 価 :b-3 (6) 指 導 案 C と 判 断 される 生 徒 への 支 援 - 中 数 学 - 授 業 観 察 ワークシート 支 援 -A この 時 間 の 中 では 特 に 支 援 はしないが, 次 回 の 自 力 解 決 の 時 間 に,グループの 仲 間 からのアドバイスを 参 考 にさ せた 上 で, 2つの 数 量 の 関 係 を 表 す 点 のプロットの 仕 方 を 確 認 する 1 次 関 数 のグラフのかき 方 を 確 認 する 先 ず, 自 分 の 考 えを 本 人 なりの 言 葉 で 記 述 させた 後, 何 を 述 べたいのかを 整 理 させる などの 支 援 を 必 要 に 応 じて 行 う 支 援 -B 適 切 な 記 述 ができていない 生 徒 グループの 仲 間 からのアドバイスや 支 援 -A をも とに,その 生 徒 の 記 述 のどこに 問 題 点 があるのかを 確 認 し, 修 正 させる 既 に 適 切 な 記 述 ができている 生 徒 考 えを 発 展 させられるような 補 助 発 問 を 投 げかけた り, 別 の 解 決 方 法 や 考 え 方 を 検 討 させたりする ここでは,パフォーマンス 課 題 1の 指 導 案 のみを 載 せた 他 の 指 導 案 については, 補 助 資 料 を 参 照 ア 第 2 節 3 項 1 次 関 数 の 利 用 第 2 次 (ア) 本 時 の 目 標 3 月 の 平 均 気 温 と 桜 の 開 花 日 の 関 係 を1 次 関 数 とみなして 予 測 し,グラフを 利 用 して 自 分 の 考 えを 説 明 することができる パフォーマンス 課 題 1-1 (イ) 本 時 の 展 開 ( 小 グループは,1 班 3~4 人 で, 班 によって 学 力 の 偏 りが 出 ないように 構 成 ) 学 習 活 動 内 容 指 導 者 の 支 援 学 習 の 流 れ 生 徒 の 動 き 発 言 等 支 援 評 価 形 態 導 入 ( 5 分 ) 本 時 の 学 習 事 項 の 確 認 をする ワークシート 1-1 を 配 付 する パフォーマンス 課 題 の 評 価 項 目 の 確 認 を 行 い, 評 価 項 目 を 生 徒 と 共 有 する 5 分 一 斉 - 21 -

- 中 数 学 - グラフを 利 用 して 現 実 問 題 を 解 く 一 斉 パフォーマンス 課 題 1 右 の 資 料 は, 青 森 県 弘 前 市 における1989 年 から2010 年 までの,3 月 の 平 均 気 温 ( )とソメイヨシノの 開 花 日 を 記 録 したものです 今 年 (2011 年 )の 弘 前 市 の 3 月 の 平 均 気 温 は 0.8 でしたが,これらのデータの 関 係 について 考 察 し, 数 学 的 な 根 拠 を もとに 今 年 の 弘 前 市 の 開 花 日 を 予 測 し, 考 えを 説 明 しなさい ただし,3 月 の 平 均 気 温 が x のときの 開 花 日 を4 月 y 日 とします 展 開 1 ( 2 0 分 ) 岩 木 山 と 弘 前 公 園 ( 青 森 県 ) 弘 前 公 園 情 報 ホームページ 展 開 2 ( 2 2 分 ) ま と め ( 3 分 ) 自 力 解 決 20 分 特 別 な 支 援 はせず, 時 間 をかけ て 思 考 させる ワークシート b-1 b-2 それぞれの 考 えを 共 有 する グループ 内 でワークシート 1-1 の 回 し 読 みをし,アドバイスや 質 問 を 記 入 し 合 う 20 分 次 回 の 予 告 をする パフォーマンス 課 題 の 評 価 項 目 の 再 確 認 を 行 い, 評 価 項 目 を 生 徒 と 共 有 する 2 分 ワークシート 1-1 を 回 収 する グループ 一 斉 - 22 -

- 中 数 学 - イ 第 2 節 3 項 1 次 関 数 の 利 用 第 3 次 (ア) 本 時 の 目 標 1 次 関 数 を 用 いて 調 べたり 予 測 したりした 内 容 が 適 切 であるかどうか 振 り 返 って, 自 分 の 考 えを 修 正 または 発 展 させることができる パフォーマンス 課 題 1-2 (イ) 本 時 の 展 開 ( 小 グループは,1 班 3~4 人 で, 班 によって 学 力 の 偏 りが 出 ないように 構 成 ) 学 習 活 動 内 容 指 導 者 の 支 援 学 習 の 流 れ 生 徒 の 動 き 発 言 等 支 援 評 価 形 態 前 時, 本 時 の 学 習 事 項 の 確 認 をする ワークシート 1-1 を 返 却 一 斉 導 入 し,ワークシート 1-2 を ( 5 配 付 する 分 パフォーマンス 課 題 の 評 価 項 目 ) の 再 確 認 を 行 い, 評 価 項 目 を 生 徒 と 共 有 する 展 開 ワークシート 1-2 に 取 り 組 む ワークシート b-3 一 斉 1 ( 2 0 分 ) 自 力 解 決 20 分 机 間 指 導 により, 支 援 を 要 する 生 徒 には, 適 宜 補 助 を 行 う 支 援 -A 支 援 -B 何 種 類 かの 代 表 的 な 考 え 方 を 記 述 した 生 徒 の 発 机 間 指 導 により, 何 種 類 かの 代 一 斉 表 を 聴 く( 実 物 投 影 機 で,ワークシートを 映 し ながら) 表 的 な 考 え 方 を 記 述 した 生 徒 を 指 名 して 発 表 させる 生 徒 の 発 表 を 参 考 にしながら,どのような 解 決 方 法 が 適 切 だったか, 指 導 者 の 説 明 により 振 り 返 る 解 答 例 を 配 付 する 散 布 図 の 点 が 広 範 囲 の 楕 円 形 に なったが,このような 相 関 図 や 相 関 図 について 知 る グラフを 利 用 することで,2つ 展 開 の 数 量 のおよその 変 化 の 様 子 や 2 ( 2 0 解 答 例 を 確 認 する 特 徴 が 捉 えやすくなったこと や, 今 回 の 事 象 も1 次 関 数 とみ 分 なすことで, 未 知 の 値 を 予 測 で ) きたことを 確 認 する 実 測 値 と 理 論 値 は 必 ずしも 一 致 しないことを 確 認 する 3 月 の 平 均 気 温 のみならず, 色 々なデータを 考 慮 すると,も っと 正 確 な 値 が 得 られることを 紹 介 する( 例 えば,2 月 からの 1 日 の 平 均 気 温 の 積 算 など) ま と 自 己 評 価 を 行 う ワークシート 1-1 1-2 一 斉 め ワークシートの 記 入 欄 に 評 価 を 記 入 する を 回 収 する ( 5 分 ) 次 回 の 予 告 をする - 23 -

- 中 数 学 - Ⅵ 研 究 の 結 果 と 考 察 1 事 前 事 後 調 査 から 事 前 事 後 調 査 として, 対 象 生 徒 の 数 学 の 学 習 に 対 する 意 識, 関 数 の 学 習 に 対 する 意 識 を 問 うアンケ ートを 実 施 した( 対 象 : 中 学 校 第 2 学 年 58 名 ) 調 査 内 容 の 一 部 は, 平 成 22 年 度 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 や TIMSS2007 の 内 容 を 引 用 した 調 査 結 果 については t 検 定 を 実 施 したが, 水 準 5%で 有 意 差 が 認 められたものの 中 から, 特 徴 的 なものを 以 下 に 示 す (1) 数 学 の 学 習 全 般 について 数 学 の 学 習 全 般 についての 質 問 の 中 で, 前 後 の 変 容 が 顕 著 に 見 られたものが 図 10~ 図 12 である これらの 結 果 について 共 通 することは, 数 学 と 生 活 の 関 連 性 を 肯 定 的 に 捉 える 生 徒 が 増 加 したというこ とである ( 図 10) 数 学 の 授 業 で 学 習 したことを 普 段 の 生 活 の 中 で 活 用 できないか 考 える ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) ( 図 11) 数 学 の 授 業 で 学 習 したことは, 将 来, 社 会 に 出 たとき に 役 に 立 つ ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) 事 前 事 前 事 後 事 後 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない 特 に, 図 10 の 数 学 の 授 業 で 学 習 したことを 普 段 の 生 活 の 中 で 活 用 できないか 考 える については, 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはま る の 肯 定 的 な 回 答 をした 生 徒 数 の 合 計 が,3 割 を 下 回 っていたものが6 割 を 越 えるまでに 増 加 した (2) 関 数 の 学 習 について 次 に, 関 数 の 学 習 についての 質 問 の 中 で, 最 も 顕 著 に 前 後 の 変 容 が 見 られたものが, 図 13~ 図 19 で ある ( 図 13) 関 数 の 学 習 は 楽 しい 事 前 事 後 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない ( 図 12) 数 学 は, 社 会 の 中 で 役 に 立 っていると 思 う ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない ( 図 14) 関 数 は, 私 たちの 生 活 と 関 わりのあるものだと 思 う ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) 事 前 事 前 事 後 事 後 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない - 24 -

- 中 数 学 - ここで, 関 数 の 学 習 に 対 する, 生 徒 の 情 意 的 な 部 分 を 問 う2つの 質 問 について, 1 当 てはまる 2 どちらかと 言 えば, 当 てはまる の 肯 定 的 な 回 答 をした 生 徒 数 の 合 計 を 見 てみる すると, 図 13 の 関 数 の 学 習 は 楽 しい, 図 14 の 関 数 は, 私 たちの 生 活 と 関 わりのあるものだと 思 う の 両 方 とも,20 ポ イント 以 上 増 加 している ( 図 15) 問 題 を 解 くときに, 関 数 のグラフを 使 うことができる ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) ( 図 16) 日 常 生 活 で 起 きることがらを 考 えるときに, 関 数 の 式 を 使 うと 便 利 だと 思 う ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) 事 前 事 前 事 後 事 後 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない また, 図 15 は,グラフを 使 うことができるかど うかを 問 う 質 問 についても 同 様 に 見 ると,これも 約 ( 図 17) 日 常 生 活 で 起 きることがらを 考 えるときに, 関 数 の 表 を 使 うと 便 利 だと 思 う 20 ポイント 増 えており,グラフを 使 えるようにな ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) ったと 実 感 した 生 徒 が 増 加 したことが 分 かる さらに, 図 16~ 図 18 は, 関 数 の 式 や 表,グラフ 事 前 のような 数 学 の 技 能 を 活 用 することの 有 用 性 を 実 事 後 感 しているかどうかを 問 う 質 問 であるが, 少 ないも 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% のでも 約 20 ポイント, 多 いものでは 約 40 ポイント 1 当 てはまる 程 度 増 加 している 特 に,グラフを 活 用 することの 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない 有 用 性,とりわけ 日 常 生 活 で 起 きることがらへの 活 用,また, 自 分 の 考 えを 説 明 するときの 手 段 としての 活 用 に,そのよさを 実 感 しているということが 分 かる 特 に, 図 18 の 日 常 生 活 で 起 きることがらを 考 えるときに, 関 数 のグラフを 使 うと 便 利 だと 思 う や, 図 19 の 自 分 の 考 えを, 書 いて 説 明 したり 話 して 説 明 したりするとき, 関 数 のグラフを 使 う と 相 手 に 考 えを 伝 えやすくなる については, 今 回 の 取 組 を 実 施 することによって 生 徒 に 実 感 させた かった 代 表 的 な 項 目 であり,この 項 目 の 増 加 率 が 極 めて 高 かったことは, 大 きな 成 果 の1つだと 考 える ( 図 18) 日 常 生 活 で 起 きることがらを 考 えるときに, 関 数 のグ ラフを 使 うと 便 利 だと 思 う ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) ( 図 19) 自 分 の 考 えを, 書 いて 説 明 したり 話 して 説 明 するとき, 関 数 のグラフを 使 うと 相 手 に 考 えを 伝 えやすくなる ( 水 準 5%で 有 意 差 あり) 事 前 事 前 事 後 事 後 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 当 てはまる 2どちらかと 言 えば, 当 てはまる 3どちらかと 言 えば, 当 てはまらない 4 当 てはまらない - 25 -

- 中 数 学 - 2 パフォーマンス 課 題 の 結 果 から (1) 全 体 的 な 課 題 の 達 成 度 について パフォーマンス 課 題 1~3の 達 成 度 を 表 したものが 図 20~ 図 22 である これら 全 てに 共 通 していえ ることは, 自 分 の 考 えを 説 明 することができた 生 徒 の 数 (ア~ウ)が,1 時 間 目 は2~3 割 だったもの が,2 時 間 目 には7~8 割 に 増 加 しているということである この 結 果 は, 1 時 間 目 の 自 力 解 決 回 し 読 みによるアドバイス( 考 えの 交 流 ) 2 時 間 目 の 自 力 解 決 ( 指 導 者 の 支 援 あり) 全 体 での 発 表 と 学 習 の 振 り 返 り の 仕 組 みが, 有 効 に 機 能 していることを 示 していると 考 える ( 図 20) パフォーマンス 課 題 1 ( 図 21) パフォーマンス 課 題 2 1 時 間 目 1 時 間 目 2 時 間 目 2 時 間 目 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% ア イ ウ エ オ カ 1 時 間 目 A]で,2 時 間 目 に 修 正 または 発 展 させた A の 記 述 ができた B の 記 述 までできた グラフ 描 画 までしかできなかった 点 のプロットまでしかできなかった 何 もできなかった( 誤 答 や 作 業 途 中 も 含 む) ただし,それぞれの 課 題 の 内 容 が 異 なるので, 3 回 の 課 題 の 達 成 度 を 単 純 に 比 較 して 推 移 を 捉 え 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% ア イ ウ エ オ カ 1 時 間 目 A]で,2 時 間 目 に 修 正 または 発 展 させた A の 記 述 ができた B の 記 述 までできた グラフ 描 画 までしかできなかった 点 のプロットまでしかできなかった 何 もできなかった( 誤 答 や 作 業 途 中 も 含 む) ( 図 22) パフォーマンス 課 題 3 ることは 難 しい 何 もできなかった 生 徒 数 ( 誤 答 や 作 業 途 中 も 含 む) について 見 ると,パフォーマ 1 時 間 目 ンス 課 題 2だけ 数 が 多 くなっている これは, 考 え 方 の 方 向 性 は 間 違 えていなかったものの, 購 入 した 電 球 の 代 金 を 考 慮 するという 視 点 に 欠 けてい た 生 徒 が 多 かったためである そして,パフォー マンス 課 題 3でグラフの 間 違 いが 少 なかったのは, パフォーマンス 課 題 2の 反 省 が 生 きたからだと 考 えられる 2 時 間 目 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% ア イ ウ エ オ カ 1 時 間 目 A]で,2 時 間 目 に 修 正 または 発 展 させた A の 記 述 ができた B の 記 述 までできた グラフ 描 画 までしかできなかった 点 のプロットまでしかできなかった 何 もできなかった( 誤 答 や 作 業 途 中 も 含 む) そこで, 課 題 の 内 容 にあまり 影 響 を 受 けずに 変 容 したと 考 えられる2つの 項 目 に 着 目 し, 本 指 導 モデルがどのように 機 能 したのかを 考 察 した 先 ず, 図 23 の 考 えを 記 述 する 欄 が 白 紙 ( 無 解 答 )だった 生 徒 数 ( 点 のプロットやグラフ 描 画 が できた 生 徒 も 含 む) である これには, 例 えば, 正 確 なグラフ 描 画 ができたにも 関 わらず, 自 分 の 考 えを 記 述 する 欄 が 白 紙 だった 生 徒 も 含 まれる 1 時 間 目 に 考 えを 記 述 する 欄 が 白 紙 だった 生 徒 数 は, 回 を 追 うごとに 明 らかに 減 少 し,パフォーマ ( 人 ) 60 55 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 ( 図 23) 考 えを 記 述 する 欄 が 白 紙 ( 無 解 答 )だった 生 徒 数 ( 点 のプロットやグラフ 描 画 ができた 生 徒 も 含 む) パフォーマンス 課 題 1 パフォーマンス 課 題 2 パフォーマンス 課 題 3 1 時 間 目 2 時 間 目 ンス 課 題 1では 29 名 だったものが,パフォーマンス 課 題 2では 16 名 に,パフォーマンス 課 題 3では2 名 となった さらに,それぞれの 課 題 において2 時 間 目 で 白 紙 だった 生 徒 は,パフォーマンス 課 題 2, - 26 -

パフォーマンス 課 題 3では1 人 もいなかった 次 に, 図 24 の 説 明 ができた 生 徒 数 ( A の 生 徒 も 含 む) における2 時 間 目 の 生 徒 数 である こ 50 れを 見 ると, 少 しずつではあるものの, 回 を 追 う 45 40 ごとに 自 分 の 考 えを 説 明 することができた 生 徒 数 35 30 が 増 加 していることが 分 かる 25 これらの 理 由 として 考 えられることは,2つあ 20 15 る 1つ 目 は, 回 を 重 ねるごとに 自 分 の 考 えを 記 10 5 述 することに 対 する 抵 抗 感 が 減 ったということで 0 ある そして2つ 目 は, 何 をどのように 記 述 した らよいのかという, 表 現 方 法 が 分 かるようになってきたということである 60 55 ( 人 ) ( 図 24) 説 明 ができた 生 徒 数 ( A の 生 徒 も 含 む) - 中 数 学 - パフォーマンス 課 題 1 パフォーマンス 課 題 2 パフォーマンス 課 題 3 1 時 間 目 2 時 間 目 この2 点 は, 単 なる 課 題 に 対 する 慣 れ による 結 果 という 可 能 性 もあるが, 決 してそればかりでは ない 仲 間 のレポートを 読 んでアドバイスを 考 えたり 自 分 の 思 考 過 程 を 振 り 返 ったりする 作 業 や,もら ったアドバイスや 指 導 者 の 支 援 をもとに,もう 一 度 自 分 の 考 えを 練 り 上 げる 作 業 を 通 して, 生 徒 は,ど のように 表 現 すれば 自 分 の 考 えを 効 果 的 に 相 手 に 伝 えることができるのかを 試 行 錯 誤 したはずである そこで, 次 の 項 目 では, 達 成 度 の 伸 び という 観 点 から, 図 23 の 結 果 と 図 24 の 結 果 の 間 にある 相 関 関 係 について 考 察 した また, 図 24 では, 数 の 増 加 しか 確 認 することができないが, 記 述 内 容 の 質 も 向 上 している これについては, 後 に 述 べることとする (2) 達 成 度 の 伸 びについて ここでは, 表 5のように 達 成 度 の ( 表 5)パフォーマンス 課 題 における 達 成 度 の 段 階 段 階 に 点 数 を 付 けて 数 値 化 し,3 点 階 点 ~5 点 を α 層,0 点 ~2 点 を β 層 と 層 数 達 成 度 の 段 階 分 類 した そして,1 時 間 目 の 各 達 5 1 時 間 目 A で,2 時 間 目 に 修 正 または 発 展 させた α 4 A の 記 述 ができた 成 度 の 生 徒 が,2 時 間 目 ではどの 程 3 B の 記 述 までできた 度 伸 びたのかを 見 た それが, 表 6 2 グラフ 描 画 までしかできなかった ~ 表 8である この 表 の 中 の 伸 び β 1 点 のプロットまでしかできなかった 0 何 もできなかった( 誤 答 や 作 業 途 中 も 含 む) の 合 計 とは,(1 時 間 目 の 各 達 成 度 の 人 数 ) ( 各 達 成 度 の 伸 び)の 和 を 計 算 したものである 先 ず, 伸 びの 合 計 を 見 ると,3 回 実 施 したパフォーマンス 課 題 のどれを 見 ても,1 時 間 目 で B の 記 述 をすることができなかった β 層 の 生 徒 の 伸 びが 大 きいことが 分 かる ここでいう β 層 とは,グラフ 描 画 や 表 の 作 成, 点 のプロットができなかった 生 徒 も 多 く 含 まれるので,この 層 の 伸 びの 大 きさから, β 層 の 生 徒 における 知 識 技 能 の 向 上 に, 確 実 に 効 果 があることが 確 認 できる また, 伸 びた 生 徒 の 割 合 を 見 ると, 課 題 によって 異 なるが,β 層 では8~9 割 の 生 徒 が 伸 びており, A や B の 記 述 ができた α 層 でも5~7 割 の 生 徒 が 伸 びていることが 分 かる 次 に, 図 24 とも 関 連 するが, 表 6~ 表 8の 網 掛 け 部 分 は,β 層 の 生 徒 の 中 でも,1 時 間 目 から2 時 間 目 にかけての 伸 びが 足 りずに,2 時 間 目 でも B の 記 述 ができなかった 生 徒 数 を 表 している この 数 値 は,パフォーマンス 課 題 1では 15 名,パフォーマンス 課 題 2では 11 名,パフォーマンス 課 題 3では 9 名 と, 回 を 追 うごとに 減 少 している このことから,β 層 の 生 徒 の 伸 びが, 回 を 追 うごとに 増 加 して いるということが 分 かる そして,この β 層 の 生 徒 における 伸 びの 増 加 は, 考 えを 記 述 することができた 生 徒 の 増 加 ( 図 24)と - 27 -